JP2002117522A - 金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

金属薄膜型磁気記録媒体

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JP2002117522A
JP2002117522A JP2000305180A JP2000305180A JP2002117522A JP 2002117522 A JP2002117522 A JP 2002117522A JP 2000305180 A JP2000305180 A JP 2000305180A JP 2000305180 A JP2000305180 A JP 2000305180A JP 2002117522 A JP2002117522 A JP 2002117522A
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Satoshi Sato
諭 佐藤
Yusuke Fujino
裕介 藤野
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属薄膜型磁気記録媒体の走行耐久性および
電磁変換特性の両特性の向上を図る。 【解決手段】 真空薄膜形成技術により形成した磁性層
2上に、微粒子分散層3および保護膜4を順次形成した
構成とし、微粒子分散層3は、不活性微粒子を分散させ
た塗料を塗布することにより形成するものとし、微粒子
の平均粒径は、4〜30〔nm〕であり、表面におい
て、不活性微粒子により形成される突起が、500万〜
10000万〔個/mm2 〕であるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属薄膜型磁気記
録媒体に係わる。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、ハードディスク等の磁気記
録媒体においては、高密度記録化への要求から、金属あ
るいはCo−Ni等の合金からなる強磁性材料を真空薄
膜形成技術により非磁性支持体上に被着せしめて強磁性
金属薄膜よりなる磁性層を有する磁気記録媒体が実用化
されている。このような強磁性金属薄膜を磁性層とす
る、いわゆる金属薄膜型磁気記録媒体は、高い磁気エネ
ルギーが容易に得られ、かつ磁性層の表面を極めて平滑
に形成することができることから、スペーシングロスを
低減化できる。
【0003】このような金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
は、磁性粉末をバインダーに混合して作製した塗料を非
磁性支持体に塗布して得られるいわゆる塗布型の磁気記
録媒体と異なり、磁性層中に非磁性材料であるバインダ
ーが混入されないので、強磁性金属粒子の充填密度が高
い。このため、磁性層を極めて薄く形成することがで
き、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく、短波
長での電磁変換に優れている。また、保磁力や残留磁
化、角形比等の磁気特性を安定して制御、作製すること
ができる等の利点を有している。
【0004】一方、磁気記録媒体のさらなる高密度記録
化の要請を受けて、記録情報の再生を行う際に用いる磁
気ヘッドについて、従来の誘導型ヘッドに代わり、磁気
抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)が適用されるよう
になってきている。MRヘッドは、磁気記録媒体からの
微小な漏洩磁束を高感度に検出することができるという
特性を有するため、磁気記録層の薄層化を進めることに
より、低ノイズ化することが可能になり、面記録密度の
向上を図ることが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属薄
膜型磁気記録媒体の表面を平滑にし過ぎると、磁気ヘッ
ド部材との接触面積が増大し、摩擦が増大したり、表面
の水分や潤滑剤の吸着を招いたりする等、良好な走行耐
久性を確保することが非常に困難になる。
【0006】このような問題に対して、例えば磁気テー
プにおいては、プラスチックフィルムよりなる非磁性支
持体内に微粒子を内添したり、あるいは非磁性支持体の
表面に、微粒子と結合剤とを含有する塗料を塗布するこ
とによって、磁性層の下層に下塗り層を作製し、磁気テ
ープの磁性層の表面に微細凹凸を形成することによっ
て、走行耐久性を確保している。また、ハードディスク
においては、基板表面にレーザによりテクスチャを形成
することによって、磁性層の表面に適度な微細凹凸を形
成することが行われている。
【0007】一方において、上述したように、表面に微
細凹凸を形成すると、磁気ヘッドと金属薄膜型磁気記録
媒体との間にスペーシングが生じ、電磁変換特性は劣化
してしまう。すなわち、走行耐久性および電磁変換特性
の両方特性を高いレベルで両立させ、高性能な金属薄膜
型磁気記録媒体を得るためには、磁性層表面の微細凹凸
