JPH11334094A - インクジェット記録ヘッドの回復方法および回復装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク滴を吐出して記録するインクジェット
記録ヘッドのノズルの状態が記録品位に大きく影響する
もので、印字中に気泡等で不吐が発生したり、印字ヘッ
ドやインク供給路に気泡が残存したり、長期放置や環境
変化、運送中に起るインクの自然蒸発等に起因してノズ
ル内のインクが増粘し、固着する。 【解決手段】 インクジェット記録ヘッドのノズル部分
を覆うようキャップ部材を密着させ、加圧手段によりイ
ンクジェット記録ヘッドのノズルからインクを押し出す
と共に、キャップ部材に排出されたインクをキャップ部
材とインクタンクを接続する吸引手段によって回収し、
インク吸引動作中、加圧動作の際にキャップ部材に密着
されたインクジェット記録ヘッドをキャップ部材から離
すようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ノズルからインク
滴を吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録
ヘッドの回復方法および回復装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】今日、記録装置として種々の記録方法が
開発されているが、その中でもインクジェット記録方式
は、記録媒体に対して非接触であるために静粛性および
記録高速性に優れ、かつ高密度記録が可能で、カラー化
および小型化が容易であることから広く用いられてい
る。

【０００３】しかしながら、このようなインクジェット
記録方式は、インクジェット記録ヘッドのノズルからイ
ンク滴を吐出して記録するために、ノズルの状態が記録
品位に大きく影響するものである。例えば、印字中に、
気泡等で不吐が発生すると、加圧等の手段によって印字
ヘッドおよびインク供給路に気泡が残存しないような回
復方法が必要である。また、長期放置の環境変化や、運
送中に起こり得るインクの自然蒸発に起因するノズル内
のインクの増粘や、固着を防ぐために、密封性の高いキ
ャッピング手段等を設けることを欠かすことができな
い。特に、近年、インクジェット記録方式における記録
の高精細化の市場要望につれて、急速に進んでいる記録
ヘッドノズルの高密度化においても、こうした要求が一
層高まっている。

【０００４】インクジェット記録装置において、インク
ジェット記録ヘッドとキャップ部材の構成に就いて説明
するに、図１に示されるインクジェット記録装置のイン
ク供給装置において、インク流路は、複数個のノズル１
０が設けられたインクジェット記録ヘッド１と、インク
ジェット記録ヘッド１に対向して設けられたキャップ手
段２と、エアバッファタンク５を有するインクタンク４
と、カートリッジ６と、吸引ポンプ７と、加圧ポンプ８
とから主に形成されている。インクジェット記録ヘッド
１は複数個のインク吐出口であるノズル１０を有し、ま
た、キャップ手段２はゴムのような弾性材料から作られ
てインクジェット記録ヘッド１に対向し、かつ密着され
るためのキャップ部材３から構成されている。

【０００５】インクジェット記録ヘッド１とインクタン
ク４は、フィルター１２が設けられたチューブ１１によ
り接続されており、キャップ手段２のキャップ部材３と
インクタンク４は、フィルター１５と一方向弁１６が設
けられたチューブ１４によって接続されている。

【０００６】エアバッファタンク５とカートリッジ６を
接続するチューブ１８には一方向弁１９が設けられ、イ
ンクタンク４とカートリッジ６を接続するチューブ２０
には遮断弁２１が設けられている。また、インクジェッ
ト記録ヘッド１とインクタンク４のエアバッファタンク
５とを接続する加圧用チューブ２２にはフィルター２３
と一方向弁２４とが設けられており、加圧流路を形成し
ている。

【０００７】このようなインク流路において、加圧ポン
プ８は、反時計方向に回転する時に、カートリッジ６か
らチューブ１８により一方向弁１９を介してエアバッフ
ァタンク５にインクを供給し、また、加圧用チューブ２
２により一方向弁２４とフィルター２３を介してインク
ジェット記録ヘッド１にインクを供給する。

