JPH11343385A - 耐トラッキング性フェノール樹脂組成物およびこれを用いた安全機器部品 - Google Patents
耐トラッキング性フェノール樹脂組成物およびこれを用いた安全機器部品Info
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- JPH11343385A JPH11343385A JP15037598A JP15037598A JPH11343385A JP H11343385 A JPH11343385 A JP H11343385A JP 15037598 A JP15037598 A JP 15037598A JP 15037598 A JP15037598 A JP 15037598A JP H11343385 A JPH11343385 A JP H11343385A
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Abstract
グ性を達成したフェノール樹脂組成物を提供する。 【解決手段】フェノールアラキル樹脂を30〜70容量
%で、平均粒径40μm以下のセラミックスフィラーを
70〜30容量%の比率で混合し、成形した耐トラッキ
ング性フェノール樹脂組成物。フェノールノボラック樹
脂を30〜40容量%で、平均粒径40μm以下のシリ
カフィラーを70〜60容量%の比率で混合し、成形せ
しめた耐トラッキング性フェノール樹脂組成物。また、
本発明の耐トラッキング性フェノール樹脂組成物からな
るケース内に、各種素子または電気部品を配置した安全
機器部品。
Description
優れたフェノール樹脂組成物、ならびに電気回路の過電
流防止以上の発熱による発火および火災防止のために使
用する安全機器部品に関するものである。
ェノール樹脂材料は電気部品の支持材料や構造材料とし
ての機能のほかに、それらを電気的に絶縁する機能を併
せもっている。
を防止するために難燃性に対する要求が強いが、このよ
うな火災の原因として、絶縁破壊やトラッキング破壊に
起因する発火、および発火後の燃え易さがある。
は成形性などの他に、耐アーク性、絶縁破壊性、耐トラ
ッキング性等の電気的特性ならびに耐難燃性などに優れ
ていることが要求される。
難燃性付与のために温石綿を配合していたが、天然産の
温石綿を配合していることで、耐燃性や耐アーク性、絶
縁破壊性などの電気特性は改善されるが、その反面、耐
トラッキング性は満足し得る程度の特性が得られなかっ
た。
タイト成分の少ない温石綿と水酸化アルミニウムを配合
することで、耐トラッキング性を改善することが提案さ
れている(特公昭57−61290号参照)。
案の技術であっても、耐トラッキング性(CTI値)は
250Vにまで達成できなった。さらに、近年、温石綿
の発塵性と発ガン性が注目され、作業環境という点で、
温石綿を用いない樹脂組成物が要求されている。ちなみ
にCTI値が250V以上になると、UL規格のPLC
(比較トラッキング性能レベル分類でのランク)が上が
り、安全機器部品として信頼性の高い材料と認められ
る。
くともCTI値が175V以上、さらには250V以上
のCTI値の優れた耐トラッキング性を達成し、耐環境
性に良好なフェノール樹脂組成物を提供することにあ
る。
フェノール樹脂組成物を使用した安全機器部品をを提供
することにある。
性フェノール樹脂組成物は、フェノールアラキル樹脂を
30〜70容量%で、平均粒径40μm以下のセラミッ
クスフィラーを70〜30容量%の比率で混合し、成形
せしめたことを特徴とする。
樹脂組成物は、フェノールノボラック樹脂を30〜40
容量%で、平均粒径40μm以下のシリカフィラーを7
0〜60容量%の比率で混合し、成形せしめたことを特
徴とする。
明の耐トラッキング性フェノール樹脂組成物からなるケ
ース内に、各種素子または電気部品を配置してなること
を特徴とする。
を起こしやすいが、この原因として樹脂骨格のなかに極
性基であるOH基を含むことで、印加電圧が高くなり、
これによって誘電加熱に起因した分子内摩擦により発熱
し、炭化導電路の形成が促進されるためであると考えら
れる。
果、樹脂成分としてフェノールアラキル樹脂、フィラー
成分として平均粒径40μm以下のセラミックスフィラ
ーを用いた樹脂組成物にすると、印加電圧が高くなって
も誘電加熱が起こりにくなり、これによって炭化導電路
が形成されなくなるので、耐トラッキング性を175V
以上、さらに250V以上にまで高められることを知見
した。
樹脂と平均粒径40μm以下のシリカフィラーからなる
樹脂組成物についても同様に耐トラッキング性が高めら
れることを見出した。
明する。フェノールアラキル樹脂は熱硬化反応により三
次元架橋構造を形成するが、その方法は一般的にヘキサ
ミンによるメチレン架橋、エポキシドによるエポキシ架
橋の方法がある。化1はフェノールアラキル樹脂をヘキ
サミンで加熱硬化した場合の推定構造である。
樹脂中に、アルミナ、シリカ、マグネシア、カルシアも
しくはこれらの複合物または水和物からなる平均粒径4
0μm以下のセラミックスフィラーを30〜70容積%
の容積比率で配合する。
合量については、30〜70容積%、好適には30〜5
0容積%にするとよく、30容積%未満の場合には寸法
安定性が低下し、加熱硬化時の変形が大きく、高い寸法
精度が得られなくなり、さらに荷重たわみ温度が低くな
り、耐熱性が低下する。また、フィラーが70容積%を
越えると粉末加圧成形した後の形状を保持することが困
難となり、さらに成形体の強度が低下する。
