JPH10326456A - 情報再生装置および再生方法 - Google Patents

情報再生装置および再生方法

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Publication number
JPH10326456A
JPH10326456A JP13543597A JP13543597A JPH10326456A JP H10326456 A JPH10326456 A JP H10326456A JP 13543597 A JP13543597 A JP 13543597A JP 13543597 A JP13543597 A JP 13543597A JP H10326456 A JPH10326456 A JP H10326456A
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JP
Japan
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state
value
amplitude reference
data
clock
Prior art date
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Application number
JP13543597A
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English (en)
Inventor
Junichi Horigome
順一 堀米
Shigeo Yamaguchi
茂男 山口
Takayoshi Chiba
孝義 千葉
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
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  • Signal Processing For Digital Recording And Reproducing (AREA)
  • Error Detection And Correction (AREA)
  • Detection And Prevention Of Errors In Transmission (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 並列処理のビタビ復号方法において、振幅基
準値の適応化処理を短時間で行う。 【解決手段】 RAA101内の演算部179内に、1
ハーフクロック当たり2個の振幅基準値c0,c1に基
づいて、各々の値を更新するための計算を行うc0計算
回路302、c1計算回路311と共に、連続更新計算
回路306を有する構成とする。c0,c1が異なる振
幅基準値である場合には、両者を更新するための計算が
302、311によって略同時に行われる。また、c
0,c1が同一の振幅基準値である場合には、連続更新
計算回路306がc0の値に基づいてかかる振幅基準値
を更新するための計算を近似式に従って1ハーフクロッ
ク以内に行うようにする。302、311および306
に対する、更新対象とされる振幅基準値の供給は、更新
対象選択スイッチ191〜196によってなされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば光磁気デ
ィスク装置等の情報再生装置、特にPRML(Pertial
Response Maximum Likelihood )方法を用いる情報再生
装置および再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気ディスク装置等の情報再生装置に
おいて、記録媒体から再生される再生信号を復号する方
法として、ビタビ復号方法が多用されている。ビタビ復
号方法は、ホワイトノイズを含む再生信号を復号する場
合にビットエラーレートを小さくすることができる復号
方法である。
【0003】ビタビ復号方法の概要は、以下のようなも
のである。記録媒体に対する記録方法に応じて複数個の
状態を予め特定し、記録媒体から再生される再生信号に
基づいて、リードクロックに従うタイミングでなされる
計算処理によって、リードクロックに従う各時点におい
て、最尤な状態遷移を選択する。そして、このような選
択の結果に対応して、'1' または'0' の復号データ値の
系列としての復号データを生成する。
【0004】再生信号に基づく計算処理は、ビタビ復号
方法の種類によって決まる振幅基準値を参照して行われ
る。振幅基準値は、再生信号が振幅変動等の影響を受け
ていない理想的なものである場合には、ビタビ復号方法
の種類から理論的に決まるものを用いれば良い。しかし
ながら、再生信号が理想的なものでない一般の場合に
は、ビタビ復号の精度を向上させるために、再生信号の
振幅変動等に応じて振幅基準値を更新することにより、
振幅基準値を再生信号に対して適応化することが必要と
なる。
【0005】一方、近年、記録媒体の高記録密度化およ
び情報再生装置に対するデータ転送速度の向上が要求さ
れている。
【0006】このような観点から、ビタビ復号器の動作
速度について説明する。ビタビ復号器においては、一般
にACSがクリティカルパスとなる。すなわち、ACS
による計算処理に要する時間によって、ビタビ復号器全
体の処理時間の短縮が妨げられる。そこで、ビタビ復号
器の動作速度を向上させる手段として、ビタビ復号器の
動作タイミングを制御するシステムクロックを、リード
クロックの2分の1の周波数のクロックとし、再生RF
信号からサンプリングされる2リードクロック分の再生
信号値を並列に計算処理するビタビ復号器が従来から用
いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】並列処理のビタビ復号
器においても、振幅基準値を再生信号に対して適応化す
ることは、復号精度を向上させるために有効である。但
し、振幅基準値の適応化を行うためには、状態遷移その
ものが認識される必要がある。
【0008】また、並列処理のビタビ復号器では、上述
した2リードクロック分の再生信号値に対する計算処理
を行うための、1システムクロック当たり2個の振幅基
準値を、それぞれ更新する必要がある。
【0009】更新対象とされる2個の振幅基準値が別の
種類のものであれば、2個の振幅基準値を更新するため
の計算を略同時に行うことができるので、更新のための
計算処理を短時間の内に行うことができる。
【0010】ところが、更新対象とされる2個の振幅基
準値が同一のものである場合には、同一の振幅基準値を
更新するための計算を2度繰り返す必要が生じる。この
ような場合には、最初の更新のための計算が完了するま
では、2番目の更新のための計算を開始することができ
ないので、更新のための計算処理により長い所要時間を
要する。かかる所要時間がシステムクロックの間隔を越
える場合には、適応化のための計算処理がクリティカル
パスとなるおそれがある。
【0011】従って、この発明の目的は、並列処理のビ
タビ復号方法において、振幅基準値の適応化を行う場合
に、システムクロック毎になされる振幅基準値の更新の
ための計算を、特に、更新対象とされる2個の振幅基準
値が同一となる場合に、短時間で行うことが可能な情報
再生装置および再生方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、記録
媒体から再生される再生信号をビタビ復号方法によって
復号するようにした情報再生装置において、クロック
と、クロックの2分の1の周波数のハ−フクロックを発
生させる手段と、クロックに従ってサンプリングされる
再生信号値に基づいて、連続する2個の再生信号値を単
位として、ハ−フクロックに従うタイミングの下での並
列処理を行って、最尤な状態遷移そのものを表現するハ
−フクロック毎の状態データを生成する状態データ生成
手段と、状態データに基づいて、復号データを出力する
復号データ出力手段と、状態データと、連続する2個の
再生信号値とに基づいて、ブランチメトリックの値を計
算する際に参照値として用いられる2個の振幅基準値
を、クロック毎に更新するようにした振幅基準値適応化
手段とを有することを特徴とする情報再生装置である。
【0013】請求項6の発明は、記録媒体に記録されて
いる情報信号を再生するようにした情報再生方法であっ
て、記録媒体から再生される再生信号を復号する復号手
段として、ビタビ復号方法を用いる情報再生方法におい
て、クロックと、クロックの2分の1の周波数のハ−フ
クロックを発生させるステップと、クロックに従ってサ
ンプリングされる再生信号値に基づいて、連続する2個
の再生信号値を処理単位として、ハ−フクロックに従う
タイミングの下での並列処理を行って、最尤な状態遷移
そのものを表現するハ−フクロック毎の状態データを生
成するステップと、状態データに基づいて、復号データ
を出力するステップと、状態データと、連続する2個の
再生信号値とに基づいて、ブランチメトリックの値を計
算する際に参照値として用いられる2個の振幅基準値
を、クロック毎に更新するステップとを有することを特
徴とする情報再生方法である。
【0014】以上のような発明によれば、並列処理によ
って選択される最尤な状態遷移を表現する状態データを
生成することができる。
【0015】このような状態データに基づいて、復号デ
ータを生成することができる。
【0016】また、このような状態データに基づいて、
更新対象となる、1システムクロック当たり2個の振幅
基準値を特定することが可能となる。特定される振幅基
準値に対して、システムクロック毎に所定の計算処理を
行うことにより、振幅基準値の適応化を行うことができ
る。
【0017】特に、かかる1システムクロック当たり2
個の振幅基準値が同一のものである場合に、両者が別の
ものである場合とは異なる計算処理を行うようにするこ
とができる。このため、同一の振幅基準値を連続して更
新する処理を行わないようにすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の理解を容易と
するために、ビタビ復号方法を行う再生系を有する記録
/再生装置の一例について、装置の全体構成、記録媒体
のセクタフォーマット、4値4状態ビタビ復号方法の概
要、4値4状態ビタビ復号方法を実現するビタビ復号器
の構成および動作、および4値4状態ビタビ復号方法以
外のビタビ復号方法の順に説明する。
【0019】〔ディスク記録再生装置の概要〕以下、ビ
タビ復号方法を行う再生系を有する記録/再生装置の一
例について説明する。図1は、ビタビ復号方法を行う再
生系を有する光磁気ディスク装置の一例の全体構成を示
すブロック図である。記録時には、コントローラ2がホ
ストコンピュータ1の指令に従って、記録すべきユーザ
データを受取り、情報語としてのユーザデータに基づい
てエンコードを行って、符号語としてのRLL(1,
7)符号を生成する。この符号語が記録データとしてレ
ーザパワーコントロール部(以下、LPCと表記する)
4に供給される。コントローラ2は、このような処理の
他に、後述する復号化処理、および記録、再生、消去等
の各モードの制御、並びにホストコンピュータ1との交
信等の動作を行う。
【0020】LPC4は、供給された記録データに対応
して、光ピックアップ7のレーザパワーを制御して光磁
気ディスク6上に磁気極性を有するピット列を形成する
ことにより、記録を行う。この記録の際に、磁気ヘッド
5が光磁気ディスク6にバイアス磁界を付与する。実際
には、記録データに基づいて後述するように生成される
プリコード出力に従って、後述するようなマークエッジ
記録が行われる。
【0021】後述するように、記録位置すなわちピット
の形成位置の制御は、磁気ヘッド5および光ピックアッ
プ7等の位置決めを行う、図示しない手段によってなさ
れる。このため、記録動作時においても、光ピックアッ
プ7がアドレス部等を通過する際には、後述するような
再生時の動作と同様な動作が行われる。
【0022】上述したようにして形成される各ピット
を、記録データに基づいて後述するようにして生成され
るプリコード出力中の各ビットに対応させる方法につい
て、図2を参照して説明する。プリコード出力中の、例
えば'1' に対してピットを形成し、'0' に対してピット
を形成しない記録方法をマーク位置記録方法と称する。
一方、各ピットのエッジによって表現される、プリコー
ド出力中の各ビットの境界における極性の反転を、例え
ば'1' に対応させる記録方法をマークエッジ記録方法と
称する。再生時には、再生信号中の各ビットの境界は、
後述するようにして生成されるリードクロックDCKに
従って認識される。
【0023】次に、再生系の構成および動作について説
明する。光ピックアップ7は、光磁気ディスク6にレー
ザ光を照射し、それによって生じる反射光を受光して、
再生信号を生成する。再生信号は、和信号R+ 、差信号
- および図示しないフォーカスエラー信号ならびにト
ラッキングエラー信号の4種類の信号からなる。和信号
+ は、アンプ8によってゲイン調整等がなされた後に
切替えスイッチ10に供給される。また、差信号R
- は、アンプ9によってゲイン調整等がなされた後に切
替えスイッチ10に供給される。さらに、フォーカスエ
ラー信号は、フォーカスエラーを解消する手段(図示せ
ず)に供給される。一方、トラッキングエラー信号は、
図示しないサーボ系等に供給され、それらの動作におい
て用いられる。
【0024】切替えスイッチ10には、後述するような
切替え信号Sが供給される。切替えスイッチ10は、こ
の切替え信号Sに従って、以下のように、和信号R+
たは差信号R- をフィルタ部11に供給する。すなわ
ち、後述するような光磁気ディスク6のセクタフォーマ
ットにおいて、エンボス加工によって形成される部分か
ら再生される再生信号が切替えスイッチ10に供給され
る期間には、和信号R+をフィルタ部11に供給する。
また、光磁気的に記録される部分から再生される再生信
号が切替えスイッチ10に供給される期間には、差信号
- をフィルタ部11に供給する。
【0025】切替え信号Sは、例えば次のようにして生
成される。すなわち、まず、再生信号から、セクタフォ
ーマットに規定される所定のパターンから再生される信
号を検出する。このような所定のパターンとしては、例
えば後述するセクタマークSM等が用いられる。そし
て、かかる検出がなされた時点を基準として、後述する
リードクロックを数える等の方法によって認識される所
定時点において、切替え信号Sが生成される。
【0026】フィルタ部11は、ノイズカットを行うロ
ーパスフィルタおよび波形等化を行う波形等化器から構
成される。後述するように、この際の波形等化処理にお
いて用いられる波形等化特性は、ビタビ復号器13が行
うビタビ復号方法に適合するものとされる。フィルタ部
11の出力を供給されるA/D変換器12は、後述する
ようにして供給されるリードクロックDCKに従って再
生信号値z〔k〕をサンプリングする。
【0027】ビタビ復号器13は、再生信号値z〔k〕
に基づいて、ビタビ復号方法によって復号データを生成
する。かかる復号データは、上述したようにして記録さ
れる記録データに対する最尤復号系列である。従って、
復号エラーが無い場合には、復号データは、記録データ
と一致する。
【0028】復号データは、コントローラ2に供給され
る。上述したように、記録データは、ユーザデータから
チャンネル符号化等の符号化によって生成された符号語
である。従って、復号エラーレートが充分低ければ、復
号データは、符号語としての記録データとみなすことが
できる。コントローラ2は、復号データに、上述のチャ
ンネル符号化等の符号化に対応する復号化処理を施すこ
とにより、ユーザデータ等を再生する。
【0029】また、フィルタ部11の出力は、PLL部
14にも供給される。PLL部14は、供給された信号
に基づいて、リードクロックDCKを生成する。リード
クロックDCKは、コントローラ2、A/D変換器1
2、ビタビ復号器13等に供給される。コントローラ
2、A/D変換器12、ビタビ復号器13の動作は、リ
ードクロックDCKに従うタイミングでなされる。さら
に、リードクロックDCKは、図示しないタイミングジ
ェネレータに供給される。タイミングジェネレータは、
例えば、記録/再生動作の切替え等の装置の動作タイミ
