JP3891714B2 - 無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体、その製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼオライトやアミノシリカゲルなどの無機化合物を、紙などのセルロース基材を始めとする親水性高分子に担持させて機能性を付与した素材が知られている。このような素材は、悪臭除去、ガス吸着等の性質や抗菌性、難燃性、保温性などの特性を有しているので、種々の用途に使用できる。
例えば、特開平10−120923号公報には、親水性高分子の実体内に無機多孔結晶を有している無機多孔結晶−親水性高分子複合体が提案されている。
この無機多孔結晶−親水性高分子複合体では、親水性高分子基材の実体内に比較的疎な密度で均一に無機多孔結晶が分布しているため、強度などが十分とはいえない。
このため、この無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体に基材を設けたり、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体に固化しうる担体を含有させたものや、この無機多孔結晶−親水性高分子複合体からなる繊維にそれ以外の繊維を有するものが提案されている。また、複合体表面から離れた位置に存在する無機多孔結晶は、使用目的によっては十分にその機能が発揮できない場合がある。
したがって、本発明者らは無機多孔結晶−親水性高分子複合体自体で、無機多孔結晶の機能をより発揮し、さらに十分な強度を有する無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を開発することを着想した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体が、その機能を有効に維持するとともに、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体自体が十分な強度を有する無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体およびその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、親水性高分子内で生成させる無機多孔結晶の生成条件を調整することによって、一の親水性高分子内で生成する平均粒径0.1〜20μmの無機多孔結晶を傾斜状に分布して存在させることができることを見出した。
かくして得た無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体は低密度領域の強度によって全体としてその強度に優れていると共に、無機多孔結晶の機能を無駄なく発揮させることができることを見出し、さらに研究を重ねて本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
【0005】
(1)親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して(該残した少なくとも1種の水溶液に含まれる反応性物質を「残る反応性物質」と定義する。)、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させることにより上記残る反応性物質と他の反応性物質とを反応させて上記実体内に無機多孔結晶を生成させる無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体の製造方法であり、
上記無機多孔結晶は平均粒径0.1〜20μmのゼオライト結晶またはハイドロキシアパタイト結晶であり、
無機多孔結晶がゼオライト結晶である場合には1.0〜100mmol/lのケイ素化合物および1.0〜1000mmol/lのアルミニウム化合物の一方を他の反応性物質の水溶液が含み、もう一方を残る反応性物質の水溶液が含み、
無機多孔結晶がハイドロキシアパタイト結晶である場合には、1.0〜10000mmol/lのリン化合物および2.0〜15000mmol/lのカルシウム化合物の一方を他の反応性物質の水溶液が含み、もう一方を残る反応性物質の水溶液が含む、
上記製造方法。
(2)親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して(該残した少なくとも1種の水溶液に含まれる反応性物質を「残る反応性物質」と定義する。)、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させることにより上記残る反応性物質と他の反応性物質とを反応させて上記実体内に無機多孔結晶を生成させる無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体の製造方法であり、
上記無機多孔結晶は平均粒径0.1〜20μmのゼオライト結晶またはハイドロキシアパタイト結晶であり、
無機多孔結晶がゼオライト結晶である場合には1.0〜100mmol/lのケイ素化合物および1.0〜1000mmol/lのアルミニウム化合物の一方を他の反応性物質の水溶液が含み、もう一方を残る反応性物質の水溶液が含み、
