JPH0963044A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0963044A
JPH0963044A JP21922195A JP21922195A JPH0963044A JP H0963044 A JPH0963044 A JP H0963044A JP 21922195 A JP21922195 A JP 21922195A JP 21922195 A JP21922195 A JP 21922195A JP H0963044 A JPH0963044 A JP H0963044A
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JP
Japan
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magnetic
protective film
carbon
recording medium
magnetic recording
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Application number
JP21922195A
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English (en)
Inventor
Kazunobu Chiba
一信 千葉
Kenichi Sato
研一 佐藤
Kazuo Hoshi
一男 星
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動耐久性,耐候性に優れた磁気記録媒体を
獲得する。 【解決手段】 金属磁性薄膜型の磁気記録媒体におい
て、磁性薄膜上に、炭素を主成分とし、水素含有量が3
0原子%〜70原子%である保護膜を形成する。但し、
この保護膜の水素含有量は、高エネルギー弾性反跳粒子
検出法で水素の原子数を測定し、ラザフォード後方散乱
分光法で炭素の原子数を測定したときに、炭素と水素の
合計原子数に対する水素の原子数の割合である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
磁性薄膜とカーボン保護膜が順次成膜されてなる磁気記
録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の
有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥
することにより作成される塗布型の磁気記録媒体が広く
使用されている。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりとともに、Co−Ni合金、Co−Cr合金、C
o−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、
ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着し
た、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され
注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできる
ため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく短波
長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層中に
非磁性材であるそのバインダーを混入する必要がないた
め磁性材料の充填密度を高めることができることなど、
数々の利点を有している。
【0005】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするために、該磁気記録媒体の磁性層を形成する場
合、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案さ
れ実用化されている。
【0006】したがって、前記金属磁性薄膜型の媒体
は、磁気特性的な優位さ故に今後の高密度磁気記録媒体
の主流になると考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、今後更なる
高密度化の流れから、スペーシング損失を少なくするた
め磁気記録媒体の表面は平滑化される傾向にある。その
結果、媒体表面の平滑化に伴ってヘッド−媒体間の摩擦
力は増大し、媒体に生ずる剪断応力は大きくなる。
【0008】このように摺動耐久性に対する要求が厳し
くなる状況のなかで、耐久性を向上させる目的で磁性層
表面に保護膜を形成する技術の検討がなされてきた。特
に耐摩耗性のよいカーボン膜を保護膜として形成するこ
