JPH11213372A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH11213372A
JPH11213372A JP1996998A JP1996998A JPH11213372A JP H11213372 A JPH11213372 A JP H11213372A JP 1996998 A JP1996998 A JP 1996998A JP 1996998 A JP1996998 A JP 1996998A JP H11213372 A JPH11213372 A JP H11213372A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
recording medium
magnetic recording
support
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP1996998A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Yatagai
洋 谷田貝
Shinichi Matsumura
伸一 松村
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP1996998A priority Critical patent/JPH11213372A/ja
Publication of JPH11213372A publication Critical patent/JPH11213372A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄型化されて更なる大容量化が図られ、しか
も強度が増強されて変形が極力抑えられ、電磁変換特性
及び走行性が向上された磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体1は、長尺状の非磁性支持
体2上に磁性層3が形成される。非磁性支持体2は、芳
香族ポリアミドフィルムからなり、長手方向のヤング率
が1000kg/mm2以上であり、幅方向のヤング率
が1300kg/mm2以上であり、芳香族ポリアミド
フィルム中に平均粒径が0.02μm〜0.3μmの不
活性粒子が添加されて磁性層3が形成される面2aの表
面に1万個/mm2〜2000万個/mm2の突起が形成
される。また、非磁性支持体2の磁性層3が形成される
面とは反対側の面2b上に、電子線により重合可能な化
合物を含有するバックコート層4が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺状の非磁性支
持体上に磁性層が形成されてなる磁気記録媒体に関し、
例えば、長時間記録用のビデオテープ、あるいは大容量
のテープストリーマーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属薄膜型磁気記録媒体用の
非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムが主として用いられている。具体的には、ホーム
ビデオカセットテープ、例えば、8mmテープの非磁性
支持体としては、厚みが7〜10μm程度のポリエチレ
ンテレフタレートフィルムが用いられる。また、コンピ
ュータのデータバックアップ用のテープストリーマーの
非磁性支持体としては、厚みが5〜7μm程度のポリエ
チレンテレフタレートフィルムが用いられている。
【0003】ところで、ビデオカセット用の磁気記録媒
体は、ビデオカセットの小型化に伴い、より一層のコン
パクト化と長時間記録化が望まれている。また、昨今の
情報量の増大化に伴い、テープストリーマーとしての磁
気記録媒体においても、大容量化が望まれている。この
ため、これらの要求に応えるために、磁気記録媒体の厚
さを薄くすることが検討されている。
【0004】磁気記録媒体の厚さを薄くするためには、
非磁性支持体の厚さを薄くすることが容易に考えられ
る。しかしながら、非磁性支持体としてポリエチレンテ
レフタレートフィルムを用いている場合、その厚みを薄
くすると、磁気記録媒体の長さ方向あるいは幅方向の強
度が低下する。そして、磁気記録媒体は、長さ方向の強
度が低下すると、ビデオテープレコーダまたはドライブ
での走行時に変形しやすくなる。また、磁気記録媒体
は、幅方向の強度が低下すると、しわや折れが発生しや
すくなり、更にはヘッドとの接触不良を生じやすくなる
等の問題点があった。
【0005】そこで、金属薄膜型磁気記録媒体用の非磁
性支持体としてポリアミドフィルムを用いることが検討
され、実用化されてきている。
【0006】ポリアミドフィルムは、ポリエチレンテレ
フタレートフィルムに比べて強度が高い。したがって、
このポリアミドフィルムを非磁性支持体として用いた磁
気記録媒体は、厚さを薄くすることが可能であり、ビデ
オカセットテープの長時間記録化やテープストリーマー
の大容量化に対応した磁気記録媒体として注目されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】また、このようなポリ
アミドフィルムを非磁性支持体として用いた金属薄膜型
磁気記録媒体においても、磁性層が強磁性金属薄膜から
なり、その磁性層の厚さが薄いことから、磁性層が非磁
性支持体の表面性の影響を受けやすく、非磁性支持体の
表面形状がそのまま磁性層の表面形状に反映される。よ
って、この金属薄膜型磁気記録媒体においては、非磁性
支持体の表面形状を制御することにより、磁性層表面の
微細形状を電磁変換特性や走行性の点から好適な状態に
する必要がある。
【0008】そこで、本発明者等は、特許出願平成8−
200534号公報において、長尺状の非磁性支持体と
してポリアミドフィルムを用い、この非磁性支持体の長
手方向及び幅方向のヤング率を制御することにより、折
れやシワ等の変形を生じさせにくくするとともに、且
つ、磁性層表面の微細形状を最適な状態とすることによ
り、電磁変換特性と走行性とを改善した磁気記録媒体を
提案している。
【0009】ところで、このようなポリアミドフィルム
を非磁性支持体として用いた金属薄膜型磁気記録媒体に
対しても、更なる大容量化に対応するために、磁気記録
媒体の更なる薄型化が強く要望されている。例えば、テ
ープストリーマーとしての磁気記録媒体では、2〜3年
毎に記録容量が倍密度化されるため、益々磁気記録媒体
の薄型化が強く要望されている。
【0010】しかしながら、上記のポリアミドフィルム
を非磁性支持体として用いた金属薄膜型磁気記録媒体に
おいても、磁気記録媒体の更なる薄型化のために非磁性
支持体を更に薄くすると、磁気記録媒体に幅方向の湾曲
化、いわゆるカールが生じてしまう。その結果、この金
属薄膜型磁気記録媒体では、磁気ヘッドとの安定した当
たりがとりにくくなって、電磁変換特性が大幅に低下し
てしまったり、磁気ヘッドとの接触圧が大きくなってこ
の磁気記録媒体の縁部分が摩耗しやすくなり、ドロップ
アウトや出力低下が生じてしまうといった問題点があ
る。
【0011】そこで、本発明は、従来の実情に鑑みて提
案されたものであり、非磁性支持体の厚みの薄型化が図
られて更なる大容量化が実現されるとともに、磁気記録
媒体の強度が増強されて、磁気記録媒体にカール等の変
形が発生するのを極力抑えて、結果的に電磁変換特性及
び走行性の向上が図られた磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気記録媒
体は、長尺状の非磁性支持体上に磁性層が形成されてな
るものであり、上記非磁性支持体が芳香族ポリアミドフ
ィルムからなり、当該非磁性支持体の長手方向のヤング
率が1000kg/mm2以上であり、当該非磁性支持
体の幅方向のヤング率が1300kg/mm2以上であ
り、上記芳香族ポリアミドフィルム中に平均粒径が0.
