JP3883311B2 - トリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物および有機電界発光素子 - Google Patents

トリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物および有機電界発光素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物および有機電界発光素子に関する。さらに詳しくは、本発明は、新規なトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物およびこの新規化合物を使用した、駆動電圧が小さく、熱安定性に優れ、発光効率が良好な有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機電界発光素子(以下、電界発光素子を「EL素子」と略す)は、自己発光性のため視界認識性が高く、かつ完全固体素子であるため耐衝撃性に優れるなどの特徴を有している。このことから、近年、有機EL素子は各種表示、バックライト用ランプなどへの応用が注目されている。
【0003】
このEL素子には、発光層に無機化合物を用いる無機EL素子と有機化合物を用いる有機EL素子とがある。これらEL素子のなかでも、有機EL素子は、印加電圧の低減とフルカラー対応を目的として、その実用化の研究が積極的になされている。
【0004】
有機EL素子は、陽極/発光層/陰極を基本構成とし、これに陽極より注入された正孔を、効率よく発光層に伝達する機能を有する正孔注入輸送層や、陰極より注入された電子を、効率よく発光層に伝達する機能を有する電子注入輸送層を、適宜設けたものがよく知られている。
【0005】
このような構成の有機EL素子のなかで、特に優れた性能を有しているものとして、陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極の構成を有する素子が種々提案されている(例えば、米国特許第4,539,507号公報、同第4,769,292号公報、特開昭59−194393号公報および特開昭63−295695号公報参照)。
例えば、上記構成の有機EL素子においては、正孔注入輸送層に薄膜形成性に優れた材料を用いることにより、正孔注入輸送層と発光層との合計膜厚を150nm以下にすることを可能にし、その結果、20V以下の駆動電圧で高輝度の発光を得ることに成功している。
【0006】
また、正孔注入輸送層に、電子を輸送せず電子に対して障壁として作用するトリフェニルアミン系の正孔注入輸送化合物を用いて、正孔注入輸送層と発光層との界面に存在する電子の障壁により、この発光層内の界面に電子を蓄積し、さらに、発光層の材料としてアルミニウム(III)錯体を用いることによって、10V以下の低い印加電圧で、1000cd/m2 の高輝度の緑色発色を、発光効率1.5ルーメン/Vという高い値で実現している。
【0007】
ところで、上記の有機EL素子は、電子と正孔との再結合を発光機構としているため、理論的には発光ダイオードなみの低電圧駆動(2〜6V)が可能なはずである。
しかし、現状では駆動電圧はこのレベルに到っていない(具体的には、8V以上)。これは陽極と正孔注入輸送層との界面に存在する正孔注入に対するエネルギー障壁、あるいは発光層と陰極との界面に存在する電子注入に対するエネルギー障壁によるものである。
さらに、一般的な発光の量子効率は40%程度が上限であるといわれているが、有機EL素子においては、まだ3%程度である。
【0008】
このように、陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極の構成を有する有機EL素子においては、他の構成の有機EL素子に比べて性能は優れているが、駆動電圧および発光効率については必ずしも十分に満足し得るものではない。
さらに、有機EL素子は、無機EL素子に比べてその構成材料の劣化特性が良好でなく、このため長時間の使用に耐えられないという問題点が解決されていない。
【0009】
また、米国特許第5,554,450号公報、特開平8−48974号公報および特開平6−312981号公報には、分子中にN−フェニル基またはその置換体、さらにはその他のN−アリール基やN−カルバゾールなどを主体とするトリフェニルアミノ体およびトリフェニルベンゼンを正孔輸送層に用いるEL素子が開示されている。
しかしながら、上記公報に記載の化合物は、有機EL素子の低電圧駆動に充分な正孔輸送効率を有していない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水や酸素などの物質による化学的劣化、および光や熱などによる物理的劣化が小さく、かつ高性能なフォトニック機能を有する新規化合物を提供することを課題とする。また、本発明は、前記の新規化合物を有機EL素子用化合物として用いることにより、良好な発光効率、高輝度発光、低駆動電圧での発光、化学的および物理的劣化の小さい有機EL素子を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述のような優れた特徴を有する有機EL素子を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極の基本構成に、少なくとも正孔注入輸送層中の正孔注入輸送化合物として上記のトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物を用いた場合に、各界面に存在する電荷注入のエネルギー障壁が緩和され、より低い駆動電圧が可能となるとともに、高い発光効率と長時間安定な有機EL素子が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
また、所望により、上記の有機EL素子に特定の電子障壁層を設けることにより、発光効率がより一層向上することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
かくして、本発明によれば、一般式(I):
【0013】
【化8】
Figure 0003883311
【0014】
