JPH11336935A - 切換電磁弁の駆動装置及びそれを用いた車両の制動制御装置 - Google Patents

切換電磁弁の駆動装置及びそれを用いた車両の制動制御装置

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JPH11336935A
JPH11336935A JP14473198A JP14473198A JPH11336935A JP H11336935 A JPH11336935 A JP H11336935A JP 14473198 A JP14473198 A JP 14473198A JP 14473198 A JP14473198 A JP 14473198A JP H11336935 A JPH11336935 A JP H11336935A
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solenoid
valve
control
power supply
duty
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JP14473198A
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Inventor
Masanobu Fukami
昌伸 深見
Yoshitami Saito
圭民 斉藤
Kaoru Tsubouchi
坪内  薫
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切換電磁弁が作動位置に存在する間に、通電
による切換電磁弁のソレノイドの温度上昇を抑制し得る
こと。 【解決手段】 切換電磁弁SBの駆動要求時に、電源電
圧Vsに応じて駆動デューティDyを演算し、その駆動
デューティDy及び切換電磁弁を作動位置に維持できる
程度の周期Tsで切換電磁弁を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常態では非作動位
置に存在しソレノイドへの通電により作動位置に切り換
わる切換電磁弁を駆動するための切換電磁弁の駆動装置
に関し、特に車両の制動制御装置に好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、常態では非作動位置に存在しソレ
ノイドへの通電により作動位置に切り換わる切換電磁弁
は各種分野に頻繁に使用されている。特開平7−815
40号公報には、この切換電磁弁を車両の制動制御装置
に適用した例が示されている。
【0003】具体的には、この公報には、マスタシリン
ダを倍力駆動するバキュームブースタと、マスタシリン
ダとホイールシリンダとの間に配設されホイールシリン
ダのブレーキ液圧を制御するモジュレータと、モジュレ
ータを介してホイールシリンダに対し昇圧したブレーキ
液を吐出する液圧ポンプと、マスタシリンダとモジュレ
ータとを接続する第1液圧路を開閉する常開型の第1開閉
弁と、マスタシリンダを液圧ポイプの吸入側に接続する
第2液圧路を開閉する常閉型の第2開閉弁と、車両の運動
状態に応じて第1及び第2開閉弁及びモジュレータを制御
し、マスタシリンダのブレーキ液を液圧ポンプにより吸
入昇圧しそれをモジュレータを介してホイールシリンダ
に供給する自動加圧手段と、常態では非作動位置に存在
し、自動加圧手段による制御時にソレノイドへの通電に
より作動位置に切り換わり、これによりバキュームブー
スタを駆動する切換電磁弁とを備えた車両の制動制御装
置の開示がある。この構成によれば、自動加圧手段によ
る制御中にソレノイドを通電して切換電磁弁を作動位置
に切り換えることによりバキュームブースタつまりマス
タシリンダを駆動し、マスタシリンダ液圧を液圧ポンプ
の吸入側に供給して補助加圧を行うことができる。尚、
上記公報には、切換電磁弁のソレノイドの通電方法につ
いての具体的な記載がないので、自動加圧手段による制
御中にソレノイドを連続通電しているものと推察され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、バキューム
ブースタを駆動する切換電磁弁のソレノイドは、バッテ
リ(車両の電源)に電気的に接続されるのが一般的であ
るが、バッテリ電圧は運転状態(例えばエンジン回転
数)やバッテリの使用状態等により変動する恐れがあ
る。ところが、上記の公報の装置では、ソレノイドを連
続通電するものと推察されるので、バッテリ電圧が高い
ときにはソレノイドへの供給電流値が大きくなり、結
果、ソレノイドの温度が上昇してソレノイドの抵抗値が
上昇する。このため、自動加圧手段による制御が終了し
てソレノイドへの通電を解除した後、再度自動加圧手段
による制御が開始してソレノイドへ通電しても、ソレノ
イドへの供給電流値が小さくなり、切換電磁弁を非作動
位置から作動位置に切り換えることが困難となる。特
に、このような現象は、上記公報に記載されているよう
な比較的長時間作動位置に維持される切換電磁弁におい
て顕著に現れる。
【0005】故に、本発明は、切換電磁弁が作動位置に
存在する間に、通電による切換電磁弁のソレノイドの温
度上昇を抑制し得ることを、その技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るため、請求項1の発明の切換電磁弁の駆動装置は、電
源に電気的に接続され、常態では非作動位置に存在しソ
レノイドへの通電により作動位置に切り換わる切換電磁
弁を駆動するための切換電磁弁の駆動装置において、前
記切換電磁弁が作動位置に存在する間に、通電による前
記ソレノイドの温度上昇を抑制するように、前記ソレノ
イドへの通電デューティを設定する通電デューティ設定
手段と、前記通電デューティ設定手段により設定された
通電デューティに基づいて、前記切換電磁弁を作動位置
に維持するように、前記ソレノイドを制御するソレノイ
ド制御手段とを備えたものである。ここで、上記通電デ
ューティは、通電及び非通電を繰り返すパルス信号にお
いて、1パルスの周期(通電時間と非通電時間の和)に
対する1パルス中の通電時間の比率を意味する。
【0007】請求項1の発明によれば、切換電磁弁が作
動位置に存在する間に、通電によるソレノイドの温度上
昇を抑制するようにソレノイドへの通電デューティを設
定し、その通電デューティに基づいてソレノイドを制御
するので、切換電磁弁が作動位置に存在する間に、通電
によるソレノイドの温度上昇を抑制することができる。
その結果、ソレノイドの抵抗値の上昇を抑制でき、ソレ
