JPH11288515A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH11288515A
JPH11288515A JP8736798A JP8736798A JPH11288515A JP H11288515 A JPH11288515 A JP H11288515A JP 8736798 A JP8736798 A JP 8736798A JP 8736798 A JP8736798 A JP 8736798A JP H11288515 A JPH11288515 A JP H11288515A
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JP
Japan
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magnetic
thin film
support
metal thin
ferromagnetic metal
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JP8736798A
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English (en)
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Ichiro Kanekawa
一朗 金川
Hiroshi Yatagai
洋 谷田貝
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非磁性支持体の厚みを薄くしても十分な強度
が保たれるとともにカールが防止され、さらに、優れた
電磁変換特性を有する磁気記録媒体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 強化材を含有する芳香族ポリアミドから
なる非磁性支持体を作製する非磁性支持体作製工程と、
上記非磁性支持体作製工程で作製された上記非磁性支持
体上に磁性層となる強磁性金属薄膜を真空蒸着法により
形成する強磁性金属薄膜形成工程と、上記強磁性金属薄
膜形成工程で形成された上記強磁性金属薄膜の一部をエ
ッチングするエッチング工程とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
磁性層として強磁性金属薄膜が形成されてなる磁気記録
媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性金属あるいは磁性合金の連続膜を磁
性層とする、いわゆる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体
は、保磁力、角形比等に優れ、短波長域における電磁変
換特性に優れるばかりでなく、磁性層の薄膜化が可能で
あるために、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さ
いことや、磁性層中に非磁性材料である結合剤等を混入
する必要がないために、磁性材料の充填密度を高くでき
ること等、数々の利点を有している。
【0003】このような金属薄膜型の磁気記録媒体は、
一般に真空蒸着法により製造されており、真空蒸着法の
中でも、いわゆる連続巻き取り方式斜方蒸着法が採用さ
れている。連続巻取り式斜方蒸着法では、例えば、非磁
性支持体を冷却キャンの外周面に沿って所定の方向に移
動走行させ、この非磁性支持体上に所定の加熱手段によ
って蒸発せしめられた磁性材料を斜め方向から被着させ
ることによって磁性層を形成している。この時、非磁性
支持体に対する磁性材料の入射角を規制するために、冷
却キャンの近傍には、この冷却キャンの外周面に沿って
マスクが配設されるが、このマスクが配設される位置付
近より非磁性支持体の表面に対して低入射角側から酸素
ガスが導入されている。磁性材料を被着させる際に酸素
ガスを導入することにより、得られる磁性膜に耐久性を
付与するとともに、磁気特性の向上を図っている。
【0004】上述のように、蒸着を行う際に非磁性支持
体の表面に酸素ガスを導入する方法では、適当な磁気特
性を得るために、上記酸素ガスの導入量を適宜設定して
いる。このために、得られた強磁性金属薄膜からなる磁
性層の表面には、必然的に上記酸素ガスの導入量に応じ
てある程度の膜厚を有する表面酸化層が形成される。と
ころが、このような表面酸化層は、耐久性を改善する上
では有益であるものの、表面酸化層自体は非磁性層であ
るため、短波長記録になればなる程、この表面酸化層に
よるスペーシングロスが大きくなり、良好な電磁変換特
性を確保することが困難となる。
【0005】ところで、磁性層の耐久性確保のために、
強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体の磁性層上にカーボン
保護膜を形成することが提案され実用化されている。D
Vフォーマット、DVCAMフォーマットあるいはAI
Tフォーマットに用いられる磁気記録媒体では、カーボ
ン保護膜の実用化により、薄い保護膜にもかかわらず十
分な耐久性が得られている。そして、強磁性金属薄膜型
の磁気記録媒体では、電磁変換特性、特に、高周波短波
長領域での電磁変換特性の改善が今後の最重要課題とな
っている。
【0006】電磁変換特性を改善するために、強磁性金
属薄膜の表面酸化層を除去する試みがなされている。例
えば特開平5−159287号公報には、磁性層にイオ
ン照射して電磁変換特性を改善することが提案されてお
り、また、特開平5−166165号公報には、逆スパ
ッタ法、イオンエッチング法、ECRプラズマエッチン
グ法等により表面酸化層を除去して電磁変換特性を改善
することが提案されている。
【0007】上述したような金属薄膜型磁気記録媒体の
非磁性支持体には、ポリエチレンテレフタレートフィル
ムが主として用いられている。具体的には、例えば、家
庭用ビデオテープレコーダの8mmテープの非磁性支持
体には、厚みが7μm〜10μm程度のポリエチレンテ
レフタレートフィルムが用いられる。また、コンピュー
タのデータバックアップ用のテープストリーマーの非磁
性支持体には、厚みが5μm〜7μm程度のポリエチレ
ンテレフタレートフィルムが用いられている。
