JP2003034753A - X型ゼオライト−親水性高分子複合体およびその製造方法 - Google Patents

X型ゼオライト−親水性高分子複合体およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性高分子の実体内にX型ゼオライトを性
能的に充分な量で含有するゼオライト−親水性高分子複
合体およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 親水性高分子と該親水性高分子の実体内
に含有されるゼオライトよりなり、該ゼオライトの含有
率が10重量%以上であり、かつ該ゼオライト中のX型
ゼオライトの比率が50重量%以上であることを特徴と
する、ゼオライト−親水性高分子複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた吸着能力を
有するX型ゼオライト−親水性高分子複合体およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】X型ゼオライトは、Na、Al、Si、
O、Hを主要な構成成分とするA型ゼオライトと同属の
含水アルミノケイ酸塩である。代表的な単位構成組成は
Na86(Al86Si106384)・264H2Oである。
A型ゼオライトと異なる点は、A型ゼオライトのSi/
Alが1であるのに対して、X型ゼオライトは、Si/
Alが1より大きく1.5未満である点である。その結
果、X型ゼオライトの細孔口径は約7.4Åであり、A
型ゼオライトの約4.2Åよりも大きく、A型ゼオライ
トでは吸着処理することができなかった物質を吸着する
ことができる。また、A型ゼオライトよりもSiの割合
が高いため耐酸性に優れている。
【0003】これまで、本発明者らは親水性高分子の実
体内でゼオライトを合成する方法を種々検討し、例え
ば、親水性高分子の実体内にA型ゼオライトまたはY型
ゼオライトを含有するゼオライト−親水性高分子複合体
を製造してきた(特開平10−120923号公報)。
しかしながら、X型ゼオライトを親水性高分子の実体内
に性能的に充分な量となるように選択的に合成すること
は困難であった。
【0004】上記の理由としては、親水性高分子の実体
内でX型ゼオライトを合成するのに必要なアルカリの濃
度が高すぎる場合には、合成の途中でA型ゼオライトに
変化してしまうためであり、一方、アルカリ濃度を低く
した場合や原料濃度を高めた場合には、X型ゼオライト
を性能的に充分な量で含有した複合体は得られず、工業
的な価値が低い複合体しか得られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、親水
性高分子の実体内にX型ゼオライトを性能的に充分な量
で含有するゼオライト−親水性高分子複合体およびその
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明者らは鋭意検討した結果、ケイ素化合物とア
ルミニウム化合物と塩基性物質とを用いてゼオライトを
親水性高分子の実体内で合成する方法において、A型ゼ
オライトが合成され得るケイ素化合物とアルミニウム化
合物と塩基性物質とのモル比および塩基性物質濃度で反
応させることにより、親水性基材の実体内に微小なアル
ミノシリカゲルを生成させ、次いでケイ素化合物とアル
ミニウム化合物と塩基性物質とのモル比および塩基性物
質濃度をX型ゼオライトが合成され得る条件で反応させ
ることで、親水性高分子の実体内に性能的に充分な量で
X型ゼオライトを合成することができることを見出し、
本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は下記
の通りである。 〔1〕 親水性高分子と該親水性高分子の実体内に含有
されるゼオライトよりなり、該ゼオライトの含有率が1
0重量%以上であり、かつ該ゼオライト中のX型ゼオラ
イトの比率が50重量%以上であることを特徴とする、
ゼオライト−親水性高分子複合体。 〔2〕 親水性高分子が、セルロースである、〔1〕記
載の複合体。 〔3〕 セルロースが、天然セルロースである、〔2〕
記載の複合体。 〔4〕 カルシウム、カリウム、銀、銅、亜鉛、鉄、ニ
ッケル、コバルト、パラジウム、白金、タングステン、
イットリウムおよびランタンから選択される少なくとも
一種の金属がゼオライトに担持された、〔1〕〜〔3〕
のいずれかに記載の複合体。 〔5〕 以下の工程(1)および(2)を含むことを特
徴とする、〔1〕記載のゼオライト−親水性高分子複合
体の製造方法: (1)膨潤している親水性高分子基材の存在下で、ケイ
素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質とを、以下
の(a)および(b)の条件下、該親水性高分子基材の
実体内で反応させることにより、該親水性高分子の実体
内にアルミノシリカゲルを生成させる工程: (a)ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質
とのモル比が1:1〜10:4〜50である; (b)塩基性物質の濃度が1,000〜10,000m
mol/lである; (2)工程(1)で親水性高分子の実体内に生成したア
ルミノシリカゲルを、以下の(c)および(d)の条件
下、ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質と
を該親水性高分子基材の実体内で反応させることにより