【０００８】従って、図１に示されるように、インクジ
ェット記録ヘッド１は、加圧流路であるチューブ２２に
よりインクタンク４のエアバッファタンク５と接続され
ると共に、リターン側流路であるチューブ１１によって
インクタンク４に接続されている。リサイクル流路であ
るチューブ１４は、キャップ手段２をリサイクルポンプ
である吸引ポンプ７を介してインクタンク４に接続して
いる。また、インクタンク４からエアバッファタンク５
にインクを供給するために、インクタンク４とエアバッ
ファタンク５を接続するチューブ１７に加圧ポンプ８が
設けられている。なお、このようなインク流路におい
て、各チューブは金属パイプまたはプラスチックチュー
ブ等の適宜な配管部材から作られるものである。

【０００９】このようなインク流路を有するインクジェ
ット記録装置において、インクが消費されて所定量以下
になった場合に、加圧ポンプ８が反時計方向に回転され
ると、エアバッファタンク５が負圧となってカートリッ
ジ６からインクがインクタンク４に満たされる。

【００１０】また、インクジェット記録ヘッド１にイン
クを充填する場合には、キャップ部材３がインクジェッ
ト記録ヘッド１のノズル１０を覆うよう気密に密着され
る。加圧ポンプ８が作動されて時計方向に回転される時
に、インクがインクタンク４から押し出されてチューブ
２２を通りフィルター２３を経てインクジェット記録ヘ
ッド１のノズル１０に満たされ、更に、チューブ１１を
通ってインクタンク４に戻される。インクジェット記録
ヘッド１のノズル１０からキャップ部材３に排出された
インクは一旦キャップ部材３に受けられ、インク吸引ポ
ンプ７の時計方向の回転によってインクタンク４に回収
される。

【００１１】一方、キャップ部材３を有するキャップ手
段２においては、図２（Ａ）に示されるように、印字の
終了後に、キャップ手段２がインクジェット記録ヘッド
１の真下に移動されてキャップ部材３がインクジェット
記録ヘッド１に当接されてキャッピングすることによっ
て、ノズル１０が外部空気と遮断され、自然蒸発に起因
するノズル１０内のインク増粘や固着を防止することが
できる。

【００１２】しかし、同じ位置で行われる上述の吸引ポ
ンプ７の作動中では、吸引ポンプ７の時計方向の回転に
よってインクジェット記録ヘッド１とキャップ部材３と
の間に負圧の密閉空間が形成されてしまい、この負圧に
よって図３（Ｂ）に示されるようにインクジェット記録
ヘッド１のノズル１０内のインクが落ちて、インクジェ
ット記録ヘッド１とインクタンク４の液面の水頭差およ
び液体の表面張力によって形成される図３（Ａ）に示さ
れるような吐出に適正なメニスカスが破られてしまい、
図３（Ｂ）に示されるようにインクが落ちて、落ちたイ
ンクがインクジェット記録ヘッド１のインク吐出口面１
ａに付着してノズル１０が塞がれて不吐になってしま
う。

【００１３】従って、従来においては上述の問題を解決
するために、キャップ部材に孔を穿けて外部大気と連通
させる機械的な対応をしている。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、キャップ部材の本来の目的である密
閉性が低下する他、回復動作中、プリンタ本体の傾きに
よってキャップ部材内のインクが溢れてくる恐れがあ
る。

【００１５】本発明の目的は、このような従来における
問題を解決するために、キャップ部材本来の機能を損な
うことなく、キャップ部材内のインクを回収するための
吸引ポンプの作動による上述の弊害をなくすようにした
インクジェット記録ヘッドの回復方法および回復装置を
提供することにある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】従って、上述の目的を達
成するために、本発明に依るインクジェット記録ヘッド
の回復方法は、インクジェット記録ヘッドのインク吐出
口面を覆うようにインクジェット記録ヘッドにキャップ
手段を密着させ、加圧手段によりインクジェット記録ヘ
ッドのインク吐出口からインクを押し出すと共に、キャ
ップ手段に排出されたインクをキャップ手段とインクタ
ンクを接続する吸引手段によって回収するインクジェッ
ト記録ヘッドの回復方法であって、該吸引手段による前
記インク吸引動作中、前記加圧動作の際にキャップ手段
に密着されたインクジェット記録ヘッドをキャップ手段
から離すことを特徴とする。

