JPH11334080A - サーマルインクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

サーマルインクジェットヘッド及びその製造方法

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JPH11334080A
JPH11334080A JP14521998A JP14521998A JPH11334080A JP H11334080 A JPH11334080 A JP H11334080A JP 14521998 A JP14521998 A JP 14521998A JP 14521998 A JP14521998 A JP 14521998A JP H11334080 A JPH11334080 A JP H11334080A
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silicon substrate
orifice plate
pattern
orifice
ink
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JP14521998A
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Katsuzo Uenishi
勝三 上西
Junji Shioda
純司 塩田
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Casio Computer Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】感光性ポリイミドで構成する隔壁部及び離隔部
のパターンの大きさに拘わりなくオリフィス板が安定し
て接着されるサーマルインクジェットヘッド及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】旧パターン33と同様の外郭内に収まるよ
うに、感光性ポリイミドからなる隔壁兼離隔部材を50
μm以下の幅d及びeの格子からなる新パターン34、
又は50μm以下の幅fからなり少なくとも10μm以
上の相互の間隔gを有する多重枠からなる新パターン3
5に形成してキュアを施す。これにより収縮後のパター
ン接着面の縁と内部との段差が低減され、薄い接着剤層
のオリフィス板でもパターン接着面の全面に無駄なく接
着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルインクジ
ェットヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、サーマルインクジェット方式を用
いたプリンタが主流を占めてきている。このサーマルイ
ンクジェット方式は、印字のために射出するインクの液
滴形成過程において、ヒータを熱してヒータ面上に核
気泡を発生させる。この核気泡が合体して膜気泡が生
まれる。この膜気泡が断熱膨脹して成長する。その
成長した膜気泡が周囲のインクに熱を取られて収縮す
る。ついには膜気泡が消滅し、次のヒータ加熱を待
つ、という一連の工程を瞬時に行うことによって成り立
っている。そして、上記の〜の工程には膜沸騰現象
が利用されている。
【0003】膜沸騰現象は、例えば鉄の焼き入れのよう
に高温に加熱された物体を液体中に漬けた場合と、液体
と接する物体の表面温度を急激に上げた場合とに発現す
るが、サーマルインクジェットプリンタに用いられる膜
沸騰現象は後者の「液体と接する物体の表面温度を急激
に上げる」方法によっている。
【0004】また、このように膜沸騰現象を利用し、三
原色のインクを吐出して、フルカラー印刷を行うインク
ジェットプリンタの印字ヘッド(サーマルインクジェッ
トヘッド)は、一般に、シリコンLSIと薄膜技術を利
用して、個々の駆動回路とインク吐出ノズル(オリフィ
ス)が一括して形成されることにより製造される。
【0005】そして、例えば解像度が360dpi(ド