02μm〜0.3μmの不活性粒子が添加されて上記磁
性層が形成される面の表面に1万個/mm2〜2000
万個/mm2の突起が形成されており、この非磁性支持
体の上記磁性層が形成される面とは反対側の面上にバッ
クコート層が形成されている。
【0013】特に、本発明に係る磁気記録媒体では、こ
のバックコート層が、電子線により重合可能な化合物を
含有する材料からなり、当該化合物を電子線照射により
重合させて形成されていることを特徴とするものであ
る。この磁気記録媒体では、非磁性支持体の厚さを1.
0〜5.0μmとすることが好ましい。
【0014】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体は、長尺状の非磁性支持体が芳香族ポリアミド
フィルムからなり、この非磁性支持体の長手方向及び幅
方向におけるヤング率が上述の値となるように規定され
ているとともに、非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成
される表面の突起数が規定されているために、結果的
に、良好な電磁変換特性と走行性とを兼ね備えたものと
なる。
【0015】しかも、本発明に係る磁気記録媒体は、非
磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される面とは反対側
の面上に、電子線照射により重合可能な化合物を含有す
るバックコート層が形成される。このため、本発明に係
る磁気記録媒体は、磁気記録媒体の厚みが薄くても十分
な強度が確保され、磁気記録媒体のカール等の変形が極
力抑えられて、耐摩耗性や耐久性が向上される。
【0016】さらに、本発明に係る磁気記録媒体では、
上述のバックコート層が形成されていることにより十分
な強度が確保されて、磁気記録媒体のカール等の変形が
極力抑えられることから、磁気ヘッドとの当たりを十分
とることができて、より良好な電磁変換特性と記録再生
性とを兼ね備えたものとなる。
【0017】また、本発明に係る磁気記録媒体は、芳香
族ポリアミノフィルムからなる非磁性支持体の厚みが
1.0〜5.0μmと薄型化されることにより、更なる
大容量化を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発
明を適用した磁気記録媒体を示す断面図である。
【0019】本発明に係る磁気記録媒体1は、長尺状の
非磁性支持体2の一主面2a上に強磁性金属薄膜3が形
成されているとともに、非磁性支持体2の強磁性金属薄
膜3が形成される面とは反対側の一主面2b上にバック
コート層4が形成されている。
【0020】この非磁性支持体2は、芳香族ポリアミド
フィルムからなる。好ましくは、非磁性支持体2は、下
記の化学式(I)または(II)またはこれらの共重合
体からなる芳香族ポリアミド樹脂を用いて形成された芳
香族ポリアミドフィルムからなる。
【0021】
【化1】
【0022】なお、この芳香族ポリアミドには約20%
以下の量であれば上記の成分以外のポリマーが共重合ま
たはブレンドされていてもよい。
【0023】これらの重合体から芳香族ポリアミドフィ
ルムを作製する場合には、成膜用溶媒として、例えば、
ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n―メ
チルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、γ―ブ
チロラクトン、テトラメチル尿素、ジオキサン等、また
はこれらの混合溶媒、あるいはこれらに重合原液の中和
生成物として塩化リチウム、塩化カルシウム、炭酸リチ
ウム、硝酸リチウム等の無機塩を添加した上述の溶媒を
用いる。
【0024】そして、このような成膜用溶媒を使用し
て、芳香族ジアミン類と芳香族ジカルボン酸類との重合
によって芳香族ポリアミド樹脂を生成し、この芳香族ポ
リアミド樹脂を溶液成形等の手法によって芳香族ポリア
ミドフィルムを作製する。
【0025】ここで、上記芳香族ジアミン類としては、
例えば、p―フェニレンジアミン、m―フェニレンジア
ミン、o―フェニレンジアミン、2―ニトロ―p―フェ
ニレンジアミン、2―クロル―p―フェニレンジアミ
ン、4,4’―ジアミノビフェニル、3,3’―クロル
ベンジン等が挙げられる。
【0026】また、上記芳香族ジカルボン酸類として
は、例えば、テレフタル酸クロライド、2―クロルテレ
フタル酸クロライド、テレフタル酸ヒドラジド、p―ア
ミノ安息香酸ヒドラジド、p―アミノ安息香酸クロライ
ド等が挙げられる。
【0027】また、以上のようにして得られた芳香族ポ
リアミドフィルムを長手方向及び幅方向に延伸させ、長
手方向のヤング率が1000kg/mm2以上、幅方向
のヤング率が1300kg/mm2以上となされた非磁
性支持体2が得られる。このとき、この非磁性支持体2
の厚さが1.0〜5.0μmであると好ましい。
【0028】すなわち、特に、本発明を適用した磁気記
録媒体1に用いられる非磁性支持体2は、長手方向のヤ
ング率が1000kg/mm2以上、幅方向のヤング率
を1300kg/mm2以上となされる。
【0029】このように、本発明を適用した磁気記録媒
体1は、非磁性支持体2の長手方向及び幅方向のヤング
率が上述したように規定されていることにより、剛性等
の機械的強度を増強させることができて、非磁性支持体
2に折れやシワやカール等の変形が生じるのを極力防ぐ
ことができる。そして、その結果、この非磁性支持体2
