JPH10198939A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH10198939A
JPH10198939A JP35070596A JP35070596A JPH10198939A JP H10198939 A JPH10198939 A JP H10198939A JP 35070596 A JP35070596 A JP 35070596A JP 35070596 A JP35070596 A JP 35070596A JP H10198939 A JPH10198939 A JP H10198939A
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JP
Japan
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magnetic
recording medium
magnetic recording
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fine
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JP35070596A
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English (en)
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Satoshi Sato
諭 佐藤
Shinichi Matsumura
伸一 松村
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属磁性薄膜からなる磁性層を有する磁気記
録媒体の薄膜化に十分に対応でき、優れた電磁変換特性
と耐久性とを両立させた金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
(特に蒸着テープ)を提供すること。 【解決手段】 非磁性支持体1上に金属磁性薄膜からな
る磁性層2が設けられている磁気記録媒体10A、10
Bにおいて、非磁性支持体1の磁性層2を形成する面5
A、5Bに微細表面突起11が形成されており、この微
細表面突起11は少なくとも、平均高さが10〜40n
mであること、頻度が500万〜1500万個/mm2
であること、中心面から10nmの高さで切断した時の
切断面の平均径が40〜160nmであること、突起表
面側の非磁性支持体1の表面粗さSRaが2.0〜4.
0nmであることを満たしていることを特徴とする磁気
記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
金属磁性薄膜からなる磁性層が設けられている磁気記録
媒体(例えば磁気テープ、磁気ディスク等)に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】鉄、コバルト、ニッケル又はこれらを主
成分とする合金或いは酸化物の薄膜が、真空蒸着法、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法等の如き真空
中での成膜法〔物理的成膜法(PVD法:Physical Vap
or Deposition )〕によって、非磁性支持体上に形成さ
れたいわゆる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、金属
磁性粉末を結合剤中に分散させた磁性塗料を非磁性支持
体上に塗布、乾燥して形成されたいわゆる塗布型の磁気
記録媒体に比べて、結合剤を用いないこと、磁性層の厚
みを極めて薄くできること等によって記録密度を飛躍的
に向上させることが可能である。但し、このような記録
密度の向上(即ち、高密度化)のためには、磁気記録ヘ
ッドの磁気ギャップを小さくし、併せて磁気記録媒体の
表面を平滑化して、スペーシングロスを極力減少させる
必要がある。
【0003】しかし、表面を平坦にしすぎると磁気記録
媒体の耐久性に支障をきたすことがあり、従って表面の
微細形状を制御することにより、これを解決する必要が
ある。
【0004】塗布型の磁気記録媒体に比べ、金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体の表面形状は磁性層の厚みが0.0
1〜0.5μm程度と非常に薄く、また、磁性層に有機
高分子系の結合剤を用いていないため、基板である非磁
性支持体の表面形状に依存する度合いが大きい。
【0005】従って、例えば特公昭60−5183号公
報のように、非磁性支持体表面に微細なミミズ状或いは
山脈状の不連続被膜を形成させたり、また、特開昭58
−68227号公報のように、非磁性支持体表面にミミ
ズ状或いは山脈状の不連続被膜状に不活性微粒子からな
る微細突起を形成する等のように、非磁性支持体の表面
性に関し、耐久性の改善を目的として、表面粗度を付与
するといった対策が講じられている。
【0006】しかしながら、例えば特公昭60−518
3号公報のように、非磁性支持体表面にミミズ状或いは
山脈状の不連続被膜を形成しただけでは、この不連続被
膜先端部の曲率半径が大きく、その形状が偏平状になる
ため、金属磁性薄膜を形成した磁気記録媒体では、スチ
ル寿命や走行耐久性が十分ではなく、電磁変換特性の低
下が見られる。
【0007】また、特開昭58−68227号公報のよ
うに、非磁性支持体表面にミミズ状或いは山脈状の不連
続被膜上に不活性微粒子からなる微細突起を形成した場
合は、この不活性微粒子の凝集等により生じる粗大な突
起に起因して、ドロップアウトの増加やスペーシングロ
スによる電磁変換特性の劣化等が生じる。また、電磁変
換特性が劣化しない程度に、不活性粒子を小さくして微
細突起を低くしたり、不活性粒子の添加量を少なくして
微細突起の頻度を小さくさせると、スチル耐久性や走行
耐久性に対して十分な効果が得られなくなる等の傾向が
ある。
【0008】更に、微細突起の高さや頻度以外にも、微
細突起の形状等はスチル耐久性(スチル寿命)や走行耐
久性に対する大きな要因になっており、上述のように形
成された突起は、添加粒子の凝集、偏平化等によってブ
ロードになることが多く、スチル耐久性や走行耐久性に
対する効果が十分に得られていない。
【0009】即ち、磁性層の極めて薄い(特に厚み0.
