JPH10293916A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH10293916A
JPH10293916A JP10051097A JP10051097A JPH10293916A JP H10293916 A JPH10293916 A JP H10293916A JP 10051097 A JP10051097 A JP 10051097A JP 10051097 A JP10051097 A JP 10051097A JP H10293916 A JPH10293916 A JP H10293916A
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JP
Japan
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magnetic
thin film
recording medium
projections
magnetic recording
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Withdrawn
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JP10051097A
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English (en)
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Satoshi Sato
諭 佐藤
Shinichi Matsumura
伸一 松村
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非磁性支持体の厚みを薄くするとともにその
表面形状を制御して、磁性層表面の微細形状を最適な状
態とし、良好な電磁変換特性と耐久性とを兼ね備えた金
属薄膜型の磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体が、強磁性金属薄膜が形成
される表面に突起が形成された芳香族ポリアミドフィル
ムからなり、その突起のうち高さが10〜40nmの範
囲内にある突起が、下式を満足するようにする。ただ
し、Hは突起高さ(nm)、Yは突起頻度(万個/mm
2 )を示す。 (式)23―15log(H)<Y<2900―178
0log(H)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性金属薄膜を
用いた磁気記録媒体に関し、特に長時間記録用のビデオ
テープ、あるいは大容量のテープストリーマーとして用
いて好適な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄、コバルト、ニッケルまたはそれらを
主成分とする合金、あるいは酸化物薄膜を真空蒸着、ス
パッタリング、イオンプレーティング等の真空中成膜法
で非磁性支持体上に成膜してなる金属磁性薄膜型磁気記
録媒体は、従来の塗布型磁気記録媒体に比べて記録密度
を飛躍的に向上せしめることが可能である。
【0003】この金属磁性薄膜型磁気記録媒体は、記録
密度の向上、すなわち高密度化を図るためには、その表
面をある程度平滑化してスペーシングロスを極力減少さ
せる必要がある。
【0004】しかし、この金属磁性薄膜型磁気記録媒体
は、その表面をあまり平滑にしすぎると、磁性面の滑り
性が悪く、磁気ヘッドとの摩擦により磁性層が削れて耐
久性が低下するとともに、電磁変換特性の劣化等を引き
起こすようになる。
【0005】したがって、金属磁性薄膜型磁気記録媒体
は、その表面の微細形状を制御することにより、適切な
表面性を確保する必要がある。
【0006】ところで、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
は、磁性層の厚さが0.01〜0.5μm程度と非常に
薄く、また、磁性層に有機高分子系の結合剤を用いてい
ないため、その表面形状が非磁性支持体の表面形状に依
存する度合いが大きい。
【0007】したがって、例えば特公昭60―5183
号公報のように、非磁性支持体表面に微細なしわ状の突
起あるいは周期の大きな山状の突起を形成させる等のよ
うに、非磁性支持体の表面性に関し、耐久性の改善を目
的として表面粗度の付与が行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
特公昭60―5183号公報のように、非磁性支持体表
面に微細なしわ状の突起あるいは周期の大きな山状の突
起を形成しただけでは、これらの突起の先端部の曲率半
径が大きく、その形状が偏平になるため、この上に金属
磁性薄膜を形成した磁気記録媒体では耐久性が十分では
なく、電磁変換特性の劣化がみられる。電磁変換特性の
劣化が極端な場合には、データ用磁気テープでは、エラ
ーレートの増加へとつながる。
【0009】また、特公昭58―68227号公報のよ
