JPH11350617A - プレキャストコンクリート複合パネルの大型化粧板間の目地構造 - Google Patents

プレキャストコンクリート複合パネルの大型化粧板間の目地構造

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JPH11350617A
JPH11350617A JP10163362A JP16336298A JPH11350617A JP H11350617 A JPH11350617 A JP H11350617A JP 10163362 A JP10163362 A JP 10163362A JP 16336298 A JP16336298 A JP 16336298A JP H11350617 A JPH11350617 A JP H11350617A
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JP
Japan
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large decorative
mortar
precast concrete
joint
elastic
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Application number
JP10163362A
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English (en)
Inventor
Koichiro Yokoki
光一郎 横木
Masaharu Sasaki
正治 佐々木
Minoru Nakayama
實 中山
Hiroaki Nakagawa
裕章 中川
Shunzo Kanezaki
俊造 金崎
Masami Ogawa
正巳 小川
Masayuki Kitamura
雅之 北村
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OTSUKA OOMI TOGYO KK
Kajima Corp
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
OTSUKA OOMI TOGYO KK
Kajima Corp
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、隣設される大型化粧板間の目地部
に弾性モルタルを充填することで大型化粧板の亀裂や破
損を防止すると共にその防水性能により吸水、透水がな
く、テクスチュアーの近似により美観を確保することが
出来、汚れが付着し難く、作業性が良いプレキャストコ
ンクリート複合パネルの大型化粧板間の目地構造を提供
することを可能にすることを目的としている。 【解決手段】 下地プレキャストコンクリート板2に複
数の大型化粧板1が密着して積層され、隣設する大型化
粧板1間の目地部3に弾性モルタル4を充填して構成し
たことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の外壁等に
使用され、表面に化粧板を設けたプレキャストコンクリ
ート複合パネルの大型化粧板間の目地構造に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、外壁等に使用されるプレキャスト
コンクリート複合パネルとしては、下地プレキャストコ
ンクリートの表面にモルタル(以下、「張り付けモルタ
ル」という)を塗布し、該張り付けモルタルにより複数
の大型化粧板を張り付けた後、隣設する大型化粧板の目
地部にモルタル(以下、「モルタル目地材」という)を
充填したもの(第1従来例)や、大型化粧板の裏面に定
着金物(クランプ金物)を取り付け、該定着金物を下地
プレキャストコンクリートの表層部に埋め込んだ後、隣
設する大型化粧板の目地部に弾性シーリング材を充填し
たもの(第2従来例)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
第1従来例では、隣設する大型化粧板の目地部に充填さ
れるモルタル目地材は硬くて変形能力が少ないため大型
化粧板や下地プレキャストコンクリートが日射による熱
や乾燥収縮によって変形した場合、目地部のモルタルで
その変形を吸収することが出来ないため大型化粧板に亀
裂や破損が生じたり、或いは該大型化粧板が強い場合は
モルタル目地材が破損して、該モルタル目地材が大型化
粧板から剥離したり脱離する虞がある。
