JPH1134983A - ウォータージェット推進装置およびこれを装備した船舶 - Google Patents

ウォータージェット推進装置およびこれを装備した船舶

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JPH1134983A
JPH1134983A JP9196762A JP19676297A JPH1134983A JP H1134983 A JPH1134983 A JP H1134983A JP 9196762 A JP9196762 A JP 9196762A JP 19676297 A JP19676297 A JP 19676297A JP H1134983 A JPH1134983 A JP H1134983A
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water
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Yasuo Saito
泰夫 斉藤
Kazuyuki Ebira
一之 箙
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウォータージェット推進装置を備えた船舶に
おいては、停止時においてインペラをある程度没水させ
る必要があるので、トランサムの下端は喫水線下のある
程度の深さのところに位置する。このため造波抵抗が大
きく、推進効率を向上させることができない。 【解決手段】 船舶1では、インペラ10を内部に設け
たポンプ部15とノズル5とを分離した構造とし、ノズ
ル5をポンプ部15よりも高い位置に配置している。そ
して、このポンプ部15とノズル5を水路6によって連
通している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願に係る発明は、船底
に形成された取水口から取り込んだ水を、ポンプ部のイ
ンペラで加圧してノズルから噴射することによって推力
を得るウォータージェット推進装置、および、このよう
な推進装置を装備した船舶に関する。
【0002】
【従来の技術】図6はウォータージェット推進装置を採
用した高速船101の断面図である。この図は水面に高
速船101が停止している状態を示している。図7は、
この高速船101をトランサム104側から見た背面図
である。
【0003】ウォータージェット推進装置130は、高
速船101の船体後部に設けられている。そして、船底
102に開口部として形成された取水口103から水を
取り込み、この水をウォータージェット推進装置130
のポンプ部115で加圧してノズル105から噴射す
る。この後方への水流噴射に伴う反作用によって、高速
船101は推進する。
【0004】上記のようなウォータージェット推進装置
130は、インペラ110を備えたポンプ部115が後
方のノズル105とほぼ一体化しており、インペラ11
0とノズル105とは同軸上に設けられている。このイ
ンペラ110の回転によって水が加圧されるのである
が、高速船101の停止時、つまりインペラ110の停
止時においては、インペラ110は略下半部が没水す
る。すなわち、インペラ110の中心軸線が喫水線Lに
ほぼ一致している。インぺラ110をこのように配置し
ているのは、高速船101停止時においてもある程度イ
ンペラ110を没水させるようにしないと、ポンプ部1
15の始動時に取水口103からの水の吸い込み量が不
足し、ポンプ部115内に水を充満させることができ
ず、十分な推進力を得ることができないからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図8は、高速で走行し
ているときの高速船101の断面図である。高速船10
1の直後ではトランサム104の下端の位置まで水面S
が下がっている。そして、その後方で水面Sは喫水線L
を超えて盛り上がり、波が形成されている。図中の斜線
部はこの波を示す。このような波が大きく形成されるほ
ど高速船101の造波抵抗は大きくなり、高速船101
の推進性能が低下する。造波抵抗をできるだけ小さくす
るには、トランサム104の下端がなるべく喫水線L下
の浅いところに位置するようにするか、または、トラン
サム104の下端が喫水線Lよりも上方に位置するよう
にして、高速船101の後方に波がなるべく形成されな
いようにすればよい。しかし、ウォータージェット推進
装置を備えた船舶においては、前述したように停止時に
おいてインペラをある程度没水させる必要があるので、
トランサムの下端は喫水線下のある程度の深さのところ
