JPH06282840A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH06282840A
JPH06282840A JP7211693A JP7211693A JPH06282840A JP H06282840 A JPH06282840 A JP H06282840A JP 7211693 A JP7211693 A JP 7211693A JP 7211693 A JP7211693 A JP 7211693A JP H06282840 A JPH06282840 A JP H06282840A
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protective film
magnetic
recording medium
magnetic recording
film
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JP7211693A
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English (en)
Inventor
Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Seiichi Onodera
誠一 小野寺
Hiroshi Uchiyama
浩 内山
Kenichi Sato
研一 佐藤
Kazunobu Chiba
一信 千葉
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 スパッタ法,CVD法,イオンプレーティン
グ法より選ばれる少なくとも1つの方法によってカーボ
ン保護膜を形成するに際し、真空室内の背圧を5×10
-2Pa以下とする、或いは真空室内の背圧を1×10-1
Pa以下且つ水素分圧を1%以上とした状態で成膜す
る。これによってカーボン保護膜の酸素含有量が3原子
%以下である磁気記録媒体とすることができる。 【効果】 スチル耐久性に優れた磁気記録媒体と、その
製造方法が提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保護膜が形成された金
属磁性薄膜型の磁気記録媒体に関するものであり、ま
た、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニルー酢酸ビニル系共重合体、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の
有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥
することにより作成される塗布型の磁気記録媒体が広く
使用されている。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、
ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着し
た、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され
注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできる
為、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく短波長
での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層中に非
磁性材であるそのバインダーを混入する必要が無いため
磁性材料の充填密度を高めることが出来ることなど、数
々の利点を有している。
【0005】更に、この種の磁気記録媒体の電磁変換特
性を向上させ、より大きな出力を得ることが出来るよう
にするために、該磁気記録媒体の磁性層を形成する場
合、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案さ
れ実用化されている。したがって、前記金属薄膜媒体
は、磁気特性の優位さ故に今後の高密度磁気記録媒体の
主流になると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記金属磁性薄膜型の
磁気記録媒体は、磁性層が通常0.2μm程度と非常に
薄いため耐久性や防錆性に問題があると言われており、
これを解決するために、潤滑剤,防錆剤等の有機材料を
磁性層表面にコーティングしたり、微粒子を磁性層形成
前に下塗りしたりといった手段がとられている。しか
し、これらの技術では、特殊な環境下における使用や業
務用の仕様に十分に満足できる特性を実現できていな
い。
【0007】また、スペーシング損失を低減するために