【0008】ところで、ビデオテープレコーダに使用さ
れるテープ状の磁気記録媒体(以下、磁気テープと称す
る。)では、磁気テープが収納されるビデオカセットの
小型化に伴い、より一層のコンパクト化と長時間記録化
が望まれている。また、近年の情報量の増大化に伴い、
テープストリーマー用の磁気テープにおいても、大容量
化が望まれている。このため、これらの要求に応えるた
めに、磁気テープの厚さを薄くすることが検討されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】磁気テープの厚さを薄
くするためには、非磁性支持体の厚さを薄くすることが
容易に考えられる。しかしながら、非磁性支持体として
ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合、そ
の厚みを薄くすると、長さ方向あるいは幅方向の強度が
低下してしまう。そして、磁気テープは、長さ方向の強
度が低下すると、ビデオテープレコーダまたはドライブ
での走行時に変形しやすくなる。また、磁気テープは、
幅方向の強度が低下すると、皺や折れが発生しやすくな
り、さらには、磁気ヘッドとの接触不良を生じやすくな
る等の問題があった。
【0010】そこで、非磁性支持体としてポリアミドフ
ィルムを用いることが検討され、実用化されてきてい
る。ポリアミドフィルムは、ポリエチレンテレフタレー
トフィルムに比べ強度が高い。従って、このポリアミド
フィルムを支持体として用いた磁気記録媒体は、厚さを
薄くすることが可能であり、ビデオカセットフィルムの
長時間記録化、テープストリーマの大容量化に対応した
磁気記録媒体として注目されている。特に、テープスト
リーマにおいては、2〜3年で容量が倍密度化されてお
り、大容量化に対応するため、ますます磁気記録媒体の
薄型化が望まれる。
【0011】本発明者らは、高密度、大容量を有する薄
型の磁気記録媒体を得るために、厚さが約5.0μm以
下の非磁性支持体上に真空蒸着法により強磁性金属薄膜
からなる磁性層を形成し、当該磁性層上に形成された表
面酸化層をエッチングすることを試みた。
【0012】しかしながら、非磁性支持体の厚さが薄い
ために機械的強度が十分ではなく、得られた磁気記録媒
体のカールが大きくなってしまった。磁気記録媒体のカ
ールが大きいと磁気ヘッドとの当たりを取りにくいた
め、電磁変換特性の大幅な低下を引き起こしたり、ま
た、磁気ヘッドと接触しやすい縁部が摩耗しやすく、ド
ロップアウトやエラーレートが増加してしまい、実用に
共する磁気記録媒体は得られなかった。
【0013】非磁性支持体の剛性は、非磁性支持体のヤ
ング率をE、厚さをtとしたときにE×t3で表される
ため、例えば、同一の剛性を保ったまま非磁性支持体の
厚さを半分にするには、支持体の材料のヤング率を8倍
にしなければならない。従って、単に非磁性支持体の厚
みを薄くしただけでは、機械的強度が不十分である。
【0014】本発明は、上述したような従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、非磁性支持体の厚みを薄く
しても十分な強度が保たれるとともにカールが防止さ
れ、さらに、優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体
の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体の
製造方法は、強化材を含有する芳香族ポリアミドからな
る非磁性支持体を作製する非磁性支持体作製工程と、上
記非磁性支持体作製工程で作製された上記非磁性支持体
上に磁性層となる強磁性金属薄膜を真空蒸着法により形
成する強磁性金属薄膜形成工程と、上記強磁性金属薄膜
形成工程で形成された上記強磁性金属薄膜の一部をエッ
チングするエッチング工程とを備えることを特徴とす
る。
【0016】上述したような本発明に係る磁気記録媒体
の製造方法では、非磁性支持体作製工程で強化材を含有
する芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体を形成する
ので、非磁性支持体の強度が増大する。また、強磁性金
属薄膜形成工程では、上記非磁性支持体上に磁性層とな
る強磁性金属薄膜を真空蒸着法により形成するので、電
磁変換特性に優れた磁性層が形成される。また、エッチ
ング工程では、上記強磁性金属薄膜の一部をエッチング
するので、強磁性金属薄膜の表面酸化層が除去されて磁
性層の電磁変換特性がさらに向上する。
【0017】本発明のもう一つの磁気記録媒体の製造方
法は、針状非磁性顔料を含有する芳香族ポリアミドから
なる非磁性支持体を作製する非磁性支持体作製工程と、
上記非磁性支持体作製工程で作製された上記非磁性支持
体上に磁性層となる強磁性金属薄膜を真空蒸着法により
形成する強磁性金属薄膜形成工程と、上記強磁性金属薄
膜形成工程で形成された上記強磁性金属薄膜の一部をエ
ッチングするエッチング工程とを備えることを特徴とす
る。
【0018】上述したような本発明に係る磁気記録媒体
の製造方法では、非磁性支持体作製工程で針状非磁性顔
料を含有する芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体を
形成するので、非磁性支持体の強度が増大する。また、
強磁性金属薄膜形成工程では、上記非磁性支持体上に磁
性層となる強磁性金属薄膜を真空蒸着法により形成する
ので、電磁変換特性に優れた磁性層が形成される。ま
た、エッチング工程では、上記強磁性金属薄膜の一部を
エッチングするので、強磁性金属薄膜の表面酸化層が除
去されて磁性層の電磁変換特性がさらに向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0020】本発明に係る磁気記録媒体の一構成例を図
1に示す。この磁気記録媒体1は、非磁性支持体2と、
非磁性支持体2上に形成された強磁性金属薄膜3とを備
える。
【0021】非磁性支持体2は、強化材を含有する芳香
族ポリアミドフィルムからなる。そして、非磁性支持体
2の厚さは1.0μm〜5.0μmであることが好まし
い。
【0022】芳香族ポリアミドフィルムとして、下に示
すような化学式(1)又は化学式(2)、又は化学式
(1)と化学式(2)との共重合体を構成成分として有
したポリアミド樹脂をフィルム状に成膜したものが好ま
