JPH11343300A - 新規ハプテン、それを認識する抗体およびそれらを用いた免疫学的測定法 - Google Patents

新規ハプテン、それを認識する抗体およびそれらを用いた免疫学的測定法

Info

Publication number
JPH11343300A
JPH11343300A JP11063948A JP6394899A JPH11343300A JP H11343300 A JPH11343300 A JP H11343300A JP 11063948 A JP11063948 A JP 11063948A JP 6394899 A JP6394899 A JP 6394899A JP H11343300 A JPH11343300 A JP H11343300A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino
propane
arylalkyl
diol group
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11063948A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuro Fujita
哲朗 藤多
Hideji Uchida
秀治 内田
Takeyuki Kono
武幸 河野
Ryoji Hirose
良治 広瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taito Co Ltd
Welfide Corp
Original Assignee
Taito Co Ltd
Welfide Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taito Co Ltd, Welfide Corp filed Critical Taito Co Ltd
Priority to JP11063948A priority Critical patent/JPH11343300A/ja
Publication of JPH11343300A publication Critical patent/JPH11343300A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 新規2−アミノ−2−(アリールアルキ
ル)−1,3−ジオール基含有化合物、それをハプテン
基として含む免疫原性を有する複合体、2−アミノ−2
−(アリールアルキル)−1,3−ジオール基に親和性
を示す抗体、該抗体を用いる2−アミノ−2−(アリー
ルアルキル)−1,3−ジオール基含有化合物、特にF
TY720物質の測定方法およびそのためのキット。 【効果】 本発明によれば、検体中のFTY720物質
を簡便且つ高感度に検出定量することができ、移植にお
ける拒絶反応の持続的抑制および自己免疫疾患の治療に
おいて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫抑制活性を有
する新規低分子化合物、該低分子化合物の活性基に対し
て特異的な親和性を有する抗体、該抗体を用いた生体試
料中の該低分子化合物の測定方法、並びにそのためのキ
ットに関する。
【0002】
【従来の技術】2−アミノ−2−[2−(4−オクチル
フェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール塩酸塩
(以下、FTY720と称する場合もある)、その医薬
上許容される塩、塩基またはそれらの水和物は、安全性
の高い優れた免疫抑制作用を示し、臓器または骨髄の移
植時に生じる拒絶反応を抑制するとともに、関節リウマ
チ等の自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎、喘息などの予
防および治療に有効であることが知られている(特許第
2579602号公報)。FTY720は微量で非常に
強力な免疫抑制作用を有するため、例えば、臓器移植等
の移植における拒絶反応を有効且つ持続的に抑制するに
は、生体投与後の該化合物の血中濃度を簡便且つ高感度
にモニタリングする技術が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】生体試料中に微量含ま
れる低分子物質の測定法としては、ガスクロマトグラフ
ィー、高速液体クロマトグラフィーなどが従来より用い
られているが、これらの分析法には、(1)微量濃度の
薬理活性物質を測定するには感度が不充分である、
(2)操作が煩雑である、(3)大型装置を必要とする
等の問題点があった。そのため、微量濃度のFTY72
0を簡便且つ高感度に定量する測定方法は未だに確立さ
れていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明の目
的は、生体試料等に含まれる微量濃度のFTY720を
迅速、簡便且つ高感度に測定することができるFTY7
20の新規測定方法、並びに該測定方法に用いるための
キットを提供することである。
【0005】本発明者らは、抗原抗体反応を利用した高
感度免疫測定法に着目し、FTY720の免疫抑制活性
部位である2−アミノ−2−(2−フェニルエチル)プ
ロパン−1,3−ジオール基を含む化合物として、2−
アミノ−2−[2−(4−(4−メルカプトブチル)フ
ェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール塩酸塩
(AMPD)等の2−アミノ−2−(アリールアルキ
ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物を新規に
合成し、該新規化合物をアルブミン等の適当な担体に結
合して免疫原性を有する複合体(immunogenic conjugat
e )を作製した。次いで、該複合体を感作抗原として、
2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,
3−ジオール基のある部位をハプテン基として認識する
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体をそれぞれ取
得することに成功した。さらに、本発明者らは、該抗体
を用いて生体試料、特に血液等の体液中の2−アミノ−
2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオール
基含有化合物を高感度に検出できることを確認して、本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は以下の通りである。 (1)一般式
【0007】
【化2】
【0008】(式中、kは1〜20、好ましくは1〜3
の整数、就中1であり、mおよびnはそれぞれ独立して
1〜20の整数、好ましくは1〜8の整数、さらに好ま
しくは1〜4の整数であり、Xは直接結合、−CONH
−,−O−または−NH−、好ましくは直接結合を表
す)により表されるチオール化合物またはその保護体あ
るいはそれらの塩。 (2)2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン
−1,3ージオール基、好ましくはアルキル基が2〜4
個の炭素原子を有し、および/またはアリール基がフェ
ニルおよび炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状のア
ルキルによって置換されたフェニルからなる群より選択
される2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン
−1,3ージオール基、就中2−アミノ−2−(2−フ
ェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基または2
−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖状または
分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プロパン−
1,3−ジオール基、並びに免疫学上許容される担体を
含む、免疫原性を有する複合体。 (3)2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン
−1,3−ジオール基、好ましくはアルキル基が2〜4
個の炭素原子を有し、および/またはアリール基がフェ
ニルおよび炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状のア
ルキルによって置換されたフェニルからなる群より選択
される2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン
−1,3−ジオール基、就中2−アミノ−2−(2−フ
ェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基または2
−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖状または
分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プロパン−
1,3−ジオール基に対して親和性を有する抗体、好ま
しくはモノクローナル抗体。 (4)下記の(a) 〜(f) の工程により取得することがで
きる、2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン
−1,3−ジオール基に対して親和性を有するモノクロ
ーナル抗体: (a) 2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
1,3−ジオール基含有化合物と免疫学上許容される担
体を反応させて免疫原性を有する複合体を生成させ、
(b) 該免疫原性を有する複合体で哺乳動物を1回または
数回免疫して2−アミノ−2−(アリールアルキル)プ
ロパン−1,3−ジオール基に対して親和性を有する抗
体を産生させ、(c) 該哺乳動物から抗体産生細胞を採取
し、(d) 該抗体産生細胞を株化させ、(e) 該株化細胞か
ら2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
1,3−ジオール基に対して親和性を有するモノクロー
ナル抗体を産生する細胞をクローン化し、(f) 該クロー
ン化された細胞株から該モノクローナル抗体を採取す
る、好ましくは2−アミノ−2−(アリールアルキル)
プロパン−1,3−ジオール基が、2−アミノ−2−
(2−フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基
または2−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖
状または分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プ
ロパン−1,3−ジオール基である該モノクローナル抗
体。 (5)上記(3)または(4)のモノクローナル抗体を
産生し得るハイブリドーマ。 (6)生体試料中の2−アミノ−2−(アリールアルキ
ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物を、上記
(3)または(4)の抗体を用いて検出することを特徴
とする、生体試料中の2−アミノ−2−(アリールアル
キル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物の測定
方法。 (7)下記(a) 〜(c) の工程を含む生体試料中の2−ア
ミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジ
オール基含有化合物の測定方法: (a) 固相化された上記(3)または(4)の抗体に、生
体試料と、標識された2−アミノ−2−(アリールアル
キル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物とを競
合的に反応させた後、(b) 固相と液相とを分離し、(c)
その一方に存在する標識量を測定する。 (8)下記(a) 〜(d) の工程を含む生体試料中の2−ア
ミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジ
オール基含有化合物の測定方法: (a) 上記(3)または(4)の抗体に、生体試料と、標
識された2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパ
ン−1,3−ジオール基含有化合物とを競合的に反応さ
せ、(b) 該反応液を該抗体に対して親和性を有する固相
化された二次抗体とさらに反応させた後、(c) 固相と液
相とを分離し、(d) その一方に存在する標識量を測定す
る。 (9)下記(a) 〜(d) の工程を含む生体試料中の2−ア
ミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジ
オール基含有化合物の測定方法: (a) 生体試料と標識された上記(3)または(4)の抗
体とを反応させ、(b) 該反応液を、固相化された2−ア
ミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジ
オール基含有化合物とさらに反応させた後、(c) 固相と
液相とを分離し、(d) その一方に存在する標識量を測定
する。 (10)下記(a) 〜(f) の工程を含む生体試料中の2−
アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−
ジオール基含有化合物の測定方法: (a) 生体試料と、上記(3)または(4)の抗体とを反
応させ、(b) 該反応液を、固相化された2−アミノ−2
−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基
含有化合物とさらに反応させた後、(c) 固相と液相とを