(式中、Aは、メチル基、エチル基、 n- プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基から選択される少なくとも1種で置換されたアリール基もしくは非置換のアリール基または低級アルキル基であり;R1は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコシキ基であり;R2およびR3は同一または異なって、水素原子、低級アルキル基またはメチル基、エチル基、 n- プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基から選択される少なくとも1種で置換されたアリール基もしくは非置換のアリール基であり;R2およびR3は互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよく、さらに該環が芳香環と縮合されていてもよい)で示されるトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、基板上に陽極、正孔注入輸送層、発光層および陰極がこの順で積層された有機電界発光素子であって、前記正孔注入輸送層が、上記のトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物(以下、「ベンゼン化合物」と略す)は、CA(Chemical Abstract)やJOC(Journal of Organic Chemistry)などにも記載されていない新規な化合物であり、下記の一般式(I)の構造を有する。
【0017】
【化9】
Figure 0003883311
【0018】
(式中、Aは置換もしくは非置換のアリール基または低級アルキル基であり;R1 は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコシキ基であり;R2 およびR3 は同一または異なって、水素原子、低級アルキル基または置換もしくは非置換のアリール基であり;R2 およびR3 は互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよく、さらに該環が芳香環と縮合されていてもよい)
【0019】
一般式(I)におけるAの「アリール基」としては、例えば、フェニル基、(1−または2−)ナフチル基および(1−,2−または9−)アントリル基(アントラニル基)などの炭素数6〜14のものが挙げられ、なかでも、フェニル基およびナフチル基が好ましく、合成の材料的見地からフェニル基が特に好ましい。
【0020】
この「アリール基の置換基」はモノ置換体に限らず、ジ置換体およびトリ置換体であってもよい。複数の置換基は同一または異なる置換基であってもよく、その置換位置は、立体障害があり、かつ合成面で問題があるオルト位ではなく、パラ位およびメタ位が好ましい。
置換基としては、電子供与基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル基などのアルキル基、メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基などが挙げられる。なお、隣接する置換位置に置換した2つのアルコキシ基が互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよい。
【0021】
Aの「低級アルキル基」としては、炭素数1〜4のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基およびイソブチル基などが挙げられる。なかでも、ベンゼン環のファンデルワールス半径を大きく超えない、比較的炭素数の小さいものが好ましい。
上記以外にもアルキル基の置換体が考えられるが、有機EL素子材料として利点はあまりない。また、Aがメチル基のような「アルキル基」の場合、融点やガラス転移点が比較的高くなく、それに付随して熱安定性に欠けるので、Aとしては「アリール基」が好ましい。
【0022】
一般式(I)におけるR1 の「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子などが挙げらる。また、「低級アルキル基または低級アルコキシ基」としては、Aにおける「低級アルキル基」と同様、ベンゼン環のファンデルワールス半径を大きく超えない、比較的炭素数の小さいものが好ましい。
具体的には、Aに例示の炭素数1〜4のアルキル基、およびメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。有機EL素子材料としては、R1 は水素原子のものが特に好ましい。
【0023】
一般式(I)におけるR2 およびR3 の「低級アルキル基」としては、Aにおける「低級アルキル基」と同様、ベンゼン環のファンデルワールス半径を大きく超えない、比較的炭素数の小さいものが好ましい。
具体的には、Aに例示の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル基などが好ましい。
また、「アリール基」およびこの「アリール基の置換基」としては、Aに例示のものが挙げられ、フェニル基が特に好ましい。一般に、非置換体を含むメチル基などの低級アルキル基やメトキシ基などの低級アルコキシ基が置換したアリール基は、分子のとり得るコンホメーション(配座)数が多く、分子自体のアモルファス性の保持が容易になる。
さらに、R2 およびR3 は互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよく、さらに該環が芳香環と縮合していてもよい。なかでも単環式の6員環を有する化合物が、合成面および正孔注入輸送効率の観点から好ましい。特に、
【0024】
【化10】
Figure 0003883311
【0025】
で示される1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチリデン基が好ましい。
【0026】
上記の一般式(I)で示される化合物(以下、「化合物(I)」と略す)のなかでも、R1 が水素原子で、かつR2 およびR3 がフェニル基である副式(II):
【0027】
【化11】
Figure 0003883311
【0028】
(式中、Aは一般式(I)と同義である)
で示される化合物(以下、「化合物(II)」と略す)、およびR1 が水素原子で、かつR2 およびR3 が上記の1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチリデン基である副式(III):
【0029】
【化12】
Figure 0003883311
【0030】
(式中、Aは一般式(I)と同義である)
で示される化合物(以下、「化合物(III)」と略す)は、非常に高いガラス転移温度を有し、基板等との密着性が良好であり、好ましい。
【0031】
また、上記の化合物以外にも、一般式(I'):
【0032】
【化13】
Figure 0003883311
【0033】
(式中、R1 、R2 およびR3 は一般式(I)と同義である)
で示される化合物(以下、「化合物(I')」と略す)が挙げられる。
