JPH11335996A - 製紙用樹脂組成物及び製紙方法 - Google Patents

製紙用樹脂組成物及び製紙方法

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JPH11335996A
JPH11335996A JP14916798A JP14916798A JPH11335996A JP H11335996 A JPH11335996 A JP H11335996A JP 14916798 A JP14916798 A JP 14916798A JP 14916798 A JP14916798 A JP 14916798A JP H11335996 A JPH11335996 A JP H11335996A
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Japan
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papermaking
resin composition
phenolic resin
paper
ratio
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JP14916798A
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English (en)
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Masanori Kosuge
雅徳 小菅
Shiro Shoda
四郎 正田
Yoji Azuma
洋史 東
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DIC Corp
Japan PMC Corp
Original Assignee
Japan PMC Corp
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製紙工程での歩留りを向上させる。 【解決手段】フェノール芳香環に対するオルト置換とパ
ラ置換の配向性比(o/p比)が2以上であるフェノー
ル系樹脂を含有する水溶液である製紙用樹脂組成物、及
び前記製紙用樹脂組成物とノニオン性ポリマーとを製紙
工程で用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は製紙用樹脂組成物及び
製紙方法に関し、さらに詳しくは、特定のフェノール系
樹脂を用いてなる製紙用樹脂組成物、及び前記製紙用樹
脂組成物とノニオン性ポリマーとを併用して歩留り効果
を向上させることのできる製紙方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙の製造工程において、その生産性を高
めるために、製紙工程においてパルプスラリー中の微細
繊維や填料等の歩留りを向上させることが強く要求され
ている。
【0003】又、紙を抄造する際、系外に排出する水を
減少させるために白水を循環使用して新たに補充する清
水の使用量を低く抑える目的で、製紙用水のクローズド
化が進められている。前記クローズド化においては使用
した水は処理して再使用されるので、製紙工程で紙中に
歩留らずに白水中に残される微細繊維や填料をできる限
り少なくすることが重要で、そのためにカチオン性又は
アニオン性の高分子ポリアクリルアミド等を歩留り剤と
して使用することにより、又、フェノール樹脂とポリア
ルキレンオキサイドとを併用することにより、歩留りを
高くする工夫が施されている。
【0004】例えば特開昭51−70301号公報にポ
リアルキレンオキサイドとフェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂又はナフトール−ホルムアルデヒド樹脂とを用い
る方法が開示され、特開平7−70979号公報にアル
カリ金属、アルカリ土類金属、及びアミン類のいずれか
を触媒として合成したいわゆるレゾール型フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂とポリエチレンオキサイドとを併
用する方法が開示されている。
【0005】ところが、カチオン性又はアニオン性の高
分子ポリアクリルアミド等は、パルプスラリーにおける
砕木パルプ及びサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ
の使用比率が高くなると歩留り向上効果が得られ難くな
るという欠点を持つ。さらに、近年、紙のリサイクル率
の向上に伴い、パルプ原料中の古紙の使用比率が高くな
ってきており、高い歩留りが維持しにくい状況となって
いる。特に上記に示したポリエチレンオキサイド等のポ
リアルキレンオキサイドとフェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂を用いた歩留りシステムの場合、脱墨工程で用い
られる脱墨剤の影響を受けやすいことが報告されている
(「脱墨パルプ混入紙料のピッチ除去及び抄紙機運転効
率の改善に対するポリエチレンオキサイド系のコスト的
に有利な歩留り向上方法」紙パ技協紙、第51巻第9
号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のフェノール系樹
脂とポリエチレンオキサイドとの併用による歩留りシス
テムでは歩留り効果が十分ではない。特にパルプ中に脱
墨剤が多く残留する系では歩留り効果が不十分である。
【0007】したがって、この発明の目的は、パルプス
ラリー中の脱墨剤残存量が多い場合においても、ポリエ
チレンオキサイド等のノニオン性ポリマーと併用した場
合に優れた歩留り効果を与える製紙用樹脂組成物を提供
することにある。又、この発明の目的は、上記製紙用樹
脂組成物を使用する製紙方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
点を解決するために鋭意検討した結果、紙を製造する際
に、特定のフェノール系樹脂を採用すると上記目的を達
成できることを見い出し、この発明を完成するに至っ
た。
【0009】前記目的を達成する製紙用樹脂組成物とし
ては、(1)フェノール芳香環におけるオルト置換とパ
ラ置換の配向性比(o/p比)が2以上であるフェノー
ル系樹脂を含有する水溶液であることを特徴とするノニ
オン性ポリマーと併用するための製紙用樹脂組成物、
(2)フェノール系樹脂を含む水溶液のpHが10〜1
4であることを特徴とする前記(1)に記載の製紙用樹
脂組成物、(3)前記(1)又は(2)に記載のフェノ
ール系樹脂がノボラック型であることを特徴とする製紙
用樹脂組成物。
