JP3692398B2 - 船体抵抗低減船 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船体浸水部の外板表面に沿って気泡(マイクロバブル)を流して、同部の外板表面に作用する水の抵抗を低減することができる船体抵抗低減船に関する。特には、プロペラの推進性能を低下することなく、マイクロバブルによる摩擦抵抗低減効果を実際の船舶推進エネルギ低減に結び付けることのできる船体抵抗低減船に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶が航行する際には、船体浸水部の外板表面に水(海水あるいは淡水)の抵抗が作用する。この水の抵抗は、船舶の推進性能を低下させる大きな要因となるため、これを低減させるための様々な対策が講じられている。ここで、水の抵抗には、水面に波を発生させることで生じる抵抗(造波抵抗)と、水の粘性によって船体が周囲の水を引き摺ることで生じる抵抗(摩擦抵抗)との二成分がある。これらの抵抗のうち、例えばタンカー等の大型で比較的速度の遅い船舶については、造波抵抗の方がより小さく、摩擦抵抗が抵抗全体の約8割を占める。そのため、このような種類の船舶においては、水の抵抗を低減するには摩擦抵抗を低減するのが効果的である。
【0003】
摩擦抵抗の低減対策の一つとして、船体浸水部の外板に沿って気泡(マイクロバブル)を流し、この気泡で船体浸水部と水の境界層を覆って抵抗作用を低減する方法(マイクロバブル推進法)が知られている。このマイクロバブル推進法を採り入れた船体抵抗低減船の従来例としては、特開平9−118288号公報や特開2001−97276号公報等を挙げることができる。
【0004】
特開平9−118288号公報に開示された摩擦抵抗低減船は、船体内部に気泡水発生装置を備えている。船体の底部には、気泡水発生装置と連通するスリット状の気泡水吹出口が形成されている。船舶の航行時に、気泡水吹出口から船体外部へと吹き出た気泡水は、船体の底部に沿って拡散して後方へと流れ、水の摩擦抵抗を低減させる。さらに、同公報においては、船尾部の船底面をフラットに形成して気泡の沿う面積を広くし、これによって船体を前方に押す推進力を得ることも開示されている。
【0005】
特開2001−97276号公報に開示された摩擦抵抗低減船は、主機(メインエンジン)の排出ガスを過給機から取り出し、排出ガスの余剰ガスを船底の吹出口から吹き出す。過給機から取り出す余剰ガスの量は、所定のシーケンス制御により、船体の速度に対して主機の燃料供給量が最も少なくなるよう調節できる。そのため、この摩擦抵抗低減船は、少ない燃料で効率良く航行することができるとされている。
【0006】
ところで、新しい船舶の推進機の一種として、ポッドプロペラが開発されている。このポッドプロペラは、船底下に突設された支柱(コラム)、及び、その先に取り付けられたポッド(ハウジング)を有する。ポッドの端部にはプロペラが設けられており、ポッドの内部にはプロペラを駆動するモータが配置されている。モータは、船体のエンジンを発電機として駆動される。ポッドプロペラは、プロペラを船底下に離して設置できるので、プロペラを船体の影響を受けない均一な流れの中で回転させることができる。そのため、高い推進効率を得ることができるとともに、プロペラ表面におけるキャビテーションの発生も抑えることができる。また、ポッドプロペラは、針路変更時にポッド自身を回転させてプロペラの向きを変えることにより方向を変えることができるため、舵は不要である。
【0007】
さらに、ポッドプロペラは、プロペラシャフトがなく、プロペラがエンジンとは独立に回転駆動されるため、エンジンの振動・騒音を船体から遮断できる。
このように、ポッドプロペラは、キャビテーションを抑制し、エンジンの振動・騒音を遮断できるので、騒音対策が容易に実現でき、現在は客船に多く採り入れられている。
なお、ポッドプロペラの従来例としては、例えば特開平11−278379号公報等を挙げることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、以下に述べる試験装置及び実船を用いて、マイクロバブルの摩擦抵抗低減効果を確認する実験を行なった。
まず、試験装置を用いた実験について述べる。
図4は、基礎的な実験に用いたマイクロバブル実験流路の全体図である。