うに、微細なしわ状の突起あるいは周期の大きな山状突
起に不活性粒子からなる微細表面突起を形成した場合
は、この不活性粒子の凝集等により生じる粗大な突起に
起因して、記録抜けの増加やスペーシングロスや磁気ヘ
ッドの偏摩耗による電磁変換特性の劣化が生じ、これら
はデータ用磁気テープではエラーレートの原因となりう
る。
【0010】一方、電磁変換特性が劣化しない程度に不
活性粒子を小さくして微細突起を低くしたり、不活性粒
子の添加量を少なくして微細突起の頻度を小さくする
と、耐久性に対して十分な効果が得られなくなる等の傾
向がある。
【0011】また、近年、記録信号のデジタル化にとも
なって、磁気ヘッドと磁気テープとの間の相対速度の増
大化や、記録時間の長時間化、情報量の増大化が求めら
れており、磁気記録媒体の厚みを薄くし、ケース本体に
磁気記録媒体をより長く収納することが要求されてい
る。このためには、磁性層の厚みを薄くするとともに、
非磁性支持体の厚みを薄くすることが求められている。
【0012】本発明は、以上ような技術的背景に基づい
て創案されたものであり、非磁性支持体の厚みを薄くす
るとともにその表面形状を制御して、磁性層表面の微細
形状を最適な状態とし、良好な電磁変換特性と耐久性と
を兼ね備えた金属薄膜型の磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
課題に対し鋭意検討を重ねた結果、非磁性支持体上に金
属磁性薄膜からなる磁性層が形成されてなる金属薄膜型
の磁気記録媒体において、表面に突起が形成された芳香
族ポリアミドフィルムを非磁性支持体とし、その表面突
起の高さと頻度の関係を特定することにより、良好な電
磁変換特性と耐久性とを両立させた厚みの薄い金属薄膜
型の磁気記録媒体が得られることを見出した。
【0014】本発明に係る磁気記録媒体は、このような
知見に基づいて創案されたものであり、金属薄膜型の磁
気記録媒体において、非磁性支持体が、強磁性金属薄膜
が形成される表面に突起が形成された芳香族ポリアミド
フィルムからなり、その突起のうち高さが10〜40n
mの範囲内にある突起が、 23―15log(H)<Y<2900―1780lo
g(H) ただし、Hは突起高さ(nm)、Yは突起頻度(万個/
mm2 )を示す、を満足することを特徴としている。
【0015】なお、この突起高さは、Digital
Instruments社製の原子間顕微鏡(AFM)
を用いて、スキャンサイズ10μm×10μmの視野中
で観察された突起の中心面からの高さである。
【0016】この磁気記録媒体は、非磁性支持体の表面
形状がこのように制御されることにより、良好な電磁変
換特性と耐久性とを両立させることができる。
【0017】また、この磁気記録媒体は、非磁性支持体
として高強度の芳香族ポリアミドフィルムを用いること
により、その厚みを薄くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0019】本発明に係る磁気記録媒体は、芳香族ポリ
アミドフィルムからなる非磁性支持体上に強磁性の金属
薄膜が成膜されてなる。
【0020】この磁気記録媒体の非磁性支持体に用いら
れる芳香族ポリアミドフィルムとして、特に好ましいの
は下記の化学式(I)または(II)またはこれらの共
重合体を有したポリアミド樹脂を用いて成膜したもので
ある。
【0021】
【化1】
【0022】なお、この芳香族ポリアミドには約20%
以下の量であれば上記の成分以外のポリマーが共重合ま
たはブレンドされていてもよい。
【0023】上述の芳香族ポリアミドの中で特に好まし
いのは、ポリ(p―フェニレンテレフタルアミド)また
はポリ(p―ベンズアミド)である。
【0024】これらの重合体からフィルムを製造する場
合には、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド、n―メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、γ―ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ジオキサ
ン等、またはこれらの混合溶媒、あるいはこれらに重合
原液の中和生成物として塩化リチウム、塩化カルシウ
ム、炭酸リチウム、硝酸リチウム等の無機塩を添加した
溶媒が使用される。
【0025】このような成膜用溶媒を使用して、p―フ
ェニレンジアミン、m―フェニレンジアミン、o―フェ
ニレンジアミン、2―ニトロ―p―フェニレンジアミ
ン、2―クロル―p―フェニレンジアミン、4,4’―
ジアミノビフェニル、3,3’―クロルベンジジン等の
芳香族ジアミン類及びテレフタル酸クロライド、2―ク
ロルテレフタル酸クロライド、テレフタル酸ヒドラジ
ド、p―アミノ安息香酸ヒドラジド、p―アミノ安息香
酸クロライド等の芳香族ジカルボン酸類の重合あるいは
結合によって得た芳香族ポリアミド樹脂を溶融成形ある
いは溶液成形して芳香族ポリアミドフィルムを得る。
【0026】以上のようにして得られた芳香族ポリアミ
ドフィルムを長さ方向及び幅方向に延伸し、厚さが2.