分離し、(d) 固相に結合した抗体と、該抗体に対して親
和性を有する標識された二次抗体とを反応させ、(e) 液
相を除去した後、(f) 該固相上の標識量を測定する。 (11)2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパ
ン−1,3−ジオール基含有化合物の体液中レベルの測
定方法である上記(6)〜(10)のいずれかの方法。 (12)2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパ
ン−1,3−ジオール基が、2−アミノ−2−(2−フ
ェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基または2
−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖状または
分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プロパン−
1,3−ジオール基である上記(6)〜(11)のいず
れかの方法。 (13)標識が酵素、蛍光物質または放射性同位元素で
ある上記(7)〜(12)のいずれかの方法。 (14)下記(a) および(b) を含む生体試料中の2−ア
ミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジ
オール基含有化合物測定用キット。 (a) 上記(3)または(4)の抗体 (b) 標識された2−アミノ−2−(アリールアルキル)
プロパン−1,3−ジオール基含有化合物 (15)さらに上記(3)または(4)の抗体に対して
親和性を有する二次抗体を含む上記(14)のキット。 (16)下記(a) および(b) を含む生体試料中の2−ア
ミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジ
オール基含有化合物測定用キット。 (a) 標識された上記(3)または(4)の抗体 (b) 固相化可能な2−アミノ−2−(アリールアルキ
ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物 (17)下記(a) 〜(c) を含む生体試料中の2−アミノ
−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオー
ル基含有化合物測定用キット。 (a) 固相化可能な2−アミノ−2−(アリールアルキ
ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物 (b) 上記(3)または(4)の抗体 (c) 該抗体に対して親和性を有する標識された二次抗体 (18)2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパ
ン−1,3−ジオール基含有化合物の体液中レベルの測
定用キットである上記(14)〜(17)のいずれかの
キット。 (19)2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパ
ン−1,3−ジオール基が、2−アミノ−2−(2−フ
ェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基または2
−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖状または
分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プロパン−
1,3−ジオール基である上記(14)〜(18)のい
ずれかのキット。 (20)標識が酵素、蛍光物質または放射性同位元素で
ある上記(14)〜(19)のいずれかのキット。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の新規化合物のうち、特に
好ましい化合物は、一般に下式で表される化合物または
その塩である(以下、総称してAMPD物質という場合
もある)。
【0010】
【化3】
【0011】(式中、pは1〜20、好ましくは4〜8
の整数である)
【0012】塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等
の無機酸との塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、クエン
酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、ベンゼンスルホ
ン酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。本化合物はO位お
よび/またはN位がアシル基(アセチル、クロロアセチ
ル、トリフルオロアセチル等)、アルコキシカルボニル
(第3級ブトキシカルボニル等)、アルキリデン(イソ
プロピリデン等)、トリアルキルシリル(トリブチルシ
リル等)により保護されていてもよい。これら保護体は
合成原料として用いられる。本化合物はFTY720同
様、2−アミノ−2−(2−フェニルエチル)プロパン
−1,3−ジオール基を有する。また、チオール基を有
するため、免疫原性を有する複合体の作製の際に、担体
となる物質と容易に架橋形成させることができる。
【0013】AMPD物質は、例えば、下式で示される
化合物(1)を出発物質として、以下に示す一連の工程
により調製することができるが、それに限定されない。
【0014】
【化4】
【0015】(式中、pは1〜20の整数を示す)
【0016】工程1 化合物(1)をパラトルエンスルホン酸、硫酸、ジエチ
ルエーテル三フッ化ホウ素付加物等の存在下、第1級ア
ルコール(メタノール、無水エタノール、プロパノール
等)と60〜80℃、1〜2時間反応させてエステル化
し、化合物(2)を得る。
【0017】
【化5】
【0018】(式中、Rはメチル、エチル、プロピル等
の低級アルキルを、pは1〜20の整数を示す)
【0019】工程2 化合物(2)を塩化アルミニウム、塩化亜鉛、ジエチル
エーテル三フッ化ホウ素付加物等の存在下、ブロモアセ
チルクロリド等のアシル化剤を用いて−20〜40℃で
1〜2時間反応させてアシル化し、化合物(3)を得
る。溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、
クロロホルム、ニトロベンゼン、二硫化炭素等が使用で
きる。
【0020】
【化6】
【0021】(式中、Xは臭素、塩素またはフッ素、R
はメチル、エチル、プロピル等の低級アルキルを、pは
1〜20の整数を示す)
【0022】工程3 化合物(3)をトリエチルシランおよびトリフルオロ酢
酸(TFA)の存在下、−10〜40℃で2〜4時間反
応させて還元し、化合物(4)を得る。
【0023】
【化7】
【0024】(式中、Xは臭素、塩素またはフッ素、R
はメチル、エチル、プロピル等の低級アルキルを、pは
1〜20の整数を示す)
【0025】工程4 化合物(4)をヨウ化ナトリウムで処理し、50〜90
℃で2〜6時間反応させてヨウ化し、化合物(5)を得
る。溶媒としては、2−ブタノン、メチルエチルケト
ン、アセトン等が使用できる。
【0026】
【化8】
【0027】(式中、Rはメチル、エチル、プロピル等
の低級アルキルを、pは1〜20の整数を示す)
【0028】工程5 化合物(5)を水素化ナトリウム、ナトリウムエトキシ
ド等の存在下、2−(N−置換)−アミノマロン酸エス
テルと40〜100℃で1〜8時間反応させて縮合し、
化合物(6)を得る。溶媒としては、ジメチルホルムア
ミド、テトラヒドロフラン、エタノール、トルエン等が
使用できる。
【0029】
【化9】
【0030】(式中、Yはアセチル、第3級ブトキシカ
ルボニル、ベンジルオキシカルボニル等を、R,R2
3 はそれぞれ同一または異なって、メチル、エチル、
プロピル等の低級アルキルを、pは1〜20の整数を示
す)
【0031】工程6 化合物(6)を水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素
リチウム、水素化ホウ素カルシウム等と0〜60℃、2
〜8時間反応させて還元し、さらにその反応混合物をp
−トルエンスルホン酸、硫酸、ジエチルエーテル三フッ
化ホウ素付加物等の存在下、2−ジメトキシプロパンま
たはアセトンと0〜80℃で1〜24時間反応させてア
セタール化し、化合物(7)および(8)を得る。還元
反応の溶媒としては、エタノール、メタノール、テトラ
ヒドロフラン等が使用できる。
【0032】
【化10】
【0033】(式中、Yはアセチル、第3級ブトキシカ
ルボニル、ベンジルオキシカルボニル等を、Rはメチ
ル、エチル、プロピル等の低級アルキルを、pは1〜2
0の整数を示す)
【0034】
【化11】
【0035】(式中、Yはアセチル、第3級ブトキシカ
ルボニル、ベンジルオキシカルボニル等を、pは1〜2
0の整数を示す)
【0036】工程7 化合物(7)を水素化ホウ素リチウム、水素化リチウム
アルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等と−20〜6
0℃で0.5〜4時間反応させて還元し、化合物(8)
を得る。溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、メタノール、エタノール等が使用できる。
【0037】工程8 化合物(8)をピリジン、トリエチルアミン、ヘキサメ
チルホスホルアミド等の存在下、p−トルエンスルホニ
ルクロリド、メタンスルホニルクロリド等と−20〜6
0℃で1〜24時間反応させて化合物(9)を得る。溶
媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トルエ
ン等が使用できる。
【0038】
【化12】
【0039】(式中、Yはアセチル、第3級ブトキシカ
ルボニル、ベンジルオキシカルボニル等を、Zはトルエ
ンスルホニル、メタンスルホニル等を、pは1〜20の
整数を示す)
【0040】工程9 化合物(9)をチオ酢酸カリウム、チオプロピオン酸カ
リウム、チオブタン酸カリウム等と60〜100℃で
0.5〜4時間反応させてチオアシル化し、化合物(1
0)を得る。
【0041】
【化13】
【0042】(式中、Yはアセチル、第3級ブトキシカ
ルボニル、ベンジルオキシカルボニル等を、R5 はメチ
ル、エチル、プロピル等の低級アルキルを、pは1〜2
0の整数を示す)
【0043】工程10 化合物(10)を塩酸、硫酸等の存在下、20〜100
℃で1〜10時間反応させて加水分解し、化合物(A)
の塩として化合物(12)である塩酸塩やその他硫酸塩
等を得る。溶媒としては、メタノール、エタノール、水
等が使用できる。
【0044】工程11 化合物(10)を水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等
の存在下、0〜60℃で0.1〜5時間反応させて加水
分解し、化合物(11)を得る。溶媒としては、メタノ
ール、エタノール等が使用できる。
【0045】
【化14】
【0046】(式中、Yはアセチル、第3級ブトキシカ
ルボニル、ベンジルオキシカルボニル等を、pは1〜2
0の整数を示す)
【0047】工程12 化合物(11)を塩酸、硫酸等の存在下、20〜100
℃で1〜10時間反応させて加水分解し、化合物(A)
の塩として化合物(12)である塩酸塩やその他硫酸塩
等を得る。溶媒としては、メタノール、エタノール、水
等が使用できる。
【0048】
【化15】
【0049】(式中、pは1〜20の整数を示す)
【0050】FTY720や本発明のAMPD物質は低
分子化合物であるため、免疫原性、すなわち抗体産生誘
導能がないか、または非常に低い。したがって、本発明
の抗体を調製するためには、2−アミノ−2−(アリー
ルアルキル)プロパン−1,3−ジオール基、好ましく
は2−アミノ−2−(2−フェニルエチル)プロパン−
1,3−ジオール基または2−アミノ−2−(2−(炭
素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状のアルキル置換フ
ェニル)エチル)プロパン−1,3−ジオール基を含む
化合物、就中FTY720やAMPD物質を、例えばマ
レイミド法などの常法を用いて免疫学上許容される担体
に結合して免疫原性を有する複合体もしくは免疫原性が
より高められた複合体、すなわち人工抗原を作製する必
要がある。
【0051】本発明はまた、上記方法により製造され
る、2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
1,3−ジオール基に対して親和性を有する抗体の産生
誘導能を有する複合体を提供する。該複合体は、ハプテ
ン基含有領域としての2−アミノ−2−(アリールアル
キル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物、およ
び免疫学上許容される担体からなる。2−アミノ−2−
(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含
有化合物として、好ましくは、アルキル基が2〜4個の
炭素原子を有し、および/またはアリール基がフェニル
および炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状のアルキ
ルによって置換されたフェニルからなる群より選択され
る2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
1,3−ジオール基を含む化合物、就中2−アミノ−2
−(2−フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール
基または2−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直
鎖状または分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)