図5(A)は図4の実験流路に空気を注入するチャンバーの拡大断面図であり、図5(B)は摩擦計測に用いる摩擦力計を示す図である。
【0009】
図4に示す実験流路10は、管路11と気泡除去タンク12を有する回流式の流路である。この実験流路10においては、水は矢印X方向に流れる。実験流路10の管路11は、送水部15、湾曲部20及び試験部25からなる。送水部15の上流側端部15aと試験部25の下流側端部25bは、気泡除去タンク12に接続されている。送水部15には、上流側にポンプ17が組み込まれており、下流側に電磁流量計19が組み込まれている。ポンプ17で気泡除去タンク12から汲まれた水は、送水部15から湾曲部20を経て試験部25に至り、再び気泡除去タンク12に流入する。
【0010】
試験部25は、厚さ15mm、奥行き100mmの扁平断面形状となっている。試験部25の上流端25aからの長さは、3000mmである。試験部25の上流端25aから103mm下流側の位置(第1位置P1)には、空気注入チャンバー26が組み込まれている。この空気注入チャンバー26は、図5(A)に示すように、多孔質板27を備えている。空気注入チャンバー26から供給された空気は、多孔質板27を通って試験部25内に注入される。試験部25において、空気注入チャンバー26(第1位置P1)からそれぞれ0.5m、1.0m、1.5m下流側の位置(第2位置P2、第3位置P3、第4位置P4)には、摩擦力計の取付フランジ28が形成されている。これら取付フランジ28には、図5(B)に示すように、摩擦力計29が取り付けられる。この摩擦力計29で、試験部25の各位置P2〜P4における流路壁面と水との摩擦力が計測される。
【0011】
前記実験流路を用いて行なった実験の結果について述べる。
図6は、空気注入チャンバーから注入した気泡の写真である。
図7は、流路の壁面摩擦を計測した結果を示すグラフである。横軸は流路内の平均ボイド率α(すなわち流路断面内の空気の体積割合)を表し、縦軸は気泡状態での壁面摩擦力と気泡無し状態での壁面摩擦力との比Cf/Cf0を表す。
【0012】
試験部25内の水の平均流速はV=7m/secであり、平均ボイド率はα=0.02である。平均流速V=7m/secは、通常の大型タンカーの巡航速度(14ノット)に相当する。空気注入チャンバー26から注入される気泡の直径は、約1mm程度である(図6の気泡写真参照)。図7のグラフにおいて、◇は第2位置での計測結果を示し、◯は第3位置での計測結果を示し、□は第4位置での計測結果を示す。実線のグラフは、Merkle等が1990年に行なった実験結果のグラフである。図7からわかるように、平均ボイド率αが高くなるにしたがって、比Cf/Cf0が小さくなっている。これは、注入空気量が増加するに連れて、摩擦力が低減していることを示す。さらに、本実験の結果は、Merkle等の実験結果とも良く合致している。この実験結果から、マイクロバブルによって最大30%の顕著な摩擦低減効果が得られることが確認された。
【0013】
次に、模型の平板船を用いた実験について述べる。
図8は、本実験に用いた平板船を示す平面図である。
図9(A)は平板船の外板表面の摩擦力の計測結果を示すグラフであり、横軸は船首からの距離x[単位m]を表し、縦軸は前述と同様の比Cf/Cf0を表す。図9(B)は平板船の外板表面のマイクロバブル吹き出し下流部における摩擦低減効果を説明するグラフであり、横軸は吹き出し空気量q(=Q/SV;Q:吹き出し空気量[単位m3/min]、S:吹き出し部面積[単位m2]、V:速度[単位m/sec])を表し、縦軸は気泡状態でのマイクロバルブ吹き出し下流部の摩擦抵抗と気泡無し状態での吹き出し下流部の摩擦抵抗との比Rf/Rf0を表す。
【0014】
図8に示す平板船30は、長さ50m、幅1mの寸法を有し、船底は平らに形成されている。平板船30の船首(図8の左端)から3.0mの位置には、気泡吹き出し部31が設けられている。この平板船30においては、船首からそれぞれ3.5m(第1位置P1)、4.8m(第2位置P2)、8.8m(第3位置P3)、31.5m(第4位置P4)、32.8m(第5位置P5)、36.8m(第6位置P6)離れた位置に、摩擦力計測部が設けられている。この平板船30を長さ400mの曳航水槽(図示されず)に配置し、最大速度7m/secとして実験を行った。
【0015】
前記平板船を用いて行なった実験の結果について述べる。