ット/インチ)の印字ヘッドであれば128個のオリフ
ィス(一般には導波管等の終端または壁面に形成された
エネルギー伝達用の孔又は窓の意に用いられてきた用
語)が形成され、また、解像度が720dpiの場合で
あれば256個のオリフィスが形成される。
【0006】図7(a) は、そのようなオリフィスが形成
されるオリフィス板を示す図である。同図(a) に示すよ
うに、オリフィス板1は、ポリイミド等からなる樹脂フ
ィルム2の表裏に接着剤層3−1、3−2を設けられ、
その表面の接着剤層3−1に金属膜4を形成されてな
る。
【0007】同図(b) は、完成したサーマルインクジェ
ットヘッドの部分断面図である。同図(b) に示すサーマ
ルインクジェットヘッド5は、シリコン基板6上に電極
や発熱抵抗体等を形成された後、感光性ポリイミド等か
らなる隔壁兼離隔部材7を一面にコーティングされ、ス
パッタリング等によりインクが通るインク溝8を形成さ
れた後、キュア(乾燥硬化)を施されて隔壁兼離隔部材
7をシリコン基板6上に固着され、その上にオリフィス
板1を載置される。この後、オリフィス板1は、熱と圧
とを加えられながら接着剤層3−2によって隔壁兼離隔
部材7に接着され、更に、発熱抵抗体に対応する位置に
オリフィスを形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにサーマ
ルインクジェットヘッドの製造方法においては、インク
溝を形成する隔壁部の形成と、シリコン基板面とオリフ
ィス板を隔てる離隔部の形成では、感光性ポリイミドを
シリコン基板上にコーティングし、これを図7(c) に示
すようにパターン化した後に、キュア(300℃〜40
0℃で30分〜60分の熱処理)を行って隔壁兼離隔部
材7をシリコン基板6上に固着させる。
【0009】ところで、このとき、キュアによってパタ
ーン(隔壁兼離隔部材)が収縮する。その収縮率はおよ
そ50%である。一方、シリコン基板面とオリフィス板
との間には、少なくとも10μmの間隙が必要とされ
る。これがインク溝8の高さである。したがって、この
ように隔壁兼離隔部材によって10μmの高さの隔壁
(インク溝)やシリコン基板とオリフィス板との離隔部
を形成するには、50%の収縮率を考慮して隔壁兼離隔
部材を20μmの膜厚にコーティングする必要がある。
【0010】ところが、この20μmの膜は、単に10
μmに厚みが減少するばかりでなく。面に沿った方向で
異なった変化のしかたで収縮する。いずれにしても、大
局的には膜厚の減少であるが、微視的にみると、パター
ンの形状によりパターンの縁部と中央部では膜厚の減少
の程度が異なる。
【0011】すなわち、図7(d) に示すように、キュア
の後では、パターンの周辺から10〜50μm以上離れ
た内側では均一に10μmの厚さになっているが、周辺
から10〜50μm以内の部分では、10〜50μmの
幅のパターン7−1では1〜2μmの凸形状が形成さ
れ、50μm以上のパターン7−2では3〜4μmの凸
形状が形成される。
【0012】このような形状のパターン7−1及び7−
2の上に平坦なオリフィス板(ポリイミドフィルム)1
を乗せると、図7(e) に示すように、細いパターン7−
1では接着剤層3−2(図7(a) 参照)の厚みによって
全面が接着するが、幅広のパターン7−2では両端が接
着するのみで、中間部に間隙9が形成され、全体を接着
することが出来ない。
【0013】もっとも、予め接着剤層3−2を厚く形成
しておけば、パターン7−2の場合でも均一に接着でき
るが、これでは、接着の際の高温でガラス転移温度以上
となった接着剤が10μmという隔壁の高さで構成され
るインク溝8に入り込んで、インク溝8が狭くなったり
目詰まりを起こすという不具合が発生する。
【0014】したがって、接着剤層3−2は出来るだけ
薄く仕上げる必要がある。そして、接着剤層3−2を薄
くすると、上述したようにインク溝には問題は発生しな
いが、幅広のパターン7−2へのオリフィス板1の接着
が不完全になって接着が弱く安定しないという問題が発
