JP3712565B2 - 回転装置及び当該回転装置を備えた加工装置 - Google Patents

回転装置及び当該回転装置を備えた加工装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生産加工機械あるいは半導体装置のターボ分子ポンプなどで用いられる磁気軸受スピンドルなどの回転装置及び当該回転装置を備えた加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、機械加工における高速スピンドルを例にとり、その課題について説明する。
【0003】
近年、機械加工の分野において、高速切削加工に対する要請が強くなっている。高速切削は生産効率を向上させ、切削抵抗の減少により加工精度の向上と工具の寿命を延ばす、また、一体の原料から形状を一気に削り出すことで鋳型などの費用を削減できかつ工程の短縮化が図れる、などの効果が期待されている。
【0004】
また、最近の製品品質に対する要求は、加工面の品質すなわち形状精度や面粗度だけでなく、加工表面下の欠陥や変質層の有無まで問われるようになってきており、金属除去に伴う発生熱の影響が低く、切削抵抗が小さくできる高速切削の期待が大きい。
【0005】
加工機の性能を決定的に支配するスピンドルには、従来から主に玉軸受による支持構造が用いられてきた。前述した高速切削の要請に対して、潤滑方式の改良、セラミックス軸受の採用などにより、高速化に応えるための開発がなされている。
【0006】
一方、磁気浮上により非接触で回転体を支持する能動制御型の磁気軸受スピンドルが、玉軸受方式の限界を超える可能性を持つものとして、近年注目されている。
【0007】
図22はその磁気軸受スピンドルの一例であり、500はスピンドルの主軸、501はモータロータ、502はモータステータである。503と504はフロント側ラジアル軸受、505と506はリア側ラジアル軸受、507と508はスラスト軸受であり、それぞれ回転側のロータと固定側のステータから構成される。509,510はフロント側とリア側のラジアル変位センサ、511はスラスト変位センサ、512,513は保護ベアリング、514はケーシングである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
加工用スピンドルの基本性能は、通常DN値(主軸径×回転数)の大きさで評価される。玉軸受スピンドルの場合、近年様々な改良がなされているが、機械的な摺動潤滑をともなうために、寿命という点を考慮すれば、実用的にはDN値は250万程度が限界とされている。
【0009】
一方、磁気軸受の場合、半永久的に使用可能である非接触回転の特徴を活かすことにより、玉軸受のDN値を大きく上回るスピンドルが実現できる可能性がある。前述した加工側の高速・高剛性の要請に応えるために、スピンドルの主軸径をより大きく、また、より高速で回転させる試みがなされている。大きな主軸径が要望される理由は、主軸径が大きい程、高速時の慣性剛性(主軸の軸中心が一方向を保とうとする力学的効果)が大きく、また、より大きな外径の刃具を把持できるからである。
【0010】
しかし、非接触であるがゆえに低損失であると期待された磁気軸受は、高DN値を追求する取組みの結果、予想外の大きな摩擦損失が生じることが明らかとなった。その主たる要因は、ラジアル軸受の渦電流損によるものである。
【0011】
図23(A),(B)は従来から用いられているラジアル軸受の原理図を示すもので、600は電磁鋼板から構成される回転子鉄芯(図22の503に相当)、601は固定子鉄芯(図22の504に相当)、602は巻線である。図中に磁束の流れを矢印603で示す。ラジアル磁気軸受は、上下左右の方向から磁気の力で回転子600を吸引して回転子を非接触で中心に保持する。
【0012】
さて、回転子鉄芯中の一点は回転によって、図23(A)に示すように、N→S→S→N(後述するように N→S→N→Sの場合もある)と磁極604に面して磁束603の方向と大きさが変化するために、回転子鉄芯600には変動する誘起起電力が生じて渦電流が流れることになる。この渦電流損を小さくするために、回転子鉄芯600は、通常薄い電磁鋼板(珪素鋼板)を重ねあわせた積層構造が採用される。
【0013】
さて、高DN値(大きな主軸径と高い回転数)のスピンドルの実現を見込み、磁気軸受の回転部を構成した場合、次のような課題が生じた。
【0014】
▲1▼渦電流損を低減するために、抵抗率が高く、鉄損が小さく、同じ材質ならば板厚の薄い電磁鋼板を採用した場合、遠心力によって発生する応力に対して、材料の機械的強度の限界から許容回転数に制約が生じた。遠心力によって発生する応力は、回転体の周速で決まるため、DN値にはおのずと限界が生ずる。
【0015】
▲2▼逆に、より高い回転数にまで耐える、同じ材質ならば板厚が大きく、抵抗率が低く、鉄損が大きい電磁鋼板を採用した場合、大きな渦電流損による発熱によって主軸に異常な温度上昇をもたらした。この温度上昇は、複合部品により構成される回転主軸の信頼性に多大な悪影響を与えた。磁気軸受の主軸は通常、モータ・磁気軸受の電磁鋼板とそれを側面から締結するリング、スラスト軸受の円盤、主軸内部を利用して設けられたツーリング部材等から構成される。主軸が高速・高温下の苛酷な条件下に晒されることにより、これらの複合部品の破壊・変形などのトラブルの要因となった。