01〜0.5μm程度)金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
においては、磁性層表面の形状は非磁性支持体の表面形
状による影響を直接受け易いので、非磁性支持体の表面
形状を適切に制御することが非常に重要である。
【0010】また、近年、記録信号のディジタル化に伴
って、磁気ヘッドと磁気テープとの間の相対速度の増大
化や、記録時間の長時間化、情報量の増大化が求められ
ており、磁気テープの厚みを薄くし、磁気テープをより
長く収納する等、磁気テープのロングテープ化が要求さ
れている。即ち、磁気テープのロングテープ化のために
は、磁性層の厚みを薄くすると共に、非磁性支持体の厚
みを薄くすることが求められているが、このような磁気
記録媒体において、磁気記録媒体(特に磁気テープ)の
電磁変換特性と耐久性とを両立させることは容易ではな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、非
磁性支持体上に金属磁性薄膜からなる磁性層が設けられ
ている磁気記録媒体の薄膜化に十分に対応でき、優れた
電磁変換特性と耐久性とを両立できる磁気記録媒体(特
に蒸着テープ)を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題に対し鋭意検討を重ねた結果、非磁性支持体上に金属
磁性薄膜からなる磁性層が設けられている磁気記録媒体
において、前記非磁性支持体上に微細表面突起を設け、
前記微細表面突起の平均高さ、頻度、平均径及び非磁性
支持体の表面粗さSRaを特定し、この4つの要素(フ
ァクター)の相関関係によって、電磁変換特性と耐久性
とを両立させることができることを見い出した。
【0013】即ち、本発明は、非磁性支持体上に金属磁
性薄膜からなる磁性層が設けられている磁気記録媒体に
おいて、前記非磁性支持体の前記磁性層を形成する面に
微細表面突起が形成されており、この微細表面突起は少
なくとも、平均高さが10〜40nmであること、頻度
が500万〜1500万個/mm2 であること、中心面
から10nmの高さで切断した時の切断面の平均径が4
0〜160nmであること、突起表面側の前記非磁性支
持体の表面粗さSRaが2.0〜4.0nmであること
を満たしていることを特徴とする磁気記録媒体(以下、
本発明の磁気記録媒体と称する。)に係るものである。
【0014】本発明の磁気記録媒体によれば、例えば厚
さが8μm以下、更には6μm以下と非常に薄い非磁性
支持体上に、例えば厚さが0.01〜0.5μmと非常
に薄い磁性層が設けられている磁気記録媒体において、
前記非磁性支持体の前記磁性層を形成する面に微細表面
突起が形成されており、この微細表面突起は少なくと
も、平均高さが10〜40nmであること、頻度が50
0万〜1500万個/mm2 であること、中心面から1
0nmの高さで切断した時の切断面の平均径が40〜1
60nmであること、突起表面側の前記非磁性支持体の
表面粗さSRaが2.0〜4.0nmであることを満た
しているので、電磁変換特性(S/N比等)と耐久性
(スチル耐久性、走行耐久性等)との両立した磁気記録
媒体を得ることができる。
【0015】ここで、本発明の磁気記録媒体において
は、前記微細表面突起の前記平均高さ(以下、平均高さ
と称する。)は10〜40nmとすべきであり、30〜
40nmが更に好ましい。この平均高さが10nm未満
ではスチル寿命や走行性等の耐久性が不十分であり、ま
た、40nmを超えると表面の粗さが大きくなりすぎて
しまい、S/N比(信号/雑音比)等の電磁変換特性の
低下やドロップアウトの原因等になりうる。
【0016】但し、前記平均高さとは、Digital Instru
ments 社製の原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、スキ
ャンサイズ5μm×5μmの視野中で観測された突起の
中心面からの高さの平均値を測定したものである(以
下、同様)。
【0017】また、前記微細表面突起の前記頻度(以
下、頻度と称する。)は500万〜1500万個/mm
2 の範囲とすべきであり、1000万〜1500万個/
mm2の範囲であれば更に好ましい。この頻度が500
万個/mm2 未満であるとスチル寿命や走行耐久性が不
十分である。また、1500万個/mm2 を超えると表
面の粗さが大きくなりすぎてしまい、S/N比等の電磁
変換特性の低下の原因等になりうる。
【0018】前記頻度とは、走査電子顕微鏡(SEM)
を用いて測定したものであり、日本電子社製の超高分解
能コールドFE−SEM「S−900」を用いて、加速
電圧20kV、倍率3万倍にてカウントし、1mm2
たりの個数に換算したものである(以下、同様)。
【0019】また、前記微細表面突起を中心面から10
nmの高さで切断した時の切断面の平均径(以下、平均
径と称する。)は40〜160nmとすべきであり、4
0〜100nmの範囲であればより好ましい。平均径が
40nm未満であるとスチル寿命や走行耐久性が不十分
となる。また、160nmを超えると表面突起の形状が
ブロードとなり、同じく、スチル寿命や走行耐久性の低
下の原因等になることがある。また、ここで、中心面か
らの高さ10nmで切断した時の切断面を評価するの
は、この高さが10nm未満であると、非磁性支持体面
のわずかなうねりまで測定してしまい、また、10nm
を超えると大きな突起しか測定できないからである。
【0020】前記平均径とは、Digital Instruments 社
製の原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、スキャンサイ
ズ5μm×5μmの視野中で観測された突起のうち、中
心面からの高さが10nmを超えるものに関して、中心
面から10nmの高さで区切ったときの切断面の面積の
総和を突起の数で割り、この切断面を円とみなした場合
の直径である(以下、同様)。また、前記中心面とは、
この中心面を境にして突起のある部分とない部分との体
積が同じになるような面を意味する。
【0021】更に、前記微細表面突起の形成された側の
前記非磁性支持体の三次元の表面粗さSRa(以下、表
面粗さSRaと称する。)は2.0〜4.0nmとすべ
きである。この表面粗さは、前記平均高さ、前記頻度、
前記平均径と相関関係があり、前記微細表面突起以外の
突起(例えば大突起)等にも影響される。また、表面粗
さSRaが4.0nmを超えると特に電磁変換特性が大
きく劣化し、2.0nm未満であると耐久性が大きく劣
化する。
【0022】但し、前記表面粗さSRaは、Digital In
struments 社製の原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、
スキャンサイズ5μm×5μm、サンプリング数400
×400ポイント、スキャンレート4.34Hzの条件