無機多孔結晶がハイドロキシアパタイト結晶である場合には、1.0〜10000mmol/lのリン化合物および2.0〜15000mmol/lのカルシウム化合物の一方を他の反応性物質の水溶液が含み、もう一方を残る反応性物質の水溶液が含む、
上記製造方法。
(3)(1)または(2)のいずれかの製造方法で製造した無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体に、銀、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウムおよび白金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を担持させた無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明にかかる無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体中の無機多孔結晶は、高密度領域と低密度領域との無機多孔結晶の個数比が10000μm2 換算当たり5:1〜105 :1、好ましくは10:1〜104 :1、より好ましくは102 :1〜103 :1と傾斜的に存在している。
無機多孔結晶の高密度領域は、好ましくは親水性高分子基材の表面またはその近傍であることが好ましい。例えば、球状の親水性高分子表面全体に本発明にかかる無機多孔結晶を生成する場合は、球の表面またはその近傍に存在する無機多孔結晶が高密度領域となり、球の中心付近に近づくに従って、より低密度領域となるように傾斜的に密度が減少していることが好ましい。このような無機多孔結晶の高−低密度領域は、一面からに限らず、複数の面から傾斜しているものであってもよい。例えば、親水性高分子基材がフィルムやシートの場合、無機多孔結晶の高−低密度領域が一面から連続的に傾斜して存在していてもよいし、対向する二面から連続的に傾斜して存在していてもよい。また、無機多孔結晶の存在は、親水性高分子基材の表面またはその近傍の全域であっても、また一部域であってもよい。
【0007】
本発明において、親水性高分子基材としては、水に対して膨潤するものであれば特に制限はない。具体的には、例えば、パルプ、再生セルロース(セロファン、セルロースビーズ、レーヨン、セルローススポンジなど)、木綿、バクテリアセルロースおよびセルロースを化学修飾したエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、更には絹、羊毛、ポリビニルアルコール、架橋型ポリビニルアルコール、キチン、キトサン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルホルマールなどの天然、あるいは人工の親水性高分子、ポリアクリルアミドなどの高吸水性高分子ゲルなどが挙げられる。
好ましい親水性高分子基材は、実際の使用形態、価格および取り扱い易さの点からパルプや再生セルロース、ポリビニルアルコールである。
【0008】
親水性高分子基材の実体内とは、例えば、基材がセルロースの場合、セルロース基材を構成している高分子物質の内部を意味し、例えばセルロース繊維の細胞壁表面、細胞壁内に存在する細孔および細胞内壁(ルーメン)は含まれない。
セルロース基材の実体内に無機多孔結晶を有するとは、無機多孔結晶の一部または全部がセルロース基材の実体内に存在することを意味する。
【0009】
本発明の無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体に使用できる親水性高分子基材の形状は特に制限されず、例えば、球状、円柱、四角柱などの柱体、円錐、三角錐、四角錐などの錐体、フィルム、シートなどの平板などいずれであってもよい。
【0010】
本発明に使用される無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体の無機多孔結晶としては、イオン交換能を有する無機イオン交換体結晶および多孔部分に吸着能を有する吸着体結晶が挙げられ、親水性高分子基材を溶解、分解または崩壊させないものであれば特に制限はない。例えば、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、粘土鉱物類などが挙げられる。
具体的には、ゼオライトとしては、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトなど、ハイドロキシアパタイトとしては、カルシウム/リン量論アパタイト、カーボネイトアパタイトなど、ハイドロタルサイトとしては、塩化物系ハイドロタルサイト、塩基系タルサイト、硝酸系ハイドロタルサイトなど、粘度鉱物類としては、スメクタイト、バーミュキュライト、ベントナイトなどが挙げられる。
好ましくは、最も用途が広い、ゼオライトであり、更に好ましくは、比較的合成が容易である、4Aゼオライト〔Na12Si12Al12O48・27H2 O〕である。
【0011】