X型ゼオライトに変化させる工程: (c)ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質
とのモル比が1:0.1〜1:1以上4未満; (d)塩基性物質の濃度が500mmol/l以上1,
000mmol/l未満。 〔6〕 工程(2)が、水とケイ素化合物とを工程
(1)の反応混合物に添加することにより、該(c)お
よび(d)の条件とすることを含む、〔5〕記載の方
法。 〔7〕 工程(1)の反応混合物中に生成されるアルミ
ノシリカゲルの平均粒子径が0.001〜0.1μmで
あるときに、該反応混合物に水とケイ素化合物とを添加
することを含む、〔6〕記載の方法。 〔8〕 親水性高分子基材がセルロースである、〔5〕
〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のゼオライト−親水性高分
子複合体は、親水性高分子と該親水性高分子の実体内に
含有されるゼオライトよりなり、該ゼオライトの含有率
が10重量%以上であり、かつ該ゼオライト中のX型ゼ
オライトの比率が50重量%以上であるものであって、
X型ゼオライトの吸着能力を充分に発揮することができ
るものである。
【0008】上記複合体における親水性高分子として
は、水に対して膨潤するものであれば特に制限はない。
例えば、天然セルロース(パルプ、ケナフ、木綿、麻
等)、再生セルロース(セロハン、セルロースビーズ、
レーヨン、セルローススポンジ等)、バクテリアセルロ
ースおよびセルロースを化学修飾したエチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチ
ルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース等のセ
ルロース誘導体、さらには絹、羊毛、ポリビニルアルコ
ール、架橋型ポリビニルアルコール、キチン、キトサ
ン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルホルマ
ール等の天然、或いは人工の親水性高分子、ポリアクリ
ルアミド等の高吸水性高分子ゲル、コラーゲン、プロポ
リス、漆、木粉等が挙げられる。なかでも、実際の使用
形態、価格および取り扱い易さの点から天然セルロース
(特にパルプ)や再生セルロースが好ましく使用され
る。
【0009】上記複合体におけるX型ゼオライトとして
は、Si/Alが1より大きく1.5未満であるもので
あれば特に限定されず、例えば、Na2(Al2Si2.5
9)・6.2H2O、Na86(Al86Si106384)・
264H2O、Na86.5(Al 86.5Si105.5384)・
258H2O、Na88(Al88Si104384)・220
2O等が挙げられる。なかでも、比較的合成が容易で
あるという点からNa86(Al86Si106384)・26
4H2Oが好ましい。
【0010】また、上記複合体に含有されるX型ゼオラ
イト以外のゼオライトとしては、特に限定されず、例え
ば、A型ゼオライト(Si/Al比:1)、Y型ゼオラ
イト(Si/Al比:1.5〜3.0)、ZSM−5型
ゼオライト(Si/Al比:10以上)、ZSM−11
型ゼオライト(Si/Al比:10以上)、シリカライ
ト(Si/Al比:無限大)、合成モルデナイト(Si
/Al比:4.5〜12)等が挙げられる。また、これ
らは2種以上含まれていてもよい。
【0011】上記複合体におけるゼオライトの含有率
は、10重量%以上である。当該ゼオライトの含有率が
10重量%未満である場合、充分な吸着能力を有する複
合体とはならない。また、当該ゼオライトの含有率は、
充分な初期吸着量速度、吸着容量、抗菌性、イオン交換
性を発揮するために、好ましくは20〜59重量%、よ
り好ましくは30〜59重量%である。なお、当該ゼオ
ライト含有率は、複合体の乾燥重量および複合体を灰化
して得られる灰分量から求められる乾燥重量あたりの灰
分量である。
【0012】また、上記複合体に含有されるゼオライト
中のX型ゼオライトの比率は、50重量%以上である。
当該X型ゼオライトの比率が50重量%未満であるとX
型ゼオライトの吸着能力を充分に発揮する複合体とはな
らない。また、当該X型ゼオライトの比率は高い程好ま
しく、吸着速度に顕著な差が現れるという点から、好ま
しくは60〜100重量%、より好ましくは80〜10
0重量%である。なお、当該ゼオライト中のX型ゼオラ
イトの比率は、複合体を灰化して得られた灰分について
X線回折を行うことにより得られる。
【0013】上記複合体にはゼオライト以外の無機多孔
物が含有されてもよい。好ましくは、吸着特性を有する
無機多孔物が挙げられる。このような無機多孔物として
は、例えば、ハイドロタルサイト、ハイドロキシアパタ
イト、粘土鉱物類、シリカゲル、アルミナゲル、アルミ
ノシリカゲル等が挙げられる。また、これらは2種以上
含まれていてもよい。
【0014】上記複合体において、ゼオライトは親水性
高分子の実体内に含有される。ここで親水性高分子の実
体内とは、例えば、親水性高分子がパルプ等の天然セル
ロースの場合、天然セルロースを構成成分とする基材の
内部、より詳細には、細胞壁を構成するミクロフィブリ
ル(φ約0.1μm)とミクロフィブリルとの隙間(1
00〜5000Å)を膨潤させることによって生じる部
位(サイト)あるいはミクロフィブリル中のミセルで、
セルロース分子鎖が結晶化していない領域を膨潤させる