にて測定したものであり、この表面粗さSRaとは、3
次元での中心線平均粗さを示し、Lx、Lyを表面のX
方向、Y方向の寸法とし、f(x,y)を中心面に対す
る粗さ曲面(ラフネス曲面)として、下記の式(1)に
て定義されたものである(以下、同様)。
【数1】
【0023】即ち、本発明の磁気記録媒体においては、
非磁性支持体上に微細表面突起を設け、この微細表面突
起における上記4つの要素(ファクター)を上述した範
囲に限定することにより、電磁変換特性が高く、耐久性
に優れた磁気記録媒体を構成することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体において
は、前記非磁性支持体の前記微細表面突起が、単層の非
磁性支持体中に含有された微細粒子によって形成されて
いてよい。
【0025】前記微細粒子の含有された非磁性支持体
は、非磁性支持体用原料中に微細粒子を適当量添加し、
これを公知の方法(例えば溶融押し出し法等)によって
非磁性支持体(ベースフィルム原反)を作製する。
【0026】また、本発明の磁気記録媒体において、前
記非磁性支持体の前記微細表面突起が高分子被膜(表面
処理層)がベース層と一体に設けられた非磁性支持体の
前記高分子被膜中に含有された微細粒子によって形成さ
れていてよい。即ち、この場合、非磁性支持体はベース
層(例えばポリエステルフィルム層)と高分子被膜とか
らなるものであり、本発明において非磁性支持体とは、
これを含む概念である。
【0027】前記高分子被膜(表面処理層)は連続膜で
あっても不連続膜であってもよく、微細粒子含有の高分
子被膜を前記ベース層上に形成させる手段としては、例
えば、微細表面突起の形成のための微細粒子を含有する
樹脂塗液、好ましくは水性塗液を前記ベース層の作製工
程中、即ち非磁性支持体の延伸処理を行う前に、前記ベ
ース層に塗布、乾燥固化する方法や、二軸配向したベー
ス層に前記微細粒子を含有する樹脂塗液を塗布、乾燥固
化する方法等を採用することができる。
【0028】前記高分子被膜としては、有極性の高分子
主体の被膜からなることが好ましい。この有極性の高分
子としては、メチルセルロース、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート、アクリルポリエステル樹脂、
ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げ
られる。
【0029】また、本発明の磁気記録媒体において、前
記微細表面突起を平均粒径10〜100nmの微細粒子
によって形成することができる。
【0030】前記微細粒子の平均粒径が10nm未満で
あると小さすぎ、100nmを超えると大きすぎるた
め、上記の4つのファクター、即ち、微細表面突起の平
均高さ、頻度、平均径及び非磁性支持体面の表面粗さS
Raを上述したような範囲に特定することが困難にな
る。また、微細粒子の添加量は、勿論微細粒子を含有す
る層(膜)の厚み等によって異なるが、例えば、単層か
らなる非磁性支持体(厚み8μm)の場合、前記非磁性
支持体に対して0.005〜0.1重量%含有させるこ
とが好ましく、ベース層と高分子被膜とからなる非磁性
支持体において高分子被膜(厚み0.01μm)に含有
する場合、前記高分子被膜に対して1.0〜40重量%
含有させることが好ましい。
【0031】また、前記微細表面突起の核となる前記微
細粒子は、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリ
レート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタク
リレート共重合体の架橋体、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリ
ル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き有機質系微細粒子、
シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、タルク、
グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二硫化モリブデ
ン、カ−ボンブラック、硫酸バリウム等の如き無機質系
微細粒子が挙げられるが、これに限定されるものではな
い。
【0032】また、本発明の磁気記録媒体において、前
記非磁性支持体に平均粒径50〜150nmの不活性粒
子を含有することによって、前記非磁性支持体の前記磁
性層を形成する面に、前記微細表面突起よりも大きい突
起(以下、大突起と称することがある。)を頻度1万〜
5万個/mm2 に形成することが望ましい。
【0033】この大突起は、特に、磁気ヘッド上の堆積
物を取り除いて磁気ヘッドの目詰まりを防止するといっ
た磁気ヘッドのクリーニング効果を有する。平均粒径が
50nm未満、或いは頻度が1万個/mm2 未満である
と、余分な堆積物が磁気ヘッド上に堆積し、この堆積物
によって走行性や耐磨耗性が劣化することがあり、ま
た、平均粒径が150nmを超えると、或いは頻度が5
万個/mm2 を超えると、電磁変換特性に影響を及ぼす
ことになり、電磁変換特性の低下やドロップアウト等の
原因等になりうる。
【0034】また、前記大突起の核、即ち不活性粒子
は、前記微細粒子と同様の無機系粒子や有機系粒子を用
いることができる。
【0035】更に、本発明の磁気記録媒体においては、
前記高分子被膜が前記ベース層と一体に設けられた前記
非磁性支持体の前記ベース層に前記不活性粒子が含有さ
れ、前記高分子被膜中に前記微細表面突起を形成する前
記微細粒子が含有されていることが望ましい。
【0036】即ち、前記ベース層と前記高分子被膜とか
らなる非磁性支持体において、前記ベース層のみに、大
突起を形成する核となる前記不活性粒子が含有されてお
り、前記高分子被膜のみに、微細表面突起を形成する核
となる前記微細粒子が含有されていることが望ましい。
また、前記ベース層の厚みは3〜8μm、前記高分子被
膜の厚みは0.01〜1.0μmであることが好まし
い。
【0037】非磁性支持体がこのような構成であると、
必要最小限量の微細粒子及び不活性粒子をそれぞれの層
(膜)に含有させ、それぞれの層(膜)用原料の作製段
階で前記微細粒子及び不活性粒子を十分に混合、分散す
ることができ、本発明に基づく表面形状を制御し易く、
従って表面形状に優れた非磁性支持体を得ることができ
る。
【0038】また、本発明の磁気記録媒体において、金
属磁性薄膜からなる前記磁性層とは反対側の前記非磁性
支持体の表面粗さSRaは、5〜25nmであることが
好ましい。
【0039】即ち、磁性層を形成しない側の面の表面粗
さを制御する目的で、この面に例えば前述の不活性粒子
を含有させた層を設けることによって、前記磁性層を形
成しない側の面の表面粗さSRaを5〜25nm(0.
