JPH11343112A - 微細な低シリカフォージャサイト型ゼオライトおよびその製造方法 - Google Patents

微細な低シリカフォージャサイト型ゼオライトおよびその製造方法

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JPH11343112A
JPH11343112A JP10164374A JP16437498A JPH11343112A JP H11343112 A JPH11343112 A JP H11343112A JP 10164374 A JP10164374 A JP 10164374A JP 16437498 A JP16437498 A JP 16437498A JP H11343112 A JPH11343112 A JP H11343112A
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lsx
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肇 船越
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  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高純度で微細な低シリカフォージャサイト型ゼ
オライト(LSX)を大規模で短時間に製造する方法を
提供する。 【解決手段】X線回折法においてフォージャサイト単相
であり、SiO2/Al23モル比が1.9〜2.1で
あり、Na型のときの水分吸着量が35.0%以上であ
り、一次粒子径が0.05μm以上1.0μm未満であ
るLSX、及び、アルミネートを含む溶液とシリケート
を含む溶液を混合し、ゲル化後、熟成、結晶化を行って
SiO2/Al23モル比が1.9〜2.1のLSXの
製造法において、ゲル化後及び/又は熟成の初期に、あ
らかじめ10℃以上60℃以下の温度で10分以上3時
間以下の時間範囲内で熟成を行った10〜20Na2
・Al23・5〜20SiO2・100〜250H2Oの
組成を有する溶液を、生成するLSXに対しAl23
準で0.03%以上10%以下加えることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れたガス吸着性
能、特に窒素吸着性能に優れ、酸素と窒素の混合ガスか
ら吸着法によって酸素を分離濃縮するゼオライト吸着分
離剤として有用な、SiO2/Al23モル比が1.9
〜2.1の高純度で微細な低シリカフォージャサイト型
ゼオライト及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】SiO2/Al23モル比が1.9〜
2.1の低シリカフォージャサイト型ゼオライト(以
下、「LSX」という)の製造方法については種々の方
法が開示されている。例えば、特開昭53−8400号
公報にはナトリウム、カリウム、アルミネート、及びシ
リケートを含む混合物を50℃以下の温度で結晶化する
か、あるいは50℃以下の温度で15時間から72時間
と極めて長い時間熟成し、ついで60〜100℃の温度
範囲で結晶化する方法が開示されているが、高純度で微
細なLSXを得る方法についての記述はない。
【0003】ZEOLITES,7巻,Septemb
er,451〜457頁(1987年)には、原料のS
iO2/Al23モル比、K/(Na+K)のモル比、
アルカリ濃度、熟成条件、結晶化条件が低シリカフォー
ジャサイト型ゼオライトの生成に与える影響について詳
細に開示されており、熟成・結晶化はシールされたプラ
スチック容器で行われている。このなかで、K/(Na
+K)のモル比が生成するLSXの粒子径に及ぼす効果
が開示されており、K/(Na+K)のモル比が小さく
なるほど生成するLSXの粒径が小さくなり、モル比が
0.20では2μm以下のLSXが生成することが示さ
れている。モル比をさらに低下させることにより微細な
LSXを合成することが可能となると考えられるが、モ
ル比をさらに低下させた場合A型ゼオライトが副生する
ため、高純度で微細なLSXを得ることは困難である。
【0004】また、特公平5−25527号公報には、