しい。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】なお、この芳香族ポリアミドには、上記化
学式(1)又は化学式(2)で示される成分以外のポリ
マーが共重合されていてもよいし、上記化学式(1)又
は化学式(2)で示される成分以外のポリマーが混合さ
れていてもよい。芳香族ポリアミドに化学式(1)又は
化学式(2)以外のポリマーを共重合又は混合する場合
には、その量は芳香族ポリアミドの約20%以下とす
る。
【0026】そして、この芳香族ポリアミドフィルムに
は強化材が含有されている。ここで、強化材とは、製品
の機械的強さや耐熱性、電気絶縁性等を向上したりする
ために加えられるものをいう。このような芳香族ポリア
ミドフィルム中に含有される強化材としては、カーボン
ファイバー、ガラスファイバー等が用いられる。芳香族
ポリアミドフィルム中に強化材を含有させることによ
り、非磁性支持体2の厚さ方向だけでなく、平面方向の
引っ張り強度や折り曲げ強度等の機械的強度を大きく向
上させることが可能となる。
【0027】また、強化材の含有量としては、100重
量部の芳香族ポリアミドに対して、強化材を5重量部〜
30重量部とすることが好ましい。強化材の含有量が5
重量部より少ないと、非磁性支持体2の機械的強度を十
分に補強することができず、カールを改善することがで
きない。また、強化材の含有量が30重量部より多い
と、非磁性支持体2が脆くなりやすい。強化材の含有量
を芳香族ポリアミド100重量部に対して5重量部〜3
0重量部とすることで、非磁性支持体2の機械的強度を
高めてカールを改善することができる。
【0028】また、磁気記録媒体1では、後述するよう
に磁性層が強磁性金属薄膜3からなり、その厚さが薄い
ことから、磁性層が非磁性支持体2の表面性の影響を受
けやすく、非磁性支持体2の表面形状がそのまま磁性層
の表面形状に反映される。従って、磁気記録媒体1にお
いては、非磁性支持体2の表面形状が制御されているこ
とが好ましい。すなわち、非磁性支持体2表面に微細突
起が形成されていることが好ましい。非磁性支持体2表
面に微細突起が形成されていることで、磁気記録媒体1
の走行性が向上する。
【0029】非磁性支持体2表面に微細突起を形成する
方法としては、例えば、非磁性支持体2となる芳香族ポ
リアミドフィルム中へ不活性微粒子を添加する方法や、
非磁性支持体2上に不活性微粒子を含有した高分子被膜
を設ける方法、又はこれらを組み合わせた方法等が挙げ
られる。
【0030】このような不活性微粒子としては、例え
ば、シリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミ
ナ、カオリン、タルク、グラファイト、長石、二酸化モ
リブデン、カーボンブラック、硝酸バリウム等の無機質
系微細粒子、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレー
ト、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレ
ート共重合体の架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、
ベンゾグアナミン樹脂等の有機質系微細粒子等が挙げら
れるが、真球状粒子を得やすいコロイダルシリカ、架橋
高分子による粒子を用いることが好ましい。
【0031】強磁性金属薄膜3は、Co、Ni、Fe、
又はこれらの合金等の強磁性金属材料が、斜方蒸着法、
垂直蒸着法、スパッタリング法等の手法により非磁性支
持体2上に連続膜として形成される。強磁性金属薄膜3
の厚さは、0.01μm〜0.4μmであることが好ま
しく、より好ましい膜厚は0.1μm〜0.2μmであ
る。
【0032】なお、この磁気記録媒体1は、非磁性支持
体2が、針状非磁性顔料を含有する芳香族ポリアミドフ
ィルムからなるものであってもよい。この場合、芳香族
ポリアミドフィルムは、上述した芳香族ポリアミドフィ
ルムと同様の構造を有する。また、針状非磁性顔料の材
料としては特に限定されるものではなく、例えば、酸化
チタン、酸化アルミニウム、ヘマタイトあるいはゲータ
イト等が挙げられる。
【0033】ポリアミドフィルム中に含有される針状非
磁性顔料としては、アスペクト比、すなわち長軸と短軸
との比が10以上の針状非磁性顔料を使用することが好
ましい。アスペクト比が10以上の針状非磁性顔料を使
用することにより非磁性支持体2の厚さ方向だけでな
く、平面方向の引っ張り強度や折り曲げ強度等の機械的
強度を大きく向上させることが可能となる。
【0034】このような針状非磁性顔料の含有量として
は、100重量部の芳香族ポリアミドに対して、針状非
磁性顔料を5重量部〜30重量部とすることが好まし
い。針状非磁性顔料の含有量が5重量部より少ないと、
非磁性支持体2の機械的強度の補強効果が表れずカール
を改善することができない。また、針状非磁性顔料の含
有量が30重量部より多いと、非磁性支持体2が脆くな
りやすい。針状非磁性顔料の含有量を芳香族ポリアミド
100重量部に対して5重量部〜30重量部とすること
で、非磁性支持体2の機械的強度を高めてカールを改善
することができる。
【0035】また、この磁気記録媒体1では、図2に示
すように、強磁性金属薄膜3上に保護膜4を形成するこ
とが好ましい。強磁性金属薄膜3上に保護膜4を形成す
ることで、強磁性金属薄膜3の耐久性が向上する。
【0036】保護膜4は、強磁性金属薄膜3上に例えば
カーボンをスパッタリング等により被着させて形成され
る。保護膜4の膜厚は3nm〜15nmであることが好
ましく、より好ましい膜厚は5nm〜10nmである。
保護膜4の膜厚が薄すぎると、保護膜4の耐久性が低下
し、強磁性金属薄膜3を保護することができない。ま
た、保護膜4の膜厚が厚すぎると、スペーシングロスが
増加し、短波長記録を行う際に十分な出力が得られな
い。保護膜4の膜厚を3nm〜15nmとすることで、
スペーシングロスを増加させることなく、強磁性金属薄
膜3を十分に保護することができる。
【0037】さらに、この磁気記録媒体1は、図3に示
すように、非磁性支持体2の強磁性金属薄膜3が形成さ
れた面とは反対側の面にバックコート層5が形成されて
いてもよい。バックコート層5を配することで、磁気記
