JPH0636281A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH0636281A
JPH0636281A JP19569092A JP19569092A JPH0636281A JP H0636281 A JPH0636281 A JP H0636281A JP 19569092 A JP19569092 A JP 19569092A JP 19569092 A JP19569092 A JP 19569092A JP H0636281 A JPH0636281 A JP H0636281A
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magnetic
thin film
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protective film
magnetic recording
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JP19569092A
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Kazunobu Chiba
一信 千葉
Kenichi Sato
研一 佐藤
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安定性の高い保護膜を有する信頼性の高い磁
気記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性支持体上に真空蒸着法により磁性薄膜
を形成し、該磁性薄膜上に真空薄膜形成方法によりカー
ボンあるいはーボンを含む保護膜を形成する際に、保護
膜形成前に磁性薄膜表面に還元性ガスあるいは水素ガス
を含む不活性ガスによりボンバード処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性層となる磁性薄膜
を真空蒸着法により非磁性支持体上に形成し、該磁性薄
膜上に真空薄膜形成手段によりカーボンまたはカーボン
を含む保護膜を形成する磁気記録媒体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニルー酢酸ビニル系共重合体、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の
有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥
することにより作成される塗布型の磁気記録媒体が広く
使用されている。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、
ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着し
た、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され
注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れる
ばかりでなく、磁性層の厚みをきわめて薄くできる為、
記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性
層中に非磁性材であるそのバインダーを混入する必要が
無いため磁性材料の充填密度を高めることが出来ること
など、数々の利点を有している。
【0005】更に、この種の磁気記録媒体の電磁変換特
性を向上させ、より大きな出力を得ることが出来るよう
にするために、該磁気記録媒体の磁性層を形成する場
合、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案さ
れ実用化されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体においては、磁性層が非常に薄いこ
と、金属磁性材料が高分子等によりコーティングされて
いないことから、耐久性,耐錆性が良好ではなく、潤滑
剤及び防錆剤等をコーティングする、あるいは微粒子を
磁性層形成前に非磁性支持体上に塗布するといった、い
わゆる下塗技術の検討がなされている。しかし、これら
の技術では、特殊な環境下における使用や業務用のよう
な苛酷な仕様に充分対応できる特性を達成することがで
きないため、真空蒸着,スパッタ,プラズマCVD等の
真空薄膜形成手段によって表面保護膜を形成するといっ
た技術の検討が行われており、表面保護膜の材料として
はカーボン,カーボンを含む材料が用いられている。
【0007】上記のような真空薄膜形成手段により形成
された表面保護膜を有する磁気記録媒体においては、耐
久性は非常に良好であるものの、高温環境下における長
期間の保存や磁性層の製造条件によって、保護膜の接着
性の低下や耐久性の劣化といった問題が発生している。
【0008】そこで、本発明は従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、耐久性が良好で、安定性の優れた保
護膜を形成することを目的とし、信頼性の高い磁気記録
媒体を製造できる磁気記録媒体の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、非磁性支持体上に真空蒸着法により磁