プロパン−1,3−ジオール基を含む化合物が挙げられ
る。また、免疫学上許容される担体としては、例えばウ
シ血清アルブミン(BSA)、卵白アルブミン、ゼラチ
ン、ヘモシアニン等の高分子量タンパク質の他、赤血
球、多糖体等が挙げられるが特に制限はない。
【0052】本発明の抗体は、2−アミノ−2−(アリ
ールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基に対して
親和性を有するものであれば特に制限はない。好ましく
は、2−アミノ−2−(2−フェニルエチル)プロパン
−1,3−ジオール基または2−アミノ−2−(2−
(炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状のアルキル置
換フェニル)エチル)プロパン−1,3−ジオール基に
対して親和性を有する抗体である。
【0053】当該抗体としては、ポリクローナル抗体お
よびモノクローナル抗体をともに包含する。また、当該
抗体は、IgG、IgA、IgM、IgDまたはIgE
のいずれの免疫グロブリンクラスに属するものであって
もよいが、好ましくはIgGまたはIgMである。
【0054】本発明のポリクローナル抗体は、例えば以
下の方法により作製することができる。上記の複合体と
完全または不完全フロイントアジュバント(FCAまた
はFIA)との混和物を感作抗原として、ウサギ、マウ
ス、ラット、ヤギ、モルモットまたはハムスター等の哺
乳動物に免疫(初回免疫から約1〜4週間毎に1〜数回
追加免疫する)し、各追加免疫の約3〜10日後に部分
採血した血清の抗体価を従来公知の抗原抗体反応を利用
して測定、その上昇を確認しておく。さらに、最終免疫
から約3〜10日後全血を採取して抗血清を精製する。
ポリクローナル抗体は、硫安分画等の塩析、遠心分離、
透析、カラムクロマトグラフィー等の慣用の分離技術を
用いて単独の免疫グロブリンクラスとして精製すること
もできる。
【0055】また、本発明のモノクローナル抗体は、通
常細胞融合によって製造されるハイブリドーマ(融合細
胞)から取得することができる。すなわち、上記ポリク
ローナル抗体の場合と同様、2−アミノ−2−(アリー
ルアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物
を担体に結合した複合体を免疫感作した哺乳動物から抗
体産生細胞を単離し、これと骨髄腫細胞とを融合させて
ハイブリドーマを形成させ、当該ハイブリドーマをクロ
ーン化し、上記抗原あるいは2−アミノ−2−(アリー
ルアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物
をマーカー抗原(あるいはマーカーハプテン)として、
それに対して特異的な親和性を示す抗体を生産するクロ
ーンを選択することによって製造される。また、あらか
じめ単離された脾細胞あるいはリンパ球等に培養液中で
上記の複合体を作用させて生じる抗体産生細胞も使用す
ることができる。この場合にはヒト由来の抗体産生細胞
も調製可能である。
【0056】モノクローナル抗体を分泌するハイブリド
ーマの調製はケーラーおよびミルシュタインの方法(Na
ture, Vol. 256, pp. 495-497, 1975 )およびその変法
に従って行うことができる。すなわち、本発明のモノク
ローナル抗体は、前述のごとく免疫感作された動物から
取得される脾細胞、リンパ節細胞、末梢リンパ球、骨髄
腫細胞あるいは扁桃細胞等、好ましくは脾細胞に含まれ
る抗体産生細胞と、好ましくは同種のマウス、ラット、
モルモット、ハムスター、ウサギまたはヒト等の哺乳動
物、より好ましくはマウス、ラットまたはヒトの骨髄腫
細胞(ミエローマ)との融合により得られるハイブリド
ーマを培養することにより調製される。培養は、インビ
トロまたはマウス、ラット、モルモット、ハムスター、
ウサギ等の哺乳動物、好ましくはマウスまたはラット、
より好ましくはマウスの腹腔内等でのインビボで行うこ
とができ、抗体はそれぞれ培養上清あるいは哺乳動物の
腹水から取得することができる。
【0057】細胞融合に用いられる骨髄腫細胞として
は、例えばマウス由来ミエローマP3/X63−AG
8,P3/NSI/1−Ag4−1,P3/X63−A
g8.U1,SP2/0−Ag14、F0あるいはBW
5147、ラット由来ミエローマ210RCY3−Ag
1.2.3.,ヒト由来ミエローマU−266AR1,
GML500−6TG−A1−2,UC729−6,C
EM−AGR,D1R11あるいはCEM−T15等が
挙げられる。
【0058】本発明のモノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマクローンのスクリーニングは、ハイブリド
ーマを例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増
殖のみられたウェル中の培養上清の、マーカー抗原(ま
たはハプテン)に対する反応性を、ラジオイムノアッセ
イ、エンザイムイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ等
によって測定することにより行うことができる。
【0059】モノクローナル抗体の単離精製は、上述の
ような方法によって製造される該抗体含有培養上清ある
いは腹水を、イオン交換クロマトグラフィー、抗イムノ
グロブリンカラムまたはプロテインAカラム等のアフィ
ニティーカラムクロマトグラフィーに付すことにより行
うことができる。
【0060】本発明のモノクローナル抗体は、上述の製
造方法に限定されることなく、いかなる方法で得られた
ものであってもよい。また、通常モノクローナル抗体は
免疫感作を施す哺乳動物の種類によりそれぞれ異なる構
造の糖鎖を有するが、本発明におけるモノクローナル抗
体は、該糖鎖の構造差異により限定されるものではな
く、あらゆる哺乳動物由来のモノクローナル抗体をも包
含するものである。さらに、例えばヒト免疫グロブリン
遺伝子を組み込まれたトランスジェニック動物から得ら
れる組換えヒト型モノクローナル抗体、あるいはある哺
乳動物由来のモノクローナル抗体の定常領域(Fc)を
ヒト由来モノクローナル抗体のFc領域と組換えたキメ
ラモノクローナル抗体、さらには抗原と相補的に直接結
合し得る相補性決定部位(CDR)以外の全領域をヒト
由来モノクローナル抗体の対応領域と組換えたキメラモ
ノクローナル抗体も本発明のモノクローナル抗体に包含
される。
【0061】本発明はまた、上記のようにして取得され
るような、2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロ
パン−1,3−ジオール基に対して親和性を有する抗
体、好ましくは2−アミノ−2−(2−フェニルエチ
ル)プロパン−1,3−ジオール基または2−アミノ−
2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状の
アルキル置換フェニル)エチル)プロパン−1,3−ジ
オール基に対して親和性を有する抗体を用いて、2−ア
ミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジ
オール基含有化合物、好ましくは2−アミノ−2−(2
−フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基また
は2−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖状ま
たは分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プロパ
ン−1,3−ジオール基含有化合物を測定することを特
徴とする、生体試料中の2−アミノ−2−(アリールア
ルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物、好
ましくは2−アミノ−2−(2−フェニルエチル)プロ
パン−1,3−ジオール基または2−アミノ−2−(2
−(炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状のアルキル
置換フェニル)エチル)プロパン−1,3−ジオール基
含有化合物の測定方法を提供する。
【0062】測定対象の生体試料としては、例えば、ヒ
ト、ラット、ヤギ、サル、イヌ、ブタなどの哺乳動物由
来の血液、あるいはその血清、血漿等の体液または体液
由来の試料が挙げられる。血清または血漿マトリックス
効果により2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロ
パン−1,3−ジオール基含有化合物の回収率が低く良
好な測定結果が得られない場合には、生体試料を水酸化
ナトリウム水溶液等のアルカリ存在下にクロロホルム抽
出することにより、目的物質を抽出・濃縮することがで
きる。
【0063】用いられる抗体はポリクローナル抗体およ
びモノクローナル抗体のいずれであってもよいが、より
選択性が高く、各製造ロット間でその特性に差がない等
の理由からモノクローナル抗体がより好ましい。また、
完全な抗体分子だけでなく、Fab’、F(ab’)
2 、H鎖、L鎖、可変領域、超可変領域、CDR等の、
抗原またはハプテンとの結合能を有する断片もまた、好
ましく使用することができる。
【0064】本発明の測定方法は、高感度を実現するた
めに、酵素、蛍光物質(例えば、フルオレセインイソチ
オシアネート、アクリジン、ローダミン等)または放射
性同位元素(RI)を標識として利用する。特別な実験
施設や装置を必要としない等の点で、酵素標識が特に好
ましく使用できる。用いられる酵素としては、例えばペ
ルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、アセチルコ
リンエステラーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵
素、リンゴ酸脱水素酵素もしくはウレアーゼ等が挙げら
れるが、好ましくはペルオキシダーゼ、特に西洋ワサビ
由来ペルオキシダーゼ(以下、HRPと称する場合もあ
る)である。標識される物質は、測定に用いる抗原抗体
反応の様式に応じて2−アミノ−2−(アリールアルキ
ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物、抗2−
アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−
ジオール基抗体あるいは該抗体に対して特異的な親和性
を有する二次抗体のうちから選択されるが、いずれの場
合でも、常法に従って直接または架橋剤を介して間接的
に標識することができる。
【0065】本発明の測定方法の好ましい一態様におい
ては、固相化された上記抗2−アミノ−2−(アリール
アルキル)プロパン−1,3−ジオール基抗体、好まし
くはモノクローナル抗体に、生体試料と、標識、好まし
くは酵素標識された2−アミノ−2−(アリールアルキ
ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物とを競合
的に反応させた後、固相と液相とを分離し、その一方に
存在する標識量を測定することにより、生体試料中の2
−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3
−ジオール基含有化合物を測定する(本法を以下、直接
法1という)。用いられる固相としては、例えばプレー
ト(イムノプレート等)、粒子(イムノビーズ等)、ポ
リスチレンボールや試験管等が使用されるが、簡便な操
作性の点でイムノプレートが好ましい。固相に結合した
酵素標識物質または液相中の酵素標識物質の検出は、標
識に使用される酵素の活性を、常法により測定すること
により行われる。例えば、標識に用いられた酵素がHR
Pの場合には、o−フェニレンジアミンと過酸化水素水
とを含む酵素基質溶液を使用し、酸化された基質の発色
の程度を吸光度測定することにより2−アミノ−2−
(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含
有化合物の定量が行われる。本法により、2−アミノ−
2−(2−フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオー
ル基含有化合物の微量濃度(10-1〜102 ng/m
l)を高感度かつ簡便に定量的および定性的に測定する
ことができる。なお、本発明においては、検出限界を、
ラットブランク血清8例についての測定値の標準偏差の
2倍以上の特異シグナルを与える標準血清中のFTY7
20濃度として定義する。また、検量線が直線性を示す
上限を定量可能上限とする。
【0066】本発明の測定方法の別の好ましい一態様に
おいては、上記抗2−アミノ−2−(アリールアルキ
ル)プロパン−1,3−ジオール基抗体、好ましくはモ
ノクローナル抗体に、生体試料と、標識、好ましくは酵
素標識された2−アミノ−2−(アリールアルキル)プ
ロパン−1,3−ジオール基含有化合物とを競合的に反
応させ、該反応液を、該抗体に対して親和性を有する固
相化された二次抗体とさらに反応させた後、固相と液相
とを分離し、その一方に存在する標識量を測定すること
により、生体試料中の2−アミノ−2−(アリールアル
キル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物を測定
する(本法を以下、間接法1という)。二次抗体として
は、抗2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン
−1,3−ジオール基抗体もしくは該抗体と同一の抗原
決定基を有する抗体を抗原として用いて常法により調製
される抗体でも、あるいは市販されている抗体でもよい
が、一次抗体と検出すべき物質との抗原抗体反応を妨げ
ず、且つ一次抗体を特異的に認識するものであればポリ
クローナル抗体、モノクローナル抗体にかかわらず使用
