JPH11339401A - 情報再生装置および再生方法 - Google Patents

情報再生装置および再生方法

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JPH11339401A
JPH11339401A JP14748798A JP14748798A JPH11339401A JP H11339401 A JPH11339401 A JP H11339401A JP 14748798 A JP14748798 A JP 14748798A JP 14748798 A JP14748798 A JP 14748798A JP H11339401 A JPH11339401 A JP H11339401A
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offset
error signal
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JP14748798A
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Shigeo Yamaguchi
茂男 山口
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 情報再生装置において、再生RF信号のDC
オフセット量が大きい場合にもPLLのロックを安定な
ものとする。 【解決手段】 再生RF信号のA/D変換値z〔k〕の
MSBに基づいて、タイミングジェネレータ200がエ
ラー信号の生成に必要なサンプリングポイントを示すサ
ンプリング信号を生成する。FOEブロック208は、
サンプリング信号に従ってz〔k〕からサンプリングを
行い、サンプリング値に基づいて位相エラー信号PEと
オフセットエラー信号OEとを生成する。位相エラー信
号PEに基づいてPLLの制御が行われる。一方、FO
Eブロック208は、オフセットエラー信号OEと、D
Cオフセットを小さくする制御のための所定のオフセッ
トエラー信号の内の一方をサンプリング信号の発生状況
に応じて選択的に出力する。FOEブロック208の出
力に基づいて、オフセットフィードバック回路210が
再生RF信号のDCオフセットを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば光磁気デ
ィスク装置等の情報再生装置および再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気ディスク装置等の情報再生装置で
は、一般に記録媒体から再生される再生RF信号に基づ
いてPLLをロックさせることによってクロックを生成
し、かかるクロックに従うタイミングで再生系の動作が
なされる。PLLをロックさせるための制御は位相エラ
ー信号に基づいてなされる。位相エラー信号を生成する
方法としては、従来から周波数ロックモードが知られて
いる。
【0003】また、本願出願人は、再生RF信号のA/
D変換値のMSB(Most Significant Bit)に基づいて位
相エラー信号を生成するMSB判定モード(特願平9−
107476号公報参照)、およびそれを応用したMu
teモード(特願平9−165821号公報参照)等を
提案している。A/D変換値は再生RF信号の振幅に依
存するので、MSB判定モードにおいては、位相エラー
信号が再生RF信号の振幅に依存することになる。
【0004】再生RF信号のDCオフセット量が大きい
と、再生RF信号のA/D変換値はA/D変換器のダイ
ナミックレンジのセンター値に関して一方向に傾きがち
になる。このような場合、A/D変換値のMSBの反転
の頻度が低下し、MSBの反転を検出することによって
得られる位相エラー検出ポイントの頻度が低下する。そ
の結果PLLのロックが不安定なものとなるおそれがあ
る。
【0005】かかる問題に対処するため、MSB判定モ
ードを行う従来の装置では、再生系内の構成要素の動作
制御を行うキャリブレーション時に、再生RF信号のD
Cオフセットを予め充分に除去する必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、PLLの周波数
ロックが確立している状況においてMSB判定モードを
使用して位相引込みを行う場合に、例えば光磁気ディス
クの複屈折等に起因してDCオフセット量が急激に大き
くなると、上述した場合と同様に再生RF信号のA/D
変換値のMSB反転の頻度が低下する。このような場合
には、位相エラー信号検出ポイントが得られる頻度が低
下し、その結果として位相エラー信号と再生RF信号と
の間に乖離が生じてPLLがロックしにくくなる、ある
いは一旦ロックしたPLLが外れ易くなる等の問題があ
った。
【0007】さらに、位相エラー信号検出ポイントをオ
フセットエラー信号検出ポイントとしても用いる場合
(すなわち、位相エラー信号検出ポイントにおいてサン
プリングされるサンプリング値に基づいてオフセットエ
ラー信号を算出する場合)には、位相エラー信号検出ポ
イントが得られる頻度が低下すればDCオフセットの制
御を的確に行うことができなくなる。その結果として、
復号精度が低下するおそれがあった。
【0008】従って、この発明の目的は、再生RF信号
のDCオフセット量が大きい場合にもPLLのロックお
よびDCオフセットの制御を的確に行うことが可能な情
報再生装置および再生方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、記録
媒体から再生される再生信号に基づいてPLLをロック
させることによってクロック信号を生成し、そのクロッ
ク信号に応じて再生動作する情報再生装置において、再
生信号のA/D変換値のMSBの反転が生じるタイミン
グに基づいて、エラー信号の検出を行うためのサンプリ
ングポイントを示すタイミング信号を生成するタイミン
グ生成手段と、タイミング信号に従って再生信号のA/
D変換値からサンプリング値を取込み、取込まれたサン
プリング値に基づいて位相エラーおよびオフセットエラ
ーを表現するエラー信号を生成するエラー信号生成手段
と、エラー信号生成手段の出力に基づいてPLLをロッ
クさせるPLL制御手段と、エラー信号生成手段の出力
と、再生信号のDCオフセットの量を小さくする制御を
行うためのオフセットエラー信号との内の一方を選択的
に出力するオフセットエラー信号出力手段と、オフセッ
トエラー信号出力手段の出力に応じて、再生信号のDC
オフセットに係る制御を行うオフセットフィードバック
手段とを有することを特徴とする情報再生装置である。
【0010】請求項8の発明は、記録媒体から再生され
る再生信号に基づいてPLLをロックさせることによっ
てクロック信号を生成し、そのクロック信号に応じて再
生動作する情報再生方法において、再生信号のA/D変
換値のMSBの反転が生じるタイミングに基づいて、エ
ラー信号の検出を行うためのサンプリングポイントを示
すタイミング信号を生成するステップと、タイミング信
号に従って再生信号のA/D変換値からサンプリング値
を取込み、取込まれたサンプリング値に基づいて位相エ
ラーおよびオフセットエラーを表現するエラー信号を生
成するエラー信号生成ステップと、エラー信号生成ステ
ップの結果に基づいてPLLをロックさせるステップ
と、エラー信号生成ステップの結果と、再生信号のDC
オフセットの量を小さくする制御が行われるためのオフ
セットエラー信号との内の一方を選択的に出力するオフ
セットエラー信号出力ステップと、オフセットエラー信
号出力ステップの結果に応じて、再生信号のDCオフセ
ットに係る制御を行うステップとを有することを特徴と
する情報再生方法である。
【0011】以上のような発明によれば、光ディスクの
複屈折等に起因して再生RF信号のDCオフセットが大
きくなる場合に、DCオフセットが小さくなるようなオ
フセットフィードバックをかけることができる。
【0012】このため、再生RF信号のDCオフセット
量が大きい場合にも、位相エラー信号検出ポイントが得
られる頻度が大幅に低下することを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の理解を容易と
するために、ビタビ復号方法を行う再生系を有する記録
/再生装置の一例について、装置の全体構成、記録媒体
のセクタフォーマット、4値4状態ビタビ復号方法の概
要、4値4状態ビタビ復号方法を実現するビタビ復号器
の構成および動作、および4値4状態ビタビ復号方法以
外のビタビ復号方法の順に説明する。
【0014】〔ディスク記録再生装置の概要〕以下、ビ
タビ復号方法を行う再生系を有する記録/再生装置の一
例について説明する。図1は、ビタビ復号方法を行う再
生系を有する光磁気ディスク装置の一例の全体構成を示
すブロック図である。記録時には、コントローラ2がホ
ストコンピュータ1の指令に従って、記録すべきユーザ
データを受取り、情報語としてのユーザデータに基づい
てエンコードを行って、符号語としてのRLL(1,
7)符号を生成する。この符号語が記録データとしてレ
ーザパワーコントロール部(以下、LPCと表記する)
4に供給される。コントローラ2は、このような処理の
他に、後述する復号化処理、および記録、再生、消去等
の各モードの制御、並びにホストコンピュータ1との交
信等の動作を行う。
【0015】LPC4は、供給された記録データに対応
して、光ピックアップ7のレーザパワーを制御して光磁
気ディスク6上に磁気極性を有するピット列を形成する
ことにより、記録を行う。この記録の際に、磁気ヘッド
5が光磁気ディスク6にバイアス磁界を付与する。実際
には、記録データに基づいて後述するように生成される
プリコード出力に従って、後述するようなマークエッジ
記録が行われる。
【0016】後述するように、記録位置すなわちピット
の形成位置の制御は、磁気ヘッド5および光ピックアッ
プ7等の位置決めを行う、図示しない手段によってなさ
れる。このため、記録動作時においても、光ピックアッ
プ7がアドレス部等を通過する際には、後述するような
再生時の動作と同様な動作が行われる。
【0017】上述したようにして形成される各ピット
を、記録データに基づいて後述するようにして生成され
るプリコード出力中の各ビットに対応させる方法につい
て、図2を参照して説明する。プリコード出力中の、例
えば'1' に対してピットを形成し、'0' に対してピット
を形成しない記録方法をマーク位置記録方法と称する。
一方、各ピットのエッジによって表現される、プリコー
ド出力中の各ビットの境界における極性の反転を、例え
ば'1' に対応させる記録方法をマークエッジ記録方法と
称する。再生時には、再生信号中の各ビットの境界は、
後述するようにして生成されるリードクロックDCKに
従って認識される。
【0018】次に、再生系の構成および動作について説
明する。光ピックアップ7は、光磁気ディスク6にレー
ザ光を照射し、それによって生じる反射光を受光して、
再生信号を生成する。再生信号は、和信号R+ 、差信号
- および図示しないフォーカスエラー信号ならびにト
ラッキングエラー信号の4種類の信号からなる。和信号
+ は、アンプ8によってゲイン調整等がなされた後に
和/差切替えスイッチ10に供給される。また、差信号
- は、アンプ9によってゲイン調整等がなされた後に
和/差切替えスイッチ10に供給される。さらに、フォ
ーカスエラー信号は、フォーカスエラーを解消する手段
(図示せず)に供給される。一方、トラッキングエラー
信号は、図示しないサーボ系等に供給され、それらの動
作において用いられる。
【0019】和/差切替えスイッチ10には、後述する
ような和信号/差信号切替え信号Sが供給される。和信
号/差信号切替えスイッチ10は、この和信号/差信号
切替え信号Sに従って、以下のように、和信号R+ また
は差信号R- をフィルタ部11に供給する。すなわち、
後述するような光磁気ディスク6のセクタフォーマット
において、エンボス加工によって形成される部分から再
生される再生信号が和信号/差信号切替えスイッチ10
に供給される期間には、和信号R+ をフィルタ部11に
供給する。また、光磁気的に記録される部分から再生さ
れる再生信号が和信号/差信号切替えスイッチ10に供
給される期間には、差信号R- をフィルタ部11に供給
する。
【0020】和信号/差信号切替え信号Sは、例えば次
のようにして生成される。すなわち、まず、再生信号か
ら、セクタフォーマットに規定される所定のパターンか
ら再生される信号を検出する。このような所定のパター
ンとしては、例えば後述するセクタマークSM等が用い
られる。そして、かかる検出がなされた時点を基準とし
て、後述するリードクロックを数える等の方法によって
認識される所定時点において、和信号/差信号切替え信
号Sが生成される。
【0021】フィルタ部11は、ノイズカットを行うロ
ーパスフィルタおよび波形等化を行う波形等化器から構
成される。後述するように、この際の波形等化処理にお
いて用いられる波形等化特性は、ビタビ復号器13が行
うビタビ復号方法に適合するものとされる。フィルタ部
11の出力を供給されるA/D変換器12は、後述する
ようにして供給されるリードクロックDCKに従って再
生信号値z〔k〕をサンプリングする。
【0022】ビタビ復号器13は、再生信号値z〔k〕
に基づいて、ビタビ復号方法によって復号データを生成
する。かかる復号データは、上述したようにして記録さ
れる記録データに対する最尤復号系列である。従って、
復号エラーが無い場合には、復号データは、記録データ
と一致する。
