JPH11339965A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子

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JPH11339965A
JPH11339965A JP10141486A JP14148698A JPH11339965A JP H11339965 A JPH11339965 A JP H11339965A JP 10141486 A JP10141486 A JP 10141486A JP 14148698 A JP14148698 A JP 14148698A JP H11339965 A JPH11339965 A JP H11339965A
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organic
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light emitting
layer
emitting material
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JP10141486A
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Junichi Wadokoro
純一 和所
Kazuhiro Enomoto
和弘 榎本
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より低い電圧で所望の発光を生じ得る有機E
L素子を提供することを課題とする。 【解決手段】 基板上に、陽極、ホール注入輸送層、有
機発光材料層及び陰極をこの順で備えるか、又は、陰
極、有機発光材料層、ホール注入輸送層及び陽極をこの
順で備え、ホール注入輸送層が、一般式(I) 【化1】 のエナミン化合物からなるホール輸送材料を含み、有機
発光材料層が、一般式(II) 【化2】 の置換キノリノールアルミニウム錯体からなる有機発光
材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセ
ンス素子により上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機エレクトロルミ
ネッセンス(以下ELと略す)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、強い蛍光を持つ有機発
光材料からなる有機薄膜層を一対の電極で挟んだ構造を
している。一対の電極に直流電圧を印加すると、陽極か
ら正の電荷(以下ホールと称する)、陰極からは電子が
注入され、印加された電界により該有機薄膜層中をホー
ルと電子が移動する。
【0003】該ホールと電子がある確率で再結合し、そ
の際放出されるエネルギーが強い蛍光を持つ有機分子を
励起し、その励起分子がエネルギーの基底状態に戻ると
きに蛍光を発する。励起状態を経て外部へ光が取り出さ
れる割合を、発光の量子収率といい、電気エネルギーか
ら光への変換の効率を意味している。この有機EL素子
は他の発光素子に比べ、低電圧で高い発光効率を示すこ
とや、視認性の高さ、発光色の多様性等の特長を生かし
てフラットパネルディスプレー用の光源として期待され
ている。
【0004】このような機能を持つ有機EL素子の中
で、有機薄膜層をホール注入輸送層と有機発光材料層と
に機能分離した積層構造の素子は、低い駆動電圧、高い
輝度が得られている。例えば、ホール注入輸送層に含ま
れるホール注入輸送材料としてN,N−ビス(3−メチ
ルフェニル)−(1,1−ビフェニル)−4,4ジアミ
ン(以下TPDと略す)、有機発光材料層に含まれる有
機発光材料としてキノリノールアルミニウム錯体(以下
Alq3と略す)の組み合わせで10V印加時に、10
00cd/m2の輝度が得られている。
【0005】なお、TPD及びAlq3の構造式を下記
する。
【0006】
【化4】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ホール注入
輸送材料に求められる要件として 有機薄膜として一般的に用いられている真空蒸着法に
より、均一で経時変化のない安定な膜を形成できること ホールの移動度が大きいこと 可視域に吸収がなく、発光を減衰させないこと 耐熱性が高いこと 等が挙げられる。ここで、芳香族ジアミン化合物等の電
子写真感光材料としても使用される材料は、上記要件を
満たすものが多いことが知られている。例えば、Appl.P
hys.Lett.,51,913(1987)では、高性能の積層構造の有機
EL素子が発表されており、この文献の中では、芳香族
ジアミン化合物が用いられている。また、Jpn.J.Appl.P
hys.,27,L269(1988)では、前記文献の芳香族ジアミン化
合物に類似したTPDが最も高性能のホール注入輸送材
料であると記載されている。
【0008】TPDは優れたホール注入輸送材料である
が、ガラス転移点が低くいため(64.6℃)、発光に
伴う素子の発熱で材料が結晶化することにより、素子の
劣化が進むので、上記の耐熱性の要件を満たさないと
いう問題があった。また、有機EL素子の実用化に際し
て、更なる発光の低電圧化が望まれているが、TPDで