ノイドへの通電を解除した後再度ソレノイドへ通電した
場合でも、切換電磁弁を確実に非作動位置から作動位置
に切り換えることができる。
【0008】更に、切換電磁弁を作動位置に維持するよ
うにソレノイドを制御するので、切換電磁弁を確実に作
動位置に維持できる。
【0009】請求項1において、請求項2の発明に示す
ように、前記電源の電圧を検出する電圧検出手段を更に
備え、前記通電デューティ設定手段を、前記電圧検出手
段により検出された電源の電圧に応じて通電デューティ
を設定するように構成すると、好ましい。この構成によ
れば、電源の電圧に応じて通電デューティを設定し、そ
の通電デューティに基づきソレノイドを制御するので、
簡単な構成により、切換電磁弁が作動位置に存在する間
に、通電によるソレノイドの温度上昇を抑制できる。
【0010】請求項2において、請求項3の発明に示す
ように、前記通電デューティ設定手段を、通電デューテ
ィを、前記電圧検出手段により検出された電源の電圧が
高いときには小さく低いときには大きく設定するように
構成すると、好ましい。この構成によれば、電源の電圧
が高いときには通電デューティを小さく設定するので、
連続通電の場合に比べてソレノイドへの供給電流値が小
さくなり、結果、通電によるソレノイドの温度上昇を抑
制できる。また、電源の電圧が低いときには通電デュー
ティを大きく設定するので、ソレノイドへの供給電流値
を確保でき、結果、切換電磁弁を確実に作動位置に維持
できる。
【0011】請求項1において、請求項4の発明に示す
ように、前記ソレノイド制御手段を、前記切換電磁弁を
作動位置に維持する程度の周期で前記ソレノイドを制御
するように構成すると、好ましい。この構成によれば、
切換電磁弁を確実に作動位置に維持できる。
【0012】請求項1において、請求項5の発明に示す
ように、前記ソレノイド制御手段を、前記し、その後前
記通電デューティ設定手段により設定された通電デュー
ティに基づいて前記ソレノイドを制御するように構成す
ると、好ましい。この構成によれば、ソレノイドへの通
電開始後所定時間の間、通電デューティ100%でソレ
ノイドを制御するので、ソレノイドへの通電開始後即座
に切換電磁弁を作動位置に切り換えることができる。
【0013】上記技術的課題を解決するため、請求項6
の発明の車両の制動制御装置は、車両の車輪に装着し制
動力を付与するホイールシリンダと、低圧リザーバのブ
レーキ液を少なくともブレーキペダルの操作に応じて昇
圧しマスタシリンダ液圧を出力するマスタシリンダと、
前記マスタシリンダを倍力駆動するバキュームブースタ
と、前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間
に配設され前記ホイールシリンダのブレーキ液圧を制御
するモジュレータと、前記モジュレータを介して前記ホ
イールシリンダに対し昇圧したブレーキ液を吐出する液
圧ポンプと、前記マスタシリンダと前記モジュレータと
を接続する第1液圧路を開閉すると共に、前記マスタシ
リンダを前記液圧ポイプの吸入側に接続する第2液圧路
を開閉する弁装置と、前記車両の運動状態に応じて前記
弁装置及び前記モジュレータを制御し、前記マスタシリ
ンダのブレーキ液を前記液圧ポンプにより吸入昇圧しそ
れを前記モジュレータを介して前記ホイールシリンダに
供給する自動加圧手段と、電源に電気的に接続され、常
態では非作動位置に存在し、前記自動加圧手段による制
御時にソレノイドへの通電により作動位置に切り換わ
り、これにより前記バキュームブースタを少なくとも部
分的に駆動する切換電磁弁とを備えた車両の制動制御装
置において、前記電源の電圧を検出する電圧検出手段
と、前記切換電磁弁が作動位置に存在する間に、前記電
圧検出手段により検出された電源の電圧に応じて通電デ
ューティを設定する通電デューティ設定手段と、前記通
電デューティ設定手段により設定された通電デューティ
に基づいて、前記切換電磁弁を作動位置に維持するよう
に、前記ソレノイドを制御するソレノイド制御手段とを
備えたものである。
【0014】請求項6の発明によれば、切換電磁弁が作
動位置に存在する間(即ち自動加圧手段により制御中)
に、電源電圧に応じて切換電磁弁のソレノイドへの通電
デューティを設定し、その通電デューティに基づいてソ
レノイドを制御するので、切換電磁弁が作動位置に存在
する間に、通電によるソレノイドの温度上昇を抑制する
ことができる。つまり、ソレノイドの温度を著しく上昇
させることなく、切換電磁弁を長時間作動位置に維持す
ることができる。従って、自動加圧手段による制御が継
続している間、ソレノイドの温度を著しく上昇させるこ
となく、切換電磁弁を作動位置に維持することができ
る。
【0015】請求項6において、請求項7の発明に示す
ように、前記バキュームブースタは、可動壁と、前記可
動壁の前方に形成し負圧が導入される定圧室と、前記可
動壁の後方に形成し前記定圧室に連通して負圧が導入さ
れる状態と前記定圧室から遮断し大気に連通する状態に
選択的に設定される変圧室と、前記ブレーキペダルの操
作に応じて、前記定圧室と前記変圧室との間の連通を断
続すると共に前記変圧室と大気との間の連通を断続する
弁機構と、前記定圧室内に配置し、前記ブレーキペダル
の移動に伴い前記マスタシリンダを駆動すると共に前記
ブレーキペダルの操作とは無関係に前記マスタシリンダ
を駆動する補助可動壁と、前記補助可動壁と前記可動壁
との間に形成する補助変圧室とを備え、前記切換電磁弁
を、前記補助変圧室に負圧を導入する前記非作動位置
と、前記補助変圧室を大気に連通する前記作動位置とに
選択的に切り換わるように構成すると、好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の望ましい実施の形
態を図面を参照して説明する。
【0017】先ず図1は本実施形態の車両の制動制御装
置の全体構成を示すもので、エンジンEGはスロットル
制御装置TH及び燃料噴射装置FIを備えた内燃機関
で、スロットル制御装置THにおいてはアクセルペダル
APの操作に応じてメインスロットルバルブMTのメイ
ンスロットル開度が制御される。また、電子制御装置E
CUの出力に応じて、スロットル制御装置THのサブス
ロットルバルブSTが駆動されサブスロットル開度が制
御されると共に、燃料噴射装置FIが駆動され燃料噴射
量が制御されるように構成されている。本実施形態のエ
ンジンEGは変速制御装置GS及びディファレンシャル
ギヤDFを介して車両前方の車輪FL,FRに連結され
ており、所謂前輪駆動方式が構成されている。
【0018】次に、制動系については、車輪FL,F