性薄膜を形成し、該磁性薄膜上に真空薄膜形成手段によ
りカーボンまたはカーボンを含む保護膜を形成する磁気
記録媒体の製造方法において、保護膜形成前の磁性薄膜
表面を還元性ガスを含む不活性ガスでボンバード処理を
行うことを特徴とするものである。
【0010】また、本発明は、非磁性支持体上に真空蒸
着法により磁性薄膜を形成し、該磁性薄膜上に真空薄膜
形成手段によりカーボンまたはカーボンを含む保護膜を
形成する磁気記録媒体の製造方法において、保護膜形成
前の磁性薄膜表面を水素ガスを含む不活性ガスでボンバ
ード処理を行うことを特徴とするものである。
【0011】さらに、本発明の磁気記録媒体の製造方法
においては、保護膜をスパッタ法またはCVD法により
形成しても良い。
【0012】上記ボンバード処理は、非磁性支持体上に
磁性薄膜を形成し、これを走行させながらDCまたはR
F電源により電圧を印加し、かつ放電を持続させる為に
水素ガスまたは還元性ガスを含む不活性ガスを供給して
行う。この時、水素ガスまたは還元性ガスの量は5mo
l%以上とする。水素ガスまたは還元性ガスの量が5m
ol%未満であると充分なボンバード処理が行われな
い。また、上記不活性ガスとしては、アルゴンガス,窒
素ガス等が挙げられ、上記還元性ガスとしては、水素や
アセチレン等の炭化水素系のガスや液体を気化させたも
のが挙げられる。
【0013】本発明の磁気記録媒体の製造方法によって
製造される磁気記録媒体においては、非磁性支持体上に
強磁性金属材料を直接被着することにより金属磁性薄膜
が磁性層として形成されているが、この金属磁性材料と
しては、通常の蒸着テ−プに使用されるものであれば如
何なるものであってもよい。
【0014】例示すれば、Fe,Co,Niなどの強磁
性金属、Fe−Co,Co−Ni,Fe−Co−Ni,
Fe−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−Pt,M
n−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co−Cr,Ni
−Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−Cr,Fe−
Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられる。これら
の単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。さら
には、非磁性支持体と金属磁性薄膜間、あるいは多層膜
の場合には、各層間の付着力向上、並びに抗磁力の制御
等のため、下地層または、中間層を設けてもよい。ま
た、例えば磁性層表面近傍が耐蝕性改善等のために酸化
物となっていてもよい。
【0015】金属磁性薄膜形成の手段としては、真空下
で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着させ
る真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行う
イオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲
気中でグロー放電を越こし生じたアルゴンイオンでター
ゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等、いわゆる
PVD技術によればよい。
【0016】また、上記非磁性支持体上に形成された強
磁性金属材料上には保護膜層が形成されているがこの材
料として例示すれば、カーボンの単層膜、または、Cr
2,Al2 3 ,BN,Co酸化物,MgO,SiO
2 ,Si3 4 ,SiNX ,SiC,SiNX ─SiO
2 ,ZrO2 ,TiO2 ,TiC等の耐摩耗性保護膜
や、Cu,Au,Pt,Ag,Cr,Ni,Ti,A
l,Mn,Mo,W,Pd及びこれらの金属の合金等と
カーボンの多層膜や複合膜が挙げられる。
【0017】勿論、本発明にかかる磁気テープの構成は
これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲での変更、例えば必要に応じてバックコート層
を形成したり、非磁性支持体上に下塗層を形成したり、
潤滑剤、防錆剤などの層を形成することは何等差し支え
ない。この場合、バックコート層に含まれる非磁性顔
料、樹脂結合剤あるいは潤滑剤、防錆剤層に含まれる材
料としては従来公知のものがいずれも使用できる。
【0018】
【作用】本発明においては、非磁性支持体上に真空蒸着
法により磁性薄膜を形成し、該磁性薄膜上に真空薄膜形
成手段によりカーボンまたはカーボンを含む保護膜を形
成する磁気記録媒体の製造方法において、保護膜形成前
の磁性薄膜表面を還元性ガスまたは水素ガスを含む不活
性ガスでボンバード処理を行うため、保護膜の磁性薄膜
への接着性が優れており、安定性の優れた保護膜を得る
ことができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明がこの実施例に限定されるものではな
い。
【0020】まず、本実施例において磁性薄膜の成膜に
使用した蒸着製造装置の構成について説明する。図1に
示す様に、この製造装置においては、頭部と低部にそれ
ぞれ設けられた排気口15から排気されて内部が真空状
態となされた真空室1内に、図中の反時計回り方向に定
速回転する送りロール3と、図中の時計回り方向に定速