ナトリウム、カリウム、アルミネートを含む混合物とシ
リケートを含む混合物を4〜12℃という低温で混合、
ゲル化し、次いでこのゲルを36℃で48時間熟成した
後、70℃に昇温し結晶化する方法が開示されており、
最終混合における冷却及び過大な機械的エネルギー発生
の回避が重要であると明示されているが、高純度で微細
なLSXを得る方法についての記述はない。
【0005】以上のように従来の技術では、高純度で微
細な低シリカフォージャサイト型ゼオライトを得ること
は極めで困難である。
【0006】また、低シリカフォージャサイト型ゼオラ
イトの製造は、ナトリウム、カリウム、アルミネートを
及びシリケートを含む溶液を低温で混合し、ゲル化させ
た後は、静置状態で長時間熟成し、さらに静置状態で結
晶化温度まで昇温・結晶化することが必須の条件である
と考えられてきた。しかし、原料を低温まで冷却するこ
とは工業的に不利であり、さらに、ゲルは伝熱特性が極
めて悪いために、大規模での合成においては静置状態で
温度の均一化に非常に長時間を必要とするという困難さ
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
記載の背景において、従来知られていなかった高純度で
微細なLSXを提供することにあり、さらに高純度で微
細なLSXを短時間に合成する方法、特に高純度で微細
なLSXを大規模で短時間に製造する方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高純度で
微細なLSXを大規模に、連続的かつ安定的に合成する
方法について鋭意検討した結果、以下の点を見い出し本
発明を完成するに至った。すなわち、アルミネートを含
む溶液とシリケートを含む溶液を混合し、ゲル化し、そ
の後、熟成、結晶化を行うことによりSiO2/Al2
3モル比が1.9〜2.1のLSXを製造する方法にお
いて、ゲル化後または熟成の初期に、あらかじめ10℃
以上60℃以下の温度で10分以上3時間以下の時間範
囲内で熟成を行った10〜20Na2O・Al23・5
〜20SiO2・100〜250H20の組成を有する溶
液を、生成する低シリカフォージャサイト型ゼオライト
に対しAl23基準で0.03%以上10%以下反応容
器に加えることで、高純度で微細なLSXを合成するこ
とができ、さらに驚くべことにこの方法を用いた場合、
極めて短時間の熟成時間で高純度なLSXを合成するこ
とができることを見いだし、本発明を完成させた。
【0009】なお、本発明における低シリカフォージャ
サイト型ゼオライトのSiO2/Al23モル比は理論
的には2.0であるが、化学組成分析の測定上の誤差等
を考慮した場合、1.9〜2.1の組成の低シリカフォ
ージャサイト型ゼオライトが本発明の範囲に入ることは
明らかである。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】本発明における第1の発明は、X線回折法
においてフォージャサイト単相であり、SiO2/Al2
3モル比が1.9〜2.1であり、Na型としたとき
の水分吸着量が35.0%以上であり、かつ、一次粒子
径が0.05μm以上1.0μm未満であることを特徴
とする高純度で微細な低シリカフォージャサイト型ゼオ
ライトである。
【0012】ゼオライトの純度を求めるためにX線回折
法を用いることは一般的に行われている。LSXの合成
時に副生する不純物としてはA型ゼオライトやソーダラ
イト、Breck「Zeolite Molecula
r Sieves」Krieger1974の144ペ
ージに示されているF型ゼオライト、356ページに示
されているE型ゼオライト等がある。本発明における高
純度なLSXの特徴の一つは、X線回折法においてフォ
ージャサイト単相であり、上記した不純物を含まないこ
とにある。
【0013】しかし、不純物の結晶性が悪い場合や、微
量の不純物が複数存在する場合は、若干の純度の低下が
あってもX線回折法では不純物のピークが現れないた
め、X線回折においてフォージャサイト単相であること
は、純度が高いことを特徴づけるための、必要条件の1
つにすぎない。
【0014】一方、純粋なゼオライトの水分吸着量はゼ
オライトの種類とそのカチオンの種類により一定の値を