は、それぞれが略同程度の高さとし、適切な密度をもっ
て形成されていることが有効である。
【0008】しかしながら、最近の高密度記録化への要
求の高まりから、より高い電磁変換特性が必要となてき
ており、これに伴い、磁性層表面の微細凹凸の突起高さ
は、徐々に低くなる傾向にある。このような点に鑑み
て、例えば5〜15〔nm〕程度の極めて低い突起を均
一に形成することが要求されてきており、製造上の困難
性が高まってきていた。
【0009】例えば、特公平01−34456号公報に
は、水溶性高分子の不連続被膜と、これより高い突起を
形成する微粒子とをそれぞれ独立してフィルム表面に密
着させることが提案されている。しかし、上記公報に記
載されている技術によれば、突起の均一性が充分に確保
できない等の問題を有していた。
【0010】また、特公平06−51401号公報に
は、不連続高分子被膜中で微細粒子を分散させ、これを
塗布した支持体についての提案がなされている。また、
特開平08−185619号公報には、微細粒子の良好
な分散性を確保し、かつ微細突起のを極めて低く形成す
るために、径20〜30〔nm〕の微粒子をシリカ膜中
に分散させ、シリカ膜の厚さによって見かけの突起高さ
を軽減させる技術が提案されている。
【0011】ところが、電磁変換特性の更なる向上を図
るためには、磁性層自体の表面は極めて平滑に形成する
ことが望ましく、磁性層の下層に、微細凹凸を付加する
ための下塗り層を作製した構成とすると、低ノイズ化を
図る上において限界が生じていた。
【0012】本発明者はかかる点に鑑みて、MRヘッド
に適用する金属磁性薄膜型の磁気記録媒体において、磁
性層自体の表面を平滑に形成しつつ、最表面において、
適度な微細凹凸を形成し、電磁変換特性および走行耐久
性の双方の特性向上を図った金属薄膜型磁気記録媒体を
提供することを目的とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】非磁性支持体の少なくと
も一主面に、真空薄膜形成技術により形成した磁性層を
有する金属薄膜型磁気記録媒体において、磁性層上に、
微粒子分散層および保護膜が順次形成された構成を有す
るものとする。磁性層上に形成する微粒子分散層は、不
活性微粒子を所定の樹脂中に分散させた塗料を塗布する
ことにより形成されたものとし、この微粒子分散層中の
不活性微粒子の平均粒径は、4〜30〔nm〕とし、表
面において、不活性微粒子により形成される突起が、5
00万〜10000万〔個/mm2 〕であるものとす
る。
【0014】本発明によれば、磁性層表面を平滑に形成
しつつ、磁性層の上層に、最表面に微細凹凸を付与する
微粒子分散層を形成した構成としたことによって、電磁
変換特性の向上、および走行耐久性の向上を両立が図ら
れる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体
は、非磁性支持体の少なくとの一主面に、真空薄膜形成
技術により形成した磁性層を有し、磁性層上に、微粒子
分散層および保護膜が順次形成された構成を有し、微粒
子分散層は、不活性微粒子を分散させた塗料を塗布する
ことにより形成したものとし、微粒子の平均粒径は、4
〜30〔nm〕とし、表面において、不活性微粒子によ
り形成される突起が、500万〜10000万〔個/m
2 〕であるものとする。
【0016】以下、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体
と、金属薄膜型磁気記録媒体の製造装置の一例について
説明するが、本発明は、以下に示す例に限定されるもの
ではない。
【0017】図1に本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の
概略断面図を示す。この金属薄膜型磁気記録媒体100
は、非磁性支持体1上に、真空薄膜形成技術により形成
した例えば15〜130〔nm〕以下程度の薄層の磁性
層2を有し、磁性層2上に、微粒子分散層3および保護
層4が順次形成された構成を有するものである。なお、
微粒子分散層3は、不活性微粒子を分散させた塗料を塗
布することにより形成したものとする。以下、詳細に説
明する。
【0018】非磁性支持体1には、通常、磁気記録媒体
の基体として用いられている公知の材料をいずれも適用
することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン2,6−ナフタレート等のポリエステ
ル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン類、セルローストリアセテート等のセルロース誘導
体、ビニル類、ポリカーボネート類、ポリイミド類等の
高分子材料によって形成される高分子基板や、アルミニ
ウム合金、チタン合金等の金属基板、アルミガラス等の
セラミックス基板、ガラス基板等が挙げられる。
【0019】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100の
非磁性支持体1は、形状について何ら限定されるもので