ングを制御する信号を生成する。
【0030】上述したような再生動作において、光磁気
ディスク6から再生される再生信号に基いて、より正し
い再生データを得るために、再生系の各構成要素の動作
を再生信号の品質に応じて適正化することが行われる。
このような操作をキャリブレーションと称する。キャリ
ブレーションは、再生信号の品質等が例えば加工精度等
の記録媒体の特性、および例えば記録用レーザ光のパワ
ーの変動、周囲温度等の記録/再生時の条件等によって
変化する可能性があることに対応するために再生系のパ
ラメータを適正化するためのものである。
【0031】キャリブレーションの内容は、例えば光ピ
ックアップ7の読取り用レーザ光パワーの調整、アンプ
8および9のゲインの調整、フィルタ部11の波形等化
特性の調整、およびビタビ復号器13の動作において用
いられる振幅基準値の調整等である。このようなキャリ
ブレーションは、電源投入直後または記録媒体の交換時
等に、図1中には図示しない構成によって行われる。
【0032】〔記録媒体のセクタフォーマットの概要〕
光磁気ディスク6には、セクタを記録/再生の単位とし
てユーザデータが記録される。図3を参照して、光磁気
ディスク6において用いられるセクタフォーマットの一
例について説明する。図3Aに示すように、1セクタ
は、記録/再生の順に従って、ヘッダ、ALPC,ギャ
ップ、VFO3 、シンク、データフィールド、バッファ
の各エリアに区分されている。図3中に付した数字は、
バイト数を表す。光磁気ディスク6上には、ブロック符
号化等の符号化がなされたデータが記録される。例えば
8ビットが12チャンネルビットに変換されて記録され
る。
【0033】このセクタフォーマットの一例において
は、ユーザデータ量が1024バイトのフォーマット
と、ユーザデータ量が512バイトのフォーマットとが
用意されている。ユーザデータ量が1024バイトのフ
ォーマットでは、データフィールドのバイト数が670
バイトとされる。また、ユーザデータ量が512バイト
のフォーマットでは、データフィールドのバイト数が1
278バイトとされる。これら2つのセクタフォーマッ
トにおいて、63バイトのプリフォーマットされたヘッ
ダと、ALPC,ギャップエリアの18バイトは、同一
とされている。
【0034】図3Bは、63バイトのヘッダを拡大して
示す。ヘッダは、セクタマークSM(8バイト)、VF
OフィールドのVFO1 (26バイト)、アドレスマー
クAM(1バイト)、IDフィールドのID1 (5バイ
ト)、VFOフィールドのVFO2 (16バイト)、ア
ドレスマークAM(1バイト)、IDフィールドのID
2 (5バイト)、およびポストアンブルPA(1バイ
ト)が順に配列された構成とされている。
【0035】図3Cは、18バイトのALPC,ギャッ
プエリアを拡大して示す。18バイトは、ギャップフィ
ールド(5バイト)、フラグフィールド(5バイト)、
ギャップフィールド(2バイト)、ALPC(6バイ
ト)からなる。
【0036】次に、これらのフィールドについて説明す
る。セクタマークSMは、セクタの開始を識別するため
のマークであり、RLL(1,7)符号において生じな
いエンボス加工によって形成されたパターンを有する。
VFOフィールドは、上述のPLL部18中のVFO(V
ariable Frequency Oscillator) を同期させるためのも
ので、VFO1 、VFO2 およびVFO3 からなる。V
FO1 およびVFO2は、エンボス加工によって形成さ
れている。また、VFO3 は、そのセクタに対して記録
動作が行われる際に光磁気的に書かれる。VFO1 、V
FO2 およびVFO3 は、それぞれチャンネルビット
の'0' と'1' が交互に現れるパターン(2Tパターン)
を有する。従って、1チャンネルビットの時間長に対応
する時間をTとすると、VFOフィールドを再生した時
に、2T毎にレベルが反転する再生信号が得られる。
【0037】アドレスマークAMは、後続のIDフィー
ルドのためのバイト同期を装置に対して与えるために使
用され、RLL(1,7)符号において生じないエンボ
スされたパターンを有する。IDフィールドは、セクタ
のアドレス、すなわち、トラック番号およびセクタ番号
の情報と、これらの情報に対するエラー検出用のCRC
バイトを有する。IDフィールドは、5バイトからな
る。ID1 およびID2によって、同一のアドレス情報
が二重に記録される。ポストアンブルPAは、チャンネ
ルビットの'0' と'1' とが交互に現れるパターン(2T
パターン)を有する。ID1 、ID2 およびポストアン
ブルPAも、エンボス加工によって形成されている。こ
のように、ヘッダの領域は、エンボス加工によりピット
が形成されたプリフォーマットされた領域である。
【0038】図3Cは、ALPC,ギャップエリアを拡
大して示す。ギャップには、ピットが形成されない。最
初のギャップフィールド(5バイト)は、プリフォーマ
ットされたヘッダの後の最初のフィールドであり、これ
によって、ヘッダの読取りを完了した後の処理に装置が
要する時間が確保される。2番目のギャップフィールド
(2バイト)は、後のVFO3 の位置のずれを許容する
ためのものである。
【0039】ALPC,ギャップエリアには、5バイト
のフラグフィールドが記録される。フラグフィールド
は、セクタのデータが記録される時に、連続した2Tパ
ターンが記録される。ALPC(Auto Laser Power Cont
rol)フィールドは、記録時のレーザパワーをテストする
ために設けられている。シンクフィールド(4バイト)
は、続くデータフィールドのためのバイト同期を装置が
得るために設けられており、所定のビットパターンを有
する。
【0040】データフィールドは、ユーザデータを記録
するために設けられる。上述した670バイトのデータ
フィールドには、512バイトのユーザデータと、14
4バイトのエラー検出、訂正用のパリティ等と、12バ
イトのセクタ書込みフラグと、2バイト(FF)とから
なる。また、1278バイトのデータフィールドの場合
には、1024バイトのユーザデータと、242バイト
のエラー検出、訂正用のパリティ等と、12バイトのセ
クタ書込みフラグとからなる。セクタの最後のバッファ
フィールドは、電気的、あるいは機械的な誤差に対する
許容範囲として使用される。
【0041】上述したセクタフォーマットの例におい
て、ヘッダは、エンボス加工によりピットが形成された
エリアである。また、ALPC,ギャップエリアは、再
生時には、使用されないエリアである。さらに、VFO
3 、シンクフィールドおよびデータフィールドは、光磁
気記録されたデータのエリアである。
【0042】〔4値4状態ビタビ復号方法の概要〕以
下、ビタビ復号器13によって行われるビタビ復号方法
について説明する。上述したように、ユーザデータは、
様々な符号化方法によって記録データとしての符号語に
変換される。符号化方法は、記録媒体の性質および記録
/再生方法等に応じて適切なものが採用される。光磁気
ディスク装置においては、ブロック符号化において、Ru
n Lengthすなわち'1' と'1' の間の'0' の数を制限する
RLL(Run Length Limited)符号化方法が用いられる
ことが多い。従来から幾つかのRLL符号化方法が用い
られている。一般に、'1' と'1' の間の'0' の数を最小
でd個、最大でk個とするm/nブロック符号をRLL
(d,k;m,n)符号と称する。
【0043】例えば、2/3ブロック符号において、'
1' と'1' の間の'0' の数を最小で1個、最大で7個と
するブロック符号化方法は、RLL(1,7;2,3)
符号である。一般にRLL(1,7;2,3)符号をR
LL(1,7)符号と称することが多いので、以下の説
明においても単にRLL(1,7)符号と表記した場合
には、RLL(1,7;2,3)符号を指すことにす
る。
【0044】このようなRLL符号化方法と、上述した
マークエッジ記録方法との組合わせによって記録された
データから再生される再生信号を復号するために、ビタ
ビ復号方法を用いることができる。
【0045】このようなRLL符号化方法は、記録密度
の向上、および再生動作の安定性の確保という2つの観
点から、符号化方法に要求される条件に対応できるもの
である。まず、上述したように、マークエッジ記録方法
は、記録データに基づいて後述するように生成されるプ
リコード出力における'1' を各ピットのエッジによって
表現される極性の反転に対応させるものなので、'1'
と'1' の間の'0' の数を多くする程、各ピット1個当た
りに記録されるビット数を大きくすることができる。従
って、記録密度を大きくすることができる。
【0046】一方、再生系の動作タイミングを合わせる
ために必要なリードクロックDCKは、上述したよう
に、再生信号に基づいてPLL部14によって生成され
る。このため、記録データにおいて'1' と'1' の間の'
0' の数を多くすると、再生動作の際にPLL部の動作
が不安定となるので、再生動作全体が不安定なものとな
る。
【0047】これら2つの条件を考慮すると、'1' と'
1' の間の'0' の数は、多過ぎたり、少な過ぎたりしな
い、適切な範囲内に設定される必要がある。このよう
な、記録データ中の'0' の数の設定に関して、RLL符
号化方法が有効となる。
【0048】ところで、図4に示すように、上述したR
LL(1,7)符号化方法とマークエッジ記録方法の組
み合わせにおいては、記録データに基づいて生成される
プリコード出力中の'1' と'1' の間に最低1個の'0' が
含まれるので、最小反転幅が2となる。このような、最
小反転幅が2となる符号化方法が用いられる場合に、符
号間干渉およびノイズ等の影響を受けている再生信号か
ら記録データを復号する方法として、後述するように、
4値4状態ビタビ復号方法を適用することができる。
【0049】上述したように、再生信号には、フィルタ
部11によって波形等化処理がなされる。ビタビ復号方
法の前段としてなされるこのような波形等化処理には、
符号間干渉を積極的に利用するパーシャルレスポンス方
法が用いられる。この際に用いられる波形等化特性は、
一般に(1+D)n で表されるパーシャルレスポンス特
性の内から、記録/再生系の線記録密度およびMTF
(Modulation TransferFunction)を考慮して決められ
る。上述したRLL(1,7)符号化方法とマークエッ
ジ記録方法の組み合わせによって記録されたデータに対
して、PR(1,2,1)を用いる波形等化処理は、4
値4状態ビタビ復号方法の前段となる。
【0050】一方、マークエッジ記録方法においては、
光磁気ディスク媒体等に対する実際の記録に先立って、
上述のRLL符号化等によって符号化された記録データ
に基づくプリコードが行われる。各時点kにおける記録
データ列をa〔k〕、これに基づくプリコード出力をb
〔k〕とすると、プリコードは、以下のように行われ
る。
【0051】 b〔k〕=mod2{a〔k〕+b〔k−1〕} (1) このようなプリコード出力b〔k〕が実際に光磁気ディ
スク媒体等に記録される。一方、フィルタ部11中の波
形等化器によってなされる、波形等化特性PR(1,
2,1)での波形等化処理について説明する。但し、以
下の説明においては、信号の振幅を規格化せずに、波形
等化特性をPR(B,2A,B)とする。また、ノイズ
を考慮しない場合の再生信号の値をc〔k〕と表記す
る。さらに、ノイズを含む実際の再生信号(すなわち、
記録媒体から再生された再生信号)をz〔k〕と表記す
る。
【0052】PR(B,2A,B)は、ある時点kにお
ける再生信号の値に対して、時点kにおける振幅の寄与
が振幅値の2A倍とされ、さらに前後の時点k−1およ
びk+1における振幅の寄与が各々の時点での信号の振
幅のB倍とされるものである。従って、再生信号の値の
最大値は、時点k−1、k、k+1において何れもパル
スが検出される場合である。このような場合には、再生
信号の値の最大値は、以下のようになる。
【0053】B+2A+B=2A+2B また、再生信号の値の最小値は0となる。但し、実際の
取り扱いにおいては、c〔k〕として、DC成分のA+
Bを差し引いた以下のようなものが用いられる。
【0054】 c〔k〕=B×b〔k−2〕+2A×b〔k−1〕+B×b〔k〕 −A−B (2) 従って、ノイズを考慮しない場合の再生信号c〔k〕
は、A+B,A,−A,−A−Bの内の何れかの値をと
ることになる。一般に、再生信号の性質を示す方法の1
つとして、例えば5個の時点を単位として、再生信号を
多数重ね合わせたものをアイパターンと称する。この発
明を適用することができる光磁気ディスク装置におい
て、PR(B,2A,B)の下で波形等化処理された実
際の再生信号z〔k〕についてのアイパターンの一例を
図5に示す。図5から各時点における再生信号z〔k〕
の値は、ノイズによるばらつきを有するが、ほぼ、A+
B,A,−A,−A−Bの内の何れかになることが確認
できる。後述するように、A+B,A,−A,−A−B
の値は、識別点として用いられる。
【0055】上述したような波形等化処理がなされた再
生信号を復号する、ビタビ復号方法の概略は、次のよう
なものである。ステップ符号化方法および記録媒体に
対する記録方法に基づいて、生じ得る全ての状態を特定
する。ステップある時点における各状態を起点とし
て、次の時点において生じ得る全ての状態遷移と、各状
態遷移が生じる時の記録データa〔k〕および再生信号
の値c〔k〕を特定する。
【0056】ステップおよびの結果として特定され
た全ての状態および状態遷移と、各状態遷移が生じる時
の〔記録データの値a〔k〕/再生信号の値c〔k〕〕
を図の形式で表現したものを状態遷移図と称する。後述
するように、4値4状態ビタビ復号方法における状態遷
移図は、図7に示すようなものである。そして、この状
態遷移図に基づく復号動作を行うように、ビタビ復号器
13が構成される。
【0057】さらに、ステップ上述したように、状態
遷移図を前提として、記録媒体から各時点kにおいて再
生される再生信号z〔k〕に基づく最尤な状態遷移が選
択される。但し、上述したように、z〔k〕は、ビタビ
復号器13に供給される前段において波形等化されたも
のである。このような最尤な状態遷移の選択がなされる
毎に、選択された状態遷移に対応して、状態遷移図に記
載された記録データa〔k〕の値を復号値とすることに
よって、記録データに対する最尤復号値系列としての復
号データa' 〔k〕を得ることができる。
【0058】但し、各時点kにおける復号データ値か
ら、最尤復号値系列とするための構成は、後述するビタ
ビ復号器13中のPMU23である。従って、上述した
ように、復号データ列a' 〔k〕は、復号エラーが無い
場合には、記録データ列a〔k〕と一致する。上述のス
テップ〜ステップについて、以下に詳細に説明す
る。
【0059】上述のステップについて説明する。ま
ず、ここで用いられる状態として、ある時点kにおける
状態を、時点kおよびそれ以前のプリコード出力を用い
て次のように定義する。すなわち、n=b〔k〕、m=
b〔k−1〕、l=b〔k−2〕の時の状態をSnml と
定義する。このような定義によって、23 =8個の状態
があると考えられるが、上述したように、実際に生じ得
る状態は、符号化方法等に基づいて制限される。
【0060】RLL(1,7)符号として符号化された
記録データ列a〔k〕においては、'1' と'1' の間に最
低1個の'0' が含まれるので、2個以上の'1' が連続す
ることが無い。記録データ列a〔k〕に課されるこのよ
うな条件に基づいてプリコード出力b〔k〕について一
定の条件が課され、その結果として生じ得る状態に制限
が加えられる。
【0061】このような制限について具体的に説明す
る。上述したようにRLL(1,7)符号化によって生
成される記録データ列中に、2個以上の'1' が連続する
もの、すなわち以下のものはあり得ない。
【0062】 a〔k〕=1,a〔k−1〕=1,a〔k−2〕=1 (3) a〔k〕=1,a〔k−1〕=1,a〔k−2〕=0 (4) a〔k〕=0,a〔k−1〕=1,a〔k−2〕=1 (5) 記録データ列に課されるこのような条件に基づいて、上
述の(1)式に従ってb〔k〕について課される条件に
ついて検討すると、S010およびS101の2個の状
態は生じ得ないことがわかる。従って、生じ得る状態
は、23 −2=6個である。
