JPH11334612A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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Publication number
JPH11334612A
JPH11334612A JP14405598A JP14405598A JPH11334612A JP H11334612 A JPH11334612 A JP H11334612A JP 14405598 A JP14405598 A JP 14405598A JP 14405598 A JP14405598 A JP 14405598A JP H11334612 A JPH11334612 A JP H11334612A
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JP
Japan
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seal
ball screw
rack shaft
screw nut
ball
Prior art date
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Application number
JP14405598A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Fukuda
利博 福田
Tetsuya Takezaki
哲也 竹崎
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤから伝わる振動により生じるボールと
ラック軸等との衝突による打音を防止する。 【解決手段】 弾性材料で多孔質の樹脂に潤滑剤を含浸
したシールをボールスクリューナットの外ねじ溝に係合
できるような形状にし、ラック軸とボールスクリューナ
ットの間に二つのシールを挟みシールを挟んだ部分の隙
間をなくし、シールからボールスクリューナットへの接
圧を一定にするようにシールの外周にリテーナを組み付
ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用の電動パワー
ステアリング装置に関し、さらに詳しくは、操舵軸の外
溝とボールスクリューナットの間にシールを設けた電動
パワーステアリング装置の改良に関し、特に、ボールと
ボールスクリューナット等との衝突による打音を防止す
る電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のボールスクリュー式電動パワース
テアリングにおいて、操舵の戻り作動を良好にしようと
する場合、ボールスクリューナットの回転トルクを可能
な限り小さく抑える必要があり、この目的を達成するた
めボールスクリューナットとスクリュー部との間に形成
される溝部に組み込まれた複数のボールが若干の隙間を
もって転動するように隙間調整されている。このように
隙間を設けるのはボールスクリューの作動トルクが過大
になるのを防止するためである。
【0003】しかし、実車においては車両走行に伴い路
面の凹凸などによりタイヤ、タイロッド及びボールジョ
イントを経由して操舵軸即ちラック軸が加振されるが、
ボールスクリュー部に隙間があるためボールとナットも
しくは操舵軸の転走面と衝突し、これにより打音を発生
し運転者に不快感を与える場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】請求項1及び請求項2
記載の発明はボールスクリューナットと操舵軸の間の隙
間に部材を備える構造とし、隙間の存在により発生する
打音を減少させることを目的とし、請求項3記載の発明
はさらにボールスクリューナットに封入する潤滑剤を減
らし、高温時の摩耗発生の予防を目的とし、請求項4記
載の発明は部材及び操舵軸の磨耗による接圧の低下の防
止を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明はボ
ールスクリューナットと操舵軸の外溝との間の隙間に部
材を挿入することにより隙間をなくすという構造であ
る。ここで部材としてはボールスクリューナットと操舵
軸の外溝との間の隙間の一部または全部を埋めることが
できる全てのものをいう。ボールスクリュー式電動式パ
ワーステアリングにおいては、特に部材としてシールが
該当する。本発明の構成はボールスクリューナットと操
舵軸であるラック軸の両端部の一部にシールを挿入し、
ボールスクリューナットとラック軸の外ねじ溝の間に挟
むというものである。ボールスクリューナットとラック
軸の外ねじ溝の間の一部にシールを内ねじ溝と外ねじ溝
に隙間を形成することなく設けラック軸に外力が作用し
てラック軸が振動しても、その振動をシールが弾性的に
