JPH11349255A - エレベータのカウンターウェートおよびカウンターレールの取替方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 作業時間が大幅に短縮できて費用も低減で
き、かつ安全性も確保されること。 【解決手段】 昇降路５の最上部に第１の揚重装置６を
設置し、既設乗りかご７を利用して最上階５ａにステー
ジ９を組み立てる。既設乗りかごを下降させながら既設
カウンターレール１０のレールクリップを取り外し、第
２の揚重装置１６により既設乗りかごを吊持したまま既
設カウンターウェート１７を第１の揚重装置により昇降
路底部まで吊り下ろし、既設カウンターウェートを解体
撤去する。既設カウンターレールを第１の揚重装置で吊
り下げながら解体撤去し、新設乗りかご上の作業台を利
用して、新設カウンターレールを第１の揚重装置で吊り
上げながら接続して仮固定する。作業台を利用して、新
設カウンターレールを芯出しして本固定し、新設カウン
ターウェートを新設カウンターレールに取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、既設のカウンター
ウェート（つり合いおもり）とカウンターレール（つり
合いおもり用ガイドレール）を撤去して新規のものを取
り付けるリニューアル時などに採用して好適な、エレベ
ータのカウンターウェートおよびカウンターレールの取
替方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、エレベータのリニューアルが広く
行われるようになっており、特に老朽化したエレベータ
の場合は、乗りかごだけでなくカウンターウェートやカ
ウンターレールも新規のものに取り替える必要がある。
そして、このようなカウンターウェートやカウンターレ
ールの取替作業を行う場合、従来は、昇降路内に底部か
ら最上階まで至る足場を組み立てて、この足場上で既設
部材の撤去や新設部材の取付を行うという手法が一般的
であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したように昇降路
内に最上階まで至る足場が組み立ててあると、カウンタ
ーウェートやカウンターレールの取替作業を安全に行う
ことができるが、このような大きな足場を短時間で安価
に組み立てることはできないので、結局、カウンターウ
ェートやカウンターレールの取替作業に多大な時間と費
用を要してしまうという問題点があった。

【０００４】本発明はこのような従来技術の課題に鑑み
てなされたもので、その目的は、作業時間が大幅に短縮
できて費用も低減でき、かつ安全性も確保できる、エレ
ベータのカウンターウェートおよびカウンターレールの
取替方法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成すべ
く、本発明は、昇降路の最上部に第１の揚重装置を設置
する揚重装置設置工程と、乗りかごを利用して、既設カ
ウンターレールの最上部レール部材を解体除去するとと
もに、最上階にステージを組み立てるステージ組立工程
と、このステージ組立工程終了後、乗りかごを下降させ
ながら、既設カウンターレールの少なくとも上部固定用
レールクリップを除く残余のレールクリップを取り外す
レールクリップ取外し工程と、このレールクリップ取外
し工程終了後、第２の揚重装置により乗りかごを吊持し
たまま、前記ステージ近傍に位置する既設カウンターウ
ェートを前記第１の揚重装置により昇降路底部まで吊り
下ろすカウンターウェート吊り下ろし工程と、このカウ
ンターウェート吊り下ろし工程終了後、既設カウンター
ウェートを解体して撤去するカウンターウェート撤去工
程と、このカウンターウェート撤去工程終了後、既設カ
ウンターレールを前記第１の揚重装置で吊り下げながら
解体撤去するカウンターレール撤去工程と、このカウン
ターレール撤去工程終了後、新設レール部材を前記第１
の揚重装置で吊り上げながら下方へ順次接続して新設カ
ウンターレールとなし、この新設カウンターレールを乗
りかご上の作業台を利用して仮固定する新設カウンター
レール仮固定工程と、この新設カウンターレール仮固定
工程終了後、前記作業台を利用して、新設カウンターレ
ールを芯出しして本固定する新設カウンターレール本固
定工程と、この新設カウンターレール本固定工程終了
後、新設カウンターウェートを新設カウンターレールに
取り付ける新設カウンターウェート取付工程とを含む、
カウンターウェートおよびカウンターレールの取替方法
を採用した。