録媒体1の走行性が良好になる。このバックコート層5
は、例えば、カーボン、炭酸カルシウム等の非磁性顔料
が、ポリウレタン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等
の結合剤に分散されてなる。
【0038】また、磁気記録媒体1は、保護膜4の表面
に潤滑剤を存在せしめることが好ましい。潤滑剤を存在
せしめることで、非磁性支持体2表面の微細突起の形状
に基づく走行性改善効果をさらに高めることができる。
【0039】さらに、この磁気記録媒体1は、その表
面、保護膜4、強磁性金属薄膜3の空隙、保護膜4と強
磁性金属薄膜3との界面、強磁性金属薄膜3と非磁性支
持体2との界面、非磁性支持体2内等に、必要に応じて
公知の手段で防錆剤、帯電防止剤、防カビ剤等の各種添
加剤を存在せしめることができる。
【0040】以下、上述したような磁気記録媒体1の製
造方法について説明する。
【0041】まず、フィルム状の非磁性支持体2を作製
する。非磁性支持体2は、強化材を含有する芳香族ポリ
アミドフィルムからなる。
【0042】芳香族ポリアミドフィルムは、下に示すよ
うな化学式(1)又は化学式(2)、又は化学式(1)
と化学式(2)との共重合体を構成成分として有したポ
リアミド樹脂を溶液成形等の手法によりフィルム状に形
成することにより得られる。
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】上述したような構造を有する芳香族ポリア
ミド樹脂は、芳香族ジアミン類と芳香族ジカルボン酸類
との重合又は結合によって得られる。芳香族ジアミン類
としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェ
ニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、2−ニトロ
−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレ
ンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’
−クロルベンジン等が挙げられる。また、芳香族ジカル
ボン酸類としては、テレフタル酸クロライド、2−クロ
ルテレフタル酸クロライド、テレフタル酸ヒドラジド、
p−アミノ安息香酸ヒドラジド、p−アミノ安息香酸ク
ロライド等が挙げられる。
【0046】なお、この芳香族ポリアミドには、上記化
学式(1)又は化学式(2)で示される成分以外のポリ
マーが共重合されていてもよいし、上記化学式(1)又
は化学式(2)で示される成分以外のポリマーが混合さ
れていてもよい。芳香族ポリアミドに化学式(1)又は
化学式(2)以外のポリマーを共重合又は混合する場合
には、その量は芳香族ポリアミドの約20%以下とす
る。
【0047】芳香族ポリアミドフィルムを作製する際に
は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n
−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、γ
−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ジオキサン等、
又はこれらの混合溶媒、あるいはこれらに重合原液の中
和生成物として塩化リチウム、塩化カルシウム、炭酸リ
チウム、硝酸リチウム等の無機塩を添加した溶媒等が用
いられる。
【0048】そして、芳香族ポリアミドフィルムを作製
する際に使用される溶媒中に強化材を添加することによ
り、芳香族ポリアミドフィルム中に強化材が含有され
る。芳香族ポリアミドフィルム中に強化材を含有させる
ことにより、芳香族ポリアミドフィルムの機械的強度を
大きく向上させることができる。強化材としては、カー
ボンファイバー、ガラスファイバー等が挙げられる。
【0049】強化材は、重合前の溶媒中へ添加してもよ
いし、重合に使用する溶媒全部に分散させるようにして
もよい。また、ポリマー溶液の調整工程中で添加するよ
うにしてもよい。
【0050】また、強化材の含有量としては、100重
量部の芳香族ポリアミドに対して、強化材を5重量部〜
30重量部とすることが好ましい。強化材の含有量を芳
香族ポリアミド100重量部に対して5重量部〜30重
量部とすることで、非磁性支持体2の機械的強度を高め
てカールを改善することができる。
【0051】さらに、芳香族ポリアミドフィルムを作製
する際に用いられる溶媒中に不活性粒子を含有させるこ
とで、芳香族ポリアミドフィルムの表面に微細突起が形
成され、磁気記録媒体1の走行性を向上することができ
る。不活性微粒子は、重合前の溶媒中へ添加してもよい
し、重合に使用する溶媒全部に分散させるようにしても
よい。また、ポリマー溶液の調整工程中で添加するよう
にしてもよい。
【0052】このような不活性微粒子としては、例え
ば、シリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミ
ナ、カオリン、タルク、グラファイト、長石、二酸化モ
リブデン、カーボンブラック、硝酸バリウム等の無機質
系微細粒子、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレー
ト、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレ
ート共重合体の架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、
ベンゾグアナミン樹脂等の有機質系微細粒子等が挙げら
れるが、真球状粒子を得やすいコロイダルシリカ、架橋
高分子による粒子を用いることが好ましい。
【0053】また、芳香族ポリアミドフィルム中へ不活
性微粒子を含有させる代わりに、上述したような不活性
微粒子を水溶性高分子中に分散させてなる塗料を、芳香
族ポリアミドフィルムの強磁性金属薄膜3が形成される
主面にコーティングすることにより、芳香族ポリアミド
フィルムの表面に微細突起を形成してもよい。このと
き、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ト
ラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、ポリエステル等が挙げられる。