生する。
【0015】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
感光性ポリイミドで構成する隔壁部及び離隔部のパター
ンの大きさに拘わりなくオリフィス板が安定して接着さ
れるサーマルインクジェットヘッド及びその製造方法を
提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】先ず、請求項1記載の発
明のサーマルインクジェットヘッドは、複数の発熱素子
をアレー状に配設した発熱ヘッドを複数設け、上記発熱
素子上に供給されるインクを該発熱素子にて加熱し、上
記インクと上記発熱素子の界面に気泡を発生させること
により該発熱素子に対応するオリフィスからインク滴を
吐出するサーマルインクジェットヘッドであって、上記
発熱素子が設けれらたシリコン基板と、該シリコン基板
に対向して設けられ上記発熱素子に対応するオリフィス
が設けられたオリフィス板と、該オリフィス板と上記シ
リコン基板との間に介在して双方を所定の間隔に隔てる
離隔部材とを有し、該離隔部材は、上記オリフィス板と
上記シリコン基板との間に実質的に介装される面積が上
記オリフィス板と上記シリコン基板とを有効に離隔させ
るべき面積よりも少ない面積で構成されている。
【0017】次に、請求項2記載のサーマルインクジェ
ットヘッドの製造方法は、シリコン基板上に発熱素子を
形成する工程と、形成すべき離隔部の外郭内に該外郭内
の総面積よりも少ない面積で離隔部材を上記シリコン基
板上に形成する工程と、所定時間加えられる所定の温度
の下で上記離隔部材を上記シリコン基板上に固着させる
乾燥硬化の工程と、上記シリコン基板上に固着した上記
離隔部材上にオリフィス板を重ね合わせて該オリフィス
板を所定の熱と圧との下で上記離隔部材上に接着させる
工程と、上記オリフィス板の上記発熱素子に対応する箇
所にオリフィスを形成する工程とを含んで編成される。
【0018】そして、例えば請求項3記載のように、上
記所定の時間は30分〜60分であり、上記所定の温度
は300℃〜400℃であるように設定される。また、
上記離隔部材は、例えば請求項4記載のように、50μ
m以下の幅を有し、少なくとも10μm以上の相互の間
隔を有して上記外郭内に集合して形成される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a),(b),(c) 、図2(a),
(b),(c) 及び図3(a),(b),(c) は、一実施の形態におけ
るサーマルインクジェットヘッドの製造方法を工程順に
示す図である。図1(a),(b),(c) はそれぞれ概略の平面
図を示しており、図2(a),(b),(c) はそれぞれ図1(a),
(b),(c) の詳細拡大部分図、図3(a) は、左方に図2
(a) のA−A′断面矢視図、右方に同じくB−B′断面
矢視図を示し、図3(b),(c) は、同図(a) と同一部分の
図2(b),(c) にそれぞれ対応する断面図である。
【0020】尚、これらの図では、説明の便宜上、いず
れもサーマルインクジェットヘッドの1個の発熱ヘッド
のみを示しているが、実際にはこのような発熱ヘッドが
複数個連なって、1枚のシリコン基板上に形成される。
また、図1(a),(b),(c) のそれぞれ下に示している断面
図は、図3(a),(b),(c) のそれぞれ左方に示す断面図と
同一のものである。先ず、基本工程から説明する。
【0021】先ず、工程1として、4インチ以上のシリ
コン基板にLSI形成処理により駆動回路とその端子を
形成し、次に、工程2として、薄膜技術を用いて、Ta
−Si−SiOなどの微細抵抗、及びNiなどによる電
極を形成する。この工程で発熱抵抗体の位置が決められ
る。
【0022】図1(a) 、図2(a) 及び図3(a) は、その
工程1及び工程2が終了した直後の状態を示している。
すなわち、シリコン基板10上には、共通電極12、共
通電極給電端子13(図1(a) 参照)、個別配線電極1