【0023】復号データは、コントローラ2に供給され
る。上述したように、記録データは、ユーザデータから
チャンネル符号化等の符号化によって生成された符号語
である。従って、復号エラーレートが充分低ければ、復
号データは、符号語としての記録データとみなすことが
できる。コントローラ2は、復号データに、上述のチャ
ンネル符号化等の符号化に対応する復号化処理を施すこ
とにより、ユーザデータ等を再生する。
【0024】また、フィルタ部11の出力は、PLL部
14にも供給される。PLL部14は、供給された信号
に基づいて、リードクロックDCKを生成する。リード
クロックDCKは、コントローラ2、A/D変換器1
2、ビタビ復号器13等に供給される。コントローラ
2、A/D変換器12、ビタビ復号器13の動作は、リ
ードクロックDCKに従うタイミングでなされる。さら
に、リードクロックDCKは、図示しないタイミングジ
ェネレータに供給される。タイミングジェネレータは、
例えば、記録/再生動作の切替え等の装置の動作タイミ
ングを制御する信号を生成する。
【0025】上述したような再生動作において、光磁気
ディスク6から再生される再生信号に基いて、より正し
い再生データを得るために、再生系の各構成要素の動作
を再生信号の品質に応じて適正化することが行われる。
このような操作をキャリブレーションと称する。キャリ
ブレーションは、再生信号の品質等が例えば加工精度等
の記録媒体の特性、および例えば記録用レーザ光のパワ
ーの変動、周囲温度等の記録/再生時の条件等によって
変化する可能性があることに対応するために再生系のパ
ラメータを適正化するためのものである。
【0026】キャリブレーションの内容は、例えば光ピ
ックアップ7の読取り用レーザ光パワーの調整、アンプ
8および9のゲインの調整、フィルタ部11の波形等化
特性の調整、およびビタビ復号器13の動作において用
いられる振幅基準値の調整等である。このようなキャリ
ブレーションは、電源投入直後または記録媒体の交換時
等に、図1中には図示しない構成によって行われる。
【0027】〔記録媒体のセクタフォーマットの概要〕
光磁気ディスク6には、セクタを記録/再生の単位とし
てユーザデータが記録される。図3を参照して、光磁気
ディスク6において用いられるセクタフォーマットの一
例について説明する。図3Aに示すように、1セクタ
は、記録/再生の順に従って、ヘッダ、ALPC、ギャ
ップ、VFO3 、シンク、データフィールド、バッファ
の各エリアに区分されている。図3中に付した数字は、
バイト数を表す。光磁気ディスク6上には、ブロック符
号化等の符号化がなされたデータが記録される。例えば
8ビットが12チャンネルビットに変換されて記録され
る。
【0028】このセクタフォーマットの一例において
は、ユーザデータ量が1024バイトのフォーマット
と、ユーザデータ量が512バイトのフォーマットとが
用意されている。ユーザデータ量が1024バイトのフ
ォーマットでは、データフィールドのバイト数が670
バイトとされる。また、ユーザデータ量が512バイト
のフォーマットでは、データフィールドのバイト数が1
278バイトとされる。これら2つのセクタフォーマッ
トにおいて、63バイトのプリフォーマットされたヘッ
ダと、ALPC、ギャップエリアの18バイトは、同一
とされている。
【0029】図3Bは、63バイトのヘッダを拡大して
示す。ヘッダは、セクタマークSM(8バイト)、VF
OフィールドのVFO1 (26バイト)、アドレスマー
クAM(1バイト)、IDフィールドのID1 (5バイ
ト)、VFOフィールドのVFO2 (16バイト)、ア
ドレスマークAM(1バイト)、IDフィールドのID
2 (5バイト)、およびポストアンブルPA(1バイ
ト)が順に配列された構成とされている。
【0030】図3Cは、18バイトのALPC、ギャッ
プエリアを拡大して示す。18バイトは、ギャップフィ
ールド(5バイト)、フラグフィールド(5バイト)、
ギャップフィールド(2バイト)、ALPC(6バイ
ト)からなる。
【0031】次に、これらのフィールドについて説明す
る。セクタマークSMは、セクタの開始を識別するため
のマークであり、RLL(1,7)符号において生じな
いエンボス加工によって形成されたパターンを有する。
VFOフィールドは、上述のPLL部18中のVFO(V
ariable Frequency Oscillator) を同期させるためのも
ので、VFO1 、VFO2 およびVFO3 からなる。V
FO1 およびVFO2は、エンボス加工によって形成さ
れている。また、VFO3 は、そのセクタに対して記録
動作が行われる際に光磁気的に書かれる。VFO1 、V
FO2 およびVFO3 は、それぞれチャンネルビット
の'0' と'1' が交互に現れるパターン(2Tパターン)
を有する。従って、1チャンネルビットの時間長に対応
する時間をTとすると、VFOフィールドを再生した時
に、2T毎にレベルが反転する再生信号が得られる。
【0032】アドレスマークAMは、後続のIDフィー
ルドのためのバイト同期を装置に対して与えるために使
用され、RLL(1,7)符号において生じないエンボ
スされたパターンを有する。IDフィールドは、セクタ
のアドレス、すなわち、トラック番号およびセクタ番号
の情報と、これらの情報に対するエラー検出用のCRC
バイトを有する。IDフィールドは、5バイトからな
る。ID1 およびID2によって、同一のアドレス情報
が二重に記録される。ポストアンブルPAは、チャンネ
ルビットの'0' と'1' とが交互に現れるパターン(2T
パターン)を有する。ID1 、ID2 およびポストアン
ブルPAも、エンボス加工によって形成されている。こ
のように、ヘッダの領域は、エンボス加工によりピット
が形成されたプリフォーマットされた領域である。
【0033】図3Cは、ALPC、ギャップエリアを拡
大して示す。ギャップには、ピットが形成されない。最
初のギャップフィールド(5バイト)は、プリフォーマ
ットされたヘッダの後の最初のフィールドであり、これ
によって、ヘッダの読取りを完了した後の処理に装置が
要する時間が確保される。2番目のギャップフィールド
(2バイト)は、後のVFO3 の位置のずれを許容する
ためのものである。
【0034】ALPC、ギャップエリアには、5バイト
のフラグフィールドが記録される。フラグフィールド
は、セクタのデータが記録される時に、連続した2Tパ
ターンが記録される。ALPC(Auto Laser Power Cont
rol)フィールドは、記録時のレーザパワーをテストする
ために設けられている。シンクフィールド(4バイト)
は、続くデータフィールドのためのバイト同期を装置が
得るために設けられており、所定のビットパターンを有
する。
【0035】データフィールドは、ユーザデータを記録
するために設けられる。上述した670バイトのデータ
フィールドには、512バイトのユーザデータと、14
4バイトのエラー検出、訂正用のパリティ等と、12バ
イトのセクタ書込みフラグと、2バイト(FF)とから
なる。また、1278バイトのデータフィールドの場合
には、1024バイトのユーザデータと、242バイト
のエラー検出、訂正用のパリティ等と、12バイトのセ
クタ書込みフラグとからなる。セクタの最後のバッファ
フィールドは、電気的、あるいは機械的な誤差に対する
許容範囲として使用される。
【0036】上述したセクタフォーマットの例におい
て、ヘッダは、エンボス加工によりピットが形成された
エリアである。また、ALPC、ギャップエリアは、再
生時には、使用されないエリアである。さらに、VFO
3 、シンクフィールドおよびデータフィールドは、光磁
気記録されたデータのエリアである。
【0037】〔4値4状態ビタビ復号方法の概要〕以
下、ビタビ復号器13によって行われるビタビ復号方法
について説明する。上述したように、ユーザデータは、
様々な符号化方法によって記録データとしての符号語に
変換される。符号化方法は、記録媒体の性質および記録
/再生方法等に応じて適切なものが採用される。光磁気
ディスク装置においては、ブロック符号化において、Ru
n Lengthすなわち'1' と'1' の間の'0' の数を制限する
RLL(Run Length Limited)符号化方法が用いられる
ことが多い。従来から幾つかのRLL符号化方法が用い
られている。一般に、'1' と'1' の間の'0' の数を最小
でd個、最大でk個とするm/nブロック符号をRLL
(d,k;m,n)符号と称する。
【0038】例えば、2/3ブロック符号において、'
1' と'1' の間の'0' の数を最小で1個、最大で7個と
するブロック符号化方法は、RLL(1,7;2,3)
符号である。一般にRLL(1,7;2,3)符号をR
LL(1,7)符号と称することが多いので、以下の説
明においても単にRLL(1,7)符号と表記した場合
には、RLL(1,7;2,3)符号を指すことにす
る。
【0039】このようなRLL符号化方法と、上述した
マークエッジ記録方法との組合わせによって記録された
データから再生される再生信号を復号するために、ビタ
ビ復号方法を用いることができる。
【0040】このようなRLL符号化方法は、記録密度
の向上、および再生動作の安定性の確保という2つの観
点から、符号化方法に要求される条件に対応できるもの
である。まず、上述したように、マークエッジ記録方法
は、記録データに基づいて後述するように生成されるプ
リコード出力における'1' を各ピットのエッジによって
表現される極性の反転に対応させるものなので、'1'
と'1' の間の'0' の数を多くする程、各ピット1個当た
りに記録されるビット数を大きくすることができる。従
って、記録密度を大きくすることができる。
【0041】一方、再生系の動作タイミングを合わせる
ために必要なリードクロックDCKは、上述したよう
に、再生信号に基づいてPLL部14によって生成され
る。このため、記録データにおいて'1' と'1' の間の'
0' の数を多くすると、再生動作の際にPLL部の動作
が不安定となるので、再生動作全体が不安定なものとな
る。
【0042】これら2つの条件を考慮すると、'1' と'
1' の間の'0' の数は、多過ぎたり、少な過ぎたりしな
い、適切な範囲内に設定される必要がある。このよう
な、記録データ中の'0' の数の設定に関して、RLL符
号化方法が有効となる。
【0043】ところで、図4に示すように、上述したR
LL(1,7)符号化方法とマークエッジ記録方法の組
み合わせにおいては、記録データに基づいて生成される
プリコード出力中の'1' と'1' の間に最低1個の'0' が
含まれるので、最小反転幅が2となる。このような、最
小反転幅が2となる符号化方法が用いられる場合に、符
号間干渉およびノイズ等の影響を受けている再生信号か
ら記録データを復号する方法として、後述するように、
4値4状態ビタビ復号方法を適用することができる。
【0044】上述したように、再生信号には、フィルタ
部11によって波形等化処理がなされる。ビタビ復号方
法の前段としてなされるこのような波形等化処理には、
符号間干渉を積極的に利用するパーシャルレスポンス方
法が用いられる。この際に用いられる波形等化特性は、
一般に(1+D)n で表されるパーシャルレスポンス特
性の内から、記録/再生系の線記録密度およびMTF
(Modulation TransferFunction)を考慮して決められ
る。上述したRLL(1,7)符号化方法とマークエッ
ジ記録方法の組み合わせによって記録されたデータに対
して、PR(1,2,1)を用いる波形等化処理は、4
値4状態ビタビ復号方法の前段となる。
【0045】一方、マークエッジ記録方法においては、
光磁気ディスク媒体等に対する実際の記録に先立って、
上述のRLL符号化等によって符号化された記録データ
に基づくプリコードが行われる。各時点kにおける記録
データ列をa〔k〕、これに基づくプリコード出力をb
〔k〕とすると、プリコードは、以下のように行われ
る。
【0046】 b〔k〕=mod2{a〔k〕+b〔k−1〕} (1) このようなプリコード出力b〔k〕が実際に光磁気ディ
スク媒体等に記録される。一方、フィルタ部11中の波
形等化器によってなされる、波形等化特性PR(1,
2,1)での波形等化処理について説明する。但し、以
下の説明においては、信号の振幅を規格化せずに、波形
等化特性をPR(B,2A,B)とする。また、ノイズ
を考慮しない場合の再生信号の値をc〔k〕と表記す
る。さらに、ノイズを含む実際の再生信号(すなわち、
記録媒体から再生された再生信号)をz〔k〕と表記す
る。
【0047】PR(B,2A,B)は、ある時点kにお
ける再生信号の値に対して、時点kにおける振幅の寄与
が振幅値の2A倍とされ、さらに前後の時点k−1およ
びk+1における振幅の寄与が各々の時点での信号の振
幅のB倍とされるものである。従って、再生信号の値の
最大値は、時点k−1、k、k+1において何れもパル
スが検出される場合である。このような場合には、再生
信号の値の最大値は、以下のようになる。
【0048】B+2A+B=2A+2B また、再生信号の値の最小値は0となる。但し、実際の
取り扱いにおいては、c〔k〕として、DC成分のA+
Bを差し引いた以下のようなものが用いられる。
【0049】 c〔k〕=B×b〔k−2〕+2A×b〔k−1〕+B×b〔k〕 −A−B (2) 従って、ノイズを考慮しない場合の再生信号c〔k〕
は、A+B,A,−A,−A−Bの内の何れかの値をと
ることになる。一般に、再生信号の性質を示す方法の1
つとして、例えば5個の時点を単位として、再生信号を
