JPH11343114A - ゼオライトの製造法 - Google Patents

ゼオライトの製造法

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JPH11343114A
JPH11343114A JP14903998A JP14903998A JPH11343114A JP H11343114 A JPH11343114 A JP H11343114A JP 14903998 A JP14903998 A JP 14903998A JP 14903998 A JP14903998 A JP 14903998A JP H11343114 A JPH11343114 A JP H11343114A
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zeolite
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water
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JP14903998A
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Katsu Fujii
井 克 藤
Toru Setoyama
亨 瀬戸山
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料である母ゲルの調製時及び水熱合成時の
撹拌動力が少なくて済み、長期間有機化合物を基質とす
る反応の触媒として使用しても活性劣化が起こりにく
く、かつ熱処理再生によって活性が回復する割合の高い
ゼオライト触媒の製造法、並びに該ゼオライトを触媒と
して用いたオレフィンの水和反応によるアルコールの製
造法を提供すること。 【解決手段】 シリカゾル、ヘテロ原子源、アルカリ金
属及び/又はアルカリ土類金属源、及び水から調製され
る水性混合物を少なくとも常温において少なくとも20
分間予備撹拌し、その後テンプレートを添加してなる混
合物を水熱合成条件に付すことを特徴とする、MFI型
ゼオライトの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】[発明の背景]本発明は、各
種酸触媒反応の触媒となるMFI型ゼオライトの製造法
の改良並びに該ゼオライト触媒存在下オレフィンを接触
水和してアルコールを製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】結晶性メタロシリケートであるMFI型
ゼオライトは、一般にシリカ源、ヘテロ原子源、アルカ
リ金属及び/又はアルカリ土類金属源、水、及びテンプ
レート(すなわち有機結晶化剤)から調製される水性混
合物(以下、「母ゲル」という)を水熱合成条件に付す
ことによって得られる(特公昭46−10064号公報
など)。そして、その後、活性化の工程を経て、固体触
媒としての使用に供される。例えば、このMFI型ゼオ
ライトは固体酸として、接触分解反応、キシレンの異性
化反応、エチレン、プロピレン、ブテンの水和反応(特
開昭57−70828号公報)といった酸触媒反応に用
いられる。特に、オレフィンの水和触媒としてのゼオラ
イトは、鉱酸、強酸性陽イオン交換樹脂等従来の触媒に
比べて、目的生成物選択性、触媒分離性、触媒の機械的
強度に優れているため種々検討されている(特開昭58
−194828号、特開昭60−104028号、特開
平1−1106390号各公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シリカ源とし
て一般的によく用いられている水ガラスを用いると母ゲ
ルの粘度が著しく増大するため、母ゲル調製時及び水熱
合成時のいずれの場合も強力な撹拌が必要であるので、
水ガラスの使用は工業的なスケールでの触媒製造に不利
である。一方、シリカ源をシリカゾルに変更するという
ことで母ゲルの粘度を減少させるという改良法も公知で
はあるが、こうして合成されたMFI型ゼオライトは水
ガラスを原料としたものに比べて、有機化合物を基質と
する反応、例えばオレフィンの水和反応、の触媒として
使用したときの活性劣化が速いという問題を伴う。ま
た、そうした活性劣化したゼオライトを高温のガスと接
触させる触媒活性再生方法(以下、「熱処理再生」とい
う、特公平3−2015号及び特開平9−85098号
公報など)も公知であるが、この方法を前記のMFI型
ゼオライトに適用したとしても、触媒活性の復活する割