に位置することになる。トランサムの下端の位置は、ポ
ンプの大きさによってほぼ決定されてしまい、このため
造波抵抗を減少させることが困難で、推進性能を向上さ
せることができない。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この出願の発明は、インペラを内部に設けたポン
プ部とノズルとを分離した構造とし、ノズルをポンプ部
よりも高い位置に配置している。そして、このポンプ部
とノズルを水路によって連通している。これによればポ
ンプ部内のインペラを、ポンプ部停止時においても没水
状態に保ちつつ、トランサムの下端をより上方に位置さ
せることができる。よって造波抵抗を減少させて推進性
能を向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】この出願発明のウォータージェッ
ト推進装置は、ノズルと内部にインペラが設けられたポ
ンプ部とを備え、船底に形成された取水口から該ポンプ
部に導かれた水を該インペラの回転によって加圧し、こ
の加圧された水を該ノズルから噴射して推力を得るウォ
ータージェット推進装置において、該ポンプ部と該ノズ
ルとが分離され、該ノズルが該インペラよりも高い位置
に配置され、該ポンプ部と該ノズルとが水路により連通
されている。
【0008】よって、ポンプ部内のインペラを、ポンプ
部停止時においても没水状態に保ちつつ、一方で、ノズ
ルはインペラよりも上方に配置される。このようにノズ
ルがより高い位置に配置されるので、このウォータージ
ェット推進装置を船舶の推進装置として適用すると、従
来のウォータージェット推進装置を適用した船舶に比
べ、トランサムをその下端がより高いところに位置する
ように形成することができる。このようにすると、船舶
が高速で推進しても後方に大きな波が形成されず、造波
抵抗を減少させて推進性能を向上させることができる。
【0009】上記ウォータージェット推進装置におい
て、水路を略S字状に湾曲して形成するようにしてもよ
い。このように構成すると、ポンプ部からノズルまで水
を滑らかに導くことができ、水路中を水が流れることに
よる圧力損失を小さくすることができる。
【0010】また、この出願発明の船舶は、船底に取水
口を形成し、トランサムにノズルを設け、該取水口から
ポンプ部に水を導き、ポンプ部内のインペラによりこの
水を加圧し、この加圧された水を該ノズルから噴射して
推力を得る船舶において、該ポンプ部と該ノズルとが分
離され、該ノズルが該インペラよりも高い位置に配置さ
れ、該ポンプ部と該ノズルとが水路により連通されてい
る。
【0011】よって、ポンプ部内のインペラを、ポンプ
部停止時においても没水状態に保ちつつ、一方で、ノズ
ルはインペラよりも上方に配置される。このようにノズ
ルをより高い位置に配置できるので、従来のウォーター
ジェット推進装置を適用した船舶に比べ、トランサムを
その下端がより高いところに位置するように形成するこ
とができる。このようにすると、船舶が高速で推進して
も後方に大きな波が形成されず、造波抵抗を減少させて
推進性能を向上できる。
【0012】上記船舶において、水路を略S字状に湾曲
して形成するようにしてもよい。このように構成する
と、ポンプ部からノズルまで水を滑らかに導くことがで
き、水路中を水が流れることによる圧力損失を小さくす
ることができる。
【0013】また上記船舶において、該トランサムを、
その下端が喫水線近傍に又は喫水線よりも上に位置する
ように形成すると、造波抵抗を極力減少させることがで
きる。
【0014】
【実施例】この出願発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。
【0015】図1は船舶1の断面図であり、船舶1が水
面で停止した状態を示している。この船舶1は単胴型の
高速船である。図2は図1の状態の船舶1を後方から見
た背面図である。図中のLは喫水線を示す。
【0016】図1を参照すると、船舶1の船体内部には
原動機20が設置されている。また、取水口3が船底2
に開口して形成され、トランサム4にはノズル5が設け
られている。そして、船体内において、取水口3からノ
ズル5までの間に水路6が形成されている。この水路6
中にはインペラ10が配設されており、インペラ10の
シャフト11は水路6の壁部を貫通して、結合手段たる
フランジ12a、12bによって原動機20のシャフト
21と同軸上に連結されている。
【0017】水路6の、インペラ10からノズル5にい
たるまでの部分は略S字状に湾曲しており、ノズル5の
中心軸線C1はインペラ10の中心軸線C2よりも上方