もホールの移動度が十分高くないため、更なる改善が求
められていた。
【0009】一方、有機発光材料としてAlq3は、輝
度、耐久性等の優れた性能を示す材料として一般的に用
いられている。しかしながら、更に優れた性能を有する
有機発光材料が望まれているが、未だ実現されていなか
った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は、特
にTPDに代わるホール注入輸送材料として結晶化が起
きにくく、熱的に安定で、かつホール移動度の高い材料
を検討した。その結果、式(I)で表されるエナミン化
合物が、高い融点(200℃以上)、高いガラス転移点
(80℃以上)、大きなホール移動度等の優れた特徴を
有し、信頼性が高く、かつ発光電圧の低い有機EL素子
を得ることができることを本願出願人は、先の出願(特
開平8−306490号公報)において見いだしている
が、、このホール注入輸送材料の優れた特徴を遺憾なく
発揮できる有機発光材料として、式(II)で示される4
位に置換基を有するキノリノールアルミニウム錯体との
組み合わせで使用すれば、更に優れた特性の有機EL素
子を提供することができることを見いだし本発明に至っ
た。
【0011】かくして本発明によれば、基板上に、陽
極、ホール注入輸送層、有機発光材料層及び陰極をこの
順で備えるか、又は、陰極、有機発光材料層、ホール注
入輸送層及び陽極をこの順で備え、ホール注入輸送層
が、一般式(I)
【0012】
【化5】
【0013】(式中、nは1〜3の整数、mは2又は3
の整数、R1 は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル
基又は低級アルコキシ基、Arは置換されていてもよい
炭素数6〜13のアリール基である。)のエナミン化合
物からなるホール輸送材料を含み、有機発光材料層が、
一般式(II)
【0014】
【化6】
【0015】(式中、R2 はハロゲン原子、低級アルキ
ル基又は低級アルコキシ基である)の置換キノリノール
アルミニウム錯体からなる有機発光材料を含むことを特
徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供され
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の有機EL素子は、基板上
に、陽極、ホール注入輸送層、有機発光材料層及び陰極
をこの順で備えるか、又は、陰極、有機発光材料層、ホ
ール注入輸送層及び陽極をこの順で備えた構成を有して
いる。これら構成の内、前者の構成の方がより発光を取
り出しやすいため好ましい。
【0017】基板としては、特に限定されないが、例え
ば、ガラス、セラミックス、プラスチックス(例えば、
ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリカ
ーボネイト)等が挙げられる。特に、透明な基板が好ま
しい。基板上には、陽極又は陰極が形成される。陽極及
び陰極の形成に使用される材料は、特に限定されない
が、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、
マグネシウム等の金属及びそれらの合金、ITO(イン
ジウム錫酸化物)やネサ膜(錫酸化物)等の金属酸化
物、リチウム、マグネシウムを含む化合物等が挙げられ
る。特に、透明な材料を使用することが好ましい。
【0018】ここで、陽極には透明導電膜を使用するこ
とが好ましく、陰極には仕事関数の大きい材料を使用す
ることが好ましい。なお、透明導電膜としては、ITO
やネサ膜等が挙げられ、仕事関数の大きい材料として
は、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、マグネシ
ウム等の金属及びそれらの合金、リチウム、マグネシウ
ム、インジウムを含む化合物等が挙げられる。
【0019】これら陽極及び陰極の厚さは、使用する材
料によって相違するが、導電機能を有し、発光を阻害し
ない程度であればよく、10〜100nmであることが
好ましい。また、陽極及び陰極の製造方法は、使用する
材料によって相違するが、電子ビーム蒸着法、抵抗加熱
蒸着法、スパッタリング法、MOCVD法等が挙げられ
る。
【0020】次に、ホール注入輸送層には、一般式
(I)のエナミン化合物からなるホール輸送材料が含ま
れる。一般式(I)のR1 の定義中、ハロゲン原子とし
ては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。低級アルキ
ル基としては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル
基を挙げることができ、具体的には、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
t−ブチル基等が挙げられ、この内、メチル基、エチル
基が好ましい。また、低級アルコキシ基としては、メト
キシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキ
シ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、
