JPH11343540A - 抗菌性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents

抗菌性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼

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JPH11343540A
JPH11343540A JP10150876A JP15087698A JPH11343540A JP H11343540 A JPH11343540 A JP H11343540A JP 10150876 A JP10150876 A JP 10150876A JP 15087698 A JP15087698 A JP 15087698A JP H11343540 A JPH11343540 A JP H11343540A
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Japan
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weight
stainless steel
less
martensitic stainless
antibacterial
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Takashi Kawagoe
崇史 川越
Takashi Yamauchi
隆 山内
Nobuhisa Hiruhama
修久 蛭浜
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗菌性が要求される刃物,器具等に適したマ
ルテンサイト系ステンレス鋼を提供する。 【構成】 このマルテンサイト系ステンレス鋼は、C:
0.8%以下,Si:3.0%以下,Mn:2.0%以
下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:
10〜20%,N:0.1%以下,Cu:0.5〜3.
0%,Ag:0.10〜1.0%を含み、残部が実質的
にFeの組成をもつ。更に、Ti:1%以下,Nb:1
%以下,V:1%以下,Zr:1%の1種又は2種以上
や、Mo:4.0%以下,Al:0.2%以下,B:
0.05%以下,Y:0.2%以下,希土類金属:0.
2%以下の1種又は2種以上を添加してもよい。 【効果】 Ag,Cuの複合添加により、時効処理しな
くても抗菌性に有効なAg−Cu相が析出し、速効性,
持続性に優れた抗菌性が発現する。析出相は、焼入れ焼
戻し時の熱でも再固溶せず、安定してマトリックスに分
散している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、包丁,鋏,メス等の刃
物用途に適し、Cu及びAgの複合添加によって抗菌性
を改善したマルテンサイト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】包丁,鋏,メス等の刃物や医療器具,歯
科用器具等の用途では、優れた強度及び耐食性が必要な
ことから、SUS420J2に代表されるマルテンサイ
ト系ステンレス鋼が従来から使用されている。しかし、
黄色ブドウ球菌等による院内感染やO−157等による
食品汚染が問題にされる昨今では、強度,耐食性等の一
般特性に加えて抗菌性という機能面も要求されるように
なってきており、食品を扱う刃物や治療用器具ではその
傾向が一層強くなっている。
【0003】抗菌剤を配合した塗料や樹脂をステンレス
鋼表面に塗布積層し、或いはマトリックス中に抗菌性分
を含むめっきを施すことによりステンレス鋼に抗菌性が
付与される。しかし、ステンレス鋼表面に塗料,樹脂等
の皮膜を設けると、ステンレス鋼特有の質感や表面光沢
が損なわれ、商品価値が低下する。しかも、抗菌性皮膜
は、加工時や使用中に割れ,欠損,摩耗等の損傷を受
け、湿潤雰囲気に曝されると抗菌性分の溶出が促進され
外観が劣化するばかりでなく、本来の抗菌性が失われ
る。抗菌性分を混入した複合めっきを施したものでは、
めっき層の密着性が十分でなく、加工性が低下し易い。
この場合も、めっき層の溶解,摩耗,欠損等に起因して
外観及び抗菌作用の低下がみられる。そこで、本出願人
は、ステンレス鋼自体に抗菌性を付与することを開発
し、特開平5−228202号公報,特開平6−101
91号公報,特開平9−170053号公報,特開平9
−256116号公報等でCu添加ステンレス鋼を紹介
している。Cuの抗菌作用は、ステンレス鋼に添加され
た状態でも維持される。しかも、ステンレス鋼の金属光
沢や加工性を劣化させることがない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Cuの抗菌作用は、C
uを析出物として鋼中に分散させることにより高められ
る。Cuの析出には、熱間圧延後に長時間の時効処理を
施す方法,時効時に析出が容易になるようにCu含有量
を高くする合金設計等が採用されている。しかし、長時
間の時効処理は生産性を低下させ生産コストを上昇させ
る原因となり、多量のCu添加は熱間加工性を悪化させ
る虞れがある。しかも、420J2に代表されるマルテ
ンサイト系ステンレス鋼では、800℃以上に加熱した
後で焼入れする作業が必要とされ、析出したCuが焼入
れの際に再固溶することが懸念される。また、析出相か
らCuが溶出することによりCuの抗菌作用が発現する
が、Cuが徐々に消費されるため抗菌作用が経時的に劣
化することも考えられる。更には、使用中に所定の抗菌
性を発現させるためには、比較的長い時間がかかること
にも改善の余地がある。
【0005】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、抗菌作用のあるAgをCuと複合
添加することにより、Cuの析出処理に長時間を必要と
せず、焼入れによってもCuの再固溶がなく、高位に安
定して優れた抗菌作用を呈するステンレス鋼を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のマルテンサイト
系ステンレス鋼は、その目的を達成するため、C:0.
