JP2000127397A - サーマルインクジェットヘッド - Google Patents

サーマルインクジェットヘッド

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JP2000127397A
JP2000127397A JP30679098A JP30679098A JP2000127397A JP 2000127397 A JP2000127397 A JP 2000127397A JP 30679098 A JP30679098 A JP 30679098A JP 30679098 A JP30679098 A JP 30679098A JP 2000127397 A JP2000127397 A JP 2000127397A
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Japan
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heating element
ink
heating elements
heating
bubbles
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JP30679098A
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English (en)
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Katsuzo Uenishi
勝三 上西
Koichi Tanaka
幸一 田中
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Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】熱エネルギー効率よく気泡を発生させ且つキャ
ビテーション損傷を受けない発熱素子を備えたサーマル
インクジェットヘッドを提供する。 【解決手段】オリフィス(インク吐出ノズル)の下に共
通電極18と個別電極21に接続されて発熱用パルスを
給電される発熱素子22が形成されている。発熱素子2
2は、薄膜技術により形成したTa−Si−Oなどから
なる膜を、ホトリソ技術により複数の平線状の発熱体3
3に形成し、且つ発熱素子22の中央部には発熱体33
を配置しないように形成する。このように発熱素子22
を形成することにより、気泡を発生させる熱エネルギー
の効率がよくなり、且つ発熱素子22がキャビテーショ
ン損傷を受けることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エネルギー効率良
く気泡を発生し且つキャビテーション損傷を受けない発
熱素子を備えたサーマルインクジェットヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット方式のプリンタが
広く用いられている。このインクジェット方式によるプ
リンタには、気泡の発生する力でインク滴を飛ばすサー
マルインクジェット方式や、ピエゾ抵抗素子(圧電素
子)の変形によってインク滴を飛ばすピエゾ方式等があ
る。
【0003】これらは、色材たるインクをインク滴にし
て直接記録紙に向かって吐出するという工程により、粉
末状の印材であるトナーを用いる電子写真方式と比較し
た場合、印字エネルギーが低くて済み、インクの混合に
よってカラー化が容易であり、印字ドットを小さくでき
るので高画質であり、印字に使用されるインクの量に無
駄が無くコストパフォーマンスに優れており、このため
特にパーソナル用プリンタとして広く用いられている印
字方式である。
【0004】そして、上記のサーマルインクジェット方
式には、インク滴の吐出方向により二通りの構成があ
る。すなわち、発熱素子の発熱面に平行な方向へ吐出す
る構成のものと、発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出
する構成のものとがある。
【0005】図5(a),(b),(c) は、発熱素子の発熱面に
平行な方向へ吐出する構成のものであり、同図(d),(e),
(f) は、発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出する構成
のものをそれぞれ模式的に示している。同図(a) 又は
(d) に示すように、シリコン基板1上には発熱素子2が
形成されており、同図(a) では発熱素子2の側方に、