005〜0.025μm)とすることができる。この表
面粗さSRaは10〜20nm(0.010〜0.02
0μm)とすることが更に好ましい。この表面粗さSR
aは、例えば前記不活性粒子の平均粒径や粒径分布、添
加量等を適宜制御することにより調製することができ
る。また、この磁性層を形成しない側にバックコ−ト層
を設けてもよく、バックコ−ト層の材料、添加量、添加
剤の種類等の各条件は、従来公知の条件に準じて選定す
ることができる。
【0040】ここで、磁性層を形成しない側の面の表面
形状を上述のように制御することによって、特に非磁性
支持体が8μm以下と薄くても、非磁性支持体及びこの
非磁性支持体を有する磁気記録媒体のハンドリング性
(作業性)を向上させることができる。更に、磁性層を
形成しない側の面の表面形状を上述のようにしておく
と、非磁性支持体原反或いは磁気記録媒体原反をロール
状に巻回する際に、本発明に基づく磁性層側の表面形状
が、これと反対側の表面形状に起因する裏写りや転写等
によって荒らされることなく、設計値通りの優れた表面
形状になる。
【0041】また、本発明の磁気記録媒体は、前記非磁
性支持体の厚みを8μm以下、更には6μm以下(例え
ば4μm)とすることが十分に可能である。特に、DV
C(家庭用デジタルビデオ)に代表されるように、その
全厚をできるだけ薄くすることが望まれる磁気記録媒体
にも十分に適用することができる。
【0042】即ち、非磁性支持体の厚みを8μm以下、
更には6μm以下(例えば4μm)と薄くすることによ
り、磁気記録媒体の全厚も薄くすることが可能になり、
結果的に、磁気記録媒体の全長を長く(ロングテープ
化)してリールに巻回して収容することができる。従っ
て、記録時間の長時間化及び情報量の増大化が十分に達
成される。また、非磁性支持体の厚みの下限は3μm程
度であるのがよく、これより小さくなると、非磁性支持
体の耐久性が劣化することがある。
【0043】更に、本発明の磁気記録媒体においては、
上記した本発明の特徴的構成から、金属磁性薄膜からな
る前記磁性層の厚みを0.01〜0.5μmとすること
が十分に可能である。
【0044】上述したように、いわゆる塗布型の磁気記
録媒体に比べ、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は磁性層
の厚みが0.01〜0.5μm程度と非常に薄く、ま
た、DVCに代表されるように、その全厚は更に薄くす
ることが望まれており、また、磁性層に流動性を有する
有機高分子主体の結合剤が用いられていないので、非磁
性支持体の表面形状の影響が、磁性層表面、または磁気
記録媒体表面に現れ易く、その表面形状が非磁性支持体
の表面形状に依存する度合い大きい。
【0045】本発明によれば、本発明の特徴的構成によ
って、非磁性支持体の表面形状を適切に制御することが
できるので、上述したように磁性層が薄く、また非磁性
支持体も薄い磁気記録媒体に対しても十分に対応でき、
かつ、このような磁気記録媒体を作製する場合に非常に
効果的である。
【0046】本発明において、非磁性支持体は従来公知
の材料を使用できる。例えば、ポリエステル類、ポリオ
レフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、ポリカ
ーボネート類、ポリアミド類、ポリイミド類に代表され
るような高分子材料が挙げられる。勿論、非磁性支持体
には前記微細粒子を分散させる目的で、分散剤を用いて
も構わない。
【0047】特に、ポリエステル類は好ましく、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレン
テレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
リンジカルボキシレート等がその代表例である。その形
態も何ら限定されるものではなく、テープ状、シート
状、ドラム状等いかなる形態であってもよい。
【0048】また、本発明に使用できる非磁性支持体
(特にポリエステルフィルム)とは、上記の高分子化合
物類を周知の方法で形成したフィルム(即ち、高分子化
合物類を溶融してシート又は円筒状に押し出し、少なく
とも一方向に延伸して形成したフィルム)であり、通常
のバランスタイプ、機械軸方向又はその直角方向の一軸
方向に強化されたタイプ、二軸方向に強化されたタイプ
のいずれかであることが望ましい。
【0049】本発明の磁気記録媒体の磁性層を形成する
金属磁性薄膜としては、例えば、斜め蒸着或いは垂直蒸
着法によって形成され、Co、Ni、Fe等を主体とす
る金属薄膜、又はそれらの合金を主体とする金属薄膜が
使用可能である。
【0050】例示すれば、Fe、Co、Ni等の強磁性
金属やFe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、F
e−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn
−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−
Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−C
o−Ni−Cr等の強磁性合金が例示される。これら
は、単層膜であっても、多層膜であってもよい。
【0051】この金属磁性薄膜においては、非磁性支持
体(フィルム)との付着強度の改善、或いは強磁性金属
薄膜自体の耐蝕性、耐磨耗性の改善の目的で、蒸着時の
雰囲気として酸素ガスが支配的となる雰囲気下において
得られる強磁性薄膜(酸素を含む強磁性薄膜)によって
構成されることが望ましい。
【0052】また、金属磁性薄膜の形成手段としては、
真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ、非磁性支持体上に
堆積させる真空蒸着法が好ましいが、強磁性材料の蒸発
を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主
成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし、生じたアル
ゴンイオンでターゲット表面の原子を叩き出すスパッタ
リング法等、いわゆるPVD技術を使用してもよい。
【0053】本発明の磁気記録媒体においては、非磁性
支持体と金属磁性薄膜間、或いは、磁気記録媒体が多層