無機多孔結晶の生成条件は、特に制限されず、生成する無機多孔結晶の種類によって異なる。例えば、無機多孔結晶がゼオライトの場合には、無機多孔結晶を生成するための反応性物質であるケイ素化合物とアルミニウム化合物が、他の反応性物質、残る反応性物質のいずれかである。ハイドロキシアパタイトの場合には、無機多孔結晶を生成するための反応性物質であるリン化合物とカルシウム化合物が、他の反応性物質、残る反応性物質のいずれかである。ハイドロタルサイトの場合には、無機多孔結晶を生成するための反応性物質である硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウムなどが、他の反応性物質、残る反応性物質のいずれかである。粘度鉱物類の場合には、無機多孔結晶を生成するための反応性物質であるシリカゾル、合成雲母、メタケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムなどが、他の反応性物質、残る反応性物質のいずれかである。これらの化合物を反応させることによって、本発明にかかる親水性高分子基材の実体内に無機多孔結晶を有する無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体が製造できる。
【0012】
ゼオライトの生成に使用されるケイ素化合物としては、水に溶解し、アルミニウム化合物と反応してゼオライトを生成しうるものであれば特に制限はなく、例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、オルトケイ酸カリウム、水ガラス、シリカゾルなどが挙げられる。好ましくは、水に対する溶解性が高く、結晶性の高いゼオライトが得られる点から、メタケイ酸ナトリウムである。
【0013】
ゼオライトの生成に使用されるアルミニウム化合物としては、水に溶解し、ケイ素化合物と反応してゼオライトを生成しうるものであれば特に制限はなく、例えばアルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが挙げられるが、水に対する溶解度が高く、結晶性の高いゼオライトが得られる点からアルミン酸ナトリウムが好ましい。
【0014】
ハイドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、粘土鉱物類の生成に使用される反応性物質としては、水に溶解あるいは分散し、各成分同士が反応して、ハイドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、粘土鉱物類を生成しうるものであれば特に制限はなく、上記各々の反応性物質が挙げられる。
【0015】
本発明の無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体は、親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させることにより無機多孔結晶の反応性物質を反応させることによって、製造できる(第1法)。
【0016】
また、本発明の無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体は、親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させることにより無機多孔結晶の反応性物質を反応させることによって、製造できる(第2法)。
【0017】
なお、本明細書中で「他の反応性物質の水溶液」とは、親水性高分子基材に先に含浸させる反応性物質の水溶液を意味し、「残る反応性物質の水溶液」とは、親水性高分子基材に「他の反応性物質の水溶液」を含浸させた後に含浸させる反応性物質の水溶液を意味する。これらの反応性物質が親水性高分子基材内で反応して無機多孔結晶を生成する。また、「他の反応性物質の水溶液」と「残る反応性物質の水溶液」は、それぞれ1種であっても2種以上であってもよいが、「残る反応性物質の水溶液」は無機多孔結晶を形成する少なくとも1種を含む必要がある。「残る反応性物質の水溶液」は、親水性高分子基材に二種以上を一度に含浸させてもよく、または別個に含浸させてもよい。
また、本明細書中で、平衡の状態とは、水溶性化合物の水溶液が親水性高分子基材の実体内に均一に飽和するに至るまでの十分な量と時間を与えられることにより、親水性高分子基材に均一に含まれた状態を言う。一方、非平衡の状態とは、水溶性化合物の水溶液が親水性高分子基材の実体内に均一に飽和するに至るまでの十分な量と時間を与えられることなく、親水性高分子基材に不均一に含まれた状態を言う。
【0018】
第1法により、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を得るのは、以下のようにする。
親水性高分子基材の実体内に他の反応性物質の水溶液を、親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させる方法は、特に制限されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