R,RL,RRに夫々ホイールシリンダWfl,Wf
r,Wrl,Wrrが装着されており、これらのホイー
ルシリンダWfl等にブレーキ液圧制御装置PCが接続
されている。尚、車輪FLは運転席からみて前方左側の
駆動輪、車輪FRは前方右側の駆動輪を示し、車輪RL
は後方左側の従動輪、車輪RRは後方右側の従動輪を示
している。ブレーキ液圧制御装置PCは図2に示すよう
に構成されており、これについては後述する。
【0019】車輪FL,FR,RL,RRには車輪速度
センサWSl乃至WS4が配設され、これらが電子制御
装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち
車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装
置ECUに入力されるように構成されている。更に、ブ
レーキペダルBPが踏み込まれたときオンとなるブレー
キスイッチBS、車両前方の車輪FL,FRの舵角θf
を検出する前輪舵角センサSSf、車両の横加速度Gy
を検出する横加速度センサYG及び車両のヨーレイトγ
を検出するヨーレイトセンサYS等が電子制御装置EC
Uに接続されている。ヨーレイトセンサYSにおいて
は、車両重心を通る鉛直軸回りの車両回転角(ヨー角)
の変化速度、即ちヨー角速度(ヨーレイト)が検出さ
れ、実ヨーレイトγとして電子制御装置ECUに出力さ
れる。
【0020】尚、車両後方の車輪RL,RR間に舵角制
御装置(図示せず)を設けても良く、これによれば電子
制御装置ECUの出力に応じてモータ(図示せず)によ
って車輪RL,RRの舵角を制御することもできる。
【0021】本実施形態の電子制御装置ECUは、バス
を介して相互に接続されたプロセシングユニットCP
U、メモリROM、RAM、入力ポートIPT及び出力
ポートOPT等から成るマイクロコンピュータCMPを
備えている。上記車輪速度センサWSl乃至WS4、ブ
レーキスイッチBS、前輪舵角センサSSf、ヨーレイ
トセンサYS、横加速度センサYG等の出力信号は増幅
回路AMPを介して夫々入力ポートIPTからプロセシ
ングユニットCPUに入力されるように構成されてい
る。また、出力ポートOPTからは駆動回路ACTを介
してスロットル制御装置TH及びブレーキ液圧制御装置
PCに夫々制御信号が出力されるように構成されてい
る。マイクロコンピュータCMPにおいては、メモリR
OMは図3乃至図7に示したフローチャートを含む種々
の処理に供するプログラムを記憶し、プロセシングユニ
ットCPUは図示しないイグニッションスイッチが閉成
されている間当該プログラムを実行し、メモリRAMは
当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的に記
憶する。尚、スロットル制御等の各制御毎に、もしくは
関連する制御を適宜組合せて複数のマイクロコンピュー
タを構成し、相互間を電気的に接続しても良い。
【0022】図1はブレーキ液圧制御装置BCを示すも
ので、ブレーキペダルBPの操作に応じてバキュームブ
ースタVBを介してマスタシリンダMCが倍力駆動さ
れ、マスタリザーバLRS内のブレーキ液が昇圧されて
車輪FR,RL及び車輪FL,RR側の液圧系統にマス
タシリンダ液圧が出力されるようになっている。つま
り、所謂X配管が構成されている。マスタシリンダMC
はタンデム型のマスタシリンダで、2つの圧力室が夫々
各ブレーキ液圧系統に接続されている。即ち、第1の圧
力室MCaは車輪FR,RL側のブレーキ液圧系統に連
通接続され、第2の圧力室MCbは車輪FL,RR側の
ブレーキ液圧系統に連通接続される。尚、マスタシリン
ダMCの出力側には、その出力液圧(マスタシリンダ液
圧)を検出する圧力センサPSが設けられている。
【0023】バキュームブースタVBは、従前のバキュ
ームブースタと同様な構成であり、可動壁B1を介して
定圧室B2と変圧室B3が形成されており、可動壁B1
はブレーキペダルBPに連結されている。可動壁B1に
は、定圧室B2と変圧室B3との間の連通を断続するバ
キュームバルブ(図示せず)と、変圧室B3と大気との
間の連通を断続するエアバルブ(図示せず)から成る弁
機構B4が設けられている。そして、定圧室B2は常時
エンジンEGのインテークマニホールド(図示せず)に
連通し負圧が導入されるように構成されている。一方、
変圧室B3は、弁機構B4によって、定圧室B2と連通
して負圧が導入される状態と定圧室B2と遮断され大気
に連通する状態が選択されるように構成されている。而
して、ブレーキペダルBPの操作に応じて弁機構B4の
バキュームバルブ及びエアバルブが開閉し、定圧室B2
と変圧室B3との間にブレーキペダルBPの操作力に応
じた差圧が生じ、その結果、ブレーキペダルBPの操作
に応じて増幅された出力がマスタシリンダMCに伝達さ
れる。
【0024】車輪FR,RL側のブレーキ液圧系統にお
いては、第1の圧力室MCaは主液圧路MF1及びその
分岐液圧路MFr,MFlを介して夫々ホイールシリン
ダWfr,Wrlに接続されている。主液圧路MF1に
は、常開型の2ポート2位置の電磁開閉弁SC1(所謂
カットオフ弁として機能するもので、以下、単に開閉弁
SC1という)が配設されている。また、第1の圧力室
MCaは補助液圧路MFc1を介して後述する逆止弁C
V5,CV6に接続されている。
【0025】分岐液圧路MFr,MFlには夫々、常開
型の2ポート2位置の電磁開閉弁PC1及びPC2(以
下、単に開閉弁PC1,PC2という)が配設されてい
る。また、これらと並列に夫々逆止弁CV1,CV2が
配設されている。逆止弁CV1,CV2は、マスタシリ
ンダMC方向へのブレーキ液の流れのみを許容するもの
で、これらの逆止弁CV1,CV2及び開閉弁SC1を
介してホイールシリンダWfr,Wrl内のブレーキ液
がマスタシリンダMCひいてはマスタシリンダリザーバ
LRSに戻されるようになっている。従って、ブレーキ
ペダルBPが開放された時に、ホイールシリンダWf
r,Wrl内の液圧はマスタシリンダMC側の液圧低下
に迅速に追従し得る。また、ホイールシリンダWfr,
Wrlに連通接続される排出側の分岐液圧路RFr,R
Flに、夫々常閉型の2ポート2位置電磁開閉弁PC
5,PC6(以下、単に開閉弁PC5,PC6という)
が配設され、分岐液圧路RFr,RFlが合流した排出
液圧路RFは補助リザーバRS1に接続されている。
【0026】補助リザーバRS1には、逆止弁CV6,
CV5を介して液圧ポンプHP1の吸入側が接続され、
その吐出側は逆止弁CV7及び液圧路MFpを介して開
