JPH11348584A - 鞍乗型車両の動力伝達装置 - Google Patents

鞍乗型車両の動力伝達装置

Info

Publication number
JPH11348584A
JPH11348584A JP10160550A JP16055098A JPH11348584A JP H11348584 A JPH11348584 A JP H11348584A JP 10160550 A JP10160550 A JP 10160550A JP 16055098 A JP16055098 A JP 16055098A JP H11348584 A JPH11348584 A JP H11348584A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
engine
torque value
speed
drive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10160550A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Takamura
直己 高村
Akinori Honma
章徳 本間
Kazuhiko Mizutani
和彦 水谷
Yoshiyuki Hosoda
慶幸 細田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suzuki Motor Corp filed Critical Suzuki Motor Corp
Priority to JP10160550A priority Critical patent/JPH11348584A/ja
Publication of JPH11348584A publication Critical patent/JPH11348584A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
  • Arrangement Of Transmissions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型かつ軽量でエンジンの出力を効率的に伝
達し得ると共に、発進時等における変速動作をスムーズ
に行うことができるようにする。 【解決手段】 鞍乗型車両の動力伝達装置Tにおいて、
エンジン2のクランクシャフト2hと変速機構30との
連結、遮断を行うクラッチ機構23と、前記カウンタシ
ャフト2hの回転に伴って回動するドライブメンバ24
と、前記ドライブメンバ24の係合面24aに磁性粉を
介して係合する係合面25aを備えたドリブンメンバ2
5と、各係合面に磁性粉を吸着させる磁界を発生させる
ための励磁電流を供給する手段44aとを備え、前記手
段44aへの励磁電流を制御手段によって制御し、係合
面24aにおける磁性粉の吸着力及び吸着量を制御して
ドライブメンバ24からドリブンメンバ25への回転力
の伝達状態を変化させるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鞍乗型車両の変速
装置に関し、特に大型な鞍乗型車両に好適な鞍乗型車両
の動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動二輪車等の鞍乗型車両におけ
る動力伝達装置としては、Vベルトを用いて車速に応じ
た無断変速を行うものや、トルクコンバータを用いたも
のなどが一般に知られており、前者にあっては、約50
cc〜250cc程度の比較的小さな排気量のエンジン
を搭載した車両に適用され、また、後者にあっては比較
的大きな排気量のエンジンを搭載した車両に搭載されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Vベル
トを用いた動力伝達装置にあっては、上記のように、所
謂小型、中型の車両には使用されているものの、400
cc以上の排気量を有するような大型な車両に対して
は、Vベルトの強度、耐久性が不十分になるため、この
種の自動変速機の大型車両への適用は極めて困難であっ
た。また、トルクコンバータを使用したものにあって
は、エンジン出力の伝達効率が低いため、燃費が悪くな
ると共に重量が重くなるという問題があり、さらに、加
速が緩慢なものとなり、搭乗者の意志に応じた俊敏な走
行が行いにくく、快適性に劣るという問題もあった。
【0004】もっとも、四輪自動車などにあっては、上
記のようなトルクコンバータの持つ問題を解消すべく、
トルクコンバータとギア式変速機とを併用するものも提
供されているが、この場合には、変速装置が大型になる
ため、設置スペースの制限されている鞍乗型車両、特に
自動二輪車にあっては極めて適用が困難であり、その重
量も大きくなり過ぎるという問題があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の課題に着目して