はないが、磁気テープとして作製する場合には、ポリエ
チレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレ
ートフィルム、アラミドフィルム等が好適である。
【0020】なお、上述したフィルムには、走行耐久性
を向上させるためにフィラーが内添されていてもよい。
なお、本発明においては、磁性層上に微細凹凸を付与す
る微粒子分散層が形成された構成を有するものである
が、最終的に得られる金属薄膜型磁気記録媒体100の
最表面の粗度(Ra)は0.3〜2.0〔nm〕、さら
に好ましくは、0.3〜1.4〔nm〕のものがよい。
【0021】磁性層2を形成する金属磁性材料として
は、従来公知の金属、合金をいずれも使用することがで
きる。例えば、Co,CoNi,CoFe,CoNiF
e,CoCr,CoPt,CoPtB,CoCrPt,
CoCrTa,CoCrPtTa等の材料や、これらの
材料を酸素雰囲気中で蒸着し、層中に酸素を含有させた
もの、またはこれらの材料に一種あるいは異種以上のそ
の他の金属を含有させたもの、さらには、Co−Al2
3 、CoPt−SiO2 等の既存の強磁性金属合金を
含み非固溶系磁性層を形成したものであってもよい。
【0022】磁性層2は、真空下で金属磁性材料を加熱
蒸発させ、非磁性支持体1上に沈着させる真空蒸着法
や、金属磁性材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーテ
ィング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放
電を起こし、アルゴンイオンでターゲット表面の原子を
叩き出すスパッタ法等のいわゆるPVD技術によって薄
膜に形成することができる。
【0023】なお、磁性層2は、上記方法によって成膜
される金属磁性薄膜の単層膜、あるいは多層膜のいずれ
であってもよい。また、非磁性支持体1と磁性層2との
間、さらには、磁性層2が多層膜である場合には、これ
を構成する金属磁性薄膜相互間に、各層間の付着力向
上、保磁力向上を図るために所定の下地層や中間層を設
けてもよい。また、これら金属磁性薄膜の表面近傍にお
いては、耐蝕性の改善を目的として酸化物層を形成して
もよい。
【0024】また、特に面内磁化記録用の金属磁性薄膜
の場合、予め非磁性支持体1上に、Bi,Sb,Pb,
Sn,Ga,In,Ge,Si,Ti等の低融点非磁性
材料の下地層を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向
から蒸着、あるいはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれ
ら低融点非磁性材料を拡散させ、配向性を解消して面内
等方性を確保するととに保磁力を向上するようにしても
よい。
【0025】また、本発明においては、磁性層2上に、
後述する微粒子分散層3を形成し、これにより効果的に
走行性の向上を図ったものであるから、磁性層2の表面
は、充分平滑に、具体的には表面粗度(Ra)が0.5
〜2.5〔nm〕、より好ましくは、0.5〜1.3
〔nm〕に形成されていることが望ましい。
【0026】なお、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00は、磁性層2が極めて薄層である場合においても、
高いC/Nを得られるように、再生ヘッドとしては、高
感度の磁気ヘッドである磁気抵抗効果型(MR)ヘッド
が好適である。すなわち、MRヘッドを用いる場合に
は、磁性層2の残留磁化量Mrと、磁性層2の膜厚δの
値を低く抑え、かつノイズの低減化が図られ、結果的に
高いC/Nを有することが望ましく、具体的には、残留
磁化量が0.8〜6.5〔emu/cm2 〕程度とし、
膜厚を15〜130〔nm〕程度とすることが望まし
い。
【0027】図2に、金属薄膜型磁気記録媒体100の
磁性層2を成膜する蒸着装置10の一例の概略図を示
す。この蒸着装置10においては、排気口21、22か
ら排気されて真空状態となされた真空室11内に、送り
ロール13と巻き取りロール14とが設けられており、
これらの間に非磁性支持体1が順次走行するようになさ
れている。
【0028】これら送りロール13と巻き取りロール1
4との間に、上記非磁性支持体1が走行する途中には、
冷却キャン15が設けられている。この冷却キャン15
には、冷却装置(図示せず)が設けられ、非磁性支持体
1の温度上昇による熱変形等を抑制している。
【0029】非磁性支持体1は、送りロール13から順
次送り出され、さらに冷却キャン15周面を通過して巻
き取りロール14に巻き取られていくようになされてい
る。なお、ガイドロール16および17により非磁性支
持体1には、所定のテンションがかけられ、円滑に走行
するようになされている。
【0030】真空室11内には、冷却キャン15の下方
にルツボ18が設けられており、ルツボ内には、金属磁
性材料19が充填されている。一方、真空室11の側壁
部には、ルツボ18内に充填された金属磁性材料19を