を用いて製造した磁気記録媒体1は、耐久性が向上され
るだけでなく、磁気ヘッドとの当たりを十分確保するこ
とができて良好な電磁変換特性や記録再生特性が得られ
る。
【0030】具体的には、非磁性支持体2の長手方向の
ヤング率を1000kg/mm2以上に規定することに
より、この非磁性支持体2が用いられる磁気記録媒体1
は、オフトラックを低減することができる。また、非磁
性支持体2の幅方向のヤング率を1300kg/mm2
以上に規定することにより、この非磁性支持体2が用い
られた磁気記録媒体1は、磁気ヘッドとの当たりを改善
することができる。
【0031】ここで、非磁性支持体の長手方向のヤング
率が1000kg/mm2以下で小さ過ぎると、磁気記
録媒体がビデオテープレコーダやドライブでの走行時に
変形しやすくなる。また、非磁性支持体の幅方向のヤン
グ率が1300kg/mm2以下で小さ過ぎると、磁気
記録媒体にシワや折れやカール等の変形が生じやすくな
る。
【0032】また、この非磁性支持体2の厚さは、1.
0〜5.0μmであることが好ましい。このように、本
発明を適用した磁気記録媒体1は、薄型化が図られるこ
とにより、更なる大容量化や長時間記録化が実現され
る。
【0033】また、本発明を適用した磁気記録媒体1に
おける非磁性支持体2は、芳香族ポリアミドフィルム
中、詳しくは、芳香族ポリアミドフィルムを形成する材
料中に、平均粒径0.02〜0.3μmの不活性粒子を
添加して形成されることにより、強磁性金属薄膜3が形
成される面2aに、1万個/mm2〜2000万個/m
2の突起が形成されている。このように、本発明を適
用した磁気記録媒体1は、非磁性支持体2の強磁性金属
薄膜3が形成される面の表面性が制御されているため、
磁気ヘッドとの当たりを良好とすることができて、良好
な電磁変換特性や走行性を兼ね備えることができる。
【0034】この場合の不活性粒子としては、例えば、
二酸化珪素(水和物、珪藻土、珪砂、石英等を含む)、
アルミナ、SiO2分を30重量%以上含有する珪酸塩
(例えば、非結晶あるいは結晶質の粘土鉱物、焼成物や
水和物を含むアルミノシリケート、温石綿、ジルコン、
フライアッシュ等)、Mg,Zn,Zr,Ca,Baの
硫酸塩、Li,Na,Caのリン酸塩(1水素塩、2水
素塩を含む)、Li,Na,Kの安息香酸塩、Ca,B
a,Zn,Mnのテレフタル酸塩、Mg,Ca,Ba,
Zn,Cd,Pb,Sr,Mn,Fe,Co,Niのチ
タン酸塩、Ba,Pbのクロム酸塩、炭素(例えば、カ
ーボンブラック、グラファイト等)、Ca,Mgの炭酸
塩、蛍石、ZnS等が挙げられる。
【0035】さらに好ましくは、無水珪酸、含水珪酸、
酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム(焼成物、水和物
を含む)、リン酸1リチウム、リン酸3リチウム、リン
酸ナトリウム、リン酸バリウム、酸化チタン、安息香酸
リチウム、これらの化合物の複塩(水和物を含む)、粘
土、カオリン、ベントナイト、白土等の粘土鉱物、タル
ク、珪藻土、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0036】これらの不活性粒子は、重合前の一方のモ
ノマーの溶媒中に添加して分散させても良く、重合させ
るときに重合する溶媒中に添加して分散させても良く、
または、ポリマー溶液の調整工程中に添加しても良い。
【0037】この不活性粒子の平均粒径が0.02μm
未満の場合には、強磁性金属薄膜3の表面に表れる突起
の高さが低く、また、突起が1万個/mm2未満の場合
には、突起数が小さく、いずれの場合も磁気ヘッドの目
詰まりを防止する効果、いわゆるクリーニング効果が得
られない。一方、不活性粒子の平均粒径が0.3μmよ
り大きな粒子の添加、あるいは突起が2000万個/m
2を超える場合では、いずれの場合も磁気記録媒体の
電磁変換特性が悪化する。
【0038】さらに、フィルムのハンドリング性をよく
するためには、例えば、非磁性支持体2のフィルムを2
層構造として、強磁性金属薄膜3を形成しない側の面2
bの表面粗さを比較的粗くすると良い。具体的には、非
磁性支持体2の中心線平均粗さRaを50〜250n
m、好ましくは、100〜200nmとすることが良
い。
【0039】このとき、表面粗さの調整方法としては、
例えば、上述した不活性粒子を添加して、その平均粒径
や粒径分布や添加量等を制御することにより行う。
【0040】強磁性金属薄膜3は、上述したように構成
される非磁性支持体2の一主面2a上に、例えば、斜め
蒸着や垂直蒸着により形成される。この強磁性金属薄膜
3の材料としては、例えば、Co,Ni,Feやこれら
の合金等が挙げられる。
【0041】バックコート層4は、非磁性支持体2の強
磁性金属薄膜3が形成されている面とは反対側の面2b
上に形成されてなる。
【0042】特に、本発明を適用した磁気記録媒体1に
おけるバックコート層4は、電子線により重合可能な化
合物を含有する材料からなり、当該化合物を電子線照射
により重合させて形成される層、例えば有機プラズマ重
合膜である。
【0043】電子線による重合が可能な化合物として
は、電子線による重合が可能な不飽和結合を有する化合
物で、ビニル又はビニリデン等からなる炭素−炭素の二
重結合を好ましくは複数有する化合物であり、例えば、
アクリロイル基、アクリルアミド基、アリル基、ビニル
エーテル基、ビニルチオエーテル基等を含む化合物及び