磁気記録媒体は平滑化される傾向にあり、さらに優れた
摺動耐久性が要求されるようになってきている。このた
め、磁性層表面に保護膜を形成する技術の検討がなされ
るようになり、スパッタやCVD等を用いたいわゆる薄
膜成膜法や、有機樹脂を表面に薄く塗布した後、電子線
等により硬化する方法によって保護膜を形成することが
検討されている。本発明者等の研究により、上記薄膜成
膜法により成膜されたカーボン保護膜の方が、塗料を硬
化させて得た保護膜より総合的特性に優れていることが
確認されているが、作成された磁気記録媒体の耐久性は
未だ満足できるものではない。
【0008】そこで本発明は、かかる実情に鑑みて提案
されたものであり、耐久性に優れた磁気記録媒体と、そ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意検討を重ねた結果、保護膜に含
有される酸素量を規制することによって耐久性に優れた
磁気記録媒体となることを見い出し、本発明を完成する
に至った。
【0010】すなわち本発明は、非磁性支持体上に少な
くとも磁性薄膜とカーボン保護膜が形成されてなる磁気
記録媒体において、上記カーボン保護膜の酸素含有量が
3原子%以下であることを特徴とするものである。
【0011】上記非磁性支持体上には、強磁性金属材料
を直接被着することにより金属磁性薄膜が磁性層として
形成されているが、この金属磁性材料としては、通常の
蒸着テ−プに使用されるものであれば如何なるものであ
ってもよい。例示すれば、Fe,Co,Ni等の強磁性
金属、Fe−Co,Co−Ni,Fe−Co−Ni,F
e−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−Pt,Mn
−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co−Cr,Ni−
Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−Cr,Fe−C
o−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられる。
【0012】これらの単層膜であってもよいし多層膜で
あってもよい。さらには、非磁性支持体と金属磁性薄膜
間、あるいは多層膜の場合には、各層間の付着力向上、
並びに抗磁力の制御等のため、下地層または、中間層を
設けてもよい。また、例えば磁性層表面近傍が耐蝕性改
善等のために酸化物となっていてもよい。金属磁性薄膜
形成の手段としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発さ
せ非磁性支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金
属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、
アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を越こし
生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子をたたき
出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術によればよい。
【0013】また、上記磁性薄膜上には保護膜が形成さ
れるが、この材料はカーボン(いわゆるダイヤモンドカ
ーボンや、ダイヤモンドライクカーボンも含む)であ
り、この保護膜は単層膜であっもよいし多層膜や複合膜
であってもよい。
【0014】上記保護膜中の酸素含有量は3原子%以下
であることが好ましく、これを超えると保護膜の耐久性
が劣化し、作成された磁気記録媒体の摺動耐久性が劣化
してしまう。
【0015】このため、上記保護膜中の酸素含有量を制
御する必要があるが、本発明者等は、保護膜形成時の条
件を規定することによって、上記カーボン保護膜の酸素
含有量を制御する方法を見いだした。
【0016】すなわち本発明は、非磁性支持体上に少な
くとも磁性薄膜とカーボン保護膜を形成する磁気記録媒
体の製造方法において、上記カーボン保護膜が、真空室
内の背圧を5×10-2Pa以下とした状態で成膜される
ことを特徴とするものである。
【0017】なお、真空室内の背圧が上述の範囲を超え
ると、作成されたカーボン保護膜の酸素含有量が3原子
%を超えてしまうため、磁気記録媒体の耐久性が劣化し
てしまう。
【0018】または本発明は、非磁性支持体上に少なく
とも磁性薄膜とカーボン保護膜を形成する磁気記録媒体
の製造方法において、上記カーボン保護膜が、真空室内
の背圧を1×10-1Pa以下とし、且つ水素分圧を1%
以上とした状態で成膜されることを特徴とするものであ