【0004】化粧板が例えば10cm角程度以下の小さな
陶器、磁器タイルでは、該タイル1枚ずつの変形量が小
さいためモルタル目地材でも変形を吸収し、モルタル目
地材やタイルに不具合が生じることはないが、30cm角
以上の大型化粧板になると上述した問題が発生する虞が
ある。
【0005】また、第1従来例の場合、モルタル目地材
は吸水、透水するため雨水等がこの部分より浸入して下
地プレキャストコンクリートに水分が供給され、該下地
プレキャストコンクリートの耐久性を低下させる。特に
下地プレキャストコンクリートの材質が軽量気泡コンク
リート(ALC)の場合、該ALCは吸水性が通常のコ
ンクリートよりも高いため水分の供給量が増大し、複合
パネルの強度が低下したり耐久性が低下し易くなる。
【0006】また、浸入した水分によってモルタル目地
材、張り付けモルタル、下地プレキャストコンクリート
内の成分であるカルシウム分が溶解し、それが水分移動
に伴って化粧板の目地部からエフロレッセンス(白華)
として現れ、化粧板表面を汚染する。
【0007】更に、大型化粧板や下地プレキャストコン
クリートの変形によってモルタル目地材が損傷した場合
は、雨水の浸入がより多くなり、下地プレキャストコン
クリートの耐久性の低下やエフロレッセンスの程度もひ
どくなる。
【0008】また、前述の第2従来例では、隣設する化
粧板間に変形能力が大きい弾性シーリング材が充填され
ているため化粧板や下地プレキャストコンクリートの変
形を吸収することが出来、吸水、透水がないため前述し
た第1従来例のような不具合は生じない。
【0009】しかしながら、弾性シーリング材はゴム状
であり、化粧板として一般的に用いられる大型陶板、石
材等とテクスチュアー(質感)が異なるため美観が低下
するという問題がある。更に弾性シーリング材には汚れ
が付着し易いため目地部が汚れ易くなり、また、その汚
れが雨水によって化粧板に流れ出て該化粧板を汚す。更
に弾性シーリング材自体の成分が化粧板に移行し汚れと
なる場合がある。
【0010】また、化粧板間の目地部に弾性シーリング
材を充填する場合に下地プレキャストコンクリートが未
乾燥であると、弾性シーリング材と化粧板との接着性が
低下して剥離の原因となるため下地プレキャストコンク
リートが十分乾燥してから化粧板間の目地部に弾性シー
リング材を充填する必要があり、プレキャストコンクリ
ート複合パネルの製作日数が長くなるという問題があ
り、更には弾性シーリング材の充填作業が繁雑であるた
め作業性が悪いという問題がある。
【0011】本発明は前記課題を解決するものであり、
その目的とするところは、隣設される大型化粧板間の目
地部に弾性モルタルを充填することで大型化粧板や下地
プレキャストコンクリートが日射による熱や乾燥収縮に
よって変形しても目地部の弾性モルタルによりその変形
を吸収することが出来、大型化粧板の亀裂や破損を防止
すると共にその防水性能により吸水、透水がなく、化粧
板として一般的に用いられる大型陶板、石材等とテクス
チュアーが近似しているため美観を確保することが出
来、汚れが付着し難く化粧板を汚こともなく、更には弾
性モルタルの充填作業が簡単であるため作業性が良く、
プレキャストコンクリート複合パネルの製作日数を短縮
することが出来るプレキャストコンクリート複合パネル
の大型化粧板間の目地構造を提供せんとするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係るプレキャストコンクリート複合パネルの
大型化粧板間の目地構造は、下地プレキャストコンクリ
ートに1枚の表面側の面積が0.1m2 以上の複数の大
型化粧板が密着して積層されたプレキャストコンクリー
ト複合パネルの大型化粧板間の目地構造であって、隣設
される前記大型化粧板間の目地部に弾性モルタルを充填
したことを特徴とする。
【0013】本発明は上述の如く構成したので、隣設さ
れる大型化粧板間の目地部に弾性モルタルを充填したこ
とで熱や乾燥収縮によって下地プレキャストコンクリー
トや大型化粧板に変形が生じた場合、弾性モルタルの有
する弾性作用によって大型化粧板間の目地部でその変形
を吸収することが出来る。これにより大型化粧板に亀裂
や破損が生じることがなく目地材となる弾性モルタル自
体の破損や剥離も生じることがない。
【0014】本発明における弾性モルタルはモルタルに
通常の添加量よりも多量にラテックス(弾性ゴムの原
料)を混入したものであり、そのためモルタルに弾性が
付与される以外に防水性(吸水性の低下)が向上するた