【0034】
化合物(II)、(III)および(I')の具体例を以下に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003883311
【0036】
【表2】
Figure 0003883311
【0037】
【表3】
Figure 0003883311
【0038】
表1および2に記載の本発明のベンゼン化合物はすべて293Kでの正孔輸送度が10-5(cm2 -1-1)以上の高い正孔輸送材料である。
特に、表1における例示化合物4、5、7、9および10、表2における例示化合物13および14、ならびに表3における例示化合物22および28は、高いガラス転移温度と良好な基板等への密着性を有し、有機EL素子の正孔輸送材料として優れた化合物であり、正孔輸送度2.0×10-4(cm2 -1-1)を有する。
【0039】
本発明のベンゼン化合物は、新規な化合物ではあるが、合成法については、公知の方法を適用することができる。例えば、米国特許第5、554、450号公報、テトラヒドロンレポート,No.138,第3363頁、特開平6−1972号公報および特開平6−312981号公報に参考になる合成法が記載されている。
【0040】
本発明のベンゼン化合物の合成法の概要を反応式を用いて以下に説明する。なお、反応式中の置換基の各記号は一般式(I)と同義である。
(第1の合成法)
まず、溶剤中(例えば、氷酢酸)、下記式の置換または非置換のトリフェニルベンゼンとハロゲン化物(例えば、ヨウ化カリウムおよびヨウ素酸カリウム、以下、ヨウ素を用いて説明する)とを加熱し、トリフェニルベンゼンの3個のフェニル基のパラ位をヨウ素置換してトリ−(p−ヨードフェニル)ベンゼンを得る。この際、反応性の点からハロゲンはヨウ素が好ましい。
【0041】
【化14】
Figure 0003883311
【0042】
次いで、得られたトリ−(p−ヨードフェニル)ベンゼンと下記式のアセチル化アミド化合物(アセトアミド誘導体)とを適当な溶剤中(例えば、トルエン、ニトロベンゼン、キシレンまたはn-ブチルアルコールなど)、塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)および触媒としての銅(例えば、銅粉またはヨウ化銅粉など)の存在下で加熱して、N−アセチル−N−アリール置換体トリフェニルベンゼン〔トリ−(p−アセトアミノフェニル)ベンゼン〕を得る(ウルマン反応)。
【0043】
【化15】
Figure 0003883311
【0044】
得られたトリ−(p−アセトアミノフェニル)ベンゼンを塩酸などを用いて加水分解することにより下記構造式で示される第2級アミノ置換体〔トリ−(p−N−A置換アミノフェニル)ベンゼン〕を得る。これと下記一般式(VII)で表されるアルデヒド誘導体とを、溶剤中(例えば、ベンゼン、トルエンおよびエタノールなど)、p−トルエンスルホン酸などの触媒の存在下で反応させることにより、本発明のベンゼン化合物を得る。なお、第2級アミノ置換体への変換反応では、直接第1級アミン化合物を反応させてもよい。
【0045】
【化16】
Figure 0003883311
【0046】
第1の合成法は、 (1)トリフェニルベンゼンのパラ位のハロゲン置換体合成、 (2)第2級アミノ置換体への変換反応、および (3)副生成した水を反応系外に取り出すエナミン化合物生成に伴う脱水反応よりなる。
このように、本発明のベンゼン化合物は、複雑な工程を経ずに簡単な系で合成することができる。
【0047】
(第2の合成法)
まず、下記式のN−A−アニリンと一般式(VII)で示されるアルデヒド誘導体とを加熱して、エナミン化合物を合成する。
【0048】
【化17】
Figure 0003883311
【0049】
次いで、得られたエナミン化合物とアセチル化剤(例えば、アセチルクロライド)とを、フリーデルクラフト触媒(例えば、塩化アルミニウム)の存在下で加熱して、一般式(VIII)で示されるエナミン化合物のアセチル化体を得る。
【0050】
【化18】
Figure 0003883311
【0051】
得られたエナミン化合物のアセチル化体3単量体を適当な脱水触媒(例えば、チタンクロライドまたはシリコンクロライド)の存在下で脱水閉環して、本発明のベンゼン化合物を得る。
【0052】
【化19】
Figure 0003883311
【0053】
第2の合成法は、 (1)エナミン化合物の合成、 (2)フリーデルクラフト反応によるアセチル化反応、および (3)強い脱水触媒を用いた乾燥溶媒中の加熱からなる。
第2の合成法は、いわば第1の合成法の逆の方法であり最後に脱水閉環することにより目的物を得る。
【0054】
本発明のベンゼン化合物は新規化合物であって、次のような特徴を有する。
1)融点やガラス転移温度Tgが高い
2)酸素、炭酸ガス、水蒸気などの作用を受けにくい
3)10-4オーダーの非常に高い電荷輸送効率を保持し、それに伴い低い受光開始電圧での有機EL素子を発現する
4)蒸着などにより成膜された透明薄膜である
5)高温、高湿および低温、低湿で安定なアモルファス状態を保持する
6)平滑で密着性に優れた膜質であり、それに伴い安定性の高い有機EL素子を発現する
【0055】
上記の特徴は、本発明のベンゼン化合物が有する次のような構造上の特徴に由来するものと考えられる。
1)分子量が非常に大きい組織で、一定の単量体構造を有する
2)分子の剛直性が大きく、高いガラス転移点Tgを発現する
3)高い電荷輸送効率を有するエナミン構造を規則的に3個有する
4)立体障害のあるナフタレン基、フェニル基のようなバルキー置換基の導入により、分子間の重なりが最適化されている
5)分子のとり得るコンホメーション数が多く、分子の再配列が妨げられている
6)分子構造上の対称点が拡散傾向を有し、中核の分子配列と周辺の分子配列とが異なっている
【0056】
本発明のトリフェニルベンゼン化合物と比較的近い類似構造を有する米国特許第5,554,450号公報、特開平8−48974号公報および特開平6−312981号公報などに記載のトリフェニルアミノ体およびトリフェニルベンゼンとは、次の点で異なる。
すなわち、上記の先行文献に記載の化合物は、分子中にN−フェニル基またはその置換体、さらにはその他のN−アリール基やN−カルバゾールなどを主体としている。一方、本発明のベンゼン化合物は、高い正孔輸送効率を有するビニルアミン(エナミン)構造が規則的に放射状に拡散しているので、非常に高い正孔輸送効率を有する〔シャープ技報、 No.62、第23〜26頁(1995)参照〕。また、正孔輸送効率が高ければ、発光開始電圧の低減化が実現でき、有効な発光体との組み合わせにより、4.0V程度の非常に低い電圧で発光が可能となる。