ことによって生じる部位(サイト)を意味し、例えば、
セルロースの細胞壁表面、細胞壁内に元々存在する細孔
および細胞内腔(ルーメン)は含まれない。また、親水
性高分子の実体内にゼオライトを含有するとは、ゼオラ
イトの一部または全部がセルロース基材の実体内に存在
することを意味する。
【0015】本発明の複合体の形状は、特に限定され
ず、例えば、シート状物、粒状物、繊維状物、糸状物、
棒状物、管状物、板状物、段ボールハニカム状物、不定
形状物等が挙げられる。また、これらは多孔質であって
もよい。複合体とした後に所定の形態になるように加工
することもできるが、柔軟性を有し、取り扱いが容易な
親水性高分子を予め所定の形態に製造又は加工した後、
ゼオライトをその実体内で反応させることにより複合体
化することが容易であり好ましい。
【0016】上記複合体は、(1)膨潤している親水性
高分子基材の存在下で、ケイ素化合物とアルミニウム化
合物と塩基性物質とを、以下の(a)および(b)の条
件下、該親水性高分子基材の実体内で反応させることに
より、該親水性高分子の実体内にアルミノシリカゲルを
生成させる工程: (a)ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質
とのモル比が1:1〜10:4〜50である; (b)塩基性物質の濃度が1,000〜10,000m
mol/lである;と、(2)工程(1)で親水性高分
子の実体内に生成したアルミノシリカゲルを、以下の
(c)および(d)の条件下、ケイ素化合物とアルミニ
ウム化合物と塩基性物質とを該親水性高分子基材の実体
内で反応させることによりX型ゼオライトに変化させる
工程: (c)ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質
とのモル比が1:0.1〜1:1以上4未満; (d)塩基性物質の濃度が500mmol/l以上10
00mmol/l未満;とを含む方法により製造するこ
とができる。
【0017】ここで、ケイ素化合物とアルミニウム化合
物と塩基性物質とのモル比とは、ケイ素化合物中に含ま
れるケイ素と、アルミニウム化合物に含まれるアルミニ
ウムと、塩基性物質に含まれる水酸化物イオン(それ自
身が水酸化物イオンを含有せず、水溶液とした場合に水
酸化物イオンを生成させるものでは、生成される水酸化
物イオン)のモル比をいう。また、以下の各成分の水溶
液中のモル濃度も同様にケイ素、アルミニウム、水酸化
物イオンについての値である。
【0018】以下、各工程(工程(1)および工程
(2))に分けて本発明の複合体の製造方法を説明す
る。
【0019】〔工程(1)〕当該工程は、膨潤している
親水性高分子基材の存在下で、ケイ素化合物とアルミニ
ウム化合物と塩基性物質とを、A型ゼオライトが生成し
得る条件(すなわち、上記(a)および(b)の条件)
下、該親水性高分子基材の実体内で反応させることによ
り、後記工程(2)でX型ゼオライトの核となる微小な
アルミノシリカゲルを生成させる工程である。当該工程
は、特開平10−120923号公報に記載される親水
性高分子の実体内にゼオライトを合成する方法に準じて
行うことができる。
【0020】上記ケイ素化合物としては、水に溶解する
ものであれば特に制限はないが、例えば、メタケイ酸ナ
トリウム、メタケイ酸カリウム、オルトケイ酸ナトリウ
ム、オルトケイ酸カリウム、水ガラス、シリカゾル、液
体ケイ酸ソーダ等が挙げられるが、水に対する溶解度が
高く、結晶性の高いゼオライトが得られる点からメタケ
イ酸ナトリウムが好ましい。当該ケイ素化合物の水溶液
の濃度は特に制限はないが、好ましくは50〜1,00
0mmol/l、さらに好ましくは100〜700mm
ol/lである。
【0021】上記アルミニウム化合物としては、例え
ば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、硫酸
アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、
液体アルミン酸ソーダ、液体アルミン酸カリ等が挙げら
れるが、水に対する溶解度が高く、結晶性の高いゼオラ
イトが得られる点から液体アルミン酸ソーダが好まし
い。当該アルミニウム化合物の水溶液の濃度は特に制限
はないが、好ましくは50〜10,000mmol/
l、さらに好ましくは100〜5,000mmol/l
である。
【0022】上記塩基性物質としては、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、液体苛性ソーダ、液体苛
性カリ等が挙げられるが、水に対する溶解度が高く、結
晶性の高いゼオライトが得られる点から水酸化ナトリウ
ムが好ましい。当該塩基性物質の濃度は、ゼオライトを
結晶化させるために、かなり高いアルカリ濃度が必要で
あることから、1,000〜10,000mmol/l
であり、好ましくは2,000〜5,000mmol/
lである。
【0023】上記工程(1)において、反応混合物中の
ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質とのモ
ル比は、1:1〜10:4〜50、好ましくは1:2〜
7:5〜40である。ケイ素化合物とアルミニウム化合
物と塩基性物質とのモル比を当該範囲とし、かつ塩基性
物質の濃度を上記範囲とすることによって、親水性高分
子の実体内に後記工程(2)でX型ゼオライトの核とな
る微小なアルミノシリカゲルを生成させることができ