多数重ね合わせたものをアイパターンと称する。この発
明を適用することができる光磁気ディスク装置におい
て、PR(B,2A,B)の下で波形等化処理された実
際の再生信号z〔k〕についてのアイパターンの一例を
図5に示す。図5から各時点における再生信号z〔k〕
の値は、ノイズによるばらつきを有するが、ほぼ、A+
B,A,−A,−A−Bの内の何れかになることが確認
できる。後述するように、A+B,A,−A,−A−B
の値は、識別点として用いられる。
【0050】上述したような波形等化処理がなされた再
生信号を復号する、ビタビ復号方法の概略は、次のよう
なものである。ステップ符号化方法および記録媒体に
対する記録方法に基づいて、生じ得る全ての状態を特定
する。ステップある時点における各状態を起点とし
て、次の時点において生じ得る全ての状態遷移と、各状
態遷移が生じる時の記録データa〔k〕および再生信号
の値c〔k〕を特定する。
【0051】ステップおよびの結果として特定され
た全ての状態および状態遷移と、各状態遷移が生じる時
の〔記録データの値a〔k〕/再生信号の値c〔k〕〕
を図の形式で表現したものを状態遷移図と称する。後述
するように、4値4状態ビタビ復号方法における状態遷
移図は、図7に示すようなものである。そして、この状
態遷移図に基づく復号動作を行うように、ビタビ復号器
13が構成される。
【0052】さらに、ステップ上述したように、状態
遷移図を前提として、記録媒体から各時点kにおいて再
生される再生信号z〔k〕に基づく最尤な状態遷移が選
択される。但し、上述したように、z〔k〕は、ビタビ
復号器13に供給される前段において波形等化されたも
のである。このような最尤な状態遷移の選択がなされる
毎に、選択された状態遷移に対応して、状態遷移図に記
載された記録データa〔k〕の値を復号値とすることに
よって、記録データに対する最尤復号値系列としての復
号データa' 〔k〕を得ることができる。
【0053】但し、各時点kにおける復号データ値か
ら、最尤復号値系列とするための構成は、後述するビタ
ビ復号器13中のPMU23である。従って、上述した
ように、復号データ列a' 〔k〕は、復号エラーが無い
場合には、記録データ列a〔k〕と一致する。上述のス
テップ〜ステップについて、以下に詳細に説明す
る。
【0054】上述のステップについて説明する。ま
ず、ここで用いられる状態として、ある時点kにおける
状態を、時点kおよびそれ以前のプリコード出力を用い
て次のように定義する。すなわち、n=b〔k〕、m=
b〔k−1〕、l=b〔k−2〕の時の状態をSnml と
定義する。このような定義によって、23 =8個の状態
があると考えられるが、上述したように、実際に生じ得
る状態は、符号化方法等に基づいて制限される。
【0055】RLL(1,7)符号として符号化された
記録データ列a〔k〕においては、'1' と'1' の間に最
低1個の'0' が含まれるので、2個以上の'1' が連続す
ることが無い。記録データ列a〔k〕に課されるこのよ
うな条件に基づいてプリコード出力b〔k〕について一
定の条件が課され、その結果として生じ得る状態に制限
が加えられる。
【0056】このような制限について具体的に説明す
る。上述したようにRLL(1,7)符号化によって生
成される記録データ列中に、2個以上の'1' が連続する
もの、すなわち以下のものはあり得ない。
【0057】 a〔k〕=1,a〔k−1〕=1,a〔k−2〕=1 (3) a〔k〕=1,a〔k−1〕=1,a〔k−2〕=0 (4) a〔k〕=0,a〔k−1〕=1,a〔k−2〕=1 (5) 記録データ列に課されるこのような条件に基づいて、上
述の(1)式に従ってb〔k〕について課される条件に
ついて検討すると、S010およびS101の2個の状
態は生じ得ないことがわかる。従って、生じ得る状態
は、23 −2=6個である。
【0058】次に、ステップについて説明する。ある
時点jにおける状態を起点として、次の時点j+1にお
いて生じ得る状態を求めるためには、時点j+1におけ
る記録データの値a〔j+1〕が1となる場合、および
0となる場合に分けて調べる必要がある。
【0059】ここでは、時点jにおける状態がS000
である場合を例として説明する。上述の(1)式に従っ
て、S000すなわちn=b〔j〕=0,l=b〔j−
1〕=0,m=b〔j−2〕=0とプリコードされる記
録データは、以下の(7)である。
【0060】 a〔j〕=0、a〔j−1〕=0、a〔j−2〕=0 (7) 〔a〔j+1〕='1' の時〕 この時、b〔j+1〕が(1)式に従って以下のように
計算される。
【0061】 b〔j+1〕=mod2{a〔j+1〕+b〔j〕} =mod2{ 1 + 0 } =1 (8) 次の時点j+1での状態Snlm については、n=b〔j
+1〕,l=b〔j〕,m=b〔j−1〕である。そし
て、(8)からb〔j+1〕=1であり、また、b
〔j〕=0,b〔j−1〕=0なので、次の時点j+1
における状態は、S100である。従って、a〔j+
1〕='1' の場合には、S000→S100という遷移
が生じることが特定できる。
【0062】また、再生信号c〔j+1〕の値は、上述
の(2)式に従って、次のように計算される。
【0063】 c〔j+1〕={B×b〔j+1〕+2A×b〔j〕+B×b〔j−1〕} −A−B ={B×1+2A×0+B×0}−A−B =−A (9) 以上のことから、時点jで状態S000である場合にお
いて、新たな再生信号値c〔j+1〕の値が誤差の範囲
内で−Aである時には、状態遷移S000→S100が
生じ、復号データ値として、a〔j+1〕の値'1' が得
られることがわかる。
【0064】〔a〔j+1〕='0' の時〕 この時、(1)式に従って、b〔j+1〕が以下のよう
に計算される。
【0065】 b〔j+1〕=mod2{a〔j+1〕+b〔j〕} =mod2{ 0 + 0} =0 (10) 次の時点j+1での状態Snlm については、n=b〔j
+1〕,l=b〔j〕,m=b〔j−1〕である。そし
て、(10)からb〔j+1〕=0であり、また、b
〔j〕=0,b〔j−1〕=0なので、次の時点j+1
における状態は、S000である。従って、a〔j+
1〕='0' の場合には、S000→S100という遷移
が生じることが特定できる。
【0066】また、再生信号c〔j+1〕の値は、上述
の(2)式に従って、次のように計算される。
【0067】 c〔j+1〕={B×b〔j+1〕+2A×b〔j〕+B×b〔j−1〕} −A−B ={B×0+2A×0+B×0}−A−B =−A−B (11) 以上のことから、時点jで状態S000である場合にお
いて、新たな再生信号値c〔j+1〕の値が誤差の範囲
内で−A−Bである時には、状態遷移S000→S00
0が生じ、復号データ値として、a〔j+1〕の値'0'
が得られることがわかる。
【0068】このようにして、時点jにおけるS000
以外の各状態についても、それらを起点として次の時点
j+1において生じ得る状態遷移と、そのような各状態
遷移が生じる時の記録データ値a〔j+1〕および再生
信号値c〔j+1〕との対応を求めることができる。
【0069】上述したようにして、各状態について、そ
れらを起点として生じ得る状態遷移と、各状態遷移が生
じる時の記録データの値および再生信号の値との対応を
求め、図の形式に表したものが図6である。上述の時点
jおよびj+1は、特別の時点ではない。従って、上述
したようにして求まる、生じ得る状態遷移とそれらに伴
う記録データの値および再生信号の値との対応は、任意
の時点において適用することができる。このため、図6
においては、任意の時点kにおいて生じる状態遷移に伴
う記録データの値をa〔k〕と表記し、再生信号の値を
c〔k〕と表記する。
【0070】図6において、状態遷移は、矢印によって
表される。また、各矢印に付した符号が〔記録データ値
a〔k〕/再生信号値c〔k〕〕を示している。状態S
000、S001、S111およびS110を起点とす
る状態遷移は、2通り有るのに対して、状態S011お
よびS100を起点として生じ得る遷移は1通りのみで
ある。
【0071】さらに、図6においてS000とS001
は、何れもa〔k〕=1に対しては、c〔k〕=−Aと
いう値を取り、S100に遷移している。一方、a
〔k〕=0に対しては、c〔k〕=−A−Bという値を
取り、S000に遷移している。また、S111とS1
10も同様に、同じa〔k+1〕の値について同じc
〔k+1〕の値を取り、且つ、同じ状態に遷移してい
る。従って、S000とS001をまとめてS0と表現
し、S111とS110をまとめてS2と表現すること
ができる。さらに、S011をS3とし、S100をS
1と表現することにして、整理したものが図7である。
【0072】上述したように、図7が4値4状態ビタビ
復号方法に用いられる状態遷移図である。図7中には、
S0〜S3の4個の状態、および再生信号c〔k+1〕
の値としての−A−B,−A,A,A+Bの4個の値が
示されている。状態S0およびS2を起点とする状態遷
移は、2通り有るのに対して、状態S1およびS3を起
点とする状態遷移は、1通りのみである。
【0073】一方、状態遷移を時間に沿って表現する形
式として、図8に示すようなトレリス線図が用いられ
る。図8では、2個の時点間の遷移を示しているが、さ
らに多数の時点間の遷移を示すこともできる。時間経過
に伴い、順次右の時点に遷移していく様子が表現され
る。従って、水平な矢印は、例えばS0→S0等の同じ
状態への遷移を表し、斜めの矢印は、例えばS1→S2
等の異なる状態への遷移を表すことになる。
【0074】上述したビタビ復号方法のステップ、す
なわち図7に示した状態遷移図を前提として、ノイズを
含む実際の再生信号z〔k〕から最尤な状態遷移を選択
する方法について以下に説明する。
【0075】最尤な状態遷移を選択するためには、ま
ず、ある時点kにおける状態について、その状態に至る
過程において経由してきた複数時点間の状態遷移の尤度
の和を計算し、さらに、計算された尤度の和を比較し
て、最尤の復号系列を選択することが必要である。この
ような尤度の和をパスメトリックと称する。
【0076】パスメトリックを計算するためには、ま
ず、隣接する時点間の状態遷移の尤度を計算することが
必要となる。このような尤度の計算は、上述の状態遷移
図を参照して、再生信号z〔k〕の値に基づいて以下の
ようになされる。まず、一般的な説明として、時点k−
1において、状態Saである場合について考える。この
時、ビタビ復号器31に再生信号z〔k〕が入力された
場合に、状態Sbへの状態遷移が生じる尤度が次式に従
って計算される。但し、状態Saおよび状態Sbは、図
7の状態遷移図に記載されている4個の状態の何れかと
する。
【0077】 (z〔k〕−c(Sa,Sb))2 (12) 上式において、c(Sa,Sb)は、状態Saから状態
Sbへの状態遷移について、図7の状態遷移図に記載さ
れている再生信号の値である。すなわち、上述の図7に
おいて、例えば状態遷移S0→S1について、−Aと算
出されている値である。従って、式(12)は、ノイズ
を含む実際の再生信号z〔k〕の値と、ノイズを考慮せ
ずに計算された再生信号c(Sa,Sb)の値の間のユ
ークリッド距離となる。ある時点におけるパスメトリッ
クは、その時点に至るまでのこのような隣接時点間の状
態遷移の尤度の総和として定義される。
【0078】ところで、時点kにおいて状態Saである
場合を考える。この場合に、時点k−1において状態S
aに遷移し得る状態をSpとすれば、パスメトリックL
(Sa,k)は、時点k−1におけるパスメトリックを
用いて次式のように計算される。
【0079】 L(Sa,k) =L(Sp,k−1)+(z〔k〕−c(Sp,Sa))2 (13) すなわち、時点k−1において状態Spに至った場合の
パスメトリックL(Sp,k−1)と、時点k−1と時
点kの間で生じるSp→Saなる状態遷移の尤度(z
〔k〕−c(Sp,Sa))2 とを加算することによっ
て、パスメトリックL(Sa,k)が計算される。この
(z〔k〕−c(Sp,Sa))2 のような、最新の状
態遷移の尤度は、ブランチメトリックと称される。但
し、ここでのブランチメトリックは、後述するビタビ復
号器13中のブランチメトリック計算回路(BMC)2
0によって計算されるブランチメトリック、すなわち、
規格化メトリックに対応するブランチメトリックとは、
別のものであることに注意が必要である。
【0080】また、時点kにおいて状態Saである場合
に、時点k−1において状態Saに遷移し得る状態が複
数個存在することがある。図7においては、状態S0お
よびS2がこのような場合である。すなわち時点kにお
いて状態S0である場合に、時点k−1において状態S
0に遷移し得る状態は、S0とS3の2個である。ま
た、時点kにおいて状態S2である場合に、時点k−1
において状態S2に遷移し得る状態は、S1とS2の2
個である。一般的な説明として、時点kにおいて状態S
aであり、且つ、時点k−1において状態Saに遷移し
得る状態がSpおよびSqの2個である場合に、パスメ
トリックL(Sa,k)は、次式のように計算される。
【0081】 L(Sa,k) =min{L(Sp,k−1)+(z〔k〕−c(Sp,Sa))2 , L(Sq,k−1)+(z〔k〕−c(Sq,Sa))2 }(14) すなわち、時点k−1において状態Spであり、Sp→
Saなる状態遷移によって状態Saに至った場合と、時
点k−1において状態Sqであり、Sq→Saなる状態
遷移によって状態Saに至った場合の各々について、尤
度の和を計算する。そして、各々の計算値を比較し、よ