め目地部からの雨水の浸入がなくなり、剥離や破損がな
いためそれらによる雨水の浸入も防止出来る。
【0015】また、石材、陶板等を化粧板として用いる
場合、目地材がモルタルを主成分としているため化粧板
とのテクスチュアー(質感)が近く、汚れの付着も低下
するので前述の第2従来例のように目地部にシーリング
材を用いた場合よりも美観が向上する。
【0016】また、前記下地プレキャストコンクリート
を軽量気泡コンクリート板で構成した場合には施工作業
が簡単で工場等で量産することが出来、好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】図により本発明に係るプレキャス
トコンクリート複合パネルの大型化粧板間の目地構造の
一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係るプ
レキャストコンクリート複合パネルの大型化粧板間の目
地構造を備えたプレキャストコンクリート複合パネルの
構成を示す斜視図、図2(a)は下地プレキャストコン
クリートに密着して積層した大型化粧板間の目地部に弾
性モルタルを充填した第1実施形態の構成を示す断面説
明図、図2(b)は下地プレキャストコンクリートに密
着して積層した大型化粧板間の目地部にシーリング材及
び弾性モルタルを積層して充填した第2実施形態の構成
を示す断面説明図、図3は図2(a),(b)に示すプ
レキャストコンクリート複合パネルをコンクリートの打
ち込みにより製作する様子を示す図、図4(a)は軽量
気泡コンクリート板に密着して積層した大型化粧板間の
目地部に弾性モルタルを充填した第3実施形態の構成を
示す断面説明図、図4(b)は軽量気泡コンクリート板
に密着して積層した大型化粧板間の目地部に弾性モルタ
ル及びモルタル目地材を積層して充填した第4実施形態
の構成を示す断面説明図、図5は軽量気泡コンクリート
板に大型化粧板を取り付ける取付構造を示す断面説明
図、図6は軽量気泡コンクリート板に形成した定着溝の
構成を示す図、図7は取付金物の構成を示す斜視図であ
る。
【0018】先ず、図1〜図3を用いて本発明に係るプ
レキャストコンクリート複合パネルの大型化粧板間の目
地構造の第1、第2実施形態について説明する。図にお
いて、1は大型化粧板であり、1枚の表面側の面積が
0.1m2 以上を有して幅及び長さが300mm以上で構
成されている。
【0019】このような大型化粧板1の一例としては、
花崗岩や大理石等の石材、タイル、大型陶板、結晶化ガ
ラス板等の無機系、窯業系材料がテクスチュアー(質
感)的には好ましく、弾性モルタル4を隣設される複数
の大型化粧板1間の目地部3に充填するために厚さが5
mm以上あることが好ましい。大型化粧板1の厚さが薄い
と弾性モルタル4の厚さも薄くなり、耐久性や防水性で
十分な性能を発揮出来ない場合がある。
【0020】以下に示す各実施形態では大型化粧板1の
一例として、厚さが10〜16mmで幅及び長さが500
〜600mmを有する大型陶板を使用している。
【0021】2は下地プレキャストコンクリート板であ
り、コンクリートや押出成形セメント板、軽量気泡コン
クリート板等で構成される。そして、複数の大型化粧板
1が所定の間隔で目地部3を設けて下地プレキャストコ
ンクリート板2の表面に密着して積層されてプレキャス
トコンクリート複合パネルAが形成されている。
【0022】図2(a)は隣設される大型化粧板1の目
地部3に弾性モルタル4のみが充填された第1実施形態
を示すものであり、図2(b)は同じく目地部3に下地
プレキャストコンクリート板2の表面側から順にシーリ
ング材5、弾性モルタル4が積層して充填された第2実
施形態を示すものである。
【0023】本発明における弾性モルタル4は普通ポル
トランドセメント(JIS R 5210合格品)等のセメント及
び粒径1.2mm以下の細目砂等の川砂や珪砂5号、6号
程度の砂にアクリル系、スチレン系、エチレン酢酸ビニ
ル系等のラテックスを該セメントと砂を合計した重量に
対してポリマー量で10%以上、50%以下の範囲で混
入したものであることが特に好ましく、更に保水性の向
上や充填作業に適した流動性を調整するためにメチルセ
ルロース等の水溶性樹脂や防水剤等を混入しても良く、
テクスチュアーを向上するために無機系顔料を添加して
着色しても良い。
【0024】弾性モルタル4はラテックスの混入量がセ
メントと砂を合計した重量に対してポリマー量で10%
未満であると十分な弾性と防水性が得られず、同50%
を超えると付着力が強くなりすぎて充填作業中に大型化