る。
【0024】以下、親水性高分子がセルロースである場
合の一例に挙げて、工程(1)を詳細に説明する。
【0025】まず、セルロース基材にケイ素化合物およ
び塩基性物質の混合水溶液を含浸させる。その含浸方法
は特に制限はなく、例えば、セルロース基材を混合水溶
液に浸漬する、混合水溶液を複合体にスプレーする、ま
たは混合水溶液を各種コーターで塗布する等の方法を用
いることができる。
【0026】上記混合水溶液を含浸させたセルロース基
材は、含浸された溶液の量を調節することが好ましい。
その方法としてブレードで掻き取る、ロール間で絞る、
またはプレスで絞る方法等が用いられる。調節後の含浸
溶液の量に特に制限はないが、セルロース基材の乾燥重
量に対して1.0〜20倍の範囲に調節することが好ま
しい。
【0027】上記混合水溶液を含浸させたセルロース基
材は、溶液が十分浸透するように溶液の量を調節する前
または後に含浸時間をおいてもよい。含浸時間は10分
〜2時間であり、セルロース基材の種類により適宜選択
できる。
【0028】次に上記混合溶液の量を調節したセルロー
ス基材を、アルミニウム化合物の水溶液に浸漬させる。
これにより後記工程(2)でX型ゼオライトの核となる
微小なアルミノシリカゲルがセルロース基材の実体内に
生成される。ただし、反応が進行しすぎると最終生成物
中のA型ゼオライトの含有率が高くなるので、反応温度
および反応時間をコントロールすることで反応が進行し
すぎるのを避けることが重要である。
【0029】反応温度は、好ましくは20〜70℃であ
り、より好ましくは40〜60℃である。また、反応
は、A型ゼオライトへの結晶化が進行するのを避ける観
点から、比較的低い温度から穏やかに昇温させながら行
うことが好ましい。
【0030】反応時間は、後記工程(2)においてX型
ゼオライトの核となる微小のアルミノシリカゲルを親水
性高分子の実体内に充分に生成させ、かつA型ゼオライ
トへの結晶化を避けるという観点から、好ましくは10
〜180分であり、より好ましくは30〜180分であ
る。
【0031】なお、上記工程(1)において、ケイ素化
合物、アルミニウム化合物および塩基性物質の各水溶液
の含浸順序は、ケイ素化合物およびアルミニウム化合物
を混合した時点でゲルが生成するので両者を同時にセル
ロース基材に含浸させることはできないが、その他の順
序ならば特に制限はない。すなわち、アルミニウム化合
物および塩基性物質の混合水溶液を先に含浸させて、次
いでケイ素化合物の水溶液を含浸させてもよく、また、
ケイ素化合物あるいはアルミニウム化合物のどちらか一
方の化合物の水溶液を先に含浸させて、次いで他方の化
合物と塩基性物質の混合水溶液を含浸させてもよい。さ
らに、塩基性物質の水溶液をセルロース基材に含浸させ
て、次いでケイ素化合物あるいはアルミニウム化合物の
どちらか一方の化合物の水溶液を含浸させ、最後に他方
の化合物の水溶液に含浸させるような3工程を経ても良
い。
【0032】〔工程(2)〕当該工程は、上記工程
(1)によって親水性高分子の実体内に生成された微小
なアルミノシリカゲルを組成変換し、X型ゼオライトに
変化させる工程である。
【0033】上記工程(2)において、反応混合物のケ
イ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質とのモル
比は1:0.1〜1:1以上4未満、好ましくは1:
0.1〜0.7:1〜3であり、かつ塩基性物質の濃度
は500mmol/l以上1,000mmol/l未
満、好ましくは500〜700mmol/lである。ケ
イ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質とのモル
比および塩基性物質の濃度が上記範囲でない場合、性能
的に充分な量のX型ゼオライトを含有する複合体を得る
ことはできない。
【0034】上記工程(2)は、工程(1)の反応混合
物より反応生成物を分離し、ケイ素化合物とアルミニウ
ム化合物と塩基性物質とのモル比および塩基性物質の濃
度が上記範囲となるようにして行うこともできるが、簡
便であることから、工程(1)の反応混合物中のケイ素
化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質とのモル比お
よび塩基性物質の濃度を変更して行うことが好ましい。
【0035】工程(1)の反応混合物のケイ素化合物と
アルミニウム化合物と塩基性物質とのモル比および塩基
性物質の濃度を上記範囲に変更する方法は、特に限定さ
れず、例えば、反応液中に水とケイ素化合物を添加する
方法、反応混合物に結果として当該モル比となるように
水とケイ素化合物とアルミニウム化合物を添加する方
法、反応混合物に水を添加しかつアルミニウム化合物を
除去する方法等が挙げられるが、簡便であることから、
反応混合物に水とケイ素化合物を添加する方法が好まし
い。
【0036】水とケイ素化合物の添加方法は特に限定さ
れず、水を加えてからケイ素化合物を加えてもよく、ケ
イ素化合物を加えてから水を加えてもよい。またケイ素
化合物と水を同時に加えてもよい。添加方法としては一
気に全量加えても、適宜加えてもよいが、温度を一旦下
げ、A型ゼオライトへの結晶化反応を遅らせる効果が大
きく、アルミノシリカゲルの組成を一気に変化させると
いう観点から、ケイ素化合物を水に溶かしておき、一気
に全量加える方法が好ましい。
【0037】また、水とケイ素化合物の添加は、工程
(1)の反応混合物中に生成されるアルミノシリカゲル
