JPH11346457A - 磁気軸受装置 - Google Patents
磁気軸受装置Info
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- JPH11346457A JPH11346457A JP15429398A JP15429398A JPH11346457A JP H11346457 A JPH11346457 A JP H11346457A JP 15429398 A JP15429398 A JP 15429398A JP 15429398 A JP15429398 A JP 15429398A JP H11346457 A JPH11346457 A JP H11346457A
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Abstract
ンドルに関するもので、スピンドルの高速化、高剛性化
を図るために、磁気軸受の電磁鋼板の渦電流損による発
熱を大幅に低減する。 【解決手段】 円周方向で複数個の同極の磁極と複数個
の異極の磁極が交互に配置されたラジアル軸受の固定側
において、一つの磁極3aに着目したとき、その磁極自
身の異極側磁極4dと同極側磁極3bの形状あるいはそ
の磁極と隣り合わせにある異極側磁極と同極側磁極の相
対位置関係を非対称に形成することにより、回転子1が
磁極から磁極へ移り変わるときの磁束密度の変化率を小
さくして、渦電流損と発熱の大幅な低減を図る。
Description
いは半導体装置のターボ分子ポンプなどに用いられる磁
気軸受スピンドルに関するものである。
削加工に対する要請が強くなっている。高速切削は生産
効率を向上させ、切削抵抗の減少により加工精度の向上
と工具の寿命を延ばす、また一体の原料から形状を一気
に削り出すことで鋳型などの費用を削減できかつ工程の
短縮化がはかれる、などの効果が期待されている。
面の品質すなわち形状精度や面粗度だけでなく、加工表
面下の欠陥や変質層の有無まで問われるようになってき
ており、金属除去に伴う発生熱の影響が低く、切削抵抗
が小さくできる高速切削の期待が大きい。
ルには、従来から主に玉軸受による支持構造が用いられ
てきた。前述した高速切削の要請に対して、潤滑方式の
改良、セラミックス軸受の採用などにより、高速化に応
えるための開発がなされている。
持する能動制御型の磁気軸受スピンドルが、玉軸受方式
の限界を超える可能性を持つものとして、近年注目され
ている。
あり、500はスピンドルの主軸、501はモータロー
タ、502はモータステータである。503と504は
フロント側ラジアル軸受、505と506はリア側ラジ
アル軸受、507と508はスラスト軸受であり、それ
ぞれ回転側のロータと固定側のステータから構成され
る。509,510はフロント側とリア側のラジアル変
位センサー、511はスラスト変位センサー、512,
513は保護ベアリング、514はケーシングである。
本性能は、通常DN値(主軸径×回転数)の大きさで評
価される。
がなされているが、機械的な摺動潤滑をともなうため
に、寿命という点を考慮すれば、実用的にはDN値は2
50万程度が限界とされている。
である非接触回転の特徴を活かすことにより、玉軸受の
DN値を大きく上回るスピンドルが実現できる可能性が
ある。前述した加工側の高速・高剛性の要請に応えるた
めに、スピンドルの主軸径をより大きく、またより高速
で回転させる試みがなされている。大きな主軸径が要望
される理由は、主軸径が大きい程、高速時の慣性剛性
(主軸の軸中心が一方向を保とうとする力学的効果)が
大きく、またより大きな外径の刃具を把持できるからで
ある。
と期待された磁気軸受は、高DN値を追求する取組みの
結果、予想外の大きな摩擦損失が生じることが明らかと
なった。その主たる要因は、ラジアル軸受の渦電流損に
よるものである。