示す。例えば、ナトリウム型のA型ゼオライトではゼオ
ライト100gに対し28gの水を吸着し、ナトリウム
型のF型ゼオライトではゼオライト100gに対し27
gの水を吸着する。一方、ナトリウム型のLSXは、ゼ
オライト100gに対し36gの水を吸着し、不純物と
して生じやすいゼオライトよりも水分吸着量が多い。従
って、合成したLSXは水分吸着量をもとに純度を推定
することが可能である。本発明における高純度なLSX
は、X線回折においてフォージャサイト単相であるだけ
でなく、Na型としたときの水分吸着量が35.0%以
上、より好ましくは35.5%以上の値を示すことが特
徴である。
【0015】ゼオライトをSEMにより観察した場合、
ゼオライト粒子の最小単位である一次粒子単独、あるい
は複数の一次粒子が凝集した二次粒子で存在する。一般
にゼオライトの一次粒子はその種類によって形状が決ま
っている。例えばA型ゼオライトであれば立方体であ
り、また、フォージャサイト型ゼオライトでは8面体あ
るいは球状でかどが発達した多面体の形状をしている。
【0016】通常これらの粒子の粒子径はある値を中心
に分布をもっている。分布を持った粒子から平均粒子径
を求める方法としては、たとえば、三輪茂雄著「粉体工
学通論」1981年日刊工業新聞社発行1〜30ページ
に詳細に述べられている。本発明における一次粒子径と
は、SEMで観察されるフォージャサイト型ゼオライト
の一次粒子を球に近似しその直径の個数平均粒子径い
う。
【0017】本発明におけるLSXは、高純度であるだ
けでなく、その微細な一次粒子径に特徴がある。本発明
におけるLSXは一次粒子径が0.05μm以上1μm
以下であり従来知られていなかった微細な一次粒子径で
ある。従来より知られていた、LSXの一次粒子径は3
〜5μmであり、また、小さいものでも1μm以上の粒
径であった。本発明における高純度で微細なLSXは、
例えば種々の物質の吸着剤として用いた場合、内部への
拡散が容易となるために各種動的特性の改善が期待でき
る。
【0018】本発明においては、アルミネートを含む溶
液とシリケートを含む溶液を混合し、ゲル化し、その
後、熟成、結晶化を行うことによりSiO2/Al23
モル比が1.9〜2.1の低シリカフォージャサイト型
ゼオライトを製造する方法において、あらかじめ10℃
以上60℃以下の温度で10分以上3時間以下の時間範
囲内で熟成を行った10〜20Na2O・Al23・5
〜20SiO2・100〜250H2Oの組成を有する溶
液を、生成する低シリカフォージャサイト型ゼオライト
に対しAl23基準で0.05%以上10%以下加える
ことを特徴とする高純度で微細な低シリカフォージャサ
イト型ゼオライトの製造方法をも包含する。
【0019】本発明における、アルミネートを含む溶液
とシリケートを含む溶液を混合、ゲル化、熟成し、結晶
化を行いLSXを製造する方法としては、ナトリウム、
カリウム、アルミネート及びシリケートの各イオンを含
有する溶液を、ゲル化開始後の粘度を10〜10000
cpになるように保ち熟成し、その後結晶化を行う方
法、あるいは、アルミネートを含む溶液とシリケートを
含む溶液を20〜60℃の温度で混合、ゲル化して、ゲ
ル化開始後粘度が10〜10000cpのスラリーを調
製した後、熟成し、その後結晶化を行う方法を用いるこ
とが望ましい。なぜならば、この方法以外ではLSXを
工業的に有利で規模の拡大が容易な条件で合成すること
が困難であるためである。
【0020】本発明者らは、上記した方法において、あ
らかじめ10℃以上60℃以下の温度で10分以上3時
間以下の時間で熟成を行った10〜20Na2O・Al2
3・5〜20SiO2・100〜250H2Oの組成を
有する溶液を、ゲル化後または熟成の初期に加えること
により、驚くべきことに従来知られていなかった、高純
度で微細なLSXを合成することが可能となること、さ
らに極めて短時間の熟成時間でLSXが生成することを
見いだし、本発明を完成させた。
【0021】なお、本発明において、10〜20Na2
O・Al23・5〜20SiO2・100〜250H2
の組成を有する溶液を単に「加える溶液」と略して使用
する。
【0022】この「加える溶液」の組成は、10〜20