に位置している。インペラ10の中心軸線C2は喫水線
Lにほぼ一致している。よって、インペラ10の略下半
部は船舶停止時においても没水している。また、インペ
ラ10と水路6のうちのインペラ10の周辺部とでポン
プ部15が形成されている。そして、ノズル5、ポンプ
部15、水路6によってウォータージェット推進装置が
構成されている。従来のウォータージェット推進装置に
おいてはポンプ部とノズルとがほぼ一体に形成されてい
たのに対し、この実施例に係るウォータージェット推進
装置では、ポンプ部15とノズル5とは分離されてい
る。
【0018】トランサム4の下端Bは、喫水線Lにほぼ
一致している。よって、トランサム4はほとんど没水し
ていない。上述したようにノズル5はこのトランサム4
に設けられているので、ノズル5は喫水線L上に露出し
ており、全く没水していない。
【0019】このようにポンプ部15が停止して船舶1
が停止した状態から、原動機20を始動すると、原動機
20に連結されたインペラ10が回転を始める。インペ
ラ10は下半部が没水しているので、十分な量の水を取
水口3から吸い込むことができ、よって、水路6内には
水が充満する。取水口3から取り込まれた水はポンプ部
15で加圧され、水路6を介してノズル5に送り込まれ
る。水路6の、インペラ10からノズル5にいたるまで
の部分はS字状に湾曲しているので、水路6内の水流は
滑らかであり、よって大きな圧力損失は生じない。そし
て加圧された水はノズル5から後方に噴射されて、この
噴射水流の反作用によって船舶1は推進力を得る。この
推進力によって船舶1は加速されて次第に高速となる。
【0020】図3は高速で走行する船舶1の断面図であ
る。このように、高速で走行しても船舶1の直後の水面
Sは喫水線Lにほぼ一致し、大きな波は形成されない。
これは、トランサム4の下端Bがほぼ喫水線Lに一致し
ているためである。大きな波が形成されないので造波抵
抗は小さく、船舶1の推進性能は向上する。
【0021】図4は、従来型のウォータージェット推進
装置を採用した船舶と、本実施例に係る船舶とで、その
剰余抵抗を試算して比較した図である。この図では、フ
ルード数(Fn)を横軸に、剰余抵抗を縦軸にとってい
る。そして、曲線aは本実施例に係る船舶についての特
性を、曲線bは従来型のウォータージェット推進装置を
採用した船舶についての特性を、それぞれ示す。この図
から、本実施例に係る船舶は、従来型のウォータージェ
ット推進装置を採用した船舶に比べて、大幅に剰余抵抗
が減少することがわかる。これは、本実施例の船舶が、
走行中に後方に波が形成されにくく、造波抵抗が小さい
事に起因する。
【0022】図5は、従来型のウォータージェット推進
装置を採用した船舶と、本実施例に係る船舶について、
主機馬力(BHP)と船速(Knot)との関係を試算
した結果を示したものである。曲線aは本実施例に係る
船舶についての特性を、曲線bは従来型のウォータージ
ェット推進装置を採用した船舶についての特性を、それ
ぞれ示す。この図から、同じ大きさの主機馬力であれば
本実施例に係る船舶の方が高速で走行可能であり、ま
た、同じ速度で走行するためには本実施例に係る船舶の
方が小さな主機馬力で足りることがわかる。すなわち、
本実施例に係る船舶は、従来型のウォータージェット推
進装置を採用した船舶に比べて推進性能が向上する。
【0023】上記実施例では、トランサム4の下端Bが
喫水線Lにほぼ一致する構造を示したが、これに限ら
ず、トランサム4の下端Bが喫水線Lより上方に位置す
るようにしてもよい。このようにしてもトランサム4は
没水しないので船舶の後方に波が形成されにくく、造波
抵抗低減の効果がある。また、必ずしもトランサム4が
没水しないように形成する必要はなく、トランサム4の
下端Bが喫水線Lより下方に位置するようにしてもよ
い。このように構成しても本願発明はポンプ部15より
もノズル5が上方に配置されるので、インペラとノズル
とが同軸になるように構成された従来型の船舶よりもト
ランサムの下端を上方に位置させることができる。従っ
て、従来型の船舶よりも造波抵抗を小さくすることがで
きる。
【0024】また上記実施例では、インペラ10は船舶
1の停止時において下半部のみが没水するような高さに
配置されている。しかし、インペラの配置高さはこうな
位置に限らず、始動時に十分な量を水を取水口から吸い
込むことができるなら、没水がさらに浅くてもよいし、
さらに深くてもよい。
【0025】また、図1の実施例よりもインペラの没水
が大きくなるように配置してもよい。例えば、インペラ
の全体が没水するような高さ位置にインペラが配置され
るようにしてもよい。