なされたもので、小型かつ軽量でエンジンの出力を効率
的に伝達し得ると共に、発進時などにおける変速動作を
スムーズに行うことができる鞍乗型車両の動力伝達装置
の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため次の構成を有する。すなわち、本願請求項1
記載の発明は、エンジンの駆動によって回転するクラン
クシャフトと、このクランクシャフトと平行してクラン
クケースに回動可能に保持されたカウンタシャフトと、
このカウンタシャフトと平行して回動自在に支持された
ドライブシャフトと、前記カウンタシャフトの外端部近
傍に支持されたクラッチ機構と、前記クランクシャフト
の外端部とクラッチ機構とを連結する連結機構と、前記
カウンタシャフトに嵌挿された複数のドライブギアと、
前記前記ドライブシャフトに嵌挿され、前記ドライブギ
アに噛合する複数のドリブンギアと、前記ドライブギア
とドリブンギアとを選択的にスラスト方向へとシフトさ
せることにより前記各シャフトと前記各ギアとを回転方
向において選択的に係合させるギアシフト機構とを備
え、前記クラッチ機構は、前記カウンタシャフトと同心
位置に回動自在に支持され、前記クランクシャフトの回
転に伴って回動するドライブメンバと、前記ドライブメ
ンバの内面に形成された係合面に微小間隙を介して対向
する係合面を備えたドリブンメンバと、前記両係合面の
間に介在させた磁性粉と、前記ドライブメンバの係合面
に磁性粉を吸着させる磁界を発生させるための励磁電流
供給手段と、前記励磁電流供給手段にて供給すべき励磁
電流を制御する制御手段とを備え、前記励磁電流を制御
手段によって制御することにより、係合面に吸着させる
磁性粉の吸着力及び吸着量を制御してドライブメンバと
ドリブンメンバとの間に発生する摺動抵抗を変化させ、
ドライブメンバからドリブンメンバへの回転力の伝達状
態を変化させるようにする一方、前記ギアシフト機構
は、所定の駆動装置により駆動されるギアシフトカムに
よってギアシフトフォークを各シャフトにおけるスラス
ト方向へと移動させることにより前記各ギアを同方向へ
と移動させるよう構成したものである。
【0007】上記構成を有する本発明によれば、クラッ
チ機構に、そのドライブメンバとドリブンメンバとの結
合に磁性粉を使用する所謂パウダクラッチを用いている
ため、トルクコンバータなどを用いた従来の装置に比
べ、装置を大幅に小型化することができると共に、ギア
をシフトさせて変速動作を行うものであるため、Vベル
トなどを用いた従来の自動変速機などに比べ、耐久性も
大幅に向上し、大きなトルクを発生させる大型車両など
にも好適なものとなる。
【0008】また、クランクケースとの組み合わせによ
って、前記連結機構及びクラッチ機構を収納する収納空
間を形成するカバーを設け、このカバーの収納空間内
を、クランクシャフト及びクラッチ機構を覆うクランク
シャフトカバー部とこの前記クラッチ機構を覆うクラッ
チカバー部とに液密に区轄形成し、かつクランクシャフ
トカバー部の一部に内方に突出する凹部を形成し、その
凹部を前記クラッチカバー部の一部とすれば、クラッチ
機構を覆うクランクシャフトカバーとクラッチカバーと
が左右方向において一部重合した状態となるため、両カ
バーにおける左右方向の幅を縮小することができ、より
小型化することができる。
【0009】さらに、エンジントルク値とクラッチトル
ク値とが一致するときのエンジン回転数をクラッチスト
ール回転数とし、エンジン回転数がクラッチストール回
転数未満であるとき、クラッチトルク値をエンジントル
ク値未満に抑え、エンジン回転数がクラッチストール回
転数以上であるとき、クラッチトルク値をエンジントル
ク値以上に設定するようにすれば、クラッチ機構におけ
るドライブメンバとドリブンメンバとの連結を常に一定
のエンジン回転数において確実に行うことができる。
【0010】また、前記クラッチストール回転数として
は、スロットル開度最大時のエンジン回転数におけるエ
ンジントルク値と、クラッチトルク値とが一致するとき
のエンジン回転数をクラッチストール回転数としても良
く、さらには、複数のスロットル開度に応じた複数のエ
ンジントルク値と、クラッチトルク値とが一致するとき
の複数のエンジン回転数をクラッチストール回転数とし
ても良く、これによれば、複数の加速状態に応じた適正
なクラッチの連結を常にスムーズに行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施形態を
適用してなる鞍乗型車両としての自動二輪車を示す側面
図、図2は図1に示したエンジンの外観側面図、図3は
エンジンの内部構造及び設置状態を示す縦断側面図、図
4は本発明の動力伝達装置を示す縦断側面図、図5は図
4に示したものの側面図、図6は同上実施形態における