【0063】次に、ステップについて説明する。ある
時点jにおける状態を起点として、次の時点j+1にお
いて生じ得る状態を求めるためには、時点j+1におけ
る記録データの値a〔j+1〕が1となる場合、および
0となる場合に分けて調べる必要がある。
【0064】ここでは、時点jにおける状態がS000
である場合を例として説明する。上述の(1)式に従っ
て、S000すなわちn=b〔j〕=0,l=b〔j−
1〕=0,m=b〔j−2〕=0とプリコードされる記
録データは、以下の(7)である。
【0065】 a〔j〕=0、a〔j−1〕=0、a〔j−2〕=0 (7) 〔a〔j+1〕='1' の時〕 この時、b〔j+1〕が(1)式に従って以下のように
計算される。
【0066】 次の時点j+1での状態Snlm については、n=b〔j
+1〕,l=b〔j〕,m=b〔j−1〕である。そし
て、(8)からb〔j+1〕=1であり、また、b
〔j〕=0,b〔j−1〕=0なので、次の時点j+1
における状態は、S100である。従って、a〔j+
1〕='1' の場合には、S000→S100という遷移
が生じることが特定できる。
【0067】また、再生信号c〔j+1〕の値は、上述
の(2)式に従って、次のように計算される。
【0068】 c〔j+1〕={B×b〔j+1〕+2A×b〔j〕+B×b〔j−1〕} −A−B ={B×1+2A×0+B×0}−A−B =−A (9) 以上のことから、時点jで状態S000である場合にお
いて、新たな再生信号値c〔j+1〕の値が誤差の範囲
内で−Aである時には、状態遷移S000→S100が
生じ、復号データ値として、a〔j+1〕の値'1' が得
られることがわかる。
【0069】〔a〔j+1〕='0' の時〕この時、
(1)式に従って、b〔j+1〕が以下のように計算さ
れる。
【0070】 次の時点j+1での状態Snlm については、n=b〔j
+1〕,l=b〔j〕,m=b〔j−1〕である。そし
て、(10)からb〔j+1〕=0であり、また、b
〔j〕=0,b〔j−1〕=0なので、次の時点j+1
における状態は、S000である。従って、a〔j+
1〕='0' の場合には、S000→S100という遷移
が生じることが特定できる。
【0071】また、再生信号c〔j+1〕の値は、上述
の(2)式に従って、次のように計算される。
【0072】 c〔j+1〕={B×b〔j+1〕+2A×b〔j〕+B×b〔j−1〕} −A−B ={B×0+2A×0+B×0}−A−B =−A−B (11) 以上のことから、時点jで状態S000である場合にお
いて、新たな再生信号値c〔j+1〕の値が誤差の範囲
内で−A−Bである時には、状態遷移S000→S00
0が生じ、復号データ値として、a〔j+1〕の値'0'
が得られることがわかる。
【0073】このようにして、時点jにおけるS000
以外の各状態についても、それらを起点として次の時点
j+1において生じ得る状態遷移と、そのような各状態
遷移が生じる時の記録データ値a〔j+1〕および再生
信号値c〔j+1〕との対応を求めることができる。
【0074】上述したようにして、各状態について、そ
れらを起点として生じ得る状態遷移と、各状態遷移が生
じる時の記録データの値および再生信号の値との対応を
求め、図の形式に表したものが図6である。上述の時点
jおよびj+1は、特別の時点ではない。従って、上述
したようにして求まる、生じ得る状態遷移とそれらに伴
う記録データの値および再生信号の値との対応は、任意
の時点において適用することができる。このため、図6
においては、任意の時点kにおいて生じる状態遷移に伴
う記録データの値をa〔k〕と表記し、再生信号の値を
c〔k〕と表記する。
【0075】図6において、状態遷移は、矢印によって
表される。また、各矢印に付した符号が〔記録データ値
a〔k〕/再生信号値c〔k〕〕を示している。状態S
000,S001,S111およびS110を起点とす
る状態遷移は、2通り有るのに対して、状態S011お
よびS100を起点として生じ得る遷移は1通りのみで
ある。
【0076】さらに、図6においてS000とS001
は、何れもa〔k〕=1に対しては、c〔k〕=−Aと
いう値を取り、S100に遷移している。一方、a
〔k〕=0に対しては、c〔k〕=−A−Bという値を
取り、S000に遷移している。また、S111とS1
10も同様に、同じa〔k+1〕の値について同じc
〔k+1〕の値を取り、且つ、同じ状態に遷移してい
る。従って、S000とS001をまとめてS0と表現
し、S111とS110をまとめてS2と表現すること
ができる。さらに、S011をS3とし、S100をS
1と表現することにして、整理したものが図7である。
【0077】上述したように、図7が4値4状態ビタビ
復号方法に用いられる状態遷移図である。図7中には、
S0〜S3の4個の状態、および再生信号c〔k+1〕
の値としての−A−B,−A,A,A+Bの4個の値が
示されている。状態S0およびS2を起点とする状態遷
移は、2通り有るのに対して、状態S1およびS3を起
点とする状態遷移は、1通りのみである。
【0078】一方、状態遷移を時間に沿って表現する形
式として、図8に示すようなトレリス線図が用いられ
る。図8では、2個の時点間の遷移を示しているが、さ
らに多数の時点間の遷移を示すこともできる。時間経過
に伴い、順次右の時点に遷移していく様子が表現され
る。従って、水平な矢印は、例えばS0→S0等の同じ
状態への遷移を表し、斜めの矢印は、例えばS1→S2
等の異なる状態への遷移を表すことになる。
【0079】上述したビタビ復号方法のステップ、す
なわち図7に示した状態遷移図を前提として、ノイズを
含む実際の再生信号z〔k〕から最尤な状態遷移を選択
する方法について以下に説明する。
【0080】最尤な状態遷移を選択するためには、ま
ず、ある時点kにおける状態について、その状態に至る
過程において経由してきた複数時点間の状態遷移の尤度
の和を計算し、さらに、計算された尤度の和を比較し
て、最尤の復号系列を選択することが必要である。この
ような尤度の和をパスメトリックと称する。
【0081】パスメトリックを計算するためには、ま
ず、隣接する時点間の状態遷移の尤度を計算することが
必要となる。このような尤度の計算は、上述の状態遷移
図を参照して、再生信号z〔k〕の値に基づいて以下の
ようになされる。まず、一般的な説明として、時点k−
1において、状態Saである場合について考える。この
時、ビタビ復号器31に再生信号z〔k〕が入力された
場合に、状態Sbへの状態遷移が生じる尤度が次式に従
って計算される。但し、状態Saおよび状態Sbは、図
7の状態遷移図に記載されている4個の状態の何れかと
する。
【0082】 (z〔k〕−c(Sa,Sb))2 (12) 上式において、c(Sa,Sb)は、状態Saから状態
Sbへの状態遷移について、図7の状態遷移図に記載さ
れている再生信号の値である。すなわち、上述の図7に
おいて、例えば状態遷移S0→S1について、−Aと算
出されている値である。従って、式(12)は、ノイズ
を含む実際の再生信号z〔k〕の値と、ノイズを考慮せ
ずに計算された再生信号c(Sa,Sb)の値の間のユ
ークリッド距離となる。ある時点におけるパスメトリッ
クは、その時点に至るまでのこのような隣接時点間の状
態遷移の尤度の総和として定義される。
【0083】ところで、時点kにおいて状態Saである
場合を考える。この場合に、時点k−1において状態S
aに遷移し得る状態をSpとすれば、パスメトリックL
(Sa,k)は、時点k−1におけるパスメトリックを
用いて次式のように計算される。
【0084】 L(Sa,k) =L(Sp,k−1)+(z〔k〕−c(Sp,Sa))2 (13) すなわち、時点k−1において状態Spに至った場合の
パスメトリックL(Sp,k−1)と、時点k−1と時
点kの間で生じるSp→Saなる状態遷移の尤度(z
〔k〕−c(Sp,Sa))2 とを加算することによっ
て、パスメトリックL(Sa,k)が計算される。この
(z〔k〕−c(Sp,Sa))2 のような、最新の状
態遷移の尤度は、ブランチメトリックと称される。但
し、ここでのブランチメトリックは、後述するビタビ復
号器13中のブランチメトリック計算回路(BMC)2
0によって計算されるブランチメトリック、すなわち、
規格化メトリックに対応するブランチメトリックとは、
別のものであることに注意が必要である。
【0085】また、時点kにおいて状態Saである場合
に、時点k−1において状態Saに遷移し得る状態が複
数個存在することがある。図7においては、状態S0お
よびS2がこのような場合である。すなわち時点kにお
いて状態S0である場合に、時点k−1において状態S
0に遷移し得る状態は、S0とS3の2個である。ま
た、時点kにおいて状態S2である場合に、時点k−1
において状態S2に遷移し得る状態は、S1とS2の2
個である。一般的な説明として、時点kにおいて状態S
aであり、且つ、時点k−1において状態Saに遷移し
得る状態がSpおよびSqの2個である場合に、パスメ
トリックL(Sa,k)は、次式のように計算される。
【0086】 L(Sa,k) =min{L(Sp,k−1)+(z〔k〕−c(Sp,Sa))2 , L(Sq,k−1)+(z〔k〕−c(Sq,Sa))2 }(14) すなわち、時点k−1において状態Spであり、Sp→
Saなる状態遷移によって状態Saに至った場合と、時
点k−1において状態Sqであり、Sq→Saなる状態
遷移によって状態Saに至った場合の各々について、尤
度の和を計算する。そして、各々の計算値を比較し、よ
り小さい値を時点kにおける状態Saに関するパスメト
リックL(Sa,k)とする。
【0087】このようなパスメトリックの計算を、図7
を用いて上述した4値4状態について具体的に適用する
と、時点kにおける各状態S0,S1,S2およびS3
についてのパスメトリックL(0,k),L(1,
k),L(2,k)およびL(3,k)は、時点k−1
における各状態S0〜S3についてのパスメトリックL
(0,k−1)〜L(3,k−1)を用いて以下のよう
に計算できる。
【0088】 L(0,k)=min{L(0,k−1)+(z〔k〕+A+B)2 , L(3,k−1)+(z〔k〕+A)2 } (15) L(1,k)=L(0,k−1)+(z〔k〕+A)2 (16) L(2,k)=min{L(2,k−1)+(z〔k〕−A−B)2 L(1,k−1)+(z〔k〕−A)2 } (17) L(3,k)=L(2,k−1)+(z〔k〕−A)2 (18) 上述したように、このようにして計算されるパスメトリ
ックの値を比較して、最尤な状態遷移が選択されれば良
い。ところで、最尤な状態遷移を選択するためには、パ
スメトリックの値そのものを計算しなくても、パスメト
リックの値の比較ができれば良い。そこで、実際の4値
4状態ビタビ復号方法においては、パスメトリックの代
わりに以下に定義するような規格化パスメトリックを用
いることにより、各時点kにおけるz〔k〕に基づく計
算を容易なものとするようになされる。
【0089】 m(i,k) =〔L(i,k)−z〔k〕2 −(A+B)2 〕/2/(A+B)(19) 式(19)をS0〜S3の各状態に適用すると、具体的
な規格化パスメトリックは、以下のように2乗計算を含
まないものとなる。このため、後述する、加算、比較、
選択回路(ACS)21における計算を容易なものとす
ることができる。
【0090】 m(0,k)=min{m(0,k−1)+z〔k〕, m(3,k−1)+α×z〔k〕−β} (20) m(1,k)=m(0,k−1)+α×z〔k〕−β (21) m(2,k)=min{m(2,k−1)−z〔k〕, m(1,k−1)−α×z〔k〕−β} (22) m(3,k)=m(2,k−1)+α×z〔k〕−β (23) 但し、式(20)〜(23)中のαおよびβは、以下の
ようなものである。
【0091】α=A/(A+B) (24) β=B×(B+2×A)/2/(A+B) (25) このような規格化パスメトリックに基づく4値4状態ビ
タビ復号方法における状態遷移の条件について図9に示
す。上述の4個の規格化パスメトリックの内に、2個か
ら1個を選択する式が2つあるので、2×2=4通りの
条件がある。
【0092】〔4値4状態ビタビ復号器の概要〕上述し
た4値4状態ビタビ復号方法を実現するビタビ復号器1
3について以下に説明する。図10にビタビ復号器13
の全体構成を示す。ビタビ復号器13は、ブランチメト
リック計算回路(以下、BMCと表記する)20、加
算、比較および選択回路(以下、ACSと表記する)2
1、圧縮およびラッチ回路22およびパスメモリユニッ
ト(以下、PMUと表記する)23から構成される。こ
れらの各構成要素に対して上述のリードクロックDCK
(以下の説明においては、単にクロックと表記する)が
供給されることにより、ビタビ復号器13全体の動作タ
イミングが合わされる。以下、各構成要素について説明
する。
【0093】BMC20は、入力される再生信号z
〔k〕に基づいて、規格化パスメトリックに対応するブ
ランチメトリックの値BM0,BM1,BM2およびB
M3を計算する。BM0〜BM3は、上述の式(20)
〜(23)の規格化パスメトリックを計算するために必
要とされる、以下のようなものである。
【0094】 BM0=z(k) (26) BM1=α×z〔k〕−β (27) BM2=−z(k) (28) BM3=−α×z〔k〕−β (29) この計算に必要なαおよびβは、上述の式(24)およ
び(25)に従ってBMC20によって計算される基準
値である。かかる計算は、例えば再生信号z〔k〕に基
づくエンベロープ検出等の方法で検出され、BMC20
に供給される識別点−A−B,−A,AおよびA+Bの
値に基づいてなされる。
【0095】BM0〜BM3の値は、ACS21に供給
される。一方、ACS21は、後述するような圧縮およ
びラッチ回路22から、1クロック前の規格化パスメト
リックの値(但し、後述するように圧縮のなされたも
の)M0,M1,M2およびM3を供給される。そし
て、M0〜M3と、BM0〜BM3とを加算して、後述
するようにして、最新の規格化パスメトリックの値L
0,L1,L2およびL3を計算する。M0〜M3が圧
縮のなされたものであるため、L0〜L3を計算する際
のオーバーフローを避けることができる。
【0096】さらに、ACS21は、最新の規格化パス
メトリックの値L0〜L3に基づいて、後述するよう
に、最尤な状態遷移を選択し、また、選択結果に対応し
て、パスメモリ23に供給される選択信号SEL0およ
びSEL2を'High'または'Low' とする。
【0097】また、ACS21は、L0〜L3を圧縮お
よびラッチ回路22に供給する。圧縮およびラッチ回路
22は、供給されるL0〜L3を圧縮した後にラッチす
る。その後、1クロック前の規格化パスメトリックM0
〜M3としてACS21に供給する。
【0098】この際の圧縮の方法としては、例えば以下
に示すように、最新の規格化パスメトリックL0〜L3
から、そのうちの1個、例えばL0を一律に差し引く等
の方法が用いられる。
【0099】M0=L0−L0 (30) M1=L1−L0 (31) M2=L2−L0 (32) M3=L3−L0 (33) この結果として、M0が常に0の値をとることになる
が、以下の説明においては、一般性を損なわないため
に、このままM0と表記する。式(30)〜(33)に
よって計算されるM0〜M3の値の差は、L0〜L3の
値の差と等しいものとなる。上述したように、最尤な状
態遷移の選択においては、規格化パスメトリック間の値
の差のみが問題となる。従って、このような圧縮方法
は、最尤な状態遷移の選択結果に影響せずに規格化パス
メトリックの値を圧縮し、オーバーフローを防止する方
法として有効である。このように、ACS21と圧縮お
よびラッチ回路22は、規格化パスメトリックの計算に
関するループを構成する。
【0100】上述のACS21について、図11を参照
してより詳細に説明する。ACS21は、6個の加算器
51、52、53、54、56、58および2個の比較
器55、57から構成される。一方、上述したようにA
CS21には、1クロック前の圧縮された規格化パスメ
トリックの値M0〜M3および規格化パスメトリックに
対応するブランチメトリックの値BM0〜BM3が供給
される。
【0101】加算器51には、M0およびBM0が供給
される。加算器51は、これらを加算して以下のような