親水性高分子基材に他の反応性物質の水溶液を加え、他の反応性物質の水溶液が実体内で平衡状態に達する前に、遠心脱水などにより親水性高分子基材周囲に存在する他の反応性物質の水溶液を基材から分離する方法(▲1▼の方法)。親水性高分子基材に水を含浸させた後に他の反応性物質の水溶液を含浸させることで、他の反応性物質の水溶液中の他の反応性物質が実体内で平衡に達する時間を遅れさせたものから、他の反応性物質の水溶液が実体内で平衡状態に達する前に、遠心脱水などにより親水性高分子基材周囲に存在する他の反応性物質の水溶液を基材から分離する方法(▲2▼の方法)。親水性高分子基材に増粘剤を加えた他の反応性物質の水溶液を含浸させることで、他の反応性物質が実体内で平衡に達する時間を遅れさせたものから、他の反応性物質の水溶液が実体内で平衡状態に達する前に、遠心脱水などにより親水性高分子基材周囲に存在する他の反応性物質の水溶液を基材から分離する方法(▲3▼の方法)。他の反応性物質が実体内で平衡に達しない量の他の反応性物質の水溶液を含浸させる方法(▲4▼の方法)。
このように親水性高分子基材の実体内に含浸する他の反応性物質の水溶液の量を制御することで、親水性高分子基材の実体内で他の反応性物質が平衡に達する前に、他の反応性物質の含浸を止めたものに、残る反応性物質の水溶液を平衡状態まで含浸させることで、本発明の無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を得る。平衡状態まで含浸させるためには、残る反応性物質の水溶液が、親水性高分子基材の実体内全体に含浸するまでの十分な時間、残る反応性物質の水溶液に接触させておけばよい。
【0019】
水溶性化合物の水溶液に加える増粘剤としては、例えばデンプン、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)などの水溶性の増粘剤が挙げられる。
【0020】
第2法により、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を得るのは、以下のようにする。
まず、親水性高分子基材に他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で平衡状態になるまで含浸させる。平衡状態になるまで含浸させるためには、他の反応性物質の水溶液が、親水性高分子基材の実体内全体に含浸するまでの十分な時間、他の反応性物質の水溶液に接触させておけばよい。ついで、この親水性高分子基材の実体内に残る反応性物質の水溶液を、親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させる。
親水性高分子基材の実体内に残る反応性物質の水溶液を、親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させる方法は、特に制限されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
他の反応性物質の水溶液を平衡状態になるまで含浸させた親水性高分子基材に、増粘剤を加えた残る反応性物質の水溶液を含浸させることで、残る反応性物質の水溶液中の残る反応性物質が実体内で平衡に達する時間を遅れさせたものから、残る反応性物質の水溶液が実体内で平衡状態に達する前に、遠心脱水などにより親水性高分子基材周囲に存在する残る反応性物質の水溶液を基材から分離する方法((a) の方法)がある。また、他の反応性物質の水溶液を平衡状態になるまで含浸させた親水性高分子基材に、高濃度の電解質溶液を加えた残る反応性物質の水溶液を含浸させることで、残る反応性物質の水溶液中の残る反応性物質が実体内で平衡に達する時間を遅れさせたものから、残る反応性物質の水溶液が実体内で平衡状態に達する前に、遠心脱水などにより親水性高分子基材周囲に存在する残る反応性物質の水溶液を基材から分離する方法((b) の方法)がある。このように高濃度の電解質溶液を加えると、残る反応性物質の水溶液の浸透圧を高めることで、残る反応性物質が親水性高分子基材の実体内に含浸することを遅らせる、または他の反応性物質が親水性高分子基材の表面付近に移動することにより、無機多孔結晶の傾斜化をより促進させることができる。さらに、残る反応性物質が実体内で平衡に達しない量の残る反応性物質の水溶液を含浸させる方法((c) の方法)などがある。
【0021】
ここで使用される増粘剤としては、上記第1法で使用する増粘剤と同様のものが使用される。
【0022】
残る反応性物質の水溶液に加える高濃度の電解質溶液としては、例えば10〜30重量%の塩化ナトリウム水溶液や、10〜40重量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。
【0023】
本発明の無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を製造する際に、上記反応性物質の水溶液以外に、反応補助剤の水溶液をさらに含浸させてもよい。使用できる反応補助剤としては、例えば無機多孔結晶の担持率向上剤などが挙げられる。反応補助剤の水溶液は、上記他の反応性物質や残る反応性物質の水溶液と同時に含浸させても、別個に含浸させてもよい。また、別個に含浸させる場合は、反応性物質の水溶液を含浸させる前であっても、他の反応性物質の水溶液を含浸させた後で残る反応性物質の水溶液を含浸させる前であってもよい。
【0024】