【0057】
本発明の有機EL素子は、主として、基板上に陽極、正孔注入輸送層、発光層および陰極がこの順に積層されて構成される。なお、これらの基板−陽極、陽極−正孔注入輸送層、正孔注入輸送層−発光層および発光層−陰極の間に、任意に電子注入層、電荷障壁層およびバッファ層などの中間層を設けてもよい。
なかでも、発光層−陰極の間に電子注入層が、発光層に面して電荷障壁層が形成されていることが好ましい。
【0058】
発光層に面した電荷障壁層としては、正孔障壁層、電子障壁層の2つのタイプが挙げられるが、電子障壁層の方が効率的であるため好ましい。ここで、発光層に面して形成されているところは、電子障壁層の場合には、発光層と正孔注入輸送層との間、好ましくは発光層の陽極側表面に接するように設けられることを意味する。また、正孔障壁層の場合には、発光層と陰極との間、好ましくは発光層の陰極側表面に接するように設けられることを意味する。
【0059】
具体的な層構成としては、
(1)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(3)陽極/正孔注入輸送層/電子障壁層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔注入輸送層/電子障壁層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(5)陽極/正孔注入輸送層/電子障壁層/発光層/正孔障壁層/電子注入輸送層/陰極
などが挙げられる。
【0060】
上記の有機EL素子は、いずれの場合も基板に支持されていることが好ましい。基板としては、通常、有機EL素子に用いられているものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、透明プラスチックまたは石英などからなるものが挙げられる。また、これらの基板上に所望の絶縁層や、素子、回路および所望の絶縁膜などが形成されていてもよい。ただし、層構成が多層になると、有機EL素子の作製の制御が困難になるなどの問題点も増大するため、できるだけ簡単な素子構造になるようにすることが好ましい。
【0061】
本発明における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、導電性化合物、透明導電性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものなどが挙げられる。なかでも、陽極側から発光を取り出すことが一般的であるため、透明導電性化合物(例えば、ITO)が好ましい。陽極は、上記電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により薄膜状に形成することができる。
【0062】
上記陽極によって発光を取り出す場合には、透過率を大きくすることが必要であるため、シート抵抗は数102Ω程度以下であることが好ましい。また、陽極の膜厚は、使用する電極物質によって異なるが、例えば、10〜300nm程度が好ましい。
【0063】
本発明における正孔注入輸送層は、陽極から注入された正孔を後述する発光層まで伝達する機能を有している。
この正孔注入輸送層は、本発明のベンゼン化合物を含有する。これらの化合物は優れた熱安定性、高い正孔移動効率、低い駆動電圧、非晶性の保持などの点からも、正孔注入輸送層の主要材料として最適である。
【0064】
なお、本発明のベンゼン化合物は、任意に他の輸送材料と併用させることによって、さらに低い駆動電圧および高い発光効率で高輝度の発光を有する有機EL素子を得ることができる場合がある。
このような輸送材料としては、従来から電子写真用の正孔輸送化合物として知られているものや、他の有機EL素子の正孔注入輸送化合物として知られているものなどの中から選択して使用することができる。
【0065】
例えば、トリアゾール化合物(米国特許第3,112,197号公報参照)、ピラゾリン化合物(米国特許第3,180,729号公報参照)、アリールアミン化合物(米国特許第3,567,450号公報および同第3,180,703号公報参照)、ポリフィリン化合物(特開昭63−295695号公報参照)、スチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号公報、特開昭54−58445号公報および特開昭54−149634号公報参照)などが挙げられる。
なお、任意に他の輸送材料と併用させる場合には、融点降下による熱的劣化が促進されることもあり、併用割合は数%以下が好ましい。
【0066】
本発明においては、主に析晶化防止のために本発明のベンゼン化合物に他の公知の正孔輸送材料を任意に混合してもよい。また、エネルギー準位の調整等のために、公知の電子輸送材料を任意に混合してもよい。これら混合割合は10%以下(重量部)が好ましい。
【0067】
本発明における発光層は、固体状態で発光性を有する有機化合物からなり、少なくとも(1)電界印加時に、陽極または正孔注入輸送層より正孔を注入することができる注入機能、および陰極または電子注入輸送層より電子を注入することができる注入機能、(2)注入した電荷(電子または正孔、通常は正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、ならびに(3)電子と正孔の再結合の場を提供し、これにより発光をもたらす機能のいずれか1つ、好ましくはすべての機能を有するものである。発光層の膜厚は、10〜2000nm程度の薄膜層状のものが好ましい。なお、正孔の注入されやすさと、電子の注入されやすさとに違いがあっても良いし、電子と正孔の移動度で表わされる輸送機能に大小があってもよいが、少なくともどちらか一方の電荷を移動させることができることが好ましい。
【0068】
上記(1)の注入機能において、適当な陽極材料を選べば比較的正孔を注入しやすいことから、発光層のイオン化エネルギーは6.0eV程度以下であることが好ましい。一方、適当な陰極材料を選べば比較的電子を注入しやすいことから、電子親和力は2.5eV程度以下であることが好ましい。
また、上記(3)の発光機能については、固体状態での発光性が強いことが望ましい。
【0069】
上記の発光層を構成する有機化合物は、特に限定されるものではなく、公知の化合物の中から、任意のものを選択して用いることができる。例えば、多環縮合芳香族化合物;ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾールなどの蛍光増白剤;金属キレート化オキシド化合物;スチリル化合物などが挙げられる。
【0070】