L00を算出する。
【0102】L00=M0+BM0 (34) 上述したように、M0は、時点k−1において状態S0
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
0は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(26)式に従って計算されるもの、すな
わちz〔k〕の値そのものである。従って、式(34)
の値は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式
(20)中のm(0,k−1)+z〔k〕の値を計算し
たものとなる。すなわち、時点k−1において状態S0
であり、時点kにおける状態遷移S0→S0によって最
終的に状態遷移S0に至った場合に対応する計算値であ
る。
【0103】一方、加算器52には、M3およびBM1
が供給される。加算器51は、これらを加算して以下の
ようなL30を算出する。
【0104】L30=M3+BM1 (35) 上述したように、M3は、時点k−1において状態S3
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る、圧縮された規格化パスメトリックである。また、B
M1は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に
基づいて上述の(27)式に従って計算されるもの、す
なわちα×z〔k〕−βである。従って、式(35)の
値は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式(2
0)中のm(3,k−1)+α×z〔k〕−βの値を計
算したものとなる。すなわち、時点k−1において状態
S3であり、時点kにおける状態遷移S3→S0によっ
て最終的に状態遷移S0に至った場合に対応する計算値
である。
【0105】上述のL00およびL30は、比較器55
に供給される。比較器55は、L00およびL30の値
を比較し、小さい方を最新の規格化パスメトリックL0
とすると供に、選択結果に応じて、上述したように選択
信号SEL0の極性を切替える。このような構成は、式
(20)において、最小値が選択されることに対応する
ものである。すなわち、L00<L30の場合(この時
は、S0→S0が選択される)に、L00をL0として
出力し、且つ、SEL0を例えば、'Low' とする。ま
た、L30<L00の場合(この時は、S3→S0が選
択される)には、L30をL0として出力し、且つ、S
EL0を例えば'High'とする。SEL0は、後述するよ
うに、状態S0に対応するA型パスメモリ24に供給さ
れる。
【0106】このように、加算器51、52および比較
器55は、上述の式(20)に対応して、S0→S0と
S3→S0の内から、時点kにおける状態遷移として最
尤なものを選択する動作を行う。そして、選択結果に応
じて、最新の規格化パスメトリックL0および選択信号
SEL0を出力する。
【0107】また、加算器56には、M0およびBM1
が供給される。加算器51は、これらを加算して以下の
ようなL1を算出する。
【0108】L1=M0+BM1 (36) 上述したように、M0は、時点k−1において状態S0
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
1は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(27)式に従って計算されるもの、すな
わちα×z〔k〕−βである。従って、式(36)の値
は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式(2
1)の右辺m(0,k−1)+α×z〔k〕−βの値を
計算したものとなる。
【0109】すなわち、時点k−1において状態S0で
あり、時点kにおける状態遷移S0→S1によって最終
的に状態遷移S1に至った場合に対応する計算値であ
る。式(21)が値の選択を行わないことに対応して、
加算器56の出力がそのまま最新の規格化パスメトリッ
クL1とされる。
【0110】加算器53には、M2およびBM2が供給
される。加算器53は、これらを加算して以下のような
L22を算出する。
【0111】L22=M2+BM2 (37) 上述したように、M2は、時点k−1において状態S2
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
0は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(28)式に従って計算されるもの、すな
わち−z〔k〕である。従って、式(37)の値は、上
述したような圧縮の作用の下に、上述の式(22)中の
m(2,k−1)−z〔k〕の値を計算したものとな
る。すなわち、時点k−1において状態S2であり、時
点kにおける状態遷移S2→S2によって最終的に状態
遷移S2に至った場合に対応する計算値である。
【0112】一方、加算器54には、M1およびBM3
が供給される。加算器53は、これらを加算して以下の
ようなL12を算出する。
【0113】L12=M1+BM3 (38) 上述したように、M1は、時点k−1において状態S1
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
3は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(29)式に従って計算されるもの、すな
わち−α×z〔k〕−β である。従って、式(38)
の値は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式
(22)中のm(1,k−1)−α×z〔k〕−βの値
を計算したものとなる。すなわち、時点k−1において
状態S1であり、時点kにおける状態遷移S1→S2に
よって最終的に状態遷移S2に至った場合に対応する計
算値である。
【0114】上述のL22およびL12は、比較器57
に供給される。比較器57は、L22およびL12の値
を比較し、小さい方を最新の規格化パスメトリックL2
とすると共に、選択結果に応じて、上述したように選択
信号SEL2の極性を切替える。このような構成は、式
(22)において、最小値が選択されることに対応する
ものである。
【0115】すなわち、L22<L12の場合(この時
は、S2→S2が選択される)に、L22をL2として
出力し、且つ、SEL2を例えば、'Low' とする。ま
た、L12<L22の場合(この時は、S1→S2が選
択される)には、L12をL2として出力し、且つ、S
EL2を例えば'High'とする。SEL2は、後述するよ
うに、状態S2に対応するA型パスメモリ26に供給さ
れる。
【0116】このように、加算器53、54および比較
器57は、上述の式(22)に対応して、S1→S2と
S2→S2の内から、時点kにおける状態遷移として最
尤なものを選択する。そして、選択結果に応じて、最新
の規格化パスメトリックL2および選択信号SEL2を
出力する。
【0117】また、加算器58には、M2およびBM3
が供給される。加算器58は、これらを加算して以下の
ようなL3を算出する。
【0118】L3=M2+BM3 (39) 上述したように、M2は、時点k−1において状態S2
に至った場合に、経由してきた状態遷移の総和に対応す
る圧縮された規格化パスメトリックである。また、BM
3は、時点kにおいて入力される再生信号z〔k〕に基
づいて上述の(29)式に従って計算されるもの、すな
わち−α×z〔k〕−βである。従って、式(39)の
値は、上述したような圧縮の作用の下に、上述の式(2
3)の右辺m(2,k−1)+α×z〔k〕−βの値を
計算したものとなる。
【0119】すなわち、時点k−1において状態S0で
あり、時点kにおける状態遷移S2→S3によって最終
的に状態遷移S3に至った場合に対応する計算値であ
る。式(23)が値の選択を行わないことに対応して、
加算器58の出力がそのまま最新の規格化パスメトリッ
クL3とされる。
【0120】上述したようにして, ACS21が出力す
るSEL0およびSEL2に従って、パスメモリユニッ
ト(以下、PMUと表記する)23が動作することによ
って、記録データa〔k〕に対する最尤復号系列として
の復号データa’〔k〕が生成される。PMU23は、
図7に示した4個の状態間の状態遷移に対応するため
に、2個のA型パスメモリおよび2個のB型パスメモリ
から構成される。
【0121】A型パスメモリは、その状態に至る遷移と
して2つの遷移(すなわち、自分自身からの遷移と、他
の1個の状態からの遷移)を有し、且つ、その状態を起
点とする2つの遷移(すなわち、自分自身に至る遷移と
他の1個の状態に至る遷移)を有する状態に対応するた
めの構成とされる。従って、A型パスメモリは、図7に
示した4個の状態の内、S0およびS2に対応するもの
である。
【0122】一方、B型パスメモリは、その状態に至る
遷移が1つのみであり、且つ、その状態を起点とする遷
移が1つのみである状態に対応するための構成とされ
る。従って、B型パスメモリは、図7に示した4個の状
態の内、S1およびS3に対応するものである。
【0123】これら2個のA型パスメモリおよび2個の
B型パスメモリが図7に示した状態遷移図に従う動作を
行うために、PMU23において、図10に示すような
復号データの受渡しがなされるように構成される。すな
わち、A型パスメモリ24がS0に対応し、A型パスメ
モリ26がS2に対応する。また、B型パスメモリ25
がS1に対応し、また、B型パスメモリ27がS3に対
応する。
【0124】このように構成すれば、S0を起点として
生じ得る状態遷移がS0→S0およびS0→S1であ
り、S2を起点として生じ得る状態遷移がS2→S2お
よびS2→S3であることに合致する。また、S1を起
点として生じ得る状態遷移がS1→S2のみであり、S
3を起点として生じ得る状態遷移がS3→S0のみであ
ることにも合致する。
【0125】A型パスメモリ24について、その詳細な
構成を図12に示す。A型パスメモリ24は、パスメモ
リ長に対応する個数のフリップフロップとセレクタを、
交互に接続したものである。図10には、14ビットの
デコードデータ長に対応する構成を示した。すなわち、
14個のセレクタ311 〜3114および15個のフリッ
プフロップ300 〜3014を有するものである。セレク
タ311 〜3114は、何れも2個のデータを受取り、そ
の内の1個を選択的に後段に供給するものである。ま
た、フリップフロップ300 〜3014にクロックが供給
されることにより、A型パスメモリ24全体の動作タイ
ミングが合わされる。
【0126】図7を用いて上述したように、状態S0に
至る遷移は、S0→S0すなわち自分自身から継承する
遷移、およびS3→S0である。このような状況に対応
する構成として、各セレクタは、前段のフリップフロッ
プから供給されるデータすなわちS0→S0に対応する
復号データと、状態S3に対応するB型パスメモリ27
から供給されるデータすなわちS3→S0に対応する復
号データPM3とを受取る。
【0127】さらに、各セレクタは、ACS21からS
EL0を供給される。そして、SEL0の極性に応じ
て、供給される2個の復号データの内の一方を後段のフ
リップフロップに供給する。また、このようにして後段
のフリップフロップに供給される復号データは、状態S
1に対応するB型パスメモリ25にもPM0として供給
される。
【0128】すなわち、例えばセレクタ3114は、前段
のフリップフロップ3013から供給されるデータと、B
型パスメモリ27から供給される14ビットからなるP
M3の14番目のビット位置のデータとを受取る。そし
て、これら2個のデータの内から以下のようにして選択
したデータを、後段のフリップフロップ3014に供給す
る。上述したようにSEL0は、選択結果に応じて、'L
ow' または'High'とされる。
【0129】SEL0が例えば'Low' の時は、前段のフ
リップフロップ3013からのデータが選択されるように
なされる。また、SEL0が例えば'High'の時は、PM
3の14番目のビット位置のデータが選択されるように
なされる。選択されたデータは、後段のフリップフロッ
プ3014に供給され、また、PM0の14番目のビット
位置のデータとして、状態S1に対応するB型パスメモ
リ25に供給される。
【0130】A型パスメモリ24中の他のセレクタ31
1 〜3113においても、SEL0の極性に応じて、同様
な動作が行われる。従って、A型パスメモリ24全体と
しては、SEL0が例えば'Low' の時は、A型パスメモ
リ24中で、各々のフリップフロップがその前段に位置
するフリップフロップのデータを継承するシリアルシフ
トを行う。また、SEL0が例えば'High'の時は、B型
パスメモリ27から供給される14ビットからなる復号
データPM3を継承するパラレルロードを行う。何れの
場合にも、継承される復号データは、B型パスメモリ2
5に14ビットの復号データPM0として供給される。
【0131】また、最初の処理段となるフリップフロッ
プ300 には、クロックに同期して常に'0' が入力され
る。かかる動作は、S0に至る状態遷移S0→S0とS
2→S0の何れにおいても、図7に示すように、復号デ
ータが'0' なので、最新の復号データは、常に'0' とな
ることに対応している。
【0132】上述したように、S2に対応するA型パス
メモリ26についても、構成自体は、A型パスメモリ2
4と全く同様である。但し、ACS21から入力される
選択信号は、SEL2である。また、図6に示すように
状態S2に至る遷移としては、S2→S2すなわち自分
自身から継承する遷移と、S1→S2とがある。このた
め、状態S1に対応するB型パスメモリ25からPM1
を供給される。さらに、状態S2を起点として生じ得る
状態がS2すなわち自分自身と、S3であることに対応
して、状態S3に対応するB型パスメモリ27にPM2
を供給する。
【0133】また、S2に対応するA型パスメモリ26
においても、最初の処理段となるフリップフロップに
は、クロックに同期して常に'0' が入力される。かかる
動作は、S2に至る状態遷移S2→S2とS1→S0の
何れにおいても、図7に示すように、復号データが'0'
なので、最新の復号データは、常に'0' となることに対
応している。
【0134】他方、B型パスメモリ25について、その
詳細な構成を図13に示す。B型パスメモリ25は、パ
スメモリ長に対応する個数のフリップフロップを接続し
たものである。図13には、14ビットのデコードデー
タ長に対応する構成を示した。すなわち、15個のフリ
ップフロップ320 〜3214を有するものである。フリ
ップフロップ320 〜3214にクロックが供給されるこ
とにより、B型パスメモリ25全体の動作タイミングが
合わされる。
【0135】各フリップフロップ321 〜3214には、
状態S0に対応するA型パスメモリ24から、14ビッ
トの復号データがPM0として供給される。例えば、フ
リップフロップ321 には、PM0の1ビット目が供給
される。各フリップフロップ321 〜3214は、供給さ
れた値を1クロックの間保持する。そして、状態S2に
対応するA型パスメモリ26に、14ビットの復号デー
タPM1として出力する。例えば、フリップフロップ3
1 は、PM1の2ビット目を出力する。
【0136】B型パスメモリ25中の他のセレクタ32
1 〜3213においても、同様な動作が行われる。従っ
て、B型パスメモリ25全体としては、A型パスメモリ
24から供給される14ビットからなる復号データPM
0を受取り、またA型パスメモリ26に14ビットから
なる復号データPM1を供給する。
【0137】また、フリップフロップ320 には、クロ
ックに同期して常に'1' が入力される。かかる動作は、
図7に示したように、最新の状態遷移がS0→S1であ
る場合に復号データが'1' であることに対応している。
【0138】また、上述のように、状態S3に対応する
B型パスメモリ27についても、B型パスメモリ25と
全く同様な構成とされる。但し、図7に示すように状態
S3に至る遷移は、S2→S3なので、状態S2に対応
するA型パスメモリ26からPM2を供給される。さら