できる。例えば、ウサギ由来IgGクラス抗体を一次抗
体として使用する場合は、二次抗体としてヤギ抗ウサギ
IgGが、また、マウス由来IgGクラス抗体を一次抗
体として使用する場合は、二次抗体としてウサギ抗マウ
スIgGが好ましく使用できる。用いられる固相や標識
酵素および該酵素の検出方法は、上記の測定法の場合と
同様である。本法により、2−アミノ−2−(アリール
アルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物の
微量濃度(101 〜103 ng/ml)を高感度且つ簡
便に定量的および定性的に測定することができる。
【0067】本発明の別の態様においては、生体試料
と、標識、好ましくは酵素標識された上記抗2−アミノ
−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオー
ル基抗体、好ましくはモノクローナル抗体とを反応さ
せ、該反応液を、固相化された2−アミノ−2−(アリ
ールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合
物とさらに反応させた後、固相と液相とを分離し、その
一方に存在する標識量を測定することにより、生体試料
中の2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
1,3−ジオール基含有化合物を測定する(本法を以
下、直接法2という)。FTY720やAMPD物質の
ような低分子化合物は、単独で固相に吸着させることが
困難であるが、適当なキャリアー(例えばアルブミン等
のタンパク質や多糖体など)と結合させることにより、
常法を用いて固相に吸着させることが可能となる。な
お、用いられる固相や標識酵素および該酵素の検出方法
は、上記の測定法の場合と同様である。本法により、2
−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3
−ジオール基含有化合物の微量濃度(101 〜104
g/ml)を高感度且つ簡便に定量的および定性的に測
定することができる。
【0068】本発明のさらに別の態様においては、生体
試料と、抗2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロ
パン−1,3−ジオール基抗体、好ましくはモノクロー
ナル抗体とを反応させ、該反応液を、固相化された2−
アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−
ジオール基含有化合物とさらに反応させた後、固相と液
相とを分離し、該固相に該抗体に対して親和性を有する
標識(好ましくは酵素標識)された二次抗体を反応さ
せ、液相を除去した後、該固相中の標識量を測定するこ
とにより、生体試料中の2−アミノ−2−(アリールア
ルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物を測
定する(本法を以下、間接法2という)。2−アミノ−
2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオール
基含有化合物の固相化方法、用いられる固相、二次抗
体、並びに標識酵素および該酵素の検出方法は、上記の
測定法の場合と同様である。
【0069】本発明はまた、上記の各測定方法を簡便に
行うための2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロ
パン−1,3−ジオール基含有化合物測定用キットを提
供する。例えば、上記直接法1を実施する場合には、該
キットは、少なくとも、抗2−アミノ−2−(アリール
アルキル)プロパン−1,3−ジオール基抗体、好まし
くはモノクローナル抗体、および標識、好ましくは酵素
標識された2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロ
パン−1,3−ジオール基含有化合物を含む。また、間
接法1にて測定する場合には、該キットはさらに上記抗
体に対して親和性を有する二次抗体を含む。
【0070】また、上記直接法2の場合、本発明のキッ
トは、標識、好ましくは酵素標識された抗2−アミノ−
2−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオール
基抗体、好ましくはモノクローナル抗体、および固相化
可能な2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン
−1,3−ジオール基含有化合物を含む。固相化可能な
2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,
3−ジオール基含有化合物としては、例えば、アルブミ
ン等の適当なキャリアーに結合されたFTY720また
はAMPD物質などが挙げられる。
【0071】さらにまた、上記間接法2の場合、本発明
のキットは、抗2−アミノ−2−(アリールアルキル)
プロパン−1,3−ジオール基抗体、好ましくはモノク
ローナル抗体、該抗体に対して親和性を有する標識(好
ましくは酵素標識)された二次抗体、および固相化可能
な2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
1,3−ジオール基含有化合物を含む。
【0072】また、本発明のキットは、2−アミノ−2
−(アリールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基
含有化合物を定量的に測定する場合に必要な既知量の同
化合物を標準試料として含むことが望ましい。さらに、
該キットは、本発明の高感度免疫測定法を実施する際に
使用される周知の試薬類(例えば、反応緩衝液、ブロッ
キング液、洗浄液、標識検出試薬等)および器具類(例
えば、反応容器等)を含んでいてもよい。
【0073】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、これらは単なる例示であって本発明を何ら限
定するものではない。
【0074】実施例1 AMPDの合成(全工程を図1
に示す) (1) 4−フェニル酪酸 [1](19.0g,1.16×1
-1mol)の無水エタノール(300ml)溶液にp
−トルエンスルホン酸(1.10g,5.79×10-3
mol)を加えて2時間還流した。反応液を減圧乾固
し、氷水(50ml)を加えて酢酸エチル(200m
l)で抽出した。該抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水
(20ml)、飽和食塩水(5ml×2回)で順次洗浄
し乾燥した後、溶媒を留去して淡黄色油状物質 [2](2
1.6g,97%)を得た。 (2) 油状物質 [2](20.0g,1.04×10-1mo
l)の無水クロロホルム(250ml)溶液にブロモア
セチルクロリド(10.4ml,1.26×10 -1mo
l)を加え、−10℃で塩化アルミニウム(30.6
g,2.29×10 -1mol)を少量ずつ添加し、15
分間攪拌後、室温でさらに1.5時間攪拌した。該反応
液を氷中(200ml)にゆっくりと注加し、クロロホ
ルム(100ml)を加えて室温で15分間攪拌した。
クロロホルム層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水
(200ml)、飽和食塩水(50ml)で順次洗浄
し、乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エ
チル(9:1)溶出部より無色油状物質 [3](28.8
g,88%)を得た。 (3) 氷冷下、油状物質 [3](7.9g,2.5×10-2
mol)のトリフルオロ酢酸(25ml)溶液に、トリ
エチルシラン(8.9ml,5.6×10-2mol)を
加えて15分間攪拌後、室温でさらに4時間攪拌した。
該反応液を氷水中(150ml)に注加し、酢酸エチル
(200ml)および炭酸水素ナトリウム粉末(27
g)を加えた。酢酸エチル層を分取し、飽和炭酸水素ナ
トリウム水(20ml)、飽和食塩水(15ml×2
回)で順次洗浄し、乾燥した。溶媒を留去して得られた
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘ
キサン−酢酸エチル(40:1)溶出部より無色油状物
質 [4](5.1g,68%)を得た。 (4) 油状物質 [4](4.8g,1.6×10-2mol)
の2−ブタノン(100ml)溶液にヨウ化ナトリウム
(7.9g,5.3×10-2mol)を加えて4時間還
流した。反応液を減圧乾固し、氷水(20ml)を加え
て酢酸エチル(50ml)で抽出した。該抽出液を飽和
亜硫酸ナトリウム水(80mlおよび20ml)、飽和
食塩水(20ml×2回)で順次洗浄し乾燥した後、溶
媒を留去して淡黄色油状物質 [5](5.4g,97%)
を得た。 (5) アルゴン気流下、ジエチルアセトアミドマロネート
(15g,6.9×10 -2mol)の無水DMF(46
ml)溶液に、60%水素化ナトリウム(2.0g,
5.0×10-2mol)を加えて90℃で油浴加熱し
た。該溶液に無水テトラヒドロフラン(60ml)を加
え、次いで、油状物質 [5](8.0g,2.3×10-2
mol)の無水テトラヒドロフラン(6ml)溶液を加
えて2時間還流した。該反応液を減圧乾固し、氷水(5
0ml)を加えてジエチルエーテル(150ml)で抽
出した。該抽出液を飽和食塩水(20ml×2回)で洗
浄し、乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸
エチル(3:1)溶出部より無色油状物質 [6](8.6
g,85%)を得た。 (6) 氷冷下、 [6](1.9g,4.4×10-3mol)
のエタノール(7ml)溶液に水素化ホウ素ナトリウム
(0.80g,2.1×10-2mol)を加え、室温で
7時間攪拌した。該反応液に氷水(10ml)および酢
酸エチル(50ml)を加え、1N塩酸でpH3とした
後、酢酸エチル層を分取し、飽和食塩水(10ml)で
洗浄し、乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣に、
2,2−ジメトキシプロパン(9.0ml,7.3×1
-2mol)およびp−トルエンスルホン酸(82m
g,4.3×10-4mol)を加え、室温で18時間攪
拌した。反応液を減圧乾固し、氷水(10ml)を加え
て酢酸エチル(30ml)で抽出した。該抽出液を飽和
食塩水(5ml)で洗浄し、乾燥した。溶媒を留去して
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
付し、ヘキサン−酢酸エチル(2:1→1:1)溶出部
より無色結晶 [7](0.84g,49%)を得、ヘキサ
ン−酢酸エチル(1:2)溶出部より無色結晶 [8]
(0.23g,15%)を得た。 (7) 氷冷下、 [7](1.3g,3.3×10-3mol)
の無水ジエチルエーテル(80ml)溶液に水素化リチ
ウムアルミニウム(0.38g,1.0×10-2mo
l)を加え、室温で2時間攪拌した。氷冷下、反応液に
飽和酒石酸ナトリウムカリウム水(ロッセル塩)を加
え、上澄液を分取した。溶媒を留去して、得られた残渣
をベンゼンにより再結晶化させ、無色針状結晶 [8]
(0.78g,67%)を得た。 (8) 氷冷下、 [8](0.45g,1.3×10-3mo
l)の無水ジクロロメタン(5.0ml)−トリエチル
アミン(0.36ml,2.6×10-3mol)溶液に
p−トルエンスルホニルクロリド(0.30g,1.6
×10-3mol)を加え、室温で13時間攪拌した。反
応液を減圧乾固し、氷水(5ml)を加えて、酢酸エチ
ル(20ml)で抽出した。該抽出液を飽和食塩水(1
ml)で洗浄し、乾燥した後、溶媒を留去して得られた
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘ
キサン−酢酸エチル(1:3)溶出部より無色結晶 [9]
(0.49g,75%)を得た。 (9) アルゴン気流下、 [9](0.45g,8.9×10
-4mol)の無水エタノール(10ml)溶液に90%
チオ酢酸カリウム(0.13g,1.0×10-3mo
l)を加え、1時間還流した。反応液を減圧濃縮後、氷
水(5ml)を加えて酢酸エチル(20ml)で抽出し
た。該抽出液を飽和食塩水(1ml)で洗浄し、乾燥し
た後、溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エチル
(1:1)溶出部より無色結晶[10](0.29g,80
%)を得た。 (10)アルゴン気流下、[10](0.077g,1.9×1
-4mol)のエタノール(2.0ml)溶液に10%
塩酸(1.5ml)を加えて8時間還流した。反応液を
減圧留去して白色粉末(0.060g,100%)を得
た。ジエチルエーテル−メタノールより再結晶し、無色
板状結晶[12]を得た。 無色板状結晶[12]: 融点:105〜113℃(分解); IR νmax (CHCl3 )cm-1:3550-3150, 3150-
2400;1 H−NMR(400MHz,DMSO−d6 )δ:1.5
3 (2H, m), 1.62 (2H, m), 1.76 (2H, m), 2.23. (1H,
t, J=8.0Hz),2.46-2.55 (4H, m), 2.59 (2H, m), 3.52
(each 2H, d, J=5.0Hz),5.36 (2H, t, J=5.0Hz), 7.11
(4H, br s), 7.82 (3H, br s); FAB−MS(−)m/z:318,320(M−1)
+ ; 元素分析(計算値)C1526NO2 SCl;C:56.32,H:8.19, N:4.38 (実験値)C:56.37,H:8.09, N:4.49 (11)アルゴン気流下、[10](0.047g,1.2×1
-4mol)のメタノール(1.0ml)溶液に5N水
酸化ナトリウム(0.025ml)を加えて室温で0.