0〜6.0μmの非磁性支持体とする。非磁性支持体
は、厚みをこの程度にすることにより、必要な強度が得
られるとともに、磁気記録媒体の厚みを薄くして、長時
間記録化に対応させることができる。
【0027】また、この非磁性支持体は、その強磁性金
属薄膜が成膜される面に突起を有し、高さが10〜40
nmの範囲内にある突起が、以下の条件を満足するよう
にその表面形状が制御される。
【0028】23―15log(H)<Y<2900―
1780log(H) ただし、Hは突起高さ(nm)、Yは突起頻度(万個/
mm2 )を示す。
【0029】なお、この突起高さは、Digital
Instruments社製の原子間顕微鏡(AFM)
を用いて、スキャンサイズ10μm×10μmの視野中
で観察された突起の中心面からの高さである。
【0030】突起頻度Yの値が23―15log(H)
未満であると、磁性面の表面が平滑になりすぎ、滑り性
が悪くなって耐久性が劣化する。また、突起頻度Yの値
が2900―1780log(H)を超えると、磁性面
の粗さが大きくなりすぎ、スペーシングロスが増大する
とともに磁気ヘッドが偏摩耗し、電磁変換特性の低下や
エラーレートの増加を招いてしまう。
【0031】本実施の形態に係る磁気記録媒体は、非磁
性支持体の強磁性金属薄膜が成膜される面の突起の分布
を上述した範囲に限定することにより、電磁変換特性が
高められるとともに耐久性を向上させ、この結果、エラ
ーレートを減少させることができる。
【0032】この突起を形成する方法としては、例えば
上述した芳香族ポリアミドフィルム中へ不活性微粒子を
添加する方法や、非磁性支持体上に、不活性微粒子を含
有した高分子被膜を設けることによって形成する方法、
またはこれらを組み合わせた方法等が上げられる。
【0033】なお、突起を形成する方法としては、この
ように微細粒子を添加する方法によらなくても、非磁性
支持体や高分子被膜の表面形状が、微細粒子を添加した
ものと同様の形状となる方法であればよく、上述の方法
に限定されるものではない。
【0034】突起の核となる不活性微粒子としては、例
えば、シリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミ
ナ、カオリン、タルク、グラファイト、長石、二酸化モ
リブデン、カーボンブラック、硝酸バリウム等の無機質
系微細粒子、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレー
ト、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレ
ート共重合体の架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、
ベンゾグアナミン樹脂等の如き有機質系微細粒子等が挙
げられるが、真球状粒子を得やすい、コロイダルシリ
カ、架橋高分子による粒子を用いることが好ましい。
【0035】これらの不活性微粒子を、上述した芳香族
ポリアミドフィルム中に添加する場合は、重合前の溶媒
中へ添加し、または、重合に使用する溶媒全部に分散さ
れようにしてもよく、さらには、ポリマー溶液の調整工
程中で添加するようにしてもよい。
【0036】不活性微粒子をこのように添加するように
すれば、必要最小限の量の不活性粒子を非磁性支持体原
料中に含有させ、この段階で十分に混合、分散させるこ
とができ、非磁性支持体の表面形状の制御がしやすく、
上述した表面形状の磁気記録媒体を容易に製造すること
ができる。
【0037】また、これらの不活性微粒子を高分子被膜
中に含有させて突起を形成する場合は、例えば、不活性
微粒子を含む水溶性高分子を主体とした組成物を、上述
した芳香族ポリアミドフィルムの強磁性金属磁性膜が成
膜される主面にコーティングする。これにより、非磁性
支持体の強磁性金属磁性膜が成膜される主面に微細突起
が形成されることになる。
【0038】このとき、水溶性高分子としては、ポリビ
ニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチ
ン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ポリエステル等が適用さ