加熱蒸発させるための電子銃20が設けられている。こ
の電子銃20は、これより放出される電子線Bが、ルツ
ボ内18内の金属磁性材料19に照射されるような位置
に配置されている。そして、この電子線Bの照射によっ
て蒸発した金属磁性材料19が非磁性支持体1の表面に
被着して、磁性層の形成がなされる。
【0031】また、冷却キャン15とルツボ18との間
であって、冷却キャン15の近傍には、シャッター23
が、冷却キャン15の周面を走行する非磁性支持体1の
所定領域を覆う形で配置されており、このシャッター2
3により、蒸発した金属磁性材料19が非磁性支持体1
に対して所定の入射角度範囲で斜めに蒸着するようにな
されている。
【0032】さらに、磁性層の蒸着に際し、真空室11
の側壁部を貫通して設けられている酸素ガス導入管24
により、非磁性支持体1の表面に酸素ガスが供給される
ようになされ、磁性層の磁気特性、耐久性、および耐候
性の向上が図られている。
【0033】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100
は、磁性層2上に、微粒子分散層3を有する。この微粒
子分散層3は、不活性微粒子を分散させた塗料を塗布す
ることにより形成されて成るものである。
【0034】不活性微粒子としては、従来公知の材料の
いずれも適用することができ、有機物、無機物の任意の
ものを適用することができる。例えば、有機物として
は、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチル
メタクリレート共重合体、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリ
ル、ベンゾグアナミン樹脂、芳香族ポリアミド、ポリイ
ミド、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド等が挙げ
られる。また、無機物としては、シリカ、アルミナ、二
酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カ
ルシウム、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸
バリウム等が挙げられる。
【0035】また、本発明において適用する不活性微粒
子の平均粒径は、4〜30〔nm〕とすることが好適で
ある。平均粒径4〔nm〕未満の微細な粒子を使用する
と、効果的に凹凸を形成することができず、走行耐久性
の向上を図ることができず、一方、平均粒径30〔n
m〕よりも大きい粒子を使用すると、磁気ヘッドと金属
磁性薄膜型磁気記録媒体との間に過剰なスペーシングが
生じることとなり、電磁変換特性の劣化の原因となる。
【0036】上記微細粒子は所定の低分子量ポリマー分
散液中に分散させ、これを磁性層2上に塗布することに
よって、微粒子分散層3が形成される。微細粒子を分散
させる低分子量ポリマーとしては、低分子量スチレンポ
リマー、低分子量ウレタンポリマー、低分子量塩化ビニ
ルポリマー、低分子量アクリルポリマー、低分子量エス
テルポリマー、低分子量シロキサンポリマー等であっ
て、その鎖の一部に一分子鎖当たり平均0.5〜2個程
度のスルホン酸基、カルボン酸基、カルボキシル基、エ
ステル基等を有する分子や、その塩を含むものを適用す
ることができる。
【0037】上記低分子量ポリマーに上記不活性微粒子
を分散させて塗料を作製する。なお、低分子量ポリマー
は、上記不活性微粒子の凝集度への影響が大きいため、
これを考慮して不活性粒子の種類、用いる溶媒等によ
り、その主鎖、重合度、導入される官能基の種類、数量
等を選定する。また、溶媒としては、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサン等の非極性溶媒が好適であるが、こ
れに限定されるものではない。ただし、溶媒により不活
性粒子の凝分散は大きく影響を受けるため、溶媒の選択
はかかる影響を考慮して行う必要がある。
【0038】上記低分子量ポリマーに上記不活性微粒子
を分散させた塗料を、磁性層2上に塗布する方法として
は、公知の任意の塗工法を使用することができる。例え
ば、ロールコート法、グラビアコート法、ワイヤーバー
法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナ
イフコート法、含浸法、カーテンコート法、ディップコ
ート法、スピンコート法等を単独で、あるいは組み合わ
せて適用し、塗布後乾燥処理を行い、微粒子分散層3が
形成される。
【0039】なお、本発明においては、不活性微粒子に
よって金属磁性薄膜型磁気記録媒体100の最表面に形
成される微細な突起の密度は、500万〜10000万
〔個/mm2 〕であるものとし、特に好ましくは800
万〜2000万〔個/mm2〕であるものとする。突起
の密度が500万〔個/mm2 〕未満であると、表面が
平滑になり過ぎ、走行性が悪化してしまい、擦り傷が発
生して良好な電磁変換特性が得られなくなったり、磁性