【0054】以上のようにして得られた芳香族ポリアミ
ドフィルムを長さ方向及び幅方向に延伸し、所望の厚さ
の非磁性支持体2を得る。
【0055】次に、この非磁性支持体2を図4に示すよ
うな連続巻き取り式の真空蒸着装置内に設置して、非磁
性支持体2の一方の主面上に強磁性金属薄膜3を形成す
る。図4は、連続巻き取り式の真空蒸着装置の概略構成
図である。
【0056】この真空蒸着装置10は、斜方蒸着用とし
て用いられ、内部が例えば約10-3Pa程度の真空状態
とされた真空室11内に、例えば、―20℃程度に冷却
され図4中矢印A方向に回転する冷却キャン12と、こ
の冷却キャン12と対向する位置に配された金属薄膜用
の蒸着源13とを備える。この蒸着源13は、坩堝等の
容器に強磁性金属材料が収容されたものである。
【0057】また、この真空蒸着装置10は、図4に示
すように、回転自在とされた供給軸22に非磁性支持体
2ロール16が装着されるとともに、図示しない駆動源
により回転駆動される巻き取り軸23に磁気テープロー
ル17が装着され、非磁性支持体2を冷却キャン12を
介して連続して走行させる。
【0058】このような構成の真空蒸着装置10を用い
て強磁性金属薄膜3を形成する際には、先ず、この蒸着
源13内の強磁性金属材料に対して、電子ビーム発生源
14から加速出射された電子ビーム15を照射して、こ
の強磁性金属材料を加熱蒸発させる。
【0059】そして、この加熱蒸発された強磁性金属材
料が、供給軸22に装着された非磁性支持体2ロール1
6から図4中矢印B方向に繰り出されて冷却キャン12
の周面に沿って走行する非磁性支持体2上に蒸着される
ことにより、強磁性金属薄膜3が形成される。最終的
に、強磁性金属薄膜3が形成された非磁性支持体2は、
巻取り軸23に装着された磁気テープロール17に巻き
取られる。
【0060】このとき、蒸着源13と冷却キャン12と
の間には防着板18を設け、この防着板18にシャッタ
19を位置調整可能に設けて、非磁性支持体2に対して
所定の角度で入射する蒸着粒子のみを通過させる。この
ような斜方蒸着法によって強磁性金属薄膜3が形成され
る。
【0061】さらに、このようにして強磁性金属薄膜3
を形成するに際し、図示しない酸素ガス導入口を介して
非磁性支持体2の表面近傍に酸素ガスが導入されている
ことが好ましい。酸素ガスを導入することで、金属磁性
薄膜3の磁気特性、耐久性及び耐候性を向上することが
できる。
【0062】なお、非磁性支持体2ロール16と冷却キ
ャン12との間、及び冷却キャン12と磁気テープロー
ル17との間にはそれぞれガイドローラー20、21が
配置され、走行する非磁性支持体2に所定のテンション
をかけ、非磁性支持体2が円滑に走行するようになされ
ている。
【0063】また、蒸着源13を加熱するためには、上
述のような電子ビームによる加熱手段の他に、例えば、
抵抗加熱手段、高周波加熱手段、レーザ加熱手段等の公
知の手段を使用しても良い。
【0064】以上は、斜方蒸着法により強磁性金属薄膜
3を形成する例について説明したが、強磁性金属薄膜3
を形成する方法としては、この例の他に垂直蒸着法やス
パッタリング法等の公知の薄膜形成法が適用できる。
【0065】ここで、強磁性金属薄膜3の形成時に導入
された酸素ガスにより、強磁性金属薄膜3の表面近傍に
は酸化膜が存在している。この酸化膜は非磁性であるた
め、スペーシングロスの原因となる。そこで、次に、強
磁性金属薄膜3の表面に存在する酸化膜をエッチングに
より除去する。
【0066】強磁性金属薄膜3を形成した後にエッチン
グを行うと、この強磁性金属薄膜3の表面に存在する表
面酸化層がエッチングされて除去されるとともに、強磁
性金属薄膜3が所望の膜厚になるまで薄膜化される。従
って、非磁性である酸化膜が除去されることによりスペ
ーシングロスを抑制することができる。
【0067】エッチング方法としては、特に限定される
ものではなく、例えば、逆スパッタ法、イオンエッチン
グ法、ECRプラズマエッチング法等、いずれも有効で
ある。これらいずれの方法を用いる場合においても、エ
ッチング時の条件はArガス雰囲気下で、圧力を3×1
-3Torr程度とすることが好ましい。
【0068】次に、強磁性金属薄膜3上に保護膜4を形
成する。強磁性金属薄膜3上に保護膜4を形成すること
で、強磁性金属薄膜3の摩耗を防止することができる。
保護膜4を形成するには、図5に示すようなマグネトロ
ンスパッタ装置30を用いて、強磁性金属薄膜3上にカ
ーボンを被着させる。
【0069】このマグネトロンスパッタ装置30は、チ
ャンバ31内が真空ポンプ32にて例えば約10-4Pa
程度にまで減圧された後、真空ポンプ32側へ排気する
バルブ33の角度を絞ることにより、排気速度を落とす
とともに、ガス導入管34からArガスを導入して、真
空度が例えば約0.8Paとされる。また、マグネトロ
ンスパッタ装置30は、チャンバ31内に、例えば、−
40℃に冷却され図中矢印C方向に回転する冷却キャン
35と、この冷却キャン35と対向配置されるターゲッ
ト36とがそれぞれ設けられている。ターゲット36
は、保護膜4の材料となるものであり、例えばカーボン
が用いられる。また、ターゲット36は、カソード電極
を構成するバッキングプレート37に支持されている。
そして、バッキングプレート37の裏側には、磁場を形
成するマグネット38が配設されている。
【0070】また、このマグネトロンスパッタ装置30
は、回転自在とされた供給軸39に強磁性金属薄膜3が
成膜された上述の磁気テープロール17が装着されると
ともに、図示しない駆動源により回転駆動される巻取り
軸41に磁気テープロール42が装着されて、強磁性金
属薄膜3が成膜された非磁性支持体2を冷却キャン35
を介して図中D方向に連続走行させる。
【0071】このマグネトロンスパッタ装置30により
保護膜4を形成する際は、先ず、ガス導入管34からA
rガスを導入するとともに、冷却キャン35をアノー
ド、バッキングプレート37をカソードとして約300
0Vの電圧を印加し、約1.4Aの電流が流れる状態を
保つようにする。
【0072】そして、この電圧の印加により、Arガス
がプラズマ化し、電離されたイオンがターゲット36に
衝突することにより、ターゲット36の原子がはじき出
される。このとき、バッキングプレート37の裏側には