【００１７】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
の回復方法は、前記インクジェット記録ヘッドのインク
吐出口面から押し出されてインク吐出口面に付着したイ
ンクがキャップ手段のブレード部材によって払拭される
ことを特徴とする。

【００１８】更に、本発明のインクジェット記録ヘッド
の回復方法は、前記インクジェット記録ヘッドのインク
吐出口から排出されたインクを前記キャップ手段のキャ
ップ部材内に導くことを特徴とする。

【００１９】更にまた、本発明のインクジェット記録ヘ
ッドの回復方法は、前記インクジェット記録ヘッドのイ
ンク吐出口面に対して下方からキャップ手段が密着され
ることを特徴とする。

【００２０】本発明のインクジェット記録ヘッドの回復
方法は、前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口
面から下方に向かってキャップ手段が離されることを特
徴とする。

【００２１】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
の回復装置は、インクジェット記録ヘッドのインク吐出
口面を覆うキャップ手段と、前記インクジェット記録ヘ
ッドのインク吐出口からインクを押し出して前記キャッ
プ手段に排出させる加圧手段と、前記キャップ手段に排
出されたインクを吸引して回収する吸引手段と、インク
を保有するインクタンクとを有し、前記インクジェット
記録ヘッドのインク吐出口面に付着したインクを回収し
て前記インクタンクに戻して再利用することを特徴とす
る。

【００２２】更に、本発明のインクジェット記録ヘッド
の回復装置は、前記キャップ手段に前記インク吐出口面
に付着したインクを払拭するブレード部材が設けられた
ことを特徴とする。

【００２３】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
の回復装置は、前記キャップ手段に、前記インク吐出口
から排出されたインクを前記キャップ部材内に導くイン
クガイドが設けられたことをことを特徴とする。

【００２４】本発明の他の目的と特徴および利点は以下
の添付図面に沿っての詳細な説明によって明らかになろ
う。

【００２５】

【発明の実施の形態】図１は本発明のインクジェット記
録ヘッドの回復方法が適用されるためのインク供給装置
の回路図で、図２（Ａ）、（Ｂ）はインクジェット記録
ヘッド１とキャップ手段２の構成の詳細を夫々示す図で
ある。

【００２６】図１に示されるように、本発明におけるイ
ンクジェット記録ヘッドの回復方法を実施するための回
復装置は、インクジェット記録ヘッド１のインク吐出口
面１ａを覆うキャップ手段２と、インクジェット記録ヘ
ッド１のインク吐出口１ａからインクを押し出してキャ
ップ手段２に排出させる加圧手段と、キャップ手段２に
排出されたインクを吸引して回収する吸引手段と、イン
クを保有するインクタンク４とを有している。

【００２７】すなわち、本発明のこのような回復装置に
おけるインク流路は、インクジェット記録ヘッド１と、
キャップ部材３を有するキャップ手段２と、エアバッフ
ァタンク５を有するインクタンク４と、カートリッジ６
と、キャップ手段２とインクタンク４の間に設けられた
吸引ポンプ７と、インクタンク４とエアバッファタンク
５の間に設けられた加圧ポンプ８とから形成され、吸引
手段は吸引ポンプ７とチューブ１４とを有し、加圧手段
は加圧ポンプ８とチューブ２２とを有している。

【００２８】インクジェット記録ヘッド１とインクタン
ク４とを接続するチューブ１１にはフィルター１２が設
けられている。また、吸引手段において、キャップ手段
２のキャップ部材３とインクタンク４とを接続し、かつ
吸引ポンプ７が設けられたチューブ１４にはフィルター
１５と一方向弁１６が設けられており、吸引流路を形成
している。