層2の粉落ちによりエラーレートが多発したりする。一
方、突起の密度が10000万〔個/mm2 〕を越える
と、磁気ヘッドとのスペーシングが生じ、出力の低下を
将来してしまうため、最表面に形成される微細な突起の
密度は、500万〜10000万〔個/mm2 〕とす
る。
【0040】また、金属薄膜型磁気記録媒体の表面にお
いて、不活性微粒子によって形成された突起の高さは、
不活性微粒子の平均粒径の1/3以上であるものとす
る。表面の突起の高さは、適用する不活性微粒子の平均
粒径に対し、上記低分子量ポリマーの層厚や、保護層4
の膜厚を適切に設定することによって、不活性微粒子の
平均粒径の1/3以上に形成することができる。突起の
高さが、不活性微粒子の平均粒径の1/3未満である
と、表面が平滑であるため、摩擦が上昇し、走行耐久性
が悪化するという問題がある。
【0041】微粒子分散層3上には、保護層4を形成す
ることにより、不活性微粒子の固定が行われるため、機
械的強度を担保することができる。
【0042】微粒子分散層3上の保護層4は、例えば、
シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバル
ト、酸化ニッケル等の酸化物、炭化ケイ素、炭化クロ
ム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定形カー
ボン等によって形成することができる。特に、カーボン
を基材とした保護層4は、耐久性、耐蝕性および生産性
に優れている。保護層4を形成することにより、繰り返
し磁気ヘッドとの摺動が行われても、磁気ヘッドの焼き
つきが生じにくく、磁気ヘッドの磨耗量も少なく抑えら
れ、耐蝕性および走行耐久性の向上を図ることができ
る。
【0043】保護層4は、公知の真空成膜技術により形
成することができ、真空蒸着法、インプレーティング
法、スパッタリング法やCVD法によって形成すること
ができる。
【0044】炭素化合物をプラズマ中で分解し、磁性層
2上に成膜するCVD法は、耐磨耗性、耐蝕性、表面被
覆率に優れ、平滑な表面形状と高い電気抵抗率をもつダ
イヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質カーボンを、
10nm以下の厚さに安定して成膜することができる。
炭素化合物としては、炭化水素系、ケトン系、アルコー
ル系等、従来公知の材料をいずれも使用することができ
る。また、プラズマ精製時には、炭素化合物の分解を促
進するためのガスとして、Ar,H2 等が導入されてい
てもよい。
【0045】その他、ダイヤモンドライクカーボンの膜
硬度、耐蝕性の向上を図るため、カーボンが窒素、フッ
素と反応した状態であってもよく、ダイヤモンドライク
カーボン膜は単層であっても多層であってもよい。ま
た、プラズマ生成時に、炭素化合物の他、N2 、CHF
3 、CH2 2 等のガスを単独あるいは適宜混合した状
態で成膜することもできる。
【0046】保護層4は、厚く形成し過ぎると、スペー
シングによる損失が増加し、薄過ぎると、耐磨耗性およ
び耐蝕性が劣化してしまうので、4〜12〔nm〕程度
の厚さに形成することが望ましい。
【0047】なお、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00においては、最 表面において、上記不活性微粒子
により形成される突起が、500万〜10000万〔個
/mm2 〕となるようにする。
【0048】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100に
おいては、磁性層2形成面側およびこれとは反対側の主
面の最表層に、潤滑剤や防錆剤によって、コーティング
することが望ましい。潤滑剤としては、従来公知の炭化
水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等をいずれ
も適用することができる。
【0049】次に、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00について、具体的に〔実施例〕および〔比較例〕を
挙げて説明するが、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体
は、以下の例に限定されるものではない。
【0050】〔実施例1〕図1に示した金属薄膜型磁気
記録媒体100の非磁性支持体1として、厚さ4〔μ
m〕のアラミドフィルムを用意した。
【0051】次に、磁性層2を、図2に示した蒸着装置
10を用いて形成した。金属磁性材料19をCoとし、
下記に示す成膜条件によって真空蒸着を行うことによ
り、膜厚40〔nm〕の磁性層2を形成した。 (成膜条件) 蒸着粒子の入射角:45〜90° 酸素の導入量 :450〔sccm〕 蒸着時の真空度 :7.0×10-2〔Pa〕
【0052】なお、酸素の導入によって、Co金属磁性
薄膜を部分酸化することによって、金属磁性薄膜の保磁
力Hcを110〔kA/m〕、残留磁束密度Brを0.