【０００６】このような各工程を含む所定の手順でカウ
ンターウェートやカウンターレールの取替作業を行う
と、昇降路内に大きな足場を組み立てる必要がなくなる
ので、作業時間の短縮化が図れるとともに、高額な足場
代が不要になることからコストダウンも図れる。また、
揚重装置や乗りかごを効率的に利用しているので、安全
性も確保できる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図
１および図２に示すフローチャートと、図３ないし図９
に示す昇降路縦断面図に基づいて説明する。

【０００８】図１，２に示すように、本実施形態におけ
る主な作業手順は、揚重装置設置工程Ｓ１と、ステージ
組立工程Ｓ２と、レールクリップ取外し工程Ｓ３と、既
設乗りかご吊持工程Ｓ４と、主ロープ巻取り工程Ｓ５
と、既設カウンターウェート吊り下ろし工程Ｓ６と、既
設カウンターウェート撤去工程Ｓ７と、作業台組立工程
Ｓ８と、既設カウンターレール撤去工程Ｓ９と、新設カ
ウンターレール仮固定工程Ｓ１０と、新設カウンターレ
ール本固定工程Ｓ１１と、新設カウンターウェート取付
工程Ｓ１２とからなる。

【０００９】それぞれの工程について詳しく説明する
と、揚重装置設置工程Ｓ１では、図３に示すように、エ
レベータ１の機械室２に設けられている既設マシンビー
ム３上に揚重用鋼材（Ｈ鋼）４を設置した後、この揚重
用鋼材４を支持部材として用いることにより、昇降路５
内の最上部に、電動チェーンブロックからなる第１の揚
重装置６を設置する。

【００１０】ステージ組立工程Ｓ２では、最上階５ａに
停止させた既設乗りかご７上の作業者が、既設カウンタ
ーレール１０の最上部レール部材８を解体除去した後、
図３に示すように乗りかご７を最上階５ａのすぐ下の階
床５ｂに停止させて、この乗りかご７上の作業者が最上
階５ａにステージ９を組み立てる。

【００１１】次なるレールクリップ取外し工程Ｓ３で
は、図３，４に示すように、既設乗りかご７を下降させ
ながら、この乗りかご７上の作業者が、既設カウンター
レール１０の上部固定用レールクリップ１１と下部固定
用レールクリップ１５を除く残余の中間固定用レールク
リップ１２，１３，１４を取り外す。

【００１２】そして、既設乗りかご吊持工程Ｓ４におい
て、図４に示すように、既設カウンターウェート１７を
最上階５ａのステージ９のすぐ下方に位置させた状態
で、電動チェーンブロックからなる第２の揚重装置１６
により既設乗りかご７を吊持した後、既設カウンターウ
ェート１７に第１の揚重装置６を取り付ける。

【００１３】次なる主ロープ巻取り工程Ｓ５では、主ロ
ープ１８を既設乗りかご７および既設カウンターウェー
ト１７から切り離し、この主ロープ１８を機械室２で巻
き取って昇降路５内から撤去する。

【００１４】そして、図５，６に示すように、既設カウ
ンターウェート吊り下ろし工程Ｓ６で、ステージ９の近
傍に位置する既設カウンターウェート１７を、第１の揚
重装置６により昇降路５の底部（ピット）まで吊り下ろ
したなら、次の既設カウンターウェート撤去工程Ｓ７
で、ピット内の作業者が既設カウンターウェート１７を
解体して昇降路５内から撤去する。

【００１５】次に、図６，７に示すように、作業台組立
工程Ｓ８において、第２の揚重装置１６により既設乗り
かご７を昇降路５の最下階５ｃまで吊り下ろして解体
し、新設乗りかご１９を組み立てるとともに、この新設
乗りかご１９上に作業台２０を組み立てる。