閉弁PC1,PC2の上流側に接続されている。液圧ポ
ンプHP1は、液圧ポンプHP2と共に単一の電動モー
タMによって駆動され、吸入側からブレーキ液を導入し
所定の圧力に昇圧して吐出側から出力する。補助リザー
バRS1は、マスタシリンダMCのマスタリザーバLR
Sとは独立して設けられたもので、アキュムレータとい
うこともでき、ピストンとスプリングを備え、所定の容
量のブレーキ液を貯蔵し得るように構成されている。
【0027】マスタシリンダMCは、補助液圧路MFc
1を介して液圧ポンプHP1の吸入側の逆止弁CV5と
逆止弁CV6との間に連通接続されている。逆止弁CV
5は、補助リザーバRS1へのブレーキ液の流れを阻止
し、逆方向への流れを許容するものである。また、逆止
弁CV6,CV7は、液圧ポンプHP1を介して吐出さ
れるブレーキ液の流れを一定方向に規制するもので、通
常は液圧ポンプHP1内に一体的に構成されている。而
して、開閉弁SI1は、図2に示す常態の閉位置でマス
タシリンダMCと液圧ポンプHP1の吸入側との連通が
遮断され、開位置でマスタシリンダMCと液圧ポンプH
P1の吸入側が連通するように切り換えられる。
【0028】また、開閉弁SC1には並列に、リリーフ
弁RV1及び逆止弁AV1が配設されている。リリーフ
弁RV1は、マスタシリンダMCから開閉弁PC1,P
C2方向へのブレーキ液の流れを制限し、開閉弁PC
1,PC2側のブレーキ液圧がマスタシリンダ液圧に対
し所定の設定圧以上大になった時に、マスタシリンダM
C方向へのブレーキ液の流れを許容するもの(所謂相対
圧リリーフ弁)で、これにより液圧ポンプHP1の吐出
ブレーキ液が所定の圧力を越えるのを回避できる。逆止
弁AV1は、ホイールシリンダWfr,Wrl方向への
ブレーキ液の流れを許容し、逆方向への流れを禁止する
ものである。この逆止弁AV1の存在により、開閉弁S
C1が閉位置であっても、ブレーキペダルBPが踏み込
まれた場合にはホイールシリンダWfr,Wrl内のブ
レーキ液圧が増圧される。尚、液圧ポンプHP1の吐出
側にダンパDP1が配設され、後輪側のホイールシリン
ダWrlに至る液圧路にプロポーショニングバルブPV
1が介装されている。
【0029】一方、車輪FL,RR側のブレーキ液圧系
統においても同様に、主液圧路MF2には常開型の電磁
開閉弁SC2が、補助液圧路MFc2には常閉型の電磁
開閉弁SI2が、配設されている。また、常開型の電磁
開閉弁PC3,PC4、常閉型の電磁開閉弁PC7,P
C8、逆止弁CV3,CV4,CV8及至CV10、リ
リーフ弁RV2、逆止弁AV2、リザーバRS2、ダン
パDP2及びプロポーショニングバルブPV2も設けら
れている。液圧ポンプHP2は、電動モータMによって
液圧ポンプHP1と共に駆動される。
【0030】本実施形態のバキュームブースタVBにお
いては、更に、定圧室B2内に補助可動壁B5が配置さ
れ、可動壁B1との間に補助変圧室B6が形成されてい
る。補助可動壁B5はブレーキペダルBPの移動と共に
マスタシリンダMC方向に移動し得るが、ブレーキペダ
ルBPの操作とは無関係にマスタシリンダMC方向に移
動し、これを駆動し得るように構成されている。即ち、
補助変圧室B6は、ブースタ切換弁(切換電磁弁)SB
の作動に応じて、エンジンEGのインテークマニホール
ドに連通して負圧が導入される状態と、大気に連通する
状態とが選択されるように構成されている。ブースタ切
換弁SBは、ソレノイドSLを有する3ポート2位置の
切換電磁弁で構成され、ソレノイドSLへの非通電時
(常態)の非作動位置で接続し、通電時の作動位置で補
助変圧室B6が大気ARに連通するように切り換えられ
る。ブースタ切換弁SBのソレノイドSLは、車両の電
源(バッテリ)ES及びトランジスタTSに電気的に接
続され、閉電気回路を形成している。電源ESは電子制
御装置ECUのインタフェース回路I/F(図1参照)
に接続されている。電源ESの電圧Vsはインタフェー
ス回路I/F及びマイクロプロセッサCMPにより検出
される。トランジスタTSは、電子制御装置ECUに接
続され、それによる指令に応じてソレノイドSLをデュ
ーティ駆動する。
【0031】而して、ブースタ切換弁を介して補助変圧
室B6に負圧が導入されておれば、補助可動壁B5は可
動壁B1に対し一定の距離に維持され、ブレーキペダル
BPの移動と共にマスタシリンダMC方向に移動する
が、補助変圧室B6が大気に連通すると、負圧の定圧室
B2との間に差圧が生じ、その結果、ブレーキペダルB
Pの操作とは無関係に(即ちブレーキペダルBPが非操
作常態であっても)、補助可動壁B5の移動に応じてマ
スタシリンダMCが駆動される。
【0032】上記電動モータM、開閉弁SC1,SC
2,SI1,SI2並びに開閉弁PC1及至PC8並び
に前述の電子制御装置ECUによって駆動制御され、制
動操舵制御(オーバーステア抑制制御又はアンダーステ
ア抑制制御)、ブレーキアシスト制御、アンチスキッド
制御、前後制動力配分制御、トラクション制御等の各種
制御が行われる。また、制動操舵制御やトラクション制
御等の自動加圧制御時には、ブースタ切換弁VBも電子
制御装置ECUによって作動位置に駆動制御され、補助
加圧が行われる。
【0033】上記のように構成された本実施形態におい
ては、電子制御装置ECUにより制動操舵制御、ブレー
キアシスト制御、アンチスキッド制御等の一連の処理が
行なわれ、イグニッションスイッチ(図示せず)が開成
されると図3乃至図6等のフローチャートに対応したプ
ログラムの実行が開始する。
【0034】図3は制動制御の作動を示すもので、先ず
ステップ101にてマイクロコンピュータCMPが初期
化され、各種の演算値がクリアされる。次にステップ1
02において、車輪速度センサWS1乃至WS4の検出
信号が読み込まれると共に、前輪舵角センサSSfの検
出信号(舵角θf)、ヨーレイトセンサYSの検出信号
(実ヨーレイトγ)及び横加速度センサYGの検出信号
(即ち、実横加速度であり、Gyaで表す)が読み込まれ
る。
【0035】続いてステップ103に進み、各車輪の車
輪速度Vw** が演算されると共に、各車輪の車輪速度V
w** が微分されて各車輪の車輪加速度DVw** が演算さ
れ、フィルター(図示せず)によりノイズが除かれて正
規の各車輪の車輪加速度FDVw** が得られる。次い
で、ステップ104において、各車輪の車輪速度Vw**
に基づき車両の重心位置における推定車体速度(以下重
心位置車体速度という)VsoがVso=MAX(Vw** )
として演算されると共に、各車輪位置における推定車体