とにより摺動耐久性を高めることが可能になる。
【0009】しかしながら、カーボン保護膜は、膜形成
方法や条件の違いにより摺動耐久性が著しく異なるとい
う問題がある。
【0010】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、摺動耐久性,耐候性に優
れ、信頼性の高い磁気記録媒体を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと長期に亘り鋭意研究を重ねた。その
結果、カーボン保護膜の成分や膜形成方法を規定するこ
とにより摺動耐久性,耐候性に優れた磁気記録媒体が得
られるとの知見を得るに至った。
【0012】本発明は、かかる知見に基づいて完成され
たものである。すなわち、本発明の磁気記録媒体は、非
磁性支持体上に、単層または多層構造の磁性薄膜が形成
され、この磁性薄膜上に炭素を主成分とする保護膜が形
成されてなる磁気記録媒体であって、上記保護膜は、高
エネルギー弾性反跳粒子検出法で水素の原子数を測定
し、ラザフォード後方散乱分光法で炭素の原子数を測定
したときに、炭素と水素の合計原子数に対する水素の原
子数の割合が30原子%〜70原子%であることを特徴
とするものである。
【0013】なお、このようなカーボン保護膜は、例え
ばスパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング
法によって形成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施の形態につ
いて説明する。
【0015】本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上
に磁性薄膜が形成され、この磁性薄膜上にカーボンを主
成分とする保護膜が形成されて構成されている。
【0016】磁性薄膜は、強磁性金属材料を真空薄膜成
膜手段によって非磁性支持体上に直接被着することで形
成されるものである。
【0017】この強磁性金属材料としては、金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体で通常用いられているものがいずれ
も使用可能である。例示すれば、Fe,Co,Ni等の
強磁性金属、Fe−Co,Co−Ni,Fe−Co−N
i,Fe−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−P
t,Mn−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co−C
r,Ni−Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−C
r,Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられ
る。
【0018】真空薄膜成膜手段としては、真空下で強磁
性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着させる真空
蒸着法や、強磁性金属材料の蒸着を放電中で行うイオン
プレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中で
グロー放電を起こし生じたアルゴンイオンでターゲット
表面の原子をたたき出すスパッタ法等、いわゆるPVD
技術が挙げられる。
【0019】なお、磁性薄膜としては、これらの強磁性
金属材料の単層膜であってもよいし多層膜であってもよ
い。また、非磁性支持体と金属磁性薄膜間、あるいは多
層膜の場合には、各層間に、付着力向上並びに抗磁力の
制御等の目的で下地層または中間層を設けてもよい。さ
らに、磁性層表面近傍が耐蝕性改善等のために酸化物と
なっていてもよい。
【0020】このような磁性薄膜上には、炭素を主体と
する保護膜が形成される。このカーボン保護膜は、真空
薄膜成膜手段によって成膜されるものであり、媒体に摺
動耐久性を付与する。
【0021】本発明では、このカーボン保護膜の水素含
有量を30原子%〜70原子%に規制する。
【0022】カーボン保護膜では、膜中に存在する水素
が当該保護膜の耐久性及び耐腐食性と密接に関連してい
る。したがって、カーボン保護膜中の水素含有量を適正
範囲にもっていくことにより、摺動耐久性や耐候性が向
上するようになる。
【0023】なお、ここで言うカーボン保護膜の水素含
有量とは、高エネルギー弾性反跳粒子検出法(ERD
A)で測定される水素の原子数と、ラザフォード後方散
乱分光法(RBS)で測定される炭素の原子数に基づい
て求められるものである。すなわち、この測定法で測定
される炭素の原子数と水素の原子数の合計に対する水素
の原子数の割合である。但し、カーボン保護膜表面に
は、外部環境由来の水分が吸着していることから、この