のは、これを越えると樹脂複合体の表面粗度が悪くな
り、外観や表面特性が劣化する。好適には20μm以下
にするとよい。
する。フェノールアラキル樹脂にフィラー等を配合する
には、従来周知の方法を採用すればよく、たとえばかか
る配合物をミキサーで混合し、ブラベンダーで混練し、
その後に粉砕する。あるいはその配合物を加熱ロールで
溶融混練した後、粉砕する方法等がある。さらに必要に
応じて、所定の粒度になるように造粒し、成型に供して
もよい。
型に充填し、成形し、そして、フィラーの配合量、製品
の寸法等に応じて80〜300℃の温度で加熱・硬化さ
せるとよい。80℃未満の場合には樹脂の硬化反応が非
常に遅く、そのために硬化反応が不十分となり、300
℃を越えると樹脂が炭化する傾向にある。
は、金型より離型しておこない、しかも、熱処理は80
〜300℃の温度範囲内で適宜熱硬化性樹脂の性状とセ
ラミックスの配合量等により条件設定しておこなう。な
お、かかる熱処理に際し型治具を使用してもよい。
や形状、性状によっては、樹脂と混合した際に分散性が
悪くなることが予想されるので、フィラーの表面を改質
するために、カップリング剤を表面コートしてもよい。
また、樹脂材料に上記以外の公知の充填材、たとえばク
レー、タルク、マイカ、カオリン、珪砂等を増量剤とし
て適宜配合してもよい。
剤、可塑剤、分散剤、着色剤、離型剤などの公知の添加
剤を少量添加してもよい。
ール樹脂組成物については、フェノールアラキル樹脂と
セラミックスフィラーの配合比率と、セラミックスフィ
ラーの平均粒径とを規定したことで、耐トラッキング性
をCTI値で175V以上、さらには250V以上にま
で高めることができた。そして、このようなフェノール
樹脂組成物でケースを作製することで、そのケース内に
各種素子または電気部品を配置した機器部品において安
全性を著しく高めることができた。
る。フェノールノボラック樹脂についても、ヘキサミン
によるメチレン架橋、エポキシドによるエポキシ架橋と
いう熱硬化反応により三次元架橋構造を形成するが、フ
ェノールノボラック樹脂をヘキサミンで加熱硬化した場
合の推定構造を化2に示す。この構造式からして、上記
フェノールアラキル樹脂のOH基密度はフェノールノボ
ラック樹脂のOH基密度の約半分である。
ク樹脂中に、平均粒径40μm以下のシリカフィラーを
60〜70容積%の容積比率で配合する。60容積%未
満の場合には寸法安定性が低下し、加熱硬化時の変形が
大きく、高い寸法精度が得られなくなり、さらに荷重た
わみ温度が低くなり、耐熱性が低下する。また、フィラ
ーが70容積%を越えると粉末加圧成形した後の形状を
保持することが困難となり、さらに成形体の強度が低下
する。さらにフィラーの平均粒径が40μmを越えると
樹脂複合体の表面粗度が悪くなり、外観や表面特性が劣
化する。好適には20μm以下にするとよい。
ルアラキル樹脂での製法と同じ製法でもって作製する。
も、フェノールノボラック樹脂とシリカフィラーの配合
比率と、シリカフィラーの平均粒径とを規定したこと
で、耐トラッキング性をCTI値で175V以上、好適
に250V以上にまで高めることができた。
製のザイロックレジン(XL225MB)を、セラミッ
クスフィラーとしてシリカ(平均粒径2μm)を用い
て、表1に示すように配合比率を変えて調合し、ついで
成形し、加熱硬化させて耐トラッキング性を測定した
(試料No.1〜7)。ただし、試料No.1について
は成形ができなかった。
b.112に記載の耐トラッキング性試験法に従ってC
TI(比較トラッキング指数)値を求めておこなった。
No.2〜6ではCTIが225V以上になった。しか
るに試料No.7ではCTIが200Vであるが、形状
が変化して実用上支障がある。
代えてフェノールノボラック樹脂を用いて、さらにセラ
ミックスフィラーとしてシリカ(平均粒径2μm)を加
え、表2に示すように配合比率を変えて調合し、ついで
成形し、加熱硬化させて耐トラッキング性を測定した
(試料No.8〜12)。ただし、試料No.12につ
いては成形ができなかった。
No.8と試料No.11ではCTIが175V以上に
なった。
ールアラキル樹脂とシリカの配合比率を40:60もし
くは60:40にして、さらにシリカの平均粒径を幾と
おりにも変えて、同様にCTIを測定したところ、表3
に示すような結果が得られた。
No.13〜16、試料No.18〜21ではCTIが
175V以上になった。しかるにシリカフィラーの平均
粒径が大きい試料No.17と試料No.22ではCT
Iが150V以下になった。
アラキル樹脂に対しセラミックスフィラーとして表4に
示すようにアルミナ(平均粒径2μm)を配合比率を幾
とおりにも変え、(例1)と同様に耐トラッキング性を
評価した。また、フェノールノボラック樹脂を用いたも
のも比較例として示す。ただし、試料No.23につい
ては成形ができなかった。
No.24〜28ではCTIが250V以上になった。
しかるに試料No.29ではCTIが225Vである
が、形状が変化して実用上支障がある。さらに試料N
o.30〜32ではCTIが150V以下であった。
ルアラキル樹脂とアルミナの配合比率を40:60もし
くは60:40にして、さらにアルミナフィラーの平均
粒径を幾とおりにも変えて、同様にCTIを測定したと
ころ、表5に示すような結果が得られた。
No.33〜36、試料No.38〜41ではCTIが
175V以上になった。しかるにアルミナフィラーの平
均粒径が大きい試料No.37と試料No.42ではC
TIが150V以下になった。