45〔T〕程度に調整した。
【0053】次に、磁性層2上に微粒子分散層3を形成
する。先ず、微粒子分散層形成用の塗料を下記の条件に
より作製する。 (微粒子分散層形成用の塗料の作製条件) 不活性微粒子:平均粒径7〔nm〕のシリカ微粒子 低分子量ポリマー分散液:低分子量スチレンポリマー
(重量平均分子量400)(スルホン酸基導入量モノマ
ー比5〔%〕) 分散剤 :ステアリルアミド 溶媒 :トルエン 不活性微粒子濃度:0.01〔重量%〕 分散剤濃度 :0.5〔重量%〕
【0054】続いて、グラビアロール塗布量を4.5
〔ml/m2 〕として塗布した後、乾燥処理を行い、乾
燥後の塗布厚が2〔nm〕として微粒子分散層3を成膜
した。〔実施例1〕においては、微粒子分散層によって
不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度、すなわち単
位面積当たりの突起数は、3.0×107 〔個/m
2 〕となった。
【0055】微粒子分散度は、FE−SEM(SE−9
00 日立製作所製)を用いて、塗布後のフィルムの3
〔μm〕×3〔μm〕の範囲を5箇所撮影し、範囲内に
おける微粒子の凝集度を求めた。
【0056】また、不活性微粒子の塗布密度、すなわち
突起の単位面積あたりの個数は、日本電子社製 超高分
解コールドFE−SEM「S−900」(商品名)を用
いて測定し、加速電圧20〔kV〕、倍率3万倍にてカ
ウントし、1〔mm2 〕当たりの個数に換算した。
【0057】続いて、上記微粒子分散層3上に保護層4
を形成する。保護膜4は、カーボンを用いて、以下に示
す条件により、炭素保護膜層をスパッタリング法によっ
て、6〔nm〕の膜厚に形成した。 (保護膜成膜条件) 背圧:4×10-3〔Pa〕 Ar圧:4×10-1〔Pa〕 スパッタ電力:6〔kW〕
【0058】次に、以下示す組成により、バックコート
層5を作製するための組成物をボールミルに投入して、
24時間分散し、混合処理を行った後、架橋剤を添加し
てバックコート層用塗料を調整し、磁性層2形成面側と
は反対側の主面に塗布して膜厚0.6〔μm〕のバック
コート層5を作製した。 (バックコート層作製用塗料の組成) カーボンブラック:50〔重量%〕 ポリウレタン樹脂:50〔重量%〕
【0059】さらに、上記保護層4上に、パーフルオロ
ポリエーテル潤滑剤を塗布して、潤滑剤層を形成した
後、フィルムを8〔mm〕幅に裁断して、サンプルの磁
気テープを作製した。
【0060】〔実施例2〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径および添加量を変化させて微粒子分散層
3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:1.3×1
7 〔個/mm2 〕 なお、結合剤として、アクリル−ポリエステル樹脂、界
面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テルを添加した水溶性溶液を用いた。その他の条件につ
いては、上記〔実施例1〕と同様にしてサンプルの磁気
テープを作製した。
【0061】〔実施例3〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径および添加量を変化させて微粒子分散層
3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:30〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:5.0×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0062】〔実施例4〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量および微粒子分散層用塗料の乾
燥後の塗布厚を変化させて微粒子分散層3を形成した。
この例においては、乾燥後の塗布厚が10〔nm〕とし
て微粒子分散層3を成膜した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:1.4×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0063】〔実施例5〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径および添加量を変化させて微粒子分散層
3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:4〔nm〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:9×107
〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0064】〔実施例6〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径および添加量を変化させて微粒子分散層
3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:0.5×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0065】〔実施例7〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径および添加量を変化させて微粒子分散層
3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:10×10
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0066】〔比較例1〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量を変化させ、乾燥後の塗布厚を
10〔nm〕とし、保護層の厚さを変化させて微粒子分
散層3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:1.2×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0067】〔比較例2〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量を変化させ、保護層の厚さを2
0〔nm〕として微粒子分散層3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:1.3×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0068】〔比較例3〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量を変化させ、乾燥後の塗布厚を
20〔nm〕とし、保護層の厚さを10〔nm〕として