反応補助剤としては、例えばpH調整を目的として、ゼオライトの場合は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質が挙げられるが、水に対する溶解度が高く、結晶性の高いゼオライトが得られる点から水酸化ナトリウムが好ましい。ハイドロキシアパタイトの場合は、例えばアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質などが挙げられる。
【0025】
本発明の無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体において、無機多孔結晶の平均粒径は、0.1〜20μm、好ましくは0.2〜10μmである。
生成した無機多孔結晶の平均粒径は、フェレー(Feret)径を測定する。すなわち、顕微鏡下で、一定方向の2本の平行線で各粒子をはさみ、その平行線間の距離を測ることで得られる粒子径の平均である。一定方向の2本の平行線で粒子をはさみ、その平行線間の距離を測ることで一定方向の粒子径が測定できる。
【0026】
反応性物質の反応濃度は、生成する無機多孔結晶の種類によって異なる。例えば、無機多孔結晶がゼオライトの場合には、ケイ素化合物の濃度は1.0〜100mmol/l程度、好ましくは10〜50mmol/l程度であり、アルミニウム化合物の濃度は1.0〜1000mmol/l程度、好ましくは10〜500mmol/l程度である。ハイドロキシアパタイトの場合には、リン化合物の濃度は1.0〜10000mmol/l程度、好ましくは100〜1000mmol/l程度であり、カルシウム化合物の濃度は2.0〜15000mmol/l程度、好ましくは200〜1500mmol/l程度である。
【0027】
以下に、無機多孔結晶がゼオライトであり、親水性高分子がセルロース基材である場合を例に挙げて、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体の製造方法(方法I)を詳細に説明する。
【0028】
ゼオライト−セルロース傾斜複合体を製造する際に、他の反応性物質の水溶液をセルロース基材の実体内に含浸させる方法は、前記した通りである。
具体的には、セルロース基材を当該水溶液に浸漬する、当該水溶液をセルロース基材にスプレーする、また各種コーターで当該水溶液を塗布するなどの方法を用いることができる。
【0029】
ケイ素化合物の水溶液の濃度は、好ましくは1.0〜100mmol/l、さらに好ましくは10〜50mmol/lである。
【0030】
ケイ素化合物の水溶液を含浸させたセルロース基材は、ケイ素化合物の水溶液がセルロース基材の実体内で平衡に達しないように、含浸された溶液の量を調節することが必要である。その方法としては、遠心脱水する、ブレードで掻き取る、ロール間で絞る、またはプレスで絞るなどの方法が挙げられる。調節後の含浸溶液の量はセルロース基材の乾燥重量に対して、通常1〜10倍、好ましくは1〜5倍の範囲に調節することが好ましい。
【0031】
ケイ素化合物の水溶液を含浸させたセルロース基材は、溶液が十分浸透しないように含浸時間を決定する必要がある。含浸時間は、5分〜24時間であり、セルロース基材の種類や形状により適宜選択できる。
【0032】
次に溶液の量をセルロース基材内で平衡に達しないように調節したセルロース基材を、アルミニウム化合物(残る反応性物質の水溶液)および塩基性物質の混合溶液(反応補助剤の水溶液)に浸漬させる。アルミニウム化合物の水溶液の濃度は、好ましくは1.0〜1000mmol/l、より好ましくは10〜500mmol/lである。
【0033】
塩基性物質の濃度は、ゼオライトを結晶化させるために、かなり高いアルカリ濃度が必要であることから、通常10〜5000mmol/l、好ましくは100〜2500mmol/lである。
【0034】
浸漬する温度は20〜90℃であり、好ましくは40〜60℃である。浸漬する時間は、残る反応性物質の水溶液および第3以下の水溶性化合物の水溶液がセルロース基材内で平衡に達するように、2時間〜12日間であり、好ましくは8時間〜2日間である。
【0035】
膨潤しているセルロース基材の下での、ケイ素化合物、アルミニウム化合物および塩基性物質の混合比(モル比)は、1:1〜10:10〜50であり、好ましくは1:3〜5:12〜30である。
塩基性物質をケイ素化合物およびアルミニウム化合物に対して過剰に加えている。これは、特に4Aゼオライトの場合、ゼオライト結晶自体が準安定相であるために、過剰のアルカリ条件下以外では合成できないためである。
【0036】
このように、ケイ素化合物の水溶液(他の反応性物質の水溶液)をセルロース基材で平衡に達しないように含浸させて、残る反応性物質の水溶液および反応補助剤の水溶液がセルロース基材内で平衡に達するよう含浸させるので、高密度領域と低密度領域とのゼオライト結晶の個数比が10000μm2 換算当たり5:1〜105 :1であるゼオライト−セルロース傾斜複合体が得られる。
【0037】