合が比較的小さくなってしまうという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】[発明の概要] <要旨>本発明は、上記シリカゾルを使用する母ゲルの
調製に際して、テンプレート添加前にシリカゾル等の原
料を用いた水性混合物を有意の予備撹拌に付し、その後
テンプレートを添加してできた母ゲルを水熱合成条件に
付すことにより、水性混合物調製時及び水熱合成時の撹
拌負荷が小さく、有機化合物を基質とした酸触媒反応、
特にオレフィンの水和反応に長時間使用しても活性低下
の小さく、かつ活性劣化した触媒を熱処理再生したとき
に活性の復活率が大きい、MFI型ゼオライト触媒が得
られるという発見に基づくものである。すなわち、本発
明によるMFI型ゼオライトの製造法は、シリカゾル、
ヘテロ原子源、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金
属源、及び水から調製される水性混合物を少なくとも常
温において少なくとも20分間予備撹拌し、その後テン
プレートを添加してなる混合物を水熱合成条件に付すこ
と、を特徴とするものである。本発明は、また、このよ
うにして製造したMFI型ゼオライトの用途に関する。
すなわち、本発明によるオレフィンの接触水和反応によ
るアルコールの製造法は、使用する触媒が上記のMFI
型ゼオライトであること、を特徴とするものである。
【0005】<効果>テンプレートを使用するシリカゾ
ル由来の母ゲルの水熱反応によるMFI型ゼオライトの
製造において、母ゲルを特定の態様で調製することによ
って、すなわちテンプレート添加前の母ゲル前駆体を有
意の予備撹拌に付し、次いでこの母ゲル前駆体にテンプ
レートを添加して得られた母ゲルを水熱合成条件に付す
ことによって、従来のように予備撹拌を行わずにゼオラ
イトを調製した場合に比べて、長期間有機化合物を基質
とする反応の触媒として使用しても活性劣化が起こりに
くく、かつ、活性劣化後熱処理再生を施したときにその
活性復活率が良好な酸触媒になり得るゼオライトの製造
を、少ない撹拌動力で行うことが可能となる。シリカゾ
ル由来のMFI型ゼオライトの製造の特定の過程におい
てのこの改変によって前記の問題及び欠点が解決された
ということは、思いがけなかったことといえよう。
【0006】
【発明の実施の形態】[発明の具体的説明] [I]MFI型ゼオライトの製造 <MFI型ゼオライト>ゼオライトは典型的にはアルミ
ノシリケートをその化学的本体とするものであるとこ
ろ、MFI型ゼオライトはアルミノシリケート中に特定
の金属を組み込んでなる結晶性メタロシリケート(例え
ば、ガロシリケート)であって、基本的には、シリカ源
(本発明ではシリカゾル)、ヘテロ原子源、アルカリ金
属及び/又はアルカリ土類金属源、及び水から調製され
る水性混合物、すなわち母ゲル、を通常は加圧下に、加
熱することからなる水熱反応(化学大辞典第5巻第74
頁)に付すことによって製造される。ここでいう「ヘテ
ロ原子」は、ゼオライトの技術分野において慣用されて
いるところに使うものであって、一般に、ケイ素及び酸
素以外のゼオライト骨格形成原子を意味する。
【0007】<MFI型ゼオライトの製造>MFI型ゼ
オライトの製造を、その構成元素の給源から説明すれ
ば、下記の通りである。なお、給源化合物は、最終的に
は母ゲル中に実質的に均一に存在することが好ましく、
従って水溶性であるものが好ましい。しかし、これらの
化合物はいずれ水熱反応を経由するのであるから、この
水熱反応の際に生成ゼオライト中に取り込まれるもので
ありさえすればよい(特に、ヘテロ原子源化合物につい
てそうである)。
【0008】《ケイ素源/シリカゾル》本発明で使用す
るシリカ源は、シリカゾルである。このシリカゾルは、
本発明の趣旨に沿う限り、公知のあるいは将来提案され
ることあるべき任意の方法によって調製されたものであ
り得る。シリカゾルはその調製態様によって、pH値、
平均粒子径、その他の特性において各種のものがある
が、本発明ではpH値、平均粒子径等に特に制約はな
い。
【0009】《ヘテロ原子源》そのような観点でのヘテ
ロ原子としては、アルミニウム、ガリウム、インジウ
ム、ホウ素、鉄、チタン、亜鉛、マンガン、クロム、コ
バルト、バナジウム、ジルコニウムなどを用いることで
きる。また、これらの元素を同時に二種類以上用いても
よい。MFI型ゼオライトは固体酸であって、酸触媒と
して使用することができ、事実、本発明はこの特定のM
FI型ゼオライトを触媒とするオレフィンの水和反応に
も関するところ、このゼオライトはこれを酸触媒として