【0016】
▲3▼ラジアル軸受の電磁石に流すバイアス電流を小さくする、あるいは電磁石の歯幅、軸方向の長さを小さくする、等によって損失を低減できる。しかし同時に剛性、負荷能力も低下してしまうため高DN値化は困難となる。
【0017】
本発明は、渦電流損を低減させる上で、上記▲1▼〜▲3▼の方策では解消できなかった課題に対して、抜本的な解決策を与えるものである。
【0018】
さて、本発明者の一人は、渦電流損失の大きさが磁極の形状で決まる磁界の分布に依存することに着目し、ロータと上記磁極の内面の間に形成される磁束密度分布が、磁極端部から磁極中央に向けて円周方向で徐々に増加していく分布を持つように上記磁極の形状を形成することにより、大幅な損失低減が図れることを既に特願平10−118319号で提案し、出願中である。
【0019】
本発明は上記提案をさらに改良するもので、本発明の目的は、従来磁気軸受とほとんど変わらないシンプルな構成で、磁気軸受スピンドルの低損失化と高速・高剛性化(高DN値化)を同時に実現することができる回転装置及び当該回転装置を備えた加工装置を提供するものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0021】
本発明の第1態様によれば、回転軸を駆動するモータと、この回転軸に設けられたロータ部と、複数の磁極から構成されたステータ部で構成される回転装置であって、上記ロータ部と上記磁極の間に形成される磁束密度分布は、上記磁極端部から磁極中央部に向けて円周方向で増加すると共に、上記磁極中央部に対して円周方向で非対称であることを特徴とする回転装置を提供する。
【0022】
本発明の第2態様によれば、上記磁束密度は、上記2つの磁極の境界の中間点から円周方向の区間で傾斜した分布をもち、上記磁極の中央部においては平坦な分布をもつ第1態様に記載の回転装置を提供する。
【0023】
本発明の第3態様によれば、上記磁極の内面と上記ロータの間で形成される磁路の間隙が、上記磁極の端部から円周方向の上記磁極の中央部に向けて円周方向で先細りとなるように上記磁極の内面に傾斜面が形成されている第1態様に記載の回転装置を提供する。
【0024】
本発明の第4態様によれば、上記磁極中央部の内面には、均一な磁路の間隙を保つように上記ロータの同芯円が形成されている第3態様に記載の回転装置を提供する。
【0025】
本発明の第5態様によれば、上記ロータ上の一点と上記磁極のうちの1つの磁極に着目したとき、上記ロータ上の一点が最初に通過する上記磁極の端部近傍を上記磁極の入口側、その反対側を上記磁極の出口側として、上記磁束密度が磁極端部から磁極中央に向けて円周方向で増加していく分布を持つ上記磁極の入口側区間をα1、上記磁束密度が上記磁極中央から上記磁極端部に向けて円周方向で減少していく分布を持つ上記磁極の出口側区間をα2としたとき、α1<α2とした第2態様に記載の回転装置を提供する。
【0026】
本発明の第6態様によれば、NSSN型の磁極配置からなるラジアル電磁石に於いて、上記磁束密度は異極側磁極との境界の中間点から円周方向の区間αで増加していく分布をもち、同極側磁極との境界の中間点から円周方向の区間では概略平坦な分布をもつ第1態様に記載の回転装置を提供する。
【0028】
本発明の第態様によれば、巻線部から磁極端部に至る磁気回路の中で、磁路面積が減少する部分を磁極に形成した第1態様に記載の回転装置を提供する。
【0029】
本発明の第態様によれば、上記ステータ部を複数個のコアーピースに分割して組み立てる分割工法から構成される第1態様に記載の回転装置を提供する。
【0031】
本発明の第の態様によれば、第1〜のいずれかの態様に記載の回転装置を備えた加工装置であって、
上記回転軸に工具を設け、上記回転軸と被加工物との間に、相対的な並進運動を生じさせる並進運動駆動装置を有し、上記並進運動駆動装置による上記相対的な並進運動により、上記回転軸に設けられた上記工具で上記被加工物を加工する加工装置を提供する。
【0033】
本発明の第10態様によれば、回転軸を駆動するモータと、この回転軸に設けられたロータ部と、複数の磁極から構成されたステータ部と、上記ロータ部と上記ステータ部により回転軸の軸径方向荷重を支持するラジアル磁気軸受を構成するとともに、上記ロータ部と上記磁極の間に形成される磁束密度分布は、磁極中央部に対して円周方向で非対称であることを特徴とする回転装置を提供する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に,本発明の実施の形態の概要を述べ、その原理と効果を動磁場解析の結果を用いて説明する。
I.本発明の実施形態の概要
[1]高速回転における磁束密度分布
図12は、既提案のラジアル磁気軸受電磁石の原理図を示している。(これを比較例1とする。)41はロータ、42はステータ部である。このステータ部42も、4つのN極43a〜43dと4つのS極44a〜44dが円周方向で交互に配置されたNSNS型の構成となっている。45は真円部であり、この部分でのロータと磁極の間隙h1は均一である。46、47は巻き線の収納部、48、49は異極間の間隙部であるスロット部である。
【0035】