(d) では発熱素子2に対向してオリフィス4が形成され
ている。上記の発熱素子2は不図示の電極に接続されて
おり、発熱素子2が設けられているインク流路にはイン
ク5が常時供給されている。
【0006】このオリフィス4からインク滴を吐出させ
るには、先ず、同図(b) 又は(e) に示すように、画像情
報に応じた通電により、発熱素子2を熱してこの発熱
素子2上に核気泡を発生させ、この核気泡が合体して
膜気泡6が発生し、この膜気泡6が断熱膨脹して成長
し周囲のインクを押し遣り、これによりオリフィス4か
らインク5′が押し出され、この押し出されたインク
5′は、同図(c) 又は(f) に示すように、インク滴7と
なってオリフィス4から紙面に向けて吐出される。この
後、上記の成長した膜気泡が周囲のインクに熱を取ら
れて収縮し、ついには膜気泡が消滅し、次の発熱素子
の加熱を待機する。この一連の工程〜は、瞬時に行
われる。
【0007】上記の発熱素子の発熱面に垂直な方向にイ
ンク滴を吐出する構成のものは、ルーフシュータ型サー
マルインクジェットヘッドと呼称されており、消費電力
が極めて小さくて済むことが知られている。また、この
形式におけるフルカラー用のサーマルインクジェットヘ
ッドの製法としては、シリコンLSI形成技術と薄膜形
成技術を利用して、複数の発熱素子と個々の駆動回路と
オリフィスを一括してモノリシックに形成する方法があ
る。
【0008】この方法によれば、例えば約10mmの幅
の基板に、解像度が360dpi(ドット/インチ)の
印字ヘッドであれば128個の発熱素子と駆動回路とオ
リフィスが形成され、また、解像度が720dpiの場
合であれば256個の発熱素子と駆動回路とオリフィス
が形成される。
【0009】ところで、上記の工程〜には、膜沸騰
現象が利用されている。膜沸騰現象は、例えば鉄の焼き
入れのように高温に加熱された物体を液体中に漬けた場
合と、液体と接する物体の表面温度を急激に上げた場合
とに発現するが、サーマルインクジェットヘッドに用い
られる膜沸騰現象は後者の「液体と接する物体の表面温
度を急激に上げる」方法によっている。
【0010】この膜沸騰現象において上記の液体中に発
生した気泡が消滅するときに起きる現象はキャビテーシ
ョンと呼ばれている。図6(a),(b) は、上記のインク滴
の吐出に係る気泡の成長と消滅の過程を模式的に示す図
である。同図(a) は実験的に水深1mm(ミリメータ)
のオープンプール8に設定した発熱体9と、これによる
気泡の成長と消滅の過程を0〜6μs(マイクロ秒)ま
で、1μs毎に示している。また、同図(b) は発熱体9
への通電タイミングを示している。
【0011】同図(a) に示すように、0〜1μsで発熱
体9が加熱され、1〜2μsで核気泡が成長し、2μs
から3μsに至る間にインク滴を吐出する気泡が発生
し、3μsでは既にその気泡の収縮が始まっている。そ
して6μsで気泡が消滅するまでの間、同図の矢印a−
1、a−2、a−3で示すにように負圧を伴うキャビテ
ーションが発生する。
【0012】そして、このキャビテーションによる破壊
力は発熱体9を設置面から引き剥がそうとする力として
働く。その衝撃力は、上記の水深1mmのオープンプー
ルの場合、1000ton/cm2 に達すると言われて
いる。
【0013】サーマルインクジェットヘッドの発熱素子
の面積はおよそ40μm×40μmであるが、この面積
比で換算すると、その衝撃力はおよそ16Kg(キログ
ラム)という値になる。そして、このキャビテーション
損傷の発生を防止するためには、一般的な方法として、
発熱素子面にキャビテーション損傷防止層を設けること
が行われている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に上記
の発熱素子は矩形を成しており、発熱エネルギーは発熱
抵素子全体で均一に消費される。
【0015】しかしながら、矩形の発熱素子が均一に加
熱された場合でも、発熱素子の中心部は、自己の発熱に
加えて周辺部からも熱を伝達されるので、中心部の温度
は周辺部よりも極めて高くなり、したがって、発熱素子
全体に渡って均一な気泡を生成するためには、エネルギ
ー効率が良くないという問題を有している。
【0016】また他方では、上述したキャビテーション
損傷防止層を設けた構成は、これにより発熱素子の損傷
は防止できるものの、キャビテーション損傷防止層を設
けたことにより発熱素子とインクが直接接することがで
きなくなり、発熱素子の熱エネルギーのうち気泡の発生
に寄与する熱エネルギーの効率が極端に低くなる即ち実