粧板1の表面に付着した場合、除去に手間取り作業性が
低下する虞がある。
【0025】また、弾性モルタル4は低温時の弾性を確
保するためにラテックスのTG(ガラス転移温度)は0
℃以下のものが好ましい。また、弾性モルタル4は、例
えば、イナメジ(商品名)等の市販されている既製調合
目地モルタルに上記の量のラテックスを混入したもので
も良い。
【0026】図2(b)に示す第2実施形態のシーリン
グ材5はポリサルファイド系、変成シリコーン系、弾性
エポキシ系等の各種のシール材料を使用することが出来
る。
【0027】上記構成の各プレキャストコンクリート複
合パネルAを打ち込みにより製造する方法の一例を図3
を用いて説明する。図3に示すように、先ず、プレキャ
ストコンクリート複合パネルAの大きさに対応する型枠
6の底板6a上に大型化粧板1の表面側が下向きになる
ように所定の間隔の目地部3を設けて敷き並べる。
【0028】この時、隣設される大型化粧板1間に、例
えば、5〜10mmの目地幅を確保し、且つその間に打設
されるコンクリートが侵入しないように発泡ポリエチレ
ン成形体等の仮目地材を設置する。そして、所定の鉄筋
を型枠内に配置する。
【0029】次に大型化粧板1と仮目地材を敷設した型
枠6内にコンクリートを打設して大型化粧板1とコンク
リートとを一体化して固着する。この時、大型化粧板1
の裏面側にボルトや鉄筋或いは金物を固着しておけば打
設したコンクリートと大型化粧板1との一体化がより強
固に出来る。
【0030】そして所定の時間乾燥させて養生を行い、
コンクリートが硬化した時点で型枠6から脱型し、大型
化粧板1間の目地部3に設けた仮目地材を除去して該目
地部3に弾性モルタル4或いはシーリング材5及び弾性
モルタル4を充填する。
【0031】本実施形態の弾性モルタル4は普通ポルト
ランドセメント(JIS R 5210合格品)、珪砂6号、アク
リル系ラテックスを練り混ぜたものを使用し、調合は重
量比(ラテックスはポリマー量)で100:100:5
0とした。このラテックスはポリマー:水=1:1(重
量比)のものを使用した。
【0032】この弾性モルタル4は流動性が高いため目
地部3に流し込んだ後、該弾性モルタル4の表面を目地
コテにより押さえて表面を平坦に形成する。大型化粧板
1の表面に付着した弾性モルタル4を拭き取り目地材と
なる弾性モルタル4の充填作業が完了する。
【0033】図2(b)の場合、弾性モルタル4を目地
部3に流し込む前に該目地部3にシーリング材5を充填
し、該シーリング材5の表面を目地コテにより押さえた
後、同様にして該シーリング材5の上部に弾性モルタル
4を流し込めば良い。
【0034】上記構成によれば、隣設される大型化粧板
1間の目地部3に弾性モルタル4を充填したことで熱や
乾燥収縮によって下地プレキャストコンクリート板2や
大型化粧板1に変形が生じても弾性モルタル4が有する
弾性作用によって大型化粧板1間の目地部3でその変形
を吸収することが出来、これにより大型化粧板1に亀裂
や破損が生じることがなく目地材となる弾性モルタル4
自体の破損や剥離が生じることがない。
【0035】また、弾性モルタル4はモルタルに通常の
添加量よりも多量にラテックスを混入したものであるた
めモルタルに弾性が付与される以外に防水性(吸水性の
低下)が向上するため目地部3からの雨水の浸入がなく
なり、弾性モルタル4自体の剥離や破損がないためそれ
らによる雨水の浸入も防止出来る。
【0036】また、石材、陶板等を大型化粧板1として
用いる場合、目地材となる弾性モルタル4がモルタルを
主成分としているため大型化粧板1とのテクスチュアー
(質感)が近く、汚れの付着も低下するので前述した第
2従来例のように目地部3にシーリング材を用いた場合
よりも美観が向上する。
【0037】また、図2(b)の第2実施形態の構成で
は弾性モルタル4の内部側にシーリング材5を設けたこ
とで第1実施形態よりも更に弾性作用、防水性が向上
し、弾性モルタル4が表面側に設けられたことで美観が
向上する。
【0038】次に図4〜図7を用いて本発明に係るプレ
キャストコンクリート複合パネルの大型化粧板間の目地
構造の第3、第4実施形態について説明する。尚、前記
第1、第2実施形態と同様に構成したものは同一の符号
を付して説明を省略する。
【0039】本実施形態では下地プレキャストコンクリ
ート板2として厚さ100〜150mm、幅1800mm程
度、長さ3000mm程度を有する軽量気泡コンクリート
(ALC)板11を用いたものである。
【0040】図4(a)に示す第3実施形態では、AL