変形することにより吸収できる構造としたものである。
但し、本発明は隙間で生じる打音を防止することを目的
とするものであるため、必ずしもボールスクリューナッ
トと操舵軸の外溝の隙間を埋めるということに限らな
い。従って、ボールスクリューナット支持部材の内周と
操舵軸の外周の隙間を埋める構造であってもよい。ここ
でボールスクリューナット支持部材とはボールスクリュ
ーナットを支持或いは位置決めする全ての部材をいい、
例えばスリーブ等が該当する。
【0006】具体的には、請求項1記載の発明は、操舵
軸の外周において螺旋状に形成された外溝と、該外溝に
対向するようにして内溝を内周に形成したボールスクリ
ューナットと、前記外溝と前記内溝とで形成する転動路
内に転動自在に配置された複数のボールと、前記操舵軸
の外周と該外溝に対向するボールスクリューナット或い
はボールスクリューナット支持部材の内周とで形成され
る隙間とからなるボールスクリュー機構を備えた電動パ
ワーステアリング装置において、前記隙間の相対的変位
である前記隙間量の増減に対し、該相対的変位に対応し
て弾性的に変形又は摩擦力を発生する部材をボールスク
リュー機構に備えたことを特徴とする電動パワーステア
リング装置を提供するものである。シールはそのように
ラック軸のランダムな変位に対し、弾性的に変形あるい
はラック軸及びボールスクリューナットと擦り合い摩擦
力を発生するという対応をとることによりタイヤからの
振動エネルギーを吸収するというものである。結果的に
は、ボールの運動エネルギーを散逸しボールがラック軸
又はボールスクリューナットと衝突する際の打音を小さ
くすることが可能となる。
【0007】請求項2記載の発明はシールの操舵軸側の
形状を操舵軸の外溝とほぼ同一の形状にし、シール摺動
面を外溝である外ねじ溝に係合させ、さらにシールと外
ねじ溝の隙間をなくす構造である。電動パワーステアリ
ング装置においては、ボールスクリューナットの両端に
弾性材料、例えば成形容易な樹脂製のシールを装備し、
しかもこのシールがラック軸に接しているので、操舵軸
が加振された状況では、ボールが一方の転動路から他方
の転動路に接触移行する間に、シールの変形、摩擦力に
より運動エネルギーが散逸され、ボールが衝突する直前
の運動エネルギーを小さくすることができる。それ故、
ボールがボールスクリューナットあるいは操舵軸と衝突
するときに発生する打音をさらに小さくすることが可能
となる。具体的には、請求項2記載の発明は前記操舵軸
の外周の外溝と略相似形状で、シールの摺動面が前記操
舵軸に接触し、弾性材料よりなるシールを備えたことを
特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置
を提供するものである。
【0008】請求項3記載の発明は自己潤滑作用を有す
るものをシールの材料として使用すること示すものであ
る。例えば多孔質の樹脂に潤滑剤を含浸した構造のもの
をシールとして使用することで目的を達する。このよう
な材料のシールを使用することによってボールスクリュ
ーナット内に封入する潤滑剤を少なくしたり、潤滑剤の
封入を不要にすることができる。さらにシールとラック
軸との接触部で摩擦力を低下させることを可能にし、シ
ール部がモータの発熱やエンジンルーム雰囲気温度によ
りシール部が高温となりシール体積が膨張した状態での
摩擦の増大を予防する。具体的には、請求項3記載の発
明は自己潤滑性を有する材料から形成されるシールを備
えたことを特徴とする請求項2記載の電動パワーステア
リング装置を提供するものである。
【0009】請求項4記載の発明はリテーナを用いてシ
ールの軸への押圧(接圧)を所用の一定圧にするもので
ある。このリテーナによりシールとラック軸の係合によ
る耐久的摩耗による押圧(接圧)の低下を防止する。リ
テーナは弾性材料からなり特に形状は限定されない。シ
ールの半径方向内方に緊迫力を与える、例えばガーター
スプリングをリテーナとすることも可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
の構成を図面を基づき説明する。図1は本発明の電動パ
ワーステアリングと従来の電動パワーステアリングの軸
に作用する外力−ナット対軸の相対変位の比較を示す線
図である。図2は本発明の電動パワーステアリング装置
の軸線方向の一部断面図である。図3は本発明の電動パ
ワーステアリングのボールスクリュー部の部分拡大図で
ある。図4はシール単体の図である。図5はリテーナの
平面図である。図6は本発明の他の電動パワーステアリ
ング装置の軸線方向の一部断面図である。
【0011】図2では電動機8の回転力をラック軸4と
同軸のボールスクリューナット10に伝達し、電動機8
の回転力をラック軸4の軸方向に変換してステアリング
操舵力の補助を行う電動パワーステアリングを示してい
る。図2において、ハウジング1は、ブラケット2、3