いるラジアル軸受の原理図を示すもので、600は電磁
鋼板から構成される回転子鉄芯(図11のロータ501
に相当)、601は固定子鉄芯(図13のステータ50
2に相当)、602は巻線である。図中に磁束の流れを
矢印603で示す。ラジアル磁気軸受は、上下左右の方
向から磁気の力で回転子600を吸引して回転子を非接
触で中心に保持する。
図12(イ)に示すように、N→S→S→N(後述する
ようにN→S→N→Sの場合もある)と磁極604に面
して磁束603の方向と大きさが変化するために、回転
子鉄芯600には変動する誘起起電力が生じて渦電流が
流れることになる。この渦電流損を小さくするために、
回転子鉄芯600は、通常薄い電磁鋼板(珪素鋼板)を
重ねあわせた積層構造が採用される。
数)のスピンドルの実現を見込み、磁気軸受の回転部を
構成した場合、次のような課題が生じた。
く、鉄損が小さく、同じ材質ならば板厚の薄い電磁鋼板
を採用した場合、遠心力によって発生する応力に対し
て、材料の機械的強度の限界から許容回転数に制約が生
じた。遠心力によって発生する応力は、回転体の周速で
決まるため、DN値にはおのずと限界が生ずる。
材質ならば板厚が大きく、抵抗率が低く、鉄損が大きい
電磁鋼板を採用した場合、大きな渦電流損による発熱に
よって主軸に異常な温度上昇をもたらした。この温度上
昇は、複合部品により構成される回転主軸の信頼性に多
大な悪影響を与えた。磁気軸受の主軸は通常、モータ・
磁気軸受の電磁鋼板とそれを側面から締結するリング、
スラスト軸受の円盤、主軸内部を利用して設けられたツ
ーリング部材等から構成される。主軸が高速・高温下の
苛酷な条件下に晒されることにより、これらの複合部品
の破壊・変形などのトラブルの要因となった。
流を小さくする、あるいは電磁石の歯幅、軸方向の長さ
を小さくする、等によって損失を低減できる。しかし同
時に剛性、負荷能力も低下してしまうため高DN値化は
困難となる。
〜の方策では解消できなかった課題に対して、抜本
的な解決策を与えるものである。
が磁極の形状で決まる磁界の分布に依存することに着目
し、磁極の内面とラジアル軸受の回転側であるロータの
間に形成される磁束密度分布が、磁極端部から磁極中央
に向けて傾斜した分布を持つように前記磁極の形状を形
成することにより、回転子が磁極から磁極へ移り変わる
ときの磁束密度の変化率を小さくして、渦電流損と発熱
の低減を図る方法を特願平10−118319号にて提
案している。
で、磁気軸受スピンドルのさらなる低損失化と高速・高
剛性化(高DN値化)を同時に実現する磁気軸受装置を
提供するものである。
て回転駆動される回転軸の軸径方向荷重を支持するラジ
アル磁気軸受の固定側であるステータ部は、円周方向で
複数個の同極の磁極と前記磁極とは極の異なる複数個の
磁極が交互に配置されており、かつ異極側磁極と同極側
磁極を左右に配置した一つの磁極に着目したとき、前記
磁極の異極側磁極と同極側磁極の形状あるいはその磁極
と隣り合わせにある異極側磁極と同極側磁極の相対位置
関係は非対称となるように磁極の形状が形成されてい
る。
によるラジアル磁気軸受電磁石の第一の実施例(電磁石
Aと呼ぶ)の原理図を示すものである。1はロータ、2
はステータ部であり、このステータ部2は8極の独立し
た磁極から構成されたNSSN型を採用している。すな
わち、4つのN極3a〜3dと4つのS極4a〜4dで
構成され、同極の磁極がペアーで隣り合わせに並び円周
方向で交互に配置された構成となっている。ここでふた
つのN極3a、3bに注目すると、5、6はロータ1と
同芯の真円部、7〜9はそれぞれの磁極を位置決めして
締結するための連結部、10〜13は巻き線の収納部で
ある。巻線は10〜13のみ図示し、他の磁極では省略
している。14、15は異極同士(NとS)の磁極間の
間隙部であるスロット部、16は同極間(NとN)のス
ロット部である。5〜16は他の磁極にも同様に形成さ