【００１６】次なる既設カウンターレール撤去工程Ｓ９
では、図７に示すように、第１の揚重装置６を既設カウ
ンターレール１０に取り付けた後、この揚重装置６で吊
り下げた既設カウンターレール１０を最下部から順次、
ピット内の作業者が解体して撤去する。

【００１７】しかる後、新設カウンターレール仮固定工
程Ｓ１０において、図８に示すように、新設カウンター
レール２１を第１の揚重装置６で吊り上げて、レールク
リップにより仮固定していく。すなわち、まず左右の新
設カウンターレール２１それぞれの最上部レール部材を
図示せぬ吊り雇に取り付けて、第１の揚重装置６で所定
量吊り上げたなら、各最上部レール部材の下にそれぞ
れ、図示せぬプレートを介して２本目のレール部材を接
続し、継目部分には図示せぬタイブラケットを取り付け
ておく。以下同様に、第１の揚重装置６を吊り上げては
下方に順次レール部材を接続していくという作業を繰り
返すことにより、左右の新設カウンターレール２１を概
略所定の位置関係に保ったまま第１の揚重装置６で吊り
上げることができるので、その上部と下部のレール部材
を仮固定した後、第１の揚重装置６を新設乗りかご１９
に取り付けて昇降可能とし、中間部のレール部材の仮固
定を作業台２０上の作業者が行う。

【００１８】こうして新設カウンターレール２１の仮固
定が終了したなら、新設カウンターレール本固定工程Ｓ
１１において、作業台２０を利用しながら、新設カウン
ターレール２１の芯出しを行い、芯出し作業終了後、図
９に示すようにレールクリップ１１〜１５によって新設
カウンターレール２１を本固定する。

【００１９】そして、最後に新設カウンターウェート取
付工程Ｓ１２において、ピットで組み立てた新設カウン
ターウェート２２を新設カウンターレール２１に取り付
けることにより、カウンターウェートおよびカウンター
レールの取替作業が完了するので、この後、新設乗りか
ご１９と新設カウンターウェート２２を主ロープで連結
するなどして、エレベータのリニューアルを行うことが
できる。

【００２０】このように本実施形態は、上述したＳ１か
らＳ１２までの一連の工程を実行することにより、昇降
路５内に底部から最上階まで至る大きな足場を組み立て
なくとも、安全かつ円滑に、既設のカウンターレール１
０およびカウンターウェート１７を新設のカウンターレ
ール２１およびカウンターウェート２２に取り替えるこ
とができる。それゆえ、大きな足場の製作に多大な時間
と費用を要していた従来技術に比べて、作業時間が大幅
に短縮できて費用も低減できる。

【００２１】なお、上述した実施形態では第１および第
２の揚重装置６，１６に電動チェーンブロックを用いて
いるが、他の揚重機器を代用することも可能である。

【００２２】

【発明の効果】本発明によるカウンターウェートおよび
カウンターレールの取替方法は、以上説明したような形
態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２３】昇降路内に底部から最上階まで至る大きな
足場を組み立てる必要がなくなるので、作業時間の短縮
化が図れるとともに、高額な足場代が不要になることか
らコストダウンも図れる。また、揚重装置や乗りかごを
効率的に利用しているので、安全性も確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態で作業台組立工程までの作
業手順を示すフローチャートである。