多環縮合化合物としては、例えば、アントラセン、ナフタレン、フェナスレン、ピレン、ペリレン骨格を含む縮合環発光化合物、および8個の縮合環を含む他の縮合環発光化合物などが挙げられる。
蛍光増白剤としては、例えば、特開昭59−194393号公報に記載のものが挙げられる。
【0071】
金属キレート化オキシド化合物としては、例えば、特開昭63−295695号公報に記載のものが挙げられる。
スチリル化合物としては、例えば、特開昭62−312356号公報および特開昭63−80257号公報に記載のものが挙げられる。
【0072】
また、上記の発光層は、任意に2層以上の積層構造をとってもよい。例えば、米国特許第4,769,292号公報に記載されているような、ホスト物質と蛍光物質との積層構造でもよい。この場合のホスト物質は薄膜状の層であって、発光層の機能のうち、注入輸送機能および発光機能の一部を受け持ち、蛍光物質は、ホスト物質の層の中に微量(数%)存在させ、電子と正孔の結合に応じて発光するという発光機能の一部を担う。
【0073】
また、発光層に用いる有機化合物は、薄膜形成性を有さない化合物であってもよく、例えば、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエンなどを用いることができる。
【0074】
これらの正孔輸送材料および有機発光材料の薄膜化の方法は、例えば、スピンコート法、キャスト法、LB法、蒸着法などが挙げられるが、なかでも、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい方法である蒸着法が好ましい。
蒸着法を用いる場合、その蒸着条件は、使用する有機材料の昇華温度、目的とする薄膜の状態、結晶性、結晶の配向などにより異なるが、一般にボード加熱温度50〜500℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜+300℃、膜厚5〜500nmの範囲で適宜選択することができる。
【0075】
本発明における陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、導電性化合物、透明導電性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものなどが挙げられる。なお、一般的には、陽極および陰極のいずれか一方が透明または半透明であることが、発光を取り出す効率が良いため好ましい。通常、陽極側から発光を取り出す。陰極は、上記電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により薄膜状に形成することができる。なお、陰極のシート抵抗、膜厚などは陽極と同様とすることができる。
【0076】
本発明において、任意に設けることができる電子注入輸送層は、電子伝達化合物からなるものであって、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有している。
上記の電子伝達化合物は、特に限定されるものではなく、公知の化合物の中から適宜選択して用いることができる。このような化合物としては、例えば、ニトロ置換フロレノン化合物、チオピラジンオキシド化合物、ジフェニルキノン化合物、アントラキノジメタン化合物(特開昭57−149259号公報および特開昭58−55450号公報参照)、アントラン化合物(特開昭61−225151号公報および特開昭61−233750号公報参照)などが挙げられる。
電子注入輸送層は、上記の電子伝達化合物を蒸着法などにより薄膜状に形成することができる。
【0077】
本発明において、任意に設けることができる発光層に面した電荷障壁層のうち、電子障壁層は、発光層より陽極側に出ていこうとする電子を発光層内に留める役割を有しており、発光層より低い電子移動度をもつ層であるか、または発光層より小さい電子親和力をもつ層であることが好ましい。
【0078】
のような電子障害層が含有する化合物としては、一般式(IV):
【0079】
【化20】
Figure 0003883311
【0080】
〔式中、A、R1 、R2 およびR3 は一般式(I)と同義であり;nは1〜3の整数である〕
で示されるN,N’型芳香族エナミン化合物(以下、「化合物(IV)」と略す)、一般式(V):
【0081】
【化21】
Figure 0003883311
【0082】
〔式中、A、R1 およびnは一般式(IV)と同義であり;R4 およびR5 は同一または異なって、水素原子、低級アルキル基または置換もしくは非置換フェニル基であり;R6 は水素原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり;R4 およびR5 は互いに結合して環を形成してもよい〕
で示されるN,N’型芳香族エナミン化合物(以下、「化合物(V)」と略す)および、一般式(VI):
【0083】
【化22】
Figure 0003883311
【0084】
〔式中、A、R1 およびnは一般式(IV)と同義であり;R7 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基または置換もしくは非置換のフェニル基である〕で示されるN,N’型芳香族アミン化合物(以下、「化合物(VI)」と略す)、トリフェニルアミン系化合物(特開昭59−194393号公報および特開昭63−295695号公報参照)および無機アモルファス化合物(特開平3−77299号公報参照)などを含有するものが挙げられる。
【0085】
ここで、一般式(V)および一般式(VI)のR4 〜R7 としては、一般式(I)のR1 〜R3 に例示のものが挙げられ、一般式(V)のR6 は水素原子が好ましい。
【0086】
上記の電子障害層が含有する化合物のなかでも、一般式(IV)および(V)で示される化合物が好ましい。
このような好ましい理由は、化合物(IV)および(V)と本発明のベンゼン化合物との移動度が適当な相関関係にあること、「すなわち、両化合物の移動度が高く、本発明のベンゼン化合物の移動度が、化合物(IV)および(V)に比べて少し高いこと」によるものと考えられる。また、化合物(IV)および(V)のイオン化エネルギー値が、発光層を構成する化合物と本発明のベンゼン化合物とのイオン化エネルギー値の間にあるものが多いこともひとつの要因として考えられる。さらに、上記の化合物(IV)および(V)と本発明のベンゼン化合物とが類似の構造を分子内に有していることや、これらの層間の接着性も好ましい理由の要因として考えられる。
【0087】
ここで、化合物(IV)、(V)および(VI)の具体例を以下に示す。なお、表5において、化合物(V)の置換基R6 はすべて水素原子である〔化合物(V)'〕。