験によればほぼ10%にまで低下してしまうという問題
も有していた。
【0017】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
エネルギー効率良く気泡を発生し且つキャビテーション
損傷を受けない発熱素子を備えたサーマルインクジェッ
トヘッドを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のサーマルインク
ジェットヘッドは、基板上に抵抗体よりなる複数の発熱
素子を設け、該発熱素子上に供給されるインクを上記発
熱素子にて加熱し、上記インクと上記発熱素子の界面に
気泡を発生させることにより上記発熱素子に対向して設
けられたオリフィスよりインク滴を吐出するサーマルイ
ンクジェットヘッドであって、上記発熱素子は複数の狭
幅の線状の発熱体により形成されて成る。
【0019】上記複数の狭幅の線状の発熱体は、例えば
請求項2記載のように、平行に配置されて成り、また、
例えば請求項3記載のように、四辺形を形成するように
配置されて成る。
【0020】これにより、エネルギー効率良く気泡を発
生し且つキャビテーション損傷を受けない発熱素子を備
えたサーマルインクジェットヘッドが実現する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a) は、一実施の形態に
おける、フルカラー・サーマルインクジェットヘッド
(以下、単にカラーヘッドという)を示す図であり、同
図(b) は、そのカラーヘッドの基板(シリコンチップ)
をシリコンウエハ上に多数形成した状態を示す図であ
る。同図(a) に示すカラーヘッド10は、やや大きな基
板11上に、4個の単一ヘッド12(12a、12b、
12c、12d)が並んで配置された形状で構成され
る。
【0022】上記の各単一ヘッド12には、多数のノズ
ル(オリフィス)から成る1列のノズル列13がオリフ
ィス板14に形成されており、カラーヘッド10全体と
しては、4列のノズル列13が形成されている。これら
のノズル列13は、例えば右方から左方に順に、減法混
色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シ
アン(C)の3色のインク及び文字や画像の黒部分に専
用されるブラック(Bk)のインクを夫々吐出するよう
に構成される。
【0023】このようなカラーヘッド10は、解像度が
360dpiの場合であれば、概略8.5mm×19.
0mmの大きさのチップに、128ノズル×4列=64
0ノズルを備えることが可能であり、また、解像度が7
20dpiの場合であれば、ほぼ8.5mm×19.0
mmの大きさのチップに256ノズル×4列=1280
ノズルを形成することが可能である。
【0024】そして、同図(b) に示すように、そのよう
なカラーヘッド基板が、1枚のシリコンウエハ15上
に、スクライブラインで区画されて、多数(例えば90
個以上)形成され、後述する製造工程を経て同図(a) に
示すように完成した後、シリコンウエハ15から個々に
切り出される。
【0025】図2(a) は、上記のカラーヘッド10の製
造工程の最初の工程を示す図であり、上段に平面図を示
し、中段に上段のA−A′断面矢視図を示し、下段に上
段のB−B′断面矢視図を示している。また、図2(b)
は、図2(a) に続く工程を示しており、その上段、中段
及び下段に示される部位は、図2(a) の上段、中段及び
下段に示す部位に対応している。そして、図2(c) は、
最後の工程を示す図であり、上段に図1(a) を拡大して
示している。この上段並びに中段及び下段に示される部
位は、図2(a) の上段、中段及び下段に対応する部位で
ある。尚、これらの図2(a),(b),(c) には、図示する上
での便宜上、128個又は256個の発熱素子及びオリ
フィスを、5個の発熱素子及びオリフィスで代表させて
示している。
【0026】以下、図2(a),(b),(c) を参照しながら、
カラーヘッド10の製造方法を、基本的な製造方法から
先に説明する。先ず、工程1として、4インチ以上のシ
リコンウエハ上に区画された個々の基板に、LSI形成
処理により駆動回路とその端子を形成すると共に、厚さ
1〜2μmのパッシベーション膜を形成し、この後上記
端子へのコンタクト孔空けを行うと共に不用部分のパッ
シベーション膜を除去する。
【0027】次に、工程2として、薄膜形成技術を用い
て、Ta−Si−Oなどからなる発熱素子を形成するた
めの発熱抵抗膜をスパッタ技術などにより4000Åの
厚みで成膜し、共通電極と個別配線電極を形成するため