回転する巻取りロール4とが設けられ、これら送りロー
ル3から巻取りロール4にテープ状の非磁性支持体2が
順次走行するようになされている。
【0021】これら送りロール3から巻取りロール4側
に上記非磁性支持体2が走行する中途部には、上記各ロ
ール3、4の径よりも大径となされた冷却キャン5が設
けられている。この冷却キャン5は、上記非磁性支持体
2を図中下方に引き出す様に設けられ、図中の時計回り
方向に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロール
3、巻取りロール4、及び、冷却キャン5は、それぞれ
非磁性支持体2の幅と略同じ長さからなる円筒状をなす
ものであり、また上記冷却キャン5には、内部に図示し
ない冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体2の温度上
昇による変形等を抑制し得るようになされている。
【0022】従って、上記非磁性支持体2は送りロール
3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン5の周面
を通過し、巻取りロール4に巻取られていくようになさ
れている。尚、上記送りロール3と上記冷却キャン5と
の間及び該冷却キャン5と上記巻取りロール4との間に
はそれぞれガイドロール6、7が配設され、上記送りロ
ール3から冷却キャン5及び該冷却キャン5から巻取り
ロール4にわたって走行する非磁性支持体2に所定のテ
ンションをかけ、該非磁性支持体2が円滑に走行するよ
うになされている。また、上記真空室内には、上記冷却
キャン5の下方にルツボ8が設けられ、このルツボ8内
に金属磁性材料9が充填されている。このルツボ8は、
上記冷却キャン5の長手方向の幅と略同一の幅を有して
なる。
【0023】一方、上記真空室1の側壁部には、上記ル
ツボ8内に充填された金属磁性材料9を加熱蒸発させる
ための電子銃10が取り付けられる。この電子銃10
は、当該電子銃10より放出される電子線Xが上記ルツ
ボ8内の金属磁性材料9に照射されるような位置に配設
される。そして、この電子銃10によって蒸発した金属
磁性材料9が上記冷却キャン5の周面を定速走行する非
磁性支持体2上に磁性層として被着形成されるようにな
っている。
【0024】また、上記冷却キャン5と上記ルツボ8と
の間であって該冷却キャン5の近傍には、シャッタ13
が配設されている。このシャッタ13は、上記冷却キャ
ン5の周面を定速走行する非磁性支持体2の所定領域を
覆う形で形成され、このシャッタ13により上記蒸発せ
しめられた金属磁性材料9が上記非磁性支持体2に対し
て所定の角度範囲で斜めに蒸着されるようになってい
る。更に、このような蒸着に際し、上記真空室1の側壁
部を貫通して設けられる酸素ガス導入口14を介して非
磁性支持体2の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性、
耐久性及び耐候性の向上が図られている。
【0025】この真空蒸着は、真空室1を例えば真空度
1×10-4Torrに保ちながら、これらの真空室1内にガ
ス導入口14により酸素ガスを例えば250cc/min の
割合で導入しながら行う。この場合、非磁性支持体2に
対する蒸発金属の入射角は例えば45〜90°の範囲と
する。また、磁性層は円筒キャン5において例えば20
00Åの厚さに蒸着される。なお、蒸発源8に用いられ
るインゴットの組成は例えばCo80ーNi20(数値
は組成を重量%で表す。)
【0026】次に、本実施例において保護膜の形成に使
用したキャンロール対向型スパッタリング製造装置の構
成について説明する。図2に示す様に、この製造装置に
おいては、頭部と低部にそれぞれ設けられた排気口21
から排気されて内部が真空状態となされた真空室22内
に、図中の時計回り方向に定速回転する送りロール23
と、図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロール2
4とが設けられ、これら送りロール23から巻取りロー
ル24にテープ状の非磁性支持体25が順次走行するよ
うになされている。
【0027】これら送りロール23から巻取りロール2
4側に上記非磁性支持体25が走行する中途部には、上
記各ロール23、24の径よりも大径となされた円筒キ
ャン26が設けられている。この円筒キャン26は、上
記非磁性支持体25を図中下方に引き出す様に設けら
れ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。
尚、上記送りロール23、巻取りロール24、及び、円
筒キャン26は、それぞれ非磁性支持体25の幅と略同
じ長さからなる円筒状をなすものであり、また上記円筒
キャン26には、内部に図示しない冷却装置が設けら
れ、上記非磁性支持体25の温度上昇による変形等を抑
制し得るようになされている。
【0028】従って、上記非磁性支持体25は、送りロ
ール23から順次送り出され、さらに上記冷却キャン2
6の周面を通過し、巻取りロール24に巻取られていく
ようになされている。尚、上記送りロール23と上記円
筒キャン26との間及び該冷却キャン26と上記巻取り
ロール24との間にはそれぞれガイドロール27、28
が配設され、上記送りロール23から円筒キャン26及
び該円筒キャン26から巻取りロール24にわたって走