【００２９】エアバッファタンク５とカートリッジ６を
接続するチューブ１８には一方向弁１９が設けられ、イ
ンクタンク４とカートリッジ６を接続するチューブ２０
には遮断弁２１が設けられている。また、加圧手段にお
いて、インクジェット記録ヘッド１とインクタンク４の
エアバッファタンク５とを接続する加圧用のチューブ２
２にはフィルター２３と一方向弁２４とが設けられてお
り、加圧流路を形成している。

【００３０】このようなインク流路において、加圧手段
の加圧ポンプ８は、反時計方向に回転する時に、カート
リッジ６からチューブ１８により一方向弁１９を介して
エアバッファタンク５にインクを供給し、また、加圧用
チューブ２２により一方向弁２４とフィルター２３を介
してインクジェット記録ヘッド１にインクを供給する。

【００３１】従って、図１に示されるように、インクジ
ェット記録ヘッド１は、加圧流路であるチューブ２２に
よりインクタンク４のエアバッファタンク５と接続され
ると共に、リターン側流路であるチューブ１１によって
インクタンク４に接続されている。吸引側のリサイクル
流路であるチューブ１４は、キャップ手段２をリサイク
ルポンプである吸引ポンプ７を介してインクタンク４に
接続している。また、インクタンク４からエアバッファ
タンク５にインクを供給するために、インクタンク４と
エアバッファタンク５を接続するチューブ１７に加圧ポ
ンプ８が設けられている。

【００３２】このように形成された本発明での回復装置
のインク流路において、カートリッジ６からインクタン
ク４にインクを供給する場合には、インクタンク４が図
示しない遮断弁によって閉じられ、加圧ポンプ８の回転
部材８ａを反時計方向に回転すると、カートリッジ６の
インクはチューブ１８を通ってインクタンク４のエアバ
ッファタンク５さらにインクタンク４内に供給される。
インクタンク４内にはインクの液面センサー（図示しな
い）があって、インクの供給量を検知できるようになっ
ており、また、インクの液面が所定の位置を超えると、
チューブ２０、さらに遮断弁２１を通ってカートリッジ
６にインクが戻る構成となっている。

【００３３】インク流路を通ってインクを循環する場合
には、加圧ポンプ８の回転部材８ａを時計方向に回転す
ることによって、インクがチューブ２２を通ってインク
ジェット記録ヘッド１に供給される。そして、インクジ
ェット記録ヘッド１に供給されたインクはチューブ１１
を通ってインクタンク４に戻るインクと、インクジェッ
ト記録ヘッド１のノズルからキャップ手段２に対して排
出されるインクとに分けられる。キャップ手段２に対し
て排出されるインクは、リサイクルポンプである吸引ポ
ンプ７の回転部材７ａが時計方向に回転されることによ
って、チューブ１４を通ってインクタンク４に戻され
る。

【００３４】このような本発明のインクジェット記録ヘ
ッド１を有するインクジェット記録装置において、本実
施例の場合に、インクジェット記録方式は熱エネルギー
によって液体を吐出させるインクジェット方式で、図示
されるノズル１０を高密度に配列することで、高精細化
記録を実現できる。

【００３５】図４のフローチャートに従って本発明の実
施の形態を説明するに、上述したように構成されるイン
クジェット記録ヘッド１を有するインクジェット記録装
置において、印字中に不吐等が生じた場合に回復操作が
行われる。回復（Ｓ１）を実行するために、先ず、ステ
ップ（Ｓ２）でキャップ部材３がインクジェット記録ヘ
ッド１に対向して密着される。次いで、図１に示される
回復回路内の加圧ポンプ８が時計方向に回転されてイン
クがインクタンク４からエアバッファタンク５に供給さ
れ、インクの加圧が始められる（Ｓ３）。このインクの
加圧においては、インクは供給管路であるチューブ２２
を経てインクジェット記録ヘッド１を通り、チューブ１
１を介してインクタンク４に戻される。これにより、チ
ューブ２２とインクジェット記録ヘッド１における空気
が排出される。また、本実施例の場合、この加圧時間を
７秒にして加圧操作を行っているが、供給管路であるチ
ューブ２２が長い場合には、加圧時間は長い方が一層好
適である。