ギアシフト機構を示す一部縦断平面図、図7は同上実施
形態における制御系回路を示すブロック図、図8はクラ
ッチにおける励磁電流に対するクラッチトルクの関係を
示す線図、図9はエンジン回転数に対するクラッチトル
ク及びエンジントルクの関係を示す線図、図10は時間
に対するエンジン回転数の変化を示す線図である。
【0012】図1においいて、ここに示す鞍乗型車両1
は、400cc以上の排気量を有するエンジン2を車体
フレーム3に搭載した大型な自動二輪車となっている。
ここに用いられる車体フレーム3は、高剛性、高強度を
得られるダブルクレードル型フレームとなっておであ
り、その前端部を構成するヘッドパイプ3aには、スロ
ットルグリップを有するハンドルバー4の中央部に設け
られたステアリングステムが回動自在に支持されると共
に、ステアリングステムにブラケット5,6を介して保
持されるフロントフォーク7には、前輪8が軸着されて
いる。
【0013】また、前記車体フレーム3のアッパーパイ
プ3bには、燃料タンク10が保持されると共にシート
レール3cには、運転者用シート9a及びリヤフェンダ
ー11が前後に保持されており、リヤフェンダー11の
上方には、同乗者用シート9bが保持されている。さら
に、車体フレーム3のメインフレーム3dには、ピボッ
ト3eを中心として揺動可能にスイングアーム12が支
持され、スイングアーム12の後端部には後輪13が回
動自在に支持されている。また、スイングアーム12の
後端部近傍とシートレール3cとの間にはクッションユ
ニット14が介在されており、このクッションユニット
14の弾性力によって路面からの衝撃を緩和しつつ後輪
13を上下させ得るようになっている。
【0014】また、前記エンジン2は、図2に示すよう
に、クランクケース2aに前後に一対のシリンダ2b,
2bをV字状に配した4ストロークV型エンジンとなっ
ており、図3に示すように、車体フレーム3のダウンチ
ューブ3f及びメインチューブ3dにブラケット15を
介して保持されている。そして、このエンジン2の各気
筒における動弁機構は、シリンダヘッド2b1及びシリ
ンダヘッドカバー2d内に設けた吸排気バルブ2i,2
jを単一のカムシャフト2eによって駆動するOHC方
式をとるものとなっている。なお、図中、2gは前記シ
リンダ内を往復動作するピストン2fとクランクケース
2aに回動自在に支持されたクランクシャフト2hとを
連結するコンロッド、15は前記エンジン2の各気筒
に、エアークリーナ16から供給される空気と燃料タン
ク10から供給される燃料とを混合して供給するキャブ
レターである。
【0015】ところで、前記エンジン2によって回転す
るクランクシャフト2hには、図4に示すような動力伝
達装置Tが連結されている。この動力伝達装置Tは、ク
ランクシャフト2hと平行して、カウンタシャフト2
1、ドライブシャフト22が設けられており、クランク
シャフト2hとカウンタシャフト21との間には一次伝
達機構として連結機構20及びクラッチ機構23が介在
し、カウンタシャフト21とドライブシャフト22との
間には変速機構30が介在している。
【0016】前記連結機構20は、前記クランクケース
2aの一側面から外方へと突出するクランクシャフト2
hの一端部に固定された第1の連結ギア20aと、前記
カウンタシャフト21に回動自在に支持された第2の連
結ギア20bとからなり、両ギア20a,20bは互い
に噛合している。また、前記クラッチ機構23は、カウ
ンタシャフト21に回動自在に支持されたドライブメン
バ24と、カウンタシャフト21に回動自在に支持され
たドリブンメンバ25とを備える。ドライブメンバ24
は、クランクシャフト2hにベアリング21aを介して
回動自在に保持された蓋体24aと、前記第2の連結ギ
ア20bの筒状部にスラスト方向への移動を可能とし回
動を不能とするよう係合し、かつカウンタシャフト21
に対しベアリング21bを介して回動自在に保持された
回転板24bと、前記回転板24bと蓋体24との間に
ねじにて締着固定された係合部24cとからなる。係合
部24cには、平坦な係合面24c1が形成されると共
に、内部に磁力発生部24dが埋設されている。
【0017】前記カウンタシャフト21には、スプリン
グ保持部材26が固定されており、このスプリング保持
部材26の筒状部26aに前記ドリブンメンバ25が回
動自在に支持されている。このドリブンメンバ25は、
前記ドライブメンバ24の係合面24c1に微小間隙を
介して対向する係合面25aを有し、前記スプリング保
持部材26とドリブンメンバ25の各々に円周方向に沿
って形成した複数の窓部に緩衝スプリング27が挿入さ
れている。この緩衝スプリング27は、その一端部が前
記ドリブンメンバ25に当接し、他端部がスプリング保
持部材26に当接するよう保持されており、この緩衝ス
プリング27の弾性力によって、常には、ドリブンメン
バ25とスプリング保持部材26との相対位置を一定に