微粒子分散層3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:30〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:4.8×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0069】〔比較例4〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量および乾燥後の塗布厚や保護層
の厚さを変化させて微粒子分散層3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:40〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:5.2×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0070】〔比較例5〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量および乾燥後の塗布厚や保護層
の厚さを変化させて微粒子分散層3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:2〔nm〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:4.5×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0071】〔比較例6〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量を変化させ、乾燥後の塗布厚を
20〔nm〕として微粒子分散層3を形成した。なお、
微粒子分散層用塗料の乾燥後の塗布厚を20〔nm〕と
した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:30〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:10×10
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0072】〔比較例7〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量および乾燥後の塗布厚や保護層
の厚さを変化させて微粒子分散層3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:20×10
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0073】〔比較例8〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量および乾燥後の塗布厚や保護層
の厚さを変化させて微粒子分散層3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:0.3×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例2〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0074】〔比較例9〕不活性微粒子(シリカ微粒
子)の平均粒径、添加量および乾燥後の塗布厚や保護層
の厚さを変化させて微粒子分散層3を形成した。 不活性微粒子(シリカ微粒子)の平均粒径:12〔n
m〕 不活性微粒子(シリカ微粒子)の塗布密度:1.4×1
7 〔個/mm2 〕 その他の条件については、上記〔実施例1〕と同様にし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0075】上記のようにして作製した〔実施例1〕〜
〔実施例7〕および〔比較例1〕〜〔比較例9〕の各サ
ンプルの磁気テープについて、最表面の平均突起高さ
〔nm〕、表面粗さ(Ra)および(Rz)、出力〔d
B〕、C/N〔dB〕、動摩擦係数、走行耐久性のそれ
ぞれのついての評価を行った。この結果を下記〔表1〕
に示す。
【0076】
【表1】
【0077】上記〔表1〕中、不活性微粒子の平均突起
高さ〔nm〕は、作製した磁気テープの5〔μm〕×5
〔μm〕の範囲について、Digital Instrument社製 Nan
oscope3を使用し、タッピングモードAFM像を得、最
大突起高さ×0.75以上の突起の高さを求め、その平
均値を平均突起高さとした。
【0078】上記〔表1〕中、表面粗さは、作製した磁
気テープの10〔μm〕×10〔μm〕の範囲につい
て、Digital Instrument社製 Nanoscope3を使用し、タ
ッピングモードAFM像を得、そのRa値とRz値を測
定した。
【0079】上記〔表1〕中の電磁変換特性、すなわち
出力およびC/Nについては、ドラムテスター(ヘッド
ギャップ長0.18〔μm〕)を用い、テープ相対速度
6.8〔m/分〕として、周波数24〔MHz〕におけ
る出力、および周波数範囲1〜26〔MHz〕における
ノイズを測定し、出力およびC/Nを算出した。
【0080】上記〔表1〕中の摩擦係数については、ス
テンレスピン(SUS303、S値0.2、4mmφ)
を用い、20℃、40%(R.H.)の環境において、
サンプルの磁気テープを90°ピンに巻き付け、10g
の荷重を与えたときに、2cm/sで移動させるのに、
必要な張力(T)を測定し、以下の式により、動摩擦係
数μkを算出した。 μk=2/π・In(T/10)
【0081】上記〔表1〕中の走行耐久製については、
Sony社製AITデッキを改造し、サンプルの磁気テ
ープ1mを繰り返し走行させ、出力が6〔dB〕劣化す
るまでの走行回数を測定した。但し、繰り返し走行回数
の上限を500回とした。
【0082】上記〔表1〕に示すように、プラスチック
フィルムに磁性層2を有し、磁性層2上に、微粒子分散
層3および保護膜4が順次形成された構成を有する金属
薄膜型磁気記録媒体100において微粒子分散層中の不
活性微粒子の平均粒径が、4〜30〔nm〕であり表面
において、不活性微粒子により形成される突起が、50
0万〜10000万〔個/mm2 〕であり、突起の高さ
が、不活性微粒子の平均粒径の1/3以上であるものと
した〔実施例1〕〜〔実施例7〕においては、、表面に
適切かつ均一な高さの微細突起が形成されたので、高い
電磁変換特性が得られ、ノイズレベルの低減化が効果的
に図られ、かつ摩擦や走行耐久性についても良好な評価
が得られた。
【0083】〔比較例1〕の磁気テープは、微粒子分散
層3の乾燥後の膜厚を10〔nm〕とした例であるが、
この場合には、不活性微粒子が層中に埋もれてしまい、
平均突起高さが2〔nm〕となった。このため、電磁変
換特性についての評価は良好であったが、磁気テープの
表面が平滑になり過ぎ、摩擦が増大し、走行耐久性が劣
化した。
【0084】〔比較例2〕の磁気テープは、保護層4の
厚さを20〔nm〕とした例であるが、この場合には、
不活性微粒子が埋もれてしまい、平均突起高さが3〔n