【0010】(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記
載のフェノール系樹脂とアニオン性分散剤とを含有する
ことを特徴とする製紙用樹脂組成物、及び(5)前記
(4)に記載のアニオン性分散剤がナフタレンスルホン
酸塩のホルムアルデヒド縮合物であることを特徴とする
製紙用樹脂組成物である。
【0011】そして、前記目的を達成する、前記製紙用
樹脂組成物を用いる製紙方法としては、(6)前記
(1)〜(5)のいずれかに記載の製紙用樹脂組成物と
ノニオン性ポリマーとを併用することを特徴とする製紙
方法、(7)ノニオン性ポリマーがポリエチレンオキサ
イド、ポリアクリルアミド、及び(ポリ)オキシエチレ
ン基を含むビニルモノマー類とアクリルアミド類との重
合物よりなる群から選択される少なくとも1種である、
前記(6)に記載の製紙方法、及び(8)機械パルプを
使用することを特徴とする前記(6)又は(7)に記載
の製紙方法を挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】(1)製紙用樹脂組成物 この発明に係る製紙用樹脂組成物は、フェノール芳香環
におけるオルト置換とパラ置換の配向性比(o/p比)
が2以上であるフェノール系樹脂(以下、単に「ハイオ
ルソ型フェノール系樹脂」と略す。)を含有する水溶液
である。好ましくは、そのpHが10〜14である塩基
性水溶液である。フェノール芳香環におけるオルト置換
とパラ置換の配向比としては、具体的には、フェノール
系樹脂のフェノール核に対するメチレン結合、ジメチレ
ンエーテル結合、ヘミホルマール基及び/又はメチロー
ル基の結合位置のオルト位とパラ位との配向比を挙げる
ことができる。
【0013】(1−1)o/p比 この発明のo/p比は、次のごとく定義される。
【0014】フェノール樹脂は、フェノール核がメチレ
ン結合及び/又はジメチレンエーテル結合により架橋
し、ヘミホルマール基及び/又はメチロール基がフェノ
ール核に結合したものであり、メチレン結合及び/又は
ジメチレンエーテル結合が、フェノール核の水酸基に対
してオルト位同士で結合した場合(o−o結合)、オル
ト位とパラ位とで結合した場合(o−p結合)、及びパ
ラ位同士で結合した場合(p−p結合)、並びにヘミホ
ルマール基及び/又はメチロール基が前記フェノール核
の水酸基に対してオルト位で結合した場合(o−置換
基)、及びパラ位で結合した場合(p−置換基)があ
る。
【0015】この発明のo/p比は、下記の式(I)で
示されるように、メチレン基及びジメチレンエーテル基
のいずれかの基の内、p−p結合しているものの数(p
−p結合)と、前記基の内o−p結合しているものの数
(o−p結合)の1/2と、ヘミホルマール基及びメチ
ロール基のいずれかの基の内パラ位にあるもの(p−置
換基)の数との和に対する、メチレン基及びジメチレン
エーテル基のいずれかの内o−o結合しているものの数
と、前記基の内o−p結合しているものの数(o−p結
合)の1/2と、ヘミホルマール基及びメチロール基に
含まれる基の内オルト位にあるもの(o−置換基)との
和の比を意味する。
【0016】 o/p比=[(o−o結合) +1/2(o−p結合)+(o−置換基)] /[(p−p結合)+1/2(o−p結合)+(p−置換基)] …(I) フェノール系樹脂中のメチレン結合数、ジメチレンエー
テル結合数、ヘミホルマール基結合数、及びメチロール
基の結合数、並びに前記各種結合の結合形式は、公知慣
用の方法、例えば赤外線吸収スペクトル、1 H−核磁気
共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトル等の方法
で求めることができる。本明細書におけるo/p比は13
C−核磁気共鳴スペクトルによって測定した値である。
【0017】この発明におけるフェノール系樹脂は、フ
ェノール芳香環に対するメチレン結合、ジメチレンエー
テル結合、ヘミホルマール基、及びメチロール基のいず
れかに含まれる結合の結合位置のo/p比が2以上であ
ることが特徴である。この発明のフェノール系樹脂にお
いては、o/p比は、後述するノボラック型フェノール
系樹脂の場合2〜7の範囲が好ましく、後述するレゾー
ル型フェノール系樹脂の場合は2〜20の範囲が好まし
い。o/p比が2よりも小さいフェノール系樹脂を用い
た場合にはパルプ中に残存する脱墨剤の影響による歩留
り効果の低下が大きいという問題が生じることがある。
【0018】フェノール系樹脂としては、ノボラック型
フェノール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂のい
ずれも使用できる。
【0019】前記フェノール系樹脂の内、ノボラック型
フェノール系樹脂は反応性メチロール基及びヘミホルマ
ール基のいずれも少ないため、保管時に縮合反応が進行
して高分子量化することが余りなく、したがって樹脂溶
液が増粘することが少ないから、作業性等の面で好まし
い。
【0020】更に、ノボラック型フェノール系樹脂は、
熱安定性が高く脱モノマー処理を容易に行える故に、残
存アルデヒド類を効果的に除去できる。よって、排水中
の溶存アルデヒド類の濃度を零又は低い値に押さえるこ
とができ、更に製紙時の乾燥工程でガス状アルデヒド類
が発生する等の問題が起こる可能性も殆どない。よって
ノボラック型フェノール系樹脂は、作業環境上からも、
環境衛生上からも好ましい。
【0021】(1−2)フェノール類 フェノール類としては、公知慣用のものがいずれも使用
可能であり、例えばフェノール、メタ位に置換基を有す
るメタクレゾール、3,5−キシレノール、及び3−エ
チルフェノール、並びにパラ位に置換基を有するパラク
レゾール、4−エチルフェノール、4−ブチルフェノー
ル、及び4−ノニルフェノール等を挙げることができ
る。これらのフェノール類は単独で使用でき、又2種類
以上を併用することもできる。価格、及び塩基性水溶液
の希釈安定性等の面からフェノールが好ましい。
【0022】(1−3)アルデヒド類 前記フェノール類と反応させるアルデヒド類としては、
ホルムアルデヒド(ホルマリン)、パラホルムアルデヒ
ド、トリオキサン、及びアセトアルデヒド等が挙げられ
る。これらは単独で使用することができ、又2種類以上
を併用することもできる。価格及びフェノール類との反
応性の面でホルマリン及びパラホルムアルデヒドが好ま
しい。
【0023】(1−4)触媒 フェノール類とアルデヒド類との反応触媒は特に限定さ
れるものではなく、又ノボラック型フェノール系樹脂及
びレゾール型フェノール系樹脂の製造に用いられる触媒
によらず、o/p比を通常高める触媒であれば構わな
い。
【0024】Andre Knop/Louis A.