り小さい値を時点kにおける状態Saに関するパスメト
リックL(Sa,k)とする。
【0082】このようなパスメトリックの計算を、図7
を用いて上述した4値4状態について具体的に適用する
と、時点kにおける各状態S0,S1,S2およびS3
についてのパスメトリックL(0,k),L(1,
k),L(2,k)およびL(3,k)は、時点k−1
における各状態S0〜S3についてのパスメトリックL
(0,k−1)〜L(3,k−1)を用いて以下のよう
に計算できる。
【0083】 L(0,k)=min{L(0,k−1)+(z〔k〕+A+B)2 , L(3,k−1)+(z〔k〕+A)2 } (15) L(1,k)=L(0,k−1)+(z〔k〕+A)2 (1
6) L(2,k)=min{L(2,k−1)+(z〔k〕−A−B) L(1,k−1)+(z〔k〕−A)2 } (17) L(3,k)=L(2,k−1)+(z〔k〕−A)2 (18) 上述したように、このようにして計算されるパスメトリ
ックの値を比較して、最尤な状態遷移が選択されれば良
い。ところで、最尤な状態遷移を選択するためには、パ
スメトリックの値そのものを計算しなくても、パスメト
リックの値の比較ができれば良い。そこで、実際の4値
4状態ビタビ復号方法においては、パスメトリックの代
わりに以下に定義するような規格化パスメトリックを用
いることにより、各時点kにおけるz〔k〕に基づく計
算を容易なものとするようになされる。
【0084】 m(i,k) =〔L(i,k)−z〔k〕2 −(A+B)2 〕/2/(A+B)(19) 式(19)をS0〜S3の各状態に適用すると、具体的
な規格化パスメトリックは、以下のように2乗計算を含
まないものとなる。このため、後述する、加算、比較、
選択回路(ACS)21における計算を容易なものとす
ることができる。
【0085】 m(0,k)=min{m(0,k−1)+z〔k〕, m(3,k−1)+α×z〔k〕−β} (20) m(1,k)=m(0,k−1)+α×z〔k〕−β (21) m(2,k)=min{m(2,k−1)−z〔k〕, m(1,k−1)−α×z〔k〕−β} (22) m(3,k)=m(2,k−1)+α×z〔k〕−β (23) 但し、式(20)〜(23)中のαおよびβは、以下の
ようなものである。
【0086】 α=A/(A+B) (24) β=B×(B+2×A)/2/(A+B) (25) このような規格化パスメトリックに基づく4値4状態ビ
タビ復号方法における状態遷移の条件について図9に示
す。上述の4個の規格化パスメトリックの内に、2個か
ら1個を選択する式が2つあるので、2×2=4通りの
条件がある。
【0087】〔4値4状態ビタビ復号器の概要〕上述し
た4値4状態ビタビ復号方法を実現するビタビ復号器1
3について以下に説明する。図10にビタビ復号器13
の全体構成を示す。ビタビ復号器13は、ブランチメト
リック計算回路(以下、BMCと表記する)20、加
算、比較および選択回路(以下、ACSと表記する)2
1、圧縮およびラッチ回路22およびパスメモリユニッ
ト(以下、PMUと表記する)23から構成される。こ
れらの各構成要素に対して上述のリードクロックDCK
(以下の説明においては、単にクロックと表記する)が
供給されることにより、ビタビ復号器13全体の動作タ
イミングが合わされる。以下、各構成要素について説明
する。
【0088】BMC20は、入力される再生信号z
〔k〕に基づいて、規格化パスメトリックに対応するブ
ランチメトリックの値BM0,BM1,BM2およびB
M3を計算する。BM0〜BM3は、上述の式(20)
〜(23)の規格化パスメトリックを計算するために必
要とされる、以下のようなものである。
【0089】 BM0=z(k) (26) BM1=α×z〔k〕−β (27) BM2=−z(k) (28) BM3=−α×z〔k〕−β (29) この計算に必要なαおよびβは、上述の式(24)およ
び(25)に従ってBMC20によって計算される基準
値である。かかる計算は、例えば再生信号z〔k〕に基
づくエンベロープ検出等の方法で検出され、BMC20
に供給される識別点−A−B,−A,AおよびA+Bの
値に基づいてなされる。
【0090】BM0〜BM3の値は、ACS21に供給
される。一方、ACS21は、後述するような圧縮およ
びラッチ回路22から、1クロック前の規格化パスメト
リックの値(但し、後述するように圧縮のなされたも
の)M0,M1,M2およびM3を供給される。そし
て、M0〜M3と、BM0〜BM3とを加算して、後述
するようにして、最新の規格化パスメトリックの値L
0,L1,L2およびL3を計算する。M0〜M3が圧
縮のなされたものであるため、L0〜L3を計算する際
のオーバーフローを避けることができる。
【0091】さらに、ACS21は、最新の規格化パス
メトリックの値L0〜L3に基づいて、後述するよう
に、最尤な状態遷移を選択し、また、選択結果に対応し
て、パスメモリ23に供給される選択信号SEL0およ
びSEL2を'High'または'Low' とする。
【0092】また、ACS21は、L0〜L3を圧縮お
よびラッチ回路22に供給する。圧縮およびラッチ回路
22は、供給されるL0〜L3を圧縮した後にラッチす
る。その後、1クロック前の規格化パスメトリックM0
〜M3としてACS21に供給する。
【0093】この際の圧縮の方法としては、例えば以下
に示すように、最新の規格化パスメトリックL0〜L3
から、そのうちの1個、例えばL0を一律に差し引く等
の方法が用いられる。
【0094】M0=L0−L0 (30) M1=L1−L0 (31) M2=L2−L0 (32) M3=L3−L0 (33) この結果として、M0が常に0の値をとることになる
が、以下の説明においては、一般性を損なわないため
に、このままM0と表記する。式(30)〜(33)に
よって計算されるM0〜M3の値の差は、L0〜L3の
値の差と等しいものとなる。上述したように、最尤な状
態遷移の選択においては、規格化パスメトリック間の値
の差のみが問題となる。従って、このような圧縮方法
は、最尤な状態遷移の選択結果に影響せずに規格化パス
メトリックの値を圧縮し、オーバーフローを防止する方
法として有効である。このように、ACS21と圧縮お
よびラッチ回路22は、規格化パスメトリックの計算に
関するループを構成する。
【0095】上述のACS21について、図11を参照
してより詳細に説明する。ACS21は、6個の加算器
51、52、53、54、56、58および2個の比較
器55、57から構成される。一方、上述したようにA
CS21には、1クロック前の圧縮された規格化パスメ
トリックの値M0〜M3および規格化パスメトリックに
対応するブランチメトリックの値BM0〜BM3が供給
される。
【0096】加算器51には、M0およびBM0が供給
される。加算器51は、これらを加算して以下のような
L00を算出する。
【0097】L00=M0+BM0 (34) 上述したように、M0は、時点k−1において状態S0
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
0は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(26)式に従って計算されるもの、すな
わちz〔k〕の値そのものである。従って、式(34)
の値は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式
(20)中のm(0,k−1)+z〔k〕の値を計算し
たものとなる。すなわち、時点k−1において状態S0
であり、時点kにおける状態遷移S0→S0によって最
終的に状態遷移S0に至った場合に対応する計算値であ
る。
【0098】一方、加算器52には、M3およびBM1
が供給される。加算器51は、これらを加算して以下の
ようなL30を算出する。
【0099】L30=M3+BM1 (35) 上述したように、M3は、時点k−1において状態S3
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る、圧縮された規格化パスメトリックである。また、B
M1は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に
基づいて上述の(27)式に従って計算されるもの、す
なわちα×z〔k〕−βである。従って、式(35)の
値は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式(2
0)中のm(3,k−1)+α×z〔k〕−βの値を計
算したものとなる。すなわち、時点k−1において状態
S3であり、時点kにおける状態遷移S3→S0によっ
て最終的に状態遷移S0に至った場合に対応する計算値
である。
【0100】上述のL00およびL30は、比較器55
に供給される。比較器55は、L00およびL30の値
を比較し、小さい方を最新の規格化パスメトリックL0
とすると供に、選択結果に応じて、上述したように選択
信号SEL0の極性を切替える。このような構成は、式
(20)において、最小値が選択されることに対応する
ものである。すなわち、L00<L30の場合(この時
は、S0→S0が選択される)に、L00をL0として
出力し、且つ、SEL0を例えば、'Low' とする。ま
た、L30<L00の場合(この時は、S3→S0が選
択される)には、L30をL0として出力し、且つ、S
EL0を例えば'High'とする。SEL0は、後述するよ
うに、状態S0に対応するA型パスメモリ24に供給さ
れる。
【0101】このように、加算器51、52および比較
器55は、上述の式(20)に対応して、S0→S0と
S3→S0の内から、時点kにおける状態遷移として最
尤なものを選択する動作を行う。そして、選択結果に応
じて、最新の規格化パスメトリックL0および選択信号
SEL0を出力する。
【0102】また、加算器56には、M0およびBM1
が供給される。加算器51は、これらを加算して以下の
ようなL1を算出する。
【0103】L1=M0+BM1 (36) 上述したように、M0は、時点k−1において状態S0
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
1は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(27)式に従って計算されるもの、すな
わちα×z〔k〕−βである。従って、式(36)の値
は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式(2
1)の右辺m(0,k−1)+α×z〔k〕−βの値を
計算したものとなる。
【0104】すなわち、時点k−1において状態S0で
あり、時点kにおける状態遷移S0→S1によって最終
的に状態遷移S1に至った場合に対応する計算値であ
る。式(21)が値の選択を行わないことに対応して、
加算器56の出力がそのまま最新の規格化パスメトリッ
クL1とされる。
【0105】加算器53には、M2およびBM2が供給
される。加算器53は、これらを加算して以下のような
L22を算出する。
【0106】L22=M2+BM2 (37) 上述したように、M2は、時点k−1において状態S2
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
0は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(28)式に従って計算されるもの、すな
わち−z〔k〕である。従って、式(37)の値は、上
述したような圧縮の作用の下に、上述の式(22)中の
m(2,k−1)−z〔k〕の値を計算したものとな
る。すなわち、時点k−1において状態S2であり、時
点kにおける状態遷移S2→S2によって最終的に状態
遷移S2に至った場合に対応する計算値である。
【0107】一方、加算器54には、M1およびBM3
が供給される。加算器53は、これらを加算して以下の
ようなL12を算出する。
【0108】L12=M1+BM3 (38) 上述したように、M1は、時点k−1において状態S1
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
3は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(29)式に従って計算されるもの、すな
わち−α×z〔k〕−β である。従って、式(38)
の値は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式
(22)中のm(1,k−1)−α×z〔k〕−βの値
を計算したものとなる。すなわち、時点k−1において
状態S1であり、時点kにおける状態遷移S1→S2に
よって最終的に状態遷移S2に至った場合に対応する計
算値である。
【0109】上述のL22およびL12は、比較器57
に供給される。比較器57は、L22およびL12の値
を比較し、小さい方を最新の規格化パスメトリックL2
とすると共に、選択結果に応じて、上述したように選択
信号SEL2の極性を切替える。このような構成は、式
(22)において、最小値が選択されることに対応する
ものである。
【0110】すなわち、L22<L12の場合(この時
は、S2→S2が選択される)に、L22をL2として
出力し、且つ、SEL2を例えば、'Low' とする。ま
た、L12<L22の場合(この時は、S1→S2が選
択される)には、L12をL2として出力し、且つ、S
EL2を例えば'High'とする。SEL2は、後述するよ