構造の場合には、各層間の付着力向上及び保磁力の制御
のため、下地層や中間層を設けてもよい。また、上述し
たようにバックコート層が必要に応じて形成されていて
もよい。
【0054】バックコート層は、公知の如く、カーボ
ン、炭酸カルシウム等の非磁性顔料をポリウレタン、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の結合剤中に分散させ
たものであってよい。
【0055】また、金属磁性薄膜からなる磁性層の表面
に、磁気記録媒体の耐久性や耐候性を高める目的で、ス
パッタリング法やCVD法により硬質炭素膜を必要に応
じて設けてもよいし、更に、潤滑剤を存在せしめること
により、磁性材料の粒子状突起の形状に基づく走行性を
更に高めることも可能である。
【0056】また、本発明の磁気記録媒体の表面、裏面
又はそれらの近傍、あるいは強磁性金属薄膜内の空隙、
強磁性金属薄膜と非磁性支持体との界面、非磁性支持体
内等に、公知の手段で防錆剤、帯電防止剤等の各種添加
剤を必要に応じて存在させることができる。
【0057】次に、本発明に基づく磁気記録媒体の要部
断面図を図5に示す。
【0058】図5(A)は、単層の非磁性支持体1の面
5A上にに金属磁性薄膜からなる磁性層2が設けられて
いる磁気記録媒体10Aである。
【0059】この磁気記録媒体10Aにおいて、非磁性
支持体1中には微細粒子3と不活性粒子4とが含有され
ており、非磁性支持体の面5A及び面7Aの両表面に
は、微細粒子3を核とする微細表面突起11と、不活性
粒子を核とする大突起(比較的大きな突起)12とが設
けられいる。これらの突起11、12によって、所定の
表面形状に構成されている。
【0060】更に非磁性支持体1の面5A上には金属磁
性薄膜からなる磁性層2が設けられており、この磁性層
2の厚みは0.01〜0.5μmと非常に薄いので、非
磁性支持体の面5Aにおける表面形状(凹凸)がほぼそ
のまま磁性層上の面6Aに現れている。また、例えば、
この面6A上に硬質炭素膜、パーフルオロポリエチレン
等のフッ化処理膜、潤滑剤層等の膜(層)が設けられて
いても、一般に、これらの膜は非常に薄いので、磁性層
2上の面6Aの表面形状(凹凸)がそのまま最表面に現
れる。
【0061】次に、図5(B)は、ベース層1aと高分
子被膜1bとからなる積層型の非磁性支持体1’の面5
B上に金属磁性薄膜からなる磁性層2が設けられている
磁気記録媒体10Bである。
【0062】この磁気記録媒体10Bにおいて、非磁性
支持体1’は、ベース層1aと高分子被膜1bとからな
るものであり、ベース層1aには不活性粒子4、高分子
被膜1bには微細粒子3がそれぞれ含有されており、ベ
ース層1aの表面8、7Bには不活性粒子4を核とする
大突起(比較的大きな突起)12、高分子被膜1b上の
面5B(非磁性支持体1’の面5B)には微細粒子3を
核とする微細表面突起11が設けられている。また、上
述したように、ベース層1aの厚みは3〜8μm、高分
子被膜1bの厚みは0.01〜1.0μmが好ましい。
【0063】このように、高分子被膜1bの厚みは比較
的薄いので、ベース層1aの面8における大突起12に
よる形状(凹凸)が、高分子被膜1b上の面5Bに現れ
ており、高分子被膜1b中の微細粒子3による微細表面
突起11と合わせて、非磁性支持体1’の面5Bに所定
の大きさの突起11、12’を形成している。
【0064】更に、上述した図5(A)の磁気記録媒体
と同様に、非磁性支持体1’の面5B上には金属磁性薄
膜からなる磁性層2が設けられている。この磁性層2の
厚みは0.01〜0.5μmと非常に薄いので、非磁性
支持体の面5Bにおける表面形状(凹凸)がほぼそのま
ま磁性層上の面6Bに現れている。また、例えば、この
面6B上に硬質炭素膜、潤滑剤層等の膜(層)が設けら
れていても、これらの膜は非常に薄いので、磁性層2上
の面6Bの表面形状(凹凸)がそのまま最表面に現れ
る。
【0065】次に、本発明において、金属磁性薄膜から
なる磁性層を形成することができる真空蒸着装置につい
て、図6を参照しながら説明する。
【0066】図6は、本発明に適用可能な強磁性金属薄
膜を形成するための連続巻き取り式真空蒸着装置の構成
を概略的に示すものである。
【0067】この連続巻き取り式真空蒸着装置は、いわ
ゆる斜方蒸着用として構成され、内部が真空状態(例え
ば約10-3Pa)とされた真空室26内に、図中の反時
計廻り方向(矢印Z方向)に回転し、例えば−20℃に
冷却されている冷却キャン25に対向して金属磁性薄膜
用の蒸着源17が配置される。
【0068】そして、非磁性支持体1を、図中の反時計
廻り方向に回転する供給ロール23から矢印D方向に繰
り出して、冷却キャン25の周面に沿って移行させつ
つ、蒸着源17から電子ビーム19で加熱、蒸発した蒸
着材料20を付着させ、金属磁性薄膜を蒸着し、しかる
後に巻取りロール24に巻き取られるようになされてい
る。なお、供給ロール23と冷却キャン25との間、及
び冷却キャン25と巻取りロール24との間にはそれぞ
れ、ガイドローラー21、22が配設され、供給ロール
23から冷却キャン25、及びこの冷却キャン25から
巻取りロール24に亘って走行する非磁性支持体1に所
定のテンションをかけ、非磁性支持体1が円滑に走行す
るようになされている。
【0069】蒸着源17は容器(例えば、るつぼ)16
に上述の金属磁性材料、例えばCo−Ni合金が収容さ
れたものであり、この蒸着源(金属磁性材料)に対し、
電子ビーム発生源15から電子ビーム19を加速照射し
て金属磁性材料20を加熱、蒸発させ、これを冷却キャ
ン25の周面に沿って走行する非磁性支持体1上に付着
(蒸着)させて金属磁性薄膜を形成し、磁気記録媒体を
作製する。この時、蒸着源17と冷却キャン25との間
には防着板27を設け、シャッタ18を位置調整可能に
設けて、非磁性支持体1に対して所定の角度で入射する
蒸着粒子のみを通過させる。こうして斜め蒸着法によっ
て金属磁性薄膜が形成されるようになされている。
【0070】更に、このような金属磁性薄膜の蒸着に際
し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持体1
の表面に酸素ガスが供給され、これによって金属磁性薄
膜の磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られてい
る。また、蒸着源を加熱するためには、上述のような電