不飽和ポリエステル等の化合物である。
【0044】特に、好ましくは、上記の不飽和結合を有
する化合物として、アクリロイル基、メタクリロイル基
を直鎖の両未端に有し、骨格がポリエステル、ポリウレ
タン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリカーボネート
である化合物が挙げられる。分子量は約500〜20,
000が好ましい。
【0045】更に、これらの化合物中に、不飽和の炭素
−炭素の不飽和結合を分子内に有するモノマーを添加す
ることもできる。かかるモノマーとしては、例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸メチ
ル及びその同族体であるアクリル酸アルキルエステル、
メタクリル酸メチル及びその同族体であるメタクリル酸
アルキルエステル、スチレン及びその同族体であるα−
メチルスチレン、β−クロルスチレン等、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げら
れる。
【0046】また、かかるモノマーとしては、分子内に
不飽和結合が2個以上あってもよい。特に、ポリオール
の不飽和エステル類、例えば、エチレンジアクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロー
ルトリメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラメタクリレートなど及びエポ
キシ環を有するグリシジルメタクリレートなどが好まし
い。さらに、分子内に不飽和結合が1個の化合物と2個
以上の化合物を混合して用いてもよい。
【0047】モノマーを添加する場合、ポリマーとの比
は、ポリマー/モノマー=2/8以上が好ましい。この
範囲を外れると硬化に多大なエネルギーが必要とされ
る。
【0048】バックコート層4は、以上のような化合物
を含有する材料に対して、以下に示す電子線加速器を用
いて電子線を照射することにより重合して形成される。
このような電子線加速器としては、いわゆるバンデグラ
ーフ型のスキャニング方式、ダブルスキャニング方式あ
るいはカーテンビーム方式が採用できるが、中でも、特
に好ましいのは比較的安価で大出力が得られるカーテン
ビーム方式である。
【0049】電子線特性としては、電子線の加速電圧が
100〜1000kV、好ましくは150〜300kV
であり、吸収線量として0.5〜20メガラッド好まし
くは2〜10メガラッドである。ここで、電子線の加速
電圧が100kVより小さい場合は、エネルギーの透過
量が不足し、1000kVを超えると重合に使われるエ
ネルギー効率が低下し経済的ではない。また、吸収線量
として、0.5メガラッド未満では硬化反応が不十分で
塗膜強度が得られず、20メガラッドを超えると硬化に
使用されるエネルギー効率が低下したり、被照射体が発
熱して、特に非磁性支持体2が変形するので好ましくな
い。
【0050】また、バックコート層4には、通常の結合
剤を単独あるいは混合して加えても良い。ここで、この
結合剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重
合体、塩化ビニル−酢酸ビニルーマレイン酸共重合体、
塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ア
クリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリ
ロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリ
デン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合
体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ
フッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重
合体、ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸共
重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、ス
チレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱
硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ア
ルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ
る。
【0051】また、バックコート層4に無機顔料粉末を
必要に応じて添加することができる。この無機顔料粉末
としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、
酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、カオリ
ン、酸化クロム、硫化カドミウム、ゲータイト、シリカ
アエロジル、無水アルミナ微粉末、炭酸カルシウム、二
硫化モリブデン、フッ化炭素等が用いられる。また、こ
のバックコート層4内には、必要に応じて帯電防止剤、
滑剤等を含有させることも可能である。
【0052】上記バックコート層の厚さとしては、0.