行する非磁性支持体25に所定のテンションをかけ、該
非磁性支持体25が円滑に走行するようになされてい
る。
【0029】また、上記真空室22内には、上記円筒キ
ャン26の下方に円筒キャンと略平行となるように設置
されたターゲットカソード29が設けられており、ター
ゲットカソード29表面に保護膜材料が接着されてい
る。また、カソード29にはDC電源30が接続されて
いる。さらに、このターゲットカソード29の近傍部に
は保護膜の原料ガスおよびキャリアガスを導入する導入
口31、32が設けられている。
【0030】このターゲットカソード29は、上記円筒
キャン26の幅より300mm程大きい幅を有してな
る。尚、本実施例では、円筒キャンは冷却されている
が、保護膜と磁性膜の接着強度を上げるため適宜加熱し
た状態でもよい。
【0031】さらに本実施例において保護膜の形成に使
用したキャン対抗電極型プラズマCVD製造装置の構成
について説明する。図3に示す様に、この製造装置にお
いては、頭部と低部にそれぞれ設けられた排気口55か
ら排気されて内部が真空状態となされた真空室41内
に、図中の時計回り方向に定速回転する送りロール43
と、図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロール4
4とが設けられ、これら送りロール43から巻取りロー
ル44にテープ状の非磁性支持体42が順次走行するよ
うになされている。
【0032】これら送りロール43から巻取りロール4
4側に上記非磁性支持体42が走行する中途部には、上
記各ロール43、44の径よりも大径となされた円筒キ
ャン45が設けられている。この円筒キャン45は、上
記非磁性支持体42を図中下方に引き出す様に設けら
れ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。
尚、上記送りロール43、巻取りロール44、及び、円
筒キャン45は、それぞれ非磁性支持体42の幅と略同
じ長さからなる円筒状をなすものであり、また上記円筒
キャン45には、内部に図示しない冷却装置が設けら
れ、上記非磁性支持体42の温度上昇による変形等を抑
制し得るようになされている。
【0033】従って、上記非磁性支持体42は、送りロ
ール43から順次送り出され、さらに上記冷却キャン4
5の周面を通過し、巻取りロール44に巻取られていく
ようになされている。尚、上記送りロール43と上記円
筒キャン45との間及び該冷却キャン45と上記巻取り
ロール44との間にはそれぞれガイドロール46、47
が配設され、上記送りロール43から円筒キャン45及
び該円筒キャン45から巻取りロール44にわたって走
行する非磁性支持体42に所定のテンションをかけ、該
非磁性支持体42が円滑に走行するようになされてい
る。
【0034】この送りロールには、DC電源51また
は、RF電源52によりバイアス電圧が印加できる構造
となっている。また、上記真空室内には、上記円筒キャ
ン45の左方に円筒キャンと略平行となるように曲面化
された対向電極48が設けられ、この対向電極48には
高周波電源49が接続されている。さらに、この対抗電
極48の側近部には保護膜の原料ガスおよびキャリアガ
スを導入する導入口が設けられている。
【0035】この対抗電極48は、上記円筒キャン45
の長手方向の幅と略同一の幅を有してなる。尚、本実施
例では、円筒キャンは冷却されているが、保護膜と磁性
膜の接着強度をあげるため適宜加熱した状態でもよい。
また、バイアス電圧は円筒キャンに印加される構造とな
っていてもよい。
【0036】そこで、このような構成を有する製造装置
を用いて、下記に示す材質よりなる下塗が施された非磁
性支持体上に、酸素雰囲気中でCo−Ni合金を斜め蒸
着し、例えば膜厚約0.2μmの金属磁性薄膜を磁性層
として被着形成した後、バックコート、トップコートを
ほどこし所定のテープ幅に裁断してサンプルテープを作
成した。
【0037】<サンプルテープの作成> ベース :ポリエチレンテレフタレート 10μm 150mm幅 下塗 :アクリルエステルを主成分とする
水溶性ラテックスを塗布 密度 約1000万個/mm2 蒸着条件 インゴット :Co80─Ni20wt% 入射角 :45〜90° テープ速度 :0.17m/sec 磁性層厚 :0.2μm 酸素導入量 :3.3×10-63 /sec 蒸着時真空度 :7×10-2Pa バックコート :カーボン、及びウレタンバインダ
ーを混合したものを0.6μm厚塗布 トップコート :パーフルオロポリエーテルを塗布 スリット幅 :8mm幅
【0038】このように形成されたサンプルテープに所
定の条件でボンバード処理を行い、前述のキャンロール
対向型スパッタリング製造装置あるいはキャン対抗電極
型プラズマCVD製造装置を用いて、下記の条件でスパ
ッタ法あるいはCVD法により保護膜の形成を行った。
【0039】〈スパッタ条件〉 方式 :DCマグネトロンスパッタ ターゲット材 :カーボン 使用ガス :アルゴン バックグラウンド真空度:4×10-3Pa 成膜時真空度 :2Pa テープ速度 :0.1m/sec 保護膜厚 :0.015μm
【0040】〈CVD条件〉 方式 :キャン対向電極型プラズマC
VD 使用ガス :アルゴン,エチレン 真空度 :7〜9Pa テープ速度 :0.18m/sec 保護膜厚 :0.015μm
【0041】上記サンプルテープに、アルゴン,水素雰
囲気中(95:5mol%)でボンバード処理を施した