【0026】また、図1の実施例では船舶1として単胴
型の高速船を示したが、本願発明は双胴船または多胴船
にも適用可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0028】この出願発明のウォータージェット推進装
置では、ポンプ部内のインペラを、ポンプ部停止時にお
いても没水状態を保つように配置しつつ、一方で、ノズ
ルをインペラよりも上方に配置することができるので、
トランサムをその下端がより高いところに位置するよう
に形成することができる。そしてトランサムをこのよう
に形成すると、船舶が高速で推進しても後方に大きな波
が形成されず、造波抵抗を減少させて推進性能を向上さ
せることができる。
【0029】また、上記ウォータージェット推進装置に
おいて、水路を略S字状に湾曲して形成すると、ポンプ
部からノズルまで水を滑らかに導くことができ、水路中
を水が流れることによる圧力損失を小さくすることがで
きる。
【0030】また、この出願発明の船舶では、ポンプ部
内のインペラを、ポンプ部停止時においても没水状態を
保つように配置しつつ、一方で、ノズルをインペラより
も上方に配置することができるので、トランサムをその
下端がより高いところに位置するように形成することが
できる。トランサムをこのように形成すると、船舶が高
速で推進しても後方に大きな波が形成されず、造波抵抗
を減少させて推進性能を向上させることができる。
【0031】上記船舶において、水路を略S字状に湾曲
して形成すると、ポンプ部からノズルまで水を滑らかに
導くことができ、水路中を水が流れることによる圧力損
失を小さくすることができる。
【0032】さらに、上記船舶において、該トランサム
を、その下端が喫水線近傍に又は喫水線よりも上に位置
するように形成すると、造波抵抗を極力減少させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】船舶の断面図であり、船舶が水面で停止した状
態を示す図である。
【図2】図1の状態の船舶を後方から見た背面図であ
る。
【図3】高速で走行する船舶の断面図である。
【図4】従来型のウォータージェット推進装置を採用し
た船舶と、本実施例に係る船舶とで、その剰余抵抗を試
算して比較した特性図である。
【図5】従来型のウォータージェット推進装置を採用し
た船舶と、本実施例に係る船舶について、主機馬力(B
HP)と船速(Knot)との関係を試算した結果を示
した特性図である。
【図6】ウォータージェット推進装置を採用した高速船
の断面図である。
【図7】図6の高速船をトランサム側から見た背面図で
ある。
【図8】高速で走行しているときの図6の高速船の断面
図である。
【符号の説明】
1…船舶 2…船底 3…取水口 4…トランサム 5…ノズル 6…水路 10…インペラ 11…シャフト 12a、12b…フランジ 15…ポンプ部 20…原動機 21…シャフト B…トランサムの下端 C1…ノズルの中心軸線 C2…インペラの中心軸線 L…喫水線 S…水面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルと内部にインペラが設けられたポ
    ンプ部とを備え、船底に形成された取水口から該ポンプ
    部に導かれた水を該インペラの回転によって加圧し、こ
    の加圧された水を該ノズルから噴射して推力を得るウォ
    ータージェット推進装置において、 該ポンプ部と該ノズルとが分離され、該ノズルが該イン
    ペラよりも高い位置に配置され、該ポンプ部と該ノズル
    とが水路により連通されたウォータージェット推進装
    置。
  2. 【請求項2】 該水路が略S字状に湾曲して形成され
    た、請求項1記載のウォータージェット推進装置。
  3. 【請求項3】 船底に取水口を形成し、トランサムにノ
    ズルを設け、該取水口からポンプ部に水を導き、ポンプ
    部内のインペラによりこの水を加圧し、この加圧された
    水を該ノズルから噴射して推力を得る船舶において、 該ポンプ部と該ノズルとが分離され、該ノズルが該イン
    ペラよりも高い位置に配置され、該ポンプ部と該ノズル
    とが水路により連通された船舶。
  4. 【請求項4】 該水路が略S字状に湾曲して形成され
    た、請求項3記載の船舶。
  5. 【請求項5】 該トランサムを、その下端が喫水線近傍
    に又は喫水線よりも上に位置するように形成した、請求
    項3又は4記載の船舶。
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