1〜0.6μmであることが好ましい。バックコート層
4の厚さが薄すぎると、磁気記録媒体の機械的強度を補
強する効果が表れず、バックコート層4の厚さが厚すぎ
ると、磁気記録媒体にクラックが生じ易い。
【0053】なお、本発明を適用した磁気記録媒体は、
磁気テープ用の原反の他に、磁気ディスク、特にフレキ
シブルディスク用の原反としても用いることができる。
【0054】つぎに、本発明を適用した磁気記録媒体1
の製造方法について説明する。
【0055】先ず、以下に示すようにして、非磁性支持
体2を作製する。始めに、上述した重合用の溶媒に、芳
香族ジアミン類と芳香族ジカルボン酸類を添加して溶解
させ、この溶液中に上述の不活性粒子を分散させて、芳
香族ポリアミド溶液を用意する。
【0056】そして、この芳香族ポリアミド溶液を金属
ドラム上に流延し、乾燥させて、芳香族ポリアミドフィ
ルムを得る。
【0057】その後、この芳香族ポリアミドフィルムを
上記金属ドラムから剥離した後に、長手方向、幅方向に
順次延伸させる。
【0058】このようにして、所望のヤング率及び表面
性が得られた長尺状の非磁性支持体2を形成する。ここ
で、このように作製された非磁性支持体2は、ロール状
に巻き取られて原反とされる。以下、この非磁性支持体
の原反を非磁性支持体ロールと称する。
【0059】次に、この非磁性支持体ロールを図2に示
すような連続巻き取り式の真空蒸着装置内に設置して、
非磁性支持体2の一主面6a上に強磁性金属薄膜3を形
成する。図2は、連続巻き取り式の真空蒸着装置の概略
構成図である。
【0060】この真空蒸着装置10は、斜方蒸着用とし
て用いられ、内部が高真空状態とされた真空室11内
に、例えば、―20℃程度に冷却され図中矢印A方向に
回転する冷却キャン12と、この冷却キャン12と対向
する位置に配された金属薄膜用の蒸着源13とを備え
る。この蒸着源13は、坩堝等の容器に強磁性金属材料
が収容されたものである。
【0061】また、この真空蒸着装置10は、図2に示
すように、回転自在とされた供給軸22に非磁性支持体
ロール16が装着されるとともに、図示しない駆動源に
より回転駆動される巻き取り軸23に磁気テープロール
17が装着され、非磁性支持体を冷却キャン12を介し
て連続して走行させる。
【0062】このような構成の真空蒸着装置10を用い
て強磁性金属薄膜3を形成する際には、先ず、この蒸着
源13内の強磁性金属材料に対して、電子ビーム発生源
14から加速出射された電子ビーム15を照射して、こ
の強磁性金属材料を加熱蒸発させる。
【0063】そして、この加熱蒸発された強磁性金属材
料が、供給軸22に装着された非磁性支持体ロール16
から図中矢印B方向に繰り出されて冷却キャン12の周
面に沿って走行する非磁性支持体2上に蒸着されること
により、強磁性金属薄膜3が形成される。最終的に、強
磁性金属薄膜3が形成された非磁性支持体2は、巻取り
軸23に装着された磁気テープロール17に巻き取られ
る。
【0064】このとき、蒸着源13と冷却キャン12と
の間には防着板18を設け、この防着板18にシャッタ
19を位置調整可能に設けて、非磁性支持体2に対して
所定の角度で入射する蒸着粒子のみを通過させる。この
ような斜方蒸着法によって強磁性金属薄膜3が形成され
る。
【0065】なお、非磁性支持体ロール16と冷却キャ
ン12との間、及び冷却キャン12と磁気テープロール
17との間にはそれぞれガイドローラー20、21が配
置され、走行する非磁性支持体2に所定のテンションを
かけ、非磁性支持体2が円滑に走行するようになされて
いる。
【0066】以上は、斜方蒸着法により強磁性金属薄膜
3を形成する例について説明したが、強磁性金属薄膜3
を形成する方法としては、この例の他に垂直蒸着法やス
パッタリング法等の公知の薄膜形成法が適用できる。
【0067】なお、非磁性支持体2との付着強度改善、
あるいは強磁性金属薄膜3自体の耐食性や耐摩耗性の改
善等の目的から、蒸着時の雰囲気を酸素ガスが支配的と
なる雰囲気とすることにより、酸素を含む強磁性金属薄
膜を形成することが望ましい。
【0068】また、蒸着源13を加熱するためには、上
述のような電子ビームにより加熱手段の他に、例えば、
抵抗加熱手段、高周波加熱手段、レーザ加熱手段等の公
知の手段を使用しても良い。
【0069】次に、強磁性金属薄膜3の摩耗を防止する
ため、強磁性金属薄膜3上に、図3に示すようなマグネ
トロンスパッタ装置30を用いて、カーボン保護膜を形
成することが望ましい。
【0070】このマグネトロンスパッタ装置30は、チ
ャンバ31内が真空ポンプ32にて減圧された後、真空
ポンプ32側へ廃棄するバルブ33の角度を絞ることに
より、ガス導入管34からArガスを導入して、真空度
が約0.8Paとされる。また、マグネトロンスパッタ
装置30は、チャンバ31内に、例えば、−40℃に冷
却され図中矢印C方向に回転する冷却キャン35と、こ
の冷却キャン35と対向配置されるターゲット36とが
設けられている。ターゲット36は、カソード電極を構
成するバッキングプレート37に支持されている。そし
て、バッキングプレート37の裏側には、磁場を形成す
るマグネット38が配設されている。
【0071】また、このマグネトロンスパッタ装置30
は、回転自在とされた供給軸39に強磁性金属薄膜3が
成膜された上述の磁気テープロール17が装着されると
ともに、図示しない駆動源により回転駆動される巻取り
軸41に磁気テープロール42が装着されて、強磁性金
属薄膜3が成膜された非磁性支持体2を冷却キャン35
を介して図中D方向に連続走行させる。
【0072】このマグネトロンスパッタ装置30により
カーボン保護膜を形成する際は、先ず、ガス導入管34
からArガスを導入するとともに、冷却キャン35をア