Pilato著「フェノール樹脂」(プラスチック・
エージ社)で述べているような、亜鉛、マンガン、カル
シウム、マグネシウム、カドミウム、鉛、コバルト、及
びニッケル等の金属の有機酸塩、塩化物、並びに酸化物
等が挙げられる。又、非水系でグリニヤール試薬を用い
る方法もある。
【0025】ノボラック型フェノール系樹脂において
は、酢酸亜鉛の存在下に反応後、熱によりメチロール基
及びジメチレンエーテル結合をメチレン結合に変換する
ことができ、又、特公昭53−35596号公報及び特
公平3−2169号公報に述べられているように酸やア
ルキル硫酸でメチレン化を促進する方法も採用できる。
さらに特公昭57−51714号公報に述べられている
ような弱塩基と強酸類との併用、並びに特許第2637
623号公報に述べられているような、通常のノボラッ
ク化反応に用いられる蓚酸、マロン酸、蟻酸、安息香
酸、及びトルエンスルホン酸などの有機酸を用いて、特
定の反応条件にてo/p比を高める方法も近年提案され
ている。
【0026】(1−5)F/P比 フェノール類とアルデヒド類との反応モル比(以下F/
P比と略す。)は特に限定されるものではない。例えば
ノボラック型フェノール系樹脂の場合、F/P比は通常
0.3〜0.99であり、好ましくは0.4〜0.9で
ある。F/P比が0.3未満の場合には未反応フェノー
ル類が多くなることがある。未反応フェノール類の濃度
が高いフェノール系樹脂を製紙行程で用いると、製紙工
程で排出される排水中におけるフェノール類の濃度が高
くなるから環境衛生上好ましくない。よって、フェノー
ル類とアルデヒド類との反応によって得られたフェノー
ル系樹脂を脱モノマー処理することが望ましいが、未反
応フェノール類の濃度が高いフェノール系樹脂を脱モノ
マー処理すると反応収率が著しく低下することがある。
一方、F/P比が0.99を超えると製造中にゲル化す
ることがあり、実用上好ましくないことがある。
【0027】F/P比0.3〜0.99で反応させた場
合、製造されたフェノール系樹脂のメチレン基及び/又
はジメチレンエーテル基とフェノール核の比(結合モル
比)は0.6〜1.0となる。
【0028】レゾール型フェノール系樹脂の場合、F/
P比は0.3〜3.0であれば良いが、好ましくはF/
P比が1.0〜2.5である。F/P比が0.3未満の
場合、得られるレゾール型フェノール系樹脂中の未反応
フェノール類が多くなることがある。未反応フェノール
類は製紙工程での排水上の問題から環境衛生上好ましく
ない。そこで脱モノマー処理を行うことが必要となる
が、レゾール型フェノール系樹脂はノボラック型フェノ
ール系樹脂と比較して熱的安定性に劣るため、ノボラッ
ク型フェノール系樹脂と比較して脱モノマーを十分に行
うことが難しい。さらに脱モノマーを行った場合に反応
収率が著しく低下する場合がある。一方、F/P比が
3.0を超えると残存アルデヒド類が多くなることがあ
る。
【0029】(1−6)反応方法 フェノール類とアルデヒド類との反応条件等は、フェノ
ール系樹脂がノボラック型かレゾール型かによって異な
り、又、アルデヒド類及びフェノール類の種類及びF/
P比によっても異なる。
【0030】例えば、ノボラック型フェノール系樹脂
は、60〜150℃で3〜20時間の反応後、150〜
200℃まで昇温し、縮合水及び反応溶剤を除去し、さ
らに減圧により未反応のアルデヒド類及びフェノール類
を除去して得られる。又、必要に応じて水蒸気蒸留、フ
ラッシュ蒸留、薄膜蒸留等を用いて残存モノマーの除去
を行っても良い。
【0031】ここで反応溶剤は特に限定されるものでは
なく、反応溶剤は、アルデヒド類の代表的物質であるホ
ルムアルデヒドの溶剤の水でも良いが、トルエン、キシ
レン、メシチレン等の水と混和しにくい非極性溶剤を用
いた方が好ましい。さらには水分離装置を用いて、反応
中の水を蒸発又は共沸により反応系外に除きながら反応
させるとo/p比がより高くなるので望ましい。
【0032】一方、レゾール型フェノール系樹脂は、6
0〜120℃にて3〜20時間の反応後、60〜120
℃で常温もしくは減圧下で、縮合水、反応溶剤、未反応
アルデヒド類、及びフェノール類等を除去し、水又はア
ルコール等の有機溶剤に溶解して得られる。又、必要に
応じて水蒸気蒸留、フラッシュ蒸留、及び薄膜蒸留等を
用いて残存モノマーを除去しても良い。
【0033】レゾール型フェノール系樹脂の場合におい
ても、ノボラック型フェノール系樹脂の場合と同様に、
水と混和しにくい非極性溶剤を反応溶剤として用い、水
分離装置を用いて、反応中の水を反応系外に除きながら
反応させるとo/p比がより高くなるので望ましい。
【0034】(1−7)水溶液 フェノール系樹脂は水溶液として使用する。フェノール
系樹脂を水溶性化するための塩基性化合物としては、水
酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム
等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸
化カルシウム、及び水酸化バリウム等のアルカリ土類金
属の水酸化物、アンモニア、モノメチルアミン、及びモ
ノエチルアミンなどの1級アミン類、ジメチルアミン、
ジエチルアミン、及びジエタノールアミン等の2級アミ
ン類、並びにトリエチルアミン、トリエタノールアミ
ン、ジメチルエタノールアミン、及びメチルジエタノー
ルアミン等の3級アミン類などの塩基性化合物を用いる
ことができる。前記塩基性化合物としては、一般には、
塩基性が高く、水溶性に優れた化合物、例えば水酸化ナ
トリウム及び水酸化カリウム等が望ましい。
【0035】フェノール系樹脂を塩基性水溶液とする方