4、抵抗15、駆動回路16、及び駆動回路端子17
(図1(a) 参照)が形成されている。
【0023】続いて、工程3として、個々のインク吐出
口に対応するインク溝を形成すべく感光性ポリイミドな
どの有機材料からなる隔壁兼離隔部材を積層する。ここ
では上記の感光性ポリイミドをコーティングし、パター
ン化した後に、300℃〜400℃の熱を30分〜60
分加えて上記感光性ポリイミド(隔壁兼離隔部材)をシ
リコン基板上に固着させるキュア(乾燥硬化)を行う。
更に、工程4として、ウェットエッチングまたはサンド
ブラスト法などにより上記シリコン基板にインク供給路
とインク供給孔を形成する。
【0024】図1(b) 、図2(b) 及び図3(b) は、上述
の工程3及び工程4が終了した直後の状態を示してい
る。すなわち、インク供給路18、及びインク供給孔2
0(図3(a) 参照)が形成され、共通電極12のインク
供給路18の左側に位置する部分と、個別配線電極14
が配設されている部分、及び各抵抗15と抵抗15の間
に、隔壁兼離隔部材19が積層されている。隔壁兼離隔
部材19の上記各抵抗15間に積層される部分は、個別
配線電極14上の部分19−1を櫛の胴とすれば、各抵
抗15間に伸び出す部分19−2は櫛の歯に相当する形
状をなしている。これにより、この櫛の歯を隔壁とし
て、その歯と歯の間の付け根部分に抵抗15が位置する
微細なインク溝が、抵抗15の数だけ形成される。
【0025】この後、工程5として、厚さ20〜40μ
mのポリイミドフィルムの両面に5μm程度の薄いポリ
イミド系の熱可塑材をコーティングし、片面にNi、C
u又はAlなどの金属膜を真空装置で1μm程度蒸着し
たフィルムからなるオリフィス板を、上記の最上層に張
り付けて、上記隔壁兼離隔部材によって形成されたイン
ク溝に蓋をして個別の微細通路(インク溝坑)を形成
し、熱可塑材料のガラス転移温度より高い温度に設定し
た環境で、数kg/cm2 の平行加圧を行いながら、数
10分均一に固定し、シリコン基板に張り付ける。
【0026】ポリイミド系の熱可塑材料はガラス転移温
度(Tg)以上になると急激に弾性率が低下し粘着性が
増加し、接着効果がある。この性質を利用することで、
このような製法が出来る。
【0027】更に、工程6として、オリフィス板の上の
金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッチ
ングするマスクを形成する。工程7として、オリフィス
板をECRなどのドライエッチングなどにより上記の金
属膜マスクに従って40μmφ〜20μmφの孔空けを
して多数のノズル孔(オリフィスともいう)を一括形成
する。尚、孔空けはエキシマレーザなどを用いて行って
もよい。
【0028】ここまでが、ウェハの状態で処理される。
そして、最後に、工程8として、ダイシングソーなどを
用いてカッテングして、単位毎に個別に分割し、実装基
板にダイスボンデングし、端子接続して完成する。
【0029】図1(c) 、図2(c) 及び図3(c) は、上述
した工程5と工程6が終了した直後の状態を示してい
る。すなわち、オリフィス板21が駆動回路16と給電
端子13及び17の部分を除く全領域を覆っており、上
記のインク溝も上を覆われて隔壁兼離隔部材19の厚さ
10μmに対応する高さの坑状のインク溝22を形成し
ている。
【0030】このオリフィス板21は、接着層の接着に
寄与していない部分が隔壁の内側(インク溝22)に垂
れ込んでインク溝22を塞いでしまわないように張りつ
けることが肝要であり、このために、隔壁兼離隔部材1
9は出来上がりで10μm程度の厚さが必要とされる。
すなわち隔壁兼離隔部材19は、その10μmの厚さに
よって、シリコン基板10と最上層のオリフィス板21
とを離隔して双方の間隙を一定距離に維持している。
【0031】そして、オリフィス板21には、抵抗15
に対応する部分にノズル孔(オリフィス)23がドライ
エッチングまたエキシマレーザによって形成されてお
り、これにより、1列のノズル孔23を備えた発熱ヘッ