8重量%以下,Si:3.0重量%以下,Mn:2.0
重量%以下,P:0.04重量%以下,S:0.03重
量%以下,Cr:10〜20重量%,N:0.1重量%
以下,Cu:0.5〜3.0重量%,Ag:0.10〜
1.0重量%を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ
ことを特徴とする。このマルテンサイト系ステンレス鋼
は、Ti:1重量%以下,Nb:1重量%以下,V:1
重量%以下,Zr:1重量%以下から選ばれた1種又は
2種以上を含むこともできる。更には、Mo:4.0重
量%以下,Al:0.2重量%以下,B:0.05重量
%以下,Y:0.2重量%以下,希土類金属:0.2重
量%以下から選ばれた1種又は2種以上を添加してもよ
い。
【0007】
【作用】Cuを単独添加したマルテンサイト系ステンレ
ス鋼の抗菌性を高めるためには、抗菌成分であるCuを
固溶限以上添加して長時間の時効処理を施し、Cuを析
出させる必要がある。また、HV500〜600程度の
硬度をもたせるため、製品形状に加工された鋼材を焼入
れによってマルテンサイト変態させているが、時効処理
で析出したCuリッチ相が焼入れ時の熱で再固溶し、抗
菌作用が弱くなる。本発明者等は、Cuがステンレス鋼
の抗菌性に及ぼす影響を種々調査・研究する過程で、A
gをCuと複合添加するとき、Cuの欠点が補完され、
抗菌作用は勿論、持続性,速効性等でも大幅に抗菌性が
改善されたマルテンサイト系ステンレス鋼が得られるこ
とを見出した。
【0008】Agは、Cuよりも優れた抗菌作用を呈す
る成分であり、微量でも大きな殺菌効果を発揮する。ま
た、溶出を前提としたCuと異なり、Ag又はAgイオ
ンが存在することによって周囲の雑菌や細菌を死滅させ
る作用もある。この抗菌作用は、Ag自体の抗菌作用に
加え、Ag及びAg化合物に光が当ることにより活性酸
素や過酸化水素を発生させる光触媒機能が複合化したも
のと推察される。しかも、比重の大きなAgは、Fe中
にほとんど溶解しない成分であり、ステンレス鋼に添加
されると熱間圧延後に長時間の時効処理を必要とするこ
となく、マトリックスに分散した異相になるものと推察
される。しかし、ステンレス鋼にAg単独を添加して
も、Agの歩留りが50%以下と著しく低く、比重の大
きなAgがマトリックスに不均一分散する。そのため、
Agを高濃度に含む相がマトリックスに均一分散したス
テンレス鋼は容易に得られない。
【0009】これに対し、AgをCuと複合添加する
と、Cu含有量の上昇に伴ってAgの歩留りが向上し、
1.5重量%以上のCu含有量ではAgの歩留りが90
%以上になる。また、長時間の時効処理を必要とするこ
となく、固溶限以下のCu含有量であっても、抗菌性元
素であるAgがAg−Cu相としてマトリックスに分散
して存在することが判った。Ag−Cu相は、Cuを単
独で添加して時効処理によって生成させたCuリッチ相
に比較して安定であり、焼入れ時の熱処理によってマト
リックスに再固溶することもない。このように、Agを
Cuと複合添加することにより、Agの歩留りが良く、
熱間圧延後に長時間の時効処理が不要となり、固溶限以
下のCu含有量であってもAg−Cu相がマトリックス
に分散して存在することによってマルテンサイト系ステ
ンレス鋼に優れた抗菌性が付与される。
【0010】以下、本発明のマルテンサイト系ステンレ
ス鋼に含まれる合金成分,含有量等を説明する。 C:0.8重量%以下 焼入れ焼き戻しされたマルテンサイト系ステンレス鋼の
強度改善に有効な合金成分であるが、Cの過剰添加は製
造性や耐食性を劣化させる。そこで、本発明において
は、C含有量の上限を0.8重量%に設定した。 Si:3.0重量%以下 脱酸剤として有効な合金成分であり、焼戻し軟化抵抗を
増大させ、抗菌性の向上にも有効である。しかし、過剰