る。
【0019】上述のように真空室内に水素を導入するこ
とにより、保護膜中の酸素含有率を低減することが可能
となるが、真空室内の背圧が1×10-1Paを超える
と、水素の導入によっても十分な酸素含有率の低減は不
可能となる。また、真空室内の背圧が1×10-1Pa以
下であっても、水素の分圧が1%未満であると、酸素含
有率を低減する効果が十分には発揮されない。
【0020】なお、本発明において上記カーボン保護膜
の成膜は、スパッタリング法,CVD法,イオンプレー
ティング法より選ばれる少なくとも1つの方法によって
行われる。
【0021】もちろん、本発明に係わる磁気記録媒体の
構成はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を
逸脱しない範囲での変更、例えば必要に応じてバックコ
ート層を形成したり、非磁性支持体上に下塗層を形成し
たり、潤滑剤、防錆剤などの層を形成することは何等差
し支えない。この場合、バックコート層に含まれる非磁
性顔料、樹脂結合剤あるいは潤滑剤、防錆剤層に含まれ
る材料としては従来公知のものがいずれも使用できる。
【0022】
【作用】カーボン保護膜に含有される酸素含有量を低減
すると保護膜の耐久性が向上し、摺動耐久性に優れた磁
気記録媒体とすることができる。
【0023】真空室内の背圧を低くする、又は、真空室
内に水素を導入することにより、カーボン保護膜に含有
される酸素含有量を規制することができる。したがっ
て、保護膜形成時に、条件を規制してやることによっ
て、耐久性に優れた磁気記録媒体を製造することができ
る。
【0024】
【実施例】
【0025】以下、本発明の具体的な実施例について説
明するが、本発明がこの実施例に限定されるものではな
い。
【0026】まず、本実施例において磁性薄膜の形成に
使用した蒸着製造装置の構成について説明する。図1に
示す様に、この製造装置においては、頭部と低部にそれ
ぞれ設けられた排気口1から排気されて内部が真空状態
となされた真空室2内に、図中の回り方向に定速回転す
る送りロール3と、同様に図中の時計回り方向に定速回
転する巻取りロール4とが設けられ、これら送りロール
3から巻取りロール4にテープ状の非磁性支持体5が順
次走行するようになされている。
【0027】これら送りロール3から巻取りロール4側
に上記非磁性支持体5が走行する中途部には、上記各ロ
ール3、4の径よりも大径となされた冷却キャン6が設
けられている。この冷却キャン6は、上記非磁性支持体
5を図中下方に引き出す様に設けられ、図中の時計回り
方向に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロール
3、巻取りロール4、及び冷却キャン6は、それぞれ非
磁性支持体5の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすも
のであり、また上記冷却キャン6には、内部に図示しな
い冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体5の温度上昇
による変形等を抑制し得るようになされている。
【0028】従って、上記非磁性支持体5は、送りロー
ル3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン6の周
面に沿って走行し、巻取りロール4に巻取られる。な
お、上記送りロール3と上記冷却キャン6との間及び該
冷却キャン6と上記巻取りロール4との間にはそれぞれ
ガイドロール7、8が配設され、上記送りロール3から
冷却キャン5及び該冷却キャン6から巻取りロール4に
わたって走行する非磁性支持体5に所定のテンションを
かけ、該非磁性支持体5が円滑に走行するようになされ
ている。また、上記真空室内には、上記冷却キャン6の
下方にルツボ9が設けられ、このルツボ9内に金属磁性
材料10が充填されている。このルツボ9は、上記冷却
キャン6の長さと略同一の幅を有してなる。
【0029】一方、上記真空室2の側壁部には、上記ル
ツボ9内に充填された金属磁性材料10を加熱蒸発させ
るための電子銃11が取り付けられる。この電子銃11
は、当該電子銃11より放出される電子線Xが上記ルツ
ボ9内の金属磁性材料10に照射されるような位置に配
設される。そして、この電子銃11によって蒸発した金
属磁性材料10が上記冷却キャン6の周面を定速走行す
る非磁性支持体5上に磁性層として被着形成されるよう
になっている。
【0030】また、上記冷却キャン6と上記ルツボ9と
の間であって該冷却キャン6の近傍には、シャッタ12
が配設されている。このシャッタ12は、上記冷却キャ
ン6の周面を定速走行する非磁性支持体5の所定領域を
覆う形で形成され、このシャッタ12により上記蒸発せ