【図２】同実施形態で既設カウンターレール撤去工程か
ら新設カウンターウェート取付工程までの作業手順を示
すフローチャートである。

【図３】同実施形態におけるステージ組立工程等を示す
昇降路縦断面図である。

【図４】同実施形態における既設乗りかご吊持工程等を
示す昇降路縦断面図である。

【図５】同実施形態における既設カウンターウェート吊
り下ろし工程等を示す昇降路縦断面図である。

【図６】同実施形態における既設カウンターウェート撤
去工程等を示す昇降路縦断面図である。

【図７】同実施形態における既設カウンターレール撤去
工程等を示す昇降路縦断面図である。

【図８】同実施形態における新設カウンターレール仮固
定工程等を示す昇降路縦断面図である。

【図９】同実施形態における新設カウンターウェート取
付工程等を示す昇降路縦断面図である。

【符号の説明】

２ 機械室 ３ 既設マシンビーム ４ 揚重用鋼材 ５ 昇降路 ６ 第１の揚重装置 ７ 既設乗りかご ８ 最上部レール部材 ９ ステージ １０ 既設カウンターレール １１〜１５ レールクリップ １６ 第２の揚重装置 １７ 既設カウンターウェート １８ 主ロープ １９ 新設乗りかご ２０ 作業台 ２１ 新設カウンターレール ２２ 新設カウンターウェート

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇降路の最上部に第１の揚重装置を設置
   する揚重装置設置工程と、 乗りかごを利用して、既設カウンターレールの最上部レ
   ール部材を解体除去するとともに、最上階にステージを
   組み立てるステージ組立工程と、 このステージ組立工程終了後、乗りかごを下降させなが
   ら、既設カウンターレールの少なくとも上部固定用レー
   ルクリップを除く残余のレールクリップを取り外すレー
   ルクリップ取外し工程と、 このレールクリップ取外し工程終了後、第２の揚重装置
   により乗りかごを吊持したまま、前記ステージの近傍に
   位置する既設カウンターウェートを前記第１の揚重装置
   により昇降路最底部まで吊り下ろすカウンターウェート
   吊り下ろし工程と、 このカウンターウェート吊り下ろし工程終了後、既設カ
   ウンターウェートを解体して撤去するカウンターウェー
   ト撤去工程と、 このカウンターウェート撤去工程終了後、既設カウンタ
   ーレールを前記第１の揚重装置で吊り下げながら解体撤
   去するカウンターレール撤去工程と、 このカウンターレール撤去工程終了後、新設レール部材
   を前記第１の揚重装置で吊り上げながら下方へ順次接続
   して新設カウンターレールとなし、この新設カウンター
   レールを乗りかご上の作業台を利用して仮固定する新設
   カウンターレール仮固定工程と、 この新設カウンターレール仮固定工程終了後、前記作業
   台を利用して、新設カウンターレールを芯出しして本固
   定する新設カウンターレール本固定工程と、 この新設カウンターレール本固定工程終了後、新設カウ
   ンターウェートを新設カウンターレールに取り付ける新
   設カウンターウェート取付工程とを含むことを特徴とす
   るエレベータのカウンターウェートおよびカウンターレ
   ールの取替方法。
2. 【請求項２】 前記揚重装置設置工程において、機械室
   のマシンビーム上に揚重用鋼材を設置し、この揚重用鋼
   材にて前記第１の揚重装置を支持するようにしたことを
   特徴とする請求項１記載のエレベータのカウンターウェ
   ートおよびカウンターレールの取替方法。
3. 【請求項３】 前記ステージ組立工程において、まず最
   上階に停止させた乗りかご上で前記最上部レール部材を
   解体除去し、次いで乗りかごを最上階よりも下方に停止
   させ、その乗りかご上で前記ステージを組み立てるよう
   にしたことを特徴とする請求項１または２記載のエレベ
   ータのカウンターウェートおよびカウンターレールの取
   替方法。
4. 【請求項４】 前記カウンターウェート吊り下ろし工程
   の前に、既設カウンターウェートと乗りかごとを連結し
   ていた主ロープを昇降路内から撤去するようにしたこと
   を特徴とする請求項１ないし３いずれかに記載のエレベ
   ータのカウンターウェートおよびカウンターレールの取
   替方法。
5. 【請求項５】 前記カウンターレール撤去工程の前に、
   前記第２の揚重装置により既設乗りかごを昇降路の最下
   階まで吊り下ろして、この既設乗りかごを新設乗りかご
   に取り替えるとともに、この新設乗りかご上に前記作業
   台を組み立てるようにしたことを特徴とする請求項１な
   いし４いずれかに記載のエレベータのカウンターウェー
   トおよびカウンターレールの取替方法。