添加は製造性を劣化させる原因となるので、本発明にお
いてはSi含有量の上限を3.0重量%に設定した。
【0011】Mn:2.0重量%以下 製造性を改善すると共に、鋼中に含まれる有害なSをM
nSとして固定する合金成分である。しかし、過剰添加
すると耐食性が低下するため、本発明ではMn含有量の
上限を2.0重量%と設定した。 P:0.04重量%以下 固溶硬化能の大きな合金成分であり、焼入れ焼戻し後の
強度向上に有効である。しかし、多量のP添加は靭性低
下の原因となるので、本発明ではP含有量の上限を0.
04重量%と設定した。 S:0.03重量%以下 耐食性や熱間加工性に悪影響を及ぼす有害元素であり、
S含有量は低いほど好ましい。しかし、過度にS含有量
を低下することは製造コストの上昇につながるため、本
発明においてはSによる悪影響が生じない限界として、
S含有量の上限を0.03重量%に設定した。
【0012】Cr:10〜20重量% マルテンサイト系ステンレス鋼の耐食性を維持するため
に重要な合金成分であり、10重量%以上のCr含有が
必要とされる。しかし、20重量%を超える多量のCr
含有は、焼入れ焼戻し後の硬さを低下させ、粗大な共晶
炭化物生成の原因となり、加工性や靭性を劣化させる。 N:0.1重量%以下 オーステナイト生成元素であると共にマルテンサイト系
ステンレス鋼の焼入れ焼戻し後の強度を上昇させる上で
有効な合金成分である。しかし、0.1重量%を超える
Nが含まれると、製品に表面疵が発生し易くなる。
【0013】Cu:0.5〜3.0重量% Ag:0.10〜1.0重量% Ag及びCuの抗菌効果はAg及びCuの含有量が高い
ほど強くなるので、抗菌性の観点からするとAg及びC
uの含有量が高いほど好ましい。しかし、Ag及びCu
の含有量が高くなると、ステンレス鋼の熱間加工性が悪
化する。そこで、本発明者等は、種々の調査・研究の結
果から、優れた抗菌性を呈し且つ熱間加工性を確保する
上から、Cu含有量及びAg含有量の上限をそれぞれ
3.0重量%及び1.0重量%に設定した。CuはAg
の歩留りを向上させ、AgはCuの析出を促進させる。
Agの歩留りは、0.5重量%以上のCu添加で顕著に
なる。他方、0.10重量%以上のAg含有量で、Cu
の析出が促進される。また、0.5重量%以上のCu及
び0.10重量%以上のAgによって、Ag−Cu相の
存在がみられ、抗菌性が顕著に改善される。
【0014】Ti,Nb,V,Zr:それぞれ1重量%
以下 Ti,Nb,V,Zrは、必要に応じて添加される合金
成分であり、炭窒化物の生成によって製品の強度を向上
させる作用を呈する。また、マトリックスに分散してい
る炭窒化物は、その周辺でAg−Cu相の析出を促進さ
せる。しかし、これらの合金元素を1重量%を超える量
で添加すると、製造性や加工性を低下させる原因とな
る。 Mo:4.0重量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、耐食性及び強
度を改善する作用を呈する。また、抗菌性の改善に有効
な金属間化合物を生成する。しかし、4.0重量%を超
える過剰量のMoを添加すると、製造性や加工性が低下
する。 Al:0.2重量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、Moと同様に
耐食性を改善する作用を呈する。しかし、0.2重量%
を超える過剰のAlを添加すると、製品表面に欠陥が発
生し易くなる。
【0015】B:0.05重量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、熱間加工性を
改善する作用を呈する。しかし、0.05重量%を超え
る過剰添加は、逆に熱間加工性を低下させる原因とな