図4(A),(B)は、比較例1において、回転数N=0rpmの場合の磁束の等高線を示している。N=0rpmでは入口側,出口側とも磁束密度分布は対称である。また、図5(A),(B)は、比較例1の電磁石において、回転数N=40,000rpmの場合の磁束の等高線を示している。図5(B)より40,000rpmという高速回転により、ロータ上の渦電流による反磁界の影響で磁束が変形し、磁束密度分布がロータ上の一点が最初に通過する磁極の端部近傍である磁極の入口側で疎、その反対側の磁極の出口側で密となっている。さらに、図13はN=0rpmの場合とN=40,000rpmの場合における電磁石とロータ間のギャップの磁束密度を示している。N=40,000rpmの場合には、入口側から出口側へ向けて磁束密度の大きさが増加する特性となることが示されている。この磁束密度の分布から、高速回転時に入口側の磁束密度が疎の部分では渦電流損は小さく,出口側の磁束密度が密の部分では渦電流損は大きくなる。
[2]比較例2のテーパの効果比較例2と課題
図15は、既提案のラジアル磁気軸受電磁石の原理図を示すものである。(これを比較例2とする。)81はロータ、82はステータ部であり、このステータ部82は8極の独立した磁極から構成されたNSNS型を採用している。すなわち、4つのN極83a〜83dと4つのS極84a〜84dが円周方向で交互に配置された構成となっている。ここでひとつのN極83aに注目すると、85、86は磁極83a内面の両端部に形成された傾斜部(テーパ部)、87はロータ81と同芯の真円部、88、89はそれぞれの磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部、90、91は巻き線の収納部、92、93は異極間の間隙部であるスロット部である。85〜91は他の磁極にも同様に形成されている。
【0036】
渦電流損は回転子鉄心の磁極に対向する面の磁束の方向と大きさが変化するために発生する誘起起電力によるものである。この誘起起電力による渦電流の電流密度は、磁束密度の変化分の振幅に比例する。したがって、ロータ81で消費される渦電流損は、電流密度の2乗すなわち磁束密度の変化の2乗に比例することになる。そこで、比較例2の電磁石では、回転子の一点がN→SあるいはS→Nに移り変わる際に、磁束密度はなだらかな勾配をもって変化するような電磁石形状(テーパ付き)にすることにより、渦電流損の発生を抑制して発熱の大幅な低減を図っている。しかし、比較例1と比較して、総磁束が低下するため、比較例1と同じ吸引力を発生させるためには、磁束密度の最大値を増加させる必要があった。磁束密度の最大値を増加する施策として、例えば電磁石電流を増加する方法がある。しかし、その結果損失は増加する。
[3]本発明の第1,2実施形態の着眼点
そこで、本発明の第1,2実施形態では、渦電流の発生が動磁場の効果によって入口側と出口側とで非対称(磁極の入口側で疎、出口側で密)となることに着目し、電磁石形状を磁束密度の変化に対応して形成するよう、磁極中央部に対して円周方向で非対称にすることにより、渦電流損及び吸引力に対して最適な形状に形成し、吸引力を低下させずに渦電流損失を低減させることができる。
II.第1,2実施形態の電磁石形状と従来例の比較
[1]本発明の第1実施形態の電磁石Eの場合
図1は、本発明の第1実施形態によるラジアル磁気軸受電磁石の(電磁石Eと呼ぶ)の原理図を示すものである。1はロータ、2はステータ部であり、このステータ部2は8極の独立した磁極から構成されたNSNS型を採用している。すなわち、4つのN極3a〜3dと4つのS極4a〜4dが円周方向で交互に配置された構成となっている。ここでひとつのN極3aに注目すると、5、6は磁極3a内面の両端部に形成された傾斜部、7はロータ1と同芯の真円部、8、9はそれぞれの磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部、10、11は巻き線の収納部、12、13は異極間の間隙部であるスロット部である。5〜11は他の磁極にも同様に形成されている。
【0037】
図2に、本発明の第1実施形態の磁極3aの部分拡大図を示す。この第1実施形態では、異極間の間隙部におけるスロット幅δを充分に小さく、δ=12度に設定している。ここで、角度:αの区間を磁束密度曲線の立ち上がり区間(助走区間)、角度:γの区間を磁束密度曲線の立ち下がり区間(減速区間)と呼ぶことにする。また、中央部の角度βの区間(真円部)7は、磁極の内面がロータ1と同芯円で形成されており、ロータ1と磁極の間隙(エアーギャップ)h2は均一である。本発明の第1実施形態は、α<γとすることにより電磁石形状を磁極中央部に対して円周方向で非対称にし、かつ中央部の角度βの区間7におけるロータ1と磁極の間隔(エアーギャップ)を小さくしたものである。すなわち、動磁場解析により求めた磁束密度分布をもとに、中央部の角度βの区間7におけるロータ1と磁極の間隔(エアーギャップ)を比較例1よりも小さくし、さらに、出口側の磁束密度の立ち下がり区間を長くした形状である。具体的には、上記α=16度,γ=25度で形成している。さらに、中央部の角度βの区間におけるロータ1と磁極の間隔(エアーギャップ)h2と比較例1におけるエアーギャップh1との関係はh1>h2となるように形成した。
[2]比較例1の電磁石Fの場合
図12は、磁極内面の両端部に傾斜部(テーパ部)を形成しない場合のラジアル磁気軸受電磁石Fの原理図を示している。異極間の間隙部におけるスロット幅δは、δ=12度に設定している。