れている。
例では、同極間のスロット部16のスロット幅S2を、
異極間のスロット部14のスロット幅をS1=16de
g比べて、かなり小さく、S2=4degに設定した。
に、上記スロット幅:S1=S2=16degとした従来
のラジアル磁気軸受電磁石Bの原理図を示す。同図にお
いて、151はロータ、152はステータ部である。こ
のステータ部も、4つのN極153a〜153dと4つ
のS極154a〜154dで構成され、同極の磁極がペ
アーで隣り合わせに並び、円周方向で交互に配置された
NSSN型の構成となっている。ここで一つの磁極15
3aに注目すると、155、156は巻き線の収納部
(巻線は図示せず)である。157、158は異極間及
び同極間の間隙部であるスロット部であり、それぞれの
スロット幅は電磁石Aの場合とは異なり等しくなってい
る。
を、後述する損失解析によって求めた結果を以下の表1
に示す。
同極間の間隙:S2を異極間の間隙S1よりも充分に小さ
くした電磁石A(本実施例)は、同極間、異極間共間隙
が等しい電磁石B(従来例)と比べて、損失が大幅に低
下している。
解析により詳しく説明する。 I.渦電流損の解析 磁気軸受の渦電流損失の絶対値を求める従来の研究例
は、現段階では見当たらないため、まず最初に電磁誘導
論から直接解析解を導く。
平板導体に座標をとり、かつこの平板導体には
る。なお、上記(1)式において、ωはスピンドルの角
加速度、rは主軸の半径、mは磁極配置で決まるもの
で、NSNS型の場合はm=4、NSSN型の場合はm
=2である。
着目すると、板厚が十分に小さいために、y方向の電流
密度:
は幅b)、円周方向の長さd、磁束が入る深さSの導体
内で消費されるとして、時間平均とx方向 及びy方向
の平均をとると、
の磁束密度分布を円周方向で正弦波近似した場合の渦電
流損失:
曲線を正弦波で近似して説明したが、実際の磁気軸受の
磁束密度分布の周期関数は、図4あるいは図14に示す
ように方形波もしくは台形波に近い。この場合は、
(1)式の代わりに
の低い周波数成分は回転子内部まで入るが、高い周波数
成分は入りにくい。そこで表皮深さ、すなわち損失を生
じる体積は
波等)で決まるフーリエ係数である。 II.低損失化の効果 上記結果から、磁束密度分布に任意の周期関数を与えた
ときの渦電流損失の絶対値を求める基礎式(11式)が
求まったため、本発明の第一の実施例(図1の電磁石
A)に適用して計算をおこなった。また左右の磁極間の
間隙が等しい軸受構造(図13の電磁石B)との対比の
もとで、実施例の損失低減の効果を評価する。
90度の区間で、異極間の間隙S1=16deg、同極
間の間隙S2=4deg、同極間を近接させる角度Δθ
=6degの場合の磁束密度分布を示す。間隙部0<θ
<8deg(=S 1/2)の全区間では、理論的にはB
=0のはずである。しかし実際の電磁石では、漏れ磁
束、電磁石のロータ内面端部の面取り加工などの影響に
より磁界の波形は幾分鈍化した波形になる。そのため本
解析では5<θ<8degの微小な範囲で磁界の分布に
傾斜角をもたせている。電磁石Aの同極側も同様であ
る。また本発明と比較するため図13に示した従来の電
磁石Bの磁束密度分布の場合も、上記理由により、図1
4に示すようにスロット幅(S1=S2=16deg)の
区間で、同じ傾斜角をもたせている。
次の条件で求めた解析結果である。
と同様にS1=16degに設定した。
の場合(S2=16deg)を基準(Δθ=0)とし
て、S1>S2となるように、S2を2Δθdegだけ小
さくした。
係を求めたものである。解析条件として、解析の対象と
する電磁石A、B共、電磁鋼板の固有抵抗値(ρ=5.
6×10-7Ωm)、磁束がロータに入る深度:sは、磁
気軸受の電磁鋼板ロータの厚み(s=7mm)を用い
る。また電磁鋼板は、高DN値化を狙いとして遠心力耐
えるために、損失は大きいが敢えて高強度用(T=0.