ド24が完成する。尚、上記の隔壁兼離隔部材19が1
0μm以上厚いと、つまり、シリコン基板11とオリフ
ィス板21との離隔距離が有りすぎると、ノズル孔23
からのインク滴の吐出に支障を来す虞がある。
【0032】このようにオリフィス板21を張り付け
て、その後で、下地のパターンつまり発熱抵抗体15の
位置に合わせてオリフィス孔を加工することは、予めオ
リフィス孔を加工したオリフィス板を張り合わせるより
も、遥かに生産性の高い実用性のある方法である。ま
た、ドライエッチングによる場合は、マスクはNi、C
u、又はAlなどの金属膜を使うことで樹脂と金属膜と
の選択比が概略100程度得られるので、20〜40μ
mのポリイミドフィルムのエッチングには1μm以下の
金属膜でマスクを形成することで十分である。
【0033】尚、上記の製造方法では、インク吐出部と
駆動回路とを一体で構成する例で説明したが、サーマル
インクジェットヘッドの部分だけをシリコン基板または
ガラス基板などの基板に形成する場合でも、駆動回路を
形成する工程を除いて他の工程は全く同様である。ま
た、上記の例では、駆動回路が露出した状態で示されて
いるが、実際には、説明では省略したが保護膜が形成さ
れている。また、保護膜を後からわざわざ形成するので
はなく、オリフィス板21を図1(c) の右方に延長して
積層するようにして、オリフィス板21に駆動回路の保
護膜を兼用させるようにしてもよい。
【0034】また、通常フルカラー印字においては、減
法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ
(M)、シアン(C)の3色に、文字や画像の黒部分に
専用されるブラック(Bk)を加えて合計4色のインク
を必要とする。したがって、最低でも4列のノズル列が
必要である。そして、上述した製造方法によれば4列の
素子をモノリシックに構成することは可能であり、各列
の位置関係も今日の半導体の製造技術により正確に配置
することが可能である。
【0035】図4(b) は、上述の図1、図2及び図3に
示したシリコン基板10、共通電極12、共通電極給電
端子13、個別配線電極14、抵抗15、駆動回路1
6、駆動回路端子17、インク供給路18、隔壁部材1
9、インク供給孔20、オリフィス板21、インク溝2
2、ノズル孔23の各部を1組としてなる素子(発熱ヘ
ッド)24を4列並べてフルカラーのサーマルインクジ
ェットヘッド25を構成した状態を示す図である。尚、
図4(a) には、発熱ヘッド24が4列並んだ構成を分か
り易く示すため、図1(a) に示した工程1〜工程2まで
終了した状態のものを示している。また、図4(b) に示
す形態は、オリフィス板21に駆動回路の保護膜を兼用
させる形態のものを示している。
【0036】図4(a),(b) に示すように、サーマルイン
クジェットヘッド25は、4個の発熱ヘッド24(24
a、24b、24c、24d)が並んで配置され、例え
ばインク供給路18aからYインクが発熱ヘッド24a
のインク溝22(図3(c) 参照)に供給され、インク供
給路18bからMインクが発熱ヘッド24bのインク溝
22に供給され、インク供給路18cからCインクが発
熱ヘッド24cのインク溝22に供給され、そして、イ
ンク供給路18dからはBkインクが発熱ヘッド24d
のインク溝22に供給される。
【0037】印字に際しては、抵抗15が印字情報に応
じて選択的に通電され、瞬時に発熱して膜沸騰現象を発
生させ、その抵抗15に対応するノズル孔23からイン
ク滴が吐出される。このようなインクジェット方式では
インク滴はノズル孔23の径に対応する大きさの略球形
で吐出され、紙面上には略その倍の径の大きさとなって
印字される。
【0038】このようにして得られるフルカラーのサー
マルインクジェットヘッドは、解像度が360dpiの
場合であれば128ノズル×4列=640ノズルを備え
ることになり、概略8.5mm×19.0mmの大きさ
に形成される。また解像度が720dpiの場合であれ
ば、256ノズル×4列=1280ノズルが、ほぼ8.