法は特に限定されるものではないが、前記方法として、
フェノール系樹脂に水及び上記塩基性化合物を添加する
方法、及びフェノール系樹脂をメタノール又はエタノー
ル等の水に溶解又は混和しやすい有機溶剤に溶解した
後、水及び塩基性化合物を添加し、脱溶剤する方法が挙
げられる。
【0036】フェノール系樹脂水溶液は、pH10〜1
4が好ましい。pHが10より低いと、フェノール系樹
脂水溶液の水希釈性が低下することがあり、パルプスラ
リーに樹脂を添加した場合、樹脂が白濁不溶化したり、
樹脂の分散が不十分となったりして、十分な効果が得ら
れないことがある。
【0037】(1−8)分子量 ハイオルソ型フェノール系樹脂の数平均分子量は通常3
00〜2000であり、重量平均分子量は通常500〜
30万である。好ましくは数平均分子量が500〜15
00であり、重量平均分子量が600〜20万である。
数平均分子量が300未満である場合、及び重量平均分
子量が500未満である場合には、歩留り効果が低下す
る場合がある。一方、数平均分子量が2000を超える
場合、及び重量平均分子量が30万を超える場合には、
ハイオルソ型フェノール系樹脂の溶融粘度が著しく高く
なることがあり、前記フェノール系樹脂の製造が困難に
なったり、塩基性溶液への溶解性が不十分となったりす
ることがある。
【0038】ハイオルソ型フェノール系樹脂の粘度は、
濃度30%のナトリウム塩水溶液の場合で、5〜100
0mPa・sの範囲が好ましく、5〜200mPa・s
の範囲が特に好ましい。
【0039】(1−9)アニオン性分散剤 この発明のアニオン性分散剤として、カルボン酸系分散
剤、オキシカルボン酸系分散剤、スルホン酸系分散剤、
リン酸系分散剤、及びオキシフェニル系分散剤等、従来
公知のものが使用できる。これらは単独又は2種以上組
み合わせて使用できる。又、酸及びその塩のいずれの形
においても使用できる。
【0040】カルボン酸系分散剤としては、ポリアクリ
ル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸
ソーダ、スチレン−マレイン酸共重合物の塩、アクリル
酸−マレイン酸共重合物の塩、メチルビニルエーテル−
マレイン酸共重合物の塩、及びアルケニルコハク酸塩等
が挙げられる。オキシカルボン酸としてはグルコン酸等
が挙げられる。スルホン酸系分散剤としては、ナフタレ
ンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩、メラミンスル
ホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩、リグニンスルホン酸
ホルムアルデヒド縮合物塩、アントラセンスルホン酸ホ
ルムアルデヒド縮合物塩、ポリスチレンスルホン酸塩、
フェノールスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物及びそ
の塩、ビスフェノール類スルホン酸のホルムアルデヒド
縮合物及びその塩、ポリビニルスルホン酸塩、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、並びに黒液等が挙げられる。リ
ン酸系分散剤としてトリポリリン酸塩、有機ホスホン酸
塩、メタリン酸塩、及びピロリン酸塩等が挙げられ、オ
キシフェニル系分散剤としてタンニン酸塩等が挙げられ
る。
【0041】上記分散剤の中ではスルホン酸系分散剤が
好ましく、中でもナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒ
ド縮合物塩、及びリグニンスルホン酸塩のホルムアルデ
ヒド縮合物が好ましい。
【0042】ハイオルソ型フェノール系樹脂とアニオン
性分散剤の混合比率は、固形分重量比で通常1/5〜1
00/1であり、好ましくは1/2〜10/1であり、
さらに好ましくは1/1〜5/1である。
【0043】前記ハイオルソ型フェノール系樹脂とアニ
オン性分散剤の混合比率が1/5に満たない場合、十分
な歩留り効果が得られないことがあり、100/1を超
える場合、アニオン性分散剤の併用効果が十分得られな
いことがある。
【0044】(1−10)消泡剤の併用 フェノール系樹脂水溶液においては、発泡性が高い場
合、消泡剤を併用することもできる。ここで用いる消泡
剤は特に限定されるものではないが、一般的にはシリコ
ン系消泡剤、鉱物油系消泡剤、及び脂肪酸系等の消泡剤
が使用できる。
【0045】(2)ノニオン性ポリマー この発明の製紙方法においては、ハイオルソ型フェノー
ル系樹脂を含有する製紙用樹脂組成物とノニオン性ポリ
マーを使用する。この発明におけるフェノール系樹脂と
ノニオン性ポリマーとを併用することにより、填料及び
微細繊維の歩留りが向上する。
【0046】この発明に用いられるノニオン性ポリマー
(以下、単にノニオン性ポリマーと略することがあ
る。)としては、ポリエチレンオキサイド、及びポリプ
ロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、ポ
リアクリルアミド類、並びに(ポリ)オキシエチレン基
を有するビニルモノマー類とアクリルアミド類との共重
合物等が挙げられる。
【0047】ノニオン性ポリマーにおいては、上記何れ
のポリマーであっても、その重量平均分子量は、通常5
0万以上、好ましくは100万以上、さらに好ましくは
300万以上である。
【0048】ノニオン性ポリマーは、上記何れのポリマ
ーであっても、その1%希釈粘度は500〜10万mP
a・sが好ましく、さらに好ましくは2000〜5万m
Pa・sであり、特に好ましくは5000〜3万mPa