【００３６】このような加圧ポンプ８の回転によってイ
ンクジェット記録ヘッド１のノズル１０から一部のイン
クがキャップ部材３に排出される。キャップ部材３内に
排出されたインクは図２（Ａ）に示されるようなインク
ガイド２６によって導かれてキャップ部材３内に一旦受
けられ、そしてキャップ部材３に接続された吸引ポンプ
７によってインクタンク４へと吸引されて回収されるこ
とで、インクの再利用化が図られるようになる。

【００３７】一方、従来において発生している吸引ポン
プ７の回転中、キャップ部材３とそれに密着するインク
ジェット記録ヘッド１との間に生じる負圧によってイン
クが落ちる弊害に就いては、本実施例では、従って以下
のようにして解決されるようになる。

【００３８】先ず、ステップ（Ｓ４）において、加圧ポ
ンプ８による７秒以上の所要時間の加圧によってインク
ジェット記録ヘッド１における不吐を除去した後、加圧
ポンプ８の回転を停止（Ｓ５）して加圧を終了した後
に、インクジェット記録ヘッド１を図２（Ｂ）に示され
るようにキャップ部材３から離れるワイプ位置にステッ
プ（Ｓ６）で移動してから、吸引ポンプ７が作動されて
吸引ポンプ７の回転が行われる（Ｓ７）。これによっ
て、上述した従来系におけるような密閉した負圧空間は
形成されることがなく、インク落ちがない他、インクジ
ェット記録ヘッド１とインクタンク４の液面の水頭差お
よび液体表面張力によって、図３（Ａ）に示されるよう
なインク吐出に適正なメニスカスが形成される。

【００３９】ステップ（Ｓ８）における吸引ポンプ７の
回転（本実施例の場合は１５秒である）が行われ、この
所要時間の後に吸引ポンプ７の回転が終了した後（Ｓ
９）、インクジェット記録ヘッド１に対してキャップ部
材３が離されるよう移動されて、図２（Ｂ）に示される
如くキャップ部材３がインクジェット記録ヘッド１のイ
ンク吐出口面１ａから離されてキャップ部材３に取り付
けられたブレード２５によってインクジェット記録ヘッ
ド１のインク吐出口面１ａがワイピングされてインクの
残滴が拭き取られて清浄にされる（Ｓ１０）。次いで、
図２（Ａ）に示されるようにインクジェット記録ヘッド
１が元のキャッピング位置に戻される。インクジェット
記録ヘッド１がキャップ部材３と当接されてキャッピン
グされることによって、インクジェット記録ヘッド１の
ノズル１０が外部空気と遮断されて自然蒸発によるノズ
ル１０内のインク増粘および固着を防止することができ
る（Ｓ１１）。

【００４０】なお、本実施例におけるワイピング位置
は、ブレード２５がインクジェット記録ヘッド１に対す
る侵入量が１. ８ｍｍの場合に、インクの拭き取りが最
も効果的である。

【００４１】以上に説明したように、本発明によれば、
インクジェット記録装置のインク流路内のインクジェッ
ト記録ヘッド１にキャップ部材３を密着させて加圧手段
によってノズル１０からインクを押し出し、キャップ部
材３に排出されたインクを吸引手段によって回収すると
共に、インクジェット記録ヘッド１からキャップ部材３
を離すようにしているので、これによってインクジェッ
ト記録ヘッド１における不吐を防止して、インクジェッ
ト記録ヘッド１のインク吐出口面１ａを清浄に保ってイ
ンクジェット記録ヘッド１における記録品位を向上する
と共に、記録の高精細化を維持することができる。

【００４２】（その他）なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
（例えば電気熱変換体やレーザ光等）を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化，高精細化が
達成できるからである。

【００４３】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書，同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型，
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも１つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体（インク）
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長，収縮により吐出用開口を介して液体（インク）を吐
出させて、少なくとも１つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体（インク）の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第４４６３３５９号明細書，同第
４３４５２６２号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第４３１３１２４号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。