保つようになっている。また、前記ドリブンメンバ25
は、前記ドライブメンバ24の蓋体24aとカバー体2
7との間に形成される閉塞空間内に収納されており、両
メンバ24,25の各係合面24a,25aの間に形成
される微小間隙内に磁性粉が介在するようになってい
る。
【0018】また、前記変速機構30は、カウンタシャ
フト21に挿通させた複数枚のドライブギアと、前記ド
ライブシャフト20に挿通させた複数枚のドリブンギア
とを備え、各シャフト21,20におけるギアの枚数
は、必要とする変速段数と同一枚数となっている。この
実施形態においては、5段変速機構となっているため、
カウンタシャフト21には、1速のドライブギア1Pか
ら5速のドライブギア5Pが設けられ、ドリブンシャフ
ト20には1速のドリブンギア1Gから5速のドリブン
ギア5Gが設けられており、両シャフト21,20に設
けられた各ギアは、同一変速段おけるギア同士で噛合し
ている。
【0019】そして、これらドライブギアのうち、3
速,4速のドライブギア3P,4Pはカウンタシャフト
21に対してスラスト方向への移動を不能とすると共に
回動を可能としており、2速のドライブギア2Pはスラ
スト方向への移動を可能とすると共に回動を可能とし、
1速,5速のドライブギア1P,5Pはスラスト方向へ
の移動及び回動を不能としている。また、前記ドリブン
ギアのうち、3速、4速のドリブンギア3G,4Gは、
ドライブシャフト22に対してスラスト方向への移動を
可能とすると共に、回動を不能としており、2速のドリ
ブンギアは、ドライブシャフト22に対してスラスト方
向への移動を不能とし、回動可能としており、1速,5
速のドリブンギア1G,5Gはドライブシャフト22に
対し回動を可能とすると共にスラスト方向への移動を不
能としている。
【0020】また、前記各シャフト21,22における
スラスト方向へのギア2P,3G,4Gの移動は、図6
に示すギアシフト機構31によって行うようになってい
る。このギアシフト機構31は、支軸31aなどによっ
て回動自在に支持されたほぼ円筒状のシフトカム32
と、このシフトカム32の両側部に沿って左右方向に並
設されたガイドロッド33,34と、前記ガイドロッド
33,34にスラスト方向に沿って移動可能に挿通され
ると共に一端部が前記シフトカム32のカム溝32aに
挿通されるシフトフォーク35,36a,36bとを備
える。
【0021】このうちシフトフォーク35は、前記2速
のドライブギア2Pに係合し、シフトフォーク36a,
36bは、3速、4速のドリブンギア3G,4Gに係合
している。そして、前記シフトカム32の左端部に連結
されたステッピングモータなどからなるギアシフトモー
タ38によってシフトカム32を回転させ、前記シフト
フォーク35を移動させることにより、ギア2P,36
a,36bがガイドロッド33,34に従って左右方向
へと移動し、所定の変速段数が選択されるようになって
いる。なお、このギアシフトモータ38は、図1に示す
ように、クランクケース2aの左側壁部に突設されてお
り、車体の右側に位置するクラッチ機構24とは、車幅
方向において反対側に位置している。
【0022】また、前記クランクケース2aの外面に
は、図4に示すように、このクランクケース2aとの組
み合わせによって、前記連結機構24を収納するクラン
クシャフトカバー部41とそのクランクシャフトカバー
部41の側壁41aに一体に固定されたクラッチカバー
部42とからなるカバーが設けられている。前記クラン
クシャフトカバー部41は、その開口部端縁が前記クラ
ンクケース2aに突設された壁体2a1の端面に固定さ
れており、2つの収納空間S1,S2がベアリング21
c及び側壁41aによって液密に区轄形成されている。
そして、前記クランクシャフトカバー41の側壁41a
には、前記ドライブメンバ24との対向位置に内方(連
結機構側)に向けて突出する凹部41a1が形成されて
いる。
【0023】このため、凹部41a1において、クラン
クシャフトカバー41により形成される空間S1とクラ
ッチカバー42により形成される空間S2とが左右方向
において一部重合した状態となるため、両カバー41,
42によって覆われる空間全体を有効に利用することが
できる。すなわち、多くの部品が存在するクラッチ機構
23の収納空間S2を、比較的部品の少ない連結機構2
0の収納空間側に拡張させることによって空間全体を有
効に利用することができる。また、この空間の有効利用
によって、車体の左右方向の幅も縮小することができ、
車両の小型化を図ることができる。このため、磁性粉を
用いたいわゆるパウダクラッチ機構23自体が幅狭であ
ることと相俟って、この実施形態においては動力伝達装
置T全体を狭小化することができ、延いてはこれを用い
た車両全体の小型化も可能となる。
【0024】また、前記クラッチカバー42の上端面に
は、図4及び図5に示すようにブラシホルダ44が固定