【0088】
【表4】
Figure 0003883311
【0089】
【表5】
Figure 0003883311
【0090】
【表6】
Figure 0003883311
【0091】
上記化合物のうち、特に表4のおける例示化合物3、6、および8、表5のおける例示化合物9、ならびに表6のおける例示化合物2および13は、有機EL素子の電子障害層が含有する化合物として好ましい。
【0092】
電荷障壁層のもうひとつのタイプである正孔障壁層は、発光層より陰極側に出ていこうとする正孔を、発光層内に留める役割を有しており、発光層より低い正孔移動度をもつ層であるか、または発光層より大きなイオン化エネルギーをもつ層であることが好ましい。
【0093】
このような正孔障壁層としては、無機アモルファス化合物(特開平3−77299号公報参照)が好ましい。前記公報に記載の化合物のなかでも、N型のα−SiCが特に好ましい。しかし、電子伝達化合物に比べて、正孔障壁層を構成する化合物として非常に有効な化合物は今のところ、見出されていない。
【0094】
本発明においては、さらに任意にバッファ層を設けてもよい。バッファ層は、剥離現象の防止、さらには正孔または電子の注入効率の向上を目的とする層である。バッファ層の材料としては、各種フタロシアニン顔料、各種有機金属化合物(例えば、トリアルコキシアルミニウム、ステアリン酸亜鉛、トリアセチルアセトンアルミニウム、ジアセチルアセトンマグネシウムなど)、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0095】
バッファ層を設ける位置は、特に限定されるものではないが、剥離現象が起こりやすい位置、すなわち前記の層構成(1)の場合には、陽極−正孔注入輸送層の間、または発光層−陰極の間、層構成(2)〜(5)の場合には、陽極−正孔注入輸送層の間、または電子注入輸送層−陰極の間にバッファ層を設けることが効果的である。
バッファ層の膜厚は、バッファ層をどの位置に設けるかにより異なるが、例えば、10〜300nm程度が好ましい。
【0096】
次に、本発明の有機EL素子の好適な作製方法について説明する。
前記の層構成(1)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極を有する有機EL素子は、次のように作製することができる。
【0097】
まず、適当な基板上に、所望の陽極材料からなる薄膜を500nm以下、好ましくは10〜200nmの範囲になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により、陽極を形成する。
次いで、本発明のベンゼン化合物を、蒸着やスピンコードなどの方法により陽極上に薄膜状に形成することにより、正孔注入輸送層を形成する。この際の膜厚は、発光を基板側から取り出す場合には透明率を高めるために、5〜200nm程度が好ましい。
【0098】
続いて、このベンゼン化合物からなる正孔注入輸送層の上に、有機発光材料を、蒸着法などにより、5〜1500nmの範囲の膜厚で積層して発光層を形成する。
その後、この発光層の上に、陰極材料からなる薄膜を500nm以下、好ましくは10〜30nmの範囲になるように、蒸着やスパッタリング法などの方法により陰極を形成する。
なお、上記の方法は、陰極側から逆の工程で行ってもよい。
【0099】
前記の層構成(2)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極を有する有機EL素子は、発光層上に、蒸着やスパッタリング法などの方法より有機系化合物を、またはプラズマCVDなどの方法により無機系化合物のN型a−SiCなどを薄膜状に形成して、膜厚100nm程度以下の電子注入輸送層を形成し、その後に陰極を形成する以外は、上記(1)と同様に作製することができる。
なお、上記の方法も、陰極側から逆の工程で行ってもよい。
【0100】
前記の層構成(3)〜(5)を有する有機EL素子も、上記(1)および(2)に準じて作製することができる。ただし、層構成(3)を有する有機EL素子で、電子障壁層を設ける場合、用いる有機系材料と無機系材料とで膜厚に差はない。その膜厚は、透過率が損なわれないように、5〜200nm程度、好ましくは50nm程度以下が好ましい。
【0101】
このようにして得られた本発明の有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として駆動電圧1〜30V程度の電圧を印加すると、発光が透明または半透明の電極側より観察できる。なお、逆の極性で電圧を印加しても発光は生じない。
また、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときにのみ発光する。なお、印加する交流電圧の波形は任意でよい。
【0102】
【実施例】
本発明を合成例および実施例によりさらに詳細に説明するが、これらの合成例および実施例により本発明が限定されるものではない。
【0103】
合成例1(例示化合物4の合成)
下記構造式で示されるN−1,1−ジフェニルビニル−N−フェニルアミノアセトフェノン16.0gをn−ブタノール300mlに分散させた液中に、シリコンクロライド8.5gをn−ブタノール30mlに溶解した溶液を、室温下で徐々に加えて、室温下で一昼夜撹拌し、次いで160℃の油浴中で2時間加熱還流を行った。
【0104】
【化23】
Figure 0003883311
【0105】
室温まで冷却した後、得られた反応溶液を約3lの水中に注入し、析出した黒褐色の固形物を濾取した。次いで、この固形物を水洗し、カラムクロマト(展開溶剤:n−ヘキサン+塩化メチレン)により分離精製を行い、青緑色の強い蛍光を有する例示化合物4(3.8g)を得た。
最後に、得られた例示化合物4を酢酸ブチルにより再結晶を行った。
ガラス転移点Tgは、153.0℃であった。
図1に例示化合物4のIRスペクトル図(KBr)を示す。
【0106】
図1によれば、714cm-1、848cm-1および882cm-1に1,3,5−トリフェニル置換体フェニルに基づく吸収が認められ、696cm-1、754cm-1および1591cm-1にジ置換体フェニルに基づく吸収が認められる。また、1500cm-1および1600cm-1付近にモノ置換体フェニルに基づく吸収が大きく認められる。3410cm-1の第2級アミンに基づく吸収および1703cm-1のケトンに基づく吸収は消滅し、逆に1306cm-1の第3級アミンに基づく吸収が認められる。
【0107】
合成例2(例示化合物9の合成)