[3]比較例2の電磁石Aの場合
図15の比較例2の原理図における磁極83aの拡大図を図16に示す。比較例2を電磁石Aと呼ぶ。磁極の端部と同芯部87の間はゆるやかな傾斜面で結び、α=γ=16度の区間で傾斜部85、86を形成している。また、中央部の角度βの区間87は、磁極の内面がロータと同芯円で形成されており、ロータと磁極の間隙(エアーギャップ)h1は均一である。また、比較例2では異極間の間隙部におけるスロット幅δを、比較例1と同様にδ=12度に設定している。
【0038】
ところで、スロット幅δの区間では理論的には磁束密度B=0のはずであるが、(1)スロット幅δを充分小さく形成している。(2)実際の電磁石では、漏れ磁束、電磁石のロータ内面端部の面取り加工などの影響により磁界の波形は幾分鈍化した波形になる。といった、上記(1),(2)の理由により、立ち上がり区間α、立ち下がり区間γいっぱいに磁界の分布に傾斜角をもたせている。また、比較例2では、α=γとしている。比較例1の場合も、上記(1),(2)の理由により、スロット幅δの区間で若干の傾斜角をもたせている。
III.動磁場解析
上記解析モデルを用いて、本発明の第1実施形態に対して磁束密度,吸引力を求める動磁場解析を行い、比較例1,比較例2との比較のもとに渦電流損の低減に効果的な電磁石形状を求めた。
[1]解析条件
解析条件として、解析の対象とする電磁石E,電磁石F,電磁石Aにおいて、電磁鋼板の固有抵抗値(ρ=5.6×10-7Ωm)、磁束がロータに入る深度:sは、磁気軸受の電磁鋼板ロータの厚み(s=7mm)を用いる。また、T:電磁鋼板の板厚(=0.0001m),b:磁気軸受の幅(=0.05m),σ:導電率(=1/ρ),r:主軸の半径(=0.09/2m),ω:回転数(=40000rpm×2×π/60)である。図3に磁極近傍の渦電流の発生状況をモデル化して示す。
【0039】
以下に述べる解析結果は、上記解析条件において微小角度ずつ1回転(360度)変化させたときの動磁場解析により、磁束密度,吸引力を計算したものである。
[2]磁束密度の比較
図6,図17は動磁場解析より求めた本発明の第1実施形態の磁束密度を、比較例1の電磁石Fとの対比のもとで示している。横軸は電磁石のスロット中央部からの角度であり、180度分(NSNSの4極分)の磁束密度を示している。定性的に表現するならば、前述したように渦電流損失は磁束密度の変化分(=∂B/∂θ)が小さい程小さく、負荷能力ば磁束密度Bの総面積が大きいほど大きい。従って、磁束密度の入口,出口によりなだらかな傾斜を持たせると共に、総面積をより大きくとることが低損失で高負荷能力の磁気軸受を実現するポイントである。すなわち、図6から、入口部分は磁束密度Bの絶対値が小さいため、立ち上がり区間:θ1を小さく形成しても、磁束密度Bになだらかな傾きaを与えることができる。出口部分は磁束密度Bの絶対値が大きいために立ち下がり区間:θ2を十分大きくとり、十分になだらかな傾きbを与えている。その結果、磁束密度Bの全体の大きさを、負荷能力を上げるために大きくしても、入口,出口共に十分になだらかな傾斜を与えることができる。したがって、図6,図17の解析結果は以下のように要約できる。
【0040】
▲1▼ 電磁石Eと電磁石Fの磁束密度の対比を示した図6において、電磁石Eの平坦部分7(β区間)のステータとロータ間のギャップは電磁石Fのそれよりも小さくしている。平坦部分7の磁束密度が大きくなっているにもかかわらず、電磁石Eの立ち上がり,立ち下がり区間共磁束密度もなだらかな勾配部分を持っている。その結果、本発明の第1実施形態の電磁石Eは大きな負荷能力を持つにもかかわらず渦電流損失は小さい。
【0041】
▲2▼ 電磁石Fと電磁石Aの磁束密度の対比を示した図17において、電磁石AはN→SあるいはS→Nに移り変わる際に磁束密度はなだらかな勾配をもって変化している。しかし、電磁石Fと電磁石Aにおける磁束密度Bの面積の差に相当する分だけ電磁石Aの負荷能力は低下する。
[3]吸引力の比較
図7,図14,図18は動磁場解析より求めた吸引力を示している。図中のベクトルの大きさが吸引力の大きさをあらわしている。さて、図7,図14,図18の解析結果は以下のように要約できる。
【0042】
▲1▼ 図7は電磁石Eの吸引力を示している。電磁石Eは、立ち下がり区間5を広くとっているので吸引力の分布もなだらかな勾配部分が広くなっている。また、平坦部分7(β区間)の電磁石Fとロータ1のギャップを電磁石Fよりも小さくしているため平坦部分7(β区間)での吸引力の絶対値は大きくなり、立ち下がり区間5での吸引力の低下を補っている。図18は電磁石Aの吸引力を示しており、傾斜面を持たない電磁石F(図14)と比較して、N→SあるいはS→Nに移り変わる際の吸引力分布はなだらかな勾配をもっているが、吸引力の絶対値は電磁石Fと比べて小さい。
[4]渦電流損の低減の効果
本発明の第1実施形態では、高速回転時の磁束密度分布が入口側と出口側で非対称であることに着目し、磁束密度が密となる磁極の出口側(立ち下がり区間)では、磁束密度がなだらかな勾配を持つような形状にして渦電流損の発生を抑制し、磁束密度が疎であり渦電流損の少ない磁極の入口側では、短い区間で傾斜を持たせることにより電磁石とロータのギャップを平均的に小さくして、吸引力を増加させている。また、磁束密度に磁極の円周方向に傾斜した分布を与える方法として、ロータとステータ(電磁石)間のギャップを円周方向で変化させる以外に、磁極からロータに至る磁気回路において、磁気抵抗が入口,出口近傍で大きくなる様な磁極形状を採用してもよい。この場合でも磁極の入口側と出口側の形状は非対称となる。