しめられた金属磁性材料10が上記非磁性支持体5に対
して所定の角度範囲で斜めに蒸着されるようになってい
る。更に、このような蒸着に際し、上記真空室2の側壁
部を貫通して設けられる酸素ガス導入口14を介して非
磁性支持体5の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性、
耐久性及び耐候性の向上が図られている。
【0031】次に、保護膜形成のために使用したマグネ
トロンスパッタ装置の構成について説明する。図2に示
す様に、この装置においては、上部と底部にそれぞれ設
けられた排気口21a,21bから排気されて内部が真
空状態となされた真空室22内に、同図中の矢印a方向
に定速回転する送りロール23と、同様に同図中の矢印
b方向に定速回転する巻取りロール24とが設けられ、
これら送りロール23から巻取りロール24にテープ状
の可撓性支持体25が順次走行するようになされてい
る。
【0032】これら送りロール23から巻取りロール2
4側に上記可撓性支持体25が走行する中途部には、上
記各ロール23、24の径よりも大径となされた円筒キ
ャン26が設けられている。この円筒キャン26は、上
記可撓性支持体25を図中下方に引き出す様に設けら
れ、同図中の矢印cで示す方向に定速回転する構成とさ
れる。
【0033】尚、上記送りロール23、巻取りロール2
4、及び円筒キャン26は、それぞれ可撓性支持体25
の幅と略等しい長さを有する円筒体であり、可撓性支持
体25の保護膜形成面が鉛直方向となるように設置され
ている。すなわち、送りロール23、巻取りロール2
4、及び円筒キャン26の長軸方向が鉛直方向と一致す
るようになされる。従って、上記可撓性支持体25は、
送りロール23から順次送り出され、さらに上記円筒キ
ャン26の周面に沿って走行し、巻取りロール24に巻
取られていくようになされている。
【0034】上記送りロール23と上記円筒キャン26
との間及び該円筒キャン26と上記巻取りロール24と
の間にはそれぞれガイドロール27、28が配設され、
上記送りロール23から円筒キャン26及び該円筒キャ
ン26から巻取りロール24にわたって走行する可撓性
支持体25に所定のテンションをかけ、該可撓性支持体
25が円滑に走行するようになされている。なお、この
送りロール23には、DC電源又はRF電源(図示せ
ず。)によりバイアス電圧が印加できる構造となってい
る。
【0035】上記円筒キャン26は冷却されているが、
可撓性支持体25と金属薄膜との接着強度を上げるた
め、適宜加熱した状態でもよい。また、同様の目的で成
膜前に予めボンバード処理を施してもよい。
【0036】また、上記真空室22内には上記円筒キャ
ン26の側方にカソード29があり、DC電源30に接
続されている。また、このカソード29表面に保護膜材
料であるターゲット材が接着されており、この近傍にス
パッタガスを導入するための導入口31が設けられてい
る。上記カソード29は、この円筒キャン26の長さよ
り300mm程大きい幅を有しており、上記円筒キャン
26の周面に平行となるように対向して設置されてい
る。
【0037】また、上述のカソード29には冷却水の供
給及び排出を行う冷却パイプ(図示せず。)が接続さ
れ、冷却水を循環させることにより、これに接着された
ターゲット材が加熱されるのを防止するようにしてもよ
い。
【0038】そして、上述の装置において、真空室22
を一定の真空度に保ち、カソード28上のターゲット材
をスパッタリングし、走行する可撓性支持体25表面に
被着させることによって薄膜形成が行われる。
【0039】次に、上記マグネトロンスパッタ装置同
様、保護膜の形成を行うキャン対向電極型プラズマCV
D製造装置の構造について説明する。図3に示す様に、
この製造装置においては、頭部と低部にそれぞれ設けら
れた排気口55から排気されて内部が真空状態となされ
た真空室41内に、図中の時計回り方向に定速回転する
送りロール43と、図中の時計回り方向に定速回転する
巻取りロール44とが設けられ、これら送りロール43
から巻取りロール44にテープ状の可撓性支持体42が
順次走行するようになされている。
【0040】これら送りロール43から巻取りロール4
4側に上記可撓性支持体42が走行する中途部には、上
記各ロール43、44の径よりも大径となされた円筒キ
ャン45が設けられている。この円筒キャン45は、上
記可撓性支持体42を図中下方に引き出す様に設けら
れ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。
尚、上記送りロール43、巻取りロール44、及び、円
筒キャン45は、それぞれ可撓性支持体42の幅と略同
じ長さからなる円筒状をなすものであり、また上記円筒