に、状態S3を起点として生じ得る状態がS0であるこ
とに対応して、状態S0に対応するA型パスメモリ24
にPM3を供給するようになされる。B型パスメモリ2
7においても、最初の処理段となるフリップフロップに
は、クロックに同期して常に'1' が入力される。かかる
動作は、図7に示したように、最新の状態遷移がS2→
S3である場合に復号データが'1' であることに対応し
ている。
【0139】上述したようにして、PMU23中の4個
のパスメモリは、各々復号データを生成する。このよう
にして生成される4個の復号データは、常に正確なビタ
ビ復号動作がなされる場合には、互いに一致することに
なる。ところで、実際のビタビ復号動作においては、4
個の復号データに不一致が生じることも起こり得る。こ
のような不一致は、再生信号に含まれるノイズの影響等
により、上述の識別点AおよびBを検出する際に誤差が
生じる等の要因により、ビタビ復号動作が不正確なもの
となることによって生じる。
【0140】一般に、このような不一致が生じる確率
は、再生信号の品質に対応してパスメモリの処理段数を
充分に大きく設定することによって減少させることがで
きる。すなわち、再生信号のC/N等の品質が良い場合
には、パスメモリの処理段数が比較的小さくても復号デ
ータ間の不一致が生じる確率は小さい。これに対して、
再生信号の品質が良くない場合には、上述の不一致が生
じる確率を小さくするためには、パスメモリの処理段数
を大きくする必要がある。
【0141】再生信号の品質に対してパスメモリの処理
段数が比較的小さくて、復号データ間の不一致が生じる
確率を充分に低くすることができない場合には、4個の
復号データから、例えば多数決等の方法によって、より
的確なものを選択するような、図示しない構成がPMU
23中の4個のパスメモリの後段に設けられる。
【0142】〔4値4状態ビタビ復号方法以外のビタビ
復号方法〕上述した4値4状態ビタビ復号方法は、フィ
ルタ部11において用いられる波形等化特性がPR
(1,2,1)であり、且つ、記録データとしてRLL
(1,7)符号が採用される場合に用いられる。例え
ば、ISOで標準化が進められている記録線密度0.4
0μm,レーザ波長685nm,NA=0.55の場合
には、波形等化特性をPR(1,2,1)とし、4値4
状態ビタビ復号方法を用いることが最適となる。他方、
波形等化特性または記録データを生成するための符号化
方法に応じて、他の種類のビタビ復号方法が用いられる
こともある。
【0143】例えば、波形等化特性がPR(1,1)で
あり、且つ、記録データとしてRLL(1,7)符号が
用いられる場合には、3値4状態ビタビ復号方法が用い
られる。また、波形等化特性がPR(1,3,3,1)
であり、且つ、記録データとしてRLL(1,7)符号
が用いられる場合には、7値6状態ビタビ復号方法が用
いられる。このようなビタビ復号方法の内、何れを用い
るかを選択するための要素の1つとなる波形等化特性
は、再生信号上の符号間干渉に適合する程度が良いもの
が採用される。従って、上述したように、線記録密度お
よびMTFを考慮して最適なものとされる。
【0144】また、波形等化特性の理論値からのずれ、
および再生信号の振幅変動、非対称歪等によって、識別
点の値が理論と異なる場合もある。このような場合を考
慮して、ビタビ復号方法を修正して用いることも行われ
る。例えば4値4状態ビタビ復号方法において、波形等
化特性を正確にPR(1,2,1)とすることは困難で
ある点を考慮して、後述するように6個の識別点を前提
とした6値4状態ビタビ復号方法が用いられることもあ
る。
【0145】一方、上述したビタビ復号方法において、
リードクロックに従ってサンプリングされる再生信号値
を、2個ごとに並列に取扱い、2リードクロックの間に
生じる状態遷移についての状態遷移図(後述の図18参
照)に従う処理を行うことにより、復号データ値を2個
毎に出力するように構成したものが従来の並列処理のビ
タビ復号器である。このため、上述した一般のビタビ復
号器に比べて、BMC,ACSおよびPMU等の構成が
異なるが、状態遷移そのものを認識しない点は同様であ
る。
【0146】一方、復号データ値の代わりに状態そのも
のを表現する状態データ値を用いることによって、状態
遷移そのものを表現する状態データを生成する方法も可
能である。例えば4値4状態ビタビ復号方法等の4個の
状態を有する場合には、かかる4個の状態を2ビットで
表現できるので、このような2ビットのデータを状態デ
ータ値として用いることができる。そこで、図7中のS
0,S1,S2,S3を、それぞれ2ビットの状態デー
タ値、00,01,11,10を用いて表現することが
できる。そこで、以下の説明においては、図7中のS
0,S1,S2,S3をそれぞれS00,S01,S1
1,S10と表記することにする。
【0147】特に、後述するように、振幅基準値をビタ
ビ復号器の動作によって選択される状態遷移に基づいて
更新するためには、状態遷移そのものを表現するデータ
が必要となる。そこで、以下に説明するこの発明の実施
の一形態中のビタビ復号器においては、上述の光磁気デ
ィスク装置の一例におけるパスメモリユニットPMUの
代わりに、後述するようにして状態データ値の系列を生
成するステータスメモリユニット(以下、SMUと表記
する)が用いられる。
【0148】また、以下の説明においては、波形等化特
性として、上述のPR(B,2A,B)の代わりに、P
R(α,β,γ)を前提とする。このような前提は、実
際の光磁気ディスク装置等においては、理想通りのパー
シャルレスポンス特性を得ることが難しく、波形等化特
性が非対称なものとなることが多いことを考慮したもの
である。
【0149】理想通りのパーシャルレスポンス特性を得
ることが難しい要因としては、波形等化器の動作精度の
限界、記録レーザパワーが過大または過小であることに
起因するアシンメトリーすなわち再生信号波形の非対称
歪み、および再生信号からA/D変換器によるサンプリ
ングを行う際に用いられるリードクロックの位相誤差等
がある。
【0150】PR(α,β,γ)の下で、上述した4値
4状態ビタビ復号方法の場合と同様に、記録時にRLL
(1,7)符号化等のRLmin=2となる符号化を行
い、且つ、再生時のパーシャルレスポンス特性がPR
(α,β,γ)である場合には、6値4状態となること
がわかる。すなわち、RLmin=2という条件によっ
て除かれる2個の状態以外の23 −2=6個の{b〔j
−1〕,b〔j〕,b〔j+1〕}の組の各々につい
て、識別点の値すなわちノイズが無い理想的な場合にお
ける波形等化後の再生信号値c〔j+1〕が異なる値を
とる。
【0151】このような6個の識別点の値をcpqrと
表記する。ここでp,q,rは、それぞれb〔j−
1〕,b〔j〕,b〔j+1〕を表現している。各識別
点の値と状態遷移の関係を図14に示す。ここで、RL
min=2であるため、c010およびc101が無い
ことに注意が必要である。以下の説明は、図14の状態
遷移図に従う6値4状態を前提として行う。また、後述
の式(50)〜(59)に従ってブランチメトリックを
計算する場合には、6個の識別点の値がそのまま振幅基
準値とされることになる。
【0152】〔並列処理の概要〕以下、この発明の一実
施例の説明に先立って、並列処理のビタビ復号方法につ
いて、並列処理による6値4状態ビタビ復号方法を例と
して説明する。
【0153】最初に、ブランチメトリックの表記方法に
ついて説明する。図15に示すトレリス線図において、
1リードクロックの間に生じる(すなわち時点k−1か
ら時点kの間に生じる)6値4状態のビタビ復号方法状
態遷移を示す各矢印の上に、各状態遷移に伴うブランチ
メトリックを表記する符号を付した。かかる表記方法
は、以下のようなものである。
【0154】まず、遷移前の状態と遷移後の状態を書き
並べて4個の数字の列とする。次に、中央寄りの2個の
(すなわち2番目と3番目の)数字を1個の数字とする
ことによって、3個の数字の列として、1リードクロッ
クの間に生じる各ブランチメトリックを表記する。この
ようにして、例えばS11→S10なる状態遷移に伴う
ブランチメトリックは、bm110と表記される。
【0155】並列処理においては、2リードクロックの
間に生じる状態遷移に伴うブランチメトリックの値が計
算される。図16に示すように、2リードクロックの間
に生じる状態遷移は、1リードクロックの間に生じ得る
2個の状態遷移の結合であり、全部で10種類あること
がわかる。そして、これら10種類の状態遷移に対応す
るブランチメトリックは、1リードクロックの間に生じ
る状態遷移に伴うブランチメトリックの表記に基づい
て、以下のようにして表記できる。
【0156】すなわち、前半の(すなわち時点k−2か
ら時点k−1における)状態遷移に伴うブランチメトリ
ックを上述したように表記する3個の数字の列と、後半
の(すなわち時点k−1から時点kにおける)状態遷移
に伴うブランチメトリックとを上述したように表記する
3個の数字の列を書き並べて、6個の数字の列とする。
そして、中央寄りの2個の(すなわち3番目と4番目
の)数字を省略することによって、4個の数字の列とし
て、2クロックの間に生じる状態遷移に伴う各ブランチ
メトリックを表記する。
【0157】例えば時点k−2から時点kに至る間に生
じるS01→S11→S10なる状態遷移に伴うブラン
チメトリックは、bm1110と表記されることがわか
る。このような表記方法により、2リードクロックの間
に生じ得る遷移10種類の状態遷移に伴うブランチメト
リックは、図17に示すように表記される。
【0158】さらに、2リードクロックの間に生じる状
態遷移を示す状態遷移図を図18に示す。図18には、
上述した10個の状態遷移が示されている。各状態遷移
を示す矢印に付した符号は、次のような意味を持つ。但
し、上述したように、この符号における再生信号の値c
〔k〕等は、ノイズを考慮しない計算値である。
【0159】〔時点k−1における復号値'a[k-1]'+時
点kにおける復号値'a[k]'/時点k−1における振幅基
準値c[k-1]+時点kにおける振幅基準値c[k]〕 このように表記される10個のブランチメトリックは、
図16に示したように、1リードクロックの間に生じる
2個の状態遷移の結合であることから、以下のように計
算される。
【0160】 bm0000=(z[k-1]−c000)2 +(z[k]−c000)2 (50) bm0001=(z[k-1]−c000)2 +(z[k]−c001)2 (51) bm0011=(z[k-1]−c001)2 +(z[k]−c011)2 (52) bm0111=(z[k-1]−c011)2 +(z[k]−c111)2 (53) bm1111=(z[k-1]−c111)2 +(z[k]−c111)2 (54) bm0110=(z[k-1]−c011)2 +(z[k]−c110)2 (55) bm1110=(z[k-1]−c111)2 +(z[k]−c110)2 (56) bm1100=(z[k-1]−c110)2 +(z[k]−c100)2 (57) bm1000=(z[k-1]−c100)2 +(z[k]−c000)2 (58) bm1001=(z[k-1]−c100)2 +(z[k]−c001)2 (59) 以下の説明においては、上述の各式に従って計算され
る、2リードクロックの間に生じ得る状態遷移に伴うブ
ランチメトリックを、単にブランチメトリックと表記す
る。このようなブランチメトリックに基づいて、パスメ
トリックの値が以下の式に従って2リードクロック毎に
更新される。
【0161】 m00[k]=min{m00[k-2]+bm0000,m11[k-2]+bm1100,m10[k-2]+bm1000 }(60) m01[k]=min{m10[k-2]+bm1001,m00[k-2]+bm0001 }(61) m11[k]=min{m11[k-2]+bm1111,m00[k-2]+bm0011,m01[k-2]+bm0111 }(62) m10[k]=min{m01[k-2]+bm0110,m11[k-2]+bm1100 }(63) 式(60)について説明する。図16および図17から
わかるように、時点k−2から時点k−1を経て時点k
に至る2リードクロックの間に、状態S00に至る状態
遷移は、(a) S00→S00→S00,(b) S11→S
10→S00および(c) S10→S00→S00の3個
ある。そして、これら3個の状態遷移に伴うブランチメ
トリックは、それぞれ(a) bm0000,(b) bm10
00,(c) bm1100である。一方、これら3個の状
態遷移の起点にそれぞれ対応するパスメトリックは、
(a) m00〔k−2〕、(b) m11〔k−2〕および
(c) m10〔k−2〕である。
【0162】このため、式(60)においては、このよ
うな3個の状態遷移にそれぞれ対応するブランチメトリ
ックと、パスメトリックとを加算することによって得ら
れる3個の計算値の内で、最も小さい値となる(すなわ
ち最も尤度が大きい)ものを最新のパスメトリックとす
る。他の式についても同様である。但し、式(61)、
(62)および(63)は、それぞれ、時点kにおいて
S01,S11およびS10に至った場合について、パ
スメトリックを計算する式である。
【0163】実際のビタビ復号器では、2乗計算を避け
る等の目的で、パスメトリックの代わりに規格化パスメ
トリックを計算するようになされることがある。このよ
うな場合、一般には、識別点がそのまま振幅基準値とは
されない。また、計算値のオーバーフローを防ぐために
4個のパスメトリックから同一の値を差し引くことによ
り、計算値を圧縮するようになされることがある。これ
らの場合においても、この発明を適用することができ
る。
【0164】この発明は、並列な計算処理によって選択
される状態遷移に対応して、状態遷移そのものを表現す
る状態データを生成し、かかる状態データに基づいて復
号データを生成すると共に、かかる状態データに基いて
振幅基準値を再生信号に適応化させるものである。特
に、振幅基準値の適応化において1種類の振幅基準値が
連続して更新される場合の処理を、後述するような近似
計算を行うことによって高速に行うようにしたものであ
る。
【0165】図19は、この発明の実施の一形態の全体
構成を示すブロック図である。この発明の実施の一形態
は、光磁気ディスク装置に対してこの発明を適用したも
のである。図1等を参照して上述した光磁気ディスク装
置の一例と同様の構成要素には、同一の符号を付した。
記録系および図示しないサーボ系等については、上述し
た光磁気ディスク装置の一例と同様である。
【0166】再生系の構成および動作について説明す
る。光ピックアップ7、アンプ8および9、切替えスイ
ッチ10および波形等化器11については、上述した光
磁気ディスク装置の一例と同様である。また、CPU1
03は、上述した光磁気ディスク装置の一例においても
用いられるものであり、記録系および再生系中の構成要
素の動作パラメータ等を制御する機能を有するものであ
る。すなわち、例えばLPC4にレーザ光のパワー値を
指令する。また、例えば、アンプ8および9のゲインを
設定する。
【0167】図1においては、CPU103の図示を省
略したが、この発明の実施の一形態についての説明を明
確なものとするために、図19中には、CPU103を
図示した。後述するように、この発明の実施の一形態で
は、CPU103がビタビ復号器130内の振幅基準値
適応化ブロック(以下、RAAと表記する)の動作を制
御する。
【0168】フィルタ部11の後段のA/D変換器12
には、後述するように、PLL14からリードクロック
DCKが供給される。A/D変換器12は、リードクロ
ックDCKに従って、波形等化器11から供給される波
形等化された再生信号からサンプリングを行う。そし
て、サンプリングした値を再生信号値として後段のビタ
ビ復号器130に供給する。
【0169】ビタビ復号器130は、A/D変換器12
から供給される再生信号値に基づいて、後述するように
して最尤な状態遷移を選択し、選択される状態遷移その
ものを表現する状態データを生成する。そして、状態デ
ータに基づいて、後述するようにして復号データを生成
し、コントローラ2に供給する。また、状態データに基
づいて、振幅基準値の更新を行うことによって、振幅基
準値を再生信号に対して適応化する。
【0170】図1等を参照して上述した光磁気ディスク