速度(以下各輪位置車体速度という)Vso**が求められ
る。そして、必要に応じ、この各輪位置車体速度Vso**
に対し、車両旋回時の内外輪差等に基づく誤差を低減す
るため正規化が行われる。即ち、正規化車体速度NVso
**がNVso**=Vso**(n)−ΔVr**(n)として演算され
る。ここで、ΔVr**(n)は旋回補正用の補正係数で、例
えば以下のように設定される。即ち、補正係数ΔVr**
(**は各車輪FR等を表し、特にFWは前二輪、RWは後二輪
を表す)は、車両の旋回半径R及びγ・VsoFW(=横加
速度Gya) に基づき、基準とする車輪を除き各車輪毎の
マップ(図示省略)に従って設定される。例えば、ΔV
rFLを基準とすると、これは0とされるが、ΔVrFRは
内外輪差マップに従って設定され、ΔVrRLは内々輪差
マップに従い、ΔVrRRは外々輪差マップ及び内外輪差
マップに従って設定される。更に、車両の重心位置にお
ける前後方向の車体加速度(以下重心位置車体加速度と
いう)DVsoが重心位置車体速度Vsoを微分することに
より演算される。次いで、ステップ105にて、上記ス
テップ103及び104で求められた各車輪の車輪速度
Vw** と各輪位置推定車体速度Vso**に基づき各車輪の
実スリップ率Sa** がSa** =(Vso**−Vw**)/Vso
**として求められる。
【0036】次いで、ステップ106にて重心位置車体
加速度DVso及び横加速度センサYGの検出信号の実横
加速度Gyaに基づき、路面摩擦係数μが近似的にμ=
(DVso2 +Gya2 )1/2 として推定される。尚、この
路面摩擦係数μ及び各車輪のホイールシリンダ液圧Pw
**の推定値に基づき、各車輪位置の路面摩擦係数μ**も
演算しても良い。続いて、ステップ107にて、ヨーレ
イトセンサYSの検出信号(実ヨーレイトγ)、横加速
度センサYGの検出信号(実横加速度Gya)及び重心位
置車体速度Vsoに基づき、車体横すべり角速度がDβ=
Gya/Vso−γとして求められる。次いで、ステップ1
08にて車体横すべり角βがβ=∫Dβdtとして求め
られる。ここで、上記の車体横すべり角βは、車両の進
行方向に対する車体のすべりを角度で表したものであ
り、車体横すべり角速度Dβは車体横すべり角βの微分
値dβ/dtである。尚、車体横すべり角βは、進行方
向の車速Vx とこれに垂直な横方向の車速Vy の比に基
づき、β=tan-1(Vy /Vx)として求めることも
できる。
【0037】次に、ステップ109に進み、制動操舵制
御処理を行い、後述するように制動操舵制御に供する目
標スリップ率が設定され、後述のステップ118の液圧
サーボ制御により、車両の運動状態に応じてブレーキ液
圧制御装置PCが制御され、各車輪に対する制動力が制
御される。この制動操舵制御は、後述する全ての制御モ
ードにおける制御に対し重畳される。制動操舵制御処理
の後ステップ110に進み、アンチスキッド制御開始条
件を充足しているか否かが判定され、開始条件を充足し
制動操舵時にアンチスキッド制御開始要と判定される
と、ステップ111にて制動操舵制御及びアンチスキッ
ド制御の両制御を行なうための制御モードに設定され
る。
【0038】ステップ110にてアンチスキッド制御開
始条件を充足していないと判定されたときには、ステッ
プ112に進み前後制動力配分制御開始条件を充足して
いるか否かが判定され、制動操舵制御時に前後制動力配
分制御開始と判定されるとステップ113に進み、制動
操舵制御及び前後制動力配分制御の両制御を行なうため
の制御モードに設定され、充足していなければステップ
114に進みトラクション制御開始条件を充足している
か否かが判定される。制動操舵制御時にトラクション制
御開始と判定されるとステップ115にて制動操舵制御
及びトラクション制御の両制御を行なうための制御モー
ドに設定され、充足していなければステップ116に進
み制動操舵制御開始条件を充足しているか否かが判定さ
れる。制動操舵制御開始と判定されるとステップ117
にて制動操舵制御モードに設定される。そして、これら
の制御モードに基づきステップ118にて液圧サーボ制
御が行なわれた後にステップ102に戻る。ステップ1
16で、制動操舵制御開始と判定されていないときに
は、ステップ119に進み、全ソレノイドがオフとされ
る。尚、ステップ111,113,115,117に基
づき、必要に応じ、車両の運動状態に応じてスロットル
制御装置THのサブスロットル開度が調整されエンジン
ECの出力が低減され、駆動力が制限される。
【0039】尚、上記アンチスキッド制御モードにおい
ては、車両制動時に、車輪のロックを防止するように、
各車輪に付与する制動力が制御される。また、前後制動
力配分制御モードにおいては、車両の制動時に車両の安
定性を維持するように、後輪に付与する制動力の前輪に
付与する制動力に対する配分が制御される。そして、ト
ラクション制御モードにおいては、車両駆動時に駆動輪
のスリップを防止するように、駆動輪に対し制動力が付
与されると共にスロットル制御が行なわれ、これらの制
御によって駆動輪に対する駆動力が制御される。
【0040】次に、図3のステップ109における制動
操舵制御処理の詳細を図4を用いて説明する。ここで、
制動操舵制御にはオーバーステア(OS)抑制制御及び
アンダーステア(US)抑制制御が含まれ、選択車輪に
関しオーバーステア抑制制御及び/又はアンダーステア
抑制制御に応じた目標スリップ率が設定される。
【0041】先ず、ステップ201,202においてオ
ーバーステア抑制制御及びアンダーステア抑制制御の開
始終了判定が行われる。
【0042】ステップ201におけるオーバーステア抑
制制御の開始終了判定は、図7の斜線で示す制御領域に
あるか否かに基づいて行われる。即ち、判定時における
車体横すべり角βと車体横すべり角速度Dβの値が制御
領域に入ればオーバーステア抑制制御が開始され、制御
領域を脱すればオーバーステア抑制制御が終了され、図
7の矢印の曲線で示したように制御される。そして、制
御領域と非制御領域の境界(図7の2点鎖線)から制御
領域側に外れるに従って制御量が大となるように各車輪
の制動力が制御される。
【0043】一方、アンダーステア抑制制御の開始・終
了判定は、図8の斜線で示す制御領域にあるか否かに基
づいて行なわれる。即ち、判定時において目標横加速度
Gytに対する実横加速度Gyaの変化に応じて、一点鎖線
で示す理想状態から外れて制御領域に入ればアンダース
テア抑制制御が開始され、制御領域を脱すればアンダー
ステア抑制制御が終了とされ、図8の矢印の曲線で示し