れる。
【0039】また、非磁性支持体中に平均粒径0.03
〜0.15μmの不活性粒子を添加し、非磁性支持体の
強磁性金属薄膜が成膜される面に、突起が103 〜10
5 個/mm2 の頻度で形成されるようにすることが望ま
しい。
【0040】また、非磁性支持体は、そのハンドリング
性を良好なものにするために、例えば、芳香族ポリアミ
ドフィルムを2層に重ねた2層構造とし、強磁性金属薄
膜を形成しない面の表面粗さRaを0.005〜0.0
25μm、好ましくは0.010〜0.020μmとす
ることが望ましい。
【0041】この非磁性支持体の強磁性金属薄膜を形成
しない面の表面粗さの調整は、フィルム中に添加する不
活性微粒子の粒径、添加量を調節することにより行う。
【0042】以上ように形成される非磁性支持体の主面
上に、図1に示すような連続巻き取り式の真空蒸着装置
等を用いて強磁性金属薄膜を形成する。
【0043】この真空蒸着装置1は、いわゆる斜方蒸着
用として構成され、内部が例えば約10―3Pa程度の
真空状態とされた真空室2内に、例えば―20℃程度に
冷却され、図中の反時計回り方向(矢印A方向)に回転
する冷却キャン3と対向するように強磁性金属薄膜用の
蒸着源4が配置されている。
【0044】蒸着源4は坩堝等の容器にCo等の強磁性
金属材料が収容されたものであり、この蒸着源4(強磁
性金属材料)に対し、電子ビーム発生源5から電子ビー
ム6を加速照射して強磁性金属材料を加熱、蒸発させ、
これを図中の反時計回り方向に回転する供給ロール8か
ら図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キャン3の周面
に沿って走行する非磁性支持体7上に付着(蒸着)させ
ることによって強磁性金属薄膜を形成する。そして、強
磁性金属薄膜が形成された非磁性支持体7は、巻取りロ
ール9に巻き取られる。
【0045】このとき、蒸着源4と冷却キャン3との間
には防着板10を設け、この防着板10にシャッタ11
を位置調整可能に設けて、非磁性支持体7に対して所定
の角度で入射する蒸着粒子のみを通過させる。こうして
斜め蒸着法によって金属磁性薄膜が形成されるようにな
されている。
【0046】なお、供給ロール8と冷却キャン3との
間、及び冷却キャン3と巻取りロール9との間にはそれ
ぞれガイドローラー12、13が配置され、供給ロール
8から冷却キャン3、及びこの冷却キャン3から巻取り
ロール9に従って走行する非磁性支持体7に所定のテン
ションをかけ、非磁性支持体7が円滑に走行するように
なされている。
【0047】さらに、このような金属磁性薄膜の蒸着に
際し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持体
7の表面に酸素ガスが供給され、これによって金属磁性
薄膜の磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られてい
る。また、蒸着源を加熱するためには、上述のような電
子ビームによる加熱手段の他、例えば、抵抗加熱手段、
高周波加熱手段、レーザ加熱手段等の公知の手段を使用
できる。
【0048】以上は、斜め蒸着法によりCoからなる強
磁性金属薄膜を形成する例について説明したが、強磁性
金属薄膜を形成する方法としては、この例の他に垂直蒸
着法やスパッタリング法等の公知の薄膜形成法が適用で
き、また、強磁性金属薄膜の材料としては、Coの他に
Ni、Fe等やこれらの合金が使用できる。ただし、非
磁性支持体との付着強度改善、あるいは強磁性金属薄膜
自体の耐食性、耐摩耗性改善等の目的から、蒸着時の雰
囲気を酸素ガスが支配的となる雰囲気としたとき得られ
る酸素を含む強磁性金属薄膜を使用することが望まし
い。また、強磁性金属薄膜の厚さは、0.01〜0.2
μm程度、好ましくは、0.1〜0.2μm程度であ
る。
【0049】また、この磁気記録媒体は、強磁性金属薄
膜の摩耗を防止するため、強磁性金属薄膜上に、図2に
示すようなマグネトロンスパッタ装置20等を用いて、
カーボン保護膜を形成することが望ましい。
【0050】このマグネトロンスパッタ装置20は、外
側がチャンバ21にて覆われている。そして、チャンバ