5時間攪拌した。氷冷下、該反応液に1N塩酸を加えて
pH3とした後、析出した沈殿を濾取し、無色板状結晶
[11](0.023g,55%)を得た。 (12)アルゴン気流下、[11](5.7mg,1.6×10
-5mol)のエタノール(1.0ml)溶液に10%塩
酸(0.60ml)を加えて0.5時間還流した。反応
液を減圧留去して白色粉末(4.9mg,98%)を得
た。該物質の 1H−NMRデータは上記の工程(10)で得
られた無色板状結晶[12]のそれと完全に一致した。
【0075】実施例2 化合物[6]は、次のようにして化合物[4]から直接
合成することができる。アルゴン気流下、ジエチルアセ
トアミドマロネート(4.8g,2.2×10 -2mo
l)の無水DMF(10ml)溶液に、60%水素化ナ
トリウム(0.74g,1.9×10-2mol)を加え
て90℃で油浴加熱した。該溶液に無水テトラヒドロフ
ラン(10ml)を加え、次いで、油状物質[4]
(2.2g,7.4×10-3mol)の無水テトラヒド
ロフラン(5ml)溶液を加えて4.5時間還流した。
該反応液を減圧乾固し、氷水(20ml)を加えてジエ
チルエーテル(80ml)で抽出した。該抽出液は飽和
食塩水(5ml×2回)で洗浄し、乾燥した。溶媒を留
去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーに付し、ヘキサン−酢酸エチル(2:1)溶出部よ
り無色油状物質[6](2.6g,81%)を得た。
【0076】実施例3 AMPD−卵白アルブミン(O
VA)複合体の調製 (1)マレイミド化卵白アルブミンの調製 10mg/ml卵白アルブミン(OVA)を含む0.1
Mリン酸緩衝液(pH7.0)0.6mlに80mM
N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)サクシンイミ
ド/N,N−ジメチルホルムアミド0.06mlを加
え、30℃で30分間保温した後、緩衝液D(5mM
EDTAを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液,pH
6.0)で平衡化したセファデックスG−50(商品
名)カラム(1×5cm)を用いて、遠心(100×
g,2分間)によりゲル濾過を行い、マレイミド化OV
Aを得た。OVAの280nmにおける吸光係数E28
0=0.74g-1Lcm-1から算出したマレイミド化O
VA濃度は1.38×10-4Mであった。導入されたマ
レイミド基数はOVA1分子あたり平均8.4分子であ
った。 (2)AMPD−OVA複合体の調製 実施例1で得られたAMPD1.2mgを緩衝液D3m
lに溶解後、ミリポアフィルターで濾過した。4,4−
ジチオジピリジンの還元を指標としてチオール基を定量
し、該チオール基濃度(0.45mM)をAMPD濃度
とした。このAMPD溶液1.48ml(667nmo
l)を、上記(1)で得られたマレイミド化OVA溶液
0.484ml(66.7nmol)に加え、4℃で2
0時間保温した後、緩衝液Dに溶解した0.1M 2−
メルカプトエチルアミン塩酸塩18.64μlを加え、
30℃で15分間保温した。次いで、緩衝液A(0.1
mM NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝
液,pH7.0)で平衡化したセファデックスG−25
カラム(1×30cm)を用いて、ゲル濾過を行い、A
MPD−OVA複合体を得た。マレイミド基の減少から
算出された結合AMPD分子数は、OVA1分子あたり
平均6.8分子であった。卵白アルブミンの280nm
における吸光度から算出されたAMPD−OVA複合体
濃度は0.414mg/mlであった。
【0077】実施例4 抗AMPDポリクローナル抗体
の調製 (1)抗血清の取得 完全フロイントアジュバント(FCA)1.2mlを5
mlのガラス注射筒に注入した後、実施例3で得られた
AMPD−OVA複合体1.2mlを該注射筒に注入し
て乳化させた。これをテルモシリンジ注射針付ツベルク
リン用注射筒(SS−01T2613S)に0.5ml
ずつ分注した。雌性ウサギ(日本白色種、体重2.7〜
2.8kg)3羽に、上記のように調製した乳化したA
MPD−OVA複合体をそれぞれ100μg皮内投与し
た。3週間間隔で、乳化したAMPD−OVA複合体1
00μgを2回皮内投与して追加免疫を行った。最終免
疫の1週間後にネンブタール麻酔下、頚動脈より全血を
採取した。得られた血液を室温で2.5時間保温後、2
000×g(4000rpm)で10分間遠心して抗血
清を得た。 (2)IgG画分、F(ab’)2 およびFab’の調
製 室温で攪拌しながら、上記(1)で得られた各血清10
mlにそれぞれ硫酸ナトリウム(1.8g)を少量ずつ
添加し、溶解後さらに30分間攪拌した後、室温、55
00×g(7000rpm)で15分間遠心分離した。
沈殿を17.5mMリン酸緩衝液(pH6.3)5ml
に溶解させ、同緩衝液1Lに対して4℃で5時間透析し
た後、透析外液を交換してさらに一夜透析した。上清を
17.5mMリン酸緩衝液(pH6.3)で平衡化した
DE52−セルロースカラム(1.5×7cm)のクロ
マトグラフィーに付し、IgG画分(ウサギ1IgG,
ウサギ2IgGおよびウサギ3IgG)を得た。各ウサ
ギの最終体重、血清量、IgG濃度を表1に示す。得ら
れた3種の抗AMPDウサギIgG5mgを0.1M
塩化ナトリウムを含む0.1M 酢酸ナトリウム(pH
4.5)300mlで一夜透析した後、280nmにお
ける吸光度を測定してIgG濃度を算出した。透析内液
にIgGの1/50量の1mg/mlペプシン溶液を加
え、37℃で15時間保温した後、緩衝液Dで平衡化し
たUltrogel AcA44(商品名)カラム(1.5×45c
m)によるゲル濾過を行い、F(ab’)2 を得た。各
ウサギ由来のF(ab’)2 濃度を表1に示す。各F
(ab’)2 溶液をCentricon-30(商品名)を用いて4
℃、4000×(6000rpm)で10分間遠心し、
濃縮した。該濃縮液0.60mlに緩衝液Dに溶解した
2−メルカプトエチルアミン塩酸塩66.7μlを加
え、37℃で1.5時間保温した後、緩衝液Dで平衡化
したセファデックスG−50カラム(1×5cm)を用
いて遠心(100×g,2分間)によるゲル濾過を行
い、Fab’を得た。各ウサギ由来のFab’濃度、F
ab’のチオール基濃度およびFab’1分子あたりの
チオール基数を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】実施例5 ハプテン基の解析 実施例4で得られたウサギ2由来抗AMPDIgGが認
識するハプテン基の解析を、競合法によるEIAを用い
て行った。すなわち、該IgGを固相化した後、FTY
720またはその類似体とHRP標識AMPDとを競合
的に反応させ、o−フェニレンジアミンを水素供与体と
して固相に結合したHRP活性を測定し、各化合物につ
いて比較した。その結果を表2に示す(各化合物に対す
る交叉反応性は、FTY720の固相への結合度を10
0としたときの各化合物の相対結合度として示してい
る)。なお、EIAの詳細については後記実施例7にて
説明する)。
【0080】
【表2】
【0081】FTY720のジオール部をモノオールに
変換した化合物[13]、ジオール部をすべてアセチル化し
た化合物[14]およびアミノ基をアセチル化およびジメチ
ル化した化合物[15]および[16]に対しては、該抗体(F
ab’)はほとんどあるいは全く交叉反応性を示さなか
った(表2.A)。また、ベンゼン環を有しない化合物
[17]〜[19]に対しても該抗体はほとんどあるいは全く交
叉反応性を示さなかった(表2.B)。さらに、該抗体
は2−アミノ−プロパン−1,3−ジオール部とベンゼ
ン環の間の炭素数も認識し、2−アミノ−2−(2−フ
ェニルエチル)プロパン1,3−ジオール基に対して特
に高い親和性を示すことが明らかとなった(表2.