図9(A)のグラフにおいて、△は吹き出し空気量q=0.02の場合の値を示し、○は吹き出し空気量q=0.04の場合の値を示す。このグラフにおいては、速度V=7m/secに設定されている。このグラフから、気泡による摩擦力の低減効果は、吹き出し空気量qにほぼ比例し、空気吹き出し部の下流で急速に減衰するが、平板船のほぼ下流端まで持続していることがわかる。
図9(B)のグラフにおいて、△は速度V=7m/secの場合の値を示し、○は速度V=5m/secの場合の値を示す。このグラフを考慮すると、平板船30の吹き出し部31よりも下流に位置する部分全体の摩擦低減効果は、速度V=5m/secでは40%近い低減効果が得られ、速度V=7m/secでは20%強の低減効果が得られることがわかった。
【0016】
このように、実験からは、マイクロバブルは通常の大型タンカーの巡航速度である7m/sec(14ノット)に対して、数10%程度の顕著な摩擦低減効果を挙げることができると考えられる。さらに、摩擦低減効果は、前述の平板船を用いた実験結果から、船体の空気吹き出し部より下流側においてもある程度持続することが明らかになった。これらの結果から、マイクロバブルは、実際の船舶への適用の可能性が非常に高いことがわかる。
【0017】
次に、実船を用いた実験について述べる。
まず、一般的なマイクロバブル推進船舶の構成について説明する。
図3(A)は通常のプロペラを備えるマイクロバブル推進船舶を模式的に示す側面図であり、図3(B)は図3(A)の船舶におけるプロペラへのマイクロバブルの流入状態を説明する側面図である。
図3(A)に示す船舶200は、図の左側が船首200Aであり、図の右側が船尾200Bである。この船舶200の船体203において、水没している下半部が船体浸水部205である。この船体浸水部205の船首200A側の端面206は、滑らかな曲面状に形成されている。船体浸水部205の船尾200B側には、プロペラ210が取り付けられている。プロペラ210は、プロペラシャフト211を介して、船体203内のエンジン208に接続されている。
【0018】
この船舶200においては、エンジン208の駆動力がプロペラシャフト211を介してプロペラ210に直接伝達され、プロペラ210が回転する。プロペラ210の後方には、船底から垂下する舵220が設けられている。船首200A寄りの船体203内部には、前述と同様のマイクロバブル形成装置120が設けられている。マイクロバブル形成装置120は、船底201の船首200A寄りに形成された吹出口223に連通している。
【0019】
実船を用いて行なった実験の結果について述べる。
本実験に用いた実船は、独立行政法人航海訓練所の練習船「青雲丸」である。青雲丸は、全長116m、総トン数5900トンである。この実船を用いた実験においても、マイクロバブルによる摩擦低減効果を確認することができた。
ところが、同時に、マイクロバブルが船尾で回転するプロペラに流入すると推力低下を招き、船舶全体としてはエネルギ効率が低下することが判明した。
【0020】
前述の特開平9−118288号公報や特開2001−97276号公報の摩擦抵抗低減船においては、マイクロバブルの流入に伴うプロペラの推進効率の低下に対する対策は、何ら考慮されていない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、プロペラの推進性能を低下することなく、マイクロバブルによる摩擦抵抗低減効果を実際の船舶推進エネルギ低減に結び付けることのできる船体抵抗低減船を提供することを目的とする。
【0021】
【解決を課題するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明の船体抵抗低減船は、船体浸水部105の外板表面に沿って気泡(マイクロバブル)を流す手段(マイクロバブル形成手段120)と、船底101下に突設された支柱111、並びに、該支柱の下端部に設置されたプロペラ113及びその駆動モータ115を有するポッドプロペラ110と、を具備する船体抵抗低減船であって、船体浸水部105の船尾100B側の底面は、船底101から船尾に向けて上方に傾斜した傾斜面107が形成されており、 前記ポッドプロペラ110は、該傾斜面107に設けられており、船底とプロペラ軸心との間隔、及び、ポッドプロペラの半径が、マイクロバブル層にプロペラ上端がかからないように設定されていることを特徴とする。