21内は、真空ポンプ22にて約10―4Paまで減圧
された後、真空ポンプ22側へ廃棄するバルブ23の角
度を全開状態から10度まで絞ることにより排気速度を
落とし、ガス導入管24からArガスを導入して、真空
度が約0.8Paとされる。
【0051】マグネトロンスパッタ装置20は、このチ
ャンバ21内に、例えば―40℃程度に冷却され、図中
の反時計回り方向(矢印A方向)に回転する冷却キャン
25と、この冷却キャン25と対向配置されるターゲッ
ト26とがそれぞれ設けられている。
【0052】ターゲット26は、カーボン保護膜の材料
となるものであり、カソード電極を構成するバッキング
プレート27に支持されている。そして、バッキングプ
レート27の裏側には、磁場を形成するマグネット28
が配設されている。
【0053】このマグネトロンスパッタ装置20により
カーボン保護膜を形成する際は、ガス導入管24からA
rガスを導入するとともに、冷却キャン25をアノー
ド、バッキングプレート27をカソードとして3000
Vの電圧を印加し、1.4Aの電流が流れる状態を保つ
ようにする。
【0054】この電圧の印加により、Arガスがプラズ
マ化し、電離されたイオンがターゲット26に衝突する
ことにより、ターゲット26の原子がはじき出される。
このとき、バッキングプレート27の裏側にはマグネッ
ト28が配設されており、ターゲット26の近傍に磁場
が形成されるので、電離されたイオンはターゲット26
の近傍に集中されることになる。
【0055】ターゲット26からはじき出された原子
は、図中の反時計回り方向に回転する供給ロール29か
ら図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キャン25の周
面に沿って走行する強磁性金属薄膜が形成された非磁性
支持体30上に付着し、カーボン保護膜が形成される。
そして、カーボン保護膜が形成された非磁性支持体30
は、巻取りロール31に巻き取られる。
【0056】このカーボン保護膜は、スペーシングロス
を小さくし、かつ、強磁性金属薄膜の摩耗防止の効果を
得ることができるように、その厚さを3〜15nm程
度、特に5〜10nm程度とすることが好ましい。
【0057】以上は、マグネトロンスパッタによりカー
ボン保護膜を形成する例について説明したが、カーボン
保護膜を形成する方法としては、この例の他に、イオン
ビームスパッタやイオンビームプレーティング法、CV
D法等の公知の薄膜形成方法を用いることができる。
【0058】また、この磁気記録媒体は、カーボン保護
膜の表面に滑剤を存在せしめることが望ましい。これに
より、磁気記録媒体は、微細突起の形状に基づく走行性
改善効果をさらに高めることが可能である。
【0059】また、この磁気記録媒体は、その表面、裏
面、またはそれらの近傍あるいはカーボン保護膜、強磁
性金属薄膜内の空隙、カーボン保護膜と強磁性金属薄膜
との界面、強磁性金属薄膜と非磁性支持体との界面、非
磁性支持体内等に、必要に応じて公知の手段で防錆剤、
帯電防止剤、防かび剤等の各種添加剤を存在せしめるこ
とができる。
【0060】また、この磁気記録媒体は、良好な走行性
を確保するために、その裏面にバックコート層を形成す
ることが望ましい。このバックコート層は、公知の如
く、カーボン、炭酸カルシウム等の非磁性顔料をポリウ
レタン、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体等の結合剤に
分散させたものであってもよい。
【0061】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0062】(実施例1)非磁性支持体として、脱水し
たn―メチルピロリドンに1:0.9mol比に相当す
る2―クロル―p―フェニレンジアミンと、1:0.1
mol比に相当する4,4’―ジアミンノジフェニレン
ジアミンとを撹拌溶解させ、冷却した。
【0063】その後、これに十分に生成した水酸化カル
シウムを添加して撹拌混合し、アンモニア水を加えて中
和を完了させた。さらに、これにn―メチルピロリドン
中に分散させた粒径0.05μmのSiO2 を添加し、
芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0064】次に、この芳香族ポリアミド溶液を表面研
磨した金属ドラム上へ30℃の温度で均一に流延し、こ
れを120℃の雰囲気で約10分間の乾燥し、芳香族ポ
リアミドフィルムとした。
【0065】このフィルムをドラムから剥離し、30℃
の水槽中に連続的に約30分間浸漬しながら、長さ方向
に1.1倍に延伸した。さらにこのフィルムをテンター
に導入して320℃で長さ方向に1.3倍に延伸して、
厚さ約4μmの非磁性支持体を得た。
【0066】この非磁性支持体の表面に、粒径15nm
程度のSiO2 を含有する水性塗液を塗布して乾燥させ
ることにより、高分子被膜を形成した。
【0067】次に、図1に示すような連続巻き取り式の
蒸着装置をその内部が10―3Pa程度の真空状態とな
るように排気し、高分子被膜が形成された非磁性支持体
を、この蒸着装置にセッティングした。そして、連続真
空斜め蒸着法により、微量の酸素存在下において、この
非磁性支持体の表面にCoからなる強磁性金属薄膜を形
成した。この時の蒸着条件は次の通りである。
【0068】蒸着条件 真空度:10―3Pa 酸素流量:2L/分 非磁性支持体の送り速度:50m/分 強磁性金属薄膜の膜厚:180nm 次に、図2に示すようなマグネトロンスパッタリング装
置をその内部が10―4Pa程度になるまでまで減圧し
た後、Arガスを導入し、0.8Pa程度にした。そし
て、このマグネトロンスパッタリング装置に強磁性金属
薄膜が形成された非磁性支持体をセッティングし、―4
0℃に冷却した冷却キャン上を5m/分の速度で走行さ
せて強磁性金属薄膜上にカーボン保護膜を形成した。こ
の時のスパッタ条件は次の通りである。
【0069】スパッタ条件 真空度:0.8Pa(Arガス雰囲気中) テープ送り速度:5m/分 カーボン保護膜の膜厚:5nm 次に、強磁性金属薄膜、カーボン保護膜が形成された非
磁性支持体に有機物防錆剤0.1wt溶液をグラビアロ
ールを使用した塗布機にて塗布した。そして、100℃
のドライヤで乾燥した後に、潤滑剤としてパーフルオロ
・ポリエーテル誘導体よりなる有機物を主体とした0.
5wt%溶液をグラビアロールを使用した塗布機にて塗
布し、乾燥させてトップコート層を形成した。
【0070】次に、この非磁性支持体の裏面に、カーボ
ンを主体とし、硬化剤として塩化ビニル系のバインダー
を使用した高分子のバックコート層を膜厚が約0.5μ
mとなるように形成し、磁気記録媒体原反を得た。そし
て、この磁気記録媒体原反を8mm幅に裁断し、サンプ
ルテープを作製した。
【0071】このサンプルテープは、高分子被膜中に平
均粒径30nmの微細なSiO2 が含有され(添加量:
0.3重量%)、非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成
された面に、高さ10nmを超える突起が1mm2 あた
り1000万個の頻度で形成されている。
【0072】(実施例2〜4、比較例1〜2)実施例2
〜4、比較例1〜2は、基本構成を実施例1と同じく
し、非磁性支持体中に添加する不活性粒子の添加量、種
類をそれぞれ変更して、非磁性支持体の強磁性金属薄膜
が形成される面の突起の分布を実施例1と異ならせたサ
ンプルテープである。
【0073】各実施例及び比較例の非磁性支持体の強磁
性金属薄膜が形成される面の突起の分布を表1、図3及
び図4に示す。
【0074】
【表1】
【0075】ここで、表1における種々の物性値は以下
のようにして測定されたものである。
【0076】高さ(H) Digital Instruments社製の原子間
顕微鏡(AFM)を用いて、スキャンサイズ10μm×
10μmの視野中で観察された突起の中心面からの高
さ。
【0077】頻度(Y) Digital Instruments社製の原子間
顕微鏡(AFM)を用いて、スキャンサイズ10μm×
10μmの視野中で観察された突起の中で、中心面から
の高さ(H)を超えるものをカウントし、1mm2 あた
りの個数に換算した。
【0078】また、図3及び図4中における実線Aは
式:2900―1780log(H)を示し、実線Bは