C)。
【0082】実施例6 抗AMPDモノクローナル抗体
の調製 (1)脾細胞およびミエローマ細胞の調製 実施例4で調製した乳化AMPD−OVA複合体100
μgを雌性BALB/cマウス(8週齢)に腹腔内注射
する。初回免疫から2週間毎に、等量の不完全フロイン
トアジュバント(FIA)で乳化したAMPD−OVA
100μgを2回腹腔内注射して追加免疫を行う。2週
間後、10倍量のFIA乳化AMPD−OVA複合体
(1mg)を皮内投与し、さらに最終免疫としてFIA
乳化AMPD−OVA複合体200μgを尾静脈より静
注し、その3日後にマウスを安楽死させて開腹し、脾臓
を摘出する。脾臓をピンセットでほぐして脾細胞を無血
清のダルベッコ氏改変イーグルズ最少必須培地(D−M
EM:GIBCO社製)に懸濁する。脾細胞浮遊液中の
赤血球を、0.83%塩化アンモニウム溶液(9容量)
と0.17M トリス塩酸緩衝液(pH7.65,1容
量)との混液で5分間処理して破壊し、遠心分離により
除去する。ミエローマ細胞として市販のマウスミエロー
マ細胞P3×63AgBU・1(大日本製薬)を一旦増
殖させた後液体窒素中で凍結保存し、これを融解後さら
に増殖させて細胞融合に供する。該細胞の培養には10
%ウシ胎仔血清(FBS)含有D−MEMを用いる。上
記のように調製した脾細胞およびミエローマ細胞浮遊液
は、D−MEMで数回洗浄した後細胞融合に供する。 (2)細胞融合およびハイブリドーマの選択 ミエローマ細胞(4×107 個)浮遊液に脾細胞(2×
108 個)浮遊液を加え、該混液を50mlプラスチッ
ク管(コーニング・グラス・ワークス社製50mlコー
ニング遠心管)中でよく混合する。培地を遠心分離によ
り除去し、細胞を水浴中で37℃に加温する。この細胞
に、45%ポリエチレングリコール(平均分子量4,0
00;メルク社製)溶液1mlを振り混ぜながら1分間
かけて徐々に加え、混合物を室温で5分間放置する。反
応混合物に5分間かけてD−MEM15mlを滴加して
細胞融合反応を停止させ、大量のD−MEMを加えた後
混合物を遠心分離して上清を除去する。残渣に15%F
BS(センタウラス社製、Lot757)、2mMグル
タミン、2×10-5M 2−メルカプトエタノール、1
00μg/ml硫酸ストレプトマイシン、100U/m
lペニシリンG、80μg/ml硫酸ゲンタマイシンお
よびファンギゾン(アンホテリシンB;GIBCO社
製)を補ったD−MEMよりなる完全培地(以下、CM
という)を加える。混合物を少し混ぜた後、生じた融合
細胞浮遊液を、24ウェルのプレート(ヌンク社製)1
0枚に、脾細胞が1ウェルあたり1×l06 個となるよ
うに1ウェルに1mlずつ分注し、5%炭酸ガス気中、
37℃で1日培養した後、アミノプテリン(4×10-7
M)、チミジン(1.6×10-5M)およびヒポキサン
チン(1×10-4M)を含有するCM(HAT培地)1
mlを各ウェルに添加する。1日後、各ウェルから半量
の培地を吸引除去し、新鮮なHAT培地を添加する。そ
の後2日または3日毎に同様の培地交換を続ける。 (3)抗AMPD抗体産生ハイブリドーマのスクリーニ
ングおよびクローニング 上記選択培地での培養により生育したハイブリドーマコ
ロニーについてELISA法にて所望の抗体産生の有無
を調べる。すなわち、実施例3において、OVAの代わ
りにウシ血清アルブミン(BSA)をキャリアータンパ
ク質として用い、同様にして調製されたAMPD−BS
A複合体(20μg/ml緩衝液A)を96ウェルのプ
レートに10μlずつ添加して37℃で2時間静置し、
固相に吸着させる。該プレートの各ウェルに各ハイブリ
ドーマコロニーの培養上清を30μlずつ添加して37
℃で2時間静置する。反応液を吸引除去し、1%BSA
含有PBSで洗浄後、HRP標識抗マウスIgA+Ig
G+IgM(H+L鎖)抗体(カッペル社製)の200
0倍希釈液を加え、37℃で1時間放置する。反応液を
吸引除去し、1%BSA含有PBSで洗浄後、常法の発
色反応によりHRP活性を測定して陽性細胞群を得る。
AMPD物質およびFTY720に対して特異的である
かどうかは、上記のAMPD−BSAをコーティングし
たプレートにAMPDまたはFTY720溶液(1%B
SA含有PBS1ml中100μg)を各ウェル10μ
lずつ添加し、さらに上記陽性細胞の培養上清30μl
を加えて上記と同様の反応を行い、固相に結合したHR
P活性の減少を指標にして判定する。AMPDおよびF
TY720の両方と反応する抗体は、両化合物に共通す
る2−アミノ−2−(2−フェニルエチル)プロパン−
1,3−ジオール基のある部位をハプテン基として認識
することが示唆される。該抗体を産生するハイブリドー
マのうち特に抗体価の高いウェルの細胞について、BA
LB/cマウスの胸膜細胞をフィーダー層(5×106
細胞/ml)として用いた96ウェル平底マイクロプレ
ート(ヌンク社製)を用いて限界希釈法によりクローニ
ング操作を行い、AMPDおよびFTY720と特異的
に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マクローンを得る。 (4)抗体クラスの特定 上記(3)で得られるハイブリドーマクローンが産生す
る抗体クラスを、Mouse monoAb ID/SP Kit(Zymed
社製)を用いて以下のように調べる。各クローンをそれ
ぞれ10%FBS含有CM中で、5%炭酸ガス気中、3
7℃の条件で培養する。得られた培養上清を6群に分
け、それぞれにIgG1 ,IgG2a,IgG2b,IgG
3 ,IgAまたはIgMに対する抗体のいずれか1つを
添加して492nmでの吸光度を測定し、標準ウサギ血
清の吸光度に対する各群の吸光度の比が5以上のものを
陽性と判定する(ネガティブコントロールとして、マウ
スミエローマP3×63AgBU・1を用いる)。 (5)抗体の単離精製 2,6,10,14−テトラメチルペンタデカンを投与
して免疫抑制状態にした雌性BALB/cマウスの腹腔
内にハイブリドーマを1マウスあたり1×10 7 個移植
し、10〜14日後に腹水を採取する。該腹水を50%
飽和硫安で分画した後、10mMリン酸緩衝液(pH
8.0)に対して透析し、10mMリン酸緩衝液(pH
8.0)で平衡化したDEAEセルロースカラムクロマ
トグラフィーに付し、10mMリン酸緩衝液(pH8.
0)中、NaClの連続濃度勾配法で溶出させ、モノク
ローナル抗体のイムノグロブリンクラス画分を回収す
る。
【0083】実施例7 FTY720のエンザイムイム
ノアッセイ(直接法1) (1)HRP標識AMPDの調製 10mg/ml HRPを含む0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)1.78mlに30mM N−(6−マ
レイミドカプロイルオキシ)サクシンイミド/N,N−
ジメチルホルムアミド0.178mlを加え、30℃で
1時間保温した後、緩衝液Dで平衡化したセファデック
スG−25カラム(1×30cm)によるゲル濾過を行
い、マレイミド化HRPを得た。HRPの403nmに
おける吸光係数E403=2.275g-1Lcm-1から
算出されたマレイミド化HRP濃度は134μMであっ
た。導入されたマレイミド基数は、HRP1分子あたり
平均0.93分子であった。このマレイミド化HRP
0.566ml(200nmol)に、3.51mM
AMPD水溶液0.147ml(516nmol)を加
え、室温で1時間保温した後、反応液0.553mlに
緩衝液D0.394mlを混和し、該混液0.6mlを
緩衝液Dで平衡化したセファデックスG−50カラム
(1×5cm)を用いた遠心(100×g,2分間)に
よるゲル濾過に付して過剰量のAMPDを除去した。次
いで、濾液0.784mlに緩衝液Dに溶解した0.1
M 2−メルカプトエチルアミン塩酸塩7.84μlを
加え、室温で15分間保温した後、緩衝液A500ml
に対して2日間透析し、HRP標識AMPDを得た
(1.61mg/ml)。マレイミド基の減少から算出
した結合AMPD分子数はHRP1分子あたり平均1.