【0043】
以上、第1実施形態で示したように高速回転時の動磁場の効果を利用して、電磁石形状を磁極中央部に対して円周方向でテーパ形状を非対称とすることにより、吸引力の低下を補償しかつ渦電流損を低減させる最適な電磁石形状を形成することができ、吸引力を低下させずに発熱を大幅に低減した磁気軸受を提供することができた。下表1は本発明の上記第1実施形態の効果として、同一の吸引力での渦電流損失を比較例1を1.0として上記第1実施形態の実例を比率で示している。
【0044】
【表1】
表1.本発明の実施形態の効果
Figure 0003712565
【0045】
IV.本発明のその他の実施の形態
[1]本発明の第2実施形態の電磁石Gの場合
図8は、本発明の第2実施形態によるラジアル磁気軸受電磁石(電磁石Gと呼ぶ)の原理図を示すものである。21はロータ、22はステータ部であり、このステータ部22は8極の独立した磁極から構成されたNSNS型を採用している。すなわち、4つのN極23a〜23dと4つのS極24a〜24dが円周方向で交互に配置された構成となっている。ここでひとつのN極23aに注目すると、25は磁極23a内面の両端部に形成された傾斜部、26はロータ21と同芯の真円部、27、28はそれぞれの磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部、29、30は巻き線の収納部、31、32は異極間の間隙部であるスロット部である。25〜30は他の磁極にも同様に形成されている。
【0046】
図9に磁極23aの部分拡大図を示す。第2実施形態では異極間の間隙部におけるスロット幅δを充分に小さく、δ=12度に設定している。ここで角度:γの区間を立ち下がり区間(減速区間)と呼ぶことにする。図9に示すように、上記磁束密度曲線の立ち下がり区間γに傾斜部を形成することにより、電磁石形状を磁極中央部に対して円周方向で非対称となる構成としている。また、中央部の角度βの区間26は磁極の内面がロータ21と同芯円で形成されており、ロータ21と磁極の間隔(エアーギャップ)h1は均一である。
[2]動磁場解析による磁束密度の比較
図10は、上記本発明の第1実施形態と同じ解析条件で、動磁場解析により求めた磁束密度を、電磁石Fと電磁石Gの磁束密度の対比のもとで示している。横軸は電磁石のスロット中央部からの角度であり、180度分(NSNSの4極分)の磁束密度を示している。破線が電磁石Gであり、電磁石Gは立ち上がり区間を設定しないことにより磁極の入り口側での磁束密度が電磁石Fと同程度になっていることが示されている。
[3]動磁場解析による吸引力の比較
図11は、上記本発明の第1実施形態と同じ解析条件で、動磁場解析より求めた吸引力を示している。図中のベクトルの大きさが吸引力の大きさをあらわしている。さて、図11の解析結果から、電磁石Gは立ち上がり区間を形成しないことにより、電磁石A(図18)と比較して磁極の入り口側での吸引力は増加している。電磁石Gでは吸引力の低下は、立ち上がり区間を形成しないことにより補っている。
[4]渦電流損の低減の効果
本発明の第2実施形態では、高速回転時の磁束密度分布の変化に着目し、磁束密度が密となる磁極の出口側(立ち下がり区間)では、磁束密度がなだらかな勾配を持つような形状(テーパ形状)にして渦電流損の発生を抑制し、磁束密度が疎であり渦電流損の少ない磁極の入口側では、テーパ形状を形成せず磁束を増加させる形状にすることにより、吸引力を増加させている。
V.第2実施形態の補足説明
さて、ラジアル磁気軸受の設計の選択肢のなかで、回転数と主軸径が妥協できない条件であるとすれば、電磁鋼板の選択には強度と損失の点で、また、バイアス電流、磁極の幅の選択では負荷能力・剛性と損失の点で相反する課題があることは前述した通りである。
【0047】
本発明の第2実施形態は、回転子鉄芯側ではなく、固定子のステータ側にある渦電流損の発生要因に着目したものである。渦電流損は回転子鉄芯の磁極に対向する面の磁束の方向と大きさが変化するために発生する誘起起電力によるものである。この誘起起電力による渦電流の電流密度は、磁束密度の変化分の振幅に比例する。したがって、ロータで消費される渦電流損は、電流密度の2乗すなわち磁束密度の変化分の2乗に比例することになる。従来磁気軸受では、ロータとステータの相対的な運動によって磁束密度の急峻な変化をもたらし、それが渦電流損の大きな要因となっていた。
【0048】
本発明の上記第1,2実施形態では、回転子の一点がN→SあるいはS→Nに移り変わる際に、磁束密度はなだらかな勾配をもって変化する。すなわち磁束密度分布に、あたかもカム曲線のごとく、立ち上がり区間(助走区間)と立ち下がり区間(減速区間)を設け、特に渦電流損が大きい立ち下がり区間を長くとることにより、渦電流損の発生を抑制して発熱の大幅な低減を図っている。さらに、渦電流損の小さい立ち上がり区間において勾配を形成しないことや、立ち上がり区間側での磁極とロータ間の間隔を小さくすることにより吸引力を増加させて負荷能力・剛性を増加させている。
【0049】
以上、磁石の配置がNSNS型について説明してきたが、NSSN型でも同様に適用できる。