たように制御される。
【0044】続いて、ステップ203にてオーバーステ
ア抑制制御が制御中か否かが判定され、制御中でなけれ
ばステップ204にてアンダーステア抑制制御が制御中
か否かが判定され、これも制御中でなければそのまま図
3のメインルーチンに戻る。ステップ204にてアンダ
ーステア抑制制御中と判定されればステップ205に進
み、旋回内側後輪及び両前輪が選択され、それらの目標
スリップ率が夫々アンダーステア抑制制御におけるStu
ri,Stufo, Stufiに設定される。尚、ここで示したス
リップ率(S)の符号については"t" は「目標」を表
し、後述の「実測」を表す"a" と対比される。"u" は
「アンダーステア抑制制御」を表し、"r" は「後輪」を
表し、 "o"は「外側」を、 "i"は「内側」を夫々表す。
【0045】一方、ステップ203にてオーバーステア
抑制制御中と判定されると、ステップ206に進みアン
ダーステア抑制制御中か否かが判定され、アンダーステ
ア抑制制御中でなければステップ207に進む。ステッ
プ207にて旋回外側の前輪及び旋回内側後輪が選択さ
れ、それらの目標スリップ率が夫々Stefo,Steri(=
0)に設定される。尚、 "e"は「オーバーステア抑制制
御」を表す。
【0046】ステップ206でアンダーステア抑制制御
も制御中と判定されると、ステップ208に進み、旋回
外側の前輪の目標スリップ率がオーバーステア抑制制御
用Stefoに設定され、旋回内側前後輪の目標スリップ率
がアンダーステア抑制制御用Sturi,Stufiに設定され
る。即ち、オーバーステア抑制制御とアンダーステア抑
制制御が同時に行なわれるときには、旋回外側の前輪は
オーバーステア抑制制御の目標スリップ率と同様に設定
され、旋回内側前後輪は何れもアンダーステア抑制制御
の目標スリップ率と同様に設定される。
【0047】尚、何れの場合も旋回外側の後輪(即ち、
後輪駆動車における従動輪)は重心位置車体速度Vso設
定用のため非制御とされている。
【0048】上記オーバーステア抑制制御用の目標スリ
ップ率の設定には、車体横すべり角βと車体横すべり角
速度Dβが用いられる。即ち、Stefo=K1 ・β+K2
・Dβ、Steri=K3・β+K4 ・Dβとして設定され
る。ここで、K1〜K4は定数で、旋回外側の前輪の目
標スリップ率Stefoは、加圧方向(制動力を増大する方
向)の制御を行なう値に設定され、旋回内側の車輪の目
標スリップ率Steriは、減圧方向(制動力を低減する方
向)の制御を行なう値に設定される。従って、ブレーキ
ペダルの非操作時には、Steri=0とされる。尚、K3
≦K1 /5,K4≦K2 /5に設定されている。
【0049】また、アンダーステア抑制制御における目
標ステップ率の設定には、目標横加速度Gytと実横加速
度Gyaとの差が用いられる。この目標横加速度GytはG
yt=γ(θf)・Vsoに基づいて求められる。ここで、
γ(θf)はγ(θf)={(θf/N)・L}・Vso
/(1+Kh ・Vso2 )として求められ、Kh はスタビ
リティファクタ、Nはステアリングギヤレシオ、Lはホ
イールベースを表す。
【0050】上記アンダーステア抑制制御に供する目標
スリップ率は、目標横加速度Gytと実横加速度Gyaの偏
差ΔGy に基づいて以下のように設定される。即ち、S
tufoは、K5・ΔGyに設定され、定数K5は加圧方向
(もしくは減圧方向)の制御を行なう値に設定される。
またStufi及びSturiは夫々K6・ΔGy 及びK7・ΔG
y に設定され、定数K6,K7は何れも加圧方向の制御を
行う値に設定される。
【0051】次に、図3のステップ118の液圧サーボ
制御処理の詳細を図5を用いて説明するが、ここでは各
車輪についてホイールシリンダ液圧のスリップ率サーボ
制御が行なわれる。
【0052】先ず、前述のステップ205,207,2
08にて設定された選択車輪の目標スリップ率St** が
ステップ301にて読み出される。このフローチャート
では記載を省略したが、アンチスキッド制御中か否かが
判定され、そうであれば、目標スリップ率St** にアン
チスキッド制御モード用のスリップ率補正量ΔSs**が
加算されて目標スリップ率St** が更新される。アンチ
スキッド制御中でないと判定されると、前後制動力配分
制御中か否かが判定され、そうであれば、目標スリップ
率St** に前後制動力配分制御モード用のスリップ率補
正量ΔSb** が加算されて目標スリップ率St** が更新
される。前後制動力配分制御中でないと判定されると、
トラクション制御中か否かが判定される。そうであれ
ば、目標スリップ率St** にトラクション制御モード用
のスリップ率補正量ΔSr** が加算されて目標スリップ
率St** が更新される。
【0053】そして、ステップ302において選択車輪
毎にスリップ率偏差ΔSt** が演算されると共に、ステ
ップ303にて車体加速度偏差ΔDVso**が演算され
る。具体的には、ステップ302において、選択車輪の
目標スリップ率St** と実スリップ率Sa** の差が演算
され、スリップ率偏差ΔSt** が求められる(ΔSt**
=St** −Sa** )。また、ステップ303において、
重心位置車体加速度DVsoと選択車輪における車輪加速
度DVw **の差が演算され、車体加速度偏差ΔDVso**
が求められる。このときの各車輪の実スリップ率Sa**
及び車体加速度偏差ΔDVso**はアンチスキッド制御、
トラクション制御等の制御モードに応じて演算が異なる
が、これらについては説明を省略する。
【0054】続いて、ステップ304に進み、各制御モ
ードにおけるブレーキ液圧制御に供する一つのパラメー
タY**がGs** ・ΔSt**として演算される。ここでGs
**はゲインであり、車体横すべり角βに応じて図9の実
線で示すように設定される。また、ステップ305にお
いて、ブレーキ液圧制御に供する別のパラメーラX**が
Gd** ・ΔDVso**として演算される。このときのゲイ
ンGd** は図9の破線で示すように一定の値である。
【0055】この後、ステップ306に進み、選択車輪
毎に、上記パラメータX**,Y**に基づき、図10に示
す制御マップに従って液圧モードが設定される。図10
においては予め急減圧領域、パルス減圧領域、保持領
域、パルス増圧領域及び急増圧領域の各領域が設定され
ており、ステップ306にてパラメータX**及びY**の
値に応じて、何れの領域に該当するかが判定される。
尚、非制御状態では液圧制御モードは設定されない(ソ
レノイドオフ)。