Na2O・Al23・5〜20SiO2・100〜250
2Oの範囲にあることが必須である。なぜならば、加
える溶液の組成がこの範囲を外れた場合、高純度で微細
なLSXを合成するためには長時間の熟成時間が必要と
なるために好ましくなく、また、不純物が生じやすくな
る可能性もあるからである。
【0023】「加える溶液」は、あらかじめ10℃以上
60℃以下の温度で10分以上3時間以下の時間で熟成
を行っておく必要がある。熟成を行った加える溶液中に
はProc.7th Int Conf. Zeoli
tes,ページ185〜192 1986年に記載され
ているようにSiO2/Al23モル比が2.4前後の
微細なX型ゼオライトの微小結晶が生成していると考え
られる。本発明において原因は不明であるが、「加える
溶液」に含まれるこの様な微細なX型ゼオライトの微小
結晶が何らかの作用を行い、高純度で微細なLSXを短
時間の熟成時間で合成することを可能としたものと推定
される。
【0024】また、「加える溶液」の添加時期として
は、ゲル化終了後、すなわちアルミネートを含む溶液と
シリケートを含む溶液の混合が終了した時点で加えるこ
とが最も好ましいが、若干の添加の遅れは問題ではな
く、ゲル化終了後及び/又は生成したゲルを熟成する際
の熟成工程の初期に加える。この時期に溶液を加えるこ
とにより、短時間の熟成時間で高純度で微細なLSXを
合成することができる。
【0025】さらに本発明者らは「加える溶液」の量に
関し詳細に検討を行った結果、驚くべきことに非常に小
量より効果を示すことを見いだした。「加える溶液」の
量が生成するLSXに対しAl23基準で0.03%以
上あれば、短時間の熟成時間で高純度で微細なLSXを
合成することができる。加える溶液の量が多いと、同じ
熟成条件では粒子径が小さくなり、また、同じ粒子径を
得るための熟成時間を短縮することができる。しかし、
「加える溶液」の量が生成するLSXに対しAl23
準で10.0%を越えた場合、工業的にLSXを生産す
る場合、大がかりな投入設備が必要となるだけでなく、
得られるフォージャサイト型ゼオライトの組成がSiO
2/Al23モル比で1.9〜2.1の範囲から外れ、
LSXとならなくなる可能性があり好ましくない。
【0026】「加える溶液」を加えた後、引き続き熟成
を行う。熟成は静置状態あるいは撹拌状態のどちらで行
ってもよいが、高純度で微細なLSXを短時間の熟成時
間で得るためには撹拌状態で行うことが必要である。静
置状態で熟成を行った場合、高純度で微細なLSXを得
るためには、長時間の熟成時間が必要となるためであ
る。従来の知見では熟成及び結晶化は静置あるいは静置
に近い状態で行うことが必要と考えられてきた。ところ
が、本発明においてはこの知見とはとはまったく逆の傾
向、すなわち熟成時の撹拌が強力であるほど高純度で微
細なLSXが生成しやすくなり、従来技術では不可能と
されていた短時間の熟成時間でLSXを得ることが可能
となる。本発明において熟成時の撹拌は一般に知られて
いるプロペラやタービン、パドルといった撹拌羽根を用
いて行うことができる。撹拌は強力であればあるほどよ
く、最低でも反応槽中にスラリーの停滞部分があると好
ましくない。具体的な撹拌の強さとしては、化学工学で
定義されている「スラリー単位体積当たりの撹拌所要動
力:単位kW/m3」を用いて表現することができ、最
低でも0.1kW/m3以上の撹拌の強さが必要であ
り、好ましくは0.2kW/m3以上、より好ましくは
0.4kW/m3以上、さらに好ましくは化学工学にお
いて強い撹拌と呼ばれている0.8kW/m3以上の撹
拌を行うことが望ましい。また、撹拌は強ければ強いほ
うがよいが、強い撹拌を行うためには強力なモーターが
必要となるため、例えば、工業的に可能な3.0kW/
3程度をスラリー単位体積当たりの撹拌所要動力の上
限として例示することができる。
【0027】本発明における熟成時間としては、「加え
る溶液」の量や熟成時の温度、撹拌強度等により変化す
るため一義的に決めることはできないが、本発明の主
旨、すなわち、高純度で微細なLSXを短時間に合成す
る方法を提供することより考えた場合、長時間の熟成時
間は意味がなく、少なくとも24時間以下であることが
好ましく、より好ましくは15時間以下、さらに好まし