・sである。尚、1%希釈溶液粘度とは、希釈水として
イオン交換水を用いて、25℃の条件においてB型粘度
計で測定した値である。
【0049】(2−1)ポリエチレンオキサイド ポリエチレンオキサイドとしては、粘剤として市販され
ているものを使用することができる。例えばユニオンカ
ーバイド(株)製のユカフロック(商品名)及び明成化
学(株)製のアルコックス(商品名)等を使用すること
ができる。ポリエチレンオキサイドは主にオキシエチレ
ン基からなるが、水溶性に影響を与えない程度にオキシ
プロピレン基を少量含んでいてもよい。
【0050】(2−2)ポリアクリルアミド類 前記ポリアクリルアミド類は、アクリルアミド及び/又
はメタクリルアミドを主成分にしてこれらを重合するこ
とにより得ることができる。このポリアクリルアミド類
は、油中水型エマルション、溶液、粉体のいずれの形態
であっても良い。
【0051】重合に際しては、従来公知の重合開始剤及
び連鎖移動剤を使用できる。
【0052】(2−3)(ポリ)オキシエチレン基を有
するビニルモノマー類とアクリルアミド類との重合物 (ポリ)オキシエチレン基を有するビニルモノマー類と
アクリルアミド類との重合物に用いられる(ポリ)オキ
シエチレン基を有するビニルモノマーとしては、例えば
下記の一般式で示される化合物を挙げることができる。
【0053】
【化1】
【0054】ただし、R1 は水素原子及びメチル基から
選択される基を表し、R2 は水素原子、メチル基及びエ
チル基等のアルキル基、フェニル基、並びにベンジル基
から選択される基を表す。nは1〜40の整数を示す。
【0055】前記(ポリ)オキシエチレン基を有するビ
ニルモノマー類とアクリルアミド類との使用比率(重量
比)は1/99〜50/50であり、好ましくは1/9
9〜30/70である。
【0056】アクリルアミド類としては(メタ)アクリ
ルアミド、並びにN−メチル(メタ)アクリルアミド、
N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)ア
クリルアミド、及びN−t−オクチル(メタ)アクリル
アミド等のN−置換(メタ)アクリルアミド等を挙げる
ことができる。前記アクリルアミド類は1種のみ使用し
てもよく、2種以上併用することもできる。
【0057】重合開始剤及び連鎖移動剤としては、従来
公知の化合物を使用することができる。
【0058】(3)製紙方法 (3−1)添加率 製紙用樹脂組成物の添加率は、固形分の重量に換算し
て、パルプスラリー中のパルプの乾燥重量当たり通常
0. 001〜5%、好ましくは0. 002〜1%、さら
に好ましくは0. 002〜0. 5%である。添加率が
0. 001%未満である場合には十分な効果が得られな
いことがあり、添加率が5%を越える場合には、添加量
に見合う効果を得ることができず、コスト的に好ましく
ないことがある。
【0059】ノニオン性ポリマーの添加率は、固形分の
重量に換算して、パルプスラリー中のパルプの乾燥重量
当り0. 001〜1%、好ましくは0. 002〜0. 5
%、さらに好ましくは0. 002〜0. 3%である。
【0060】製紙用樹脂組成物とノニオン性ポリマーの
添加比率(重量比)は、パルプの種類により異なるが、
通常10/1〜1/10であり、好ましくは5/1〜
1/3である。
【0061】(3−2)添加方法 パルプスラリーに、この発明における製紙用樹脂組成物
とノニオン性ポリマーとを添加する方法としては、前記
製紙用樹脂組成物の溶液とノニオン性ポリマーの溶液と
を予め混合することにより得られる一体の液として添加
する方法、及び前記製紙用樹脂組成物とノニオン性ポリ
マーとを別体にして同時に添加し、あるいは相前後して
順次に添加する方法を挙げることができる。好ましくは
この発明における製紙用樹脂組成物を添加した後にノニ
オン性ポリマーを添加するのが好ましい。
【0062】製紙用樹脂組成物及びノニオン性ポリマー
の添加場所としては、ミキシングチェスト、マシンチェ
スト、種箱、ファンポンプ付近、スクリーン付近、及び
白水ピット等が挙げられるが、特に制限はない。製紙用
樹脂組成物については種箱又はファンポンプ付近に添加
し、ノニオン性ポリマーについてはヘッドボックス、フ
ァンポンプ付近、又はスクリーン付近に添加することが
好ましい。
【0063】又、従来から公知の歩留り剤を併用するこ
とができる。
【0064】従来から公知の歩留り剤として例えばアニ
オン性あるいはカチオン性高分子量ポリ(メタ)アクリ
ルアミド、ポリアミンポリアミド−エピクロルヒドリン
樹脂、コロイダルシリカ、アルミナ変性コロイダルシリ
カ、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト等
のベントナイト類が挙げられ、ベントナイト類が好まし
い。
【0065】(3−3)併用薬品 又、通常に使用されている他の製紙用薬品も何等制限無
く使用できる。例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化ア
ルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、及びポリアルミ
ニウムシリケートサルフェート等の水溶性アルミニウム
塩、酸化チタン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、及
び尿素樹脂等の填料、カチオン化澱粉、アニオン化澱粉
及び各種変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルア
ルコール、カルボキシメチルセルロース、ジアリルアミ