また、ゼオライト−セルロース複合体を製造する別の方法としては、アルミニウム化合物の水溶液を先にセルロース基材に含浸させ、次いでケイ素化合物および塩基性物質の混合水溶液を浸漬させてもよい。さらにケイ素化合物あるいはアルミニウム化合物のどちらか一方と、塩基性物質の混合水溶液を先にセルロース基材に含浸させ、次いで残りのもう一つの水溶液に浸漬させてもよい。即ち、ケイ素化合物およびアルミニウム化合物の水溶液は、両者を混合した時点でゲルが生成するために、同時にセルロース基材に含浸できないが、その他の順序ならば特に制限はない。例えば、塩基性物質の水溶液をセルロース基材に含浸させて、次いでケイ素化合物の水溶液に含浸させ、最後にアルミニウム化合物の水溶液に浸漬するような3工程を経てもよい。但し、これらの方法で製造されるゼオライト−セルロース複合体のゼオライト担持率は、方法Iで製造されるゼオライト−セルロース複合体のそれと比べてやや劣ることから、好ましくは方法Iで製造するのがよい。
方法Iは、一般的なゼオライトの合成条件に比べ、非常に穏やかな合成条件であるので、セルロース基材にダメージを与えることなくゼオライトを担持することができる。
【0038】
上記のような無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体は、平均粒径0.1〜20μmの無機多孔結晶が、高密度領域と低密度領域との無機多孔結晶の個数比が10000μm2 換算当たり5:1〜105 :1であるので、そのイオン交換性、ガス吸着性、難燃性、不透明性、サイズ安定性を有することに加え、高強度になる。
また、親水性高分子の反応液が含浸する表面近傍ほど多くの無機多孔結晶を有していると、好適なイオン交換体やガス吸着体として機能する。
【0039】
上記のような無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を脱液、水洗した後、触媒機能を有する金属塩の水溶液に浸漬することにより、金属担持無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体が得られる。使用される金属としては、例えば銀、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウムおよび白金などが挙げられ、これらの金属を複数併用してもよい。金属塩の水溶液の濃度に特に制限はないが、好ましくは1.0〜100mmol/lであり、浸漬する温度や時間にも特に制限はない。
このとき、親水性高分子基材は水溶液を浸透させうるので、親水性高分子基材の実体内の無機多孔結晶全体に無駄なく金属を担持させることができる。
【0040】
例えば、銀、銅または亜鉛を担持させた無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体は抗菌性を示し、パラジウムまたは白金を担持させた無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体はエチレンを吸着することができることから、青果物の鮮度を保持する効果があり、銀または銅を担持させた無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体は、硫化水素を吸着、分解できることから金属の防錆効果または防臭効果が、またアンモニアを吸着、分解できることから防臭効果がある。また、銀を担持させた無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体はメチルメルカプタンを吸着、分解できることから防臭効果がある。
このとき、本発明の無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体は、表面近傍ほど多くの無機多孔結晶を有しているので、強度を有しつつ、効果的に、気体を吸着、分解できる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0042】
実施例1
ウェット状態のセルロースビーズ(平均粒径 2mm)10.0g(固形分約0.95wt%)をメタケイ酸ナトリウム・9水和物の水溶液(5.80g/40.9ml)に1時間含浸した後にセルロースビーズを取りだし、そのセルロースビーズにアルミン酸ナトリウム0.94gおよび水酸化ナトリウム2.08gの混合水溶液10mlを加え、50℃で48時間浸漬させることにより、ゼオライト担持セルロースビーズ傾斜複合体1.21gを得た。このゼオライト担持セルロースビーズ傾斜複合体のゼオライト担持率は、15.5%であった。また、セルロースビーズに担持されているゼオライトの数は、それぞれセルロースビーズの表面付近で16800個/10000μm2 、セルロースビーズの中心付近で800個/10000μm2 であった。得られたゼオライト担持セルロースビーズの断面(a)、該セルロースビーズの表面付近(b)、該セルロースビーズの中心付近(c)の走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という)写真を図1に示す。
【0043】
実施例2