子ビームによる加熱手段の他、例えば、抵抗加熱手段、
高周波加熱手段、レーザ加熱手段等の公知の手段を使用
できる。
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例について詳細に説明す
る。
【0072】実施例1 非磁性支持体用原料として、まず、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)に不活性粒子(大粒子)を添加、分
散させた溶融高分子材料によりベース層を形成した。こ
の高分子材料は、ダイスリットから押し出し、急冷する
ことで長尺フィルム状の非磁性支持体基体(ベース層)
を形成した。但し、不活性粒子としては平均粒径50〜
150nmの炭酸カルシウム、シリカを用い、その添加
量はベース層に対し、0.005〜0.1重量%であ
る。
【0073】このように形成したベース層を逐次二軸延
伸法で一方向に延伸した後、金属磁性薄膜からなる磁性
層を形成する側の面に、微細粒子を含有する水性塗液を
塗布、乾燥することで、高分子被膜(表面処理層)を形
成し、その後、この長尺フィルムをその幅方向に延伸
し、熱処理を行ってベース層と高分子被膜からなる非磁
性支持体を得た。ここで、非磁性支持体の全厚は6μm
である。
【0074】このようにして作製された非磁性支持体の
表面に、図6に示した連続巻き取り式蒸着装置を用い
て、微量酸素存在雰囲気下で連続斜め蒸着法により、C
o(コバルト)からなる金属磁性薄膜を成膜した磁性層
を形成した。この時の蒸着条件は次の通りである。
【0075】蒸着条件 真空度:10-3Pa 酸素流量:2L/min 非磁性支持体の送り速度:55m/min 金属磁性薄膜の膜厚:180nm(0.18μm)
【0076】金属磁性材料の蒸着後、8mm幅に裁断し
てサンプルテープを作製した。
【0077】但し、本実施例のサンプルテープにおいて
は、前記高分子被膜(表面処理層)中に、平均粒径40
nmの微細シリカ(添加量:高分子被膜用を前記原料に
対して0.8重量%)を含有させ、平均高さ30nmの
微細表面突起を頻度500万個/mm2 で有する非磁性
支持体とし、これらの突起を中心面から10nmの高さ
で切断した時の切断面の面積から求めた平均径は50n
mであり、微細表面突起を有する非磁性支持体の面の粗
さSRaは3.0nmとしたものである。
【0078】実施例2〜7、及び比較例1〜7 高分子被膜中に添加する微細粒子の添加量、種類(粒
径)をそれぞれ変えて、微細表面突起の平均高さ、頻
度、切断面の平均径、微細表面突起が形成された面の表
面粗さSRaをそれぞれ変化させて、実施例1と同様の
構成の非磁性支持体を得た(実施例2〜4及び比較例1
〜5)。更に、実施例1と同様の条件で金属磁性薄膜か
らなる磁性層を設け、8mm幅に裁断して磁気テープと
した。
【0079】各実施例及び比較例のフィルムにおける微
細状面突起の平均高さ、頻度、切断面の平均径、表面粗
さSRaを下記の表1に示す。
【0080】但し、実施例5は、実施例1において高分
子被膜を用いずに、単層からなる非磁性支持体を用いた
サンプルテープであり、この非磁性支持体原料中に平均
粒径40nmの微細シリカを0.8重量%含有するもの
であり、非磁性支持体の厚みは6μmである。
【0081】また、実施例6は、不活性粒子(大粒子)
がベース層に含まれていないこと以外は、実施例1と同
様の組成、厚み、表面形状のサンプルテープである。
【0082】更に、実施例7は非磁性支持体の全厚が4
μmのサンプルテープである。
【0083】また、比較例6は前記特公昭60−518
3号公報のように、非磁性支持体表面にミミズ状或いは
山脈状の不連続被膜が形成されているサンプルテープで
あり、比較例7は特開昭58−68227号公報のよう
に、非磁性支持体表面にミミズ状或いは山脈状の不連続
被膜上に不活性微粒子からなる微細突起が形成されてい
るサンプルテープである。
【0084】ここで、表1における物性値は、次のよう
に測定したものである。
【0085】平均高さ:Digital Instruments 社製の原
子間力顕微鏡(AFM)を用いて、スキャンサイズ5μ
m×5μmの視野中で観測された突起の中心面からの高
さの平均値を測定した。
【0086】頻度(突起数):走査電子顕微鏡(SE
M:日本電子社製の超高分解能コールドFE−SEM
「S−900」)を用いて、加速電圧20kV、倍率3
万倍(5視野)にてカウントし、1mm2 当たりの個数
に換算した。
【0087】平均径:Digital Instruments 社製の原子
間力顕微鏡(AFM)を用いて、スキャンサイズ5μm
×5μmの視野中で観測された突起のうち、中心面から
の高さが10nmを超えるものに関して、中心面から1
0nmの高さで区切ったときの切断面の面積の総和を突
起の数で割り、この切断面を円とみなした場合の直径で
ある。
【0088】表面粗さSRa:Digital Instruments 社
製の原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、スキャンサイ
ズ5μm×5μm、サンプリング数400×400ポイ
ント、スキャンレート4.34Hzの条件にて測定した
ものであり、この表面粗さSRaとは、3次元での中心
線平均粗さを示し、Lx、Lyを表面のX方向、Y方向
の寸法とし、f(x,y)を中心面に対する粗さ曲面
(ラフネス曲面)として、上記式(1)にて定義された
ものである。
【0089】 表1 ─────────────────────────────────── 微細表面突起 切断面 表面粗さ 平均高さ 頻度 平均粒径 SRa (nm) (万個/mm2) (nm) (nm) ─────────────────────────────────── 実施例1 30 500 50 3.0 実施例2 30 1000 120 3.5 実施例3 40 1500 160 4.0 実施例4 10 1000 60 2.0 実施例5 30 500 50 3.0 実施例6 30 500 50 3.0 実施例7 30 500 50 3.0 ─────────────────────────────────── 比較例1 5 2000 40 2.0 比較例2 60 400 120 3.0 比較例3 40 1500 200 4.0 比較例4 10 3000 80 5.0 比較例5 10 500 20 1.8 比較例6 10 ── 200 1.8 比較例7 70 1000 180 5.0 ───────────────────────────────────