用いるときは、固体酸として典型的なプロトン交換型の
外に、プロトンの一部、あるいは全部を金属で置換した
ものであってもよい(すなわち、本発明はこのようなプ
ロトン型以外のものをも包含する)。その場合の金属と
しては、対象触媒反応の種類その他に応じて、Na、
K、Rb等のアルカリ金属元素、Mg、Ca、Sr等の
アルカリ土類金属元素、セリウムなどの希土類金属元
素、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、パラジウ
ム、白金、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロ
ム、モリブデン、タングステン、トリウム等の金属元素
を例示することができる。ヘテロ原子源としては、所要
金属の化合物、特に無機化合物、が挙げられる。有機性
化合物(必ずしも、炭素−金属結合を有する真の、ある
いは狭義の、有機金属化合物を意味せず、有機酸塩、ア
ルコキシド、その他の有機性化合物を包含する)であっ
てもよいが、そのような有機性化合物は水熱合成反応の
際に分解して、本質的には無機化合物であるゼオライト
の構成骨格に組み入れられると解される。具体的には、
例えば、(イ)アルミニウム化合物、例えば、硝酸アル
ミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸
化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアル
コキシド、酢酸アルミニウム及びアルミン酸ナトリウ
ム、(ロ)ガリウム化合物、例えば、硝酸ガリウム、硫
酸ガリウム、水酸化ガリウム、酸化ガリウム、塩化ガリ
ウム、ガリウムアルコキシド、酢酸ガリウム及びガリウ
ム酸ナトリウム、並びに(ハ)バナジウム、マンガン、
鉄、亜鉛、チタン、ジルコニウム、クロム、ホウ素、イ
ンジウム、コバルトなどの同様な化合物、が挙げられ
る。これらは、各郡内及び/又は各群間で、複数種を用
いてもよい。
【0010】《アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金
属源》アルカリ金属源及びアルカリ土類金属源として
は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭
酸水素塩、炭酸塩などが挙げられる。これらは、水溶液
状態では塩基性を示すものである。これらの化合物も、
各群内及び/又は各群間で複数種を併用することができ
る。なお、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、一般
にゼオライト骨格構成元素ではなくて、ゼオライト骨格
をなすアルミノシリケートのプロトンの置換基であると
解される。従って、本発明では「ヘテロ原子」をゼオラ
イト骨格形成元素と捉えるので、アルカリ金属及びアル
カリ土類金属はヘテロ原子の範疇に属さないことにな
る。また、これらの金属は、本発明によるMFI型ゼオ
ライトをプロトン型の二次加工によるのではなく、直接
に非プロトン型のものとして得る場合の該カチオンを構
成する元素であるが、これらの金属の給源化合物は一般
にアルカリ性であるので、そのようなアルカリの使用は
給源化合物が水溶性ではないときにそれを加水分解して
水溶性の化合物に変換する作用を有するものと推定され
る(なお、このような推定によって本発明は何らの影響
をも受けるものではない)。
【0011】《テンプレート化合物》母ゲルを水熱反応
に付すことによってゼオライトを製造する場合のテンプ
レートは、ゼオライト構造への結晶化を促進する作用を
する化合物である。このような機能を持つ化合物は、ゼ
オライト製造に関してよく知られており、本発明でも合
目的的な任意のものを使用することができる。テンプレ
ートとして有用な化合物は、典型的なものは有機化合物
であって、具体的には炭素原子及び水素原子以外の元素
(有機化合物の分野でいう「ヘテロ原子」)を含有する
化合物が典型的である。そのような化合物としては、ア
ミン、アルコール、エーテル、アミド、アルキル尿素、
アルキルチオ尿素、シアノアルカン、その他があり、こ
れらの化合物を特徴づける官能基を併有するもの、例え
ば、アルコールアミン、エーテルアルコール等、も適当
なものとして本発明では対象とするものとする。これら
の化合物を各群内及び/又は各群間で併用することもで
きる。
【0012】これらの化合物で好ましいのは、アミン、
就中脂肪族アミン、である。具体的には、例えば、第4
級アルキルアンモニウム塩、第1級アルキルアミン、第
2級アルキルアミン、第3級アルキルアミン、及びジア