ERDAで測定される水素の原子数は、保護膜に内在す
る水素とこの保護膜表面に吸着する吸着水の水素との合
計原子数に相当する。
【0024】このようなカーボン保護膜は、真空薄膜成
膜手段によって成膜されるが、その成膜手段としてはス
パッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法等
が挙げられる。
【0025】このうち、例えばスパッタリング法では、
カーボンをターゲットとして用い、成膜雰囲気中にスパ
ッタガスとなる不活性ガスとともにトルエンやエチレン
等の炭化水素ガスを導入することでカーボン保護膜が成
膜される。カーボン保護膜の水素含有量は、その際のガ
ス圧や投入電力によって制御される。
【0026】また、CVD法においては、原料ガスとし
てトルエンやエチレン等の炭化水素ガスを用いることで
カーボン保護膜が成膜され、その膜の水素含有量はガス
圧や投入電力によって制御される。
【0027】なお、カーボン膜の水素含有量を規制する
ことは、特公平4−28785号公報や特公平5−58
068号公報にも記載されている。しかし、これらはい
ずれも、カーボン膜の熱伝導率を高めることに主眼を置
いており、カーボン膜の水素含有量を本発明で規制する
範囲とは異なる範囲に規制している。すなわち、これら
公報で提案されているカーボン膜は、本発明で用いるカ
ーボン保護膜とは異なるものである。
【0028】以上、本発明の磁気記録媒体の基本的な構
成について説明したが、磁気記録媒体の構成はこれに限
らない。本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更、例え
ば必要に応じてバックコート層を形成したり、非磁性支
持体上に下塗層を形成したり、潤滑剤、防錆剤などの層
を形成しても何等差し支えない。なお、この場合、バッ
クコート層に含まれる非磁性顔料、樹脂結合剤あるいは
潤滑層剤、防錆剤層に含まれる材料等としては従来公知
のものがいずれも使用可能である。
【0029】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明がこの実施例に限定されるものではな
い。
【0030】まず、本実施例において磁性薄膜の形成に
使用したの構成について説明する。この蒸着装置は、図
1に示すように、頭部と底部にそれぞれ設けられた排気
口1から排気され内部が真空状態となされた真空室2内
に、図中の時計回り方向に定速回転する送りロール3
と、同様に図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロ
ール4とが設けられ、これら送りロール3から巻取りロ
ール4にテープ状の非磁性支持体5が順次走行するよう
になされている。
【0031】これら送りロール3から巻取りロール4側
に上記非磁性支持体5が走行する中途部には、上記各ロ
ール3,4の径よりも大径となされた冷却キャン6が設
けられている。この冷却キャン6は、上記非磁性支持体
5を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回
り方向に定速回転する構成とされる。なお、上記送りロ
ール3、巻取りロール4、及び冷却キャン6は、それぞ
れ非磁性支持体5の幅と略同じ長さからなる円筒状をな
すものであり、また上記冷却キャン6には、内部に図示
しない冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体5の温度
上昇による変形等を抑制し得るようになされている。
【0032】従って、上記非磁性支持体5は、送りロー
ル3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン6の周
面を通過し、巻取りロール4に巻取られていくようにな
されている。なお、上記送りロール3と上記冷却キャン
6との間及び該冷却キャン6と上記巻取りロール4との
間にはそれぞれガイドロール7,8が配設され、上記送
りロール3から冷却キャン5及び該冷却キャン6から巻
取りロール4にわたって走行する非磁性支持体5に所定
のテンションをかけ、該非磁性支持体5が円滑に走行す
るようになされている。また、上記真空室2内には、上
記冷却キャン6の下方にルツボ9が設けられ、このルツ
ボ9内に金属磁性材料10が充填されている。このルツ
ボ9は、上記冷却キャン6の長さと略同一の幅を有して
なる。
【0033】一方、上記真空室2の側壁部には、上記ル
ツボ9内に充填された金属磁性材料10を加熱蒸発させ
るための電子銃11が取り付けられる。この電子銃11
は、当該電子銃11より放出される電子線Xが上記ルツ
ボ9内の金属磁性材料10に照射されるような位置に配
設される。そして、この電子銃11によって蒸発した金
属磁性材料10が上記冷却キャン6の周面を定速走行す