装置の一例と同様に、コントローラ2は、供給される復
号データに基づく復号化処理を行い、ユーザデータおよ
びアドレスデータ等を再生する。
【0171】振幅基準値の適応化を行う機能を有するビ
タビ復号器130についてより詳細に説明する。ビタビ
復号器130は、再生信号値を並列化する並列化スイッ
チ131、BMC132,ACS133、SMU13
4、マージブロック135、シフトレジスタ100およ
びRAA101から構成される。そして、これらの各構
成要素には、PLL14からハーフクロックすなわちリ
ードクロックDCKの半分の周波数の(従ってリードク
ロックDCKの2倍の時間間隔を有する)クロックが供
給され、動作タイミングが合わされる。
【0172】並列化スイッチ131には、上述したよう
に、リードクロックDCKに従ってA/D変換器12に
よってサンプリングされる再生信号値が供給される。並
列化スイッチ131は、供給される再生信号値を、後段
のBMC132の2個の入力位置に交互に供給する。こ
のようにして、リードクロックDCKに従ってサンプリ
ングされる、連続する2個の再生信号値z〔k−1〕お
よびz〔k〕がBMC132に並列に入力される。
【0173】また、このような2個の再生信号値z〔k
−1〕およびz〔k〕は、振幅基準値の適応化に用いら
れるために、シフトレジスタ100に供給される。
【0174】BMC132は、上述したようにして並列
に入力されるz〔k−1〕とz〔k〕に基づいて、上述
の式(50)〜(59)に従って10個のブランチメト
リックbm0000〜bm1001を計算する。そし
て、計算した10個のブランチメトリックの値をACS
133に供給する。ACS133は、供給される10個
のブランチメトリックの値と、所定の手段によってラッ
チされている1ハーフクロック前のパスメトリックの値
とに基づいて、上述の式(60)〜(63)に従ってパ
スメトリックの値の更新を行うと共に、最尤な状態遷移
を選択し、選択結果に応じて選択信号SEL00,SE
L01,SEL10,SEL11を生成する。選択信号
SEL00,SEL01,SEL10,SEL11は、
SMU134に供給される。
【0175】SMU134は、上述した光磁気ディスク
装置の一例中のPMU23とは異なり、選択される状態
遷移そのものを表現する,2ビットの状態データ値を単
位とする処理を行うものである。かかる処理によって、
状態データ値の系列としての状態データが生成される。
状態データは、マージブロック135および振幅基準値
適応化ブロック(以下、RAAと表記する)101に供
給される。
【0176】マージブロック135は、状態データに基
づいて、後述するように、復号データ値の系列としての
復号データを生成する。
【0177】一方、シフトレジスタ100は、並列化ス
イッチ131から供給される再生信号値z〔k−1〕お
よびz〔k〕を所定時間遅延させて、振幅基準値適応化
ブロック(以下、RAAと表記する)101に供給す
る。かかる遅延は、状態データが再生信号値に対して、
後述するような、SMU134による処理時間に起因す
る遅延を有することを補償するために施されるものであ
る。
【0178】RAA101は、このような遅延させられ
た再生信号値z〔k−1〕およびz〔k〕と、SMU1
34から供給される状態データ値とに基づいて、後述す
るようにして、振幅基準値を更新する。そして、更新さ
れた振幅基準値(後述するように1ハ−フクロック当た
り1個または2個)をBMC132に供給する。振幅基
準値の更新がハ−フクロック毎に行われることによっ
て、振幅基準値が適応化される。
【0179】SMU134についてより詳細に説明す
る。SMU134は、図20に示すように、2個のA型
ステータスメモリ150および153、並びに2個のB
型ステータスメモリ151および152を有している。
さらにセレクト信号SEL00SEL01,SEL10
およびSEL11、ハーフクロック、並びに他のステー
タスメモリとの状態データの受渡し等のための信号線を
接続されて構成される。A型ステータスメモリ150と
153は、それぞれ、状態S00とS11に対応する。
また、B型ステータスメモリ151と152は、それぞ
れ状態S10とS01に対応する。これら4個のステー
タスメモリ相互の接続は、図18の状態遷移図に従うも
のとされる。
【0180】図21を参照して、状態S00に対応する
A型サブブロック150についてより詳細に説明する。
A型サブブロック150は、n個の処理段を有する。す
なわち、n個のセレクタ2010 ,2011 ・・・20
n と、n個のレジスタ2020 ,2021 ・・・20
n とが交互に接続されている。各セレクタ2010
201n には、セレクト信号SEL00が供給される。
【0181】さらに、2段目以降の各セレクタ2011
〜201n には、上述したように、S11に対応するA
型サブブロック153から継承する状態データがSMi
n0
〔0〕,SMin0〔1〕・・・SMin0〔n−
1〕として供給される。また、S10に対応するB型サ
ブブロック151から継承する状態データがSMin1
〔0〕,SMin1〔1〕・・・SMin1〔n−1〕
として供給される。さらに、各レジスタ2020 〜20
n には、ハ−フクロックが供給される。
【0182】次に、各セレクタの動作について説明す
る。図18に示すように、S00に遷移し得る1ハ−フ
クロック前の状態がS00,S10およびS11の3個
なので、1段目のセレクタ2010 には、00、10、
11が入力される。セレクタ2010 は、上述のSEL
00に従って、かかる3個の状態データ値の内の1個を
後段のレジスタ2020 に供給する。
【0183】また、2段目以降の各セレクタ2011
201n は、3個のデータすなわち、パラレルロードと
して供給される2個の状態データ値と、シリアルシフト
として、前段のレジスタから供給される1個の状態デー
タ値を受取る。そして、かかる3個の状態データの内か
ら、選択信号SEL00に従って、最尤なものと判断さ
れた状態データ値を後段のレジスタに供給する。セレク
タ2010 〜201nが全て同一の選択信号SEL00
に従うので、ACS133が選択する最尤な状態データ
値の系列としての状態データが継承される。
【0184】さらに、各レジスタ2020 〜202
n は、上述したように供給される状態データ値をハ−フ
クロックに従って取込むことによって、保持している状
態データ値を更新する。このため、最終段のレジスタ2
02n の出力は、最初の処理段であるレジスタ2020
への入力に対して、nハーフクロックすなわち2×nリ
ードクロックの遅延を有するものとなる。このように、
A型サブブロック150の動作に起因して、2×nリー
ドクロックの遅延が生じる。
【0185】上述したように、各レジスタの出力は、1
ハ−フクロック後に遷移し得る状態に対応するサブブロ
ックに供給される。すなわち、S00自身に遷移し得る
ので、シリアルシフトとして後段のセレクタに供給され
る。さらに、パラレルロードとして、S01に対応する
B型サブブロック152、およびS11に対応するA型
サブブロック153に対して供給される。
【0186】状態S11に対応するA型サブブロック1
53の構成および動作は、A型サブブロック150と同
様である。但し、パラレルロードによる入力は、S00
に対応するA型サブブロック150およびS01に対応
するB型サブブロック152から供給される。また、パ
ラレルロードによる出力は、S00に対応するA型サブ
ブロック150およびS10に対応するB型サブブロッ
ク151に対して行われる。また、S11に遷移し得る
1ハ−フクロック前の状態がS00,S01およびS1
1の3個なので、1段目のセレクタ2010 には、0
0、01、11が入力される。
【0187】一方、図22を参照して、状態S10に対
応するB型サブブロック151についてより詳細に説明
する。B型サブブロック151は、n個の処理段を有す
る。すなわち、n個のセレクタ2110 ,2111 ,・
・・211n と、n個のレジスタ2120 ,2121
・・・212n とが交互に配置されている。B型サブブ
ロックは、図18において自身を継承しない状態に対応
するものなので、シリアルシフトを行わない。このた
め、各セレクタ2110 〜211n は、レジスタ212
0 〜212n に対する出力を行わない。各セレクタ20
0 〜201n には、セレクト信号SEL10が供給さ
れる。
【0188】さらに、2段目以降の各セレクタ2111
〜211n には、上述したように、S01に対応するB
型サブブロック152から継承する状態データがSMi
n0
〔0〕,SMin0〔1〕・・・SMin0〔n−
1〕として供給される。また、S11に対応するA型サ
ブブロック153から継承する状態データがSMin1
〔0〕,SMin1〔1〕・・・SMin1〔n−1〕
として供給される。さらに、各レジスタ2120 〜21
n には、ハ−フクロックが供給される。
【0189】次に、各セレクタの動作について説明す
る。図18に示すように、S10に遷移し得る1ハ−フ
クロック前の状態がS01,S11の2個なので、1段
目のセレクタ2010 には、01、11が入力される。
セレクタ2110 は、SEL10に従って、かかる2個
の状態データ値の内の1個を後段のレジスタ2120
供給する。
【0190】また、2段目以降の各セレクタ2011
201n は、上述したようにパラレルロードとして供給
される2個の状態データを受取る。そして、かかる2個
の状態データの内から、選択信号SEL10に従って、
最尤なものと判断された状態データを後段のレジスタに
供給する。セレクタ2110 〜211n が全て同一の選
択信号SEL10に従うので、ACS133が選択する
最尤な状態データ値の系列としての状態データが継承さ
れる。
【0191】さらに、各レジスタ2120 〜212
n は、上述したように供給される状態データ値をハ−フ
クロックに従って取込むことによって、保持している状
態データを更新する。このため、最終段のレジスタ20
n の出力は、最初の処理段であるレジスタ2020
の入力に対して、nハーフクロックすなわち2×nリー
ドクロックの遅延を有するものとなる。このように、B
型サブブロック150の動作に起因して、2×nリード
クロックの遅延が生じる。
【0192】上述したように、各レジスタの出力は、1
ハ−フクロック後に遷移し得る状態に対応するサブブロ
ックに供給される。すなわち、S00に対応するA型サ
ブブロック150、およびS01に対応するB型サブブ
ロック152に対するパラレルロードとして供給され
る。
【0193】状態S01に対応するB型サブブロック1
52の構成および動作は、B型サブブロック151と同
様である。但し、但し、パラレルロードによる入力は、
S00に対応するA型サブブロック150およびS10
に対応するB型サブブロック151から供給される。ま
た、パラレルロードによる出力は、S10に対応するB
型サブブロック150およびS11に対応するB型サブ
ブロック153に対して行われる。また、S01に遷移
し得る1ハ−フクロック前の状態がS10,S00の2
個なので、1段目のセレクタには、10、00が入力さ
れる。かかる1段目のセレクタは、SEL01に従っ
て、かかる2個の状態データ値の内の1個を1段目のレ
ジスタ2120 に供給する。
【0194】以上のような構成および動作によって、再
生信号z〔k〕およびz〔k−1〕に対応して、2×n
リードクロックの遅延を有する状態データ値sm〔k+
2×n〕が生成される。
【0195】ところで、上述したようにして、SMU1
34内の各サブブロックが生成する状態データ値は、ス
テータスメモリ内のレジスタの段数nを充分大きくとれ
ば互いに一致する。このような場合には、4個のステー
タスメモリの出力の内の何れを、状態データ値として後
段の処理に用いても良い。ステータスメモリ内のレジス
タの段数nは、再生信号のC/Nおよび周波数特性等を
考慮して決められる。レジスタの段数nの下では、再生
信号z〔k〕およびz〔k−1〕に対応する状態データ
値が2×nリードクロックの遅延を有するものとなる。
従って、かかる状態データ値を、sm〔k+2×n〕と
表記することができる。
【0196】一方、上述したように、SMU134によ
ってハーフクロック毎に出力される状態データに基づく
復号データの生成は、マージブロック135によってな
される。マージブロック135は、連続して供給される
状態データ値、例えばsm〔k+2×n−2〕およびs
m〔k+2×n〕に、図18の状態遷移図に記載される
2個の復号データを対応させるものとされる。
【0197】このような対応の一例として、sm〔k+
2×n−2〕='00'であり、且つ、sm〔k+2×n〕
='11'である場合について説明する。図18から、かか
る場合の復号データ値は、時間的に古い順に'1','0' と
なる。このようにして、図18の状態遷移図に従う、状
態データ値と復号データ値の対応を図23に示す。図2
3において、時間的に古い方の復号データをvd0とし
て示し、新しい方のデータをvd1として示した。
【0198】上述したように、振幅基準値を再生信号に
適応化させるために、SMU134によって生成される
状態データに基づいて、RAA101が振幅基準値を更
新するための計算をハ−フクロック毎に行う。状態デー
タ値が1個新たに出力される毎に、図18の状態遷移図
に従う2個の状態遷移が特定されるので、かかる2個の
状態遷移に対応する2個の振幅基準値が更新される。
【0199】但し、かかる2個の状態遷移が同一のもの
となる時には、同一の振幅基準値が連続して更新される
ことになる。後述するように、この発明は、特に、この
ような同一の振幅基準値を連続して更新するための計算
処理について改善を図ったものである。
【0200】振幅基準値の更新について、以下に説明す
る。理解を容易なものとするために、まず、シリアルな
処理、すなわち、リードクロックに従うタイミングで、
図14の状態遷移図に従う処理を行うビタビ復号器にお
ける振幅基準値の更新について説明する。
【0201】この場合には、上述したように、再生信号
値z〔k〕に対応する状態データ値は、sm〔k+n〕
となる。状態データ値sm〔k+n〕と、その1リード
クロック前に出力された状態データ値sm〔k+n−
1〕とから、図14に従って、これら2個の状態データ
値間に生じた状態遷移、およびかかる状態遷移に対応す
る振幅基準値を特定することができる。このようにして
特定された振幅基準値のその時点での値と、再生信号値
z〔k〕とから、振幅基準値の更新のための計算を行
う。
【0202】例えば、sm〔k+n−1〕='01'、およ
びsm〔k+n〕='11'である場合には、図14から状
態遷移S01→S11が生じることがわかる。そして、
この状態遷移に対応する振幅基準値がc011であるこ
とも図14からわかる。従って、この場合、振幅基準値
c011が更新対象とされる。更新のための計算は、更
新前のc011と、再生信号値z〔k〕とに基づいて以
下のようになされる。
【0203】 c011(新)=δ×z〔k〕+(1−δ)×c011(旧) (64) ここで、c011(新)が振幅基準値の更新のための計
算によって得られる新たな値である。また、c011
(旧)が更新前の値である。
【0204】図14に基づいて一般の場合について考慮
すれば、sm〔k+n−1〕=pq、およびsm〔k+
n〕=qrである場合に、cpqrの新たな値が以下の
ように計算される。
【0205】 cpqr(新)=δ×z〔k〕+(1−δ)×cpqr(旧) (65) ここで、cpqr(新)が新たな値である。また、cp
qr(旧)が更新前の値である。
【0206】また、δは、適応化された振幅基準値が再
生信号に対してどの程度の感度で追従するかを示す修正
係数である。δの値を設定するに際しては、再生信号の
振幅およびその変動、アシンメトリー等の歪み、波形等
化器の動作における誤差等の記録系および再生系の比較
的継続的な特性、並びに記録媒体上の欠陥等に起因する
ディフェクト等のイレギュラーな特性を考慮する必要が
ある。
【0207】すなわち、δの値が大きい程、式(65)
に従ってなされる更新によって、振幅基準値が振幅変
動、アシンメトリー、波形等化器の動作における誤差等
の再生信号の特性をより強く反映するものとなる。反
面、振幅基準値が記録媒体上の欠陥等に起因するディフ
ェクト等のイレギュラーな信号によっても影響され易