ミン(アミノ基の各々は第1〜4級のいずれであっても
よい)である。この場合の「アルキル」は、炭素数1〜
12、好ましくは2〜4、の飽和又は不飽和脂肪族炭化
水素基(すなわち、ここでは不飽和炭化水素基をも「ア
ルキル基」の範疇に入るものとしている)であることが
普通である。なお、この「アルキル」は、上記のアミン
以外の化合物のアルキル部分を構成するものとしても好
適なものである。これらのアミンのうち、特に好ましい
のは第4級アルキルアンモニウム塩であり、最も好まし
いのはテトラプロピルアンモニウム塩である。4級窒素
原子は水酸基型であっても(従って、本発明ではこのよ
うな第4級アンモニウム塩基をも第4級アンモニウム塩
として取り扱う)、ハロゲンその他で造塩したものであ
ってもよい。好ましい第4級アンモニウム塩の具体例を
挙げれば、例えば、テトラメチル−、テトラエチル−、
テトラプロピル−及びテトラブチル−アンモニウム水酸
化物、又は塩化物、臭化物若しくはヨウ化物、がある。
上記のようなテンプレート化合物もまた各群内及び/又
は各群間で併用することができる。
【0013】これらシリカゾル、ヘテロ原子源、アルカ
リ金属及び/又はアルカリ土類金属源、及び水、を混合
して、水性混合物を調製する。その組成は、原子比でシ
リカゾル/ヘテロ原子源は通常5〜1000、好ましく
は10〜200、であり、(アルカリ金属源+アルカリ
土類金属源)/シリカゾルは(g−原子/g−原子)で
表して通常0.001〜10、好ましくは0.01〜
5、である。また、シリカゾルに対する水の比率(g−
モル/g−原子)は通常10〜100、好ましくは15
〜80、である。シリカゾル、ヘテロ原子源、アルカリ
金属及び/又はアルカリ土類金属源、及び水を混合する
順番には特に制約はない。テンプレート化合物の使用量
は、シリカゾルに対するテンプレート化合物の比率(g
−モル/g−原子)として、通常0.01〜20、好ま
しくは0.05〜5、である。なお、各給源化合物は溶
媒可溶ないし分散性であれば溶液ないし分散液の形で使
用することができ、その場合の溶媒ないし分散媒として
は水が便利であるが、水を溶媒ないし分散媒として使用
するときは、その使用量は前記の範囲内に収まるように
することが望ましい。
【0014】《母ゲル前駆体の調製》母ゲル前駆体、す
なわちテンプレート化合物を除いた上記給源化合物から
のゲル、の調製は、関与化合物を一時にあるいは多段階
で混合し、この混合物を予備撹拌することによって行
う。ここでいう「予備撹拌」はテンプレート化合物以外
の関与化合物を少なくとも常温において少なくとも20
分間撹拌することを意味する。予備撹拌温度は、下限は
常温以上であるが、上限は水熱反応条件の温度であるこ
とが普通である。好ましい温度は、50℃〜水熱反応温
度(具体的には、80〜260℃)である。予備撹拌時
間は、20分間〜4時間、好ましくは30分間〜3時
間、である。
【0015】《母ゲルの調製》このようにして調製した
予備撹拌済み母ゲル前駆体にテンプレート化合物を添加
して、母ゲルを調製する。テンプレート化合物添加後、
母ゲルの温度を水熱合成条件にまで昇温する。テンプレ
ート化合物を加え終えた時点で母ゲルの温度が水熱条件
の温度に達しているのならばこの限りではない。また、
テンプレート投入後に、母ゲルの温度を(例えば高圧水
蒸気の導入などによって)間髪入れず水熱合成温度まで
昇温してもよい。なお、母ゲルの温度を水熱合成条件に
まで昇温する過程は、水熱合成反応の一部と考えること
もできる。
【0016】《水熱反応》ゼオライトの製造手段として
の水熱反応は、公知である。本発明に特に適した条件
は、反応温度が80〜260℃、好ましくは100〜2
20℃であり、反応時間は20〜300時間、好ましく
は30〜200時間、及び反応圧力がゲージ圧で0〜3
MPa、好ましくは0.1〜2MPa、である。水熱反
応中も撹拌を行うことが好ましい。水熱合成反応は自発
圧力下で行うことが普通であるが、希望するのであれば
窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いて上記の範囲の圧
力に加圧してもよい。
【0017】《後処理》水熱合成により生成したゼオラ
イトは水洗して夾雑物を取り除き、乾燥後、酸素を含む
気体流通下で焼成してテンプレート化合物を焼失させる
ことが普通である。このときの焼成温度はテンプレート
化合物が分解する温度であればよく、例えばテトラプロ
ピルアンモニウム塩をテンプレートとして用いた場合に
は400℃〜600℃で焼成すればよい。ゼオライトを