されており、このブラシホルダ44の上端部には、図外
の電源に連結可能なコネクタ44aが設けられると共
に、ブラシホルダ44の下端部には、前記ドライブメン
バ24の磁力発生部24dに対して電流を供給するブラ
シ44bが固定されている。
【0025】一方、図7はこの実施形態における制御系
回路の構成を示すブロック図である。図において、50
は種々の演算、判別、制御などの動作を行う制御手段と
してのCPUであり、その入力側には、前輪8及び後輪
13の回転速度を検出する車輪速センサ51、エンジン
2の回転数を検出するエンジン回転数検出センサ52等
の各種センサ、シフトアップ、シフトダウンを指示する
シフト操作部53等が接続されている。また、CPU5
0の出力側には、前記ブラシホルダ44のコネクタ44
aに接続されて前記ドライブメンバ24の磁力発生部2
4dへの励磁電流の供給量を制御する電流制御回路55
と、前記ギアシフトモータ38のモータ駆動回路56等
が接続されている。なお、前記電流制御回路55と前記
ブラシ44bとにより、励磁電流供給手段が構成されて
いる。
【0026】この実施形態における変速装置は上記のよ
うに構成されており、自動二輪車1の走行時には、エン
ジン2のピストン2fの直線運動によってクランクシャ
フト2hが回転し、その回転は、第1の連結ギア20a
から第2の連結ギア20bによって所定の減速比で減速
されてクラッチ機構23に伝達される。クラッチ機構2
3では、第2の連結ギア20bに噛合するドライブメン
バ24が回転し、その回転力がドライブメンバ24の係
合面24aから磁性粉を介してドリブンメンバ25の係
合面25aへと伝達され、ドリブンメンバ25が回転す
る。ドリブンメンバ25は緩衝スプリング27を圧縮さ
せてスプリング保持部材26を押圧し、スプリング保持
部材26と共にカウンタシャフト21を回転させ、その
回転は変速機構30へと伝達される。
【0027】変速機構30では、カウンタシャフト21
に挿通支持されているドライブギアのうち、設定されて
いる変速段数に応じたドライブギアが、ドライブシャフ
ト22に挿通支持されているドリブンギアへと伝達さ
れ、ドライブシャフト22が回転する。そして、このド
ライブシャフト22の回転力は、図外のドライブスプロ
ケット、及びチェーンなどを介してリアアクスルに固定
されたドリブンスプロケットに伝達され、これと共に後
輪13が回転する。
【0028】ところで、上記クラッチ機構24における
ドライブメンバ24からドリブンメンバ25への回転力
の伝達は、両メンバ24,25の各係合面24a,25
aの間に介在する磁性粉に磁界をかけて鎖状に磁性粉を
連結させることにより行うことができ、各係合面24
a,25aの係合力は磁性粉にかける磁界の強度を調整
することによって制御することができる。この磁界強度
の調整は、前記磁力発生部24dに励磁電流を供給する
電流制御回路55を制御することができ、これによって
各係合面24a,25aの係合力であるクラッチトルク
を制御することができる。図8は、このクラッチ機構に
おけるクラッチトルク特性を示す図であり、図示のよう
に、クラッチトルクtcは励磁電流に応じて略一定の割
合で増加している。
【0029】そして、この励磁電流は、運転者が操作す
るスロットル開度に伴うエンジン回転数及びエンジン回
転数の増加率に比例して制御し、これによって発進時の
クラッチトルクtcを制御するようになっている。通
常、アイドリング状態からの発進時には、図9に示すよ
うにエンジン回転数Neが増加するに従ってクラッチト
ルクtcが増大し、そのクラッチトルクtcとエンジン
トルクteとが一致する点がストール点SPとなる。従
って、クラッチトルクtcがエンジントルクte以上と
なることにより、クラッチ機構24におけるドライブメ
ンバ24の係合面24aとドリブンメンバ25の係合面
25aとが確固に結合され、両メンバ24,25は一体
化して回転する。また、クラッチトルクtcがエンジン
トルクteより小なる値となっている場合には、両メン
バ24,25の係合面24a,25aの間に滑りが生じ
る。
【0030】図10は、この発進時における時間tに対
するエンジン回転数Ne及びカウンタシャフト21の回
転数の変化を示す図である。図示のように、エンジン回
転数Neはスロットル開度に応じて、異なる曲線を描い
て上昇する。すなわち、スロットル開度を最大とした場
合、エンジン回転数は図中aに示すように急峻に立ち上
がって(大きな増加率を示して)急加速が行われ、スロ
ットル開度を中程度に設定した場合には、エンジン回転
数は図中bに示すように、前記aに示す曲線よりも緩慢
に立ち上がって(曲線aよりも小さな増加率を示して)
中程度の加速がなされ、スロットル開度をより小さく設
定して緩やかに加速する場合には図中cに示すように、
前記bに示す曲線よりさらに緩やかな立ち上がりとなる
(小さな増加率となる)。なお、図10における斜線部