の平均粒子径が好ましくは0.001〜0.1μm、よ
り好ましくは0.005〜0.05μmであるときに行
う。アルミノシリカゲルの平均粒子径が0.001μm
未満であると攪拌等により親水性高分子の実体内からゲ
ル粒子が再び液中に放出されてしまい、性能的に充分な
量を親水性高分子の実体内に含有させることが困難とな
り、一方、0.1μmを超える大きさまで成長するとA
型ゼオライトに結晶化してしまうことが多くなる。
【0038】なお、ここでいう平均粒子径とは、メジア
ン径のことであり、粒度分布測定装置((株)堀場製作
所製LA−920等)で測定されるものである。
【0039】さらに、水とケイ素化合物の添加は、反応
混合物の温度が好ましくは20〜70℃の範囲、より好
ましくは50〜60℃の範囲にあり、かつ上記工程
(1)を10〜180分間、より好ましくは30〜18
0分間行った後に行うことが好ましい。これは、反応混
合物の温度が70℃を超える温度で添加した場合には、
アルミノシリカゲルがA型ゼオライトへ結晶化するのを
防ぐことが困難となるからであり、一方、20℃未満の
温度で添加した場合には、ゼオライト生成に時間がかか
り過ぎ、生産効率上好ましくないためである。また、上
記工程(1)の反応開始から10分未満に工程(2)に
移った場合、親水性高分子の実体内で、充分な量の微小
なアルミノシリカゲルが定着できず、最終生成物におけ
るゼオライト含有率自体が低くなってしまうからであ
り、一方、180分を超えて行った場合、A型ゼオライ
トへの結晶化反応が進行し、最終生成物におけるゼオラ
イト中のX型ゼオライトの比率が低くなるからである。
【0040】上記のようにして得られる本発明のゼオラ
イト−親水性高分子複合体には、親水性高分子基材の実
体内に性能的に充分な量でX型ゼオライトが含有されて
いるが、X型ゼオライトはA型ゼオライトに比べて細孔
口径が大きく、また、耐酸性に優れたものである。した
がって、本発明の複合体は、A型ゼオライトでは満足で
きる吸着能力が得られなかった比較的大きい分子(例え
ば、硫化水素ガス、亜硫酸ガス、亜硝酸ガス、次亜硝酸
ガス、ジメチルアミン、トリメチルアミン、メチルメル
カプタン、VOC(揮発性有機化合物;例えば、キシレ
ン、トルエン、ピリジン、アセトアルデヒド等)、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール、酢酸、酪酸、プロ
ピオン酸、イソ吉草酸、トリクロロエチレン、ジクロロ
メタン等)を効率的に吸着することができる。すなわ
ち、このようなガスの吸着剤として好適に使用すること
ができる。また、当該複合体は、A型ゼオライトを含有
した複合体では耐酸性が問題となるような用途(例え
ば、果汁の濾材、酸性廃液中の重金属イオン、放射性金
属イオン、貴金属イオンの回収濾材、強酸性ガスの吸着
濾材等)において、好適に用いることができる。
【0041】また、上記ゼオライト−親水性高分子複合
体を脱液、水洗した後、触媒機能を有する金属塩の水溶
液に浸漬することにより、金属担持ゼオライト−親水性
高分子複合体が得られる。使用される金属としては、例
えば、カルシウム、カリウム、銀、銅、亜鉛、鉄、ニッ
ケル、コバルト、パラジウム、白金、タングステン、イ
ットリウムおよびランタン等が挙げられ、好ましくは触
媒機能が高いという点から、銅、鉄、ニッケル、コバル
トが挙げられる。また、これらの金属は複数併用しても
よい。金属塩の水溶液の濃度に特に制限はないが、好ま
しくは1.0〜100mmol/lであり、浸漬する温
度や時間にも特に制限はない。この時、親水性高分子基
材は水溶液を浸透させうるので、親水性高分子基材の実
体内のゼオライト全体に無駄なく金属を担持させること
ができる。
【0042】例えば、銀、銅または亜鉛を担持させたゼ
オライト−親水性高分子複合体は抗菌性を示し、パラジ
ウムまたは白金を担持させたゼオライト−親水性高分子
複合体はエチレンを吸着することができることから、青
果物の鮮度を保持する効果があり、銀または銅を担持さ
せたゼオライト−親水性高分子複合体は、硫化水素を吸
着、分解できることから金属の防錆効果または脱臭効果
が、またアンモニアを吸着、分解できることから防臭効
果がある。また、銀を担持させたゼオライト−親水性高
分子複合体はメチルメルカプタンを吸着、分解できるこ
とから防臭効果がある。タングステン、イットリウム、
ランタンを担持させたゼオライト−親水性高分子複合体
は、固体酸触媒の機能を有するようになり、多くの悪臭
分子を分解する効果がある。この時、親水性高分子基材
は気体を充分に透過させうるので、親水性高分子基材の
実体内の金属担持ゼオライト全体を無駄なく利用して、
気体を吸着、分解することができる。
【0043】また、ゼオライト−親水性高分子複合体に
揮散性物質を加えて、各種高機能紙等とすることもでき
る。揮散性物質としては、例えば、L−メントール、ヒ
ノキチオール、フィトンチッド、ワサビオール、リモネ
ン等が挙げられる。これらは自体既知の方法、例えば、
含浸、塗布、圧入等によって担持させることができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例をあげて、本発明を説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以
下の実施例および比較例において断りがない限り「%」
は「重量%」を表す。また、実施例および比較例で用い
た測定方法を以下に示す。