ノード、バッキングプレート37をカソードとして30
00Vの電圧を印加し、1.4Aの電流が流れる状態を
保つようにする。
【0073】そして、この電圧の印加により、Arガス
がプラズマ化し、電離されたイオンがターゲット36に
衝突することにより、ターゲット36の原子がはじき出
される。そして、このターゲット36からはじき出され
た原子は、磁気テープロール17から図中矢印D方向に
繰り出されて冷却キャン35の周面に沿って走行する非
磁性支持体2の強磁性金属薄膜3上に付着して、カーボ
ン保護膜が形成される。最終的に、カーボン保護膜が形
成された非磁性支持体は、巻取り軸41に装着された磁
気テープロール42により巻き取られる。
【0074】このとき、このカーボン保護膜は、スペー
シングロスを極力抑え、且つ、強磁性金属薄膜3の摩耗
防止の効果を得られるように、その厚さが3〜15nm
程度、より好ましくは5〜10nmが良い。
【0075】なお、以上は、カーボン保護膜を形成する
方法としてマグネトロンスパッタによる方法について説
明したが、この方法の他に、イオンビームスパッタやイ
オンビームプレーティング法、CVD法等の公知の薄膜
形成方法を用いることができる。また、このカーボン保
護膜の表面に滑剤を塗布することが好ましい。
【0076】次に、強磁性金属薄膜3やカーボン保護膜
が形成された非磁性支持体2に対して、強磁性金属薄膜
3が形成されていない側の面2b上に、電子線により重
合可能な化合物を含有する材料を塗布する。そして、図
示しないカーテンビーム方式の電子線加速器を所望の加
速電圧、且つ吸収線量に設定して、この電子線加速器を
用いて電子線を当該材料に対して加速照射することによ
り、この材料を重合させてバックコート層4を形成す
る。
【0077】最後に、このように強磁性金属薄膜3、カ
ーボン保護膜及びバックコート層4が形成された磁気記
録媒体の原反を長さ方向に沿って所定幅に裁断してテー
プ状磁気記録媒体1を作製する。
【0078】以上のような工程を経ることにより、本発
明を適用した磁気記録媒体を得ることができる。
【0079】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0080】磁気記録媒体において、長尺状の非磁性支
持体の長手方向及び幅方向におけるヤング率、非磁性支
持体の強磁性金属薄膜が形成される面上の突起数、並び
に非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される面とは反
対側の面上に形成される電子線照射により重合可能な化
合物を含有するバックコート層が及ぼす効果を評価する
ために、以下に示すような方法によって磁気テープを作
製した。
【0081】実施例1 先ず、脱水したn―メチルピロリドンに、0.9mol
比に相当する2―クロル―p―フェニレンジアミンと
0.1mol比に相当する4,4’―ジアミノジフェニ
ルスルホンとを撹拌溶解させて冷却し、この中へ0.7
mol比に相当するテレフタル酸クロライドを添加し
て、約2時間撹拌した。その後、十分精製した水酸化カ
ルシウムを添加して、撹拌混合した。これに、アンモニ
ア水を加えて中和を完成させる。そして、n−メチルピ
ロリドン中に平均粒径が0.05μmのSiO2を添加
させて、芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0082】次に、この芳香族ポリアミド溶液を表面研
磨した金属ドラム上へ30℃で均一に流延し、120℃
の雰囲気中で約10分間乾燥し、芳香族ポリアミドフィ
ルムを形成した。
【0083】そして、この芳香族ポリアミドフィルムを
金属ドラムから剥離し、30℃の水槽中に連続的に約3
0分間浸漬しながら、長手方向に延伸した。さらに、こ
の芳香族ポリアミドフィルムをテンターに導入して、3
20℃で幅方向に延伸して、厚さ約3.5μmの非磁性
支持体を得た。
【0084】実施例2〜実施例6、比較例1〜比較例5 長手方向の延伸倍率、幅方向の延伸倍率及びSiO2
粒径をそれぞれ変化させて、実施例1と同様に、非磁性
支持体を得た。
【0085】これら各実施例及び比較例の非磁性支持体
のフィルムに対して、幅方向及び長手方向のヤング率及
び表面突起個数を測定した。測定条件は、次のようにし
た。
【0086】ヤング率の測定 テンシロン型の引張り試験機を用いて、温度25℃、湿
度55%の下で非磁性支持体を引っ張り、0.05〜
0.1%の伸びを与える荷重を測定して、その値からヤ
ング率を算出した。
【0087】表面突起個数の測定 走査型電子顕微鏡(SEM)として日本電子社製の超高
分解能コールドFE−SEM[S−900](商品名)
を用いて、加速電圧を20kVとし、倍率を3万倍以上
にして、非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される面
上の突起個数をカウントし、1mm2当たりの個数に換
算した。
【0088】これらの結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】次に、各例の非磁性支持体に対して、図2
に示す蒸着装置を用いて連続真空斜め蒸着法により、非
磁性支持体上にCoからなる強磁性金属薄膜を成膜し
た。
【0091】具体的には、図2に示すような連続巻き取
り式の蒸着装置をその内部が10-3Pa程度の真空状態
となるように排気し、高分子被膜が形成された非磁性支
持体を、この蒸着装置にセッティングした。そして、連
続真空斜め蒸着法により、微量の酸素存在下において、
この非磁性支持体の表面にCoからなる強磁性金属薄膜
を形成した。このとき、蒸着の入射角は、非磁性支持体
の法線方向が90〜45度までであり、非磁性支持体の
走行速度が50m/分で、強磁性金属薄膜の厚さが0.