ン−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアミン、及び
キトサン等の紙力増強剤、溶液ロジンサイズ、酸性ロジ
ンエマルションサイズ、及び中性ロジンエマルションサ
イズ等のロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー、ア
ルケニルコハク酸無水物、α−ヒドロキシカルボン酸、
ビス脂肪酸アミド、及びポリマー系サイズ剤等のサイズ
剤、染料、蛍光染料、スライムコントロール剤、並びに
消泡剤等の紙及び板紙の製造で使用される添加物を必要
に応じ使用することができる。
【0066】この発明においてはさらに、サイズプレ
ス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、キ
ャレンダー等を採用することにより、澱粉、ポリビニル
アルコール、染料、コーティングカラー、防滑剤、表面
サイズ剤、ポリアクリルアミド系表面紙力剤等を必要に
応じて紙及び板紙に塗付することができる。
【0067】(3−4)パルプ原料、紙、及び板紙の種
類 上記種々の紙又は板紙を酸性から中性ないしアルカリ性
pH領域で製造するにあたって、パルプ原料として、ク
ラフトパルプ及びサルファイトパルプなどの晒又は未晒
の化学パルプ、砕木パルプ及びサーモメカニカルパルプ
などの晒又は未晒の機械パルプ、並びに新聞古紙、雑誌
古紙、段ボール古紙、及び脱墨古紙などの古紙から調製
された古紙パルプのいずれも使用することができる。
又、上記パルプ原料と石綿、ポリアミド、ポリエステ
ル、及びポリオレフィン等のいずれかとの混合物も使用
することができる。
【0068】この発明における製紙用樹脂組成物とノニ
オン性ポリマーとを併用して歩留りを向上させる製紙方
法としては機械パルプを含有することが好ましい。機械
パルプの含有量は10重量%以上であることが好まし
い。機械パルプを含有する原料を用いる場合、従来のイ
オン性歩留り剤、例えばカチオン性ポリアクリルアミド
系歩留り剤及びアニオン性ポリアクリルアミド系歩留り
剤等は良好な歩留り効果を示さないが、この発明の製紙
用樹脂組成物は、ノニオン性ポリマーと組み合わせると
良好な歩留り効果を示す。前記機械パルプを含有する紙
としては酸性及び中性の中質紙、新聞用紙が挙げられ
る。
【0069】この発明による製紙方法は、酸性及び中性
条件で行なわれる紙及び板紙等の製造の際に採用するこ
とができ、前記紙及び板紙等としては例えば、印刷筆記
用紙、コート原紙、PPC用紙、インクジェット用紙、
情報用紙、書籍用紙、写真原紙、包装用紙、純白ロール
紙、感圧原紙、感熱原紙、中質紙、石膏ボード原紙、難
燃紙、新聞用紙、白板紙、金属合紙、ライナー、缶詰ラ
イナー、中芯、及び紙管原紙等を挙げることができる。
【0070】
【実施例】以下、この発明の効果を製造例及び実施例を
挙げて具体的に説明するが、この発明はこれらの例にの
み限定されるものではない。又以下例中において部及び
%とあるのは特に断りのない限り、重量部及び重量%を
意味するものとする。
【0071】(1)フェノール系樹脂の製造例 <製造例1>温度計、撹拌装置、及び冷却管を備えた4
つ口フラスコに、フェノール940部、95%パラホル
ムアルデヒド126部、酢酸亜鉛1.41部、及びキシ
レン330部を仕込み、120℃から150℃へと8時
間かけて昇温し、水分離装置を用いて水を除去しながら
反応させた。その後200℃まで昇温し脱溶剤を行い、
0.1MPaにて減圧蒸留し、脱モノマーを行った。得
られたノボラック型フェノール樹脂は、軟化点が65℃
であり、数平均分子量が645であり、重量平均分子量
が2480であり、o/p比が4.1であった。この樹
脂300部に水863部及び水酸化ナトリウム70部を
加え、溶解混合し、フェノール系樹脂水溶液PFR1を
得た。PFR1は、不揮発分が30.1%であり、粘度
が11mPa・sであり、pHが13.1であった。
【0072】軟化点は環球法(JIS K−2207)
によって求め、o/p比は13C−核磁気共鳴スペクトル
によって求めた。数平均分子量及び重量平均分子量はゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)に
てポリスチレン換算値として求めた。
【0073】<製造例2>合成例1と同様に、フェノー
ル940部、95%パラホルムアルデヒド253部、酢
酸亜鉛1.41部、及びキシレン330部を反応させ
た。得られたフェノール系樹脂は、軟化点が134℃で
あり、o/p比が4.2であり、数平均分子量が134
0であり、重量平均分子量が75900であった。得ら
れたフェノール系樹脂300部に水863部及び水酸化
ナトリウム70部を加え、溶解混合し、フェノール系樹
脂水溶液PFR2を得た。PFR2は不揮発分が30.
4%であり、粘度が95mPa・sであり、pHが1
2.9であった。
【0074】<製造例3>温度計、攪拌装置、及び冷却
管を備えた反応装置に、フェノール940部、37%ホ
ルマリン324部、及び酢酸亜鉛1.41部を仕込み、
100℃にて3時間反応を行い、その後蓚酸5.6部を
添加し、さらに4時間反応した。その後200℃まで昇
温し脱溶剤を行い、0.1MPaにて減圧蒸留し、脱モ
ノマーを行った。得られたノボラック型フェノール樹脂
は、軟化点が68℃であり、数平均分子量が646であ
り、重量平均分子量が2500であり、o/p比が2.
2であった。この樹脂300部に水863部及び水酸化
ナトリウム70部を加え、溶解混合し、フェノール系樹
脂水溶液PFR3を得た。PFR3は不揮発分が30.