【0050】
図19は、本発明の第3実施形態によるNSSN型のラジアル磁気軸受電磁石の原理図を示すものである。401はロータ、402はステータ部であり、このステータ部402は8極の独立した磁極から構成されている。すなわち、4つのN極403a〜403dと4つのS極4a〜4dが円周方向で同極の組(NN又はSS)が交互に配置された構成となっている。N極403a,403bに注目すると、405は磁極403a内面の端部に形成された傾斜部(テーパ部)、406,407はロータ401と同芯の真円部である。NSSN型の場合、同極同志(NとN又はSとS)の区間は磁束密度が大きく変化しないためテーパを形成しなくてもよく、異極間(NとS)のみテーパを形成すればよい。408、409はそれぞれの磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部、410、411は巻き線の収納部、412、413は異極間の間隙部であるスロット部である。405〜411は他の磁極にも同様に形成されている。
【0051】
本発明の第1,2,3実施形態を適用する磁気軸受のステータに、モータで用いられているの極分割コアー工法を利用すれば、歯幅が大きくすなわちスロット幅が小さく、かつ傾斜面を持つ異形の磁極を適用できる。たとえば、図2の拡大図に示すように傾斜面5、6を充分に長い区間に形成するために、歯幅B1を巻線部の幅B2よりも大きくとる場合でも、分割工法を用いれば従来の磁気軸受電磁石ではできなかった巻線処理ができる。また、磁極を単独のユニットで扱えるために、コイルを収納する空間いっぱいに高密度の巻線ができ、積層して組み立る作業も容易にできる。すなわち、電磁石の歯幅を大きくとれることにより、磁極内面の傾斜面あるいは磁気抵抗に円周方向分布を与えるためのくびれた部分を充分に長い区間に余裕をもって形成できる。その結果、充分な長さの磁束密度の立ち上がり・立ち下がり区間を設けることができ、損失の大幅な低減が図れるのである。
【0052】
図20は、上記工法を本発明の第1実施形態(図1)に用いる場合の磁極一個分の形状を示すものである。上記工法を用いれば、任意の形状の磁極を採用できる。なお、電動モータでは上記分割工法は公知であるが、本発明の第1実施形態で提示したような低損失化を目的とする特殊な形状の磁極から構成される磁気軸受に、上記工法を適用した前例は現在のところ見あたらない。ちなみに、極分割工法の一例を上げると、固定子を複数個のコアーピースに分割して、たとえばレーザによる金型内積層固着工法により高精度のコアーピースを積層して、各ピースに高密度巻線を行った後、レーザにより再び、高精度に合体したものである。
【0053】
また、上記第1,2実施形態では、加工用スピンドルを例に挙げて説明したが、ターボ分子ポンプなどにも本発明を適用できる。
【0054】
図21は、上記第1,2,3実施形態にかかる上記加工用スピンドルの回転軸に工具を設け、被加工物を加工する本発明の第4実施形態を示す加工装置の外観図で、520は回転軸、521は工具、522は金型等の被加工物、523はX軸方向の並進運動を生じさせる並進運動駆動装置であるX軸方向並進運動用アクチュエータ、524はY軸方向の並進運動を生じさせる並進運動駆動装置であるY軸方向並進運動用アクチュエータ、525はZ軸方向の並進運動を生じさせる並進運動駆動装置であるZ軸方向並進運動用アクチュエータ、526はZ軸回りの回転運動を生じさせる回転運動駆動装置である回転運動用アクチュエータである。工具521は、回転軸520に設けられて、工具521により被加工物522を加工するものである。Y軸方向並進運動用アクチュエータ524は、回転軸520を有するZ軸方向並進運動用アクチュエータ525をY軸方向に並進移動させることにより、回転軸520をY軸方向に並進移動させるためのものである。また、Z軸方向並進運動用アクチュエータ525は、回転軸520をZ軸方向に並進移動させるためのものである。また、回転運動用アクチュエータ526は、載置台526a上に載置された被加工物522をZ軸回りに回転移動させるためのものである。また、X軸方向並進運動用アクチュエータ523は、被加工物522を有する回転運動用アクチュエータ526をX軸方向に並進移動させるためのものである。アクチュエータ523、524、525、526のそれぞれの独立した駆動により、上記工具521で被加工物522に様々な形状の加工を行うことができる。
【0055】
なお、第4実施形態では回転スピンドル520側にY軸方向並進運動用アクチュエータ524、Z軸方向並進運動用アクチュエータ525、被加工物522側にX軸方向並進運動用アクチュエータ523、Z軸周りの回転運動用アクチュエータ526を設けていたが、回転軸520側にX軸方向並進運動用アクチュエータ523、Z軸回りの回転運動用アクチュエータ526、被加工物522側にY軸方向、Z軸方向アクチュエータ524、525を設けてもよい。また、X軸回り、Y軸回りに回転移動させるためのアクチュエータを付加してもよく、被加工物522の所定の形状が得られるために最低限必要なアクチュエータ数があればよい。
【0056】
上記本発明の第1,2,3実施形態によれば、渦電流の発生が動磁場の効果によって入口側と出口側とで非対称(磁極の入口側で疎、出口側で密)となることに着目し、電磁石形状を磁束密度の変化に対応して形成するよう、磁極中央部に対して円周方向で非対称にすることにより、渦電流損及び吸引力に対して最適な形状に形成し、吸引力を低下させずに渦電流損失を低減させることができる。