うに、状態S2に対応するA型パスメモリ26に供給さ
れる。
【0111】このように、加算器53、54および比較
器57は、上述の式(22)に対応して、S1→S2と
S2→S2の内から、時点kにおける状態遷移として最
尤なものを選択する。そして、選択結果に応じて、最新
の規格化パスメトリックL2および選択信号SEL2を
出力する。
【0112】また、加算器58には、M2およびBM3
が供給される。加算器58は、これらを加算して以下の
ようなL3を算出する。
【0113】L3=M2+BM3 (39) 上述したように、M2は、時点k−1において状態S2
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
3は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(29)式に従って計算されるもの、すな
わち−α×z〔k〕−βである。従って、式(39)の
値は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式(2
3)の右辺m(2,k−1)+α×z〔k〕−βの値を
計算したものとなる。
【0114】すなわち、時点k−1において状態S0で
あり、時点kにおける状態遷移S2→S3によって最終
的に状態遷移S3に至った場合に対応する計算値であ
る。式(23)が値の選択を行わないことに対応して、
加算器58の出力がそのまま最新の規格化パスメトリッ
クL3とされる。
【0115】上述したようにして, ACS21が出力す
るSEL0およびSEL2に従って、パスメモリユニッ
ト(以下、PMUと表記する)23が動作することによ
って、記録データa〔k〕に対する最尤復号系列として
の復号データa’〔k〕が生成される。PMU23は、
図7に示した4個の状態間の状態遷移に対応するため
に、2個のA型パスメモリおよび2個のB型パスメモリ
から構成される。
【0116】A型パスメモリは、その状態に至る遷移と
して2つの遷移(すなわち、自分自身からの遷移と、他
の1個の状態からの遷移)を有し、且つ、その状態を起
点とする2つの遷移(すなわち、自分自身に至る遷移と
他の1個の状態に至る遷移)を有する状態に対応するた
めの構成とされる。従って、A型パスメモリは、図7に
示した4個の状態の内、S0およびS2に対応するもの
である。
【0117】一方、B型パスメモリは、その状態に至る
遷移が1つのみであり、且つ、その状態を起点とする遷
移が1つのみである状態に対応するための構成とされ
る。従って、B型パスメモリは、図7に示した4個の状
態の内、S1およびS3に対応するものである。
【0118】これら2個のA型パスメモリおよび2個の
B型パスメモリが図7に示した状態遷移図に従う動作を
行うために、PMU23において、図10に示すような
復号データの受渡しがなされるように構成される。すな
わち、A型パスメモリ24がS0に対応し、A型パスメ
モリ26がS2に対応する。また、B型パスメモリ25
がS1に対応し、また、B型パスメモリ27がS3に対
応する。
【0119】このように構成すれば、S0を起点として
生じ得る状態遷移がS0→S0およびS0→S1であ
り、S2を起点として生じ得る状態遷移がS2→S2お
よびS2→S3であることに合致する。また、S1を起
点として生じ得る状態遷移がS1→S2のみであり、S
3を起点として生じ得る状態遷移がS3→S0のみであ
ることにも合致する。
【0120】A型パスメモリ24について、その詳細な
構成を図12に示す。A型パスメモリ24は、パスメモ
リ長に対応する個数のフリップフロップとセレクタを、
交互に接続したものである。図10には、14ビットの
デコードデータ長に対応する構成を示した。すなわち、
14個のセレクタ311 〜3114および15個のフリッ
プフロップ300 〜3014を有するものである。セレク
タ311 〜3114は、何れも2個のデータを受取り、そ
の内の1個を選択的に後段に供給するものである。ま
た、フリップフロップ300 〜3014にクロックが供給
されることにより、A型パスメモリ24全体の動作タイ
ミングが合わされる。
【0121】図7を用いて上述したように、状態S0に
至る遷移は、S0→S0すなわち自分自身から継承する
遷移、およびS3→S0である。このような状況に対応
する構成として、各セレクタは、前段のフリップフロッ
プから供給されるデータすなわちS0→S0に対応する
復号データと、状態S3に対応するB型パスメモリ27
から供給されるデータすなわちS3→S0に対応する復
号データPM3とを受取る。
【0122】さらに、各セレクタは、ACS21からS
EL0を供給される。そして、SEL0の極性に応じ
て、供給される2個の復号データの内の一方を後段のフ
リップフロップに供給する。また、このようにして後段
のフリップフロップに供給される復号データは、状態S
1に対応するB型パスメモリ25にもPM0として供給
される。
【0123】すなわち、例えばセレクタ3114は、前段
のフリップフロップ3013から供給されるデータと、B
型パスメモリ27から供給される14ビットからなるP
M3の14番目のビット位置のデータとを受取る。そし
て、これら2個のデータの内から以下のようにして選択
したデータを、後段のフリップフロップ3014に供給す
る。上述したようにSEL0は、選択結果に応じて、'L
ow' または'High'とされる。
【0124】SEL0が例えば'Low' の時は、前段のフ
リップフロップ3013からのデータが選択されるように
なされる。また、SEL0が例えば'High'の時は、PM
3の14番目のビット位置のデータが選択されるように
なされる。選択されたデータは、後段のフリップフロッ
プ3014に供給され、また、PM0の14番目のビット
位置のデータとして、状態S1に対応するB型パスメモ
リ25に供給される。
【0125】A型パスメモリ24中の他のセレクタ31
1 〜3113においても、SEL0の極性に応じて、同様
な動作が行われる。従って、A型パスメモリ24全体と
しては、SEL0が例えば'Low' の時は、A型パスメモ
リ24中で、各々のフリップフロップがその前段に位置
するフリップフロップのデータを継承するシリアルシフ
トを行う。また、SEL0が例えば'High'の時は、B型
パスメモリ27から供給される14ビットからなる復号
データPM3を継承するパラレルロードを行う。何れの
場合にも、継承される復号データは、B型パスメモリ2
5に14ビットの復号データPM0として供給される。
【0126】また、最初の処理段となるフリップフロッ
プ300 には、クロックに同期して常に'0' が入力され
る。かかる動作は、S0に至る状態遷移S0→S0とS
2→S0の何れにおいても、図7に示すように、復号デ
ータが'0' なので、最新の復号データは、常に'0' とな
ることに対応している。
【0127】上述したように、S2に対応するA型パス
メモリ26についても、構成自体は、A型パスメモリ2
4と全く同様である。但し、ACS21から入力される
選択信号は、SEL2である。また、図6に示すように
状態S2に至る遷移としては、S2→S2すなわち自分
自身から継承する遷移と、S1→S2とがある。このた
め、状態S1に対応するB型パスメモリ25からPM1
を供給される。さらに、状態S2を起点として生じ得る
状態がS2すなわち自分自身と、S3であることに対応
して、状態S3に対応するB型パスメモリ27にPM2
を供給する。
【0128】また、S2に対応するA型パスメモリ26
においても、最初の処理段となるフリップフロップに
は、クロックに同期して常に'0' が入力される。かかる
動作は、S2に至る状態遷移S2→S2とS1→S0の
何れにおいても、図7に示すように、復号データが'0'
なので、最新の復号データは、常に'0' となることに対
応している。
【0129】他方、B型パスメモリ25について、その
詳細な構成を図13に示す。B型パスメモリ25は、パ
スメモリ長に対応する個数のフリップフロップを接続し
たものである。図13には、14ビットのデコードデー
タ長に対応する構成を示した。すなわち、15個のフリ
ップフロップ320 〜3214を有するものである。フリ
ップフロップ320 〜3214にクロックが供給されるこ
とにより、B型パスメモリ25全体の動作タイミングが
合わされる。
【0130】各フリップフロップ321 〜3214には、
状態S0に対応するA型パスメモリ24から、14ビッ
トの復号データがPM0として供給される。例えば、フ
リップフロップ321 には、PM0の1ビット目が供給
される。各フリップフロップ321 〜3214は、供給さ
れた値を1クロックの間保持する。そして、状態S2に
対応するA型パスメモリ26に、14ビットの復号デー
タPM1として出力する。例えば、フリップフロップ3
1 は、PM1の2ビット目を出力する。
【0131】B型パスメモリ25中の他のセレクタ32
1 〜3213においても、同様な動作が行われる。従っ
て、B型パスメモリ25全体としては、A型パスメモリ
24から供給される14ビットからなる復号データPM
0を受取り、またA型パスメモリ26に14ビットから
なる復号データPM1を供給する。
【0132】また、フリップフロップ320 には、クロ
ックに同期して常に'1' が入力される。かかる動作は、
図7に示したように、最新の状態遷移がS0→S1であ
る場合に復号データが'1' であることに対応している。
【0133】また、上述のように、状態S3に対応する
B型パスメモリ27についても、B型パスメモリ25と
全く同様な構成とされる。但し、図7に示すように状態
S3に至る遷移は、S2→S3なので、状態S2に対応
するA型パスメモリ26からPM2を供給される。さら
に、状態S3を起点として生じ得る状態がS0であるこ
とに対応して、状態S0に対応するA型パスメモリ24
にPM3を供給するようになされる。B型パスメモリ2
7においても、最初の処理段となるフリップフロップに
は、クロックに同期して常に'1' が入力される。かかる
動作は、図7に示したように、最新の状態遷移がS2→
S3である場合に復号データが'1' であることに対応し
ている。
【0134】上述したようにして、PMU23中の4個
のパスメモリは、各々復号データを生成する。このよう
にして生成される4個の復号データは、常に正確なビタ
ビ復号動作がなされる場合には、互いに一致することに
なる。ところで、実際のビタビ復号動作においては、4
個の復号データに不一致が生じることも起こり得る。こ
のような不一致は、再生信号に含まれるノイズの影響等
により、上述の識別点AおよびBを検出する際に誤差が
生じる等の要因により、ビタビ復号動作が不正確なもの
となることによって生じる。
【0135】一般に、このような不一致が生じる確率
は、再生信号の品質に対応してパスメモリの処理段数を
充分に大きく設定することによって減少させることがで
きる。すなわち、再生信号のC/N等の品質が良い場合
には、パスメモリの処理段数が比較的小さくても復号デ
ータ間の不一致が生じる確率は小さい。これに対して、
再生信号の品質が良くない場合には、上述の不一致が生
じる確率を小さくするためには、パスメモリの処理段数
を大きくする必要がある。
【0136】再生信号の品質に対してパスメモリの処理
段数が比較的小さくて、復号データ間の不一致が生じる
確率を充分に低くすることができない場合には、4個の
復号データから、例えば多数決等の方法によって、より
的確なものを選択するような、図示しない構成がPMU
23中の4個のパスメモリの後段に設けられる。
【0137】〔4値4状態ビタビ復号方法以外のビタビ
復号方法〕上述した4値4状態ビタビ復号方法は、フィ
ルタ部11において用いられる波形等化特性がPR
(1,2,1)であり、且つ、記録データとしてRLL
(1,7)符号が採用される場合に用いられる。例え
ば、ISOで標準化が進められている記録線密度0.4
0μm,レーザ波長685nm,NA=0.55の場合
には、波形等化特性をPR(1,2,1)とし、4値4
状態ビタビ復号方法を用いることが最適となる。他方、
波形等化特性または記録データを生成するための符号化
方法に応じて、他の種類のビタビ復号方法が用いられる
こともある。
【0138】例えば、波形等化特性がPR(1,1)で
あり、且つ、記録データとしてRLL(1,7)符号が
用いられる場合には、3値4状態ビタビ復号方法が用い
られる。また、波形等化特性がPR(1,3,3,1)
であり、且つ、記録データとしてRLL(1,7)符号
が用いられる場合には、7値6状態ビタビ復号方法が用
いられる。このようなビタビ復号方法の内、何れを用い
るかを選択するための要素の1つとなる波形等化特性
は、再生信号上の符号間干渉に適合する程度が良いもの
が採用される。従って、上述したように、線記録密度お
よびMTFを考慮して最適なものとされる。
【0139】また、波形等化特性の理論値からのずれ、
および再生信号の振幅変動、非対称歪等によって、識別
点の値が理論と異なる場合もある。このような場合を考
慮して、ビタビ復号方法を修正して用いることも行われ
る。例えば4値4状態ビタビ復号方法において、波形等
化特性を正確にPR(1,2,1)とすることは困難で
ある点を考慮して、後述するように6個の識別点を前提
とした6値4状態ビタビ復号方法が用いられることもあ
る。
【0140】上述した光磁気ディスク装置の一例におい
ては、セクタフォーマット上のVFOフィールドに記録
されている2Tパターンから再生される2T信号に基づ
いて、PLL部14がアナログ的にPLLにロックを掛
ける周波数ロックモードが用いられている。