の電極膜を形成する。この電極膜は、W−Al(又はW
−Ti、W−Si)などからなるバリアメタル膜に、A
uによる電極膜を積層した多層構造とすることが好まし
い。そして、ホトリソ技術によって電極膜に(バリアメ
タル膜が形成されている場合はそのバリアメタル膜も)
配線部分のパターンを形成し、発熱抵抗膜には例えばほ
ぼ正方形の露出部が形成され微細な発熱素子(発熱部)
のパターンを形成する。
【0028】図2(a) は、上記の工程1及び工程2が終
了した直後の状態を示している。すなわち、基板11上
には駆動回路16とその端子17(図1(a) 参照)が形
成され、更に共通電極18(18a、18b)、共通電
極給電端子19(図1(a) 参照)、個別配線電極21、
多数の発熱素子22が形成されている。
【0029】続いて、工程3として、個々の発熱素子2
2に対応するインク路を形成すべく感光性ポリイミドな
どの有機材料からなる隔壁部材をコーティングにより高
さ20μm程度に形成し、これをパターン化した後に、
30分〜60分、場合によって2時間、300℃〜40
0℃の熱を加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、キ
ュア後の高さ10μmの上記感光性ポリイミドによる隔
壁を基板11上に形成して固着させる。
【0030】更に、工程4として、ウェットエッチング
またはサンドブラスト法などにより上記基板11の面に
溝状のインク供給路を形成し、更にこのインク供給路に
連通し下面に開口するインク給送孔を形成する。
【0031】図2(b) は、上述の工程3及び工程4が終
了した直後の状態を示している。すなわち、溝状のイン
ク供給路23及び筒状のインク給送孔24が形成され、
インク供給路23の左側に位置する共通電極18(18
a)部分と、右方の個別配線電極21が配設されている
部分、及び各発熱素子22間に、隔壁25(25、25
−1、25−2)が形成されている。この隔壁25は、
個別配線電極21上の部分25−1を櫛の胴とすれば、
各発熱素子22間に伸び出す部分25−2は櫛の歯に相
当する形状をなしている。
【0032】これにより、この櫛の歯を仕切り壁とし
て、その歯と歯の間の付け根部分に発熱素子22が位置
する微細な個別インク路が、発熱素子22の数だけ形成
される。この櫛の歯の長さを変えることによりインクの
流通するコンダクタンスが変わり、また隣接する個別イ
ンク路を流動するインク間の干渉にも影響する。
【0033】この後、工程5として、ポリイミドからな
る厚さ10〜30μmのフィルムのオリフィス板を、そ
の片面に接着剤としての熱可塑性ポリイミドを極薄に例
えば厚さ2〜5μmにコーテングし、上記積層構造の最
上層に張り付けて、隔壁25によって形成されたインク
路に蓋をし、これにより、微細な個別インク路と共通イ
ンク路を形成する。そして、200〜300℃で加熱し
ながら加圧してオリフィス板を固着させる。続いて、オ
リフィス板表面にNi、Cu又はAlなどの厚さ0.5
〜1μm程度の金属膜を形成する。
【0034】更に、工程6として、オリフィス板の上の
金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッチ
ングする為のマスクを形成し、続いて、オリフィス板を
へリコン波エッチング装置などにより上記の金属膜マス
クに従って、40μmφ〜20μmφの孔空けをして多
数のノズル孔(オリフィス)を一括形成する。
【0035】図2(c) は、上記の工程5及び工程6が終
了した直後の状態を示している。すなわち、基板11の
最上層に、片面に熱可塑性ポリイミド26をコーテング
されたオリフィス板14が、駆動回路端子17及び共通
電極給電端子19を除く全領域を覆って積層され、これ
により、上述したインク路が上を覆われて、隔壁25の
厚さ10μmに対応する高さの坑状の個別インク路28
が形成され、この個別インク路28と前述したインク供
給路23とを連通させる高さ10μmの共通インク路2
9が形成されている。
【0036】そして、オリフィス板14には、その上面
に金属膜31が形成され、発熱素子22に対応する部分
にインク吐出用のノズル孔(オリフィス)32がドライ
エッチングによって形成されている。このように、1列
のノズル孔32を備えた単一ヘッド12が作成され、こ
れらが4個連設されて、図1(a) に示したフルカラー・
サーマルインクジェットヘッド(カラーヘッド)10が
シリコンウエハ15(図1(b) 参照)上に完成する。
【0037】尚、上記のマスク用の金属膜はNi、C