00035m)を用いている。また
られた。 同極間と異極間の間隙が等しい(S1=S2=16de
g)の電磁石B(図13)の場合、Δθ=0であり、損
失We=1.5kwである。
していくと、0<Δθ<4.0deg(=S1)の区間
では、損失動力Weはなだらかに減少していく。しかし
Δθ>4.0degになると損失は大幅に低下して、Δ
θ=6.5degで最小値:We=0.85kwにな
る。
ると総磁束が増加するために、磁束密度の最大値を若干
低減させてもよい。Δθ=0とΔθ=6.5degの場
合の磁束密度分布の面積比較から、We=0.85→
0.71kwになる。
は再び増加していくが、これは計算上二つの磁極の磁束
が重なり合う区間の磁束密度が一個分の磁束密度の最大
値:B0を超えるからである。しかし磁束密度の最大
値:B0を超えることは現実には有り得ず、解析上有効
な区間は、Δθ≦6.5degである。
6.5degを選べば、同一の負荷能力と剛性を維持し
たままで、渦電流損失は1/2以下に低減できる。
かで、回転数と主軸径が妥協できない条件であるとすれ
ば、電磁鋼板の選択には強度と損失の点で、またバイア
ス電流、磁極の幅の選択では負荷能力・剛性と損失の点
で相反する課題があることは前述した通りである。
く、固定子側(ステータ)にある渦電流損の発生要因に
着目したものである。渦電流損はロータの磁極に対向す
る面の磁束の方向と大きさが変化するために発生する誘
起起電力によるものである。前述したように、ロータの
一点に着目したとき、ロータの回転によって、このロー
タの一点に加わる磁束は、たとえばN→S→S→Nの順
で方向と大きさが変化する。その結果ロータ表面には、
変動する誘起起電力が生じて渦電流が流れる。この誘起
起電力による渦電流の電流密度は、磁束密度の変化分の
振幅に比例する。したがってロータで消費される渦電流
損は、電流密度の2乗すなわち磁束密度の変化分の2乗
に比例することになる。
いて説明するならば、磁束密度の変化率が大きい程、高
調波成分を多く含むために、高い次数nでのフーリエ係
数
さて本発明は、回転子の一点に注目したとき、損失を低
減させる方策が下記(1)(2)の場合で異なる、とい
う点に着目したものである。
N)で移り変わる場合。 (2)磁束が同極間(N→NあるいはS→S)で移り変
わる場合。
密度の急峻な変化を抑制する方策は異極側と同極側では
異なる。すなわち、磁極単体の形状あるいは隣り合う磁
極の相対位置関係を異極側と同極側で非対称となるよう
に電磁石を構成する、というのが本発明のキーポイント
である。
ものであり、異極側の磁極端部との間隙をS1、同極側
の間隙をS2としたとき、異極側は従来通りの間隙S1を
保ちつつ、同極側に関してのみS2→0とする。もし異
極同士を近接(S1→0)させれば、磁気回路はロータ
を介在せず、磁極同士で閉ループを描いてしまうため
に、磁気軸受としての機能が得られない。しかし同極同
士を近接させる方法は、磁気軸受の基本性能に与える影
響が少なく、かつ磁束密度分布が、図4で示すように、
平坦化する効果をもつ。その結果、上記(2)による渦
電流損失を大幅に低減できるのである。
施例であり、磁極配置がNSSN型の電磁石に本発明を
適用した場合において、二つの同極の磁極を一体構造に
した場合を示す。
このステータ部52は8極の磁極から構成されたNSS
N型を採用している。すなわち、4つのN極53a〜5
3dと4つのS極54a〜54dで構成され、同極の磁
極がペアーで隣り合わせに並び、円周方向で交互に配置
された構成となっている。ただしペアーで配置された同
極の磁極(たとえば53aと53b)は機械的には一体
構造になっている。
すると、54,55は異極側のスロット部、56、57
はそれぞれの磁極を位置決めして締結するための連結
部、58〜61は巻き線の収納部である。62は境界部