【0141】これに対して、この発明は、PLLにロッ
クを掛ける方法としてMSB判定モードやそれを応用し
た方法を用いる場合を前提とし、再生RF信号が大きな
DCオフセットを有する場合にも、位相エラー信号検出
ポイント(後述するように位相エラー信号検出ポイント
はオフセットエラー信号検出ポイントとしても用いられ
るので、以下、位相エラー信号検出ポイントを単にエラ
ー信号検出ポイントと表記する)を得易くしたものであ
る。
【0142】まず、MSB判定モード等についてその概
要を説明する。ここでは、第4世代5.25インチ光磁
気ディスク装置等において行われる、6値4状態の状態
遷移図を前提としたビタビ復号を行う場合について説明
する。すなわち、図7に示した状態遷移図の代わりに図
14に示す状態遷移図を前提とする。図14では、状態
データ値の表現方法と同様の2ビットでの表現を用いて
いる。従って、図7中のS0,S1,S2,S3をそれ
ぞれS00,S01,S11,S10と表記している。
また、各状態遷移を示す矢印に付した符号は、〔復号値
/識別点の値〕を示している。なお、各状態遷移に対応
するP,Q,R,S,T,Uについては後述する。
【0143】なお、6値4状態の状態遷移図を用いるの
は、実際の光磁気ディスク装置等においては、理想通り
のパーシャルレスポンス特性、すなわち上述したPR
(B,2A,B)を得ることが難しく、非対称なパーシ
ャルレスポンス特性PR(α,β,γ)を用いる方がよ
り妥当であることに基づく。すなわち、記録時にRLL
(1,7)符号化等のRLmin=2となる符号化を行
い、且つ、再生時のパーシャルレスポンス特性がPR
(α,β,γ)である場合には、識別点の値が6種類
(図14中のC001,C011,C110,C10
1,C000およびC111)あることになり、6値4
状態となる。
【0144】次に、図15に、MSB判定モードを行う
光磁気ディスク装置の一例を示す。図15において、図
1中の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付
した。また、記録系およびサーボ系等については図示を
省略したが、例えば図1等を参照して上述した光磁気デ
ィスク装置の一例と同様なものとすれば良い。
【0145】A/D変換器12の出力である、再生RF
信号のA/D変換値z〔k〕は、ビタビ復号器230
と、シフトレジスタ207とに供給される。それと共
に、A/D変換値z〔k〕のMSB(Most Significant
Bit)がタイミングジェネレータ200に供給される。ビ
タビ復号器230は、A/D変換値z〔k〕に基づいて
最尤な状態遷移を選択し、選択した状態遷移に基づいて
復号データを生成し、この復号データをコントローラ2
に供給する。また、シフトレジスタ207は、A/D変
換値z〔k〕を所定時間保持し、その後、位相誤差およ
びオフセット検出(Phase Error and Offset, 以下, P
EOと表記する)ブロック106に供給する。このた
め、PEOブロック106は、所定時間遅延したA/D
変換値z〔k−p〕を受取ることになる。
【0146】一方、タイミングジェネレータ200は、
後述するように、A/D変換値z〔k〕のMSBの変化
('1' →'0' または'0' →'1' )が生じる時点を検出す
ることによって位相エラー信号の生成に必要なサンプリ
ングを行う6種類のサンプリング信号GP , GQ ,
R , GS , GT , GU を生成し、生成したサンプリン
グ信号をPEOブロック106に供給する。
【0147】PEOブロック106は、後述するよう
に、サンプリング信号に従って再生RF信号値z〔k〕
からサンプリングを行う。そして、サンプリング値に基
づいて後述するような規格化された位相エラー信号PE
を生成し、この規格化された位相エラー信号PEをD/
A変換器108に供給する。D/A変換器108は、供
給される信号をD/A変換し、フィルタ109を介して
VCO110に供給する。このようにして、VCO11
0の周波数が位相エラー信号PEによって制御されるこ
とにより、リードクロックDCKが生成される。
【0148】リードクロックDCKは、A/D変換器1
2、ビタビ復号器230、タイミングジェネレータ20
0、シフトレジスタ207、PEOブロック106、D
/A変換器108、コントローラ2等に供給される。こ
れらの各構成要素の動作タイミングは、リードクロック
DCKに従うものとされる。
【0149】以下、サンプリング信号GP , GQ ,
R , GS , GT , GU の生成、およびそれらに関連す
る位相エラー信号の生成についてより詳細に説明する。
MSB判定モードでは、再生RF信号の立ち上がり、立
ち下がりのタイミングをA/D変換値のMSBが変化す
るタイミングに基づいて判定するようになされている。
例えばA/D変換器12が2の補数表示である場合に
は、MSBが'1' →'0' に変わる際に再生RF信号の立
ち上がり、MSBが'0' →'1' に変わる際に再生RF信
号の立ち上がり、がそれぞれ生じていることが判定でき
る。
【0150】サンプリング信号の生成について図16を
参照して具体的に説明する。図16Aは、再生RF信号
の一例を示している。ここで、A/D変換器12におけ
る、クロックに従うサンプリング点に黒丸を付して示し
た。また、再生RF信号の下方に、各時点において選択
される状態を示す。
【0151】MSBの'0' →'1' への変化が検出された
時点の1クロック前の時点の再生信号値が立ち上がり時
点のサンプリング値Pと認識できるので、Pの値をサン
プリングするために立ち上がり時点から略1クロック幅
のサンプリング信号GP が設定される(図16C参
照)。さらに、立ち上がり時点の1クロック後の時点の
サンプリング値をQと認識できるので、Qの値をサンプ
リングするために、GP から略1クロック遅延したサン
プリング信号GQ を設定する(図16D参照)。
【0152】一方、MSBの'1' →'0' への変化が検出
された時点の1クロック前の時点の再生信号値を立ち下
がり時点のサンプリング値Rと認識できるので、Rの値
をサンプリングするために立ち上がり時点から略1クロ
ック幅のサンプリング信号GR が設定される(図16E
参照)。さらに、立ち上がり時点の1クロック後の時点
のサンプリング値をSと認識できるので、Sの値をサン
プリングするために、GR から略1クロック遅延したサ
ンプリング信号GS を設定する(図16F参照)。
【0153】以上のようにしてサンプリングされるサン
リング値P,Q,R,Sの値に基づいて、例えば、以下
のような計算式により、MSB判定モードにおける位相
エラーPEを得ることができる。
【0154】 PE=(P−S)+(Q−R) (40) 式(40)に従って算出される位相エラー信号PEは再
生RF信号の振幅に依存するので、再生RF信号の振幅
を適切に管理しないとPLLが不安定になるという問題
がある。かかる問題に対処するために、位相エラー信号
を再生RF信号の振幅で規格化する以下のような処理を
行うことが有効である。
【0155】6値4状態ビタビ復号方法においては、再
生RF信号の立上がり、立下がり以外のタイミングにお
いて、再生RF信号の最大振幅値または最小振幅値の何
れかがサンプリングされる。すなわち、P,Q,R,S
を取込むためのサンプリング時点以外の時点でのサンプ
リング値は、以下のような値であることがわかる。ま
ず、サンプリングされた時点でのMSBが'0' ならば、
かかるサンプリング値が再生RF信号の最小振幅値Tで
ある。また、サンプリングされた時点でのMSBが'1'
ならば、かかるサンプリング値が再生RF信号の最大振
幅値Uである。
【0156】このようにしてサンプリングされるTおよ
びUの値を用いて位相エラー信号を規格化することがで
きる。すなわち、例えば以下のような計算式により、M
SB判定モードにおける規格化された位相エラー信号P
Eを得ることができる。
【0157】 PE={(P−S)+(Q−R)}/(U−T) (41) PEOブロック106が式(41)によって計算される
規格化された位相エラー信号PEを生成する。規格化さ
れた位相エラー信号PEを使用してPLLをロックさせ
るようにすれば、再生RF信号の振幅を気にせずにPL
Lのループ帯域を決めることができる。
【0158】また、MSB判定モードには、特にPLL
の周波数引き込み過程において、フォールスロック、す
なわちVCOの周波数が再生RF信号の周波数に完全に
一致していないにも関わらず、位相エラー信号PEの時
間平均値がゼロとなってPLLのロックが完了したもの
として扱われてしまう現象が生じる可能性が内在してい
る。この問題に対処するために、位相エラー信号PEの
極性とその微分信号の極性とが一致する場合にMSB判
定モードにおける位相エラー信号PEの値をそのまま使
用し、それ以外の場合には位相エラー信号PEの値をゼ
ロとするようにしたMuteモードを用いることが有効
である。
【0159】Muteモードは、主にPLLの周波数引
き込み過程において使用される。更に、周波数引き込み
過程が完了した後に通常のMSB判定モード等に移行す
る等の制御を行うようなことによって、フォールスロッ
クを回避しつつ、安定なPLLのロックを実現すること
ができる。なお、微分信号の値が所定の範囲内の値をと
る場合以外において位相エラー信号PEの値をゼロとす
る等の条件をさらに課すことによって、周波数引き込み
過程をより迅速に行うようにしても良い。なお、上述の
説明から明らかなように、Muteモードにおけるエラ
ー信号検出ポイントは、MSB判定モードと同様なもの
となる。
【0160】この発明は、上述したようなMSB判定モ
ードやその応用であるMuteモード等を行う場合に、
PEO106に簡単な回路を付加する構成により、再生
RF信号が大きなDCオフセットを有する場合にもエラ
ー信号検出ポイントが得られる頻度の大幅な低下を防止
するようにしたものである。
【0161】DCオフセットついて以下に説明する。一
般に、光ディスクの再生系においては、光学的な特性
(MTF)のためにDCオフセットが生じる。CD(Com
pact Disk)等においては、DCオフセットが平均的にゼ
ロとなるような変調方式を採用しているのでDCオフセ
ットは問題とならないが、例えばISO標準の5.25
インチ光磁気ディスク等においては、再生RF信号にD
Cオフセットが含まれる。このようなDCオフセットが
ある場合、再生RF信号は平均的にその分のDCオフセ
ットを有することになる。
【0162】また、再生RF信号のデータパターンによ
ってDCオフセットは変動する。例えば、マーク部分が
短くスペース部分が長いデータパターンと、反対にマー
ク部分が長くスペース部分が短いデータパターンが繰り
返された場合等に、DCオフセットが大きく変動する。
さらに、光磁気ディスク等の基板製造時に力学的な歪が
生じたことによって光学的な複屈折が生じ、再生RF信
号のDCレベルが変動する場合もある。
【0163】このようにして生じるDCオフセットおよ
びそのゆらぎは、復号データのエラーレートの劣化の要
因となることがある。この点について具体的に説明す
る。図15中のA/D変換器12の前段において、DC
オフセットおよびそのゆらぎの影響分をも含めた再生R
F信号の全体がA/D変換器12のダイナミックレンジ
に収まるように振幅が制御される。より具体的にはビタ
ビ復号器230の前段で以下のような処理がなされる。
【0164】すなわち、ビタビ復号器230による2値
化処理(復号処理)を行うための信号を得るためには、
フィルタ部11内のイコライザによってパーシャルレス
ポンス特性に波形制御した後にA/D変換器12によっ
てA/D変換を行ってビタビ復号器230にA/D変換
値を供給するか、または、A/D変換器12によるA/
D変換処理をほどこされてなる信号をトランスバーサル
フィルタ等のデジタルフィルタによってパーシャルレス
ポンス特性に波形制御し、波形制御した信号をビタビ復
号器230に供給する等の処理が行われる。
【0165】何れの処理においても、DCオフセットの
変動がある場合にはDCオフセットの変動を含めた再生
RF信号が全体としてA/D変換器12のダイナミック
レンジに収まるようにする必要がある。従って、DCオ
フセットの変動が大きくなると、実際の再生RF信号の
ピークトゥピーク値がA/D変換器12のダイナミック
レンジに対して小さくなるので、再生RF信号の波形に
対するA/D変換器12の分解能は小さくなる。このこ
とにより、ビタビ復号器230の復号精度が低下する。
【0166】従って、ビタビ復号器を用いて再生RF信
号の2値化を行う場合、DCオフセットの変動をキャン
セルする処理が必要となる。このような処理について説
明する。まず、DCオフセットがゼロで無信号の時の再
生RF信号のA/D変換値がダイナミックレンジの中央
に来るように設定し、これを基準値とする。A/D変換
コードを2の補数表現で表し、基準値をゼロとすると、
DCオフセット値は、サンプリング値の総平均で表すこ
とができる。
【0167】但し、サンプリング値の総平均によってで
はなく、MSB判定モード等におけるエラー信号検出ポ
イントでサンプリングされるサンプリング値の内の所定
のものに基づいてDCオフセット値を計算するようにし
ても良い。すなわち、6値4状態における6値の内、ピ
ークトゥピーク値を除いた4値P,Q,R,Sの平均に
よってDCオフセット値を表すことができる。すなわ
ち、例えば(P+Q+R+S)の値を計算することによ
って、DCオフセット値を計算することができる(より
厳密には(P+Q+R+S)の値の1/4がDCオフセ