m〕となった。このため、電磁変換特性についての評価
は良好であったが、磁気テープの表面が平滑になり過
ぎ、摩擦が増大し、走行耐久性が劣化した。
【0085】〔比較例3〕の磁気テープは、微粒子分散
層3の乾燥後の膜厚を20〔nm〕とし、保護層4の厚
さを10〔nm〕とした例である。一方、不活性微粒子
の平均粒径は30〔nm〕であるが、微粒子分散層3と
保護層4とが厚く形成されているため、不活性微粒子が
埋もれてしまい、磁気テープの表面が極めて平滑になっ
た。このため、電磁変換特性についての評価は良好であ
ったが、磁気テープの表面が平滑になり過ぎ、摩擦が増
大し、走行耐久性が劣化した。
【0086】〔比較例4〕の磁気テープは、微粒子分散
層3中の不活性微粒子の平均粒径を40〔nm〕とした
例であるが、この場合には、突起が高く形成されるた
め、摩擦特性および走行耐久性については向上するが、
不活性微粒子の平均粒径が大きすぎ、磁気ヘッドとの間
にスペーシングを生じ、電磁変換特性が劣化した。
【0087】〔比較例5〕の磁気テープは、微粒子分散
層3中の不活性微粒子の平均粒径を2〔nm〕とした例
であるが、この場合には、突起が極めて低く形成される
ため、磁気テープの表面が極めて平滑になった。このた
め、電磁変換特性についての評価は良好であったが、磁
気テープの表面が平滑になり過ぎ、摩擦が増大し、走行
耐久性が劣化した。
【0088】〔比較例6〕の磁気テープは、微粒子分散
層3の乾燥後の膜厚を20〔nm〕とした例である。一
方、不活性微粒子の平均粒径は30〔nm〕であるが、
微粒子分散層3が厚く形成されているため、不活性微粒
子が埋もれたり、あるいは突起の高さが不均一になった
りして、電磁変換特性、摩擦特性、走行耐久性が劣化し
た。
【0089】〔比較例7〕の磁気テープは、不活性微粒
子の塗布密度が、20×107 〔個/mm2 〕と極めて
多く、磁気テープの表面が荒れてしまい、ノイズの増加
を将来し、電磁変換特性が悪化した。
【0090】〔比較例8〕の磁気テープは、不活性微粒
子の塗布密度が、0.3×107 〔個/mm2 〕と極め
て少なく、電磁変換特性については、良好な評価が得ら
れたが、摩擦特性、走行耐久性が劣化した。
【0091】〔比較例9〕の磁気テープは、磁気テープ
の表面の平均突起高さが、不活性微粒子の平均粒径〔n
m〕の1/3以下と低いため、電磁変換特性についての
評価は良好であったが、磁気テープの表面が平滑になり
過ぎ、摩擦が増大し、走行耐久性が劣化した。
【0092】上述したことから明らかなように、本発明
の金属薄膜型磁気記録媒体100によれば、磁性層2上
に、表面に微細凹凸を形成するための不活性微粒子を分
散させた微粒子分散層3を形成した構成としたため、不
活性微粒子の塗布密度(単位面積当たりの突起数)や、
最表面における突起の高さを、簡易かつ確実に制御する
ことができ、これにより、電磁変換特性を良好に保持し
つつ、走行耐久性および摩擦特性の向上を図ることがで
きる。
【0093】また、上述した例においては、非磁性支持
体1の一の主面にのみ、磁性層2を形成した場合につい
て説明したが、本発明が上記の例に限定されるものでは
なく、非磁性支持体1の両主面に磁性層2を形成し、こ
れらの磁性層2上に、それぞれにおいて微細粉末分散層
3を形成した構成とすることもできる。
【0094】
【発明の効果】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体におい
ては、非磁性支持体1を機械的強度の高いアラミドフィ
ルムを用いることによって、全体として薄型とすること
ができ、単位体積当たりの記録密度を増大化させること
ができた。また、磁性層2を100μm程度の薄層とす
ることによって、高感度のMRヘッドに対して好適なら
しめることができた。
【0095】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100に
よれば、磁性層2上に、表面に微細凹凸を形成するため
の不活性微粒子を分散させた微粒子分散層3を形成した
構成としたため、不活性微粒子の塗布密度(単位面積当
たりの突起数)や、最表面における突起の高さを、簡易
かつ確実に制御することができ、これにより、電磁変換
特性を良好に保持しつつ、走行耐久性および摩擦特性の
向上を図ることができた。
【0096】また、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00によれば、不活性微粒子の平均粒径〔nm〕、不活
性微粒子の塗布密度(単位面積当たりの突起数)、およ
び最表面における突起の高さと不活性微粒子の平均粒径
〔nm〕との比を数値的に規定したことによって、ノイ
ズレベルを効果的に低減させることができ、電磁変換特
性を高く保持しつつ、摩擦特性および走行耐久性の向上
を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の概略断面図
を示す。
【図2】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体を構成する磁
性層を作製するための蒸着装置の概略図を示す。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 微粒子分散層、4
保護層、5 バックコート層、10 蒸着装置、11
真空室、13 送りロール、14 巻き取りロール、
15 冷却キャン、16,17 ガイドロール、18
ルツボ、19金属磁性材料、20 電子銃、21,22
排気口、23 シャッター、24酸素ガス導入管、1
00 金属薄膜型磁気記録媒体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の少なくとも一主面に、真
    空薄膜形成技術により形成した磁性層を有する金属薄膜
    型磁気記録媒体であって、 上記磁性層上に、微粒子分散層および保護膜が順次形成
    されて成り、 上記微粒子分散層は、不活性微粒子を分散させた塗料を
    塗布することにより形成されて成り、 上記微粒子の平均粒径は、4〜30〔nm〕であり、 表面において、上記不活性微粒子により形成される突起
    が、500万〜10000万〔個/mm2 〕であること
    を特徴とする金属薄膜型磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 金属薄膜型磁気記録媒体の表面におい
    て、上記不活性微粒子によって形成された突起の高さ
    が、上記不活性微粒子の平均粒径の1/3以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 磁気抵抗効果型の磁気ヘッドを用いて情
    報の記録あるいは再生がなされることを特徴とする請求
    項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
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