この内、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0021】一般式(I)のArの定義中、炭素数6〜
13のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等
が挙げられ、アリール基の置換基としては、メチル基、
エチル基等が挙げられる。一般式(I)のエナミン化合
物の内、nが2、mが3、Arが置換されていてもよい
フェニル基又はナフチル基であるエナミン化合物が好ま
しい。その理由は、次の通りである。即ち、ホール注入
輸送層は、イオン化ポテンシャルが小さく(電子供与性
が高く)、ホールの注入が容易であること、ホールの輸
送効率(移動度)が大きいことが必要条件とされる。こ
の必要条件を一般式(I)のエナミン化合物の分子構造
に反映させた場合、第3級アミン系の電子供与性化合物
を基本として、ビフェニルのような一定の規則性を有す
る化合物のジアミン化合物が優れていることを本発明の
発明者は見いだしている。従って、上記n、m及びAr
を組み合わせたエナミン化合物は、ホールの注入が容易
なホール注入輸送層を形成することができ、そのため低
電圧での発光を実現できることが容易に予想できるから
である。
【0022】ここで、一般式(I)のエナミン化合物
は、例えば以下の方法により合成することができる。ま
ず、下記一般式(III)
【0023】
【化7】
【0024】(式中、R1 、n及びArは、一般式
(I)と同じ)で示されるN,N’−ジ置換アミン化合
物と、下記一般式(IV)
【0025】
【化8】
【0026】(式中、mは、一般式(I)と同じ)で示
されるアルデヒド誘導体とを、有機溶媒中で加熱するこ
とにより脱水縮合させて一般式(I)のエナミン化合物
を得ることができる。ホール注入輸送層の厚さは、2〜
300nmであることが好ましく、5〜50nmである
ことが特に好ましい。ホール注入輸送層の製造方法は、
使用するホール輸送材料によって相違するが、例えば真
空蒸着法として、抵抗加熱蒸着法が挙げられる。
【0027】次に、有機発光材料層には、一般式(II)の
置換キノリノールアルミニウム錯体からなる有機発光材
料が含まれる。一般式(II)のR2 の定義中、ハロゲン原
子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。低級
アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のア
ルキル基を挙げることができ、具体的には、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、t−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル等が
挙げられ、この内、メチル基、エチル基が好ましく、特
にメチル基が好ましい。また、低級アルコキシ基として
は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ
プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ、n−ペ
ントキシ、n−ヘキソキシ基等が挙げられ、この内、メ
トキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0028】ここで、一般式(II)の置換キノリノールア
ルミニウム錯体は、例えば以下の方法により合成するこ
とができる。まず、錯体のリガンドである置換キノリノ
ールは、o−アミノフェノールを塩酸と反応させて塩酸
塩とし、この塩酸塩を所望のα,β−未飽和カルボニル
化合物と反応させて環化することにより得ることができ
る。
【0029】次に錯体は、得られた置換キノリノールと
塩化アルミニウム4水和物を、有機溶媒中で、攪拌下、
反応させることにより得ることができる。有機発光材料
層の厚さは、10〜100nmであることが好ましい。
有機発光材料層の製造方法は、使用する有機発光材料に
よって相違するが、例えば真空蒸着法として、抵抗加熱
蒸着法が挙げられる。
【0030】有機発光材料層にペリレン、ルブレン、キ
ナクリドン、クマリン等の色素材料をドーピングしても
よい。有機発光材料層の形成時に上記色素材料を濃度コ
ントロールしながら共蒸着することによって、電界印加
時、有機発光材料の励起分子のエネルギーを該色素材料
に効率よくシフトすることが可能になる。そのため、よ
り高効率の発光を得ることが可能となる。
【0031】本発明では、一般式(I)及び(II)で示
される化合物を、それぞれホール注入輸送層及び有機発
光材料層に使用するので、ホール注入及び電子注入のバ
ランスが良くなる。そのため、数式(1)、数式(2)
及び数式(3)
【0032】
【数1】
【0033】(発光効率の計算式: φ:発光効率(量子収率)、φe:有機層に注入したキ
ャリアが全て発光に寄与した時の放射束(W)、φp:
実際に大気中に取り出された放射束(W)、F:光束
(lm)、Km:最大視感度(lm/W)、Vλ:比視
感度、Pλ:ELスペクトル強度(規格化)、J:電流
密度、S:発光面積)で示される発光の量子収率を大き
く向上させることができる。
【0034】また、ホール注入輸送層及び有機発光材料
層を形成するために、一般に用いられている真空蒸着法