2%であり、粘度が13mPa・sであり、pHが1
3.3であった。
【0075】<製造例4〜6>製造例2で製造したフェ
ノール系樹脂水溶液とナフタレンスルホン酸ソーダのホ
ルムアルデヒド縮合物を固形分比1/1(製造例4)、
2/1(製造例5)、及び5/1(製造例6)で混合
し、それぞれPFR4〜PFR6とした。ナフタレンス
ルホン酸ソーダのホルムアルデヒド縮合物としてラベリ
ンFAN(第一工業製薬(株)製)を使用した。
【0076】<比較製造例1>温度計、攪拌装置、及び
冷却管を備えた反応装置に、フェノール940部、37
%ホルマリン324部、蓚酸5.6部を仕込み、110
℃にて4時間反応した。その後200℃まで昇温し、
0.1MPaにて減圧蒸留し、脱モノマーを行い、ノボ
ラック型フェノール樹脂を得た。得られた樹脂は、軟化
点62℃、o/p比0.9、数平均分子量682、重量
平均分子量4450であった。得られた樹脂300部に
水863部及び水酸化ナトリウム70部を加え、溶解混
合し、フェノール系樹脂水溶液PFR7を得た。
【0077】PFR7は、不揮発分が30.4%であ
り、粘度が15mPa・sであり、pHが13.2であ
った。
【0078】PFR1〜3及びPFR7の物性を表1に
示す。
【0079】
【表1】
【0080】(2)ノニオン性ポリマーの製造例 <製造例7>ポリエチレンオキサイド[ユカフロックW
SR303(ユニオンカーバイド社製、重量平均分子量
700万)]をノニオン性ポリマーNP1として使用し
た。 <製造例8>撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却器を
備えた1リットル容積のフラスコに、50%アクリルア
ミド水溶液71g(88. 1部)、メトキシポリエチレ
ングリコールメタクリレート(NKエステルM90G、
新中村化学(株)製、下記の化学式をもって構造を示
す。)4. 8g(11. 9部)、及びイオン交換水72
9. 5gを仕込み、窒素気流下に30℃に加熱した。こ
れに5%過硫酸アンモニウム水溶液1. 14g、2%重
亜硫酸ナトリウム水溶液0. 48gを加え、同温度で2
0時間反応させた後、水200gを加えてポリオキシエ
チレン基を有するビニルモノマー類とアクリルアミド類
との重合物であるノニオン性ポリマーNP2を得た。こ
のノニオン性ポリマーNP2の25℃における粘度は4
200mPa・s、重合率は45%、重量平均分子量は
990万であった。
【0081】
【化2】
【0082】<製造例9>撹拌機、温度計、窒素導入管
及び冷却器を備えた1リットル容積のフラスコに、50
%アクリルアミド水溶液85. 2g、及びイオン交換水
677. 8gを仕込み、窒素気流下に30℃に加熱し
た。これに5%過硫酸アンモニウム水溶液1.3g、及
び2%重亜硫酸ナトリウム水溶液0. 57gを加え、同
温度で20時間反応させた後に、水169. 5gを加え
てポリアクリルアミド類であるノニオン性ポリマーNP
3を得た。このノニオン性ポリマーNP3の25℃にお
ける粘度は8000mPa・s、重合率は79%、重量
平均分子量は540万であった。
【0083】ノニオン性ポリマーNP1〜3の物性を表
2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】(3)製紙 (実施例1〜6)脱墨した新聞古紙(DIP)/砕木パ
ルプ(GP)/サーモメカニカルパルプ(TMP)/N
BKP(針葉樹晒クラフトパルプ)を重量比が50/1
0/30/10となるように混合して2. 4%パルプス
ラリーとした。このパルプのカナディアン・スタンダー
ドフリーネスは230mlであった。このパルプ(パルプ
乾燥重量100部)に対してホワイトカーボンを2部、
硫酸バンドを2部、及びロジンエマルション系サイズ剤
AL120(日本PMC(株)製)を0. 2部加えてパ
ルプスラリーを0. 5%に希釈した後、0.05部のフ
ェノール系樹脂水溶液PFR1〜PFR6及び0.01
部のノニオン性ポリマーNP1を順次添加して、均一に
分散させた。この時のパルプスラリーのpHは4. 5で
あった。
【0086】このパルプスラリーを用いて下記の方法に
基づいてRDDT試験及びDDT試験を行い、又、タッ
ピ・スタンダード・シートマシンを用いて坪量45g/
となるように抄紙して、得られた湿紙を圧縮脱水し、8
0℃で60秒乾燥させた。
【0087】得られた手抄き紙を相対湿度65%、及び
温度20℃の条件下で24時間調湿し、紙中灰分の含有
量を測定した。測定結果を表3に示す。
【0088】尚、上記紙は新聞用紙の製造例に相当する
ことがある。
【0089】紙中の灰分の測定は、JIS P−812
8に準拠した。灰分が多いほど歩留りが良いことを示
す。
【0090】・RDDT試験方法 タッピ ペーパーメーカーズ カンファレンス(198
5年)の第171頁に記載されているモディファイド・
ダイナミック・ドレナージ・テスターと同様の装置(直
径7. 5cmのジャーにパルプスラリーを注ぎ、800
rpmの撹拌下、マットを形成しないように下部から空
気を送り、撹拌及び送気を停止すると同時に濾過する構
造)を用いて、パルプスラリー500mlを100メッ
シュの金網にて濾過し、濾液50mlを採取し、620
nmにおける光透過率を測定した。ファーストパスリテン
ションのパラメーターとして、この光透過率を用いた。
この光透過率の値が高い程、濾液が透明であることを示
し、フィラー及び微細繊維の歩留りが高いことを示す。
【0091】・DDT試験方法 タッピジャーナル第56巻, 第10号(1973年)の
第46頁に記載されている「ダイナミック・ドレナージ
・ジャー」と同様な装置を用いて、パルプスラリー50
0mlを直径7. 5cmのジャーに注ぎ、800rpm
で撹拌しながら下部コックを開き、100メッシュの金
網にて濾過し、所定の濾液量になるまでの時間を測定し
た。DDTの試験結果は濾水性の評価に用いることがで
きる。時間が短いほど濾水性が良いことを示す。ここで
は、濾液量が100gになるまでの時間を測定した。
【0092】(比較例1)実施例1において、フェノー
ル系樹脂水溶液PFR1の代わりにフェノール系樹脂水
溶液PFR7を用いた以外は前記実施例1と同一条件で
パルプスラリーを調製し、抄紙を行った。RDDT試験
結果、DDT試験結果、及び紙中灰分の含有量を表3に
示す。
【0093】(比較例2)実施例1において、フェノー
ル系樹脂水溶液PFR1及びノニオン性ポリマーNP1
を用いないこと以外は前記実施例1と同一条件でパルプ
スラリーを調製し、抄紙を行った。RDDT試験結果、