式:23―15log(H)を示している。
【0079】(評価及び結果)データ用磁気テープで
は、表面の荒れによる電磁変換特性の低下、耐久性の悪
化による電磁変換特性の低下等は全てエラーレートとし
て表れる。そこで、実施例1〜4、比較例1〜2のサン
プルテープにつてエラーレートの評価を行った。
【0080】評価はソニー株式会社製のAITビデオデ
ッキSDX―S300C(商品名)を改造したものを用
い、相対速度10m/秒、最短記録波長0.35μmで
行った。
【0081】評価法は、全長170mのテープに信号を
記録した後、1パス目と100パス走行させた後のブロ
ックエラーレートをカウントした。ブロックエラーレー
トの数は10―2以下を許容とした。結果を表2に示
す。
【0082】
【表2】
【0083】この結果から、実施例1〜4のように、非
磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される面の、高さ
(H(nm))10〜40nmの範囲にある突起の分布
(Y(万個/mm2 ))が、23―15log(H)<
Y<2900―1780log(H)を満足する磁気記
録媒体は、いずれもエラーレートに対し、ほぼ要求を満
足することができ、良好な電磁変換特性と耐久性とを両
立させることができることが判った。
【0084】一方、比較例1は、表面突起の頻度(Y)
が多いことから表面性が粗くなり、出力の低下によるエ
ラーレートが生じている。
【0085】また比較例2は、突起の高さ(H)が低く
頻度(Y)も少ないため、磁性層表面が破壊され出力減
衰が大きくなり、これがエラーレートの原因となってい
る。
【0086】
【発明の効果】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支
持体の強磁性金属薄膜が形成される面の突起のうち、高
さが10〜40nmの範囲内にある微細突起が、23―
15log(H)<Y<2900―1780log
(H)を満足するように、表面形状が制御されているの
で、良好な電磁変換特性と耐久性とを両立させることが
できる。
【0087】また、この磁気記録媒体は、非磁性支持体
として高強度の芳香族ポリアミドフィルムを用いること
により、その厚みを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】強磁性金属薄膜を形成する真空蒸着装置の構成
図である。
【図2】カーボン保護膜を形成するマグネトロンスパッ
タ装置の構成図である。
【図3】実施例に係る磁気記録媒体の表面突起の分布を
表す図である。
【図4】比較例に係る磁気記録媒体の表面突起の分布を
表す図である。
【符号の説明】
1 真空蒸着装置、4 蒸着源、7 非磁性支持体、2
0 マグネトロンスパッタ装置、26 ターゲット、3
0 非磁性支持体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を成膜
    してなる磁気記録媒体において、 上記非磁性支持体は、上記強磁性金属薄膜が形成される
    表面に突起が形成された芳香族ポリアミドフィルムから
    なり、 上記突起のうち高さが10〜40nmの範囲内にある微
    細突起が以下の式を満足することを特徴とする磁気記録
    媒体。 (式) 23―15log(H)<Y<2900―17
    80log(H) ただし、Hは突起高さ(nm)、Yは突起頻度(万個/
    mm2 )を示す。
  2. 【請求項2】 上記非磁性支持体の厚さが2.0〜6.
    0μmとされるとともに、上記強磁性金属膜の厚さが
    0.01〜0.2μmとされることを特徴とする請求項
    1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記非磁性支持体は、長手方向のヤング
    率が1000kg/mm2 以上であり、幅方向のヤング
    率が1300kg/mm2 以上であることを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体。
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