【0057】
よって、このように高速回転時の磁束密度分布に対応した電磁石形状を形成することにより、従来の磁気軸受とほとんど変わらないシンプルな構成で、磁気軸受の回転子に発生する渦電流損失による発熱を大幅に低減することができる。その結果、主軸の温度上昇を抑制できるため、多くの複合部品で構成されるスピンドルの信頼性を向上させると共に、主軸の軸方向の伸びを押さえ、高い振れ精度を確保できる。
【0058】
また、本発明の第2実施形態では、高速回転時の磁束密度分布の変化に着目し、磁束密度が密となる磁極の出口側(立ち下がり区間)では、磁束密度がなだらかな勾配を持つような形状(テーパ形状)にして渦電流損の発生を抑制し、磁束密度が疎であり渦電流損の少ない磁極の入口側では、テーパ形状を形成せず磁束を増加させる形状にすることにより、吸引力を増加させることができる。
【0059】
よって、本発明の上記実施形態では、磁気軸受スピンドルの高いDN値(主軸径×回転数)の実現を図る上で、極めて有力な手段を提供するものである。従来磁気軸受の高速時の課題が解消されるため、磁気軸受スピンドルが本来持っている基本的能力(高速・高剛性)を一層活かした形で、高速切削加工の要請に応えることができ、その実用的効果は極めて大きい。
【0060】
【発明の効果】
本発明を用いれば、高速回転時の磁束密度分布に対応した電磁石形状を形成することにより、従来の磁気軸受とほとんど変わらないシンプルな構成で、磁気軸受の回転子に発生する渦電流損失による発熱を大幅に低減することができる。その結果、主軸の温度上昇を抑制できるため、多くの複合部品で構成されるスピンドルの信頼性を向上させると共に、主軸の軸方向の伸びを押さえ、高い振れ精度を確保できる。
【0061】
また、本発明は、磁気軸受スピンドルの高いDN値(主軸径×回転数)の実現を図る上で、極めて有力な手段を提供するものである。従来磁気軸受の高速時の課題が解消されるため、磁気軸受スピンドルが本来持っている基本的能力(高速・高剛性)を一層活かした形で、高速切削加工の要請に応えることができ、その実用的効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる第1実施形態であるラジアル磁気軸受の電磁石Eの原理図である。
【図2】 本発明にかかる第1実施形態であるラジアル磁気軸受の電磁石Eの拡大図である。
【図3】 渦電流損失解析のためのモデル図である。
【図4】 回転数N=0rpm時の磁気軸受電磁石の磁束等高線を示す図であって、(A)は全体図、(B)は拡大図である。
【図5】 回転数N=40,000rpm時の磁気軸受電磁石の磁束等高線を示す図であって、(A)は全体図、(B)は拡大図である。
【図6】 本発明の第1実施形態である磁極の磁束密度分布を示す図である。
【図7】 本発明の第1実施形態である電磁石の吸引力を示す図である。
【図8】 本発明にかかる第2実施形態であるラジアル磁気軸受の電磁石Gの原理図である。
【図9】 本発明にかかる第2実施形態であるラジアル磁気軸受の電磁石Gの拡大図である。
【図10】 本発明の第2実施形態である磁極の磁束密度分布を示す図である。
【図11】 本発明の第2実施形態である電磁石の吸引力を示す図である。
【図12】 比較例1であるラジアル磁気軸受の電磁石Fの原理図である。
【図13】 既存電磁石(比較例1)の磁極の磁束密度分布を示す図である。
【図14】 比較例1である電磁石の吸引力を示す図である。
【図15】 比較例2であるラジアル磁気軸受の電磁石Aの原理図である。
【図16】 比較例2であるラジアル磁気軸受の電磁石Aの拡大図である。
【図17】 比較例2である磁極の磁束密度分布を示す図である。
【図18】 比較例2である電磁石の吸引力を示す図である。
【図19】 本発明の第3実施形態によるNSSN型のラジアル磁気軸受電磁石の原理図である。
【図20】 極分割工法を用いた場合の磁極一個分の矢視図である。
【図21】本発明の第4実施形態である加工装置の外観を示す図である。
【図22】 従来の磁気軸受スピンドルの正面断面図である。
【図23】 従来のラジアル磁気軸受を示す図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【符号の説明】
1 ロータ
2 ステータ部
3a〜3d N極
4a〜4d S極
5 磁極3a内面に形成せれた傾斜部
6 磁極3a内面に形成せれた傾斜部
7 ロータ1と同芯の真円部
8 磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部
9 磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部
10 巻線の収納部
11 巻線の収納部
12 異極間の間隙部であるスロット部
13 異極間の間隙部であるスロット部
21 ロータ
22 ステータ部
23a〜23d N極
24a〜24d S極
25 磁極23a内面に形成せれた傾斜部
26 ロータ21と同芯の真円部
27 磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部
28 磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部