C板11の表面上に全面に亘って張り付けモルタル12が敷
設され、該張り付けモルタル12上に複数の大型化粧板1
が所定の目地幅を有する目地部3を設けて配置される。
そして、隣設される大型化粧板1の目地部3に弾性モル
タル4のみが充填される。
【0041】また、図4(b)に示す第4実施形態で
は、ALC板11の表面上で大型化粧板1に対応する位置
にのみ(即ち、目地部3の位置を除外して)張り付けモ
ルタル12が敷設され、該張り付けモルタル12上に複数の
大型化粧板1が配置される。そして、隣設される大型化
粧板1の目地部3にALC板11の表面側から順に弾性モ
ルタル4、モルタル目地材13が積層して充填される。
【0042】張り付けモルタル12は、SBR(スチレン
・ブタジエンゴム)系、アクリル系若しくはEVA(エ
チレン・酢酸ビニル共重合体)系等の合成高分子エマル
ション(例えば、ペトロック;商品名)を混入したポリ
マーセメントモルタルを柔らかく練り上げたものを使用
することが出来る。また、モルタル目地材13は、例え
ば、イナメジ(商品名)等の既製調合モルタルを使用す
ることが出来る。
【0043】大型化粧板1を取り付ける側のALC板11
には、図5及び図6に示すように、所定位置に定着溝14
が形成されている。また、大型化粧板1には取付金物15
が埋めこまれており、この取付金物15に外側からボルト
状の定着金物16の先端を螺合させることにより、大型化
粧板1の裏面から定着金物16を突出させる構造となって
いる。
【0044】ALC板11に設けられた大型化粧板1の定
着溝14は、底部14aが開口部14bに比べて広く形成さ
れ、内部が拡大されたオーバーハング形状を有する溝で
構成されている。この定着溝14は、例えば、深さ3cm、
開口部14bが4cm、底部14aが5cm程度で形成されてい
る。
【0045】定着溝14はALC板11の製造時に型枠側に
該定着溝14の形状に対応する発泡スチロール等の型材を
配置して製造した後、該発泡スチロールを排除すること
で容易に成形することが可能である。
【0046】次に取付金物15及び定着金物16の構造につ
いて図7を用いて詳細に説明する。取付金物15は板状の
中央部15aの両側に段差を設けた張出部15bを形成して
おり、大型化粧板1に埋め込んだ場合は中央部15aの表
面のみが大型化粧板1の裏面に露出し、両側の張出部15
bは大型化粧板1中に埋設され、外力がかかっても取付
金物15が容易に大型化粧板1板から脱落しない構造とな
っている。また、中央部15aの中心には孔15cが穿孔さ
れており、この孔15cに対応する裏面にナット15dが溶
接等により固定されている。
【0047】定着金物16は頭部16aと軸部16bからなる
ボルト状の金物である。軸部16bの先端に切られたネジ
を取付金物15の孔15cを介してナット15dに螺合するこ
とにより定着金物16は取付金物15に連結される。この場
合、定着金物16は大型化粧板1から軸部16bの一部と頭
部16aが突出し、この部分が定着部となる。また、この
部分のうち軸部16bより大径の頭部16aが拡大部とな
る。
【0048】なお、取付金物15は大型化粧板1の四隅に
埋設されるが、取付金物15の数、位置は大型化粧板1の
サイズや重量により適宜設定される。また、定着金物16
は取付金物15を介して大型化粧板1に連結する構造とし
たが、大型化粧板1に直接固定した構造としても良い。
また、これら取付金物15及び定着金物16は、強度が充分
であれば、強化プラスチック等、金属以外の材料で形成
することも出来る。
【0049】以下、上記構造による大型化粧板1の取付
方法を説明する。まず、定着金物16の軸部16b先端を大
型化粧板1に埋設した取付金物15に螺合して取り付け
る。この状態にあっては、定着金物16の軸部16bの一部
と頭部16aが大型化粧板1から突出した状態となる。
【0050】次に上記のごとくALC板11の所定位置に
形成された定着溝14に定着材17を充填する。この定着材
17は前述の張り付けモルタル12と同じ材質を用いる。
【0051】続いて、ALC板11上に更に張り付けモル
タル12を塗り接着層の形成作業を行い、大型化粧板1か
ら突出する定着金物16を定着溝14に挿入するように大型
化粧板1をALC板11に取り付ける。この時、隣設する
大型化粧板1間の目地部3の目地幅が5〜10mm程度に
なるように大型化粧板1の取付位置を調整する。
【0052】定着金物16と定着溝14との間には遊びがあ
るため大型化粧板1の水平や位置を調節しながら作業を
行うことが出来る。その後、大型化粧板1間の目地部3