により図示しない車体に固定されている。ハウジング1
内を操舵軸であるラック軸4が挿通され、ラック軸4は
その両端において、タイロッド5、6に連結されてい
る。さらにタイロッド5、6は図示しない操舵機構に連
結されている。ブラケット3の右方において、ハウジン
グ1から斜め上方に延在するようにステアリング軸7が
設けられている。ステアリング軸7は、その上方端を図
示しない中間軸を介してステアリングホイール(不図
示)に連結するように構成され、一方その下方端にピニ
オン(不図示)を形成している。ピニオン(不図示)
は、ハウジング1内でラック軸4に噛合している。な
お、このラックとピニオンとでピニオン軸の回転をラッ
ク軸の直線運動に換える変換機構を構成する。従って、
ステアリングホイールを回転させると、その回転角度に
応じてラック軸4が図中左右に移動することができる。
【0012】ハウジング1内の構成について詳述する。
ハウジング1は円管形状のチューブ1aと、チューブ1
aの右端を閉止する基部1bとを互いに固定して形成さ
れている。チューブ1a内には円管状の固定子8aが固
定されており、また固定子8aの一部を巻回する複数の
セグメントからなるコイル8bが設けられている。固定
子8aの内側には同様に厚肉円管状の永久磁石である回
転子8cが、細長い薄肉円管状のスリーブ9の回りに一
体的に回転するように取り付けられている。固定子8a
とコイル8bと回転子8cとスリーブ9とでブラシレス
タイプの電動機8を形成している。スリーブ9の外周で
あって、回転子8cと軸受11との間には位相検知用の
磁石16が取り付けられている。この磁石16は永久磁
石8cの極性を検知するため、永久磁石の極性とある相
関関係を有するように設置されている。この極性位相
は、磁石16に隣接して配置された電気基板17に取り
付けられたホール素子(不図示)により検知され、かか
る極性位相を示す電気信号が制御回路(不図示)へと出
力されるようになっている。制御回路は、回転方向に分
割された各コイル8bのセグメントに順次電流を供給配
分し、その結果、電動機8は所定の回転出力を発生し、
回転子8cを駆動制御することができる。
【0013】スリーブ9の右方端部近傍には、鍔部9a
が形成されており、軸受11の内輪の左端が当接してい
る。スリーブ9の右方端は、軸受11によりハウジング
1の基部1bに対して回転自在に支持されている。アン
ギュラコンタクトタイプ(又はラジアル軸受)である軸
受11は、外輪、内輪及び両輪間のボールとから形成さ
れている。
【0014】スリーブの左方端は、略円管状のボールス
クリューナット10の右方端に形成された拡径部10a
に圧入嵌合している。ボールスクリューナット10は内
側に螺旋状の内ねじ溝10bを有し、ラック軸4は螺旋
状の外ねじ溝4aを有し、内溝ねじ10bと外ねじ溝4
aでボール12の転動路21を形成し、該転動路21内
に複数のボール12を収容している。ボール12はボー
ルスクリューナット10とラック軸4が相対回転する際
に生じる摩擦力を軽減し、ラック軸4の左右方向の移動
を容易にするものである。なお、ボールスクリューナッ
ト10は、その内部に循環路(不図示)を有しボールス
クリューナット10の回転時に該循環路を介してボール
12は循環可能となっている。
【0015】ボールスクリューナット10の左方端は、
軸受13によりハウジング1のチューブ1aに対して回
転自在に支持されている。軸受13は外輪、内輪及び両
輪間のボールとから形成される軸受11と同じアンギュ
ラコンタクトタイプの軸受(またはラジアル軸受)であ
る。軸受13の内輪右方端は、ボールスクリューナット
10の左端に形成された段部10cに当接している。す
なわち、軸受11の内輪と軸受13の内輪の間にスリー
ブ9とボールスクリューナット10を配置し、互いに接
近する方向の相対移動を禁止している。
【0016】軸受13の外輪は、予圧手段である押圧部
材14の内方端部に当接している。押圧部材14は略円
管状の部材であってその外周に雄ねじが形成され、該雄
ねじはチューブ1aの左方端に形成された雌ねじに噛合
している。すなわち、押圧部材14をねじで噛合するこ
とにより、軸受13の外輪は図中右方に押されるように
なっている。押圧部材14の抜け防止のため、固定ねじ
環15がチューブ1aの左端外周に螺合して取付られて
いる。
【0017】この電動パワーステアリング装置の組立時
に、押圧部材14は軸受13の外輪に予圧を印加するた
め、この力は軸受13のボール、内輪、ボールスクリュ
ーナット10、スリーブ9、軸受11の内輪、ボール及
び外輪を介して伝達され、一方軸受11は基部1bより
反力を受ける。すなわち、この予圧により、軸受11、
13において、軸受のボールを外輪及び内輪で互いに反
対方向に押圧して軸受内部の隙間であるガタを排除して
いる。なお、この予圧は、スリーブ9とボールスクリュ
ーナット10との間での離隔を防止する方向に働くか