キャン45には、内部に図示しない冷却装置が設けら
れ、上記可撓性支持体42の温度上昇による変形等を抑
制し得るようになされている。
【0041】従って、上記可撓性支持体42は、送りロ
ール43から順次送り出され、さらに上記円筒キャン4
5の周面を通過し、巻取りロール44に巻取られていく
ようになされている。なお、上記送りロール42と上記
円筒キャン45との間及び該円筒キャン45と上記巻取
りロール44との間にはそれぞれガイドロール46、4
7が配設され、上記送りロール43から円筒キャン45
及び該円筒キャン45から巻取りロール44にわたって
走行する可撓性支持体42に所定のテンションをかけ、
該可撓性支持体42が円滑に走行するようになされてい
る。
【0042】この送りロールには、DC電源51また
は、RF電源52によりバイアス電圧が印加できる構造
となっている。また、上記真空室内には、上記円筒キャ
ン45の左方に円筒キャンと略平行となるように曲面化
された対向電極48が設けられ、この対向電極48には
高周波電源49が接続されている。
【0043】さらに、この対向電極49の側近部には保
護膜の原料ガスを導入する導入口50が設けられてい
る。なお、上記対向電極48は上記円筒キャン45の長
手方向の幅と略同一の幅を有してなる。また、バイアス
電圧は円筒キャンに印加される構造となっていてもよ
い。
【0044】そして、上述した構成を有する図1の蒸着
装置を用いて、先ず下塗が施された非磁性支持体上に、
酸素雰囲気中でCo−Ni合金を斜め蒸着し、膜厚約
0.2μmの金属磁性薄膜を磁性層として被着形成した
後、図2のスパッタ装置又は図3のプラズマCVD装置
を用いて保護膜を形成し、バックコート、トップコート
を施し所定のテープ幅に裁断してサンプルテープを作成
した。
【0045】なお、作成条件は以下のとおりである。 ベースフィルム:ポリエチレンテレフタレート 10μm,150mm幅 下塗り :アクリルエステルを主成分とする水溶
性ラテックスを塗布密度 約1000万個/mm2 バックコート :カーボン及びウレタンバインダーを混
合したものを0.6μm厚塗布 トップコート :パーフルオロポリエーテルを塗布 スリット幅 :8mm幅
【0046】上記ベースフィルム(非磁性支持体)とし
ては、保護膜が形成されたために劣化する電磁変換特性
の補填のため、即ちスペーシングロスを小さくするため
に、下塗時の製造条件を適宜調整し、非磁性支持体の表
面性(主に突起高さ)を制御したものを用いた。
【0047】蒸着は以下の条件で行った。 インゴット :Co95─Ni5 入射角 :45−90° テープ速度 :0.17m/sec 磁性層厚み :0.2μm 酸素導入量 :3.3×10-63/sec 蒸着時真空度 :7×10-2Pa
【0048】スパッタリングによる成膜の条件を示す。 方式 :DCマグネトロンスパッタ法 ターゲット材 :カーボン 投入電力 :5w/cm2 真空度 :2Pa 保護膜膜厚 :0.015μm
【0049】同じく、プラズマCVDによる成膜の条件
を示す。 方式 :プラズマCVD法 投入電力 :500w(13.56MHz) 真空度 :10Pa 保護膜膜厚 :0.015μm
【0050】ここで実際に、保護膜形成に上述のスパッ
タ装置を用い、真空室22内の背圧を様々に変化させて
実施例1〜4,比較例1のサンプルテープを作成した。
なお、背圧の調整は、真空室22にコンダクタンスバル
ブを設けてこれを開閉することによって行った。またス
パッタガスとしてはアルゴンを用い、流量を調整するこ
とによって2Paとなるようにした。
【0051】そして、上述の条件に従って作成された各
サンプルテープについて、保護膜中の酸素含有量とスチ
ル耐久性を測定した。スチル耐久性は、ソニー社製,8
mmVTR,商品名 EVS−900改造機を用い、初
期の出力レベルから3dB出力が減衰するまでの時間を
測定して評価した。また、保護膜の酸素含有量は、FT
−IR測定によるC−O結合とC−C結合の割合により
求めた。これらの測定結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】これより、実施例1〜4においては、作成
された保護膜に酸素は殆ど含有されておらずスチル耐久
性に優れたものとなったが、真空室内の背圧が高い比較
例1においては、保護膜の酸素含有率が急激に増加して
スチル耐久性が劣化していることがわかる。
【0054】次に、上記真空室22内の背圧を一定(8
×10-2Pa)とし、スパッタガスとして上記アルゴン
に水素を混合したものを用いて保護膜形成を行い、実施
例5,6、比較例2のサンプルテープを作成した。水素
分圧を変化させることにより、保護膜中の酸素含有量と
スチル耐久性は表2に示すように変化した。
【0055】
【表2】
【0056】ここでは真空室内の背圧を高く設定してい