において、蒸着の速度が大きいほど、形成された層のア
モルファス性が高く、結晶化しにくいといわれている。
更に、真空蒸着法で層を積層した場合、層間の密着性が
上がり、その密着性が発光効率の向上に寄与すると考え
られている。真空蒸着法で層を形成する場合、高速で蒸
着するために、材料を高温で加熱する必要がある。従っ
て、各層の材料には、耐熱性(高温で分解しない性質)
が要求される。本発明のホール注入輸送材料、有機発光
材料は、耐熱性が良好であるため、良好な特性を得るた
めの0.3nm/s以上の蒸着速度を確保することがで
きる。
【0035】なお、上記有機発光材料の内、R2 がメチ
ル基のもの(以下、AlMqと称する)は、第58回応
用物理学会学術講演会予稿集(1997)に記載されてお
り、本発明では、この予稿集に記載されたAlMqを使
用してもよい。更に、陰極と有機発光材料層との間に、
任意に電子注入層を形成してもよい。電子注入層を形成
することにより、有機発光材料層中への電子の注入及び
移動を促進することができる。電子注入層を構成する材
料としては、ガラス転移点が高く、結晶化を起こしにく
い化合物が好ましく、一般的に電子写真感光体の材料中
の電子輸送性化合物として使用することができる物質を
使用することができる。具体的には、トリニトロフロレ
ノン、1−シアノ−1−フェニル−2−(p−トリフロ
ロメチルフェニル)−エチレン、キナクリドン等が挙げ
られる。
【0036】この電子注入層の厚さは、10〜1000
nmであることが好ましく、20〜200nmであるこ
とが特に好ましいい。有機発光材料層の製造方法は、使
用する有機発光材料によって相違するが、例えば真空蒸
着法として、抵抗加熱蒸着法が挙げられる。また、有機
発光材料層に電子輸送性化合物を含ませることにより、
有機発光材料層に電子注入輸送機能をもたせてもよい。
【0037】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。
【0038】合成例 下記式(V)で示されるN,N’−ジ置換アミン化合物
と下記式(VI)で示されるアルデヒド誘導体2当量とを
DL−カンファースルホン酸触媒を用いて、トルエン中
で、加熱することによって脱水縮合させることにより、
下記式で示される化合物(1)を得た。なお、再結晶は
酢酸エチルで行った。
【0039】
【化9】
【0040】上記化合物(1)と同様の方法で、下記式
で示される化合物(2)〜(4)を合成した。
【0041】
【化10】
【0042】実施例1〜4及び比較例1 図1に示すように、厚さ1mmの透明なガラス基板1上
に、ITOからなる透明電極(陽極)2aをスパッタリ
ング法にて表面抵抗10Ω/cm2以下になるよう15
0nmの厚みで形成した。更に、透明電極2a上に、化
合物(1)から(4)のエナミン化合物を、それぞれ抵
抗加熱蒸着法により、蒸着速度0.35nm/sで、6
0nmの厚みで積層することでホール注入輸送層3を形
成した。
【0043】次に、ホール注入輸送層3上に式(5)
【0044】
【化11】
【0045】で示されるリガンドのキノリノールの4位
がメチル基で置換されたキノリノールアルミニウム錯体
(以下AlMqと略す)を抵抗加熱蒸着で蒸着速度0.
35nm/、70nmの厚みで積層することで有機発光
材料層4を形成した。更に、有機発光材料層4上に、A
l−Li合金(0.2wt%のLi含有)からなる陰極
2bを抵抗加熱蒸着法にて、蒸着速度0.4nm/s、
200nmの厚みで形成することにより有機EL素子を
得た。
【0046】なお、有機EL組成を構成する各膜は抵抗
加熱蒸着機の真空を破らずに一貫して形成した。更に、
比較例1として特開昭59−194393号公報記載の
TPDをホール注入輸送層として、Alq3を有機発光
材料層として用いた有機EL素子も同様に作成した。
【0047】このようにして作成した有機EL素子の陽
極2aと陰極2bとの間に陽極にプラス、陰極にマイナ
スの直流電界を印加して輝度100cd/m2に達する
電圧と電流、並びにピーク波長を測定し、さらに発光の
量子収率を算出した。測定は大気中で、室温(23℃)
で行った。
【0048】
【表1】
【0049】表1よりエナミン化合物をホール注入輸送
層に用い、且つAlMqを発光層として用いた本発明の
有機EL素子は、輝度100cd/m2に達する電圧、
量子収率とも、TPDとAlq3との組み合わせの比較
例1の素子と比較して優れていることが分かった。ここ
で、有機EL素子は、基本的には電流素子であるため、
発光時に発生するジュール熱の増減は、素子寿命に大き
く影響を与える。長期的には、発光時に発生するジュー
ル熱によって、ホール注入輸送層や有機発光材料層は、
構造的な変化(例えば、アモルファス状から結晶状)を
起こす。この変化により各層にクラックが入ったり、層
が剥がれたりするため、素子寿命が減少するものと考え
られる。そのため、素子に印加される電圧をより低くす
ることにより、所望の輝度の実現に必要な電力を抑制
し、その結果発生するジュール熱を減少させることが可
能となる。
【0050】上記観点から、表1を見ると、例えば、実
施例1の電力値は4.6×4.8=22.08mWであ
り、比較例1の電力値は6.2×6.8=42.16で
ある。つまり、比較例1に対して実施例1の素子は、2
2.08/42.16=約1/2に電力値を低減するこ