る。 Y:0.2重量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、熱間加工性及
び耐酸化性の改善に有効である。Yの作用は0.2重量
%で飽和し、それ以上添加しても鋼材コストの上昇を招
く。 希土類金属(REM):0.2重量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、Yと同様に熱
間加工性を改善する作用を呈する。希土類元素の作用は
0.2重量%で飽和し、それ以上添加しても鋼材コスト
の上昇を招く。本発明に従ったマルテンサイト系ステン
レス鋼は、その他の任意合金成分としてNi,W,C
a,Mg,Pb,Sn等の1種又は2種以上を含むこと
ができる。
【0016】
【実施例】実施例1:Cu及びAgの複合添加に関する
基礎実験 SUS420J2ベースのマルテンサイト系ステンレス
鋼溶湯にCu及びAgを添加し、Agの添加量と歩留り
との関係を調査した。表1の調査結果にみられるよう
に、Agを単独添加した場合には50%以下の低い歩留
りであった。しかし、Agの歩留りは、Cu含有量が高
くなるに従って上昇し、1.5重量%以上のCu含有量
では90%以上の高い歩留りを示した。
【0017】
【0018】次いで、表2のようにCu含有量及びAg
含有量を調整したマルテンサイト系ステンレス鋼を鋳造
し、切り出された試験片の鋳造まま組織を観察し、Cu
リッチ相又はAg−Cu相の析出の有無及び面積率を調
査した。また、700℃×24時間の時効処理を施した
試験片についても、同様にCuリッチ相又はAg−Cu
相の析出の有無及び面積率を調査した。更に、時効処理
後に1050℃×30分の熱処理を施し焼き入れた試験
片におけるCuリッチ相又はAg−Cu相の析出の有無
及び面積率を調査し、Cuリッチ相又はAg−Cu相の
面積率に焼入れが及ぼす影響を調査した。なお、面積率
は、JIS G0055で規定される介在物清浄度測定
方法に準拠して計測した。
【0019】表2の調査結果にみられるように、Cuを
単独で添加したマルテンサイト系ステンレス鋼では、C
uリッチ相を析出させるために長時間の時効処理が必要
であった。しかも、析出したCuリッチ相は、焼入れ前
の熱処理によって減少していた。これに対して、Ag,
Cuを複合添加したマルテンサイト系ステンレス鋼で
は、長時間の時効処理を必要とせず、鋳造まま組織にお
いてもAg−Cu相が分散していた。しかも、析出した
Ag−Cu相は、Cuを単独で添加したマルテンサイト
系ステンレス鋼に析出したCuリッチ相に比較して安定
であり、焼入れ時の熱処理によってもAg−Cu相の再
固溶がみられなかった。
【0020】
【0021】実施例2:Ag,Cu複合添加がマルテン
サイト系ステンレス鋼に及ぼす影響 表3に示した組成をもつ各種マルテンサイト系ステンレ
ス鋼を30kg真空溶解炉で溶製し、熱延板を製造し
た。熱延鋼帯の耳割れを観察し、耳割れ発生状況から熱
間加工性の優劣を判定し、耳割れなしを◎,1〜2mm
程度の耳割れを○,2〜5mm程度の耳割れを△,5m
m以上の耳割れを×として4段階評価した。ここでは、
評価結果が○以上を熱間加工性が良好であると判断し
た。熱延鋼帯を焼鈍,冷延し、最終的に板厚0.5〜
1.0mmの冷延焼鈍板を製造した。一部の板について
は、熱延後の焼鈍時に700℃×24時間の時効処理を
施した。
【0022】得られた各ステンレス鋼板から試験片を切
り出し、1050℃×50分の熱処理を施して焼入れし
た後、抗菌性試験に供した。抗菌性試験では、Stap
hylococcus aureus IFO1273
2(黄色ブドウ球菌)を普通寒天培地で35℃,16〜
24時間振盪培養し、培養液を用意した。培養液を滅菌
リン酸緩衝溶液で20,000倍に希釈し、菌液を調製
した。菌液1mlを試験片の表面に滴下し、25℃で2