【0045】〔反応混合物中のアルミノシリカゲルの平
均粒子径〕アルミノシリカゲルの平均粒子径(メジアン
径)は、反応混合物の滲出液10mlを採取し、(株)
堀場製作所製の粒度分布測定装置(LA−920)で測
定した。
【0046】〔複合体中のゼオライト含有率〕複合体を
60℃で恒量となるまで乾燥し、次いで恒量となったる
つぼ中で1gを精秤した。次いで400℃の電気炉中で
灰化させ、灰分を秤量した。複合体の乾燥重量あたりの
灰分量をゼオライト含有率とした。
【0047】〔ゼオライト中のX型ゼオライトの比率〕
ゼオライト中のX型ゼオライトの比率は、上記のように
して得た複合体の灰分を粉末X線回折装置((株)リガ
ク RINT−2000)で分析し、2θ=6.120
°のピーク強度から、予め純粋なA型ゼオライトとX型
ゼオライトとを種々の割合で混合し作成しておいた検量
線のデータに当てはめて決定した。
【0048】実施例1 NBKP(針葉樹漂白クラフトパルプ)1kgに、31
%液体アルミン酸ソーダ(住友化学工業(株))150
0gと48%液体苛性ソーダ(東亞合成(株))210
0gの混合水溶液5160mlを加え、よく攪拌した
後、61%1号L2ケイ酸ソーダ(東曹産業(株))1
080gを添加し、よく攪拌した。この原料を温水循環
装置(設定温度90℃)で加熱し、加熱開始70分後、
材料温度が56℃に達した時(この時の反応混合物中の
アルミノシリカゲルの平均粒子径は0.05μmであっ
た。)に、さらに副原料として61%1号L2ケイ酸ソ
ーダ(東曹産業(株))660gおよび水を7500m
l加え、よく攪拌した後、材料温度が84℃に到達する
まで2時間かけて加熱した。この後84℃で1時間30
分保温した後、生成物を取り出した。これを小型遠心脱
水機((株)三陽理化学機械製作所製:SYK−500
0−15A)を用いて固液分離し、ゼオライト−パルプ
複合体を得た。得られたゼオライト−パルプ複合体のゼ
オライト含有率は21.6重量%であり、このゼオライ
ト中のX型ゼオライトの比率は81.2重量%であっ
た。また、当該実施例における材料温度の変化を図1
(◆)に示す。
【0049】実施例2 NBKP(針葉樹漂白クラフトパルプ)1kgに、31
%液体アルミン酸ソーダ(住友化学工業(株))150
0gと48%液体苛性ソーダ(東亞合成(株))210
0gの混合水溶液5160mlを加え、よく攪拌した
後、61%1号L2ケイ酸ソーダ(東曹産業(株))1
080gを添加し、よく攪拌した。この原料を温水循環
装置(設定温度70℃)で加熱し、加熱開始90分後、
材料温度が57℃に達した時(この時の反応混合物中の
アルミノシリカゲルの平均粒子径は0.03μmであっ
た。)に、さらに副原料として61%1号L2ケイ酸ソ
ーダ(東曹産業(株))660gおよび水を7500m
l加え、よく攪拌した後、材料温度が84℃に到達する
まで温水循環装置の温度設定を90℃に切り換えて2時
間かけて加熱した。この後84℃で1時間30分保温し
た後、生成物を取り出した。これを小型遠心脱水機
((株)三陽理化学機械製作所製:SYK−5000−
15A)を用いて固液分離し、ゼオライト−パルプ複合
体を得た。得られたゼオライト−パルプ複合体のゼオラ
イト含有率は29.7重量%であり、このゼオライト中
のX型ゼオライトの比率は89.6重量%であった。ま
た、当該実施例における材料温度の変化を図1(□)に
示す。
【0050】実施例3 NBKP(針葉樹漂白クラフトパルプ)1kgに、31
%液体アルミン酸ソーダ(住友化学工業(株))150
0gと48%液体苛性ソーダ(東亞合成(株))210
0gの混合水溶液5160mlを加え、よく攪拌した
後、61%1号L2ケイ酸ソーダ(東曹産業(株))1
080gを添加し、よく攪拌した。この原料を温水循環
装置(設定温度60℃)で加熱し、加熱開始135分
後、材料温度が58℃に達した時(この時の反応混合物
中のアルミノシリカゲルの平均粒子径は0.02μmで
あった。)に、さらに副原料として61%1号L2ケイ
酸ソーダ(東曹産業(株))660gおよび水を750
0ml加え、よく攪拌した後、材料温度が84℃に到達
するまで温水循環装置の温度設定を90℃に切り換えて
2時間かけて加熱した。この後84℃で1時間30分保
温した後、生成物を取り出した。これを小型遠心脱水機
((株)三陽理化学機械製作所製:SYK−5000−
15A)を用いて固液分離し、ゼオライト−パルプ複合
体を得た。得られたゼオライト−パルプ複合体のゼオラ
イト含有率は41.0重量%であり、このゼオライト中
のX型ゼオライトの比率は92.0重量%であった。ま
た、当該実施例における材料温度の変化を図1(●)に
示す。
【0051】実施例4 硫酸銅・5水和物(和光純薬(株) 特級 Mw=24
9.69)を2.0g量り取り、1.0Lの水に溶かし
た。この様にして調製した銅イオン水溶液の銅イオン濃
度は508ppmであった。この水溶液に実施例3で得
られた複合体を2.0g加え、30分間攪拌した。これ
を小型遠心脱水機((株)三陽理化学機械製作所製:S
YK−5000−15A)を用いて固液分離し、銅イオ
ン担持ゼオライト−パルプ複合体を得た。濾液の銅イオ
ン濃度より、得られた複合体中には25.4mg/gの
銅イオンが担持されたことが判明した。
【0052】比較例1 NBKP(針葉樹漂白クラフトパルプ)1kgに、31
%液体アルミン酸ソーダ(住友化学工業(株))150
0gと48%液体苛性ソーダ(東亞合成(株))210
0gの混合水溶液12660mlを加え、よく攪拌した