るため、水素を添加しなかった比較例2においては、保
護膜中の酸素含有量が多くスチル耐久性に劣ったものと
なったが、スパッタガスとしてアルゴンに水素を添加し
た実施例5,6は、保護膜中の酸素含有量を3原子%以
下に抑えることができ、スチル耐久性に優れたものとな
った。
【0057】さらに、保護膜形成に上述のCVD装置を
用い、真空室41内の背圧を様々に変化させるととも
に、原料ガスであるエチレンに水素を添加させて保護膜
を作成し、実施例7,8,比較例3のサンプルテープを
作成した。なお、背圧の調整は、真空室41にコンダク
タンスバルブを設けてこれを開閉することによって行
い、水素ガスとエチレンの混合ガス(又はエチレンガス
単独)の流量を調整することによって10Paとなるよ
うにした。
【0058】表3に、各サンプルテープについて、保護
膜形成時の背圧、水素分圧、作成された保護膜の酸素含
有量、スチル耐久性の各数値を示す。
【0059】
【表3】
【0060】これより、CVD法によって保護膜作成を
行った場合においてもスパッタ法を用いた場合と同様
に、真空室内の背圧を低くして成膜を行うと、作成され
た保護膜の酸素含有量が低くスチル耐久性に優れたもの
となることがわかる(実施例7参照)。逆に、真空室内
の背圧が高いと保護膜の酸素含有量が3原子%を超えス
チル耐久性が劣化している(比較例3参照)が、実施例
8のように原料ガスに水素を添加することにより保護膜
の酸素含有量が低減され、スチル耐久性が向上すること
がわかる。
【0061】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、カーボ
ン保護膜に含有される酸素含有量を3原子%以下に規制
した磁気記録媒体は、スチル耐久性に優れたものとな
る。
【0062】真空室内の背圧を5×10-2Pa以下とし
た状態で成膜する、又は、真空室内の背圧を1×10-1
Pa以下とし、且つ水素分圧を1%以上とした状態とし
て成膜を行うことにより、カーボン保護膜に含有される
酸素含有量を3原子%以下に規制することができるの
で、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、耐久性に優れ
た磁気記録媒体を製造する効果的な方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸着装置の一構成例を示す模式図である。
【図2】スパッタ装置の一構成例を示す模式図である。
【図3】CVD装置の一構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
21・・・排気口 22・・・真空室 23・・・送りロール 24・・・巻取りロール 25・・・可撓性支持体 26・・・円筒キャン 27,28・・・ガイドロール 29・・・カソード 30・・・DC電源 31・・・ガス導入口
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 研一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 千葉 一信 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも磁性薄膜と
    カーボン保護膜が形成されてなる磁気記録媒体におい
    て、上記カーボン保護膜の酸素含有量が3原子%以下で
    あることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に少なくとも磁性薄膜と
    カーボン保護膜を形成する磁気記録媒体の製造方法にお
    いて、 上記カーボン保護膜が、真空室内の背圧を5×10-2
    a以下とした状態で成膜されることを特徴とする磁気記
    録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に少なくとも磁性薄膜と
    カーボン保護膜を形成する磁気記録媒体の製造方法にお
    いて、 上記カーボン保護膜が、真空室内の背圧を1×10-1
    a以下とし、且つ水素分圧を1%以上とした状態で成膜
    されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 カーボン保護膜の成膜が、スパッタリン
    グ法,CVD法,イオンプレーティング法より選ばれる
    少なくとも1つの方法によって行われることを特徴とす
    る請求項2又は請求項3記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
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