分Eは、エンジン回転数Neとカウンタシャフト21の
回転数とが不一致になっている領域、すなわちクラッチ
機構24のドライブメンバ24とドリブンメンバ25の
係合面24a,25aとの間に滑りが生じている領域を
示している。
【0031】そして、従来は、運転者がスロットル開度
を手動操作で、スムーズなクラッチ連結を行うべくスロ
ットル開度をかげんしながらクラッチ機構の連結を行な
っていたが、その操作には技術を要し、常に良好な連結
状態を得ることは困難であった。これに対し、この実施
形態においては、前述のようにスロットル開度の増加率
をエンジン回転数の増加率に基づき判断し、その増加率
に応じて、クラッチ機構24の接続を行うべき適当な回
転数を選択し、その選択した回転数に達した時点で滑り
のない完全な接続を行うべく磁力の発生を制御してい
る。
【0032】ここでは、エンジン回転数が、前記曲線a
≦E<bの範囲Eで変化する場合を急発進、b≦E<c
の範囲Eで変化する場合を中加速、c≦E<dで変化す
る場合を低加速として判断し、エンジン回転数の増加率
を検出した後、その増加率がいずれの範囲に属するかを
判断し、その判断結果に応じた適正なエンジン回転数
(ストール点SPより僅かに大きな回転数)でクラッチ
接続を行うようになっており、これにより、常にスムー
ズなクラッチ接続を行うことができる。
【0033】なお、エンジン回転数の増加率は、エンジ
ン回転数検出センサ52から出力される回転数データに
基づきCPU50が算出するようになっており、さら
に、CPU50はその算出結果に基づき電流制御回路5
5を制御して励磁電流を制御し、磁力を制御してクラッ
チ機構24におけるドライブメンバ24とドリブンメン
バ25との係合力を制御するようになっている。このよ
うに、この実施の形態によれば、急発進、中加速、低加
速などに応じたスロットル操作を行うだけで、いかなる
場合にもスムーズなクラッチ接続が可能となり、良好な
走行性を得ることができる。
【0034】また、以上の説明では、発進を行う場合に
おける上記実施形態の動作を説明したが、この実施形態
においては、発進時だけでなく、走行中のギアシフトな
どにおいても有効に機能する。すなわち、ギアシフトを
行う場合には、一旦、クラッチを切り(この時、エンジ
ンを失火させる)、ギアシフトを行った後、再びクラッ
チを接続させるが、このクラッチの接続においても、ス
ロットルを必要とする加速状態に応じて操作を行うこと
により、自動的に適当な回転数でクラッチを接続するこ
とができ、良好な走行性が得られる。
【0035】なお、上記実施形態においては、ギアシフ
トカムの駆動を行う駆動装置としてステッピングモータ
を用いたが、この他に、ソレノイドや油圧もしくは空圧
を利用した駆動装置を適用することも可能である。
【0036】
【発明の効果】以上説明した通り本発明に係る鞍乗型車
両の動力伝達装置によれば、変速機構としてギアを用い
ると共に、クラッチ機構としてドライブメンバ、ドリブ
ンメンバとを磁性粉を介して連結、遮断し得るようにし
た所謂パウダクラッチ機構を用いたため、エンジンの出
力を小型かつ軽量な構成で効率的に動力を伝達すること
ができ、大型な鞍乗型車両への適用にも十分に耐え得る
耐久性を得ることができる。
【0037】また、エンジンにおけるエンジントルク値
とクラッチ機構におけるクラッチトルク値とが一致する
ときのエンジン回転数をクラッチストール回転数として
設定すれば、クラッチ機構におけるクラッチトルクの連
結を常に一定のエンジン回転数において確実に行うこと
ができ、さらに、クラッチストール回転数を複数設定す
れば、複数の加速状態において適正なクラッチ接続をス
ムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を適用してなる鞍乗型車両と
しての自動二輪車を示す側面図である。
【図2】図1に示したエンジンの外観側面図である。
【図3】エンジンの内部構造及び設置状態を示す縦断側
面図である。
【図4】本発明のクラッチ機構を示す縦断側面図であ
る。
【図5】同上実施形態における変速装置を示す一部縦断
平面図である。
【図6】同上実施形態におけるギアシフト機構を示す一
部横断平面図である。
【図7】同上実施形態における制御系回路を示すブロッ
ク図である。
【図8】クラッチにおける励磁電流に対するクラッチト
ルクの関係を示す線図である。
【図9】エンジン回転数に対するクラッチトルク及びエ
ンジントルクの関係を示す線図である。
【図10】時間に対するエンジン回転数の変化を示す線
図である。
【符号の説明】