18μmとなるように、電子ビームの強さを調節して作
製した。
【0092】次に、図3に示すようなマグネトロンスパ
ッタリング装置をその内部が10-4Pa程度になるまで
まで減圧した後、Arガスを導入し、0.8Pa程度に
した。そして、このマグネトロンスパッタリング装置に
強磁性金属薄膜が形成された非磁性支持体をセッティン
グし、―40℃に冷却した冷却キャン上を5m/分の速
度で走行させて強磁性金属薄膜上にカーボン保護膜を形
成した。
【0093】次に、非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形
成された面とは反対側の面上に、以下に示すバックコー
ト層用塗料を塗布して、厚さ0.5μmのバックコート
層を形成した。
【0094】 <バックコート層用塗料> 補強剤:カーボンブラック 100重量部 結合剤:ポリウレタン樹脂 50重量部 電子線により重合可能な化合物: エステルアクリレートオリゴマー 20重量部 ジエチレングルコールジアクリレート 20重量部 ブトキシエチルアクリレート 20重量部 溶媒 :メチルエチルケトン/トルエン=4/1 300重量部 次に、カーボン保護膜上にパ−フルオロポリエーテルよ
りなる滑剤を塗布してトップコート層を形成して磁気記
録媒体を作製した。
【0095】最終的に、この磁気記録媒体を8mm幅に
裁断して磁気テープを得て、この磁気テープをカセット
本体に収納してカセットテープを得た。
【0096】なお、比較例5は、上述のバックコート層
の代わりに、上記のバックコート層用塗料のうちの電子
線により重合可能な化合物を除く材料からなるバックコ
ート層を形成した磁気テープとした。
【0097】そこで、つぎに、以上のように作製された
磁気テープに対してそれぞれ以下に示すような物性評価
を行った。
【0098】テープ特性の評価 磁気テープの特性評価方法には、ソニー株式会社製のA
ITドライブSDX―S300C(商品名)を改造した
ものを用いて行った。記録は相対速度10.04m/
秒、最短記録波長0.35μmで行った。
【0099】走行耐久性として170m長を100パス
走行させ、1パス走行後のブロックエラーレート、及び
100パス走行後のブロックエラーレートを測定した。
【0100】さらに、100パス走行後の回転ヘッドシ
リンダー部でのテープのスリップ状態である鳴きの状態
を測定した。
【0101】ヘッドとの当たり特性の評価 磁気テープの再生時における出力信号、つまり当たり波
形を1トラック分で見た場合の出力信号の最小値/最大
値(%)を測定した。
【0102】保存特性の評価 磁気テープの保存特性の評価方法としては、約25℃の
常温且つ常湿下で170m長記録した磁気テープを、温
度45℃、湿度80%の下で3日間保存した後、再び常
温常湿下で再生して、エラーレートの増加を測定した。
【0103】以上の物性評価の結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】以上の表1及び表2の結果から明らかなよ
うに、本発明を適用した実施例1〜実施例6は、非磁性
支持体の長手方向のヤング率が1000kg/mm2
上、幅方向のヤング率が1300kg/mm2以上に規
定されるとともに、当該芳香族ポリアミドフィルム中に
平均粒径0.02〜0.05μmの不活性粒子を添加し
て非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される面に1万
個/mm2〜2000万個/mm2の突起が形成されてい
ることにより、テープ特性、ヘッドとの当たり特性及び
保存特性が良好となされている。
【0106】一方、長尺状の非磁性支持体の長手方向の
ヤング率や幅方向のヤング率や不活性粒子の平均粒径や
表面突起数の少なくとも何れかが上述した範囲内でない
比較例1〜比較例4では、テープ特性やヘッド当たり特
性や保存特性が劣化している。
【0107】詳しくは、実施例1〜実施例6と比較例1
とを比較すると、長手方向のヤング率が所定値よりも小
さい比較例1は、特に保存後のエラーレートが大きく、
保存特性が悪い。これにより、磁気記録媒体では、非磁
性支持体の長手方向のヤング率が所定値よりも小さい
と、長手方向の強度が不十分となり、耐久性が劣化す
る。特に、このように、長手方向の強度が低下した磁気
記録媒体では、走行時における磁気テープの変形が生じ
やすくなり、保存特性が劣化するといえる。
【0108】また、実施例1〜実施例6と比較例2とを
比較すると、幅方向のヤング率が所定値よりも小さく、
しかも表面突起数が所定値よりも少ない比較例2は、特
にテープ特性やヘッドとの当たり特性が悪い。
【0109】これにより、磁気記録媒体では、非磁性支
持体の幅方向のヤング率が所定値よりも小さいと、幅方
向の強度が不十分となり、耐久性が劣化して保存特性が
悪くなるとともに、シワや折れ等の変形が発生しやすく
なって、磁気ヘッドとの当たりが悪くなり、テープ特性
が悪くなるといえる。
【0110】また、実施例1〜実施例6と比較例2、比
較例3とを比較すると、非磁性支持体の強磁気金属薄膜
が形成される面の表面性が良好な状態でない比較例2及
び比較例3は、テープ特性が悪い。これにより、磁気記
録媒体としては、電磁変換特性や記録再生特性やハンド
リングの観点から、適当な粗さの表面性が求められるこ
とがわかった。
【0111】また、実施例1〜実施例6と比較例5とを
比較すると、非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成され
る面とは反対側の面上に電子線により重合可能な化合物
を含有するバックコート層が形成される実施例1〜実施
例6は、このような電子線により重合可能な化合物を含
有しない通常の材料からなるバックコート層が形成され
た比較例5よりも、特に強度が増強され、その結果、カ
ール等の磁気テープの変形が抑えられて、磁気ヘッドと
の当たりが向上するとともに、耐久性の向上が図られて
保存特性の向上が実現されるといえる。
【0112】以上の結果から明らかなように、本発明を
適用した磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体の長手
方向及び幅方向のヤング率や表面突起数が規定されてい
るとともに、電子線により重合可能な化合物を含有する
バックコート層が形成されているため、電磁変換特性、
記録再生特性及び走行性に優れ、且つ、耐久性に優れて
いると判明した。
【0113】さらに、本発明を適用した磁気記録媒体
は、非常に薄型化されており、しかも十分強度が確保さ
れていることから、長時間記録化や更なる大容量化を実
現可能とするものであるといえる。
【0114】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る磁気記録媒体は、芳香族ポリアミドフィルムからなる
長尺状の非磁性支持体の長手方向及び幅方向におけるヤ
ング率が上述の値となるように規定されているととも
に、非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される表面の
突起数が規定されているために、表面性が最適な状態と
なされて、良好な電磁変換特性と走行性とを兼ね備えた
ものとなる。
【0115】しかも、本発明に係る磁気記録媒体は、非
磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される側とは反対側
の面上に、電子線の照射により重合可能な化合物を含有