後、61%1号L2ケイ酸ソーダ(東曹産業(株))1
740gを添加し、よく攪拌した。この原料を温水循環
装置(設定温度90℃)で加熱し、材料温度が84℃に
到達するまで2時間かけて加熱した。この後84℃で1
時間30分保温した後、生成物を取り出した。これを小
型遠心脱水機((株)三陽理化学機械製作所製:SYK
−5000−15A)を用いて固液分離し、ゼオライト
−パルプ複合体を得た。得られたゼオライト−パルプ複
合体のゼオライト含有率は8.6重量%であり、このゼ
オライト中のA型ゼオライトの比率は4.8重量%、X
型ゼオライトの比率は95.2重量%であった。また、
当該比較例における材料温度の変化を図1(○)に示
す。
【0053】比較例2 NBKP(針葉樹漂白クラフトパルプ)1kgに、31
%液体アルミン酸ソーダ(住友化学工業(株))150
0gと48%液体苛性ソーダ(東亞合成(株))210
0gの混合水溶液5160mlを加え、よく攪拌した
後、61%1号L2ケイ酸ソーダ(東曹産業(株))1
080gを添加し、よく攪拌した。この原料を温水循環
装置(設定温度90℃)で加熱し、材料温度が84℃に
到達するまで2時間かけて加熱した。この後84℃で1
時間30分保温した後、生成物を取り出した。これを小
型遠心脱水機((株)三陽理化学機械製作所製:SYK
−5000−15A)を用いて固液分離し、ゼオライト
−パルプ複合体を得た。得られたゼオライト−パルプ複
合体のゼオライト含有率は38.5重量%であり、この
ゼオライト中のA型ゼオライトの比率は99.5重量
%、X型ゼオライトの比率は0.5重量%であった。
【0054】比較例3 比較例2で得られた複合体を用いて、実施例4と同様に
して銅イオン担持ゼオライト−パルプ複合体を得た。濾
液の銅イオン濃度より、得られた複合体中には25.4
mg/gの銅イオンが担持されたことが判明した。
【0055】実験例1 実施例4および比較例3で得られた銅イオン担持ゼオラ
イト−パルプ複合体を1.0g量り取り、それぞれPE
製のバッグ(容量4L)に入れ、脱気した。次に320
ppmの硫化水素ガス1.5Lを注入し、硫化水素ガス
の系内濃度の経時変化をガステック(株)製検知管によ
り測定した。その結果を表1および図2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1および図2より、実施例4の複合体の
硫化水素ガス吸着速度は、比較例3の複合体の約2倍で
あった。また、実施例4の複合体では、5分の時点で硫
化水素ガス濃度がほとんど0ppmとなったのに対し
て、比較例3の複合体では140ppm残存していた。
【0058】実験例2 実施例4および比較例3で得られた銅イオン担持ゼオラ
イト−パルプ複合体を1.0g量り取り、それぞれPE
製のバッグ(容量4L)に入れ、脱気した。次に180
ppmの亜硫酸ガス1.5Lを注入し、亜硫酸ガスの系
内濃度の経時変化をガステック(株)製検知管により測
定した。その結果を表2および図3に示す。
【0059】
【表2】
【0060】表2および図3より、実施例4の複合体の
亜硫酸ガス吸着速度は、比較例3の複合体の約2倍であ
った。また、実施例4の複合体では、5分の時点で亜硫
酸ガス濃度が1ppmとなったのに対して、比較例3の
複合体では85ppm残存していた。
【0061】以上のことから、セルロースの実体内に含
有させるゼオライトを、A型から細孔口径の大きなX型
にすることにより、硫化水素ガス、亜硫酸ガス等の吸着
速度を著しく向上させることができることが判明した。
【0062】実験例3 実施例3および比較例2で得られた複合体を105℃で
24時間乾燥し、それぞれ1.0gを量り取った。これ
らをそれぞれpH=4.0および5.0の1.0mM酢
酸−酢酸ナトリウム緩衝液200mLに入れ、25℃で
24時間静置した。24時間後に小型遠心分離機
((株)三陽理化機械製作所製:SYK−5000−1
5A)を用いて複合体を取りだし、水2.0Lで洗浄
後、105℃で24時間乾燥し、重量を測定した。結果
を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】表3より、pH=4.0では実施例3で得
られた複合体の減少重量は、複合体中に含有されている
ゼオライト量の39%分に過ぎず、一部のゼオライトし
か溶解しなかったのに対して、比較例2で得られた複合
体の減少重量は、複合体中に含有されているゼオライト
量にほぼ一致し、ほとんど全てのゼオライトが溶解して
いた。
【0065】pH=5.0では、実施例3で得られた複
合体の減少重量は、複合体中に含有しているゼオライト
量の17%であり、ほとんどのゼオライトは残存してい
たのに対して、比較例2で得られた複合体の減少重量
は、複合体中に含有しているゼオライト量にほぼ一致
し、pH=4.0と同様にほとんど全てのゼオライトが
溶解していた。
【0066】以上の結果より、ゼオライト−親水性高分
子複合体において、セルロースの実体内に含有させるゼ
オライトをX型ゼオライトとすることにより、A型ゼオ
ライトでは耐酸性が問題となるような用途に好適に用い
ることができることが判明した。
【0067】
【発明の効果】本発明の複合体は、A型ゼオライトに比
べて細孔口径が大きく、耐酸性に優れたX型ゼオライト
を性能的に充分な量で含有するため、A型ゼオライトで
は満足できる吸着能力が得られなかった比較的大きい分
子(例えば、硫化水素ガス、亜硫酸ガス、亜硝酸ガス、