1 自動二輪車 2 エンジン 2a クランクケース(クランクケース) 2h クランクシャフト 20 連結機構 21 カウンタシャフト 20 ドライブシャフト 23 クラッチ機構 24 ドライブメンバ 24a 係合面 25 ドリブンメンバ 25a 係合面 31 ギアシフト機構 32 ギアシフトカム 36 ギアシフトフォーク 37a,37b ギアシフトフォーク 38 モータ 41 クランクシャフトカバー部 41a 凹部 42 クラッチカバー部 44b ブラシ 55 電流制御回路 1P〜5P ドライブギア 1G〜5G ドリブンギア S1,S2 収納空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細田 慶幸 静岡県浜松市高塚町300番地 スズキ株式 会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動によって回転するクラン
    クシャフトと、 前記クランクシャフトと平行してクランクケースに回動
    可能に保持されたカウンタシャフトと、 前記カウンタシャフトと平行して回動自在に支持された
    ドライブシャフトと、 前記カウンタシャフトの外端部近傍に支持されたクラッ
    チ機構と、 前記クランクシャフトの外端部とクラッチ機構とを連結
    する連結機構と、 前記カウンタシャフトに嵌挿された複数のドライブギア
    と、 前記ドライブシャフトに嵌挿され、前記ドライブギアに
    噛合する複数のドリブンギアと、 前記ドライブギアとドリブンギアとを選択的にスラスト
    方向へとシフトさせることにより前記各シャフトと前記
    各ギアとを回転方向において選択的に係合させるギアシ
    フト機構とを備え、 前記クラッチ機構は、前記カウンタシャフトと同心位置
    に回動自在に支持され、前記クランクシャフトの回転に
    伴って回動するドライブメンバと、 前記ドライブメンバの内面に形成された係合面に微小間
    隙を介して対向する係合面を備えたドリブンメンバと、 前記両係合面の間に介在させた磁性粉と、 前記ドライブメンバの係合面に磁性粉を吸着させる磁界
    を発生させるための励磁電流供給手段と、 前記励磁電流供給手段にて供給すべき励磁電流を制御す
    る制御手段とを備え、 前記励磁電流を制御手段によって制御することにより、
    係合面に吸着させる磁性粉の吸着力及び吸着量を制御し
    てドライブメンバとドリブンメンバとの間に発生する摺
    動抵抗を変化させ、ドライブメンバからドリブンメンバ
    への回転力の伝達状態を変化させるようにする一方、前
    記ギアシフト機構は、所定の駆動装置により駆動される
    ギアシフトカムによってギアシフトフォークを各シャフ
    トにおけるスラスト方向へと移動させることにより前記
    各ギアを同方向へと移動させるよう構成したことを特徴
    とする鞍乗型車両の動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 クランクケースとの組み合わせによっ
    て、前記連結機構及びクラッチ機構を収納する収納空間
    を形成するカバーを設け、このカバーの収納空間内を、
    クランクシャフト及びクラッチ機構を覆うクランクシャ
    フトカバー部とこの前記クラッチ機構を覆うクラッチカ
    バー部とに液密に区轄形成し、かつクランクシャフトカ
    バー部の一部に内方に突出する凹部を形成し、その凹部
    を前記クラッチカバー部の一部とすることを特徴とする
    請求項1記載の鞍乗型車両の動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 エンジントルク値とクラッチトルク値と
    が一致するときのエンジン回転数をクラッチストール回
    転数とし、エンジン回転数がクラッチストール回転数未
    満であるとき、クラッチトルク値をエンジントルク値未
    満に抑え、エンジン回転数がクラッチストール回転数以
    上であるとき、クラッチトルク値をエンジントルク値以
    上に設定するようにしたことを特徴とする請求項1また
    は2記載の鞍乗型車両の動力伝達装置。
  4. 【請求項4】 クラッチストール回転数は、スロットル
    開度最大時のエンジントルク値とクラッチトルク値とが
    一致するときのエンジン回転数をクラッチストール回転
    数とすることを特徴とする請求項3記載の鞍乗型車両の
    動力伝達装置。
  5. 【請求項5】 複数のスロットル開度に応じた複数のエ
    ンジントルク値とクラッチトルク値とが一致するときの
    複数のエンジン回転数をクラッチストール回転数とする
    ことを特徴とする請求項3記載の鞍乗型車両の動力伝達
    装置。