酸触媒として用いるならば、その後、前述の所望のイオ
ン型へのイオン交換を行うとよい。
【0018】[II]オレフィンの接触水和 本発明により上記の通りに製造したMFI型ゼオライト
は、固体酸として各種の反応に酸触媒として利用するこ
とができるが、そのような酸触媒としての利用の具体例
の一つがオレフィンの接触水和反応である。
【0019】<原料オレフィン>原料となるオレフィン
としては、炭素数2〜30の置換又は非置換のオレフィ
ンが使用される。具体的には、エチレン、プロピレン、
ブテン、ヘキセン、オクテン等の炭素数2〜12の直鎖
又は分枝構造を有するオレフィン、又は、シクロペンテ
ン、メチルシクロペンテン、シクロヘプテン、シクロヘ
キセン、シクロオクテン等の炭素数5〜12の環状オレ
フィンを例示することができる。これらのオレフィンの
うちでも、特に本発明は環状オレフィンの接触水和の場
合に有効である。従って、シクロヘキサノールの合成が
本発明の典型的な具体例である。
【0020】<接触水和反応条件>接触水和反応は、触
媒が水相、油相、又は両者の混合相からなる液相に存在
している範囲の条件で実施すればよい。オレフィンに対
する水のモル比は特に制限はないが、通常0.1〜10
0、好ましくは1〜30、である。また、反応温度及び
反応圧力も特に限定されないが、反応温度は、通常50
〜250℃、好ましくは70℃〜200℃、より好まし
くは80〜160℃、であり、反応圧力は、オレフィン
及び水を液相に保ちうる圧力が好ましくて、通常0.1
〜2MPaである。接触反応系は、反応原料であるオレ
フィンと水の他に、窒素、水素、ヘリウム、アルゴン、
二酸化炭素等の不活性ガス、鎖状又は脂環式の脂肪族飽
和炭化水素、芳香族炭化水素、あるいは含酸素有機化合
物、含硫黄有機化合物、含ハロゲン有機化合物等が存在
してもよい。これらは、単独で反応系に存在する他、2
種類以上の混合物として反応系に存在してもよい。上記
の通りの反応条件において、反応時間あるいは滞留時間
は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時
間、である。
【0021】本発明では、水和反応は定法にしたがって
行われる。従って、反応の形式は、回分式、連続式のい
ずれでもよく、反応器の形式も撹拌懸濁床式、固定床
式、流動床式など任意の形式のものを用いることができ
る。通常は撹拌懸濁床を用いて連続的に反応を行うのが
工業的には有利である。例えば、以下のようなプロセス
が工業的に用いられる。すなわち、ゼオライト触媒の撹
拌懸濁床にオレフィンと補給用の水を連続的に供給して
オレフィンの水和反応を行わせる。撹拌懸濁床からはオ
レフィン、水及び触媒からなる混合相を連続的に取り出
して油水分離槽に導入し、静置して油相とゼオライトを
含む水相とに成層分離させる。水相は撹拌懸濁床に戻
し、油相は目的とするアルコール及び未反応のオレフィ
ンからなるので蒸留等分離工程に送ってアルコールを回
収する。
【0022】
【実施例】下記の実施例及び比較例は、本発明を更に詳
しく説明するためのものである。本発明は、その要旨を
越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
これら諸例は、ここではMFI型のガロシリケートの合
成例と、酸触媒反応としてシクロヘキセンの水和反応を
用いた場合の活性劣化傾向及び熱処理再生での復活率に
ついて述べるものである。
【0023】<ゼオライトの製造> [実施例1](ゼオライト−1) 塩化ガリウム2.82gを50mLの純水に加えて、1
0分間撹拌した。攪拌を続けながらこの溶液に96mL
の1M水酸化ナトリウム水溶液を10分間かけて滴下
し、さらにシリカゾル(日産化学 Snowtex−
N、約20重量%)120gを5分間かけて滴下した。
その後さらに43gの純水を加えた。得られた水性混合
物をオートクレーブに移し、窒素置換したのち撹拌しな
がら90℃まで昇温し、90℃の状態を保ちつつ1時間
撹拌した。その後、50℃まで加温したテトラプロピル
アンモニウム臭化物の12重量%水溶液85gを加え
て、さらに2時間かけて170℃まで昇温を行い、20
0rpmの回転速度で30時間にわたって水熱合成を行
った。冷却後、内容物をろ過水洗して、120℃で12
時間乾燥後、550℃で6時間空気流通下焼成して、有
機物を除去した。その後、この生成物を20倍量の1N
硝酸アンモニウム水溶液に加えて80℃/2時間のイオ
ン交換を二回行い、水洗、ろ過、乾燥後、空気雰囲気下
に500℃で2時間焼成して、H型ガリウム含有ゼオラ
イトを得た。このゼオライトを粉末X回折法により分析