【0090】評価及び結果 上記の実施例1〜7、及び比較例1〜7のサンプルテー
プについての各特性を下記の条件で評価した。
【0091】スチル寿命:出力値(dB)が再生1回目
の半分になるまでの時間(分)を測定した。数値が大き
いほど耐久性がよいことを示すが、測定が最長120分
とした。
【0092】走行耐久性:100回繰り返し走行させ、
走行時の出力変動、及び初期の出力値に対する走行後の
出力値の低下を測定した。出力の低下はほぼ−2.0d
Bまでが許容範囲である。
【0093】電磁変換特性(S/N比):ソニー社製ハ
イバンド8mmビデオデッキ「EV−900」を改造し
たもので測定した。但し、表中の値は、相対速度3.8
m/秒、記録周波数7MHzで行い、サンプルテープの
S/N比を市販のソニー社製Hi8 MEテープ(いわ
ゆるメタルテープ)を0デシベル(0dB)として比較
測定したものである。
【0094】これらの結果を下記の表2に示す。また、
平均高さ、頻度、切断面平均径、表面粗さSRaによる
電磁変換特性(S/N比)及び走行耐久性(出力減衰)
の変化を図1〜4に示した。
【0095】 表2 ─────────────────────────────────── 電磁変換特性 スチル寿命 走行耐久性 S/N比(dB) (分) 出力変動 出力減衰(dB) ─────────────────────────────────── 実施例1 +2.0 >120 なし −1.0 実施例2 +1.5 >120 なし −0.5 実施例3 0 >120 なし −0.4 実施例4 +3.0 >120 なし −1.0 実施例5 +2.0 >120 なし −1.0 実施例6 +2.0 >120 なし −1.0 実施例7 +2.0 >120 なし −1.0 ─────────────────────────────────── 比較例1 +2.0 40 あり −3.0 比較例2 −1.0 30 なし −2.0 比較例3 0 80 なし −0.5 比較例4 −2.0 >120 なし −1.5 比較例5 +2.0 10 あり −2.0 比較例6 −1.5 10 あり −2.0 比較例7 −3.0 100 あり −1.5 ───────────────────────────────────
【0096】上記の表1、表2及び図1〜4から明らか
なように、微細表面突起の平均高さが10〜40nm、
頻度が500万〜1500万個/mm2 、切断面の平均
径40〜160nm、表面粗さSRaが2.0〜4.0
nmの4つの要件(ファクター)を満たす実施例1〜7
は、いずれもスチル寿命、走行耐久性、電磁変換特性等
に関し、ほぼ要求を満たすことができた。
【0097】また、実施例5は、非磁性支持体が単層か
らなるサンプルテープであるが、上記の4つの要件(フ
ァクター)を満たしているので、スチル寿命、走行耐久
性、電磁変換特性が優れている。即ち、微細表面突起の
表面形状が上記の範囲内にあれば、耐久性や電磁変換特
性は非磁性支持体の構造にはよらないことがわかる。
【0098】また、実施例6は、不活性粒子(大粒子)
が含有されていないサンプルテープであるが、実施例5
と同様に上記の4つの要件(ファクター)を満たしてい
るので、スチル寿命、走行耐久性、電磁変換特性が優れ
ている。
【0099】更に、実施例7は、非磁性支持体の全厚が
4μmと極薄のサンプルテープであるが、上記の4つの
要件(ファクター)を満たしているので、スチル寿命、
走行耐久性、電磁変換特性が優れている。即ち、このよ
うに極薄のサンプルテープでも、微細表面突起の表面形
状が上記の範囲内にあれば、優れた耐久性や電磁変換特
性を得ることが十分に可能であることがわかる。
【0100】一方、比較例1は、突起の平均高さが不十
分であり、これを補うために突起の頻度を多くしたサン
プルテープであるが、スチル寿命が短く、走行耐久性に
関しても、出力変動や出力減衰が発生していることがわ
かる。
【0101】比較例2は、突起の平均高さが高く、頻度
が小さいサンプルテープであるが、突起の切断面の平均
径や表面粗さSRaが実施例1と同程度であるにもかか
わらず、電磁変換特性(S/N比)が低く、スチル寿命
も短くなっている。
【0102】比較例3は、突起の切断面の平均径が大き
いため、突起の平均高さ、頻度、更には表面粗さSRa
が実施例4と同程度のサンプルテープであるにも係わら
ず、突起の形状がブロードになり、スチル寿命に対する
効果が得られていない。
【0103】比較例4は、突起の頻度が多いと共に、表
面粗さSRaが大きく表面が粗いサンプルテープである
ため、スチル寿命は要求を満たしているが、電磁変換特
性(S/N比)が低いことがわかる。
【0104】比較例5は、突起の切断面の平均径が小さ
く、表面粗さSRaも小さいサンプルテープであるた
め、電磁変換特性(S/N比)には優れるが、スチル寿
命や走行耐久性に劣ることがわかる。
【0105】比較例6は、非磁性支持体表面にミミズ状
或いは山脈状の不連続被膜が形成されているサンプルテ
ープであるが、不連続被膜の形状が偏平なため、スチル
寿命や走行耐久性が十分ではなく、電磁変換特性の低下
が見られる。
【0106】また、比較例7は、非磁性支持体表面にミ
ミズ状或いは山脈状の不連続被膜上に不活性微粒子から
なる微細突起が形成されているサンプルテープである
が、不活性微粒子の凝集等により生じる粗大な突起に起
因して、ドロップアウトの増加やスペーシングロスによ
る電磁変換特性の劣化等が生じている。また、比較例7
において、電磁変換特性が劣化しない程度に、不活性粒
子を小さくして微細突起を低くしたり、不活性粒子の添
加量を少なくして微細突起の頻度を小さくさせると、ス
チル耐久性や走行耐久性に対して十分な効果が得られな
くなると考えられる。
【0107】このように、厚さが6μm、更には4μm
と非常に薄い非磁性支持体上に、厚さが0.18μmと
非常に薄い金属磁性薄膜からなる磁性層が設けられてい
る磁気記録媒体において、前記非磁性支持体の前記磁性
層を形成する面に微細表面突起が形成されており、この
微細表面突起は少なくとも、平均高さが10〜40nm
であること、頻度が500万〜1500万個/mm2
あること、中心面から10nmの高さで切断した時の切
断面の平均径が40〜160nmであること、突起表面
側の前記非磁性支持体の表面粗さSRaが2.0〜4.