4時間保存した。保存後に、SCDLP(Soybea
n Casein Digest Broth wit
h Lecithin and Polysorbat
e 80,日本製薬株式会社製)培地で試験片から菌類
を洗い出し、洗出し液の生菌数を標準寒天培地を用いた
混釈平板培養法(35℃,2日間培養)でカウントし
た。この試験方法によるとき、初期の生菌数よりも24
時間経過後の生菌数が減少しているほど、抗菌性が強い
ことが判る。そこで、カウントした生菌数から(初期の
生菌数−24時間後の生菌数)/(初期の生菌数)×1
00と定義される減菌率(%)を算出した。ここでは、
減菌率99.99%以上を示すものは、抗菌性がある材
料と判断した。
【0023】熱間加工性及び抗菌試験の判定結果を、合
金成分,時効条件と併せて表3に示す。表3にみられる
ように、Ag含有量及びCu含有量がそれぞれ本発明で
規定した0.10〜1.0重量%及び0.5〜3.0重
量%の範囲にある試験番号19〜25のマルテンサイト
系ステンレス鋼では、熱間加工性が良好で、時効処理の
有無に拘らず優れた抗菌性を示していた。また、焼入れ
によっても析出相の面積率は減少しなかった。これに対
し、AgやCu含有量が高い試験番号26〜29では、
抗菌性は良好であるものの、Ag及びCuの含有量が多
くなるに従って熱間加工性が低下する傾向を示した。ま
た、試験番号30では、Ag及びCuの含有量が少ない
ため、焼入れによって析出相が減少し、十分な抗菌性が
得られなかった。
【0024】
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、Ag
をCuと複合添加することにより、Agの歩留りを向上
すると共に、熱間加工性確保のためにCu含有量を低く
した範囲においてもAg−Cu相がマトリックスに分散
して存在することによって優れた抗菌性をマルテンサイ
ト系ステンレス鋼に付与している。このステンレス鋼
は、鋼材自体が抗菌性をもつことから、無垢材でも優れ
た抗菌性を、しかも長期間にわたって持続する。そのた
め、優れた抗菌性を活用し、衛生環境が要求される医療
用器具,歯科用器具,調理用器具等として広範な分野で
使用される。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.8重量%以下,Si:3.0重
    量%以下,Mn:2.0重量%以下,P:0.04重量
    %以下,S:0.03重量%以下,Cr:10〜20重
    量%,N:0.1重量%以下,Cu:0.5〜3.0重
    量%,Ag:0.10〜1.0重量%を含み、残部が実
    質的にFeの組成をもつ抗菌性に優れたマルテンサイト
    系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 更にTi:1重量%以下,Nb:1重量
    %以下,V:1重量%以下,Zr:1重量%から選ばれ
    た1種又は2種以上を含む請求項1記載のマルテンサイ
    ト系ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】 更にMo:4.0重量%以下,Al:
    0.2重量%以下,B:0.05重量%以下,Y:0.
    2重量%以下,希土類金属:0.2重量%以下から選ば
    れた1種又は2種以上を含む請求項1又は2記載のマル
    テンサイト系ステンレス鋼。
JP10150876A 1998-06-01 1998-06-01 抗菌性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼 Withdrawn JPH11343540A (ja)

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