ット値である)。
【0168】このようなDCオフセット値の計算は、例
えば、MSB判定モードにおける位相エラー信号PEを
生成するための上述した計算式(40)において、減算
項を加算項に変更したものに従って行えば良い。後述す
るように、この発明の一実施形態におけるPEO206
は、そのような計算を実現する構成を有する。
【0169】以下、光磁気ディスク装置にこの発明を適
用したこの発明の一実施形態について説明する。図17
に、この発明の一実施形態の全体的な構成を示す。図1
および図15等を参照して上述した光磁気ディスク装置
の例と同様の構成要素には、同一の符号を付した。ま
た、記録系およびサーボ系等については図示を省略した
が、例えば上述した光磁気ディスク装置の一例と同様な
ものとすれば良い。また、この発明の他の実施形態にお
いても、上述したこの発明の一実施形態と同様に、上述
した6値4状態が前提とされる。
【0170】この発明の一実施形態では、A/D変換器
12の前段となる位置に、再生RF信号のDCオフセッ
トを制御するオフセットフィードバック回路210が設
けられている。A/D変換器12の出力である、再生R
F信号のA/D変換値z〔k〕は、ビタビ復号器230
と、シフトレジスタ207とに供給される。それと共
に、A/D変換値z〔k〕のMSBがタイミングジェネ
レータ200および強制オフセットエラー信号発生ブロ
ック(Forced Offset Error、以下FOEと表記する)ブ
ロック208に供給される。
【0171】ビタビ復号器230は、再生RF信号のA
/D変換値z〔k〕に基づいて最尤な状態遷移を選択
し、選択した状態遷移に基づいて復号データを生成し、
この復号データをコントローラ2に供給する。また、シ
フトレジスタ207は、再生RF信号値z〔k〕を所定
時間保持し、その後PEOブロック207に供給する。
このため、PEOブロック207は、所定時間遅延した
A/D変換値z〔k−p〕を受取ることになる。
【0172】一方、タイミングジェネレータ200は、
図16等を参照して上述したように、MSBの変化が生
じる時点を検出することによって位相エラー信号および
オフセットエラー信号の生成に必要なサンプリングを行
うためのサンプリングポイントを示す6種類のサンプリ
ング信号GP , GQ , GR , GS , GT , GU を生成
し、生成したサンプリング信号をPEOブロック206
とFOEブロック208に供給する。但し、FOEブロ
ック208には、ピークトゥピーク値以外の4種類の値
を取込むための4種類のサンプリング信号GP , GQ ,
R , GS が供給されれば良い。
【0173】PEOブロック206は、供給されるサン
プリング信号に従って再生RF信号値z〔k〕からサン
プリングを行う。そして、サンプリング値に基づいて、
位相エラー信号PEとオフセットエラー信号OEとを生
成する。位相エラー信号PEがD/A変換器108に供
給され、また、オフセットエラー信号OEがFOEブロ
ック208に供給される。
【0174】D/A変換器108は、供給される信号を
D/A変換し、フィルタ109を介してVCO110に
供給する。VCO110の周波数が位相エラー信号PE
によって制御されることにより、リードクロックDCK
が生成される。リードクロックDCKは、A/D変換器
12、ビタビ復号器230、タイミングジェネレータ2
00、シフトレジスタ207、PEOブロック206、
D/A変換器108、コントローラ2等に供給される。
これらの各構成要素の動作タイミングは、リードクロッ
クDCKに従うものとされる。
【0175】一方、FOEブロック208は、タイミン
グジェネレータ200から供給される4種類のサンプリ
ング信号GP , GQ , GR , GS を参照して、PEOブ
ロック206から供給されるオフセットエラー信号OE
と、再生RF信号のDCオフセットを小さくする制御が
なされるためのオフセットエラー信号(かかるオフセッ
トエラー信号としては後述するように2種類のものが出
力され得るが、その何れを出力するかはA/D変換器1
2から供給されるMSBを参照して選択される)の内の
一方を選択してD/A変換器209に供給する。
【0176】D/A変換器209は、供給される信号に
D/A変換を施してオフセットフィードバック信号を生
成し、オフセットフィードバック回路210に供給す
る。オフセットフィードバック回路210は、供給され
るオフセットフィードバック信号に従って、再生RF信
号のDCオフセットを制御する。
【0177】以下、位相エラー信号PEおよびオフセッ
トエラー信号OEの生成についてより詳細に説明する。
図16等を参照して上述したように、P,Q,R,Sの
値をサンプリングし、例えば{(P−S)+(Q−
R)}の値を計算することによって、位相エラー信号P
Eを得ることができる。また、例えば(P+Q+R+
S)の値を計算することによって、オフセットエラー信
号OEを生成することができる。
【0178】このような位相エラー信号PEおよびオフ
セットエラー信号OEを生成するPEO206の構成に
ついて図18を参照して説明する。PEO206は、4
個のレジスタ401、402、403および404を有
し、さらに、2種類の演算回路405および406を有
する。レジスタ401、402、403および404に
は、シフトレジスタ107から遅延させられた再生RF
信号のA/D変換値z〔k−p〕が供給される。また、
レジスタ401、402、403および404には、タ
イミングジェネレータ200からサンプリング信号
P , GQ , GR ,GS がそれぞれ供給される。
【0179】このため、P,Q,R,Sの値がそれぞれ
レジスタ401、402、403、404に記憶される
ことになる。そして、各記憶値が演算回路405および
406に供給される。演算回路405に供給される記憶
値の内、PおよびQの値の極性がプラスとされ、Rおよ
びSの値の極性がマイナスとされる。これにより、演算
回路405がPE={(P−S)+(Q−R)}の値を
計算するようになされる。一方、演算回路406に供給
される記憶値については、全てのサンプリング値の極性
がプラスとされる。これにより、演算回路406がOE
=(P+Q+R+S)の値を計算するようになされる。
【0180】上述したような構成により、位相エラー信
号PEおよびオフセットエラー信号OEの生成が実現さ
れる。但し、図16等を参照して上述したように、エラ
ー信号検出ポイントは再生RF信号値のMSBの反転が
生じたタイミングに基づいて生成されるので、再生RF
信号値のMSBの反転が生じる頻度が何らかの要因で小
さくなると、P,Q,R、S(およびピークトゥピーク
値T,U)がサンプリングされる頻度が小さくなるとい
う問題がある。
【0181】より具体的には、再生RF信号のDCオフ
セット量がある程度以上大きい場合等においては、再生
RF信号値がダイナミックレンジの上方または下方に偏
在することになるので、再生RF信号値がダイナミック
レンジの中央の値を横切る頻度が減少し、従ってMSB
反転の頻度が低下するので、エラー信号検出ポイントが
得にくくなる。かかる場合には、PLLの制御において
以下のような問題が生じる。すなわち、位相エラー信号
が得られる頻度が低下するので、PLLにロックが掛か
りにくくなる、あるいは一旦確立したPLLのロックが
外れ易くなる等の問題が生じる。
【0182】一方、MSB反転の頻度が低下する場合に
は、再生RF信号のDCオフセットの制御において以下
のような問題が生じる。ある時点におけるオフセットフ
ィードバック信号は、直近のエラー信号検出ポイントに
おいて得られたサンプリング値に基づいて算出されたオ
フセットエラー信号の値をそのまま保持したものとな
る。そのようなオフセットエラー信号の値は、多くの場
合、オフセットフィードバック回路においてオフセット
をキャンセルするような制御がなされるような符号を有
することになる。
【0183】このため、MSB反転の頻度が低下する場
合においても、オフセットエラー信号OEを生成する構
成(例えば図15中のPEO206)と、オフセットエ
ラー信号OEに基づいて再生RF信号にフィードバック
制御を行う構成(例えば図15中のオフセットフィード
バック回路210)との組合わせによってオフセットキ
ャンセル回路としての機能は一般的には実現される。但
し、例えばリードゲートがアクティブになった所(リー
ド動作の開始時点)等で非常に大きなDCオフセットが
ある場合、エラー信号検出ポイントが全く発生せず、オ
フセットキャンセル回路としての機能が損なわれる。
【0184】また、再生RF信号が大きなDCオフセッ
トを含む場合には、DCオフセットの大きさに対して充
分な大きさのオフセットエラー信号OEの値が算出され
ず、オフセットフィードバック制御に多くの時間が必要
となったり、実際上そのような制御が不可能となったり
するおそれがある。
【0185】以上のような問題を解消若しくは低減する
ために、この発明においては、以下のような性質を利用
して、より的確なオフセットエラー信号を生成するよう
にしている。すなわち、DCオフセットの量が非常に大
きく、エラー信号検出ポイントが得られない場合にも、
その時点でのMSBを調べることによりDCオフセット
の符号を知ることができる。
【0186】かかる性質に鑑みて、この発明の一実施形
態では、エラー信号検出ポイントが所定の時間以上の期
間に渡って発生しない場合に、その時点でのMSBの値
に応じた所定のDCオフセット量を表現するオフセット
エラー信号を強制的に出力するようにしている。この際
の所定のDCオフセット量を大きく設定すれば、オフセ
ットフィードバック回路210が機能して再生RF信号
のA/D変換値が速やかにダイナミックレンジの中央値
に近づき、それによってエラー信号検出ポイントが発生
する。そして、エラー信号検出ポイントが発生する時点
以降においては、通常のオフセットエラー信号OEをそ
のまま使用するように切替えるようにしている。
【0187】このような制御について図19を参照して
説明する。図19Aは、縦軸に再生RF信号のA/D変
換値の推移の一例を時間に沿って示すグラフである。リ
ードクロックDCKに従う各サンプリング点に丸を付し
て示した。但し、細線および白丸は通常のMSB判定モ
ードにおける再生RF信号およびサンプリング点を示
し、太線および黒丸はこの発明の一実施形態における再
生RF信号およびサンプリング点を示す。
【0188】また、図19Bは、図19Aに示す再生R
F信号に対応して生成されるオフセットエラー信号の値
の推移を示すグラフである。図19Bにおいては、細線
が通常のMSB判定モードにおけるオフセットエラー信
号の値の推移の一例を示し、太線がこの発明の一実施形
態におけるオフセットエラー信号の値の推移の一例を示
す。
【0189】図19Bに示すように、MSBの反転が所
定期間Tclk の間生じない場合には、太線で示すオフセ
ットエラー信号が強制的に出力される。このオフセット
エラー信号を参照したDCオフセットの制御が上述した
オフセットフィードバック回路210によって行われる
結果として、図19Aの太線および黒丸で示すように、
再生RF信号およびサンプリング点が推移する。これに
より、細線および白丸で示した通常のMSB判定モード
の場合に比べて、MSB反転が早く生じる。
【0190】以上のような制御を実現するFOEブロッ
ク208について、図20を参照して説明する。FOE
ブロック208は、NAND回路301、カウンタ30
2、コンパレータ303、オフセットエラー信号選択ス
イッチ304、および強制オフセットエラー信号選択ス
イッチ305を有する。
【0191】カウンタ302にはリードクロックDCK
が供給される。カウンタ302はリードクロックDCK
の数をカウントし、カウント値をコンパレータ303に
供給する。また、カウンタ302にはNAND回路30
1から所定の信号が供給され、かかる信号に応じてカウ
ント値がリセットされる。すなわち、NAND回路30
1にはタイミングジェネレータ200からサンプリング
信号GP , GQ , GR, GS が供給され、何れか1種類
のサンプリング信号がアクティブとされる場合にカウン
タ302をリセットするパルスが出力される。従って、
MSBの反転が生じないためにエラー信号検出ポイント
が得られない期間には、リードクロックDCKが供給さ
れる毎にカウント値が増加していく。
【0192】コンパレータ303は、供給されるカウン
ト値を別途供給される所定値Tclkと比較し、比較結果
に応じた信号をオフセットエラー信号選択スイッチ30
4に出力する。オフセットエラー信号選択スイッチ30
4は、コンパレータ303の出力に応じて、PEO20
6から供給されるオフセットエラー信号OEと、強制オ
フセットエラー信号選択スイッチ305から供給される
オフセットエラー信号との内の一方を選択的に出力す
る。
【0193】より具体的には、カウント値がTclk 以上
であると判定される場合にコンパレータ303の出力が
例えば'High'とされる。この場合には、信号選択スイッ
チ304がPEO206から供給されるオフセットエラ
ー信号OEではなく、強制オフセットエラー信号選択ス
イッチ305から後述するようにして供給されるオフセ
ットエラー信号を出力する。一方、カウント値がTclk
より小さいと判定される場合には、コンパレータ303
の出力が例えば'Low' とされる。この場合には、オフセ
ットエラー信号選択スイッチ304がPEO206から
供給されるオフセットエラー信号OEを出力する。
【0194】従って、カウント値がTclk 以上となった
時点以降、強制オフセットエラー信号選択スイッチ30