5mm×19.0mmの大きさの中に形成される。
【0039】基本的に上記のように構成されるサーマル
インクジェットヘッド24又は25において、前述した
製造の工程3によってシリコン基板上に積層される隔壁
兼離隔部材には、図7(d),(e) に示した不具合の発生を
回避すべく特別の工夫が凝らされている。
【0040】すなわち、収縮率が40%〜60%の材料
からなる隔壁兼離隔部材を用いて隔壁部及び離隔部を形
成するに際して、キュア後の厚さを10μmにする場
合、シリコン基板とオリフィス板との間に隔壁兼離隔部
材を実質的に介装する面積を、それらシリコン基板とオ
リフィス板とを有効に離隔する面積よりも少ない面積で
形成する。換言すれば、本来のパターン(旧パターン)
の外郭内に、その外郭内の総面積よりも少ない面積(新
パターン)で隔壁部と離隔部を形成する。そして、これ
ら形成される新パターンの幅を50μm以下とすること
を基本とする。また、それらの間には、少なくとも10
〜20μmの間隙があれば後述の目的とする機能を十分
に発揮することが実験によって確認されている。
【0041】図5(a) 及び図6(a),(b) は、本実施の形
態において上記のように形成される隔壁兼離隔部材の新
パターンの形状を示す図である。尚、図5(b) 及び図6
(c)には、比較のため従来の旧パターンの形状を示して
いる。これら旧パターンの形状は、本実施の形態におけ
る隔壁兼離隔部材の新パターンの外郭となるものであ
る。
【0042】先ず、図5(b) に示すように旧パターン3
1が広い幅aの長い形状のものであれば、これを外郭と
してその外郭内に収まるように狭い幅の複数の新パター
ンを形成する。すなわち、例えば図5(a) に示すよう
に、幅b1及びb2の2本の長い形状の新パターン32
−1及び32−2を形成する。これらの幅b1及びb2
は、いずれも50μm以下である。そして、これらの間
の間隙cは10〜20μmである。
【0043】また、図6(c) に示すように旧パターン3
3が縦横に広い面積のものであれば、これを外郭として
その外郭内に収まるように、外郭内の総面積よりも少な
い面積の新パターンを形成する。すなわち、例えば図6
(a) に示すように、格子状の新パターン34を形成す
る。この格子の幅d及び幅eは、いずれも50μm以下
である。また、上記のようにパターンの外郭が縦横に広
い面積の場合は格子状に限ることなく、例えば図6(b)
に示すように、幅fの枠が多重する形態の新パターン3
5を形成してもよい。この場合、面積の大きさによって
は、中央部には、枠ではなく長方形のパターンを形成す
るようにする。いずれにしても相互の間隙gは少なくと
も10μm以上とする。
【0044】上記のようにパターン化した後、キュアに
よる固着処理を施すと、新パターンの断面は、図7(d)
のパターン7−1のように収縮し、これに積層されるオ
リフィス板は、接着剤層によって無駄なく新パターンの
全面に接着される。これにより、感光性ポリイミドで構
成する隔壁部及び離隔部のパターンの大きさに拘わりな
く常にオリフィス板が安定して接着される。
【0045】尚、この新パターンの形成は、旧パターン
に比較してパターン化のマスクの修正を行うのみでよく
特に製造工程を増やす必要がないので、容易に新パター
ンの新工程に移行することができ、これにより、不良品
の発生を防止して製品歩留まりを大きくする作業効率の
向上に迅速に貢献することができる。
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、感光性ポリイミドで構成する隔壁部や離隔部を一
定の幅以下の集合パターンで構成するので、接着面のキ
ュア後の凹凸を低減させることができ、したがって、オ
リフィス板の接着剤層を薄く形成しても安定した接着性
が得られ、これにより、インク溝への接着剤の垂れ込み
が解消されて製品歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c) は一実施の形態におけるサーマル
インクジェットヘッドの製造方法を工程順に示す概略の
平面図である。
【図2】(a),(b),(c) は図1の詳細拡大部分図である。
【図3】(a),(b),(c) は図2のそれぞれ異なる位置の断
面図である。
【図4】(a),(b) はフルカラーのサーマルインクジェッ
トヘッドを示す図である。
【図5】(a) は隔壁兼離隔部材の新パターンの形状を示
す図(その1)、(b) は比較のため旧パターンを示す図
である。
【図6】(a),(b) は隔壁兼離隔部材の新パターンの形状
を示す図(その2及びその3)、(c) は比較のため旧パ