すると、MFI型であった。
【0024】[比較例1](ゼオライト−2) 塩化ガリウム2.82gを50mLの純水に加え、10
分間撹拌した。攪拌を続けながら、この溶液に96mL
の1M水酸化ナトリウム水溶液を10分間かけて滴下
し、さらにテトラプロピルアンモニウム臭化物の12重
量%水溶液85gを加えた。その後、激しく攪拌しなが
らシリカゾル(日産化学 Snowtex−N、約20
重量%)120gを5分間かけて滴下した。得られた母
ゲルをオートクレーブに移し、170℃まで昇温を行
い、200rpmの回転速度で30時間にわたって水熱
合成を行った。冷却後、内容物をろ過水洗し、120℃
で12時間乾燥後、550℃で6時間空気流通下焼成し
て、有機物を除去した。その後、この生成物を20倍量
の1N硝酸アンモニウム水溶液に加えて80℃/2時間
のイオン交換を二回行い、水洗、ろ過、乾燥後、空気雰
囲気下に500℃で2時間焼成して、H型ガリウム含有
ゼオライトを得た。このゼオライトを粉末X回折法によ
り分析すると、MFI型であった。ゼオライト−2は、
テンプレートを加える前に、テンプレートを含まない母
ゲル前駆体の予備撹拌を行っていない点で、ゼオライト
−1(本発明)と異なっている。
【0025】<シクロヘキセンの水和反応によるゼオラ
イトの酸触媒能の評価>200mlの撹拌翼を備えたオ
ートクレーブにシクロヘキセン15g、水30g及びゼ
オライト3gを入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間
反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を遠心分
離し、油相中のシクロヘキサノール量をガスクロマトグ
ラフィーにより分析した。
【0026】<ゼオライト触媒の強制劣化>500mL
の撹拌翼を備えたオートクレーブにシクロヘキセン75
g、水150g及びゼオライト15gを入れ、窒素雰囲
気下、130℃で200時間反応させた。反応終了後、
水相を分離し、ポアサイズ0.5μmのポリテトラフル
オロエチレン製メンブランフィルターを備えた容積1L
の加圧ろ過器で触媒を分離した。純水150mLを用い
た洗浄を三回繰り返し、減圧下40℃で乾燥した後粉砕
して、劣化触媒とした。
【0027】<劣化ゼオライト触媒の熱処理再生>劣化
触媒の再生方法は(平9−85098号公報)と同様の
方法を用いた。すなわち、劣化触媒を窒素気流下、40
0℃で5分間熱処理し、触媒温度を下げることなく空気
気流に変更し、さらに昇温して500℃で1時間処理し
た。冷却後、ゼオライトを取り出し再生触媒とした。
【0028】ゼオライト−1及びゼオライト−2をそれ
ぞれ用いて、合成直後の初期活性、劣化触媒の活性及び
再生触媒の活性を比較した(表1)。
【0029】 表1. 実施例1 比較例1 触媒 ゼオライト−1 ゼオライト−2 初期活性 8.75% 9.06% 劣化触媒活性 7.98%(×0.91) 7.61%(×0.84)再生触媒活性 8.70%(×0.99) 8.26%(×0.91) ※ 数値は油相中シクロヘキサノールの重量%濃度 括弧内は同じ触媒の初期活性を1としたときの相対活性
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、活性劣化が小さく、か
つ、活性劣化後熱処理再生を施したときにその活性復活
率が良好な酸触媒になり得るゼオライトの製造が、少な
い撹拌動力で製造可能であること、ならびに該ゼオライ
トを用いることにより、効率よくアルコールを製造する
ことが可能であることは、[発明の概要]の項において
前記したところである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリカゾル、ヘテロ原子源、アルカリ金属
    及び/又はアルカリ土類金属源、及び水から調製される
    水性混合物を少なくとも常温において少なくとも20分
    間予備撹拌し、その後テンプレートを添加してなる混合
    物を水熱合成条件に付すことを特徴とする、MFI型ゼ
    オライトの製造法。
  2. 【請求項2】予備撹拌を、50℃から水熱合成条件の温
    度まで行うことを特徴とする、請求項1記載のMFI型
    ゼオライトの製造法。
  3. 【請求項3】使用する触媒が請求項1又は2記載のMF
    I型ゼオライトであることを特徴とする、オレフィンの
    接触水和反応によるアルコールの製造法。
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