【0022】
ポッドプロペラを用いることで、プロペラを船底下に離して設置することができる。そのため、マイクロバブル形成手段から船底に沿って流れる気泡がプロペラに流入するのを低減できる。したがって、ポッドプロペラの推進性能をほとんど低下することなく、マイクロバブルによる船体浸水部の摩擦力低減効果を実現することができる。さらに、マイクロバブルの層は、プロペラの騒音を遮断する効果もあるため、船体の静粛性も一層高めることができる利点もあると考えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
図1は、ポッドプロペラを備えるマイクロバブル推進貨物船を模式的に示す側面図である。
図2は、ポッドプロペラを備えるマイクロバブル推進フェリー(又は客船)を模式的に示す側面図である。
【0024】
図1に示す貨物船100は、図の左側が船首100Aであり、図の右側が船尾100Bである。貨物船100の船体103において、水没している下半部が船体浸水部105である。この船体浸水部105の船首100A側の端面106は、滑らかな曲面状に形成されている。船体浸水部105の船尾100B側底面は、船底101から船尾に向けて上方に傾斜した傾斜面107が形成されている。
【0025】
船体浸水部105の船尾100B側の傾斜面107には、ポッドプロペラ110が取り付けられている。ポッドプロペラ110は、傾斜面107から下方に突設された支柱111を備えている。この支柱111の下端部には、電動モータ115を内蔵するハウジング116が取り付けられている。電動モータ115の出力軸端には、プロペラ113が取り付けられている。プロペラ113は、電動モータ115の駆動で回転する。電動モータ115は、ケーブル117を介して、船体103内の発電機109に接続されている。発電機109は、船体103内のエンジン108に軸接続されており、エンジン108によって回転駆動されている。しかし、発電機109とプロペラ113とは、機械的には接続されていない。なお、ポッドプロペラ110は、針路変更時にポッド自身を回転させてプロペラ113の向きを変えることにより方向を変えることができるため、舵は不要である。
【0026】
船首100A寄りの船体103内部には、マイクロバブル形成装置120が設けられている。このマイクロバブル形成装置120は、船底101に形成された吹出口123に連通している。バブル吹出口123は、図5(A)の空気注入チャンバー26と同様に、多孔質のバブル吹出部(図示されず)を有する。マイクロバブル形成装置120で形成されたマイクロバブルMBは、吹出口123から船体103の底板内に吹き出て、船体浸水部105の外板表面に沿って後方(図の右側)へと流れる。
【0027】
図2に示すフェリー130は、図の左側が船首130Aであり、図の右側が船尾130Bであり、船体133内には客室134等が設けられている。フェリー130の船体133において、水没している下半部が船体浸水部135である。船体浸水部135の船首130A側の端面136は、滑らかな曲面状に形成されている。船体浸水部135の船尾130B側底面は、船底131から船尾に向けて上方に傾斜した傾斜面137が形成されている。
【0028】
船体浸水部135の船尾130B側の傾斜面137には、前述の貨物船100と同様のポッドプロペラ110が取り付けられている。一方、船首130A寄りの船体133内部には、前述の貨物船100と同様のマイクロバブル形成装置120が設けられている。マイクロバブル形成装置120は、船底131の船首130A側に形成された吹出口143に連通している。
【0029】
次に、本発明に係る貨物船100(図1参照)と、一般的な船舶200(図3参照)との作用の比較について述べる。なお、フェリー130(図2参照)の作用も貨物船100と同様である。
図1に示す貨物船100の航行時において、マイクロバブル形成装置120で形成されたマイクロバブルMBが、船底101の吹出口123から吹き出される。このマイクロバブルMBは、船体浸水部105の外板表面に沿って後方(図の右側)へと流れる。このとき、船体浸水部105の外板表面と水との間に境界層が形成され、前述の実験結果で述べたように、水の摩擦抵抗が低減される。
【0030】