u、又はAlなどを使うことで樹脂と金属膜との選択比
が概略100程度得られる。したがって、20〜40μ
mのポリイミドフィルムのドライエッチングには1μm
以下の金属膜でマスクを形成することで十分である。
【0038】このように、4列の単一ヘッドからなるカ
ラーヘッド10をモノリシックに構成することは、上述
した製造方法によれば可能であり、各列の位置関係も今
日の半導体の製造技術により正確に配置することが可能
である。
【0039】ここまでが、ウエハの状態で処理される。
そして、最後に、工程7として、ダイシングソーなどを
用いてスクライブラインに沿ってカッテングし、単位毎
に個別に分割して、実装基板にダイスボンデングし、端
子接続して、実用単位のカラーヘッド10が完成する。
【0040】このカラーヘッド10は、印字に際しては
各発熱素子22が印字情報に応じて選択的に通電され、
瞬時に発熱して膜沸騰現象を発生させ、その発熱素子2
2に対応するノズル孔32からインク滴が吐出される。
このようなサーマルインクジェットヘッドではインク滴
はノズル孔の径に対応する大きさの略球形で吐出され、
紙面上に略その倍の径の大きさとなって印字される。
【0041】ところで、上述したカラーヘッド10の製
造工程においては基本的な製造方法を説明したが、本実
施の形態における特徴として、上述の基本的製造方法に
加えて、発熱素子22の形成には特別の工夫が凝らされ
ている。そして、この工夫によって、エネルギー効率良
く気泡を発生させると共に、キャビテーション損傷防止
膜を持たずともキャビテーション損傷を受けない発熱素
子を得るようにしている。以下に、これを説明する。
【0042】図3(a) は、本実施の形態におけるカラー
ヘッド10を製造する工程2において形成される発熱素
子22の形状を模式的に示す図であり、同図(b) は、そ
の変形例を示す図である。尚、同図(a),(b) には、図2
(a),(b),(c) を参照可能なように、図2(a),(b),(c) に
示した構成と同一の部分には、図2(a),(b),(c) と同一
の番号を付与して示している。
【0043】本実施の形態におけるサーマルインクジェ
ットヘッド(カラーヘッド)の製造において、先ず前述
した工程2では、薄膜技術によりTa−Si−Oなどか
らなる抵抗体膜が形成され、ホトリソ技術により、図3
(a) に示すような、2本の狭幅の平線状の発熱体33が
平行に配置されて形成される。あるいは、同図(b) に示
すように、2個の鉤型の狭幅な平線状の発熱体34が、
四辺形を形成するように配置されて形成される。
【0044】このように発熱素子22の中央部には発熱
素子体を配置しないようにしているので、発熱の温度が
中央に集中することがなく均等な熱エネルギーが発生
し、エネルギー効率良く気泡を発生させることができ
る。
【0045】図4(a) は、図3(a) に示した発熱素子を
再掲する図、同図(b) 〜(d) は、同図(a) のCーC′断
面矢視図であり、熱効率よく気泡が生成される過程を示
す図、同図(e) は、気泡消滅時のキャビテーション作用
を説明する図である。
【0046】先ず、同図(a) に示す個別電極21から発
熱素子22へ駆動パルスが通電される。これにより2本
の発熱体33が発熱して、同図(b) に示すように核気泡
34が発生する。そして、中央部に発熱体が無い分だけ
発熱素子22全体が均等に昇温し、この熱エネルギーに
よって、同図(c) に示すように、上記の核気泡34が集
合して成長した膜気泡35が生成される。
【0047】更に、同図(d) に示すように、均一な気泡
36に成長して、オリフィス32(図2(c) 参照)から
インク滴を押し出す。この後、図4(e) に示すように、
収縮気泡37となって消滅する。このとき同図(e) の矢
印に示すようにキャビテーション作用が発生する。この
キャビテーション作用は、オリフィス32直下の発熱素
子22中央部、つまり発熱素子体が配置されていない部
分、すなわち露出しているシリコン基板11の表面の絶
縁層11−1に最も強く働いて、周囲の発熱体33つま
り発熱素子22には、強力には作用しない。これにより
発熱素子22が、シリコン面から引き剥がされるキャビ
テーション損傷は発生しない。
【0048】したがって、発熱素子22にキャビテーシ
ョン損傷防止膜等を設ける必要がなく、これにより、発
熱素子22の電力効率を一層向上させることができると
共に、発熱素子22の寿命が長くなって経済性が向上す
る。
【0049】尚、上記の実施の形態では、オリフィス3
2の直下に発熱素子22の発熱体33を配置しないよう