JP10160550A 1998-06-09 1998-06-09 鞍乗型車両の動力伝達装置 Pending JPH11348584A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10160550A JPH11348584A (ja) 1998-06-09 1998-06-09 鞍乗型車両の動力伝達装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10160550A JPH11348584A (ja) 1998-06-09 1998-06-09 鞍乗型車両の動力伝達装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11348584A true JPH11348584A (ja) 1999-12-21

Family

ID=15717423

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10160550A Pending JPH11348584A (ja) 1998-06-09 1998-06-09 鞍乗型車両の動力伝達装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11348584A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006170225A (ja) * 2004-12-10 2006-06-29 Yamaha Motor Co Ltd クラッチ接続制御装置、クラッチの接続制御方法及び鞍乗型車両
JP2008174109A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Honda Motor Co Ltd 車両の変速アクチュエータ構造
JP2009083684A (ja) * 2007-09-29 2009-04-23 Honda Motor Co Ltd 鞍乗り型車両用パワーユニットにおけるクラッチ制御装置の配置構造
CN109941097A (zh) * 2019-04-25 2019-06-28 常州机电职业技术学院 一种油门响应式动力传动系统

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006170225A (ja) * 2004-12-10 2006-06-29 Yamaha Motor Co Ltd クラッチ接続制御装置、クラッチの接続制御方法及び鞍乗型車両
JP2008174109A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Honda Motor Co Ltd 車両の変速アクチュエータ構造
JP2009083684A (ja) * 2007-09-29 2009-04-23 Honda Motor Co Ltd 鞍乗り型車両用パワーユニットにおけるクラッチ制御装置の配置構造
CN109941097A (zh) * 2019-04-25 2019-06-28 常州机电职业技术学院 一种油门响应式动力传动系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8636090B2 (en) Hybrid vehicle
JP4005062B2 (ja) ハイブリッド車両の動力切換装置
JP4906455B2 (ja) 内燃機関のクランクケース構造
CN104670415A (zh) 摩托车的换档杆装置
JP2010235056A5 (ja)
JP3829585B2 (ja) 自動二輪車のパワーユニット
JP4832254B2 (ja) 変速機のリバースインヒビタ機構
JP2006046521A (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP3937713B2 (ja) 自動二輪車のパワーユニット
US7225705B2 (en) Power transmission device and assembling method for a motorcycle
JP4331785B2 (ja) パワーユニット及びそれを備えたモーターサイクル
JP3844204B2 (ja) 内燃機関
JP6160063B2 (ja) 変速機用ギヤシフト装置
JPH11348584A (ja) 鞍乗型車両の動力伝達装置
JP4684975B2 (ja) 動力伝達装置
JP2020016205A (ja) エンジン始動装置
JP4319693B2 (ja) 有段式自動変速装置、それを備えたパワーユニット及び車両
JP3809903B2 (ja) 内燃機関
JP4144213B2 (ja) 自動二輪車の変速装置
JP4082791B2 (ja) 車両用内燃機関の補機配置構造
JP4327230B2 (ja) 有段式自動変速装置及びそれを備えたモーターサイクル
JP4878853B2 (ja) 内燃機関
JP4338110B2 (ja) 小型車両用エンジン
JP2009068699A (ja) 有段式自動変速装置及びそれを備えた車両
JP3491347B2 (ja) エンジンの多段変速機