ら、スリーブ9からの抜けを防止できる。すなわち、ス
リーブ9とボールスクリューナット10との間に抜け対
策としてカシメ結合等を行う必要がなく、これらの間の
圧縮方向の力及び回転方向の力に耐え得るように設計す
れば足りる。
【0018】図3に示すように、ボールスクリューナッ
ト10は左端内周にシール取付用段部10dと右端の拡
径部10aに隣接してシール取付用段部10eとを形成
している。シール取付段部10d、10eの上下にはシ
ール取付用の上方孔10f、10gと下方孔10h、1
0iがそれぞれ形成されている。シール取付用段部10
d、10e内には、2つのシール19の上方突起19
a、19eを上方孔10f、10gへ組み込まれてお
り、下方突起19b、19dを下方孔10h、10iに
組み込まれている。
【0019】図4に示すように、シール19はリング状
であって、その内周はラック軸4の外ねじ溝4aに係合
するねじ溝の形状となっている。図4(2)のシールの
右方正面図に示すようにシール19の上端には半径方向
外方に突出する上方突起19aを形成し、一方、その下
端にも半径方向外方に突出する下方突起19bを形成し
ている。さらに図4(1)のシールの部分側面図に示す
ようにシール19の側面のほぼ半分長さの切り込みであ
るすりわり溝19gを設けてある。このすりわり溝は図
4(2)に示すようにシール19の右方正面に六箇所設
けてある。このすりわり溝19gを設けることによりシ
ール19をボールスクリューナット10とラック軸4と
の間への組み込みの際に、ボールスクリューナット10
の上下方向からの押圧によりシール19が左右方向へ膨
らみ変形した場合にでも、すりわり溝19gがボールス
クリューナット10からの押圧により撓み、シール19
が外ねじ溝4aに係合する。またシール19がボールス
クリューナット10及びラック軸4へ組み込まれた後で
もボールスクリューナット10の押圧が加わっており、
この場合でもすりわり溝19gが撓みシール19が外ね
じ溝4aに係合する。このようにすりわり溝19gはシ
ール19のラック軸4への係合を確実なものにする。
【0020】上方突起19a、19e及び上方孔10
g、10fの幅より下方突起19b、19f及び下方孔
10i、10hの幅を大きくしたりして、一方の幅を他
方の幅より大きくすることも可能である。上方突起19
a、19eが上方孔10g、10fに適合する形状で、
下方突起19bが下方孔10h、10iに適合する形状
とすれば、下方突起19bは開口形状の小さい上方孔1
0f、10gに係合することができずシールの誤組防止
を図ることができる。
【0021】また図4(5)のシールの下面図に示すよ
うに上方突起19a、19e及び下方突起19b、19
fの形状は円柱状である。ただし、形状はこれに特に限
定されるものではなく多角もしくは楕円柱等の形状とす
ることも可能である。本例においては、成形の容易さを
考慮して円柱状の形状としたものである。
【0022】さらに図4(4)のシールの左方正面図に
示すようにシール19は上方突起19aの下方におい
て、袋孔状スリット19cを形成し、一方、下方突起1
9bの上方において、同様に袋孔状スリット19dを形
成している。袋孔状スリット19c及び袋穴状スリット
19dは各突起の幅よりも長く周方向に延在している。
また袋孔状スリット19c及び袋孔状スリット19dは
上方突起19a、19e及び下方突起19b、19fが
半径方向内方に向かう力を付与されたときは、上方突起
19a、19e及び下方突起19b、19fの形状を変
形させないように袋孔状スリット19c、19dが撓む
ことができる。さらに上方突起19a及び下方突起19
bが前記孔に係合した状態でシールの内周部が軸線方向
に向かう力を付与されたときは、前記軸線方向の力によ
り生じた応力の伝達を制限し、それにより上方突起19
a及び下方突起19bの変位を抑止するようになってい
る制御手段を構成する。
【0023】図4(3)のシールの側方断面図にはリテ
ーナ20が組み付けられるシール19の外周に設けられ
た凹部19hが示してある。リテーナ20の形状につい
ては特に限定する必要はないが細いリング状のものを本
例では使用している。シール19への組み付けの際にリ
テーナ20を拡げられるようにリテーナ20の下方には
スキマ20aが設けられている。本例では一本のリテー
ナ20しか使用していないが2本以上の複数本のリテー
ナ20を用いることもできる。その場合はシール19の
外周にリテーナ20が組み付けられるための凹部20a
を複数設けることになる。図4(3)に示すようにシー
ル19の摺動面は外ねじ溝4aと係合できるねじ溝の形
状をなしている。このようにねじ溝の形状をなすことに
より外ねじ溝4aと隙間なく係合することが可能とな
る。シール19の摺動面のねじ溝の長さは本例に示す2
リード長でもよくそれよりも長くてもよい。基本的には
シール19とボールスクリューナット10が安定した状