0分子であった。 (2)固相化ウサギ抗AMPDIgGポリクローナル抗
体の調製 実施例4の(2)で調製したウサギ2由来抗AMPDI
gGのPBS溶液をELISA用プレートS(MS−3
496F;住友ベークライト社製)に分注し、4℃で一
夜静置して固相化した。溶液を吸引除去した後プレート
をPBSで3回洗浄した。 (3)抗原抗体反応 上記のプレートに1%BSA含有PBSを満たして37
℃で30分間放置してブロッキングを行った後、該溶液
を除去した。該プレートの各ウェルに、1%BSA含有
PBSで系列希釈した標準FTY720溶液および上記
(1)で調製したHRP標識AMPDを1%BSA含有
PBSで2×105 倍希釈した液を各100μlずつ添
加して、プレートミキサーで10秒間攪拌した後4℃で
一夜放置した。 (4)HRP活性測定 反応液を吸引除去し、0.05% Tween20(商
品名)含有PBSで各ウェルを2回洗浄した後、酵素基
質溶液[o−フェニレンジアミンと30%過酸化水素水
をMcllvaine 緩衝液(0.1Mリン酸水素二ナトリウ
ム,0.1Mクエン酸,pH5.4)に溶解したもの]
を分注し、30分間室温で反応させた(酵素基質溶液は
使用直前に調製した)。4N硫酸50μlを添加して反
応を停止させ、酵素基質溶液を対照として、マルチスキ
ャン(商品名:タイターテック社製)により492nm
における反応液の吸光度を測定した。得られた吸光度の
数値をFTY720濃度に対してプロットした結果、検
量線が直線性を示した上限(定量可能上限)は45ng
/mlであった。また、ラットブランク血清8例を本測
定法で測定した時の標準偏差の2倍以上の特異シグナル
を与える標準血清中のFTY720濃度(検出限界)は
0.45ng/mlであった。
【0084】実施例8 FTY720物質のエンザイム
イムノアッセイ(間接法1) 17.2mg/mlヤギ(抗ウサギIgG)IgG抗体
(29.07μl)に0.1%アジ化ナトリウムを含む
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)5mlを加え、
0.1mg/mlとした。該溶液にポリスチレンビーズ
(約300個)を入れ、4℃で一夜保温した。保温後、
IgG溶液を吸引により除去し、緩衝液C(0.1%B
SA,1mM塩化マグネシウム,0.1%アジ化ナトリ
ウムを含む緩衝液A)にて10回洗浄後、緩衝液C中で
4℃にて一夜保温した。0.2%ウサギ2由来抗AMP
DIgGのBSA含有PBS溶液と標準FTY720溶
液(0,1,10ng/ml)を、試験管に50μlず
つ加え、4℃で4時間保温した後、実施例7の(1)で
調製したHRP標識AMPD50μlを加えて4℃で一
夜保温した。この溶液に、上記のように調製したヤギ
(抗ウサギIgG)IgG不溶化ポリスチレンビーズ
(3個)を加え、20℃で3時間保温した後、溶液を除
去し、ビーズを緩衝液Aで洗浄した。該ビーズ(3個)
に結合したHRP活性を実施例7の(4)と同様に測定
した。その結果、本アッセイ系の定量可能範囲は10〜
1000ng/mlであった。
【0085】実施例9 FTY720物質のエンザイム
イムノアッセイ(直接法2) (1)HRP標識抗AMPDIgGポリクローナル抗体
Fab’の調製 実施例7の(1)と同様にしてマレイミド化HRPを調
製した。HRPの403nmにおける吸光係数E403
=2.275g-1Lcm-1から算出されたマレイミド化
HRP濃度は82.5μMであった。導入されたマレイ
ミド基数は、HRP1分子あたり平均1.85分子であ
った。実施例4の(2)で調製した各ウサギ抗AMPD
IgGポリクローナル抗体のFab’(ウサギ1=0.
55ml,ウサギ2=0.54ml,ウサギ3=0.5
6ml)に、上記のマレイミド化HRP(ウサギ1=
0.417ml,ウサギ2=0.398ml,ウサギ3
=0.472ml)を加えて攪拌した後、Centricon-30
(商品名)を用いて4℃、4000×g(6000rp
m)で10分間遠心して濃縮した。濃縮液を4℃で一夜
保温した後、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平
衡化したUltrogel AcA44(商品名)カラム(1.5×4
5cm)によるゲル濾過を行い、HRP標識Fab’画
分を得た。 (2)AMPD−BSA複合体の調製 10mg/ml BSAを含む0.1Mリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH7.0)0.6mlに30mM N−
(6−マレイミドカプロイルオキシ)サクシンイミド/
N,N−ジメチルホルムアミド0.06mlを加え、3
0℃で30分間保温した後、緩衝液Dで平衡化したセフ
ァデックスG−50カラム(1×5cm)を用いて、遠
心(100×g,2分間)によりゲル濾過を行い、マレ
イミド化BSAを得た。BSAの280nmにおける吸
光係数E280=0.63g-1Lcm-1から算出したマ
レイミド化BSA濃度は1.01×10-4Mであった。
導入されたマレイミド基数はBSA1分子あたり平均1
0.1分子であった。一方、実施例1で得られたAMP
D1.2mgを緩衝液D3mlに溶解後、ミリポアフィ
ルターで濾過して0.45mM AMPD溶液を調製し
た。このAMPD溶液1.01ml(455nmol)
を、マレイミド化BSA溶液0.450ml(45.3
nmol)に加え、4℃で20時間保温した後、緩衝液
Dに溶解した0.1M 2−メルカプトエチルアミン塩
酸塩14.60μlを加え、30℃で15分間保温し
た。次いで、緩衝液Aで平衡化したセファデックスG−
25カラム(1×30cm)を用いてゲル濾過を行い、
AMPD−BSA複合体を得た。マレイミド基の減少か
ら算出された結合AMPD分子数は、BSA1分子あた
り平均9.6分子であった。AMPD−BSA複合体濃
度は0.579mg/mlであった。 (3)抗原抗体反応およびHRP活性測定 上記(2)で得られたAMPD−BSA複合体[10μ
g/ml緩衝液E(0.1%アジ化ナトリウムを含む
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液,pH7.5)]を1
0μg/mlBSA含有緩衝液Eで300倍希釈した液
0.15mlをELISA用プレートの各ウェルに加え
て4℃で一夜保温した。該溶液を除き緩衝液A0.2m
lで4回洗浄した後、緩衝液B(0.1%BSA含有緩
衝液A)0.2mlを加えて室温で2時間保温した。こ
れとは別に、緩衝液Bで系列希釈した標準FTY720
溶液75μlと上記(1)で得られたHRP標識Fa
b’(5μg/ml緩衝液Eを緩衝液Bで1nMに希
釈)75μlを試験管に加えて4℃で一夜保温した後、
該反応混液を上記のプレートに加え、4℃で6時間保温
した。反応混液を除去し、緩衝液A0.25mlで4回
洗浄した後、固相中のHRP活性を実施例7の(4)と
同様にして測定した。その結果、本アッセイ系の定量可
能範囲は60〜10000pg/mlであった。
【0086】
【発明の効果】本発明の抗体および免疫測定法を用いれ
ば、簡便且つ高感度に生体試料中のFTY720物質を
検出することができるので、FTY720物質を投与さ
れた臓器移植患者や自己免疫疾患患者における同物質の
体内動態を容易にモニタリングでき、移植における拒絶
反応の持続的抑制および自己免疫疾患の治療にきわめて
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】AMPD合成の全工程を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 323/41 C07C 323/41 C12N 5/10 C12P 21/08 15/02 G01N 33/53 G C12P 21/08 33/531 A G01N 33/53 33/577 B 33/531 A61K 39/00 H 33/577 C12N 5/00 B // A61K 39/00 15/00 C (72)発明者 内田 秀治 大阪府豊中市曽根西町4丁目13番2号 (72)発明者 河野 武幸 京都府京都市左京区下鴨宮崎町128−138 (72)発明者 広瀬 良治 兵庫県神戸市長田区東尻池新町1番26号 台糖株式会社研究所内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、k,mおよびnはそれぞれ独立して1〜20の
    整数であり、Xは直接結合,−CONH−,−O−また
    は−NH−を表す)により表されるチオール化合物また
    はその保護体あるいはそれらの塩。
  2. 【請求項2】 式中、kが1〜3の整数、mおよびnが
    それぞれ独立して1〜8の整数であり、Xが直接結合を
    表す請求項1記載の化合物またはその塩。
  3. 【請求項3】 式中、kが1〜3の整数、mおよびnが
    それぞれ独立して1〜4の整数であり、Xが直接結合を
    表す請求項1記載の化合物またはその塩。
  4. 【請求項4】 式中、kが1、mおよびnがそれぞれ独
    立して1〜4の整数であり、Xが直接結合を表す請求項
    1記載の化合物またはその塩。
  5. 【請求項5】 2−アミノ−2−(アリールアルキル)
    プロパン−1,3−ジオール基含有化合物および免疫学
    上許容される担体を含む免疫原性を有する複合体。
  6. 【請求項6】 2−アミノ−2−(アリールアルキル)
    プロパン−1,3−ジオール基のアルキル基が2〜4個
    の炭素原子を有し、および/またはアリール基がフェニ
    ルおよび炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状のアル
    キルによって置換されたフェニルからなる群より選択さ
    れるものである請求項5記載の免疫原性を有する複合
    体。
  7. 【請求項7】 2−アミノ−2−(アリールアルキル)
    プロパン−1,3−ジオール基が2−アミノ−2−(2
    −フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基また
    は2−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖状ま
    たは分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プロパ
    ン−1,3−ジオール基である請求項5記載の免疫原性
    を有する複合体。
  8. 【請求項8】 2−アミノ−2−(アリールアルキル)
    プロパン−1,3−ジオール基に対して親和性を有する
    抗体。
  9. 【請求項9】 2−アミノ−2−(アリールアルキル)
    プロパン−1,3−ジオール基のアルキル基が2〜4個
    の炭素原子を有し、および/またはアリール基がフェニ
    ルおよび炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状のアル
    キルによって置換されたフェニルからなる群より選択さ
    れるものである請求項8記載の抗体。
  10. 【請求項10】 2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基が2−アミノ−2−
    (2−フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基
    または2−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖
    状または分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プ
    ロパン−1,3−ジオール基である請求項8記載の抗
    体。
  11. 【請求項11】 モノクローナル抗体である請求項8〜
    10のいずれかに記載の抗体。
  12. 【請求項12】 下記(a) 〜(f) の工程により取得する
    ことができるモノクローナル抗体: (a) 2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
    1,3−ジオール基含有化合物と免疫学上許容される担
    体を反応させて免疫原性を有する複合体を生成させ、 (b) 該免疫原性を有する複合体で哺乳動物を1回または
    数回免疫して2−アミノ−2−(アリールアルキル)プ
    ロパン−1,3−ジオール基に対して親和性を有する抗
    体を産生させ、 (c) 該哺乳動物から抗体産生細胞を採取し、 (d) 該抗体産生細胞を株化させ、 (e) 該株化細胞から2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基に対して親和性を有
    するモノクローナル抗体を産生する細胞をクローン化
    し、 (f) 該クローン化された細胞株から該モノクローナル抗
    体を採取する。
  13. 【請求項13】 2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基のアルキル基が2〜
    4個の炭素原子を有し、および/またはアリール基がフ
    ェニルおよび炭素数2〜8個の直鎖状または分枝鎖状の
    アルキルによって置換されたフェニルからなる群より選
    択されるものである請求項12記載のモノクローナル抗
    体。
  14. 【請求項14】 2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基が2−アミノ−2−
    (2−フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基
    または2−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖
    状または分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プ
    ロパン−1,3−ジオール基である請求項12記載のモ
    ノクローナル抗体。
  15. 【請求項15】 請求項12〜14のいずれかに記載の
    モノクローナル抗体を産生し得るハイブリドーマ。
  16. 【請求項16】 2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物を、請求
    項8〜14のいずれかに記載の抗体を用いて検出するこ
    とを特徴とする、生体試料中の2−アミノ−2−(アリ
    ールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合
    物の測定方法。