に弾性モルタル4をスポンジコテ等で充填し、弾性モル
タル4の表面を目地コテで押さえて仕上げを行う。
【0053】この弾性モルタル4は市販されている既製
調合目地モルタルにアクリル系ラテックスを混入したも
のである。その混入比は、重量比で既製調合目地モルタ
ル100に対してアクリル系ラテックス30である。こ
のアクリル系ラテックスは重量比でポリマー:水=1:
1のものであるため、既製調合目地モルタルに対してポ
リマー量は15%となる。
【0054】そして、所定時間、これら定着材17および
張り付けモルタル12の養生、硬化を行って取付作業を完
了する。図4の第4実施形態の場合には、弾性モルタル
4の上に更にモルタル目地材13を充填して硬化させる。
【0055】本実施形態の取付構造では、定着材17は定
着金物16とALC板11とを連結するが、硬化した定着材
17は定着溝14内で台形状の固体となるため開口部14bが
狭くなった定着溝14と機械的に噛み合い定着材17自体の
接着力に加えて形状的な効果により優れた取付強度を発
揮する。
【0056】また、定着金物16は、その頭部16aが拡大
部となっているために、定着材17が硬化した場合、この
部分がアンカーとなって定着金物16の定着材17からの抜
け止め効果を発揮する。
【0057】尚、張り付けモルタル12の厚みは1〜3mm
程度であり、該張り付けモルタル12の線膨張率が大型化
粧板1とALC板11の線膨張率と異なっていても厚みが
薄いため影響がない。
【0058】このように、本実施形態では、定着溝14の
底部14aがその開口部14bより広がったオーバーハング
孔となっているために、柔らかいALC板11に大型化粧
板1を取り付ける場合でも所定の強度を確保して、確実
に両者を密着して積層することが出来る。大型化粧板1
とALC板11との一体化(複合)は工場で予め行うこと
で量産が出来るものであるが、現場で個々に取り付ける
ことも出来、ALC板11は加工性が良いため切削工具を
用いても上記したようなオーバーハング形状の定着溝14
を容易に形成することが出来る。
【0059】また、定着溝14はこれに挿入される定着金
物16に対して遊びを有するために、大型化粧板1の取付
時、定着材17の硬化前に容易に大型化粧板1の水平調整
や位置調整を行うことが出来、大型化粧板1の取付精度
を向上させることが出来る。
【0060】更に、大型化粧板1とALC板11間をボル
ト、ナット、ビス等で直接、機械的に取り付けることが
なく、取付作業は全てプレキャストコンクリート複合パ
ネルAの表面側で行うため作業効率に優れる。また、大
型化粧板1をALC板11に密着して積層させるため、大
型化粧板1の出入り調整の必要がないという効果も有す
る。
【0061】また、定着金物16は突出した部分全体が定
着溝14内に納まってしまうために、大型化粧板1とAL
C板11とが密着することが出来、プレキャストコンクリ
ート複合パネルAが外壁として用いられた場合には壁面
の厚さを薄くすることが出来るので建物の有効面積を広
く確保出来るという効果も有する。
【0062】更に、上記各実施形態の構造では、大型化
粧板1全体が張り付けモルタル12によりALC板11に密
着して固定されるために、大型化粧板1に外力が加わっ
た場合であっても容易に割れることがなくなる。このた
め、大型化粧板1が取付けられたプレキャストコンクリ
ート複合パネルAを平積みすることが出来、工場での積
み置き効率がよく、多数枚を段積みすることが出来るた
め輸送コストを低減することが出来、さらに施工現場で
仮置きする場合も資材スペースを取らないという効果を
有する。他の構成は前記第1、第2実施形態と同様に構
成され同様な効果を得ることが出来る。
【0063】尚、本発明に係るプレキャストコンクリー
ト複合パネルの大型化粧板間の目地構造は上述のような
大型化粧板1間の目地部3にシーリング材またはモルタ
ル目地材に積層させて弾性モルタル4を充填した目地構
造をも含む。
【0064】
【発明の効果】本発明は、上述の如き構成と作用とを有
するので、1枚の表面側の面積が0.1m2 以上の複数
の大型化粧板が密着して積層され、隣設される大型化粧
板間の目地部に弾性モルタルを充填したことで熱や乾燥
収縮によって下地プレキャストコンクリートや大型化粧
板に変形が生じても弾性モルタルが有する弾性作用によ
って大型化粧板間の目地部でその変形を吸収することが
出来る。これにより大型化粧板に亀裂や破損が生じるこ
とがなく目地材である弾性モルタル自体の破損や剥離が
生じることがない。