る非磁性支持体5上に磁性層として被着形成されるよう
になっている。
【0034】また、上記冷却キャン6と上記ルツボ9と
の間であって該冷却キャン6の近傍には、シャッタ12
が配設されている。このシャッタ12は、上記冷却キャ
ン6の周面を定速走行する非磁性支持体5の所定領域を
覆う形で形成され、このシャッタ12により上記蒸発せ
しめられた金属磁性材料10が上記非磁性支持体5に対
して所定の角度範囲で斜めに蒸着されるようになってい
る。さらに、このような蒸着に際し、上記真空室2の側
壁部を貫通して設けられる酸素ガス導入口14を介して
非磁性支持体5の表面に酸素ガスが供給され、磁気特
性、耐久性及び耐候性の向上が図られている。
【0035】この真空蒸着は、真空室2を例えば真空度
1×10-4Torrに保ちながら、これらの真空室2内
にガス導入口14により酸素ガスを例えば250cc/
分の割合で導入しながら行う。この場合、非磁性支持体
5に対する蒸発金属の入射角は例えば45〜90°の範
囲とする。また、磁性層は円筒キャン6において、例え
ば2000オングストロームの厚さに蒸着される。な
お、蒸着源に用いられるインゴット(金属磁性材料1
0)の組成は例えばCo80−Ni20(数値は組成を
重量%で表す)である。
【0036】次に、本実施例においてカーボン保護膜の
形成に使用したキャンロール対向型スパッタリング装置
の構成について説明する。
【0037】このスパッタリング装置においては、図2
に示すように、頭部と底部にそれぞれ設けられた排気口
21から排気されて内部が真空状態となされた真空室2
2内に、時計回り方向に定速回転する送りロール23
と、図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロール2
4とが設けられ、これら送りロール23から巻取りロー
ル24にテープ状の非磁性支持体25が順次走行するよ
うになされている。
【0038】これら送りロール23から巻取りロール2
4側に上記非磁性支持体25が走行する中途部には、上
記各ロール23,24の径よりも大径となされた円筒キ
ャン26が設けられている。この円筒キャン26は、上
記非磁性支持体25を図中下方に引き出すように設けら
れ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。
【0039】なお、上記送りロール23、巻取りロール
24、及び円筒キャン26は、それぞれ非磁性支持体2
5の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものであり、
また上記円筒キャン26には、内部に図示しない冷却装
置が設けられ、上記非磁性支持体25の温度上昇による
変形等を抑制し得るようになされている。
【0040】したがって、上記非磁性支持体25は、送
りロール23から順次送り出され、さらに上記冷却キャ
ン26の周面を通過し、巻取りロール24に巻き取られ
ていくようになされている。なお、上記送りロール23
と上記円筒キャン26との間及び該冷却キャン26と上
記巻取りロール24との間にはそれぞれガイドロール2
7,28が配設され、上記送りロール23から円筒キャ
ン26及び該円筒キャン26から巻取りロール24にわ
たって走行する非磁性支持体25に所定のテンションを
かけ、該非磁性支持体25が円滑の走行するようになさ
れている。
【0041】また、上記真空室22内には、上記円筒キ
ャン26の左方に円筒キャンと略平行となるように設置
されたターゲットカソード29が設けられている。ター
ゲット材料は焼結カーボンで、カソード29にはDC電
源30が接続されている。さらに、このターゲットカソ
ード29の近傍部には保護膜の原料ガスおよびキャリア
ガスを導入する導入口31,32が設けられている。
【0042】このターゲットカソード29は、上記円筒
キャン26の幅より300mm程大きい幅を有してな
る。なお、本実施例では、円筒キャンは冷却されている
が、保護膜と磁性膜の被着強度を上げるため適宜加熱し
た状態でもよい。
【0043】さらに、本実施例において使用したキャン
対向電極型プラズマCVD製造装置の構成について説明
する。
【0044】図3に示すように、この製造装置において
は、頭部と底部にそれぞれ設けられた排気口55から排
気されて内部が真空状態となされた真空室41内に、図
中の時計回り方向に定速回転する送りロール43と、図
中の時計回り方向に定速回転する巻取りロール44とが
設けられ、これら送りロール43から巻取りロール44
にテープ状の非磁性支持体42が順次走行するようにな
されている。
【0045】これら送りロール43から巻取りロール4
4側に上記非磁性支持体42が走行する中途部には、上
記各ロール43,44の径よりも大径となされた円筒キ
ャン45が設けられている。この円筒キャン45は、上