  17. 【請求項17】 下記(a) 〜(c) の工程を含む生体試料
    中の2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
    1,3−ジオール基含有化合物の測定方法: (a) 固相化された請求項8〜14のいずれかに記載の抗
    体に、生体試料と、標識された2−アミノ−2−(アリ
    ールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合
    物とを競合的に反応させた後、 (b) 固相と液相とを分離し、 (c) その一方に存在する標識量を測定する。
  18. 【請求項18】 下記(a) 〜(d) の工程を含む生体試料
    中の2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
    1,3−ジオール基含有化合物の測定方法: (a) 請求項8〜14記載のいずれかに記載の抗体に、生
    体試料と、標識された2−アミノ−2−(アリールアル
    キル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物とを競
    合的に反応させ、 (b) 該反応液を該抗体に対して親和性を有する固相化さ
    れた二次抗体とさらに反応させた後、 (c) 固相と液相とを分離し、 (d) その一方に存在する標識量を測定する。
  19. 【請求項19】 下記(a) 〜(d) の工程を含む生体試料
    中の2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
    1,3−ジオール基含有化合物の測定方法: (a) 生体試料と、2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基に対して親和性を有
    する標識された抗体とを反応させ、 (b) 該反応液を、固相化された2−アミノ−2−(アリ
    ールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合
    物とさらに反応させた後、 (c) 固相と液相とを分離し、 (d) その一方に存在する標識量を測定する。
  20. 【請求項20】 下記(a) 〜(f) の工程を含む生体試料
    中の2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
    1,3−ジオール基含有化合物の測定方法: (a) 生体試料と、請求項8〜14のいずれかに記載の抗
    体とを反応させ、 (b) 該反応液を、固相化された2−アミノ−2−(アリ
    ールアルキル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合
    物とさらに反応させた後、 (c) 固相と液相とを分離し、 (d) 固相に結合した抗体と、該抗体に対して親和性を有
    する標識された二次抗体とを反応させ、 (e) 液相を除去した後、 (f) 該固相上の標識量を測定する。
  21. 【請求項21】 2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物の体液中
    レベルの測定方法である請求項16〜20のいずれかに
    記載の方法。
  22. 【請求項22】 2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基が2−アミノ−2−
    (2−フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基
    または2−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖
    状または分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プ
    ロパン−1,3−ジオール基である請求項16〜21の
    いずれかに記載の方法。
  23. 【請求項23】 標識が酵素、蛍光物質および放射性同
    位元素からなる群より選択される請求項17〜22のい
    ずれかに記載の方法。
  24. 【請求項24】 下記(a) および(b) を含む生体試料中
    の2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
    1,3−ジオール基含有化合物測定用キット。 (a) 請求項8〜14のいずれかに記載の抗体 (b) 標識された2−アミノ−2−(アリールアルキル)
    プロパン−1,3−ジオール基含有化合物
  25. 【請求項25】 さらに請求項8〜14のいずれかに記
    載の抗体に対して親和性を有する二次抗体を含む請求項
    24記載のキット。
  26. 【請求項26】 下記(a) および(b) を含む生体試料中
    の2−アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−
    1,3−ジオール基含有化合物測定用キット。 (a) 標識された請求項8〜14のいずれかに記載の抗体 (b) 固相化可能な2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物
  27. 【請求項27】 下記(a) 〜(c) を含む生体試料中の2
    −アミノ−2−(アリールアルキル)プロパン−1,3
    −ジオール基含有化合物測定用キット。 (a) 固相化可能な2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物 (b) 請求項8〜14のいずれかに記載の抗体 (c) 該抗体に対して親和性を有する標識された二次抗体
  28. 【請求項28】 2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基含有化合物の体液中
    レベルの測定用キットである請求項24〜27のいずれ
    かに記載のキット。
  29. 【請求項29】 2−アミノ−2−(アリールアルキ
    ル)プロパン−1,3−ジオール基が2−アミノ−2−
    (2−フェニルエチル)プロパン−1,3−ジオール基
    または2−アミノ−2−(2−(炭素数2〜8個の直鎖
    状または分枝鎖状のアルキル置換フェニル)エチル)プ
    ロパン−1,3−ジオール基である請求項24〜28の
    いずれかに記載のキット。
  30. 【請求項30】 標識が酵素、蛍光物質および放射性同
    位元素からなる群より選択される請求項24〜29のい
    ずれかに記載のキット。
JP11063948A 1998-03-13 1999-03-10 新規ハプテン、それを認識する抗体およびそれらを用いた免疫学的測定法 Pending JPH11343300A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11063948A JPH11343300A (ja) 1998-03-13 1999-03-10 新規ハプテン、それを認識する抗体およびそれらを用いた免疫学的測定法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6359398 1998-03-13
JP10-63593 1998-03-13
JP11063948A JPH11343300A (ja) 1998-03-13 1999-03-10 新規ハプテン、それを認識する抗体およびそれらを用いた免疫学的測定法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11343300A true JPH11343300A (ja) 1999-12-14

Family

ID=26404716

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11063948A Pending JPH11343300A (ja) 1998-03-13 1999-03-10 新規ハプテン、それを認識する抗体およびそれらを用いた免疫学的測定法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11343300A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001172200A (ja) * 1999-12-17 2001-06-26 Meneki Seibutsu Kenkyusho:Kk ヒトナプシンaに対する抗体およびこれを用いる医薬
WO2005064344A1 (ja) 2003-12-26 2005-07-14 Takeda Pharmaceutical Company Limited 脂質代謝異常症の予測方法
WO2016140344A1 (ja) * 2015-03-05 2016-09-09 国立大学法人東京大学 結合体及びその使用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001172200A (ja) * 1999-12-17 2001-06-26 Meneki Seibutsu Kenkyusho:Kk ヒトナプシンaに対する抗体およびこれを用いる医薬
WO2005064344A1 (ja) 2003-12-26 2005-07-14 Takeda Pharmaceutical Company Limited 脂質代謝異常症の予測方法
WO2016140344A1 (ja) * 2015-03-05 2016-09-09 国立大学法人東京大学 結合体及びその使用
JPWO2016140344A1 (ja) * 2015-03-05 2018-02-01 国立大学法人 東京大学 結合体及びその使用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11343300A (ja) 新規ハプテン、それを認識する抗体およびそれらを用いた免疫学的測定法
JPH04218366A (ja) メトラクロルの免疫学的検出
US5164483A (en) Y-carboxyglutamate derivative, method for preparing the same and method for preparing human osteocalcin using the same
JP2001272401A (ja) フタル酸エステル類のハプテン化合物、抗体及び測定方法
EP0608117A2 (en) Antibodies for mevalonic acid and methods for determination of mevalonic acid
JP4035754B2 (ja) ビスフェノールaハプテン化合物、ハイブリドーマ、有機溶媒耐性を有する抗ビスフェノールa抗体及びそれらを用いたビスフェノールaの測定方法
JP4221119B2 (ja) ドウモイ酸に対する特異的抗体及びドウモイ酸の免疫学的分析方法
US6465194B2 (en) Monoclonal antibodies to 4,4′-dinitrocarbanilide and a method for analyzing for the drug nicarbazin
JP3842919B2 (ja) クロルフェナピルのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3053594B2 (ja) ベンスルフロン誘導体、抗ベンスルフロンメチル抗体、それを分泌するハイブリドーマ、及びベンスルフロンメチルの分析方法
JP3152387B2 (ja) キナゾリン化合物、c9塩基に特異的なモノクローナル抗体、及びフグ毒の免疫学的測定方法
JPH06273417A (ja) メバロン酸に対する抗体、および該抗体を用いるメバロン酸の定量法
US5824786A (en) Synthesis of galactosylhydroxylysine
JP3161513B2 (ja) ピラゾスルフロン誘導体、抗ピラゾスルフロンエチル抗体、それを分泌するハイブリドーマ、及びピラゾスルフロンエチルの分析方法
JPH10262662A (ja) ホキシムのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3388141B2 (ja) オキサミルのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2001255324A (ja) フサライドの抗体及び測定方法
US5258545A (en) Amino acid derivative, method for preparing the same and method for preparing human osteocalcin using the same
JPH08136540A (ja) 免疫学的分析方法
CA2558596A1 (en) Anti fk778 antibodies and high sensitive immunoassay methods
JP2002145825A (ja) ビスフェノールa化合物、免疫学的反応体、ハイブリドーマ及びビスフェノールaの測定方法
JP2003166991A (ja) トリフルラリン化合物、免疫学的反応体、ハイブリドーマ及びトリフルラリンの測定方法
JPH08231591A (ja) ハプテン、抗原、カーバメート剤に特異的な抗体及びカーバメート剤の検出方法
JP2000270862A (ja) プレチラクロールのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2002145870A (ja) シメトリン化合物、免疫学的反応体、ハイブリドーマ及びシメトリンの測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20050615

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050615

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050818

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060310

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20071102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080624

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081028