A、63は境界部Bである。本実施例では、通常は機械
的に分離している境界部Aが一体化しているために、磁
束密度分布を一層平坦化できさらなる低損失化が図れ
る。また境界部Bも一体化しているために、磁極53
a、53bを、組み立て時に単品の部品として取り扱う
ことができる。そのため本実施例の電磁石では、高密度
巻線ができる後述する極分割工法の適用ができる。
施例であり、磁極配置がNSSN型の電磁石に本発明を
適用した場合において、上記(1)による渦電流損失の
大幅低減を図ったものである。すなわち、異極側磁極の
内面にゆるやかな傾斜部(磁束密度曲線の立ち上がり・
立ち下がり区間)を形成することにより、磁束密度の急
峻な変化を抑制する方策を施した場合を示す。
このステータ部72は8極の独立した磁極から構成され
たNSSN型を採用している。すなわち、4つのN極7
3a〜73dと4つのS極74a〜74dで構成され、
同極の磁極がペアーで隣り合わせに並び、円周方向で交
互に配置された構成となっている。ここでふたつのN極
73a、73bに注目すると、75、76は磁極73
a、73b内面の両端部に形成された傾斜部、77、7
8は真円部、79,80は異極側スロット部、81〜8
3はそれぞれの磁極を位置決めして締結するための連結
部、84〜87は巻き線の収納部、88は同極側のスロ
ット部である。図8に磁極73aの部分拡大図を示す。
の区間:αはゆるやかな傾斜面を磁極内面に形成し、同
極側の区間:βでは磁極内面の形状は従来通りのロータ
の軸芯に同芯円にしている。また異極間の間隙:S
1は、第一の実施例と異なり、充分に小さくS1=6de
gに設定した。また同極間の間隙はS2=4degであ
る。上記S1、S2を一定に保ったままで、立ち上がり区
間:αに対する損失動力の解析結果を図9に示す。結果
を要約すれば、 磁極の内面に傾斜面をもたない電磁石の場合でも、前
述したように磁界の波形は幾分鈍化した波形になる。波
形の鈍化分:α=3degとして傾斜面をもたない電磁
石の損失を求めると、We=1.17kwである。
させていくと、損失動力は大幅に低下していく。
すると、損失We=1.17→0.53kwに低下す
る。
同図の一点鎖線のグラフで示すように、磁束密度の最大
値を、若干アップさせる必要がある。上記アップ分を考
慮して損失の補正値(二点鎖線)を求めると、We=
0.53→0.59kwになる。
り区間:α=14degを選べば、同一の負荷能力と剛
性を維持したままで、渦電流損失は1/2弱に低減でき
ることがわかる。
るいはS→Nに移り変わる際に、磁束密度はなだらかな
勾配をもって変化する。すなわち磁束密度分布に、あた
かもカム曲線のごとく、充分に長い立ち上がり区間(助
走区間)と立ち下がり区間(減速区間)を設けることに
より、渦電流損の発生を抑制して発熱の大幅な低減が図
れるのである。
る効果は、損失の低減だけではない。磁気軸受の負荷能
力と剛性は磁束密度分布の総面積で決まるために、磁束
密度分布が方形波に近い従来磁気軸受(図14…磁束密
度分布は図示せず)と比べて、台形波に近い本実施例で
は総面積を大きくとれるために有利となる。
のみに傾斜面を形成し、同極側は第一の実施例と同様に
磁極間を近接させる方法を用いている。同極の磁極を近
接させる方法は、磁束密度分布の総面積を一層大きくと
れるために、負荷能力・剛性の点で有利となる。
に、同極側に傾斜面を形成しても損失低減を図ることは
できる。この場合、同極側の磁束密度の変化率は異極側
程大きくないために、傾斜面を形成する角度は充分小さ
くてもよい。すなわち、異極側に形成する傾斜面の角
度:α1、同極側に形成する傾斜面の角度:α2としたと
き、α1>α2となるように構成すればよい(図示せ
ず)。
面を形成して、磁極とロータ間の間隙(エアーギャッ