【0065】前記弾性モルタルはモルタルに通常の添加
量よりも多量にラテックスを混入したものであるためモ
ルタルに弾性が付与される以外に防水性(吸水性の低
下)が向上するため目地部からの雨水の浸入がなくな
り、剥離や破損がないためそれらによる雨水の浸入も防
止出来る。
【0066】また、石材、大型陶板等を大型化粧板とし
て用いる場合、目地材がモルタルを主成分としているた
め大型化粧板とのテクスチュアー(質感)が近く、汚れ
の付着も低下するので前述の第2従来例のように目地部
にシーリング材を用いた場合よりも美観が向上する。
【0067】また、前記下地プレキャストコンクリート
を軽量気泡コンクリート板で構成した場合には施工作業
が簡単で工場等で量産することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプレキャストコンクリート複合パ
ネルの大型化粧板間の目地構造を備えたプレキャストコ
ンクリート複合パネルの構成を示す斜視図である。
【図2】(a)は下地プレキャストコンクリートに密着
して積層した大型化粧板間の目地部に弾性モルタルを充
填した第1実施形態の構成を示す断面説明図、(b)は
下地プレキャストコンクリートに密着して積層した大型
化粧板間の目地部にシーリング材及び弾性モルタルを積
層して充填した第2実施形態の構成を示す断面説明図で
ある。
【図3】図2(a),(b)に示すプレキャストコンク
リート複合パネルをコンクリートの打ち込みにより製作
する様子を示す図である。
【図4】(a)は軽量気泡コンクリート板に密着して積
層した大型化粧板間の目地部に弾性モルタルを充填した
第3実施形態の構成を示す断面説明図、(b)は軽量気
泡コンクリート板に密着して積層した大型化粧板間の目
地部に弾性モルタル及びモルタル目地材を積層して充填
した第4実施形態の構成を示す断面説明図である。
【図5】軽量気泡コンクリート板に大型化粧板を取り付
ける取付構造を示す断面説明図である。
【図6】軽量気泡コンクリート板に形成した定着溝の構
成を示す図である。
【図7】取付金物の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
A…プレキャストコンクリート複合パネル 1…大型化粧板 2…下地プレキャストコンクリート板 3…目地部 4…弾性モルタル 5…シーリング材 6…型枠 6a…底板 11…ALC板 12…張り付けモルタル 13…モルタル目地材 14…定着溝 14a…底部 14b…開口部 15…取付金物 15a…中央部 15b…張出部 15c…孔 15d…ナット 16…定着金物 16a…頭部 16b…軸部 17…定着材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 正治 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 中山 實 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 中川 裕章 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 金崎 俊造 大阪府大阪市西区阿波座一丁目3番15号 鹿島建設株式会社関西支店内 (72)発明者 小川 正巳 滋賀県甲賀郡信楽町柞原926 大塚オーミ 陶業株式会社内 (72)発明者 北村 雅之 滋賀県甲賀郡信楽町柞原926 大塚オーミ 陶業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地プレキャストコンクリートに1枚の
    表面側の面積が0.1m2 以上の複数の大型化粧板が密
    着して積層されたプレキャストコンクリート複合パネル
    の大型化粧板間の目地構造であって、 隣設される前記大型化粧板間の目地部に弾性モルタルを
    充填したことを特徴とするプレキャストコンクリート複
    合パネルの大型化粧板間の目地構造。
  2. 【請求項2】 前記下地プレキャストコンクリートを軽
    量気泡コンクリート板で構成したことを特徴とする請求
    項1に記載のプレキャストコンクリート複合パネルの大
    型化粧板間の目地構造。
JP10163362A 1998-06-11 1998-06-11 プレキャストコンクリート複合パネルの大型化粧板間の目地構造 Pending JPH11350617A (ja)

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