マグネット38が配設されており、ターゲット36の近
傍に磁場が形成されるので、電離されたイオンはターゲ
ット26の近傍に集中されることになる。そして、この
ターゲット36からはじき出された原子は、磁気テープ
ロール17から図5中矢印D方向に繰り出されて冷却キ
ャン35の外周面に沿って走行する非磁性支持体2の強
磁性金属薄膜3上に付着して、保護膜4が形成される。
最終的に、保護膜4が形成された非磁性支持体2は、巻
取り軸41に装着された磁気テープロール42により巻
き取られる。
【0073】このとき、この保護膜4は、スペーシング
ロスを極力抑え、且つ、強磁性金属薄膜3の摩耗防止の
効果を得られるように、その厚さを3nm〜15nm程
度とすることがこのましく、より好ましくは、膜厚を5
nm〜10nm程度とする。
【0074】なお、以上は、保護膜4を形成する方法と
してマグネトロンスパッタによる方法について説明した
が、この方法の他に、イオンビームスパッタやイオンビ
ームプレーティング法、CVD法等の公知の薄膜形成方
法を用いることができる。
【0075】なお、非磁性支持体を作製する際に、芳香
族ポリアミドフィルムを作製する際に用いられる溶媒中
に針状非磁性顔料を添加してもよい。芳香族ポリアミド
フィルムを作製する際に用いられる溶媒中に針状非磁性
顔料を添加することにより、芳香族ポリアミドフィルム
中に針状非磁性顔料を含有させることができる。芳香族
ポリアミドフィルム中に針状非磁性顔料を含有させるこ
とにより、芳香族ポリアミドフィルムの機械的強度を大
きく向上させることができる。針状非磁性顔料として
は、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、ヘマタイ
トあるいはゲータイト等が挙げられる。
【0076】針状非磁性顔料は、芳香族ポリアミド樹脂
の重合前の溶媒中へ添加してもよいし、重合に使用する
溶媒全部に分散させるようにしてもよい。また、ポリマ
ー溶液の調整工程中で添加するようにしてもよい。
【0077】また、針状非磁性顔料の含有量としては、
100重量部の芳香族ポリアミドに対して、針状非磁性
顔料を5重量部〜30重量部とすることが好ましい。針
状非磁性顔料の含有量を芳香族ポリアミド100重量部
に対して5重量部〜30重量部とすることで、非磁性支
持体2の機械的強度を高めてカールを改善することがで
きる。
【0078】また、この磁気記録媒体1は、非磁性支持
体2の強磁性金属薄膜3が形成された面とは反対側の面
にバックコート層5を形成してもよい。バックコート層
5を形成することで、磁気記録媒体1の走行性が良好に
なる。このバックコート層5は、例えば、カーボン、炭
酸カルシウム等の非磁性顔料が、ポリウレタン、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体等の結合剤に分散されてな
る。
【0079】なお、磁気記録媒体1は、保護膜4の表面
に潤滑剤を存在せしめることが好ましい。潤滑剤を存在
せしめることで、非磁性支持体2表面の微細突起の形状
に基づく走行性改善効果をさらに高めることができる。
【0080】さらに、この磁気記録媒体1は、その表
面、保護膜4、強磁性金属薄膜3の空隙、保護膜4と強
磁性金属薄膜3との界面、強磁性金属薄膜3と非磁性支
持体2との界面、非磁性支持体2内等に、必要に応じて
公知の手段で防錆剤、帯電防止剤、防カビ剤等の各種添
加剤を存在せしめることができる。
【0081】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0082】強化材を含有する芳香族ポリアミドフィル
ムについての実験 以下に示す実施例1〜実施例6では、強化材を含有する
芳香族ポリアミドフィルムからなる非磁性支持体を用い
て磁気テープを作製し、強化材を含有しない非磁性支持
体を用いて作製した比較例1の磁気テープと比較した。
【0083】〈実施例1〉まず、脱水したn−メチルピ
ロリドンと、0.9mol比に相当する2−クロル−p
−フェニレンジアミンと、0.1mol比に相当する
4,4−ジアミノジフェニルスルホンとを攪拌溶解させ
て冷却し、この中へ0.7mol比に相当するテレフタ
ル酸クロライドを添加して約2時間攪拌した。さらに水
酸化カルシウムを添加、攪拌して芳香族ポリアミド溶液
を作製した。ここで、各化合物のmol比は、n−メチ
ルピロリドンを1としたときのmol比である。さら
に、上記芳香族ポリアミド溶液100重量部に対して5
重量部の強化材を添加して十分に分散させた。ここで、
強化材にはカーボンファイバーを用いた。
【0084】次に、強化材を添加した芳香族ポリアミド
溶液を、表面研磨した金属ドラム上へ30℃で均一に流
延し、120℃の雰囲気下で約10分間乾燥して芳香族
ポリアミドフィルムとした。この芳香族ポリアミドフィ
ルムをドラムから剥離し、30℃の水槽中に連続的に約
30分間浸漬しながら、長さ方向に1.1倍に延伸し
た。さらにこのフィルムをテンターに導入して320℃
で長さ方向に1.4倍に延伸して、厚さ約3.5μmの
非磁性支持体を得た。
【0085】この非磁性支持体の表面に、粒径15nm
程度のSiO2を含有する水性溶液を塗布して乾燥させ
ることにより、高分子膜を形成した。
【0086】次に、図4に示すような連続巻き取り式の
蒸着装置をその内部が10-3Pa程度の真空状態となる
ように排気し、上述したように高分子膜が形成された非
磁性支持体をこの蒸着装置にセットした。そして、連続
斜方蒸着法により、微量の酸素存在下において、この非
磁性支持体の表面にCoからなる強磁性金属薄膜を形成
した。このとき、蒸着の入射角は、非磁性支持体の法線
方向が90度〜45度までであり、非磁性支持体の走行
速度が50m/分で、強磁性金属薄膜の厚さが0.18
μmとなるように、電子ビームの強さを調節して作製し
た。
【0087】次に、強磁性金属薄膜上に形成された表面
酸化層をArガス雰囲気下でECRプラズマエッチング
して約5nmまで表面酸化層を薄膜化させた。このと
き、圧力は0.4Pa程度とし、投入パワーは300k
Wとした。
【0088】次に、図5に示すようなマグネトロンスパ
ッタリング装置をその内部が10-4Pa程度になるまで
まで減圧した後、Arガスを導入し、0.8Pa程度に
した。そして、このマグネトロンスパッタリング装置に