プ)を円周方向で変化させることにより、磁束密度分布
に立ち上がり特性を持たせたものであった。
実施例を示すものであり、たとえばN極→エアーギャッ
プ→ロータ→エアーギャップ→S極と形成される磁気回
路のなかで、巻線部から磁極端部に至る経路で磁路の幅
(面積)が小さくなる部分を形成することにより、磁束
密度分布に長い区間での立ち上がり特性を持たせたもの
である。したがって本実施例では、磁極の内面形状はロ
ータと同芯円ででよい。
このステータ部92は8極の独立した磁極から構成され
たNSNS型を採用している。すなわち、4つのN極9
3a〜93dと4つのS極94a〜94dが円周方向で
交互に配置された構成となっている。ここでひとつのN
極93aに注目すると、磁極のロータ側内面と巻き線の
収納部97の間に、磁路の円周方向の幅が狭いくびれた
部分:狭小部95,96が形成されている。97は異極
側スロット部、98は同極側スロット部、99〜101
はそれぞれの磁極を位置決めして締結するための連結
部、102、103は巻線の収納部である(巻線は図示
せず)。
aから磁極の端部bに至る経路で、角度αの区間で、磁
路の幅がd1からd2に絞られている部分が磁極に形成さ
れている。一方角度βの区間では、磁路の幅は充分大き
く磁束を通すのに有効な通路となっている。上記磁極の
形状により、磁極内面とロータ91の間で形成される磁
束密度分布は円周方向で均一とならず、傾斜角を持つ疑
似的な台形波となる。
する部分以外の磁路形状の工夫、たとえば上記第四の実
施例で示したように、磁路にくびれた部分(狭小部)を
形成することにより、磁束密度分布を与えてもよいが、
エアーギャップの設定で与える方法(第三の実施例)と
組み合わせてもよい(図示せず)。
をどの程度に設定したらよいか、という点について考察
する。第三の実施例を例にとると、図9のグラフから角
度α=0の状態からαを大きくしていくと、損失は急激
に低減することがわかる。ラジアル電磁石は通常複数個
の磁極から構成されるが、高い精度を確保するために
は、各磁極の損失(すなわち発熱量)を均一にしてスピ
ンドルの熱変形を軸対称に保つ方が好ましい。したがっ
て磁極形状の加工精度のばらつきなどを考慮すると、こ
の急峻に変化する部分を避けて、曲線の変曲点であるα
=7度以上で用いるのが好ましい。磁極の一個分がラジ
アル軸受として受け持つ角度をψ(=α+β+γ)とし
て、実施例の場合のψ=45度の結果から得られる知見
を一般化すれば、α/ψ>0.15となるように、立ち
上がり・立ち下がり区間(たとえば傾斜面を形成する個
所)を決めればよい。
受のステータに、モータで用いられているの極分割コア
ー工法を利用すれば、歯幅が大きくすなわちスロット幅
が小さく、かつ傾斜面を持つ異形の磁極を適用できる。
たとえば、図2の拡大図に示すように、歯幅B1を巻線
部の幅B2よりも大きくとる場合でも、分割工法をもち
いれば従来の磁気軸受電磁石ではできなかった巻線処理
ができる。また磁極を単独のユニットで扱えるために、
コイルを収納する空間いっぱいに高密度の巻線ができ、
積層して組み立る作業も容易にできる。すなわち電磁石
の歯幅を大きくとれることにより、磁極内面の傾斜面あ
るいは磁気抵抗に円周方向分布を与えるためのくびれた
部分(図10の95)を充分に長い区間に余裕をもって
形成できる。その結果、充分な長さの磁束密度の立ち上
がり・立ち下がり区間を設けることができ、損失の大幅
な低減が図れるのである。
あるが、本発明で提示したような低損失化を目的とする
特殊な形状の磁極から構成される磁気軸受に、上記工法
を適用した前例は現在のところ見あたらない。ちなみに
極分割工法の一例を上げると、固定子を複数個のコアー
ピースに分割して、たとえばレーザによる金型内積層固
着工法により高精度のコアーピースを積層して、各ピー
スに高密度巻線を行った後、レーザにより再び、高精度