29 巻線の収納部
30 巻線の収納部
31 異極間の間隙部であるスロット部
32 異極間の間隙部であるスロット部
41 ロータ
42 ステータ部
43a〜43d N極
44a〜44d S極
45 真円部
46 巻線の収納部
47 巻線の収納部
48 異極間の間隙部であるスロット部
49 異極間の間隙部であるスロット部
81 ロータ
82 ステータ部
83a〜83d N極
84a〜84d S極
85 磁極83a内面に形成せれた傾斜部
86 磁極83a内面に形成せれた傾斜部
87 ロータ81と同芯の真円部
88 磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部
89 磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部
90 巻線の収納部
91 巻線の収納部
92 異極間の間隙部であるスロット部
93 異極間の間隙部であるスロット部
401 ロータ
402 ステータ部
403a〜403d N極
404a〜404d S極
405 磁極403a内面に形成せれた傾斜部
406 ロータ401と同芯の真円部
407 ロータ401と同芯の真円部
408 磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部
409 磁極を位置決めして締結するように係合可能な凹凸の連結部
410 巻線の収納部
411 巻線の収納部
412 異極間の間隙部であるスロット部
413 異極間の間隙部であるスロット部
500 スピンドルの主軸
501 モータロータ
502 モータステータ
503 フロント側ラジアル軸受
504 フロント側ラジアル軸受
505 リア側ラジアル軸受
506 リア側ラジアル軸受
507 スラスト軸受
508 スラスト軸受
509 フロント側ラジアル変位センサ
510 リア側ラジアル変位センサ
511 スラスト変位センサ
512 保護ベアリング
513 保護ベアリング
514 ケーシング
520 回転スピンドル
521 工具
522 被加工物
523 X軸方向並進運動用アクチュエータ
524 Y軸方向並進運動用アクチュエータ
525 Z軸方向並進運動用アクチュエータ
526 回転運動用アクチュエータ
600 ロータ
601 固定子鉄芯
602 巻線
603 磁束の流れ
604 磁極

Claims (10)

  1. 回転軸を駆動するモータと、この回転軸に設けられたロータ部と、複数の磁極から構成されたステータ部で構成される回転装置であって、上記ロータ部と上記磁極の間に形成される磁束密度、上記磁極端部から磁極中央部に向けて円周方向で増加すると共に、上記磁極中央部に対して円周方向で非対称であることを特徴とする回転装置。
  2. 上記磁束密度は、上記2つの磁極の境界の中間点から円周方向の区間で傾斜した分布をもち、上記磁極の中央部においては平坦な分布をもつ請求項1に記載の回転装置。
  3. 上記磁極の内面と上記ロータの間で形成される磁路の間隙が、上記磁極の端部から円周方向の上記磁極の中央部に向けて円周方向で先細りとなるように上記磁極の内面に傾斜面が形成されている請求項1に記載の回転装置。
  4. 上記磁極中央部の内面には、均一な磁路の間隙を保つように上記ロータの同芯円が形成されている請求項3に記載の回転装置。
  5. 上記ロータ上の一点と上記磁極のうちの1つの磁極に着目したとき、上記ロータ上の一点が最初に通過する上記磁極の端部近傍を上記磁極の入口側、その反対側を上記磁極の出口側として、上記磁束密度が磁極端部から磁極中央に向けて円周方向で増加していく分布を持つ上記磁極の入口側区間をα1、上記磁束密度が上記磁極中央から上記磁極端部に向けて円周方向で減少していく分布を持つ上記磁極の出口側区間をα2としたとき、α1<α2とした請求項2に記載の回転装置。
  6. NSSN型の磁極配置からなるラジアル電磁石に於いて、上記磁束密度は異極側磁極との境界の中間点から円周方向の区間αで増加していく分布をもち、同極側磁極との境界の中間点から円周方向の区間では概略平坦な分布をもつ請求項1に記載の回転装置。
  7. 巻線部から磁極端部に至る磁気回路の中で、磁路面積が減少する部分を磁極に形成した請求項1に記載の回転装置。
  8. 上記ステータ部を複数個のコアーピースに分割して組み立てる分割工法から構成される請求項1に記載の回転装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の回転装置を備えた加工装置であって、
    上記回転軸に工具を設け、上記回転軸と被加工物との間に、相対的な並進運動を生じさせる並進運動駆動装置を有し、上記並進運動駆動装置による上記相対的な並進運動により、上記回転軸に設けられた上記工具で上記被加工物を加工する加工装置。
  10. 回転軸を駆動するモータと、この回転軸に設けられたロータ部と、複数の磁極から構成されたステータ部と、上記ロータ部と上記ステータ部により回転軸の軸径方向荷重を支持するラジアル磁気軸受を構成するとともに、上記ロータ部と上記磁極の間に形成される磁束密度分布は、磁極中央部に対して円周方向で非対称であることを特徴とする回転装置。
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