強磁性金属薄膜が形成された非磁性支持体をセッティン
グし、約―40℃に冷却した冷却キャン上を5m/分の
速度で走行させて強磁性金属薄膜上にカーボンからなる
保護膜を形成した。
【0089】次に、非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形
成された面と反対側の面にカーボン及びウレタンバイン
ダーからなる厚み0.5μmのバックコート層を形成
し、ついで、保護膜上に潤滑剤としてパーフルオロポリ
エーテルを塗布し、8mm幅のテープ状に裁断し、カセ
ットに収納してサンプルテープとした。
【0090】〈実施例2〉強化材の含有量を、芳香族ポ
リアミド100重量部に対して10重量部としたこと以
外は、実施例1と同様にしてサンプルテープを作製し
た。
【0091】〈実施例3〉強化材の含有量を、芳香族ポ
リアミド100重量部に対して15重量部としたこと以
外は、実施例1と同様にしてサンプルテープを作製し
た。
【0092】〈実施例4〉強化材の含有量を、芳香族ポ
リアミド100重量部に対して20重量部としたこと以
外は、実施例1と同様にしてサンプルテープを作製し
た。
【0093】〈実施例5〉強化材の含有量を、芳香族ポ
リアミド100重量部に対して30重量部としたこと以
外は、実施例1と同様にしてサンプルテープを作製し
た。
【0094】〈実施例6〉強化材の含有量を、芳香族ポ
リアミド100重量部に対して50重量部としたこと以
外は、実施例1と同様にしてサンプルテープを作製し
た。
【0095】〈比較例1〉強化材を含有させなかったこ
と以外は、実施例1と同様にしてサンプルテープを作製
した。
【0096】以上のようにして作製されたサンプルテー
プに対して、エラーレート、ドロップアウト、ヘッドと
の当たり特性、カール度についての特性評価を行った。
なお、これらの特性評価は、ソニー製のAITドライブ
SDX−S300Cを改造したものを用いて行った。記
録は、相対速度10.04m/sec、最短記録波長
0.35μmで行った。
【0097】エラーレートは、走行耐久性として170
m長を100パス走行させ、1パス走行後のブロックエ
ラーレート及び100パス走行後のブロックエラーレー
トを測定した。
【0098】ドロップアウトは、1μsec以上のドロ
ップアウトの発生回数を10分間測定した。
【0099】ヘッドとの当たり特性は、テープ再生時の
出力信号(当たり波形)を1トラック分でみた場合の出
力信号の最小値と最大値との比最小値/最大値を%で測
定した。
【0100】カール度は、サンプルテープの幅Lと、サ
ンプルテープを平面板上に置いた場合の平面板表面から
のサンプルテープの最大高さHとを測定し、その比H/
Lでカール度を測定した。また、強磁性金属薄膜が形成
された側の面が凹にカールする場合をプラスで、強磁性
金属薄膜が形成された側の面が凸にカールする場合をマ
イナスで表示した。ここで、一般的に、カールがマイナ
スになるほどヘッドとの当たりが悪くなる傾向がある。
【0101】実施例1〜実施例6及び比較例1のサンプ
ルテープについての特性評価結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体に
強化材を含有させなかった比較例のサンプルテープで
は、カール度がプラスに大きく、ヘッド当たりも悪い。
また、ブロックエラーレート、ドロップアウトも悪い。
一方、芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体に強化材
を含有させた実施例1〜実施例6では、カール度が小さ
く、ヘッド当たりも良好になっている。また、ブロック
エラーレート、ドロップアウトも少なく、良好な特性が
得られている。
【0104】従って、非磁性支持体として、強化材を含
有する芳香族ポリアミドフィルムを用いることで、非磁
性支持体の機械的強度を増強させ、カールを抑制するこ
とができることがわかった。その中でも、強化材の含有
量をポリアミド100重量部に対して5重量部〜30重
量部とした実施例1〜実施例5では、特に良好な結果が
得られた。
【0105】針状非磁性顔料を含有する芳香族ポリアミ
ドフィルムについての実験 また、以下に示す実施例7〜実施例12では、針状非磁
性顔料を含有する芳香族ポリアミドフィルムからなる非
磁性支持体を用いて磁気テープを作製し、針状非磁性顔
料を含有しない非磁性支持体を用いて作製した比較例2
の磁気テープと比較した。
【0106】〈実施例7〉芳香族ポリアミドフィルムか
らなる非磁性支持体を作製する際に、芳香族ポリアミド
100重量部に対して5重量部の針状非磁性顔料を含有
させたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルテー
プを作製した。ここで、針状非磁性顔料としては、長軸
長が0.8μm、アスペクト比が20の酸化チタンを用
いた。
【0107】〈実施例8〉針状非磁性顔料の含有量を、
芳香族ポリアミド100重量部に対して10重量部とし
たこと以外は、実施例7と同様にしてサンプルテープを
作製した。
【0108】〈実施例9〉針状非磁性顔料の含有量を、
芳香族ポリアミド100重量部に対して15重量部とし
たこと以外は、実施例7と同様にしてサンプルテープを
作製した。
【0109】〈実施例10〉針状非磁性顔料の含有量
を、芳香族ポリアミド100重量部に対して20重量部
としたこと以外は、実施例7と同様にしてサンプルテー
プを作製した。
【0110】〈実施例11〉針状非磁性顔料の含有量
を、芳香族ポリアミド100重量部に対して30重量部
としたこと以外は、実施例7と同様にしてサンプルテー
プを作製した。
【0111】〈実施例12〉針状非磁性顔料の含有量
を、芳香族ポリアミド100重量部に対して50重量部
としたこと以外は、実施例7と同様にしてサンプルテー
プを作製した。
【0112】〈比較例2〉非磁性支持体に針状非磁性顔
料を含有させなかったこと以外は、実施例7と同様にし
てサンプルテープを作製した。
【0113】以上のようにして作製されたサンプルテー
プに対して、エラーレート、ドロップアウト、ヘッドと
の当たり特性、カール度についての特性評価を行った。
なお、これらの特性評価は実施例1〜実施例6及び比較
例1のサンプルテープについて行った特性評価と同様に
して行った。実施例7〜実施例12及び比較例2のサン