DDT試験結果、及び紙中灰分の含有量を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】(実施例7〜8)実施例1において、ノニ
オン性ポリマーNP1の代わりにノニオン性ポリマーN
P2又はノニオン性ポリマーNP3を使用すること以外
は実施例1と同一条件でパルプスラリーを調製し、抄紙
を行った。RDDT試験結果、DDT試験結果、及び紙
中灰分の含有量を表4に示す。
【0096】(実施例9〜10)実施例5においてノニ
オン性ポリマーNP−1の代わりにノニオン性ポリマー
NP−2又はNP−3を使用した以外は実施例5と同一
の条件でパルプスラリーを調製し、抄紙を行った。測定
したRDDT試験結果、DDT試験結果、及び紙中灰分
の量を表4に示す。
【0097】
【表4】
【0098】(実施例11〜16)L−BKP(広葉樹
晒クラフトパルプ)とTMP(サーモメカニカルパル
プ)との比が8/2となるように混合し、2.4%パル
プスラリーとした。このパルプのカナディアン・スタン
ダード・フリーネスは290mlであった。得られたパ
ルプスラリー(パルプ乾燥重量100部)に対して、炭
酸カルシウム(タマパール121、奥多摩工業(株)
製)を20部、カチオン化澱粉(ケート3210、日本
NSC(株)製)を1部、硫酸バンドを1部、アルキル
ケテンダイマー系サイズ剤(AS263、日本PMC
(株)製)を0. 1部、フェノール系樹脂水溶液PFR
1〜PFR6を0. 02部それぞれ加え、パルプスラリ
ーを0. 5%に希釈した後に、ノニオン性ポリマーNP
1を0. 02部添加し、均一に分散させた。この時のパ
ルプスラリーのpHは8. 0であった。このパルプスラ
リーを用いてRDDT試験及びDDT試験を行い、又、
タッピ・スタンダード・シートマシンにて坪量65g/
2 となるように抄紙して、得られた湿紙を圧縮脱水
し、80℃で60秒乾燥させた。
【0099】得られた中性紙を相対湿度65%及び温度
20℃の条件下で24時間調湿し、紙中灰分を測定し
た。測定結果を表5に示す。
【0100】尚、上記中性紙は印刷筆記用紙、コート原
紙、PPC用紙、インクジェット用紙、情報用紙、書籍
用紙等の製造例に相当することがある。
【0101】(比較例3)実施例11においてフェノー
ル系樹脂水溶液PFR1の代わりにフェノール系樹脂水
溶液PFR7を用いた以外は実施例11と同一条件でパ
ルプスラリーを調製し、抄紙を行った。RDDT試験結
果、DDT試験結果、及び紙中灰分の測定結果を表5に
示す。
【0102】(比較例4)実施例11においてフェノー
ル系樹脂水溶液PFR1及びノニオン性ポリマーNP1
のいずれも用いなかった以外は実施例11と同一条件で
パルプスラリーを調製し、抄紙を行った。RDDT試験
結果、DDT試験結果、及び紙中灰分の測定結果を表5
に示す。
【0103】
【表5】
【0104】(実施例17〜22)実施例11〜16に
おいて使用するパルプ(LBKP/TMP=8/2)に
あらかじめ脱墨剤DI767(花王(株)製)を400
ppm添加した以外は実施例11〜16と同一条件でパ
ルプスラリーを調製し、抄紙を行った。RDDT試験結
果、DDT試験結果、及び紙中灰分の測定結果を表6に
示す。
【0105】(比較例5)実施例17においてフェノー
ル系樹脂水溶液PFR1の代わりにフェノール系樹脂水
溶液PFR7を用いた以外は実施例17と同一条件でパ
ルプスラリーを調製し、抄紙を行った。RDDT試験結
果、DDT試験結果、及び紙中灰分の測定結果を表6に
示す。
【0106】(比較例6)実施例17においてフェノー
ル系樹脂水溶液PFR1及びノニオン性ポリマーNP1
を用いなかった以外は実施例17と同一条件でパルプス
ラリーを調製し、抄紙を行った。RDDT試験結果、D
DT試験結果、紙中灰分の測定結果を表6に示す。
【0107】
【表6】
【0108】実施例1〜6と比較例1との比較、実施例
11〜16と比較例3との比較、及び実施例17〜22
と比較例5との比較から、この発明における製紙用樹脂
組成物はノニオン性ポリマーとを併用した場合に優れた
歩留り効果を与えることが判る。又、実施例11〜16
と実施例17〜22との比較、比較例3と比較例5との
比較、及び比較例4と比較例6との比較から、この発明
における製紙用樹脂組成物は脱墨剤の影響を受け難いこ
とが判る。
【0109】
【発明の効果】この発明によれば、ノニオン性ポリマー
と併用した場合に優れた歩留り効果と濾水性とを奏する
製紙用樹脂組成物が提供される。この発明によれば、前
記製紙用樹脂組成物とノニオン性ポリマーとを併用する
ことにより、歩留り効果と濾水性とに優れた製紙方法も
提供される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール芳香環におけるオルト置換と
    パラ置換の配向性比(o/p比)が2以上であるフェノ
    ール系樹脂を含有する水溶液であることを特徴とするノ
    ニオン性ポリマーと併用するための製紙用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 フェノール系樹脂を含む水溶液のpHが
    10〜14であることを特徴とする請求項1に記載の製
    紙用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のフェノール系樹
    脂がノボラック型であることを特徴とする製紙用樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフ
    ェノール系樹脂とアニオン性分散剤とを含有することを
    特徴とする製紙用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のアニオン性分散剤がナ
    フタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物である
    ことを特徴とする製紙用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製
    紙用樹脂組成物とノニオン性ポリマーとを併用すること
    を特徴とする製紙方法。
  7. 【請求項7】 ノニオン性ポリマーがポリエチレンオキ
    サイド、ポリアクリルアミド、及び(ポリ)オキシエチ
    レン基を含むビニルモノマー類とアクリルアミド類との
    重合物よりなる群から選択される少なくとも1種であ
    る、前記請求項6に記載の製紙方法。
  8. 【請求項8】 機械パルプを使用することを特徴とする
    前記請求項6又は7に記載の製紙方法。
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