くは12時間以下の熟成時間とすることがよい。
【0028】また、驚くべきことに本発明を用いた場
合、従来のLSXの合成において高純度なLSXを得る
ことは不可能とされてきた短時間の熟成時間、すなわち
0.5h以上10h以下であっても、加える溶液の量や
熟成温度、撹拌強度しだいでは、高純度で微細なLSX
を合成することが可能となる。
【0029】次に、所定の時間熟成したスラリーを結晶
化の温度まで昇温する。本発明の方法により熟成したス
ラリーからはLSXが生成しやすく、昇温は一般に知ら
れている方法であればどの様な方法でも用いることがで
きる。ラボであれば撹拌を続けながら反応容器を入れた
ウォーターバスごと昇温してもよいし、また、反応容器
を所定の温度に保った乾燥器等に入れることにより昇温
してもよい。また、プラントであれば、化学工学で知ら
れている通常の操作、例えば、伝熱を良くするために撹
拌を継続しながら反応容器に付属しているジャケット等
の熱交換器にスチームあるいは熱媒体を通し昇温する方
法を例示することができる。また、昇温に必要な時間も
特に限定されず、0.5〜5時間を例示することができ
る。
【0030】本発明の方法により熟成したスラリーから
は微細で高純度なLSXが生成しやすく、結晶化は従来
より知られていた静置下での結晶化は必要条件ではな
く、撹拌下で結晶化を行ってもよいし、静置下で行って
もよい。結晶化温度は、従来より知られているLSXの
結晶化温度を用いることができ、例えば60〜100℃
の温度を例示することができる。また、結晶化の時間と
しては、熟成の条件や組成、結晶化温度により一定しな
いが、2〜12時間程度で十分であり、これ以上の時間
をかけてもよい。
【0031】以上のようにして、製造したSiO2/A
23モル比が1.9〜2.1の高純度で微細な低シリ
カフォージャサイト型ゼオライトを、濾過、洗浄し、乾
燥する。濾過、洗浄、乾燥の方法としては公知の方法を
用いることができる。
【0032】本発明の方法により得られるLSXは、粘
土バインダー等を用いて例えば球状や柱状のペレットに
成形したのち、LiイオンやCaイオン等で交換し、例
えば400℃で1時間程度活性化すれば、高い吸着性能
を有した吸着分離剤となり、その優れたガス吸着性能、
特に窒素吸着性能に優れていることから、酸素と窒素の
混合ガスから吸着法によって酸素を分離濃縮するゼオラ
イト吸着分離剤として好適に用いられる。
【0033】
【実施例】以下、実施例において本発明をさらに詳細に
説明する。しかし、本発明はこれら実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0034】尚、実施例における各測定方法は以下の通
りである。
【0035】(1)化学組成の測定方法 試料を硝酸とフッ酸を用い溶解した後、ICP発光分析
装置(パーキンエルマー社製、型式:optima 3
000)を用い、Na、K、Al、Siを測定し、これ
らをそれぞれ、Na2O、K2O、Al23、SiO2
換算して求めた。
【0036】(2)結晶構造の測定方法 X線回折装置(マックサイエンス社製、型式:MXP−
3)を用い測定した。 (3)粒子の観察方法 走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型式:JSM
−T220A、以下SEMと略記する)を用い測定し
た。
【0037】(4)水分平衡吸着量の測定方法 100℃で乾燥した粉末を相対湿度80%のデシケータ
ー中で16時間以上放置し、900℃1時間強熱し測定
した。すなわち、水分吸着後の重量をX1、これを90
0℃1時間強熱した後の重量をX2とし、水分平衡吸着
量(%)は以下の式から求めた。
【0038】水分平衡吸着量(%)={(X1−X2)/
2}×100として求めた。
【0039】(5)Na型LSXへのイオン交換方法 ZEOLITES,7巻,September,456
頁(1987年)に記載されている方法で行った。水酸
化ナトリウムを加えpH=12に調製した1mol/L
の塩化ナトリウム水溶液を、LSX1mol当たり塩化
ナトリウムが1molとなるように加え、バッチ式で室
温でイオン交換した。この操作を5回行った。