に合体したものである。
あげて説明したが、ターボ分子ポンプなどにも本発明を
適用できる。
んど変わらないシンプルな構成で、磁気軸受の回転子に
発生する渦電流損失による発熱を大幅に低減することが
できる。その結果、主軸の温度上昇を抑制できるため、
多くの複合部品で構成されるスピンドルの信頼性を向上
させると共に、主軸の軸方向の伸びを押さえ、高い振れ
精度を確保できる。
DN値(主軸径×回転数)の実現を図る上で、極めて有
力な手段を提供するものである。従来磁気軸受の高速時
の課題が解消されるため、磁気軸受スピンドルが本来持
っている基本的能力(高速・高剛性)を一層活かした形
で、高速切削加工の要請に応えることができ、その実用
的効果は極めて大きい。
ル磁気軸受の電磁石Aの原理図
度分布を示す図
失動力を示すグラフ
ル磁気軸受の電磁石の原理図
ル磁気軸受の電磁石の原理図
する損失動力を示すグラフ
アル磁気軸受の電磁石の原理図
正面図、(ロ)は側面図
Claims (11)
- 【請求項1】 モータによって回転駆動される回転軸の
軸径方向荷重を支持するラジアル磁気軸受の固定側であ
るステータ部は、円周方向で複数個の同極の磁極と前記
磁極とは極の異なる複数個の磁極が交互に配置されてい
るとともに、かつ異極側磁極と同極側磁極を左右に配置
した一つの磁極に着目したとき、前記磁極の異極側磁極
と同極側磁極の形状あるいはその磁極と隣り合わせにあ
る異極側磁極と同極側磁極の相対位置関係は非対称であ
ることを特徴とする磁気軸受装置。 - 【請求項2】 一つの磁極と隣り合わせにある異極側の
磁極端部との円周方向の間隙をS1、同極側の磁極端部
との円周方向の間隙をS2としたとき、S1>S2である
こと特徴とする請求項1記載の磁気軸受装置。 - 【請求項3】 一つの磁極の端部とその隣り合わせにあ
る同極側の磁極端部同士は機械的に接していることを特
徴とする請求項1記載の磁気軸受装置。 - 【請求項4】 一つの磁極とその隣り合わせにある同極
側の磁極は一体構造であることを特徴とする請求項1記
載の磁気軸受装置。 - 【請求項5】 磁束密度は異極側磁極との境界の中間点
から円周方向の区間で徐々に増加していく分布をもち、
同極側磁極との境界の中間点から円周方向の区間では概
略平坦な分布をもつことを特徴とする請求項1記載の磁
気軸受装置。 - 【請求項6】 磁束密度は異極側、同極側共磁極との境
界の中間点から円周方向の区間で徐々に増加していく分
布をもち、異極側で増加する区間をα1、同極側で増加
する区間をα2としたとき、α1>α2であること特徴と
する請求項1記載の磁気軸受装置。 - 【請求項7】 一つの磁極と隣り合わせにある異極側の
磁極端部の内面とロータの間隙をδ1、同極側の磁極端
部の内面とロータの間隙をδ2としたとき、δ1>δ2で
あること特徴とする請求項1記載の磁気軸受装置。 - 【請求項8】 磁極の内面とロータの間で形成される磁
路の間隙が、前記異極側磁極の端部から円周方向の磁極
の中央部に向けて円周方向で先細りとなるように前記磁
極の内面に傾斜面が形成されていることを特徴とする請
求項1記載の磁気軸受装置。 - 【請求項9】 磁極中央部の内面には、均一な磁路の間
隙を保つように前記ロータの同芯円が形成されているこ
とを特徴とする請求項8記載の磁気軸受装置。 - 【請求項10】 巻線部から磁極端部に至る磁気回路の
中で、磁路面積が減少する部分を磁極の異極側に形成し
たことを特徴とする請求項1記載の磁気軸受装置。 - 【請求項11】 ステータ部は複数個のコアーピースに
て構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気
軸受装置。
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