【００４４】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口，液路，電気熱変換体
の組合せ構成（直線状液流路または直角液流路）の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第４５５８３３３号明細書，米国特許第４４
５９６００号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭５９−１２３６７０号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭５９−１３８４６１号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。

【００４５】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された１個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。

【００４６】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。

【００４７】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。

【００４８】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して１個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。

【００４９】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭５４−５６８４７号公報あるいは特開昭６０−７
１２６０号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。

【００５０】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。

【００５１】

【発明の効果】本発明の請求項１記載のインクジェット
記録ヘッドの回復方法は、インクジェット記録ヘッドの
インク吐出口を覆うようにインクジェット記録ヘッドに
キャップ部材を密着させ、加圧手段によりインクジェッ
ト記録ヘッドのインク吐出口からインクを押し出すと共
に、キャップ部材に排出されたインクをキャップ部材と
インクタンクを接続する吸引手段によって回収するイン
クジェット記録ヘッドの回復方法であって、該吸引手段
による前記インク吸引動作中、前記加圧動作の際にキャ
ップ部材に密着されたインクジェット記録ヘッドをキャ
ップ部材から離すので、インクジェット記録ヘッドを好
適に回復処理でき、最終的にキャッピングしてノズルを
外気と遮断することによって自然蒸発によるノズル内の
インクの増粘および固着を防止することができ、かつ回
収したインクを好適に再利用することができる。

【００５２】本発明の請求項２記載のインクジェット記
録ヘッドの回復方法は、前記インクジェット記録ヘッド
のインク吐出口面から押し出されてインク吐出口面に付
着したインクがブレード部材によって払拭されるので、
インク吐出口面をワイピングしてインクの残滴を拭き取
って清浄に維持することができる。

【００５３】本発明の請求項３記載のインクジェット記
録ヘッドの回復方法は、前記インクジェット記録ヘッド
のインク吐出口から排出されたインクを前記キャップ部
材内に導くので、インクを好適に処理してインク吐出口
面を清浄に保つことができる。

【００５４】本発明の請求項４記載のインクジェット記
録ヘッドの回復方法は、前記インクジェット記録ヘッド
のインク吐出口面に対して下方からキャップ部材が密着
されるので、ノズルを外気と遮断することによって自然
蒸発によるノズル内のインクの増粘および固着を防止す
ることができ、かつインクジェット記録ヘッドのインク
吐出口面を乾燥させることなく維持することができる。

【００５５】本発明の請求項５記載のインクジェット記
録ヘッドの回復方法は、前記インクジェット記録ヘッド
のインク吐出口面から下方に向かってキャップ部材が離
されるので、キャップ部材をインクジェット記録ヘッド
のインク吐出口面から何等邪魔されることなく好適に離
すことができる。本発明の請求項６記載のインクジェッ
ト記録ヘッドの回復装置は、インクジェット記録ヘッド
のインク吐出口面を覆うキャップ手段と、前記インクジ
ェット記録ヘッドのインク吐出口からインクを押し出し
て前記キャップ手段に排出させる加圧手段と、前記キャ
ップ手段に排出されたインクを吸引して回収する吸引手
段と、インクを保有するインクタンクとを有し、前記イ
ンクジェット記録ヘッドのインク吐出口面に付着したイ
ンクを回収して前記インクタンクに戻して再利用するの
で、インク吐出口面を清浄に維持できるし、好適にイン
クを再利用することができる。

【００５６】本発明の請求項７記載のインクジェット記
録ヘッドの回復装置は、前記キャップ手段がキャップ部
材を有し、該キャップ部材が、前記インク吐出口面に付
着したインクを払拭するブレード部材が設けられている
ので、インク吐出口面を清浄に維持できる。

【００５７】本発明の請求項８記載のインクジェット記
録ヘッドの回復装置は、前記キャップ部材が、前記イン
ク吐出口から排出されたインクを前記キャップ部材内に
導くインクガイドが設けられているので、インクジェッ
ト記録ヘッドから排出されたインクをキャップ部材内に
好適に案内して受容することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるインクジェット記録ヘッドの回
復装置の回路図である。