【0056】ステップ306にて今回判定された領域
が、前回判定された領域に対し、増圧から減圧もしくは
減圧から増圧に切換わる場合には、ブレーキ液圧の立下
りもしくは立上りを円滑にする必要があるので、ステッ
プ307において増減圧補償処理が行なわれる。例えば
急減圧モードからパルス増圧モードに切換るときには、
急増圧制御が行なわれ、その時間は直前の急減圧モード
の持続時間に基づいて決定される。次いで、ステップ3
08において、選択車輪(制御車輪)に供する制動操舵
制御、トラクション制御等の制御モードに応じて開閉弁
SI*、SC*が制御され、液圧モードに応じてモジュ
レータPC*が制御される。そして、ステップ308と
同時に、ステップ309において、モータMの駆動処理
が行われる。最後に、ステップ310に進み、ブースタ
切換弁SBの駆動処理が行われる。この詳細を図6を用
いて説明する。
【0057】まず図6のステップ401において、ブー
スタ切換弁SBの駆動要求の有無が判定される。即ち、
制動操舵制御やトラクション制御等の自動加圧制御中か
否かが判定される。ブースタ切換弁SBの駆動要求が無
ければ、ステップ402に進み、ブースタ切換弁SBを
オフ(非通電)する。
【0058】一方、ブースタ切換弁SBの駆動要求が有
れば、ステップ403に進み、電源電圧Vsが読み込ま
れる。次いで、ステップ404において、電源電圧Vs
に応じてブースタ切換弁SBのソレノイドSLに供する
通電デューティDyが演算される。即ち、電源電圧Vs
が9V以下であれば通電デューティDyは100%とさ
れ、電源電圧Vsが9V〜18Vであれば、電源電圧V
sが高くなるに伴い通電デューティDyが100%〜5
0%の範囲内で小さくされ、電源電圧Vsが18V以上
であれば通電デューティDyは50%とされる。次い
で、ステップ405に進み、ブースタ切換弁SBの駆動
(通電)開始後所定時間T1内か否かが判定される。こ
こで、この所定時間T1は、ブースタ切換弁SBを非作
動位置から作動位置まで作動させるまでに要する時間以
上に設定されている。ブースタ切換弁SBの駆動開始後
所定時間T1内であれば、ステップ406に進み、通電
デューティDyが100%に変更された後、ステップ4
07に進み、これによりブースタ切換弁SBの作動応答
性が向上する。ブースタ切換弁SBの駆動開始後所定時
間T1以上経過していれば、そのままステップ407に
進む。
【0059】ステップ407においては、ステップ40
4又は406にて設定された通電デューティDy及び所
定の周期Tsの駆動信号が駆動回路ACTに出力され
る。その結果、トランジスタTSを介してブースタ切換
弁SBのソレノイドSLが通電デューティDy及び所定
の周期Tsで駆動される。ここで、周期Tsは、ブース
タ切換弁SBを作動位置に維持できる程度の周期であ
り、比較的短い。尚、一定の周期Tsで駆動する代わり
に、ブースタ切換弁SBを作動位置に維持できる程度の
比較的短い非通電時間を固定し、それと通電デューティ
Dyに応じた可変周期で駆動しても良い。
【0060】上記のブースタ切換弁SBの駆動方法のタ
イミングチャートを図11に示す。
【0061】同図から明らかなように、ブースタ切換弁
SBの駆動要求が有れば、まず所定時間T1の間、通電
デューティ100%でブースタ切換弁SBのソレノイド
SLが駆動される。その結果、ソレノイドSLへ急速に
電流が供給され、ブースタ切換弁SBが即座に作動位置
に切り変わる。所定時間T1経過後、電源電圧Vsに応
じて設定された通電デューティDyでブースタ切換弁S
BのソレノイドSLが駆動される。その結果、ソレノイ
ドSLへの供給電流値が減少し、ソレノイドに連続通電
する従来技術(点線で示す)に比べて小さい値に維持さ
れる。これにより、ソレノイドSLの温度上昇が抑制さ
れ、ソレノイドSLの抵抗値の上昇が抑制される。そし
て、ブースタ切換弁SBの駆動要求が有から無に切り換
わると、ソレノイドSLへの通電が解除され、結果、ブ
ースタ切換弁SBが即座に非作動位置に切り換わる。
【0062】従って、ブースタ切換弁SBの駆動要求有
の継続時間が長く続いても、ブースタ切換弁SBを作動
位置に維持した状態で、ソレノイドSLの発熱を抑制す
ることができる。
【0063】尚、本実施形態では、長時間作動位置に維
持する必要のあるブースタ切換弁SBの駆動方法につい
て説明したが、図1に示す開閉弁SI*、SC*及び開
閉弁PC1〜PC8等の他の切換電磁弁にも適用可能で
ある。また、制動制御装置以外の分野にも適用可能であ
る。
【0064】また、本実施形態では、電源電圧に応じて
ソレノイドへの通電デューティを設定しているが、ソレ
ノイドへの供給電流値を検出しそれを目標電流値と比較
してその偏差に応じてソレノイドへの通電デューティを
設定しても良い。この場合、緻密な制御が可能である
が、電流フィードバック回路を用いるためコスト的に不
利である。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、切換電磁弁が作動位置
に存在する間に、通電によるソレノイドの温度上昇を抑
制するようにソレノイドへの通電デューティを設定し、
その通電デューティに基づいてソレノイドを制御するの
で、切換電磁弁が作動位置に存在する間に、通電による
ソレノイドの温度上昇を抑制することができる。その結
果、ソレノイドの抵抗値の上昇を抑制でき、ソレノイド
への通電を解除した後再度ソレノイドへ通電した場合で
も、切換電磁弁を確実に非作動位置から作動位置に切り
換えることができる。
【0066】更に、切換電磁弁を作動位置に維持するよ
うにソレノイドを制御するので、切換電磁弁を確実に作
動位置に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切換電磁弁の駆動装置が適用される本
実施形態に係る車両の制動制御装置の液圧系を示す構成
図である。
【図2】本実施形態に係る車両の制動制御装置の全体構
成図である。
【図3】本発明の一実施形態における車両の制動制御の
全体を示すフローチャートである。
【図4】図3の制動操舵制御処理の詳細を示すフローチ
ャートである。
【図5】図3の液圧サーボ制御の詳細を示すフローチャ
ートである。
【図6】図5のブースタ切換弁駆動処理の詳細を示すフ
ローチャートである。
【図7】本実施形態のオーバーステア抑制制御の制御領
域を示すグラフである。
【図8】本実施形態のアンダーステア抑制制御の制御領
域を示すグラフである。
【図9】本実施形態において、車体横すべり角とパラメ
ータ演算用のゲインGs**、Gd**との関係を示すグラ