するバックコート層が形成されるため、強度が増強され
る。その結果、本発明を適用した磁気記録媒体は、薄型
化が図られても、十分な機械的強度が確保され、長期保
存性や耐久性が向上される。
【0116】さらに、本発明に係る磁気記録媒体は、こ
のようなバックコート層が形成されているため、機械的
強度が向上されるので、磁気記録媒体録のシワや折れや
カール等の変形が極力抑えられ、磁気ヘッドとの当たり
が向上されて、電磁変換特性、記録再生特性及び走行性
の向上を図ることができる。
【0117】さらに、本発明に係る磁気記録媒体は、芳
香族ポリアミドフィルムからなる非磁性支持体の厚みが
1.0〜5.0μmと薄型化されるとともに、このよう
に薄型化が図られても十分な強度が確保されているの
で、更なる大容量化や長時間記録化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す断
面図である。
【図2】強磁性金属薄膜を形成する真空蒸着装置の一例
を示す構成図である。
【図3】カーボン保護膜を形成するマグネトロンスパッ
タ装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体、 2 非磁性支持体、 3 強磁性
金属薄膜、 4 バックコート層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺状の非磁性支持体上に磁性層が形成
    されてなる磁気記録媒体において、 上記非磁性支持体は、芳香族ポリアミドフィルムからな
    り、当該非磁性支持体の長手方向のヤング率が1000
    kg/mm2以上であり、当該非磁性支持体の幅方向の
    ヤング率が1300kg/mm2以上であり、上記芳香
    族ポリアミドフィルム中に平均粒径が0.02μm〜
    0.3μmの不活性粒子が添加されて上記磁性層が形成
    される面の表面に1万個/mm2〜2000万個/mm2
    の突起が形成されており、 上記非磁性支持体の上記強磁性金属薄膜が形成される面
    とは反対側の面上に、バックコート層が形成され、 上記バックコート層は、電子線により重合可能な化合物
    を含有する材料からなり、当該化合物を電子線照射によ
    り重合させて形成されていることを特徴とする磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 上記非磁性支持体の厚みが1.0〜5.
    0μmであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 上記バックコート層の厚みが0.1〜
    0.6μmであることを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記バックコート層は、有機プラズマ重
    合膜であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 上記磁性層が強磁性金属薄膜であること
    を特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
JP1996998A 1998-01-30 1998-01-30 磁気記録媒体 Withdrawn JPH11213372A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1996998A JPH11213372A (ja) 1998-01-30 1998-01-30 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1996998A JPH11213372A (ja) 1998-01-30 1998-01-30 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11213372A true JPH11213372A (ja) 1999-08-06

Family

ID=12014031

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1996998A Withdrawn JPH11213372A (ja) 1998-01-30 1998-01-30 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11213372A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6726988B2 (en) 2001-04-05 2004-04-27 Tdk Corporation Magnetic recording medium

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6726988B2 (en) 2001-04-05 2004-04-27 Tdk Corporation Magnetic recording medium

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0381213B1 (en) Biaxially oriented film of polyethylene-2,6-naphthalate
US5965233A (en) Laminate film and magnetic recording medium using the same
US4666754A (en) Magnetic recording medium
US4780366A (en) Magnetic recording medium for image recording
JPH01129038A (ja) 二軸配向ポリエステルフイルム
JP2001202614A (ja) 磁気記録媒体
JPH11213372A (ja) 磁気記録媒体
JPH0458818B2 (ja)
JPH11213373A (ja) 磁気記録媒体
JPH11213374A (ja) 磁気記録媒体
JPH11185234A (ja) 磁気記録媒体
JPH113513A (ja) 磁気記録媒体
JPH11296852A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP4066768B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JPH11288515A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH11316948A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH11213370A (ja) 磁気記録媒体
JPH11283234A (ja) 磁気記録媒体
JPH01299832A (ja) 二軸配向ポリエステルフイルム
JPH0518327B2 (ja)
JP3489849B2 (ja) 磁気記録テープ用ベースフイルム
JPH11191215A (ja) 磁気記録媒体
JP2000285438A (ja) 磁気記録媒体
JP2000339667A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH1049852A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050405