【0040】実施例1 「加える溶液」の調製 内容積0.5リットルのポリエチレン製反応容器にアル
ミン酸ナトリウム水溶液(Na2O=20.0重量%、
Al23=22.5重量%)36g、水酸化ナトリウム
(純度99%)66g、純水120gを加え撹拌溶解し
ウォーターバスを用いて40℃に保った。この溶液に3
号ケイ酸ナトリウム水溶液(Na2O=9.3重量%、
SiO2=28.9重量%)166gを加え40℃で6
0分熟成を行った。このときの「加える溶液」の組成は
15.0Na2O・Al23・10.0SiO2・180
2Oである。
【0041】LSXの合成 内容積3リットルのステンレス製反応容器にケイ酸ナト
リウム水溶液(Na2O=3.8重量%、SiO2=1
2.6重量%)896g、水777g、水酸化ナトリウ
ム(純度99%)231g、工業用水酸化カリウム水溶
液(純度48%)455gを入れ250rpmで撹拌し
ながらウォーターバスを用い40℃に保った。この溶液
に40℃に保ったアルミン酸ナトリウム水溶液(Na2
O=20.0重量%、Al23=22.5重量%)46
2gを1分かけて投入した。
【0042】投入直後より白濁しゲル化が始まった。投
入終了直前、ゲル全体の粘度は上昇し、反応容器上部で
ゲルの部分的な停滞が生じかけたものの約1分後には全
体が均一に流動化した。スラリー全体が均一に流動化し
た時点で、上記した「加える溶液」を25g添加した。
このときの「加える溶液」の量は、生成するLSXに対
し、Al23基準で0.5重量%である。このまま25
0rpmで撹拌を継続し40℃で4時間熟成を行った。
攪拌モーターにかかるトルクをもとに熟成中のスラリー
の単位体積当りの攪拌所要動力を計算したところ、0.
4kW/m3であった。
【0043】熟成後、撹拌を継続しながら1時間かけて
70℃に昇温した。昇温後撹拌を停止し、70℃で4時
間結晶化を行った。得られた結晶を濾過し、純水で十分
に洗浄した後、70℃で1晩乾燥した。
【0044】得られた結晶粉末の構造は、X線回折の結
果フォージャサイト型ゼオライト単相であり、また組成
分析の結果、このものの化学組成は0.71Na2O・
0.29K2O・Al23・2.0SiO2であり、水分
平衡吸着量は34.2%であった。得られた粉末をSE
Mで観察した結果、一次粒子径は0.2μmの微細なL
SXであった。そのSEM写真(倍率=5,000倍)
を図1に示した。 また、Na型にイオン交換し水分吸
着量を求めたところ37.0%であった。 実施例2 LSXの合成 内容積3リットルのステンレス製反応容器にケイ酸ナト
リウム水溶液(Na2O=3.8重量%、SiO2=1
2.6重量%)917g、水749g、水酸化ナトリウ
ム(純度99%)231g、工業用水酸化カリウム水溶
液(純度48%)446gを入れ250rpmで撹拌し
ながらウォーターバスを用い40℃に保った。この溶液
に40℃に保ったアルミン酸ナトリウム水溶液(Na2
O=20.0重量%、Al23=22.5重量%)45
8gを1分かけて投入した。
【0045】投入直後より白濁しゲル化が始まった。投
入終了直前、ゲル全体の粘度は上昇し、反応容器上部で
ゲルの部分的な停滞が生じかけたものの約1分後には全
体が均一に流動化した。スラリー全体が均一に流動化し
た時点で、実施例1と同じ方法で調製した「加える溶
液」を5g添加した。このときの「加える溶液」の量
は、生成するLSXに対し、Al23基準で0.1重量
%である。このまま250rpmで撹拌を継続し40℃
で4時間熟成を行った。攪拌モーターにかかるトルクを
もとに熟成中のスラリーの単位体積当りの攪拌所要動力
を計算したところ、0.4kW/m3であった。
【0046】熟成後、撹拌を継続しながら1時間かけて
70℃に昇温した。昇温後撹拌を停止し、70℃で4時
間結晶化を行った。得られた結晶を濾過し、純水で十分
に洗浄した後、70℃で1晩乾燥した。
【0047】得られた結晶粉末の構造は、X線回折の結
果フォージャサイト型ゼオライト単相であり、また組成
分析の結果、このものの化学組成は0.71Na2O・
0.29K2O・Al23・2.0SiO2であり、水分
平衡吸着量は33.8%であった。得られた粉末をSE
Mで観察した結果、一次粒子径は0.4μmの微細なL
SXであった。そのSEM写真を図2(倍率=5,00