【図２】図１に示される本発明のインクジェット記録ヘ
ッドとキャップ手段を示す概略断面図で、（Ａ）はイン
クジェット記録ヘッドにキャップ部材が密着された状態
を示し、（Ｂ）はインクジェット記録ヘッドからキャッ
プ部材が離されてブレードによってインク吐出口面が払
拭される状態を示している。

【図３】インクジェット記録ヘッドのノズルの模式図
で、（Ａ）はインクのメニスカスの状態を示し、（Ｂ）
はインクが滴下する状態を示している。

【図４】本発明のインクジェット記録ヘッドの回復方法
を示すフローチャートである。

【符号の説明】

１ インクジェット記録ヘッド ２ キャップ手段 ３ キャップ部材 ４ インクタンク ５ エアバッファタンク ６ カートリッジ ７ 吸引ポンプ ８ 加圧ポンプ １２ フィルター １４ チューブ １５ フィルター １６ 一方向弁 １７ チューブ １８ チューブ １９ 一方向弁 ２０ チューブ ２３ フィルター ２４ 一方向弁 ２５ ブレード ２６ インクガイド

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクジェット記録ヘッドのインク吐出
   口面を覆うようにインクジェット記録ヘッドにキャップ
   手段を密着させ、加圧手段によりインクジェット記録ヘ
   ッドのインク吐出口からインクを押し出すと共に、キャ
   ップ手段に排出されたインクをキャップ手段とインクタ
   ンクを接続する吸引手段によって回収するインクジェッ
   ト記録ヘッドの回復方法であって、該吸引手段による前
   記インク吸引動作中、前記加圧動作の際にキャップ手段
   に密着されたインクジェット記録ヘッドをキャップ手段
   から離すことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの
   回復方法。
2. 【請求項２】 前記インクジェット記録ヘッドのインク
   吐出口から押し出されてインク吐出口面に付着したイン
   クがキャップ手段のブレード部材によって払拭されるこ
   とを特徴とする請求項１記載のインクジェット記録ヘッ
   ドの回復方法。
3. 【請求項３】 前記インクジェット記録ヘッドのインク
   吐出口から排出されたインクを前記キャップ手段のキャ
   ップ部材内に導くことを特徴とする請求項１または２記
   載のインクジェット記録ヘッドの回復方法。
4. 【請求項４】 前記インクジェット記録ヘッドのインク
   吐出口面に対して下方からキャップ手段が密着されるこ
   とを特徴とする請求項１記載のインクジェット記録ヘッ
   ドの回復方法。
5. 【請求項５】 前記インクジェット記録ヘッドのインク
   吐出口面から下方に向かってキャップ手段が離されるこ
   とを特徴とする請求項１記載のインクジェット記録ヘッ
   ドの回復方法。
6. 【請求項６】 インクジェット記録ヘッドのインク吐出
   口面を覆うキャップ手段と、前記インクジェット記録ヘ
   ッドのインク吐出口からインクを押し出して前記キャッ
   プ手段に排出させる加圧手段と、前記キャップ手段に排
   出されたインクを吸引して回収する吸引手段と、インク
   を保有するインクタンクとを有し、前記インクジェット
   記録ヘッドのインク吐出口面に付着したインクを回収し
   て前記インクタンクに戻して再利用することを特徴とす
   るインクジェット記録ヘッドの回復装置。
7. 【請求項７】 前記キャップ手段はキャップ部材を有
   し、該キャップ部材は、前記インク吐出口面に付着した
   インクを払拭するブレード部材が設けられたことを特徴
   とする請求項６記載のインクジェット記録ヘッドの回復
   装置。
8. 【請求項８】 前記キャップ部材は、前記インク吐出口
   から排出されたインクを前記キャップ部材内に導くイン
   クガイドが設けられたことを特徴とする請求項６または
   ７記載のインクジェット記録ヘッドの回復装置。