とができる。この結果、投入される電力が全てジュール
熱に変化されるわけではないものの、本発明の素子は相
対的にジュール熱を減少させることが可能となる。
【0051】比較例2 TPDとAlMqとを組み合わせること以外は、実施例
1と同様にして、有機EL素子を得た。得られた有機E
L素子の輝度100cd/m2に達する電圧を実施例2
の結果と併せて表2に示した。その結果、実施例2の方
が優れていることが分かった。
【0052】
【表2】
【0053】実施例1〜4のような低電圧発光の要因と
しては、エナミン骨格を有する化合物が高いホール輸送
効率を持つことに由来している。例えば、化合物(7)
とTPDのホール輸送効率(量子収率)を比較すると表
3に示すような結果となる。
【0054】
【表3】
【0055】また、高い量子収率を示す要因としては、
エナミン化合物とAlMqの本発明の組み合わせによる
ホール注入輸送層と有機発光材料層の界面の接合状態が
改善されているためであると考えられる。これはエナミ
ン化合物が下記表4に示すように高いガラス転移点を有
しており、各層の蒸着時にアモルファス性が高く、結晶
化しにくい均質な膜質であることと、その均質な膜質が
上面に積層されるAlMqへ良い影響を与えているため
であると考えられる。
【0056】
【表4】
【0057】特に化合物(6)からなるホール注入輸送
層とAlMqからなる有機発光材料層間の密着性は、走
査方顕微鏡で観察した結果からも良好であり、有機EL
素子の発光の安定性に密着性が大きく寄与している。こ
のことは、実施例1の素子の輝度半減期が約600時間
程度、実施例2〜4が約350時間であったのに対し、
比較例が約300時間であったことからも言える。
【0058】
【発明の効果】本発明の有機EL素子は、ディスプレイ
用の光源としての実用輝度(100cd/m2)での電
圧及び電流を低くすることができる。更に、発光の効率
(量子収率)も優れている。従って、本発明の有機EL
素子は、低電圧、高輝度の光源として、さらには表示素
子としての様々の応用展開が可能であるため、高い工業
的価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の有機EL素子の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2a 陽極 3 ホール注入輸送層 4 有機発光材料層 2b 陰極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、陽極、ホール注入輸送層、有
    機発光材料層及び陰極をこの順で備えるか、又は、陰
    極、有機発光材料層、ホール注入輸送層及び陽極をこの
    順で備え、 ホール注入輸送層が、一般式(I) 【化1】 (式中、nは1〜3の整数、mは2又は3の整数、R1
    は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基又は低級ア
    ルコキシ基、Arは置換されていてもよい炭素数6〜1
    3のアリール基である。)のエナミン化合物からなるホ
    ール輸送材料を含み、有機発光材料層が、一般式(II) 【化2】 (式中、R2 はハロゲン原子、低級アルキル基又は低級
    アルコキシ基である)の置換キノリノールアルミニウム
    錯体からなる有機発光材料を含むことを特徴とする有機
    エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 一般式(I)のArが、置換されていて
    もよいフェニル基又はナフチル基である請求項1の素
    子。
  3. 【請求項3】 一般式(I)のエナミン化合物のnが
    2、mが3、Arが置換されていてもよいフェニル基又
    はナフチル基であり、一般式(II)の置換キノリノールア
    ルミニウム錯体のR2 がメチル基である請求項2の素
    子。
  4. 【請求項4】 一般式(I)のエナミン化合物が、 【化3】 から選択される請求項3の素子。
  5. 【請求項5】 ホール注入輸送層が、1×10-5cm2
    /Vs以上のホールの移動度を有し、かつ有機発光材料
    層より小さいエネルギー障壁を有する請求項1〜4いず
    れか1つの素子。
  6. 【請求項6】 基板上に、陽極、ホール注入輸送層、有
    機発光材料層及び陰極をこの順で備えた有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子であって、該素子の輝度100cd
    /m2 に達する電圧が5.0V以下である請求項1〜5
    いずれか1つの素子。
JP10141486A 1998-05-22 1998-05-22 有機エレクトロルミネッセンス素子 Pending JPH11339965A (ja)

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US6844090B2 (en) 2001-09-06 2005-01-18 Lg Electronics Inc. Organic electroluminescent device
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