0倍)に示した。また、Na型にイオン交換し水分吸着
量を求めたところ36.7%であった。
【0048】比較例1 「加える溶液」を加えなかった以外は、実施例2と同様
の操作を行った。
【0049】得られた結晶粉末の構造は、X線回折の結
果フォージャサイト型ゼオライトが主成分であり、痕跡
量のA型ゼオライト、F型ゼオライト、E型ゼオライ
ト、同定不明相が観察された。また組成分析の結果、こ
のものの化学組成は0.73Na2O・0.27K2O・
Al23・2.0SiO2であり、水分平衡吸着量は3
2.6%であった。得られた粉末をSEMで観察した結
果、一次粒子径が約10μmのLSX以外に不純物相が
目立った。
【0050】また、Na型にイオン交換し水分吸着量を
求めたところ34.9%であった。
【0051】比較例2 熟成時間を24時間とした以外、比較例1と同様の操作
を行った。
【0052】得られた結晶粉末の構造は、X線回折の結
果フォージャサイト型ゼオライト単相であり、このもの
の化学組成は0.73Na2O・0.27K2O・Al2
3・2.0SiO2であり、水分平衡吸着量は33.3
%であった。得られた粉末をSEMで観察した結果、不
純物相がわずかに見られ、一次粒子径も約5μmと大き
いLSXであった。そのSEM写真を図3(倍率=5,
000倍)に示した。
【0053】また、Na型にイオン交換し水分吸着量を
求めたところ35.8%であった。比較例1、2で示さ
れるように、本発明以外の方法でも高純度のLSXを得
ることは可能であるが、長時間の熟成を必要とするた
め、生産性に乏しいものであり、また得られるLSXも
本発明のものとは異なるものである。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、高純度で微細なLSX
を提供することができ、さらに反応工程中長時間を要し
ていた熟成工程の時間を短縮できるために高純度で微細
なLSXを大規模で短時間に製造することができ、工業
的に有用な製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた粉末の結晶の構造をSEM
を用い、5000倍の倍率で観察した写真である。
【図2】実施例2で得られた粉末の結晶の構造をSEM
を用い、5000倍の倍率で観察した写真である。
【図3】比較例2で得られた粉末の結晶の構造をSEM
を用い、5000倍の倍率で観察した写真である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線回折法においてフォージャサイト単相
    であり、SiO2/Al23モル比が1.9〜2.1で
    あり、Na型としたときの水分吸着量が35.0%以上
    であり、かつ、一次粒子径が0.05μm以上1.0μ
    m未満であることを特徴とする高純度で微細な低シリカ
    フォージャサイト型ゼオライト。
  2. 【請求項2】アルミネートを含む溶液とシリケートを含
    む溶液を混合し、ゲル化し、その後、熟成、結晶化を行
    うことによりSiO2/Al23モル比が1.9〜2.
    1の低シリカフォージャサイト型ゼオライトを製造する
    方法において、ゲル化後及び/又は熟成の初期に、あら
    かじめ10℃以上60℃以下の温度で10分以上3時間
    以下の時間範囲内で熟成を行った10〜20Na2O・
    Al23・5〜20SiO2・100〜250H2Oの組
    成を有する溶液を、生成する低シリカフォージャサイト
    型ゼオライトに対しAl23基準で0.03%以上10
    %以下加えることを特徴とする請求項1記載の高純度で
    微細な低シリカフォージャサイト型ゼオライトを製造す
    る方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の高純度で微細な低シリカ
    フォージャサイト型ゼオライトの製造方法において、熟
    成の間、攪拌を実施することを特徴とする高純度で微細
    な低シリカフォージャサイト型ゼオライトの製造方法。
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