ターンを示す図である。
【図7】(a) は従来のオリフィス板を示す図、(b) は完
成したサーマルインクジェットヘッドの部分断面図、
(c) は感光性ポリイミドをシリコン基板上にパターン化
した図、(d) はキュア後の状態を示す図、(e) は接着の
不具合を示す図である。
【符号の説明】
1 オリフィス板 2 樹脂フィルム 3−1、3−2接着剤層 4 金属膜 5 サーマルインクジェットヘッド 6 シリコン基板 7 隔壁兼離隔部材 7−1、7−2 パターン 8 インク溝 9 間隙 10 シリコン基板 12 共通電極 13 共通電極給電端子 14 個別配線電極 15 抵抗 16 駆動回路 17 駆動回路端子 18(18a、18b、18c、18d) インク供給
路 19 隔壁兼離隔部材 19−1 櫛の胴相当部分 19−2 櫛の歯相当部分 20 インク供給孔 21 オリフィス板 22 インク溝 23 ノズル孔(オリフィス) 24(24a、24b、24c、24d) 発熱ヘッド 25 フルカラーのサーマルインクジェットヘッド 31、33 旧パターン 32−1、32−2、34、35 新パターン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の発熱素子をアレー状に配設した発
    熱ヘッドを複数設け、前記発熱素子上に供給されるイン
    クを該発熱素子にて加熱し、前記インクと前記発熱素子
    の界面に気泡を発生させることにより該発熱素子に対応
    するオリフィスからインク滴を吐出するサーマルインク
    ジェットヘッドにおいて、 前記発熱素子が設けれらたシリコン基板と、 該シリコン基板に対向して設けられ前記発熱素子に対応
    するオリフィスが設けられたオリフィス板と、 該オリフィス板と前記シリコン基板との間に介在して双
    方を所定の間隔に隔てる離隔部材と、 を有し、 該離隔部材は、前記オリフィス板と前記シリコン基板と
    の間に実質的に介装される面積が、前記オリフィス板と
    前記シリコン基板とを有効に離隔させるべき面積よりも
    少ない面積で構成されていることを特徴とするサーマル
    インクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 シリコン基板上に発熱素子を形成する工
    程と、 形成すべき離隔部の外郭内に該外郭内の総面積よりも少
    ない面積で離隔部材を前記シリコン基板上に形成する工
    程と、 所定時間加えられる所定の温度の下で前記離隔部材を前
    記シリコン基板上に固着させる乾燥硬化の工程と、 前記シリコン基板上に固着した前記離隔部材上にオリフ
    ィス板を重ね合わせて該オリフィス板を所定の熱と圧と
    の下で前記離隔部材上に接着させる工程と、 前記オリフィス板の前記発熱素子に対応する箇所にオリ
    フィスを形成する工程と、 を含んで編成されることを特徴とするサーマルインクジ
    ェットヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記所定の時間は30分〜60分であ
    り、前記所定の温度は300℃〜400℃であるように
    設定されることを特徴とする請求項2記載のサーマルイ
    ンクジェットヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記離隔部材は、50μm以下の幅を有
    し、少なくとも10μm以上の相互の間隔を有して前記
    外郭内に集合して形成されることを特徴とする請求項2
    又は3記載のサーマルインクジェットヘッドの製造方
    法。
JP14521998A 1998-05-27 1998-05-27 サーマルインクジェットヘッド及びその製造方法 Withdrawn JPH11334080A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6383832B1 (en) 2001-04-16 2002-05-07 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Pressure responsive device and method of manufacturing semiconductor substrate for use in pressure responsive device

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