N−1,1−ジフェニルビニル−N−フェニルアミノアセトフェノン16.0gの代わりにN−1,1−ジフェニルビニル−N−(p−トリル)アミノアセトフェノン17.8gを用いる以外は、合成例1と同様にしてトリス〔N−1,1−ジフェニルビニル−N−(p−トリル)アミノフェニル〕ベンゼンを得た。この化合物も蛍光性の強い黄緑色の粉末で、ガラス転移温度Tgは、155.4℃であった。
【0108】
合成例3(例示化合物22の合成)
N−1,1−ジフェニルビニル−N−フェニルアミノアセトフェノン16.0gの代わりにN−1,1−ジ(p−メトキシフェニル)ビニル−N−フェニルアミノアセトフェノン19.5gを用いる以外は、合成例1と同様にしてトリス〔N−1,1−ジ(p−メトキシフェニル)ビニル−N−フェニルアミノフェニル〕ベンゼンを得た。この化合物も蛍光性の強い黄緑色の粉末で、ガラス転移温度Tgは、161.5℃であった。
【0109】
合成例4(例示化合物13の合成)
N−1,1−ジフェニルビニル−N−フェニルアミノアセトフェノン16.0gの代わりにN−1−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタジエニル)−N−フェニルアミノアセトフェノン15.6gを用いる以外は、合成例1と同様にして例示化合物13を得た。この化合物も蛍光性の強い黄褐色の粉末で、ガラス転移温度Tgは、166.3℃であった。
【0110】
なお、本発明の他のベンゼン化合物についても、上記と同様の合成方法により合成できる。
これらのベンゼン化合物は、共通して強い青色〜黄緑色の蛍光を有し、ほんとどすべての化合物が100℃以上のガラス転移点を有し、非常に高い熱的安定性(熱分解、状態変化)の良好な特徴を有する。
【0111】
また、これらの化合物を有機EL素子の正孔輸送層に用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、再々精製、昇華精製などを行い、できる限り純化することが望ましい。特に融点は純度に影響を受けやすく、逆にこれが合成した化合物の純度の目安になる。ガラス転移点Tgは、素子の膜状態変化の目安となり、結晶化が起こらなければ、Tgは高いほどよい。
【0112】
実施例1〜
ガラス基板(25mm×75mm×厚さ1.1mm、HOYA社製)上に、透明電極として用いるITOを膜厚100nmで蒸着して透明支持基板とし、これをエチルアルコール、次いでアセトン中で超音波洗浄した。次いでこの透明支持基板を乾燥窒素ガスで乾燥した。
得られた透明支持基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、モリブデン製抵抗加熱用ボートに表1および表2に記載の昇華精製したベンゼン化合物200mgを入れ、一方、同様の抵抗加熱用ボートに昇華精製したトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)200mgを入れて、真空チャンバー内を1×10-4Paまで減圧した。
なお、実施例1および2では、ベンゼン化合物として、それぞれ表1に記載の例示化合物4および表2に記載の例示化合物13を用いた。
【0113】
まず、ベンゼン化合物の入った抵抗加熱用ボートを230〜240℃まで加熱し、内容物を蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で透明支持基板上に堆積させ、膜厚50〜75nmの正孔注入輸送層を形成した。この際の基板温度は室温であった。
次いで、透明支持基板を真空チャンバーから取り出すことなく、Alq3 入りの抵抗加熱用ボートを250℃に加熱し、Alq3 を蒸着速度0.1〜0.25nm/秒で正孔注入輸送層上に堆積させ、膜厚50nmの発光層を形成した。
【0114】
透明支持基板を真空チャンバーから取り出し、発光層側にステンレススチール製のマスクを設置し、再び基板ホルダーに固定した。次いで、タングステンバスケットに銀(Ag)ワイヤー0.5gを入れ、モリブデン製抵抗加熱用ボートにマグネシウム(Mg)1gを入れ、真空チャンバー内を1×10-4Paまで減圧した。バスケットおよび抵抗加熱用ボートを加熱し、MgとAgを同時蒸着し、陰極を形成して、本発明の有機EL素子を作製した。
【0115】
のようにして作製した種類の有機EL素子に大気中で直流電圧15Vを印加し、この際に流れた電流値、輝度および発光開始電圧を測定した
【0117】
実施例1〜の結果から、本発明のベンゼン化合物を正孔輸送材料として用いた有機EL素子は、非常に低い駆動電圧で発光が開始し、かつその輝度も高く、優れた有機EL特性を有していることがわかった。
【0118】
実施例3〜8
正孔注入輸送材料として表1に記載の例示化合物4を用いる以外は、実施例1〜と同様にして有機EL素子を作製した。さらに、この有機EL素子とは別に、正孔注入輸送層と発光層の間に表4〜6に記載の例示化合物6種類からなる膜厚約20nmの電子障壁層を形成した有機EL素子を作製した。電子障壁層の形成条件は、真空チャンバー内の真空度を1×104Pa程度、基板温度を50℃とした。
【0119】
このようにして作製した6種類の有機EL素子の電流値、輝度および発光開始電圧を実施例1〜と同様にして測定した。得られた結果を表に示す。
【0120】
【表7】
Figure 0003883311
【0121】
実施例3〜8の結果から、本発明の有機EL素子は、電子障壁層を設けることにより、輝度の向上および低発光開始電圧での発光が可能になることがわかった。
【0122】
実施例
実施例で作製した有機EL素子を温度0℃、湿度50%の環境下で1ヶ月保存した後、有機EL素子の電流値、輝度および発光開始電圧を実施例1〜と同様にして測定した
また、輝度500cd/m2で24時間発光させた後でも、本発明のベンゼン化合物の結晶化に基づくボイドの発生、各層間の層剥離の発生、およびこれらに起因すると考えられる発光の劣化は認められなかった。
これは、本発明のベンゼン化合物が、融点の割には高いガラス転移点を有していること、構造的にも結晶化しにくい非対称構造であること、および高い正孔輸送性を有することと大きく関係していると考えられる。
【0123】
実施例10〜11および比較例1〜2
実施例1およびで作製した有機EL素子を真空中で加熱しながら10Vの直流電圧を印加し、有機電界発光が保持される最大温度(最大発光保持温度)を測定した。また、真空中50℃での発光輝度を測定した。得られた結果を表に示す。
【0124】