態で係合できればよいため1リード長でもよい。本例に
おいては一方のシール19をラック軸4の端部近傍のシ
ール取付段部10f内に設置してあり、他方のシール1
9をスリーブ9の端部の隣であるシール取付用段部10
e内に設置してある。ただし、シール19の設置位置も
これに限定されるものではなく、図6に示すように他方
のシール19をスリーブ9内に設置することもできる。
【0024】さらにリテーナ20による摺動面19iと
外ねじ溝4aの係合により摺動面19iと外ねじ溝4a
のラビリンス部では、ラック軸4が回転中は摺動面19
iが外ねじ溝4aの部分の潤滑剤をさらい潤滑剤を二つ
のシール19の間の転動路21内に留め、ラック軸の回
転により循環する。また本例ではシール材料として多孔
質の樹脂に潤滑剤を含浸した自己潤滑作用を持つ材料を
用いているためナット内部に潤滑剤を注入するメンテナ
ンスを省ける。この潤滑剤により従来隙間をなくすこと
により生じていた作動トルクが過大になるという問題点
も生じることもなくラック軸を円滑に回転させることが
できる。またシール19はラビリンス形状であるが故、
ゴミ侵入を防止できる。従って、これら二つのシール1
9はダストシールとしての効果もある。
【0025】次に図面に基づき本発明の実施の形態の動
作を説明する。図2において車輪が直進状態にありステ
アリングホイールからラック軸4へ回転力が入力されて
いないため、制御回路は電動機8を回転駆動しない。従
って、この電動パワーステアリング装置は補助操舵力を
出力しない状態にある。
【0026】一方、車輌がカーブを曲がろうとする場合
には、ステアリングホイールが操舵されて操舵力がラッ
ク軸4へ伝達されるため、回転子8cは、別設トルクセ
ンサー(不図示)から制御装置(不図示)に入力された
トルク信号に基づく指令電流に従ってスリーブ9と共に
回転し、ボールスクリューナット10が回転する。ボー
ルスクリューナット10の回転は、内ねじ溝10bから
ボール12を介して外ねじ溝4aに伝わる。そのとき一
連のボール12は内ねじ溝10b、外ねじ溝4aとで構
成される転動路21内をこれらの内ねじ溝10b及び外
ねじ溝4aから押圧されつつ転動する。さらにボール1
2はボールスクリューナット10に設けられた図示して
いないコマ若しくはチューブ(循環路)を通って内ねじ
溝10b及び外ねじ溝4aへと循環する。それによりス
テアリングラックであるラック軸4を直線運動に変換
し、ラック軸4を左もしくは右方向に移動させて補助操
舵力を発生し車輌車輪を操舵する。
【0027】路面の凹凸によりタイヤ(不図示)、タイ
ロッド5、6を経由してラック軸4が加振され軸線方向
に外力が加わるとシール19がラック軸4の摺道摩擦等
により変形するが、袋孔状スリット19c、19dはシ
ール19の内周部から外周部への応力の伝達を制限し
て、突起19a及び19bが変形することを抑止する。
このため、突起19a及び19bは上方孔10f及び下
方孔10hに係合した状態を維持する。従って、シール
19はかかる外力が生じてもボールスクリューナット1
0から脱落しない。また、このようにラック軸4が加振
された状況では、ボールが一方の転走面から他方の転走
面に接触しながら移行する間にシールの変形荷重、摩擦
力により運動エネルギーが散逸され、ボールが転走面に
衝突する直前の運動エネルギーを少なくできボールが衝
突時に発生する打音を小さくする。またリテーナ20が
シール19外周の凹部19hに組み付けられているた
め、シール19におけるラック軸4の回転による耐久的
摩耗による接圧の低下を防止し、ラック軸4がシール1
9の中で摺道回転中にシール19からラック軸4へ一定
の接圧が加わる。このリテーナ20も一定の接圧を補償
することによってボールの運動エネルギーの散逸を確保
しボールの衝突エネルギーを小さくすることに寄与す
る。
【0028】本発明のシール構造を電動パワーステアリ
ング装置に採用することにより、図1に示すように、従
来の電動パワーステアリングにシールの変形抵抗、摩擦
力により金属接触領域のまわりに運動エネルギーを散逸
する散逸エネルギー領域が形成されている。従って、従
来の電動パワーステアリング装置では路面の凹凸等がラ
ック軸4に振動となって伝わり金属接触するボール12
がボールスクリューナット10及びラック軸4に衝突し
て打音を生じていた。しかし本発明を採用した電動パワ
ーステアリング装置では路面の凹凸等によりラック軸4
に伝わる振動をシール19が弾性的に変形することによ
り吸収するため、ボール12がボールスクリューナット
10及びラック軸4に衝突して打音を生じることはない
ため、運転者の不快感を除去できる。このようにラック
軸4に伝わる振動をシール19で吸収するため、本来、
ラック軸4、ボール12及びボールスクリューナット1
0、最終的にはハンドルまで伝わる振動をなくすことが
可能となる。