後にスパッタ法により保護膜を形成したものを実施例
1、同条件下でボンバード処理を施した後にCVD法に
より保護膜を形成したものを実施例2、アルゴン,アセ
チレン雰囲気中でボンバード処理を施した後にスパッタ
法により保護膜を形成したものを実施例3,4とし、実
施例3,4ではアルゴンとアセチレンの混合比を異なる
ものとした。(実施例3は、80:20mol%、実施
例4は、95:5mol%)さらに比較のために、アル
ゴン雰囲気中でボンバード処理を施した後にスパッタ法
により保護膜を形成したものを比較例1、アルゴン,酸
素雰囲気中(80:20mol%)でボンバード処理を
施した後にスパッタ法により保護膜を形成したものを比
較例2、アルゴン,水素雰囲気中(98:2mol%)
でボンバード処理を施した後にスパッタ法により保護膜
を形成したものを比較例3とした。
【0042】上記のようにして得られた実施例1〜4及
び比較例1〜3においてスチル耐久性の評価を行った。
スチル耐久性の測定は、ソニー製EV−S900改造機
を用い、初期の出力レベルから3db出力が低下するま
での時間により評価を行った。各測定サンプルは45
℃,80%RH環境下に7日間放置したものを用いた。
また、耐錆性の評価は、各測定サンプルの初期の磁気特
性(φs1 )とガス腐食試験機を用いSO2 ガス0.3
ppm雰囲気中に24時間放置した後の磁気特性(φs
2 )の測定を行い、磁気特性の劣化量(Δφs)を数1
により算出して行った。
【0043】
【数1】
【0044】測定結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1を見て分かるように、ボンバード処理
をアルゴンガス雰囲気中で行った比較例1、及びアルゴ
ン,酸素雰囲気中で行った比較例2においては、スチル
耐久性,耐錆性共に良好な結果が得られなかった。これ
は、磁性薄膜とカーボン保護膜との接着性が経時変化に
より劣化したものと考えられ、原因として磁性薄膜表面
の遊離酸素や酸化層からの酸素の離脱が発生し、カーボ
ン膜との接着性を悪くしたものと考えられる。
【0047】一方、実施例1〜4においては、ボンバー
ド処理の際にアルゴンガス中に水素,アセチレンを含有
させることにより、良好なスチル耐久性及び耐錆性の結
果を得た。これは、実施例1〜4においては、磁性薄膜
表面の酸素を取り除き、表面酸化部分を還元することに
よって、接着性に優れた保護膜を形成できたためと思わ
れる。また、実施例1と比較例3の結果の比較により、
アルゴンガス中の水素含有量は5mol%以上が適して
いることが確認された。
【0048】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、非磁性支持体上に真空蒸着法により磁性
薄膜を形成し、該磁性薄膜上に真空薄膜形成手段により
カーボンまたはカーボンを含む保護膜を形成する磁気記
録媒体の製造方法において、保護膜形成前の磁性薄膜表
面を還元性ガスまたは水素ガスを含む不活性ガスでボン
バード処理を行うため、保護膜の磁性薄膜への接着性が
優れており、安定性の優れた保護膜を得ることができ、
信頼性の高い磁気記録媒体を得ることができる。また、
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、従来の製造方法を
大きく変更することなく実施することが可能であり、そ
の工業的価値は非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空蒸着装置の一構成例を示す模式図である。
【図2】キャンロール対向型スパッタリング製造装置の
一構成例を示す模式図である。
【図3】キャン対向電極型プラズマCVD製造装置の一
構成例を示す模式図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に真空蒸着法により磁性
    薄膜を形成し、該磁性薄膜上に真空薄膜形成手段により
    カーボンまたはカーボンを含む保護膜を形成する磁気記
    録媒体の製造方法において、 保護膜形成前の磁性薄膜表面を還元性ガスを含む不活性
    ガスでボンバード処理を行うことを特徴とする磁気記録
    媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に真空蒸着法により磁性
    薄膜を形成し、該磁性薄膜上に真空薄膜形成手段により
    カーボンまたはカーボンを含む保護膜を形成する磁気記
    録媒体の製造方法において、 保護膜形成前の磁性薄膜表面を水素ガスを含む不活性ガ
    スでボンバード処理を行うことを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 保護膜がスパッタ法またはCVD法によ
    り形成されることを特徴とする請求項1または2記載の
    磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 還元性ガスの量5mol%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 水素ガスの量が5mol%以上であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
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