比較例として、J. Appl. Phys.、第65巻、第3610頁(1989年)等に記載されている代表的な正孔輸送材料である、4,4’−ビス〔N−(3−メチルフェニル)・N−フェニルアミノ〕ビフェニル(以下、「TPD」と略す)および4,4’−ビス(N−α−ナフチル・N−フェニルアミノ)ビフェニル(以下、「NPD」と略す)の昇華精製を行ったものを用いて、実施例と同様にして、真空チャンバー内で透明支持基板上に蒸着させ、膜厚約60nmの正孔注入輸送層を形成した有機EL素子を作製した。この有機EL素子についても最大発光保持温度および真空中50℃での発光輝度を測定した。得られた結果を表に示す。
【0125】
【表8】
Figure 0003883311
【0126】
の結果から、本発明のベンゼン化合物を用いた有機EL素子は、高い熱安定性、高温時での高い発光特性を有していることがわかった。
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば、水や酸素などの物質による化学的劣化、および光や熱などの物理的劣化が小さく、かつ高性能なフォトニック機能を有する新規化合物を提供することができる。また、本発明によれば、前記の新規化合物を有機EL素子用化合物として用いることにより、良好な発光効率、高輝度発光、低駆動電圧での発光、化学的および物理的劣化の小さい有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物(例示化合物4)のIRスペクトル図(KBr)である。

Claims (10)

  1. 一般式(I):
    Figure 0003883311
    (式中、Aは、メチル基、エチル基、 n- プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基から選択される少なくとも1種で置換されたアリール基もしくは非置換のアリール基または低級アルキル基であり;R1は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコシキ基であり;R2およびR3は同一または異なって、水素原子、低級アルキル基またはメチル基、エチル基、 n- プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基から選択される少なくとも1種で置換されたアリール基もしくは非置換のアリール基であり;R2およびR3は互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよく、さらに該環が芳香環と縮合されていてもよい)
    で示されるトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物。
  2. 一般式(I)におけるR1が水素原子、R2およびR3がフェニル基〔ここで、Aは一般式(I)と同義〕であり、下記副式(II):
    Figure 0003883311
    で示される請求項1に記載のトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物。
  3. 一般式(I)におけるR1が水素原子、R2およびR3
    Figure 0003883311
    で示される1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチリデン基〔ここで、Aは一般式(I)と同義〕であり、下記副式(III):
    Figure 0003883311
    で示される請求項1に記載のトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物。
  4. Aが、メチル基、エチル基、 n- プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基、またはメチル基、エチル基、 n- プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基から選択される少なくとも1種で置換されたナフチル基もしくは非置換のナフチル基である請求項1〜3のいずれか1つに記載のトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物。
  5. 基板上に陽極、正孔注入輸送層、発光層および陰極がこの順で積層された有機電界発光素子であって、前記正孔注入輸送層が、請求項1〜4のいずれか1つに記載のトリ−(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
  6. 発光層と陰極との間に電子注入輸送層を有する請求項5に記載の有機電界発光素子。
  7. 発光層に面して電子障壁層を形成した請求項5または6に記載の有機電界発光素子。
  8. 電子障壁層が、一般式(IV):
    Figure 0003883311
    〔式中、A、R1、R2およびR3は一般式(I)と同義であり;nは1〜3の整数である〕
    で示されるN,N’型芳香族エナミン化合物を含有することを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光素子。
  9. 電子障壁層が、一般式(V):
    Figure 0003883311
    〔式中、A、R1およびnは一般式(IV)と同義であり;R4およびR5は同一または異なって、水素原子、低級アルキル基またはメチル基、エチル基、 n- プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基であり;R6は水素原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり;R4およびR5は互いに結合して環を形成してもよい〕
    で示されるN,N’型芳香族エナミン化合物を含有することを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光素子。
  10. 電子障壁層が、一般式(VI):
    Figure 0003883311
    〔式中、A、R1およびnは一般式(IV)と同義であり;R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはメチル基、エチル基、 n- プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、オキシ基、ジエチルアミノ基およびフェニル基から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基である〕
    で示されるN,N’型型芳香族アミン化合物を含有することを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
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