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の発明によればラック軸が
振動しても、その振動をラック軸とボールスクリューナ
ットの間に設けられたシールにより吸収しボールとラッ
ク軸等の衝突による打音を防止し、振動の他への伝達を
防止する。
【0030】請求項2記載の発明によればシールの摺動
面をラック軸の外ねじ溝と係合する形状にしシールと外
ねじ溝との接触面積を大きくし、振動を吸収しやすい材
料を用いラック軸に伝わる振動をより十分に吸収すると
共に、外部からの塵等の侵入を排除し、シール部からの
潤滑剤の漏れ防止にも寄与する。
【0031】請求項3記載の発明によればラック軸への
潤滑剤の注入を不要とし、シール部が高温となりシール
体積が膨張した状態での摩擦の増大を防止することによ
り、ボールスクリュー部における過大トルクの発生を抑
止する。またシール部材がラビリンス形状であるため外
部からの塵等の浸入を排除すると共にシールからの潤滑
剤の漏れを防止する。
【0032】請求項4記載の発明によればシールとラッ
ク軸の係合による耐久的摩耗による押圧(接圧)の低下
を防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の電動パワーステアリングと従来
の電動パワーステアリングの軸に作用する外力−ナット
対軸の相対変位の比較を示す線図である。
【図2】図2は本発明の電動パワーステアリング装置の
軸線方向の一部断面図である。
【図3】図3は本発明の電動パワーステアリングのボー
ルスクリュー部の部分拡大図である。
【図4】図4(1)はシールの部分側面図である。図4
(2)はシールの右方正面図である。図4(3)はシー
ルの側方断面図である。図4(4)はシールの左方正面
図である。図4(5)のシールの下面図である。
【図5】図5はリテーナの平面図である。
【図6】図6は本発明の他の電動パワーステアリング装
置の軸線方向の一部断面図である。
【符号の説明】
4 ラック軸 4a 外ねじ溝 10 ボールスクリューナット 10b 内ねじ溝 10g、10f 上方孔 10h、10i 下方孔 12 ボール 19 シール 19a、19e 上方突起 19b、19f 下方突起 19c、19d 袋孔状スリット 20 リテーナ 21 転動路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵軸の外周において螺旋状に形成され
    た外溝と、該外溝に対向するようにして内溝を内周に形
    成したボールスクリューナットと、前記外溝と前記内溝
    とで形成する転動路内に転動自在に配置された複数のボ
    ールと、前記操舵軸の外周と該外溝に対向するボールス
    クリューナット或いはボールスクリューナット支持部材
    の内周とで形成される隙間とからなるボールスクリュー
    機構を備えた電動パワーステアリング装置において、前
    記隙間の相対的変位に対し、該相対的変位に対応して弾
    性的に変形又は摩擦力を発生する部材をボールスクリュ
    ー機構に備えたことを特徴とする電動パワーステアリン
    グ装置。
  2. 【請求項2】 前記操舵軸の外周の外溝と略相似形状
    で、部材の摺動面が前記操舵軸に接触し、弾性材料より
    なる部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動
    パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 自己潤滑性を有する材料から形成される
    部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動パワ
    ーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 前記操舵軸への部材の押圧を調整する弾
    性材料からなるリテーナを装備していることを特徴とす
    る請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100392657B1 (ko) * 1999-11-23 2003-07-23 주식회사 만도 자동차용 전동 이피에스의 볼너트부 실링구조
KR100392656B1 (ko) * 1999-11-23 2003-07-23 주식회사 만도 자동차용 전동 이피에스의 볼너트부 실링구조
KR100393114B1 (ko) * 1999-11-23 2003-07-31 주식회사 만도 자동차용 전동 이피에스의 볼너트부 실링구조
JP2010125983A (ja) * 2008-11-27 2010-06-10 Jtekt Corp 電動パワーステアリング装置

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