にしているが、発熱体33の配置間隔の広さによっては
例えば3本の発熱体を配置するなどして中央にも発熱体
がくるようにしてもよい。この場合でも中央の発熱体と
その両脇の発熱体との間に露出した絶縁層11−1が在
るので中央部の発熱体へのキャビテーション損傷を緩和
することができる。
【0050】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、発熱素子の中央部に発熱体を配置せず央部は周辺
の発熱体からの伝熱により気泡を生成する温度を得るよ
うにしたので、発熱素子全体が均一温度に昇温して熱エ
ネルギー効率良く気泡を発生さることができて経済的で
ある。
【0051】また、気泡が消滅するときのキャビテーシ
ョン作用が集中するオリフィス直下に発熱体を配置しな
いので、発熱素子がキヤビテーション損傷を受けること
がなく、したがって、キャビテーション損傷防止膜等を
設ける必要がなく、これにより、発熱素子の電力効率を
大幅に向上させることができると共に、発熱素子の寿命
が長くなって経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は一実施の形態におけるフルカラーのサー
マルインクジェットヘッドを示す図、(b) はその基板
(チップ)をシリコンウエハ上に多数形成した状態を示
す図である。
【図2】(a) はサーマルインクジェットヘッド製造の最
初の工程を示す平面図と断面図、(b) は次の工程を示す
平面図と断面図、(c) は最後の工程を示す平面図と断面
図である。
【図3】(a) は本実施の形態におけるサーマルインクジ
ェットヘッドに形成される発熱素子の形状を模式的に示
す図、(b) はその変形例を示す図である。
【図4】(a) は前図の発熱素子を再掲する図、(b) 〜
(d) は(a) のCーC′断面矢視図、(e) は気泡消滅時の
キャビテーション作用を説明する図である。
【図5】(a),(b),(c) はインクジェットヘッドの発熱素
子の発熱面に平行な方向へ吐出する構成を示す図、(d),
(e),(f) は発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出する構
成のものを示す図である。
【図6】(a),(b) はインク滴の吐出に係るキャビテーシ
ョン気泡の成長と消滅の過程を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 発熱素子 3 オリフィス板 4 オリフィス 5 インク 5′ 押し出されたインク 6 膜気泡 7 インク滴 8 オープンプール 9 発熱体 10 一実施の形態におけるサーマルインクジェットヘ
ッド 11 基板(チップ) 12(12a、12b、12c、12d) モノカラー
ヘッド 13 ノズル列 14 オリフィス板 15 シリコンウエハ 16 駆動回路 17 端子 18(18a、18b) 共通電極 19 共通電極給電端子 21 個別配線電極 22 発熱素子 23 インク供給路 24 インク給送孔 25(25、25−1、25−2) 隔壁 26 熱可塑性ポリイミド 27 オリフィス板 28 個別インク路 29 共通インク路 31 金属膜 32 ノズル孔(オリフィス) 33、34 平線状発熱体 35 核気泡 36 膜気泡 37 均一気泡 38 収縮気泡

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に抵抗体よりなる複数の発熱素子
    を設け、該発熱素子上に供給されるインクを前記発熱素
    子にて加熱し、前記インクと前記発熱素子の界面に気泡
    を発生させることにより前記発熱素子に対向して設けら
    れたオリフィスよりインク滴を吐出するサーマルインク
    ジェットヘッドにおいて、 前記発熱素子は複数の狭幅の線状の発熱体により形成さ
    れて成ることを特徴とするサーマルインクジェットヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 前記複数の狭幅の線状の発熱体は、平行
    に配置されて成ることを特徴とする請求項1記載のサー
    マルインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記複数の狭幅の線状の発熱体は、四辺
    形を形成するように配置されて成ることを特徴とする請
    求項1記載のサーマルインクジェットヘッド。
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