船体浸水部105に沿って流れたマイクロバブルMBは、船尾100Bへと至る。ここで、貨物船100のポッドプロペラ110のプロペラ113は、船底傾斜面107から離れて下方に配置されているので、プロペラ113へのマイクロバブルMBの流入が少なく、プロペラ113の推進効率の低下が抑制される。さらに、マイクロバブルMBの層は、プロペラ113の騒音を遮断する効果もあるため、船体103の静粛性も一層高められる。なお、標準的な貨物船(5万トン)の場合、船底とプロペラ軸心との間隔は6m程度で、ポッドプロペラの半径が3m程度とすれば、プロペラ上端と船底間の間隔は3m程度となり、マイクロバブル層(例えば2m)にプロペラ上端がかからない。
【0031】
これに対し、図3(A)に示す船舶200の場合は、船底201の吹出口223から吹き出されたマイクロバブルMBが、船体浸水部205に沿って下流側へと流れた後にプロペラ210に巻き込まれる(図3(B)参照)。このように、マイクロバブルMBがプロペラ210に巻き込まれると、前述した通り、プロペラ210の推進効率が低下し、船舶200全体としてのエネルギ効率が低下してしまう。
【0032】
この比較からわかるように、本発明に係る貨物船100(あるいはフェリー130)は、マイクロバブル推進法とポッドプロペラ110を併用することで、プロペラ113の推進効率をほとんど低下することなく、マイクロバブルMBによる水の摩擦抵抗の低減を実現できる。さらに、前述した通り、ポッドプロペラ110を用いることで高い推進効率を実現できるとともに、プロペラ表面におけるキャビテーションの発生も抑えることができ、エンジンの振動・騒音を遮断できる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、マイクロバブルによる摩擦抵抗低減効果を実際の船舶推進エネルギ低減に結び付けることのできる船体抵抗低減船を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポッドプロペラを備えるマイクロバブル推進貨物船を模式的に示す側面図である。
【図2】ポッドプロペラを備えるマイクロバブル推進フェリー(又は客船)を模式的に示す側面図である。
【図3】図3(A)は通常のプロペラを備えるマイクロバブル推進船舶を模式的に示す側面図であり、図3(B)は図3(A)の船舶におけるプロペラへのマイクロバブルの流入状態を説明する側面図である。
【図4】基礎的な実験に用いたマイクロバブル実験流路の全体図である。
【図5】図5(A)は図4の実験流路に空気を注入するチャンバーの拡大断面図であり、図5(B)は摩擦計測に用いる摩擦力計を示す図である。
【図6】空気注入チャンバーから注入した気泡の写真である。
【図7】流路の壁面摩擦を計測した結果を示すグラフである。
【図8】本実験に用いた平板船を示す平面図である。
【図9】図9(A)は平板船の外板表面の摩擦力の計測結果を示すグラフであり、図9(B)は平板船の外板表面のマイクロバブル吹き出し下流部における摩擦低減効果を説明するグラフである。
【符号の説明】
100 貨物船
100A 船首 100B 船尾
101 船底 103 船体
105 船体浸水部 106 端面
107 傾斜面 108 エンジン
109 発電機 110 ポッドプロペラ
111 支柱 113 プロペラ
115 電動モータ 116 ハウジング
117 ケーブル
120 マイクロバブル形成装置
123 吹出口 130 フェリー
130A 船首 130B 船尾
131 船底 133 船体
134 客室 135 船体浸水部
136 端面 137 傾斜面

Claims (1)

  1. 船体浸水部105の外板表面に沿って気泡(マイクロバブル)を流す手段(マイクロバブル形成手段120)と、
    船底101下に突設された支柱111、並びに、該支柱の下端部に設置されたプロペラ113及びその駆動モータ115を有するポッドプロペラ110と、
    を具備する船体抵抗低減船であって、
    船体浸水部105の船尾100B側の底面は、船底101から船尾に向けて上方に傾斜した傾斜面107が形成されており、
    前記ポッドプロペラ110は、該傾斜面107に設けられており、
    船底とプロペラ軸心との間隔、及び、ポッドプロペラの半径が、マイクロバブル層にプロペラ上端がかからないように設定されていることを特徴とする船体抵抗低減船。
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