0nmであることを満たしている本実施例のサンプルテ
ープは、電磁変換特性(S/N比等)と耐久性(スチル
耐久性、走行耐久性等)とが共に優れたサンプルテープ
となっている。
【0108】以上、本発明を実施例について説明した
が、本実施例は本発明の技術的思想に基づいて更に変形
が可能である。
【0109】例えば、本実施例においては、単層からな
る非磁性支持体、或いはベース層と高分子被膜とからな
る非磁性支持体に含有させる微細粒子の粒径や添加量に
よってその表面形状(微細表面突起)を制御したが、ベ
ース層と高分子被膜とからなる非磁性支持体において、
高分子被膜の厚みを適宜調節することによって、表面形
状(微細表面突起)を制御してもよく、また、非磁性支
持体をホットロール等で熱処理して表面処理、及び表面
形状の制御を行ってもよい。
【0110】また、非磁性支持体を複数の層からなる積
層体(いわゆる複合化フィルム)とし、溶融共押し出し
法等により作製してもよい。例えば、2層からなる複合
化フィルムの場合、上層に予め微細粒子を含有させ、こ
の上層に添加する微細粒子の粒径や添加量、又は上層の
厚み等によってその表面形状(微細表面突起)を制御す
ることもできる。
【0111】
【発明の作用効果】本発明の磁気記録媒体によれば、例
えば厚さが8μm以下、更には6μm以下と非常に薄い
非磁性支持体上に、例えば厚さが0.01〜0.5μm
と非常に薄い金属磁性薄膜からなる磁性層が設けられて
いる磁気記録媒体において、前記非磁性支持体の前記金
属磁性薄膜からなる磁性層を形成する面に微細表面突起
が形成されており、この微細表面突起は少なくとも、平
均高さが10〜40nmであること、頻度が500万〜
1500万個/mm2 であること、中心面から10nm
の高さで切断した時の切断面の平均径が40〜160n
mであること、突起表面側の前記非磁性支持体の表面粗
さSRaが2.0〜4.0nmであることを満たしてい
るので、電磁変換特性(S/N比等)と耐久性(スチル
寿命、走行耐久性等)との両立した磁気記録媒体を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の微細表面突起の平均高
さによるS/N比及び出力減衰の変化を示すグラフであ
る。
【図2】同、頻度によるS/N比及び出力減衰の変化を
示すグラフである。
【図3】同、切断面の平均径によるS/N比及び出力減
衰の変化を示すグラフである。
【図4】同、表面粗さSRaによるS/N比及び出力減
衰の変化を示すグラフである。
【図5】本発明に基づく単層からなる非磁性支持体を有
する磁気記録媒体(A)の要部断面図、ベース層と高分
子被膜とからなる非磁性支持体を有する磁気記録媒体
(B)の要部断面図である。
【図6】本発明の磁気記録媒体を製造するに際し、使用
可能な連続巻き取り式蒸着装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1…非磁性支持体、1a…ベース層、1b…高分子被膜
(表面処理層)、2…金属磁性薄膜からなる磁性層、3
…微細粒子、4…不活性粒子、5A、5B、6A、6
B、7A、7B、8…面、10A、10B…磁気記録媒
体、11…微細表面突起、12、12’…大突起、15
…電子ビーム発生源、16…容器、17…蒸着源、18
…シャッタ、19…電子ビーム、20…金属磁性材料、
21、22…回転支持体(ガイドローラー)、23…供
給ロール、24…巻き取りロール、25…冷却キャン、
26…真空室、27…防着板

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に金属磁性薄膜からなる
    磁性層が設けられている磁気記録媒体において、前記非
    磁性支持体の前記磁性層を形成する面に微細表面突起が
    形成されており、この微細表面突起は少なくとも、 平均高さが10〜40nmであること、 頻度が500万〜1500万個/mm2 であること、 中心面から10nmの高さで切断した時の切断面の平均
    径が40〜160nmであること、 突起表面側の前記非磁性支持体の表面粗さSRaが2.
    0〜4.0nmであることを満たしていることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記非磁性支持体の前記微細表面突起
    が、単層の非磁性支持体中に含有された微細粒子によっ
    て形成されている、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記非磁性支持体の前記微細表面突起
    が、高分子被膜がベース層と一体に設けられた非磁性支
    持体の前記高分子被膜中に含有された微細粒子によって
    形成されている、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記微細表面突起が平均粒径10〜10
    0nmの微細粒子によって形成されている、請求項1に
    記載した磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記非磁性支持体に平均粒径50〜15
    0nmの不活性粒子が含有されることによって、前記非
    磁性支持体の前記磁性層を形成する面に、前記微細表面
    突起よりも大きい突起が頻度1万〜5万個/mm2 に形
    成されている、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 高分子被膜がベース層と一体に設けられ
    た非磁性支持体の前記ベース層に前記不活性粒子が含有
    され、前記高分子被膜中に前記微細表面突起を形成する
    微細粒子が含有されている、請求項5に記載した磁気記
    録媒体。
  7. 【請求項7】 金属磁性薄膜からなる前記磁性層とは反
    対側の非磁性支持体の表面粗さSRaが5〜25nmで
    ある、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記非磁性支持体の厚みが8μm以下で
    ある、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 金属磁性薄膜からなる前記磁性層の厚み
    が0.01〜0.5μmである、請求項1に記載した磁
    気記録媒体。
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