脂組成物に関し、本発明の実施例ではセラミックスフィ
ラーとしてアルミナとシリカを使用したが、これに代え
てマグネシア、カルシアもしくはこれらの複合物または
水和物、あるいはアルミナやシリカの複合物または水和
物を用いても同じ作用効果が得られた。
グ性フェノール樹脂組成物によれば、フェノールアラキ
ル樹脂を30〜70容量%で、平均粒径40μm以下の
セラミックスフィラーを70〜30容量%の比率で混合
したり、あるいはフェノールノボラック樹脂を30〜4
0容量%で、平均粒径40μm以下のシリカフィラーを
70〜60容量%の比率で混合し、ついで成形せしめた
ことで、CTI値が175V以上、さらに250V以上
の優れた耐トラッキング性を達成し、耐環境性に良好な
高信頼性の電子機器用樹脂が得られた。
耐トラッキング性フェノール樹脂組成物からなるケース
内に、各種素子または電気部品を配置したことで、優れ
た耐トラッキング性の高品質かつ高信頼性の安全機器部
品が提供できた。このような安全機器部品としてサーモ
スッタット、温度ヒューズ、温度スイッチ、電流ヒュー
ズ、ヒューズ抵抗器、バリスター、サーミスタ、アレス
タ、サーキットプロテクタ、ブレイカー等がある。
Claims (3)
- 【請求項1】フェノールアラキル樹脂を30〜70容量
%で、平均粒径40μm以下のセラミックスフィラーを
70〜30容量%の比率で混合し、成形せしめた耐トラ
ッキング性フェノール樹脂組成物。 - 【請求項2】フェノールノボラック樹脂を30〜40容
量%で、平均粒径40μm以下のシリカフィラーを70
〜60容量%の比率で混合し、成形せしめた耐トラッキ
ング性フェノール樹脂組成物。 - 【請求項3】請求項1または請求項2の耐トラッキング
性フェノール樹脂組成物からなるケース内に、各種素子
または電気部品を配置してなる安全機器部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15037598A JPH11343385A (ja) | 1998-05-29 | 1998-05-29 | 耐トラッキング性フェノール樹脂組成物およびこれを用いた安全機器部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15037598A JPH11343385A (ja) | 1998-05-29 | 1998-05-29 | 耐トラッキング性フェノール樹脂組成物およびこれを用いた安全機器部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11343385A true JPH11343385A (ja) | 1999-12-14 |
Family
ID=15495628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15037598A Pending JPH11343385A (ja) | 1998-05-29 | 1998-05-29 | 耐トラッキング性フェノール樹脂組成物およびこれを用いた安全機器部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11343385A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012060285A1 (ja) * | 2010-11-02 | 2012-05-10 | 株式会社トクヤマ | 珪砂造粒体およびその製造方法 |
WO2022113804A1 (ja) * | 2020-11-27 | 2022-06-02 | デクセリアルズ株式会社 | 保護素子 |
-
1998
- 1998-05-29 JP JP15037598A patent/JPH11343385A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012060285A1 (ja) * | 2010-11-02 | 2012-05-10 | 株式会社トクヤマ | 珪砂造粒体およびその製造方法 |
CN103201220A (zh) * | 2010-11-02 | 2013-07-10 | 株式会社德山 | 硅砂造粒体及其制造方法 |
CN103201220B (zh) * | 2010-11-02 | 2015-11-25 | 株式会社德山 | 硅砂造粒体及其制造方法 |
JP5875523B2 (ja) * | 2010-11-02 | 2016-03-02 | 株式会社トクヤマ | 珪砂造粒体およびその製造方法 |
WO2022113804A1 (ja) * | 2020-11-27 | 2022-06-02 | デクセリアルズ株式会社 | 保護素子 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20040415 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20040420 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040621 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040803 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041004 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050614 |