ウェット状態のセルロースビーズ(平均粒径 2mm)10.0g(固形分約0.95wt%)をメタケイ酸ナトリウム・9水和物の水溶液(2.18g/40.9ml)に1時間含浸した後にセルロースビーズを取りだし、そのセルロースビーズにアルミン酸ナトリウム0.35gおよび水酸化ナトリウム0.78gの混合水溶液10mlを加え、50℃で8日間浸漬させることにより、ゼオライト担持セルロースビーズ傾斜複合体1.06gを得た。このゼオライト担持セルロースビーズ傾斜複合体のゼオライト担持率は、6.72%であった。また、セルロースビーズに担持されているゼオライトの数は、それぞれセルロースビーズの表面付近で9400個/10000μm2 、セルロースビーズの中心付近で1600個/10000μm2 であった。得られたゼオライト担持セルロースビーズの断面(a)、該セルロースビーズの表面付近(b)、該セルロースビーズの中心付近(c)のSEM写真を図2に示す。
【0044】
実施例3
底面全体にシリコングリースを塗布し、シャーレに張り付けたウェット状態のセルロースシート6.1g(固形分約0.95wt%)に、上からメタケイ酸ナトリウム・9水和物の水溶液(2.90g/44.4ml)を添加し1時間室温下で静置した後、上からアルミン酸ナトリウム2.36gおよび水酸化ナトリウム5.20gの混合水溶液50mlを添加し、50℃で48時間浸漬させることにより、ゼオライト担持セルロースシート傾斜複合体0.57gを得た。このゼオライト担持セルロースシート傾斜複合体のゼオライト担持率は、14.1%であった。また、セルロースシートに担持されているゼオライトの数は、それぞれセルロースシートの表面付近で12700個/10000μm2 、セルロースシートの底面付近で800個/10000μm2 であった。得られたゼオライト担持セルロースシートの断面(a)、該セルロースシートの表面付近(b)、該セルロースシートの底面付近(c)のSEM写真を図3に示す。
【0045】
実施例4
ウェット状態のセルロースビーズ(平均粒径 2mm)10.0g(固形分約0.95wt%)をリン酸水素二ナトリウム・12水和物の水溶液5.80gおよび水酸化ナトリウム1.0gの混合水溶液10mlに1時間浸漬させた後、硝酸カルシウム・4水和物(1.29g/10ml)を加え、95℃で1時間浸漬させることにより、ハイドロキシアパタイト担持セルロースビーズ傾斜複合体1.18gを得た。このハイドロキシアパタイト担持セルロースビーズ傾斜複合体のハイドロキシアパタイト担持率は、9.79%であった。また、セルロースビーズに担持されているハイドロキシアパタイトの数は、それぞれセルロースビーズの表面付近で25600個/10000μm2 、セルロースビーズの中心付近で800個/10000μm2 であった。
【0046】
実施例5
ポリビニルアルコール(PVA)フィルム(厚さ30μm)0.756gをメタケイ酸ナトリウム・9水和物の水溶液(0.290g/5ml)に10分間含浸させた後、アルミン酸ナトリウム0.236gおよび水酸化ナトリウム0.522gの混合水溶液5mlを加え、50℃で48時間浸漬させることにより、ゼオライト担持PVAフィルム傾斜複合体0.617gを得た。このゼオライト担持PVAフィルムのゼオライト担持率は、2.23%であった。また、PVAフィルムに担持されているゼオライトの数は、それぞれPVAフィルムの表面付近で2100個/10000μm2 、PVAフィルムの中心付近で400個/10000μm2 であった。得られたゼオライト担持PVAフィルムの断面(a)、該PVAフィルムの表面付近(b)、該PVAフィルムの底面付近(c)のSEM写真を図4に示す。
【0047】
比較例1
セルロースビーズ(平均粒径 2mm)のみを処理せずに使用した。セルロースビーズの断面(a)、該セルロースビーズの表面付近(b)のSEM写真を図5に示す。
【0048】
比較例2
ウェット状態のセルロースビーズ(平均粒径 2mm)10.0g(固形分約0.95wt%)をメタケイ酸ナトリウム・9水和物の2.90gおよび水酸化ナトリウム5.20gの混合水溶液40.0mlに24時間浸漬させた後に、セルロースビーズを取り出し、そのセルロースビーズに、アルミン酸ナトリウム水溶液(2.36g/50ml)を加え、50℃で48時間浸漬させることにより、ゼオライト担持セルロースビーズ複合体1.10gを得た。このゼオライト担持セルロースビーズ複合体のゼオライト担持率は、11.1%であった。また、セルロースビーズに担持されているゼオライトの数は、それぞれセルロースビーズの表面付近で600個/10000μm2 、セルロースビーズの中心付近で500個/10000μm2 であった。得られたゼオライト担持セルロースビーズの断面(a)、該セルロースビーズの表面付近(b)、該セルロースビーズの中心付近(c)のSEM写真を図6に示す。
【0049】
実験例1
実施例1、2、比較例1、2の試料をそれぞれ1.0g秤量し、これを内側にポリエチレンでラミネートした不織布製袋に入れ、ヒートシールした後、テドラーバッグに入れた。これらに1000ppmに調整した硫化水素を1.0L封入し、検知管法により経時的ガス濃度変化について調べた。結果を図7のグラフに示した。
図7より、本発明のゼオライト−セルロース傾斜複合体は、優れたガス吸着性を示すことがわかった。
【0050】
実験例2
実施例1、2、比較例1、2の試料をそれぞれ1.0g秤量し、2.49g/Lの硫酸銅水溶液100mlに浸漬して銅イオン交換を行った各試料を実験例1と同様の方法で実験を行った。なお、銅イオンの担持量は、無処理(比較例1)で0.035wt%、比較例2、実施例1及び2で0.635wt%であった。結果を図8のグラフに示した。