フである。
【図10】本実施形態において、ブレーキ液圧制御に供
するパラメータと液圧モードとの関係を示すグラフであ
る。
【図11】本実施形態におけるブースタ切換弁の駆動方
法を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
FR,FL,RR,RL 車輪 Wfr,Wfl,Wrr,Wrl ホイールシリンダ BP ブレーキペダル MC マスタシリンダ VB バキュームブースタ PC1〜PC8 開閉弁(モジュレータ) HP1,HP2 液圧ポンプ SC1,SC2 開閉弁(弁装置) MF1,MF2 主液圧路(第1液圧路) MFc1,MFc2 補助液圧路(第2液圧路) SI1,SI2 開閉弁(弁装置) SB ブースタ切換弁(切換電磁弁) SL ソレノイド ES 電源 I/F インタフェース回路(電圧検出手段) AMP 増幅器(電圧検出手段) ECU 電子制御装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電源に電気的に接続され、常態では非作
    動位置に存在しソレノイドへの通電により作動位置に切
    り換わる切換電磁弁を駆動するための切換電磁弁の駆動
    装置において、 前記切換電磁弁が作動位置に存在する間に、通電による
    前記ソレノイドの温度上昇を抑制するように、前記ソレ
    ノイドへの通電デューティを設定する通電デューティ設
    定手段と、 前記通電デューティ設定手段により設定された通電デュ
    ーティに基づいて、前記切換電磁弁を作動位置に維持す
    るように、前記ソレノイドを制御するソレノイド制御手
    段とを備えたことを特徴とする切換電磁弁の駆動装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記電源の電圧を検出する電圧検出手段を更に備え、 前記通電デューティ設定手段は、前記電圧検出手段によ
    り検出された電源の電圧に応じて通電デューティを設定
    するように構成されていることを特徴とする切換電磁弁
    の駆動装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記通電デューティ設定手段は、通電デューティを、前
    記電圧検出手段により検出された電源の電圧が高いとき
    には小さく低いときには大きく設定するように構成され
    ていることを特徴とする切換電磁弁の駆動装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 前記ソレノイド制御手段は、前記切換電磁弁を作動位置
    に維持する程度の周期で前記ソレノイドを制御するよう
    に構成されていることを特徴とする切換電磁弁の駆動装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 前記ソレノイド制御手段は、前記ソレノイドへの通電開
    始後所定時間の間、通電デューティ100%でソレノイ
    ドを制御し、その後前記通電デューティ設定手段により
    設定された通電デューティに基づいて前記ソレノイドを
    制御するように構成されていることを特徴とする切換電
    磁弁の駆動装置。
  6. 【請求項6】 車両の車輪に装着し制動力を付与するホ
    イールシリンダと、低圧リザーバのブレーキ液を少なく
    ともブレーキペダルの操作に応じて昇圧しマスタシリン
    ダ液圧を出力するマスタシリンダと、前記マスタシリン
    ダを倍力駆動するバキュームブースタと、前記マスタシ
    リンダと前記ホイールシリンダとの間に配設され前記ホ
    イールシリンダのブレーキ液圧を制御するモジュレータ
    と、前記モジュレータを介して前記ホイールシリンダに
    対し昇圧したブレーキ液を吐出する液圧ポンプと、前記
    マスタシリンダと前記モジュレータとを接続する第1液
    圧路を開閉すると共に、前記マスタシリンダを前記液圧
    ポイプの吸入側に接続する第2液圧路を開閉する弁装置
    と、前記車両の運動状態に応じて前記弁装置及び前記モ
    ジュレータを制御し、前記マスタシリンダのブレーキ液
    を前記液圧ポンプにより吸入昇圧しそれを前記モジュレ
    ータを介して前記ホイールシリンダに供給する自動加圧
    手段と、電源に電気的に接続され、常態では非作動位置
    に存在し、前記自動加圧手段による制御時にソレノイド
    への通電により作動位置に切り換わり、これにより前記
    バキュームブースタを少なくとも部分的に駆動する切換
    電磁弁とを備えた車両の制動制御装置において、 前記電源の電圧を検出する電圧検出手段と、 前記切換電磁弁が作動位置に存在する間に、前記電圧検
    出手段により検出された電源の電圧に応じて通電デュー
    ティを設定する通電デューティ設定手段と、 前記通電デューティ設定手段により設定された通電デュ
    ーティに基づいて、前記切換電磁弁を作動位置に維持す
    るように、前記ソレノイドを制御するソレノイド制御手
    段とを備えたことを特徴とする車両の制動制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記バキュームブースタは、可動壁と、前記可動壁の前
    方に形成し負圧が導入される定圧室と、前記可動壁の後
    方に形成し前記定圧室に連通して負圧が導入される状態
    と前記定圧室から遮断し大気に連通する状態に選択的に
    設定される変圧室と、前記ブレーキペダルの操作に応じ
    て、前記定圧室と前記変圧室との間の連通を断続すると
    共に前記変圧室と大気との間の連通を断続する弁機構
    と、前記定圧室内に配置し、前記ブレーキペダルの移動
    に伴い前記マスタシリンダを駆動すると共に前記ブレー
    キペダルの操作とは無関係に前記マスタシリンダを駆動
    する補助可動壁と、前記補助可動壁と前記可動壁との間
    に形成する補助変圧室とを備え、 前記切換電磁弁は、前記補助変圧室に負圧を導入する前
    記非作動位置と、前記補助変圧室を大気に連通する前記
    作動位置とに選択的に切り換わるように構成されている
    ことを特徴とする車両の制動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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