記非磁性支持体42を図中下方に引き出すように設けら
れ。図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。
なお、上記送りロール43、巻取りロール44、及び、
円筒キャン45は、それぞれ非磁性支持体42の幅と略
同じ長さからなる円筒状をなすものであり、また上記円
筒キャン45には、内部に図示しない冷却装置が設けら
れ、上記非磁性支持体42の温度上昇による変形等を抑
制し得るようになされている。
【0046】したがって、上記非磁性支持体42は、送
りロール43から順次送り出され、さらに上記冷却キャ
ン45の周面を通過し、巻取りロール44に巻き取られ
ていくようになされている。なお、上記送りロール43
と上記円筒キャン45との間及び該冷却キャン45と上
記巻取りロール44との間にはそれぞれガイドロール4
6,47が配設され、上記送りロール43から円筒キャ
ン45及び該円筒キャン45から巻取りロール44にわ
たって走行する非磁性支持体42に所定のテンションを
かけ、該非磁性支持体42が円滑に走行するようになさ
れている。
【0047】この送りロールには、DC電源51また
は、RF電源52によりバイアス電圧が印加できる構造
となっている。また、上記真空室内には、上記円筒キャ
ン45の左方に円筒キャンと略平行となるように曲面化
された対向電極48が設けられ、この対向電極48には
高周波電源49が接続されている。さらに、この対向電
極48側の側近部には保護膜の原料ガスおよびキャリア
ガスを導入する導入口50が設けられている。
【0048】この対向電極48は、上記円筒キャン45
の長手方向の幅と略同一の幅を有してなる。
【0049】なお、本実施例では、円筒キャンは冷却さ
れているが、保護膜と磁性膜の接着を上げるため適宜加
熱した状態でもよい。また、バイアス電圧は円筒キャン
に印加される構造となっていてもよい。
【0050】実施例1 以下のようにして磁気テープを作成した。
【0051】まず、下塗りが施された非磁性支持体を用
意した。なお、ここでは、後工程で、保護膜を形成する
ため、そのスペーシングロスによる電磁変換特性の劣化
を補填する目的で、下塗り時の乾燥条件を適宜調整し、
非磁性支持体の表面性をコントロールした。
【0052】 非磁性支持体:ポリエチレンテレフタレート 10μm厚、150mm幅 下塗り :アクリルエステルを主成分とする水溶性ラテックスを塗布 突起密度 約1000万個/mm2 次に、上記非磁性支持体上に、図1に示す蒸着装置を用
い、酸素雰囲気中、Co−Ni合金を斜め蒸着すること
で膜厚約0.2μmの金属磁性薄膜を成膜した。
【0053】そして、このようにして成膜された磁性薄
膜上に、図2に示すスパッタリング装置を用い、膜厚
0.015μmのカーボン保護膜を成膜した。このカー
ボン保護膜のスパッタ条件は以下の通りである。
【0054】 カーボン保護膜のスパッタ条件 方式 :直流マグネトロンスパッタ方式 ターゲット材:カーボン 導入ガス :アルゴンガス:気化トルエン:エチレン=1:0.8:0.2 の混合ガス 投入電力 :5W/cm2 真空度 :0.1〜10Pa 膜厚 :0.015μm 次に、非磁性支持体の磁性薄膜,保護膜を成膜した側と
は反対側の面にカーボン及びウレタンバインダーよりな
るバックコート層を0.6μmの厚さで形成し、上記保
護膜上にパーフルオロポリエーテルをトップコートし
た。
【0055】そして、このようにして各層が形成された
テープ原反を8mm幅に裁断することで磁気テープを作
成した。
【0056】実施例2 カーボン保護膜をスパッタリング法で成膜するに際し
て、成膜雰囲気に導入するガスとしてアルゴン:気化ト
ルエン:エチレン=1:0.8:1の混合ガスを用い、
投入電力を8W/cm2としたこと以外は実施例1と同
様にして磁気テープを作成した。
【0057】実施例3 カーボン保護膜をスパッタリング法で成膜するに際し
て、成膜雰囲気に導入するガスとしてアルゴン:気化ト
ルエン:エチレン=1:1:10の混合ガスを用い、投
入電力を8W/cm2としたこと以外は実施例1と同様
にして磁気テープを作成した。
【0058】実施例4 カーボン保護膜の成膜を、図3に示すCVD装置によっ
て行ったこと以外は実施例1と同様にして磁気テープを
作成した。なお、カーボン保護膜のCVD条件は以下の
通りである。
【0059】カーボン保護膜のCVD条件 方式 :プラズマCVD法 原料ガス:アルゴン:エチレン:気化トルエン=1:
1:1の混合ガス 投入電力:200〜800W(13.56MHz) 真空度 :1〜30Pa 膜厚 :0.015μm比較例1 カーボン保護膜を成膜しなかったこと以外は実施例1と
同様にして磁気テープを作成した。
【0060】比較例2 カーボン保護膜をスパッタリング法で成膜するに際し
て、成膜雰囲気に導入するガスとしてアルゴン単独ガス