図8より、本発明の金属担持ゼオライト−セルロース傾斜複合体は、より優れたガス吸着性を示すことがわかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体は、親水性高分子基材の実体内に平均粒径0.1〜20μmの無機多孔結晶が高密度領域と低密度領域との無機多孔結晶の個数比が10000μm2 換算当たり5:1〜105 :1であるので、そのイオン交換性、ガス吸着性、難燃性、不透明性、サイズ安定性に加え、高強度になる。
また、親水性高分子の反応液が含浸する表面近傍ほど多くの無機多孔結晶を有しているので、効率よく、イオン交換体やガス吸着体として機能する。
さらに、無機多孔結晶に金属を担持させることにより、抗菌性および悪臭除去能などの性質がさらに付与された無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたゼオライト担持セルロースビーズのSEM写真である。
【図2】実施例2で得られたゼオライト担持セルロースビーズのSEM写真である。
【図3】実施例3で得られたゼオライト担持セルロースシートのSEM写真である。
【図4】実施例5で得られたゼオライト担持PVAフィルムのSEM写真である。
【図5】比較例1の無処理セルロースビーズのSEM写真である。
【図6】比較例2で得られたゼオライト担持セルロースビーズのSEM写真である。
【図7】ゼオライト担持セルロースビーズ(実施例1および実施例2)、無処理セルロースビーズ(比較例1)、ゼオライト担持セルロースビーズ(比較例2)における硫化水素ガス吸着の経時変化を示すグラフである。
【図8】金属(銅)置換ゼオライト担持セルロースビーズ(実施例1および実施例2)、金属(銅)置換無処理セルロースビーズ(比較例1)、金属(銅)置換ゼオライト担持セルロースビーズ(比較例2)における硫化水素ガス吸着の経時変化を示すグラフである。
Claims (3)
- 親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して(該残した少なくとも1種の水溶液に含まれる反応性物質を「残る反応性物質」と定義する。)、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させることにより上記残る反応性物質と他の反応性物質とを反応させて上記実体内に無機多孔結晶を生成させる無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体の製造方法であり、
上記無機多孔結晶は平均粒径0.1〜20μmのゼオライト結晶またはハイドロキシアパタイト結晶であり、
無機多孔結晶がゼオライト結晶である場合には1.0〜100mmol/lのケイ素化合物および1.0〜1000mmol/lのアルミニウム化合物の一方を他の反応性物質の水溶液が含み、もう一方を残る反応性物質の水溶液が含み、
無機多孔結晶がハイドロキシアパタイト結晶である場合には、1.0〜10000mmol/lのリン化合物および2.0〜15000mmol/lのカルシウム化合物の一方を他の反応性物質の水溶液が含み、もう一方を残る反応性物質の水溶液が含む、
上記製造方法。 - 親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して(該残した少なくとも1種の水溶液に含まれる反応性物質を「残る反応性物質」と定義する。)、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させることにより上記残る反応性物質と他の反応性物質とを反応させて上記実体内に無機多孔結晶を生成させる無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体の製造方法であり、
上記無機多孔結晶は平均粒径0.1〜20μmのゼオライト結晶またはハイドロキシアパタイト結晶であり、
無機多孔結晶がゼオライト結晶である場合には1.0〜100mmol/lのケイ素化合物および1.0〜1000mmol/lのアルミニウム化合物の一方を他の反応性物質の水溶液が含み、もう一方を残る反応性物質の水溶液が含み、
無機多孔結晶がハイドロキシアパタイト結晶である場合には、1.0〜10000mmol/lのリン化合物および2.0〜15000mmol/lのカルシウム化合物の一方を他の反応性物質の水溶液が含み、もう一方を残る反応性物質の水溶液が含む、
上記製造方法。 - 請求項1または2のいずれかの製造方法で製造した無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体に、銀、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウムおよび白金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を担持させた無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体。
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