次亜硝酸ガス、ジメチルアミン、トリメチルアミン、メ
チルメルカプタン、VOC(揮発性有機化合物;例え
ば、キシレン、トルエン、ピリジン、アセトアルデヒド
等)、エタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸、
酪酸、プロピオン酸、イソ吉草酸、トリクロロエチレ
ン、ジクロロメタン等)を効率的に吸着することができ
る。すなわち、このようなガスの吸着剤として好適に使
用することができる。また、当該複合体は、A型ゼオラ
イトを含有した複合体では耐酸性が問題となるような用
途(例えば、果汁の濾材、酸性廃液中の重金属イオン、
放射性金属イオン、貴金属イオンの回収濾材、強酸性ガ
スの吸着濾材等)において、好適に用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4および比較例1における材料温度
の変化を示すグラフである。
【図2】実施例4および比較例3で得られた各複合体の
硫化水素ガス吸着能力を示すグラフである。
【図3】実施例4および比較例3で得られた各複合体の
亜硫酸ガス吸着能力を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 張 無限 大阪市福島区大開4丁目1番186号 レン ゴー株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4G066 AA13A AA20A AA30A AA61B AA62B AC02B BA09 BA20 CA43 FA05 FA14 FA37 4G073 BA05 BA11 BA16 BA17 BA30 BA36 BA40 BA44 BA45 BA46 BA48 BA49 BA52 BB71 BB75 BB78 BD16 BD20 CZ04 DZ05 FB01 FB02 FC01 GA11 UA06 4J002 AB011 AB031 AB051 BB061 BE021 BE031 BE051 BG131 DJ006 FD206 GD02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性高分子と該親水性高分子の実体内
    に含有されるゼオライトよりなり、該ゼオライトの含有
    率が10重量%以上であり、かつ該ゼオライト中のX型
    ゼオライトの比率が50重量%以上であることを特徴と
    する、ゼオライト−親水性高分子複合体。
  2. 【請求項2】 親水性高分子が、セルロースである、請
    求項1記載の複合体。
  3. 【請求項3】 セルロースが、天然セルロースである、
    請求項2記載の複合体。
  4. 【請求項4】 カルシウム、カリウム、銀、銅、亜鉛、
    鉄、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、タングス
    テン、イットリウムおよびランタンから選択される少な
    くとも一種の金属がゼオライトに担持された、請求項1
    〜3のいずれかに記載の複合体。
  5. 【請求項5】 以下の工程(1)および(2)を含むこ
    とを特徴とする、請求項1記載のゼオライト−親水性高
    分子複合体の製造方法: (1)膨潤している親水性高分子基材の存在下で、ケイ
    素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質とを、以下
    の(a)および(b)の条件下、該親水性高分子基材の
    実体内で反応させることにより、該親水性高分子の実体
    内にアルミノシリカゲルを生成させる工程: (a)ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質
    とのモル比が1:1〜10:4〜50である; (b)塩基性物質の濃度が1,000〜10,000m
    mol/lである; (2)工程(1)で親水性高分子の実体内に生成したア
    ルミノシリカゲルを、以下の(c)および(d)の条件
    下、ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質と
    を該親水性高分子基材の実体内で反応させることにより
    X型ゼオライトに変化させる工程: (c)ケイ素化合物とアルミニウム化合物と塩基性物質
    とのモル比が1:0.1〜1:1以上4未満;(d)塩
    基性物質の濃度が500mmol/l以上1,000m
    mol/l未満。
  6. 【請求項6】 工程(2)が、水とケイ素化合物とを工
    程(1)の反応混合物に添加することにより、該(c)
    および(d)の条件とすることを含む、請求項5記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 工程(1)の反応混合物中に生成される
    アルミノシリカゲルの平均粒子径が0.001〜0.1
    μmであるときに、該反応混合物に水とケイ素化合物と
    を添加することを含む、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 親水性高分子基材がセルロースである、
    請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
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