を用い、投入電力を1W/cm2としたこと以外は実施
例1と同様にして磁気テープを作成した。
【0061】比較例3 保護膜をスパッタリング法で成膜するに際して、成膜雰
囲気に導入するガスとしてアルゴン:気化トルエン:エ
チレン=1:0:50の混合ガスを用い、投入電力を1
W/cm2としたこと以外は実施例1と同様にして磁気
テープを作成した。
【0062】比較例4 保護膜をCVD法で成膜するに際して、原料ガスとして
水素:エチレン=1:1の混合ガスを用いたこと以外は
実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
【0063】以上のようにして作成される磁気テープに
ついて、保護膜の水素含有量を、高エネルギー弾性反跳
子検出法(ERDA)及びラザフォード後方散乱分光法
(RBS)を併用して測定した。その結果を表1に示
す。なお、水素含有量の測定条件は下記の通りである。
【0064】 入射イオン :He++ 1.0MeV ERDA検出角度 :30° RBS検出角度 :160° イオンビームと試料のなす角度:15° また、各磁気テープについて、スチル耐久性及びシャト
ル耐久性を 8mmVTR(ソニー社製 商品名EVS
−900)改造機を用いて行った。
【0065】なお、シャトル耐久性は、各磁気テープを
60分長でカセットに組み込み、100回繰り返し走行
後の出力の劣化量を測定することで評価した。
【0066】また、耐候性は、温度60℃相対湿度95
%で1週間保存した時の初期残留磁束φrに対する保存
後の残留磁束φrの変化量(劣化量)比によって評価し
た。
【0067】これらの測定結果をカーボン保護膜の水素
含有量と併せて表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1において、まずカーボン保護膜を形成
していない比較例1の磁気テープを見ると、カーボン保
護膜を設けた他の磁気テープに比べてスチル耐久性、シ
ャトル耐久性、耐候性が劣っている。このことから、耐
久性,耐候性の確保にはカーボン保護膜が必要であるこ
とがわかる。
【0070】次に、カーボン保護膜を形成した磁気テー
プ同士を比較すると、カーボン保護膜の水素含有量が3
0原子%〜70原子%である実施例1〜実施例4の磁気
テープは、カーボン保護膜の水素含有量が30原子%未
満である磁気テープに比べて、スチル耐久性、シャトル
耐久性、耐候性のいずれについても優れている。
【0071】なお、カーボン保護膜の水素含有量が70
原子%を越えるカーボン保護膜は、成膜条件を各種変化
させても形成するのが非常に困難であり、実際の製造で
安定に得るには困難であると考えられる。
【0072】このことから、水素含有量を30〜70原
子%に規制することは、媒体に良好な耐久性,耐候性を
付与できるカーボン保護膜を得る上で有効であることが
わかった。
【0073】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、磁性薄膜上に形成されるカーボン保護膜
の水素及び炭素の原子数をそれぞれ高エネルギー弾性反
跳粒子検出法,ラザフォード後方散乱分光法で測定し、
その測定値に基づいて、水素含有量を30原子%〜70
原子%に規制するので、摺動耐久性,耐候性に優れた磁
気記録媒体を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空蒸着装置の一例を示す模式図である。
【図2】キャンロール対向型スパッタリング製造装置の
一例を示す模式図である。
【図3】キャン対向電極型プラズマCVD製造装置の一
例を示す模式図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、単層または多層構造
    の磁性薄膜が形成され、この磁性薄膜上に炭素を主成分
    とする保護膜が形成されてなる磁気記録媒体において、 上記保護膜は、高エネルギー弾性反跳粒子検出法で水素
    の原子数を測定し、ラザフォード後方散乱分光法で炭素
    の原子数を測定したときに、炭素と水素の合計原子数に
    対する水素の原子数の割合が30原子%〜70原子%で
    あることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 保護膜が、スパッタリング法、CVD
    法、イオンプレーティング法のいずれかによって成膜さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
JP21922195A 1995-08-28 1995-08-28 磁気記録媒体 Pending JPH0963044A (ja)

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