5の出力がFOEブロック208の出力とされる状況が
開始し、その後、新たなエラー信号検出ポイントが発生
することによってカウント値がリセットされるまでの期
間、かかる状況が継続することになる。
【0195】但し、かかる状況が開始した後、例えばコ
ントローラ2によってリードクロックDCKを単位とし
て設定された所定の期間に渡って、かかる状況が継続す
るようにしても良い。そのような期間は、再生RF信号
の特性、要求される復号精度等を考慮して適切に設定す
れば良い。
【0196】また、強制オフセットエラー信号選択スイ
ッチ305には2種類のオフセットエラー信号、すなわ
ちDCオフセットエラーの極性がプラスである場合に対
応するオフセットエラー信号と、DCオフセットエラー
の極性がマイナスである場合に対応するオフセットエラ
ー信号とが供給される。強制オフセットエラー信号選択
スイッチ305には、MSBが供給され、MSBの極性
に応じて2種類のオフセットエラーの内の一方を選択的
に出力する。これにより、2種類のオフセットエラーの
内、DCオフセットを小さくする制御がなされるような
方向(極性)を有する方が出力される。
【0197】上述したようなFOEブロック208の出
力に応じて、オフセットフィードバック回路210等に
よって再生RF信号に対するフィードバック制御がなさ
れてDCオフセットが制御されることにより、図19を
参照して上述したような制御が実現される。
【0198】なお、Tclk の値は、コンパレータ303
に対して例えばコントローラ2によって設定される。こ
のTclk の値は、再生RF信号の特性、要求される復号
精度等を考慮して適切に設定すれば良い。また、強制オ
フセットエラー信号選択スイッチ305に供給される2
種類のオフセットエラー信号の絶対値も再生RF信号の
特性、要求される復号精度等を考慮して適切に設定すれ
ば良い。さらに、強制オフセットエラー信号選択スイッ
チ305に供給される3種類以上のオフセットエラー信
号を供給するようにし、MSB以外に例えばカウンタ3
02が生成するカウント値等も参照して適切なオフセッ
トエラー信号を選択することにより、よりきめ細かな制
御を行うようにしても良い。
【0199】なお、上述したこの発明の一実施形態は、
ビタビ復号方法を行う光磁気ディスク装置にこの発明を
適用したものであるが、MSB判定モードはビタビ復号
方法において選択される状態遷移に基づくものでは無い
ので、ビタビ復号方法以外の復号方法を行うものであっ
ても、MSB判定モード、およびそれを応用したMut
eモード、diffモード等を行う情報再生装置に対し
て、この発明を適用することが可能である。特に、Mu
teモード、diffモード等がアクイジッションモー
ドとして用いられる場合に、再生RF信号のDCオフセ
ット量が大きくなる時等に、この発明を適用することが
有効となる。
【0200】また、光磁気ディスク(MO)以外にも、
例えば相変化型ディスクPD、CD−E(CD-Erasable
)等の書き換え可能ディスク、CD−R等の追記型デ
ィスク、CD−ROM等の読み出し専用ディスクから情
報を再生する情報再生装置に適用することが可能であ
る。
【0201】また、この発明は、この実施例に限定され
ることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の
応用および変形が考えられる。
【0202】
【発明の効果】上述したように、この発明は、光ディス
クの部分的な不具合等に起因する複屈折等によって再生
RF信号のDCオフセットが大きくなり、それに起因し
てMSB判定モードにおけるエラー信号生成ポイントが
得られる頻度が低下する場合に、MSBの極性を参照し
て、DCオフセットが小さくなるようなフィードバック
制御を行わせるオフセットエラー信号を強制的に発生さ
せるようにしたものである。
【0203】このため、再生RF信号のDCオフセット
が大きくなる場合に、DCオフセットが小さくなるよう
なオフセットフィードバックをかけることができ、DC
オフセットが速やかにA/D変換器のダイナミックレン
ジの中央値付近に位置するようにすることができる。
【0204】従って、再生RF信号のDCオフセットが
一旦大きくなり、それに起因してMSB判定モードにお
けるエラー信号生成ポイントが得られる頻度が低下する
場合にも、エラー信号生成ポイントがある程度の頻度で
得られる状態に速やかに戻すことが可能である。
【0205】このため、再生RF信号大きなDCオフセ
ットを有する部分を含む場合にも、再生動作の全体を通
じて位相エラー信号およびオフセットエラー信号が安定
して生成されるようにすることができる。従って、PL
Lをロックさせる制御および再生RF信号のDCオフセ
ットの制御をより安定なものとすることができる。
【0206】また、通常のMSB判定モードのオフセッ
トフィードバックに、比較的簡単なディジタル回路を追
加するだけで構成できるので、回路規模の大幅な増大を
伴わずに、上述した効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4値4状態ビタビ復号方法を行う光磁気ディス
ク装置の一例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】マーク位置記録方法およびマークエッジ記録方
法について説明するための略線図である。
【図3】光磁気ディスクのセクタフォーマットの一例に
ついて説明するための略線図である。
【図4】RLL(1,7)符号化方法において、最小磁
化反転幅が2であることを示す略線図である。
【図5】RLL(1,7)符号とマークエッジ記録方法
の組合わせによって記録されたデータから再生される再
生信号を、パーシャルレスポンス特性PR(1,2,
1)の下で波形等化した時のアイ・パターンについて説
明するための略線図である。
【図6】4値4状態ビタビ復号方法の状態遷移図を作成
する過程について説明するための略線図である。
【図7】4値4状態ビタビ復号方法の状態遷移図の一例
を示す略線図である。
【図8】4値4状態ビタビ復号方法におけるトレリス線
図の一例を示す略線図である。
【図9】4値4状態ビタビ復号方法において、規格化メ
トリックに基づく状態遷移の条件を示す略線図である。
【図10】4値4状態ビタビ復号を行うビタビ復号器の
全体構成を示すブロック図である。
【図11】図10に示したビタビ復号器の一部分の構成
を詳細に示すブロック図である。
【図12】図10に示したビタビ復号器の他の一部分の
構成を詳細に示すブロック図である。
【図13】図10に示したビタビ復号器のさらに他の一
部分の構成を詳細に示すブロック図である。
【図14】6値4状態ビタビ復号方法の状態遷移図の一
例を示す略線図である。
【図15】この発明の一実施形態の全体的な構成につい
て説明するためのブロック図である。
【図16】MSB判定モードにおける、エラー信号生成
ポイントについて説明するための略線図である。
【図17】この発明の一実施形態の全体構成について説
明するためのブロック図である。
【図18】この発明の一実施形態中の一部の構成につい
て説明するためのブロック図である。
【図19】この発明による再生RF信号のDCオフセッ
トの制御について説明するための略線図である。
【図20】この発明の一実施形態中の一部の構成につい
て説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
12・・・A/D変換器、206・・・PEOブロッ
ク、208・・・FOEブロック、210・・・オフセ
ットフィードバック回路

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体から再生される再生信号に基づ
    いてPLLをロックさせることによってクロック信号を
    生成し、そのクロック信号に応じて再生動作する情報再
    生装置において、 再生信号のA/D変換値のMSBの反転が生じるタイミ
    ングに基づいて、エラー信号の検出を行うためのサンプ
    リングポイントを示すタイミング信号を生成するタイミ
    ング生成手段と、 上記タイミング信号に従って上記再生信号のA/D変換
    値からサンプリング値を取込み、取込まれた上記サンプ
    リング値に基づいて位相エラーおよびオフセットエラー
    を表現するエラー信号を生成するエラー信号生成手段
    と、 上記エラー信号生成手段の出力に基づいてPLLをロッ
    クさせるPLL制御手段と、 上記エラー信号生成手段の出力と、上記再生信号のDC
    オフセットの量を小さくする制御を行うためのオフセッ
    トエラー信号との内の一方を選択的に出力するオフセッ
    トエラー信号出力手段と、 上記オフセットエラー信号出力手段の出力に応じて、再
    生信号のDCオフセットに係る制御を行うオフセットフ
    ィードバック手段とを有することを特徴とする情報再生
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 上記オフセットエラー信号出力手段は、 上記サンプリングポイントが所定期間以上発生しない時
    に、上記所定のオフセットエラーを表現する信号を所定
    の期間に渡って出力することを特徴とする情報再生装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 上記所定のオフセットエラーを表現する信号が出力され
    る所定の期間は、 上記所定のオフセットエラーを表現する信号の出力開始
    時点以降、上記サンプリングポイントが新たに発生する
    までの期間であることを特徴とする情報再生装置。
  4. 【請求項4】 請求項2において、 上記所定のオフセットエラーを表現する信号が出力され
    る所定の期間は、 クロック信号の周期を単位として予め設定される期間で
    あることを特徴とする情報再生装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 上記オフセットエラー信号出力手段は、 上記再生信号のDCオフセットの量を小さくする制御が
    行われるためのオフセットエラー信号として出力され得
    る複数個の信号の内から、その時点での上記再生信号の
    A/D変換値のMSBを参照して、的確なものを選択的
    に出力することを特徴とする情報再生装置。
  6. 【請求項6】 請求項1において、 上記PLL制御手段は、 上記エラー信号生成手段の連続する2個の時点間での出
    力の差としての微分信号を生成し、生成した微分信号を
    参照して、上記エラー信号生成手段の出力に基づく位相
    エラー信号を生成し、 上記位相エラー信号に基づいてPLLをロックさせるこ
    とを特徴とする情報再生装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 上記PLL制御手段は、 PLLのロックが未だ掛けられていない状況においてP
    LLにロックを掛けるアクイジッションモードにおいて
    のみ、上記位相エラー信号に基づいてPLLをロックさ
    せることを特徴とする情報再生装置。
  8. 【請求項8】 記録媒体から再生される再生信号に基づ
    いてPLLをロックさせることによってクロック信号を
    生成し、そのクロック信号に応じて再生動作する情報再
    生方法において、 再生信号のA/D変換値のMSBの反転が生じるタイミ
    ングに基づいて、エラー信号の検出を行うためのサンプ
    リングポイントを示すタイミング信号を生成するステッ
    プと、 上記タイミング信号に従って上記再生信号のA/D変換
    値からサンプリング値を取込み、取込まれた上記サンプ
    リング値に基づいて位相エラーおよびオフセットエラー
    を表現するエラー信号を生成するエラー信号生成ステッ
    プと、 上記エラー信号生成ステップの結果に基づいてPLLを
    ロックさせるステップと、 上記エラー信号生成ステップの結果と、上記再生信号の
    DCオフセットの量を小さくする制御が行われるための
    オフセットエラー信号との内の一方を選択的に出力する
    オフセットエラー信号出力ステップと、 上記オフセットエラー信号出力ステップの結果に応じ
    て、再生信号のDCオフセットに係る制御を行うステッ
    プとを有することを特徴とする情報再生方法。
JP14748798A 1998-05-28 1998-05-28 情報再生装置および再生方法 Pending JPH11339401A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6920280B2 (en) 2000-12-19 2005-07-19 Kabushiki Kaisha Toshiba Digital data play back apparatus and method for playing back digital data
JP2006344255A (ja) * 2005-06-07 2006-12-21 Hitachi Ltd 位相誤差検出回路、位相同期ループ回路及び情報再生装置
EP2061031A3 (en) * 2007-11-15 2012-10-10 Hitachi Ltd. Offset compensator and optical disc drive using the same

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