プルテープについての特性評価結果を表2に示す。
【0114】
【表2】
【0115】芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体に
針状非磁性顔料を含有させなかった比較例2のサンプル
テープでは、カール度がプラスに大きく、ヘッド当たり
も悪い。また、ブロックエラーレート、ドロップアウト
も悪い。一方、芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体
に針状非磁性顔料を含有させた実施例7〜実施例12で
は、カール度が小さく、ヘッド当たりも良好になってい
る。また、ブロックエラーレート、ドロップアウトも少
なく、良好な特性が得られている。
【0116】従って、非磁性支持体として、針状非磁性
顔料を含有する芳香族ポリアミドフィルムを用いること
で、非磁性支持体の機械的強度を増強させ、カールを抑
制することができることがわかった。その中でも、針状
非磁性顔料の含有量をポリアミド100重量部に対して
5重量部〜30重量部とした実施例7〜実施例11で
は、特に良好な結果が得られた。
【0117】
【発明の効果】本発明に係る磁気記録媒体の製造方法で
は、芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体中に強化材
を添加することにより、非磁性支持体の機械的強度を増
強させ、非磁性支持体の厚みを薄くしてもカールを小さ
くすることができ、カールに起因する様々な問題を解決
することができる。また、本発明に係る磁気記録媒体の
製造方法では、強磁性金属薄膜の表面酸化層をエッチン
グにより除去しているので、スペーシングロスを少なく
し、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ることがで
きる。
【0118】また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法では、芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体中に針
状非磁性顔料を添加することにより、非磁性支持体の機
械的強度を増強させ、非磁性支持体の厚みを薄くしても
カールを小さくすることができ、カールに起因する様々
な問題を解決することができる。また、本発明に係る磁
気記録媒体の製造方法では、強磁性金属薄膜の表面酸化
層をエッチングにより除去しているので、スペーシング
ロスを少なくし、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の一構成例を示す断
面図である。
【図2】本発明に係る磁気記録媒体の一構成例を示す断
面図である。
【図3】本発明に係る磁気記録媒体の一構成例を示す断
面図である。
【図4】強磁性金属薄膜を形成する真空蒸着装置の一例
を示す概略構成図である。
【図5】保護膜を形成するマグネトロンスパッタ装置の
一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】 1 磁気記録媒体、 2 非磁性支持体、 3 強磁性
金属薄膜、 4 保護膜、 5 バックコート層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化材を含有する芳香族ポリアミドから
    なる非磁性支持体を作製する非磁性支持体作製工程と、 上記非磁性支持体作製工程で作製された上記非磁性支持
    体上に磁性層となる強磁性金属薄膜を真空蒸着法により
    形成する強磁性金属薄膜形成工程と、 上記強磁性金属薄膜形成工程で形成された上記強磁性金
    属薄膜の一部をエッチングするエッチング工程とを備え
    ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記非磁性支持体作製工程において、上
    記非磁性支持体の厚みを1.0μm〜5.0μmとする
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 上記非磁性支持体作製工程において、1
    00重量部の芳香族ポリアミドに対して5重量部〜30
    重量部の強化材を含有させることを特徴とする請求項1
    記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記非磁性支持体作製工程において、上
    記強化材がカーボンファイバーであることを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記非磁性支持体作製工程において、上
    記強化材がガラスファイバーであることを特徴とする請
    求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 針状非磁性顔料を含有する芳香族ポリア
    ミドからなる非磁性支持体を作製する非磁性支持体作製
    工程と、 上記非磁性支持体作製工程で作製された上記非磁性支持
    体上に磁性層となる強磁性金属薄膜を真空蒸着法により
    形成する強磁性金属薄膜形成工程と、 上記強磁性金属薄膜形成工程で形成された上記強磁性金
    属薄膜の一部をエッチングするエッチング工程とを備え
    ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記非磁性支持体作製工程において、上
    記非磁性支持体の厚みを1.0μm〜5.0μmとする
    ことを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 上記非磁性支持体作製工程において、芳
    香族ポリアミド100重量部に対して5重量部〜30重
    量部の針状非磁性顔料を含有させることを特徴とする請
    求項6記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記非磁性支持体作製工程において、上
    記針状非磁性顔料の長軸と短軸との比が10以上である
    ことを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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