い。一方、δの値を小さくすると、振幅基準値がディフ
ェクト等のイレギュラーな信号に影響されにくくなる
が、反面、振幅基準値の再生信号に対する追従が緩やか
なものとなるため、式(65)に従ってなされる更新に
よる適応化の効果が減少する。
【0208】このような振幅基準値の適応化を並列処理
を行うビタビ復号器に適用する際には、ハ−フクロック
毎に出力される状態データ値に対し、図18に従って、
更新対象とされる振幅基準値を選択することが必要とな
る。
【0209】更新対象とされる振幅基準値の選択につい
て、上述したマージブロック135についての説明と同
様に、sm〔k+2×n−2〕='00'であり、且つ、s
m〔k+2×n〕='11'である場合を例として説明す
る。図18から、かかる場合に参照される振幅基準値
は、時間的に古い順にc001,c011となる。
【0210】このようにして、図18の状態遷移図に従
う、状態データ値と更新すべき振幅基準値の対応を図2
4に示す。図24において、更新すべき振幅基準値の
内、時間的に古い方をc0,新しい方のデータをc1と
して示した。
【0211】従って、RAA101が実際に行う振幅基
準値の更新のための計算は、c0,c1、およびシフト
レジスタ100によって遅延させられた再生信号値z
〔k〕,z〔k−1〕に基づいて、以下のようなものと
される。
【0212】 c0(新)=δ×z〔k−1〕+(1−δ)×c0(旧) (66) c1(新)=δ×z〔k〕+(1−δ)×c1(旧) (67) ここで、c0(新)およびc1(新)がそれぞれc0お
よびc1の新たな値である。また、c0(旧)およびc
1(旧)がそれぞれc0およびc1の更新前の値であ
る。
【0213】c0とc1とが異なる場合には、式(6
6)および(67)の計算を略同時に行うようにすれば
良い。例えば、sm〔k+2×n−2〕='00'であり、
且つ、sm〔k+2×n〕='11'である場合には、以下
の式(68)および(69)の計算を略同時に行うよう
にすれば良い。
【0214】 c0:c001(新)=δ×z〔k−1〕+(1−δ)×c001(旧)(68) c1:c011(新)=δ×z〔k−1〕+(1−δ)×c011(旧)(69) ところが、c0とc1とが同一の振幅基準値となる場合
には、c0の更新が完了するまでは、c1の更新のため
の計算を開始することができない。このため、かかる場
合には、c0およびc1の更新がクリティカルパスとな
るおそれがある。すなわち、c0およびc1の更新に要
する時間がビタビ復号器130の動作速度を制約するも
のとなるおそれがある。
【0215】このような問題点について具体的に説明す
る。例えば、図24において、sm〔k+2×n−2〕
='00'であり、且つ、sm〔k+2×n〕='00'である
場合には、c0およびc1が共にc000となるので、
c000が2度連続して更新されることがわかる。従っ
て、RAA101が以下のような計算処理を行うことに
なる。
【0216】 c0:c000(新)=δ×z〔k−1〕+(1−δ)×c001(旧)(70) c1:c000(新)=δ×z〔k〕+(1−δ)×c001(旧) (71) この場合、式(70)におけるc000(新)が式(7
1)におけるc000(旧)とされるので、式(70)
の計算が完了する以前には、式(71)の計算を開始す
ることができない。このため、RAA101が式(7
0)および式(71)の両方の計算を行うために要する
時間は、c0とc1とが異なる場合に両者の更新に要す
る時間、例えば、式(68)および式(69)の両方の
計算に要する時間より長くなる。
【0217】ところで、上述したように、振幅基準値
は、BMC132がブランチメトリックを計算する際の
参照値として用いられるものなので、振幅基準値の更新
が完了するまでは、新たにサンプリングされた再生信号
値に基づくブランチメトリックの計算を行うことができ
ない。従って、c0とc1とが同一の振幅基準値となる
場合に、振幅基準値の更新に要する時間が1ハ−フクロ
ックを越える場合には、ビタビ復号器130が正常に動
作しなくなる。これを避けるためにハ−フクロックの間
隔を長く設定すれば、ビタビ復号器130の動作速度の
低下を招くことになる。
【0218】このような問題点に対処するために、この
発明では、c0およびc1が同一の振幅基準値である場
合に、更新のための計算処理の最終的な結果に対する、
以下に説明するような近似値を計算するようになされ
る。
【0219】まず、近似を行わない場合について説明す
る。式(66)および(67)においては、c0(旧)
が更新開始前の振幅基準値である。また、上述したよう
に、c0とc1が同一の振幅基準値である場合には、式
(66)中のc0(新)が式(67)中のc1(旧)と
されるので、c0(新)と、c1(旧)は、同一の値で
ある。そして、c1(新)が最終的な更新値である。
【0220】そこで、c0(旧)をc(初)、c0
(新)およびc1(旧)をc(中)、さらにc1(新)
をc(終)と表記する。この場合に、c(終)が以下の
ように計算されることがわかる。
【0221】 c(終) =δ×z[k] +(1−δ)×c(中) =δ×z[k] +(1−δ)×{δ×z[k-1] +(1−δ)×c(初)} =δ×(z[k] +z[k-1])−δ2 ×z[k-1] +(1−δ)2 ×c(初)(72) 次に、式(72)に対する近似計算について説明する。
修正係数δの値は、再生信号の特性等についての考慮の
下に設定されるが、通常、0.02以下の値とされるこ
とが多い。このような値については、δ2 は、0.00
04以下となるので、δ2 を含む項を無視することによ
って、以下のような近似式を用いるようにしても、充分
な精度を有する計算結果が得られる。
【0222】 c(終)=δ×(z[k] +z[k-1] )−(1−2×δ)×c(初) (73) 式(73)に従う計算処理を行うようにすれば、c0お
よびc1が同一の振幅基準値である場合に、振幅基準値
の更新のための計算の最終的な結果を、充分な精度を有
する近似としてより短い時間内に得ることが可能とな
る。
【0223】図24から、式(73)に従う計算処理が
用いられる場合は、以下の2つであることがわかる。1
つ目は、sm〔k+2×n−2〕='00'、且つ、sm
〔k+2×n〕='00'である時に、c0およびc1が共
にc000となる場合である。2つ目は、sm〔k+2
×n−2〕='11'、且つ、sm〔k+2×n〕='11'で
ある時に、c0およびc1が共にc000となる場合で
ある。
【0224】以上のような振幅基準値の更新を実現する
RAA101の構成について図25を参照して説明す
る。RAA101は、6個の振幅基準値c000,c0
01,c011,c100,c110,c111にそれ
ぞれ対応する6個のレジスタ161、162、163、
164、165および166を有している。また、各レ
ジスタの後段には、それぞれ出力の可否を制御する出力
ゲート171、172、173、174、175および
176が設けられている。
【0225】記載が煩雑となるのを避けるため、図25
中には図示を省略したが、6個のレジスタ161〜16
6および後述するレジスタ180には、ハ−フクロック
が供給される。各レジスタの記憶値は、ハーフクロック
に従うタイミングでBMC132および後段の各出力ゲ
ートに供給される。
【0226】一方、各レジスタおよびその後段の各出力
ゲートには、後述するように、選択信号生成部181か
らイネーブル信号が供給される。例えばレジスタ161
とその後段の出力ゲート171には、イネーブル信号E
N000が供給される。このイネーブル信号EN000
がアクティブとされる時に、出力ゲート171がレジス
タ160の記憶値を後段に出力し、且つ、レジスタ16
1が後述する取込み対象切替えスイッチ61の出力を取
込むようになされる。
【0227】同様に、レジスタ162と出力ゲート17
2、レジスタ163と出力ゲート173、レジスタ16
4と出力ゲート174、レジスタ165と出力ゲート1
75およびレジスタ166と出力ゲート176は、それ
ぞれイネーブル信号EN001,EN001,EN01
1,EN110およびEN111を供給され、各イネー
ブル信号に従う動作を行う。
【0228】イネーブル信号に従って、レジスタ161
〜166の記憶値が演算部179に供給される。演算部
179は、さらに、上述のシフトレジスタ100から、
遅延させられた再生信号値z〔k−1〕およびz〔k〕
を供給される。
【0229】演算部179は、レジスタ161〜166
の記憶値と、遅延させられた再生信号値とに基づいて、
後述するように、式(66)および(67)、または
(73)に従って、それぞれFおよびS、またはDを算
出する。これらの式の上述したような内容からわかるよ
うに、F,Sは、c0,c1が異なる振幅基準値となる
時に、それぞれc0,c1を更新するための計算の結果
である。また、Dは、c0,c1が同一の振幅基準値と
なる時に、最終的な更新値を得るための計算の結果であ
る。かかる計算に用いられるδの値は、例えばCPU1
03によって制御される。
【0230】一方、6個のレジスタ161、162、1
63、164、165および166の前段には、それぞ
れ、取込み対象選択スイッチ61、62、63、64、
65および66が設けられている。取込み対象選択スイ
ッチ61〜66には、演算部179の出力が供給され
る。但し、図24に示すように、c0,c1が同一とな
る時の振幅基準値は、c000またはc111のみなの
で、Dは、c000およびc111にそれぞれ対応す
る、取込み対象選択スイッチ61および64のみに供給
される。また、FおよびSは、取込み対象選択スイッチ
61〜66の全てに供給される。
【0231】また、取込み対象選択スイッチ61、6
2、63、64、65および66には、後述するよう
に、選択信号生成部181から、それぞれ、取込み対象
選択信号U000,U001,U011,U111,U
110およびU100が供給される。そして、取込み対
象選択スイッチ61〜66は、各取込み対象選択信号に
従って、上述したようにして供給される2個または3個
の演算部179の出力の内から、それぞれの後段に位置
するレジスタに取込まれるべきものを選択する。
【0232】このような選択は、SMU134によって
ハ−フクロック毎に出力される状態データ値に基づい
て、図24に示したように認識されるc0およびc1に
対応してなされる。例えば、sm〔k+2×n−2〕
='00'、且つ、sm〔k+2×n〕='01'である場合に
は、c0がc000であり、c1がc001である。こ
の場合には、c000に対応するレジスタ161にFが
取込まれ、また、c001に対応するレジスタ162に
Sが取込まれるようになされる。
【0233】そこで、この場合には、まず、イネーブル
信号EN000およびEN001がアクティブとされ
る。そして、取込み対象選択スイッチ61は、取込み対
象選択選択信号U000の指令に従って、演算部179
から供給される計算値の内からFを選択する。さらに、
取込み対象選択スイッチ62は、取込み対象選択信号U
001の指令に従って、演算部179から供給される計
算値の内からSを選択する。
【0234】また、例えば、sm〔k+2×n−2〕
='00'、且つ、sm〔k+2×n〕='00'である場合に
は、c0およびc1が共にc000となる。すなわち、
この場合には、c000が連続して更新されるので、c
000に対応するレジスタ161にDが取込まれるよう
になされる。
【0235】そこで、この場合には、イネーブル信号E
N000がアクティブとされる。そして、取込み対象選
択スイッチ61は、取込み対象選択選択信号U000の
指令に従って、演算部179から供給される計算値の内
からDを選択する。
【0236】その他の場合にも、レジスタ161〜16
6が演算部179から供給される計算値を正しく取込む
ように、選択信号生成部181によってなされるイネー
ブル信号の制御、および取込み対象選択スイッチの出力
が図26に示すようになされる。図26には、更新対象
選択スイッチ191〜196によってなされる選択につ
いても記載されているが、これについては後述する。
【0237】選択信号生成部181は、図26に示すマ
トリクスのテーブルを例えばROM等の手段に記憶し、
かかるマトリクスのテーブルを参照して、SMU134
から供給される状態データ値sm〔k+2×n〕,およ
びレジスタ180から供給される状態データ値sm〔k
+2×n−2〕に基づいて、イネーブル信号EN000
〜EN100、取込み対象選択信号U000〜U10
0、および後述する更新対象選択信号V000〜V10
0を生成する。
【0238】次に、図27を参照して、演算部179に
ついてより詳細に説明する。演算部179は、更新対象
選択スイッチ191、192、193、194、195
および196を有している。各更新対象選択スイッチに
は、それぞれ、出力ゲート171、172、173、1
74、175および176の出力が供給される。さら
に、各更新対象選択スイッチには、選択信号生成部18
1から、それぞれ、更新対象選択信号V000、V00
1、V011、V111、V110およびV100が供
給される。
【0239】また、更新対象選択スイッチ191〜19
6の後段には、式(66)に従う計算処理を行うc0計
算回路302、式(67)に従う計算処理を行うc1計
算回路311および式(73)に従う計算処理を行う連
続更新計算回路306が設けられる。更新対象選択スイ
ッチ191〜196は、各々の前段に位置する出力ゲー
トから供給される更新前の振幅基準値を、各々に供給さ
れる更新対象選択信号に従って、c0計算回路302、
c1計算回路311および連続更新計算回路306の何
れかに供給する。
【0240】図24から、式(66)、(67)または
(73)に従う計算の何れにも用いられる可能性を有す
る振幅基準値は、c000およびc111のみである。
従って、これらの振幅基準値について設けられる更新対
象選択スイッチ191および194は、c0計算回路3
02、c1計算回路311および連続更新計算回路30
6の何れをも供給先として選択し得るものとされる。
【0241】一方、他の振幅基準値すなわちc001、
c011、c110およびc100は、式(66)また
は(67)の何れかに従う計算にのみ用いられ得るの
で、これらの振幅基準値について設けられる更新対象選
択スイッチ192、193、195および196は、c
0計算回路302およびc1計算回路311の何れかを
供給先として選択し得るものとされる。
【0242】c0計算回路302は、乗算器303、3
04および加算器305からなる。乗算器302は、更
新対象選択スイッチ191〜196の内の何れかから供
給される、c0と認識された振幅基準値の更新前の値に
(1−δ)を乗じ、乗算値を加算器305に供給する。
一方、乗算器304は、シフトレジスタ100から遅延
させられた再生信号値z〔k−1〕を供給され、供給さ
れたz〔k−1〕にδを乗じて、乗算値を加算器305
に供給する。このような2個の乗算値、すなわち(1−
δ)×c0と、δ×z〔k−1〕とを加算器305が加
算することにより、式(66)の右辺が計算される。以
上のような計算処理によって得られる計算値が上述のF
である。
【0243】c1計算回路311は、乗算器312、3
13および加算器314からなる。乗算器312は、更
新対象選択スイッチ191〜196の内の何れかから供
給される、c0と認識された振幅基準値の更新前の値に
(1−δ)を乗じ、乗算値を加算器314に供給する。
一方、乗算器313は、シフトレジスタ100から遅延
させられた再生信号値z〔k〕を供給され、供給された
z〔k〕にδを乗じて、乗算値を加算器314に供給す
る。このような2個の乗算値、すなわち(1−δ)×c
1と、δ×z〔k〕とを加算器314が加算することに
より、式(67)の右辺が計算される。以上のような計
算処理によって得られる計算値が上述のSである。
【0244】連続更新計算回路306は、乗算器30
7、加算器308、乗算器309および加算器310か
らなる。乗算器307は、更新対象選択スイッチ191
〜196の内の何れかから供給される、c0と認識され
た振幅基準値の更新前の値に(1−2δ)を乗じ、乗算
値を加算器310に供給する。
【0245】一方、加算器308は、シフトレジスタ1
00から遅延させられた再生信号値z〔k〕、z〔k−
1〕を供給され、供給されたz〔k〕と、z〔k−1〕
とを加算する。そして、加算値を乗算器309に供給す
る。乗算器309は、この加算値(z〔k〕+z〔k−
1〕)にδを乗じ、乗算値を加算器310に供給する。
このような2個の乗算値、すなわち、(1−2δ)×c
0と、δ×(z〔k〕+z〔k−1〕)とを、加算器3
10が加算することにより、式(73)の右辺が計算さ
れる。以上のような計算処理によって得られる計算値が
上述のDである。
【0246】このような演算部179によって行われ
る、振幅基準値を更新するための処理について、具体的
に説明する。例えば、sm〔k+2×n−2〕='00'、
且つ、sm〔k+2×n〕='01'である場合には、c0
がc000であり、c1がc001である。この場合に
は、図26を参照して上述したように、イネーブル信号
EN000およびEN001がアクティブとされる。こ
のため、c000に対応するレジスタ161の記憶値が
出力ゲート171によって後段の更新対象選択スイッチ
191に供給され、また、c001に対応するレジスタ
162の記憶値が出力ゲート172によって後段の更新
対象選択スイッチ192に供給される。
【0247】そして、更新対象選択スイッチ191は、
更新対象選択信号V000に従って、供給されたレジス
タ161の記憶値をc0計算回路302に供給する。ま
た、更新対象選択スイッチ192は、更新対象選択信号
V001に従って、供給されたレジスタ162の記憶値
をc1計算回路311に供給する。c0計算回路302
およびc1計算回路311は、このようにして供給され
るc0としてのc000、およびc1としてのc001
に基づいて、上述した計算を行う。
【0248】また、例えば、sm〔k+2×n−2〕
='00'、且つ、sm〔k+2×n〕='00'である場合に
は、c0およびc1が共にc000となる。すなわち、
この場合には、c000が連続して更新されるので、図
26に示したように、イネーブル信号EN000のみが
アクティブとされる。このため、c000に対応するレ
ジスタ161の記憶値が出力ゲート171によって後段
の更新対象選択スイッチ191に供給される。
【0249】そして、更新対象選択スイッチ191は、
更新対象選択信号V000に従って、供給されたレジス
タ161の記憶値を連続更新計算回路306に供給す
る。連続更新計算回路306は、このようにして供給さ
れるc0としてのc000に基づいて、上述した計算を
行う。
【0250】状態データ値sm〔k+2×n−2〕およ
びsm〔k+2×n〕がこれら以外の値となる場合に
も、振幅基準値の更新のための計算が以下のように行わ
れる。まず、出力ゲート171〜176の内の2個(c
0とc1が同一の時は1個)から、更新対象とされる振
幅基準値がイネーブル信号の指令に従って出力される。
【0251】このような出力を供給される更新対象選択
スイッチ191〜196の内の2個(但し、c0とc1
が同一の時は1個)は、各々に対して供給される更新対
象選択信号の指令に従って、c0計算回路302、c1
計算回路311および連続更新計算回路306の何れか
に対して、上述の出力を選択的に供給する。各更新対象
選択スイッチ191〜196による供給先の選択を、全
ての場合について図26にまとめて記載した。
【0252】ところで、上述したように、SMU134
内の4個のサブブロック150〜153が有するレジス
タの段数が大きい程、各サブブロックが生成する状態デ
ータ値が互いに一致する確率を大きくすることができる
が、反面、SMUの動作によって生じる遅延時間が増大
する等の問題も生じるため、レジスタの段数をあまり大
きくすることは現実的でない。
【0253】このため、例えば再生系の動作条件が適当
でない等の原因で再生RF信号の信号品質が低下する場
合には、各サブブロックが生成する状態データ値が互い
に不一致となることがある。このような場合に備えて、
各サブブロックが生成する状態データ値の内から最も的
確な状態データ値を選択する構成が設けられることがあ
る。
【0254】かかる構成は、4個のサブブロックの後段
に設けることができる。例えばSMU134内の4個の
ステータスメモリの後段となる位置に設けるようにして
も良いし、また、状態データに基づいて復号データを生
成するマージブロック135内等に設けるようにしても
良い。
【0255】再生信号の信号品質が充分良好なためにか
かる構成を設ける必要がない場合、およびかかる構成が
SMU134内に設けられる場合には、図19中に記載
したように、RAA101がSMU134の出力を状態
データ値として受取るようになされる。一方、かかる構
成がマージブロック135内に設けられる場合には、R
AA101がマージブロック135から最も的確な状態
データ値として選択された値を受取るようになされる。
【0256】上述したこの発明の実施の一形態は、6値
4状態ビタビ復号方法を並列処理によって行う光磁気デ
ィスク装置に対して、この発明を適用したものである。
これに対して、上述したような4値4状態ビタビ復号方
法、3値4状態ビタビ復号方法および7値6状態ビタビ
復号方法等の他の種類のビタビ復号方法をを並列処理に
よって行う光磁気ディスク装置にも、この発明を適用す
ることができる。
【0257】また、この発明は、記録媒体に記録された
データから再生される再生信号から、リードデータを復
号するためにビタビ復号方法を用いることができる情報
再生装置に適用することができる。すなわち、光磁気デ
ィスク(MO)以外にも、例えば相変化型ディスクP
D、CD−E(CD-Erasable )等の書き換え可能ディス
ク、CD−R等の追記型ディスク、CD−ROM等の読
み出し専用ディスク等の光ディスク装置に適用すること
が可能である。
【0258】また、この発明は、上述した実施の形態に
限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の応用および変形が考えられる。
【0259】
【発明の効果】上述したように、この発明は、ビタビ復
号方法において、再生信号値に基づく計算を並列処理に
よって行い、並列処理の結果に基づいて選択される生き
残り状態、すなわち最尤な状態遷移を表現する状態デー
タを生成することによって、以下のような処理を可能と
するものである。
【0260】まず、状態データに基づいて、連続する2
ビット毎に復号データを生成することができる。
【0261】さらに、状態データに基づいて、振幅基準
値をハ−フクロック毎に更新することにより、振幅基準
値を再生信号に対して適応化することができる。従っ
て、ブランチメトリックの計算精度を向上させることが
できるので、ビタビ復号の復号精度器を向上させること
が可能となる。
【0262】特に、1ハ−フクロックの間に更新対象と
される2個の振幅基準値が同一となる場合に、充分な精
度を有する近似式を用いることにより、クリティカルパ
スすなわち、ビタビ復号動作の高速化を妨げる処理過程
となり得る、同一の振幅基準値に対する2度の連続する
更新を行わないようにすることができる。
【0263】従って、並列処理のビタビ復号器におい
て、振幅基準値の適応化を行うことによって復号精度の
向上を図る際に、振幅基準値の適応化のための処理がク
リティカルパスとなることを避けることできるので、処
理速度の向上をより容易なものとすることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】4値4状態ビタビ復号方法を行う光磁気ディス
ク装置の一例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】マーク位置記録方法およびマークエッジ記録方
法について説明するための略線図である。
【図3】光磁気ディスクのセクタフォーマットの一例に
ついて説明するための略線図である。
【図4】RLL(1,7)符号化方法において、最小磁
化反転幅が2であることを示す略線図である。
【図5】RLL(1,7)符号とマークエッジ記録方法
の組合わせによって記録されたデータから再生される再
生信号を、パーシャルレスポンス特性PR(1,2,
1)の下で波形等化した時のアイ・パターンについて説
明するための略線図である。
【図6】4値4状態ビタビ復号方法の状態遷移図を作成
する過程について説明するための略線図である。
【図7】4値4状態ビタビ復号方法の状態遷移図の一例
を示す略線図である。
【図8】4値4状態ビタビ復号方法におけるトレリス線
図の一例を示す略線図である。
【図9】4値4状態ビタビ復号方法において、規格化メ
トリックに基づく状態遷移の条件を示す略線図である。
【図10】4値4状態ビタビ復号を行うビタビ復号器の
全体構成を示すブロック図である。
【図11】図10に示したビタビ復号器の一部分の構成
を詳細に示すブロック図である。
【図12】図10に示したビタビ復号器の他の一部分の
構成を詳細に示すブロック図である。
【図13】図10に示したビタビ復号器のさらに他の一
部分の構成を詳細に示すブロック図である。
【図14】6値4状態ビタビ復号方法の状態遷移図の一
例を示す略線図である。
【図15】1リードクロックの間に生じ得るブランチメ
トリックの表記方法について説明するための略線図であ
る。
【図16】2リードクロックの間に生じ得るブランチメ
トリックを、1リードクロックの間に生じ得るブランチ
メトリックの結合として説明するための略線図である。
【図17】2リードクロックの間に生じ得るブランチメ
トリックの表記について説明するための略線図である。
【図18】2リードクロックの間に生じ得る状態遷移に
ついての状態遷移図の一例を示す略線図である。
【図19】この発明の実施の一形態の全体構成を示すブ
ロック図である。
【図20】この発明の実施の一形態中のステータスメモ
リユニット134の構成を詳細に説明するためのブロッ
ク図である。
【図21】図20に示したステータスメモリユニット1
34中の一部の構成について、詳細に説明するためのブ
ロック図である。
【図22】図20に示したステータスメモリユニット1
34中の他の一部の構成について、詳細に説明するため
のブロック図である。
【図23】状態データ値と、復号データ値との対応につ
いて説明するための略線図である。
【図24】状態データ値と、更新対象とされる振幅基準
値との対応について説明するための略線図である。
【図25】振幅基準値適応化ブロック(RAA)の一例
について説明するためのブロックである。
【図26】状態データ値と、RAA内でなされる処理と
の対応について説明するための略線図である。
【図27】RAA内の演算部について、より詳細に説明
するためのブロック図である。
【符号の説明】
2・・・コントローラ、130・・・ビタビ復号器、1
31・・・並列化スイッチ、132・・・ブランチメト
リック計算回路(BMC)、133・・・加算、比較お
よび選択回路(ACS)、134・・・ステ−タスメモ
リユニット、135・・・マ−ジブロック、100・・
・シフトレジスタ、101・・・振幅基準値適応化ブロ
ック(RAA)、103・・・装置制御部(CPU),
61〜66・・・取込み対象選択スイッチ、161〜1
66・・・レジスタ、171〜176・・・出力ゲー
ト、179・・・演算部、180・・・レジスタ、18
1・・・選択信号生成部、191〜196・・・更新対
象選択スイッチ、302・・・c0計算回路、311・
・・c1計算回路、306・・・連続更新計算回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 20/18 542 G11B 20/18 542A H03M 13/12 H03M 13/12 H04L 1/00 H04L 1/00 E

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体から再生される再生信号をビタ
    ビ復号方法によって復号するようにした情報再生装置に
    おいて、 クロックと、上記クロックの2分の1の周波数のハ−フ
    クロックを発生させる手段と、 上記クロックに従ってサンプリングされる再生信号値に
    基づいて、連続する2個の再生信号値を単位として、上
    記ハ−フクロックに従うタイミングの下での並列処理を
    行って、最尤な状態遷移そのものを表現する上記ハ−フ
    クロック毎の状態データを生成する状態データ生成手段
    と、 上記状態データに基づいて、復号データを出力する復号
    データ出力手段と、 上記状態データと、上記連続する2個の再生信号値とに
    基づいて、ブランチメトリックの値を計算する際に参照
    値として用いられる2個の振幅基準値を、クロック毎に
    更新するようにした振幅基準値適応化手段とを有するこ
    とを特徴とする情報再生装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 上記振幅基準値適応化手段は、 上記ビタビ方法の動作結果として、状態遷移そのものを
    表現する状態データを用い、 上記状態データから連続する2個の状態遷移を認識し、
    認識された上記連続する2個の状態遷移に対応する2個
    の振幅基準値を選択する振幅基準値選択手段と、 上記2個の振幅基準値が互いに異なる場合に、2個の振
    幅基準値について、別個に更新のための計算処理を行う
    個別計算処理手段と、 上記2個の振幅基準値が同一である場合に、かかる同一
    の振幅基準値について、更新のための計算処理を行う同
    一対象計算処理手段と、 上記個別計算処理手段の出力と、上記同一対象計算処理
    手段の出力とを記憶する振幅基準値の個数に等しい個数
    の記憶手段とを有するものであることを特徴とする情報
    再生装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 上記個別計算処理手段は、 上記2個の振幅基準値の各々と、上記連続する2個の状
    態遷移が選択された際の上記連続する再生信号値の各々
    とを、第1の所定比率で混合する混合手段を有するもの
    であることを特徴とする情報再生装置。
  4. 【請求項4】 請求項2において、 上記同一対象計算処理手段は、 上記同一の振幅基準値と、上記連続する2個の状態遷移
    が選択された際の上記連続する再生信号値の加算値と
    を、第2の所定比率で混合する混合手段を有するもので
    あることを特徴とする情報再生装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 上記状態データ生成手段は、 上記連続する2個の再生信号値を単位として、並列計算
    処理を行う並列計算処理手段と、 上記並列計算処理手段の出力結果に基づいて、上記ハ−
    フクロック毎に最尤な状態遷移を選択する選択手段と、 上記選択手段によって選択される最尤な状態遷移そのも
    のを表現する状態データを生成する状態データ生成手段
    とからなることを特徴とする情報再生装置。
  6. 【請求項6】 記録媒体に記録されている情報信号を再
    生するようにした情報再生方法であって、 記録媒体から再生される再生信号を復号する復号手段と
    して、ビタビ復号方法を用いる情報再生方法において、 クロックと、上記クロックの2分の1の周波数のハ−フ
    クロックを発生させるステップと、 上記クロックに従ってサンプリングされる再生信号値に
    基づいて、連続する2個の再生信号値を処理単位とし
    て、上記ハ−フクロックに従うタイミングの下での並列
    処理を行って、最尤な状態遷移そのものを表現する上記
    ハ−フクロック毎の状態データを生成するステップと、 上記状態データに基づいて、復号データを出力するステ
    ップと、 上記状態データと、上記連続する2個の再生信号値とに
    基づいて、ブランチメトリックの値を計算する際に参照
    値として用いられる2個の振幅基準値を、クロック毎に
    更新するステップとを有することを特徴とする情報再生
    方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100584530B1 (ko) * 1998-10-01 2006-09-22 삼성전자주식회사 고배속 비터비 검출기

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