JP2000127396A - サーマルインクジェットヘッド - Google Patents
サーマルインクジェットヘッドInfo
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- JP2000127396A JP2000127396A JP30678998A JP30678998A JP2000127396A JP 2000127396 A JP2000127396 A JP 2000127396A JP 30678998 A JP30678998 A JP 30678998A JP 30678998 A JP30678998 A JP 30678998A JP 2000127396 A JP2000127396 A JP 2000127396A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heating element
- ink
- heating
- orifice
- bubbles
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】均一な気泡を発生し且つキャビテーション損傷
を受けない発熱素子を備えたサーマルインクジェットヘ
ッドを提供する。 【解決手段】オリフィス(インク吐出ノズル)32が形
成されているオリフィス板14の下に共通電極18と個
別電極21に接続されて発熱用パルスを給電される発熱
素子22が形成されている。発熱素子22は、薄膜技術
により形成したTa−Si−Oなどからなる膜を、ホト
リソ技術により四角形に形成し、且つその中央部に円形
の削除部33を形成して成る。この削除部33の直径を
Dとすると「5μm≦D≦オリフィス径」である。この
ようにオリフィスと発熱素子の削除部との関係を設定す
れば、均一な気泡を生成して均一なインク滴を吐出する
ことができ、且つ発熱素子がキャビテーション損傷を受
けることがない。
を受けない発熱素子を備えたサーマルインクジェットヘ
ッドを提供する。 【解決手段】オリフィス(インク吐出ノズル)32が形
成されているオリフィス板14の下に共通電極18と個
別電極21に接続されて発熱用パルスを給電される発熱
素子22が形成されている。発熱素子22は、薄膜技術
により形成したTa−Si−Oなどからなる膜を、ホト
リソ技術により四角形に形成し、且つその中央部に円形
の削除部33を形成して成る。この削除部33の直径を
Dとすると「5μm≦D≦オリフィス径」である。この
ようにオリフィスと発熱素子の削除部との関係を設定す
れば、均一な気泡を生成して均一なインク滴を吐出する
ことができ、且つ発熱素子がキャビテーション損傷を受
けることがない。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、均一な気泡を発生
し且つキャビテーション損傷を受けない発熱素子を備え
たサーマルインクジェットヘッドに関する。
し且つキャビテーション損傷を受けない発熱素子を備え
たサーマルインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット方式のプリンタが
広く用いられている。このインクジェット方式によるプ
リンタには、気泡の発生する力でインク滴を飛ばすサー
マルインクジェット方式や、ピエゾ抵抗素子(圧電素
子)の変形によってインク滴を飛ばすピエゾ方式等があ
る。
広く用いられている。このインクジェット方式によるプ
リンタには、気泡の発生する力でインク滴を飛ばすサー
マルインクジェット方式や、ピエゾ抵抗素子(圧電素
子)の変形によってインク滴を飛ばすピエゾ方式等があ
る。
【0003】これらは、色材たるインクをインク滴にし
て直接記録紙に向かって吐出するという工程により、粉
末状の印材であるトナーを用いる電子写真方式と比較し
た場合、印字エネルギーが低くて済み、インクの混合に
よってカラー化が容易であり、印字ドットを小さくでき
るので高画質であり、印字に使用されるインクの量に無
駄が無くコストパフォーマンスに優れており、このため
特にパーソナル用プリンタとして広く用いられている印
字方式である。
て直接記録紙に向かって吐出するという工程により、粉
末状の印材であるトナーを用いる電子写真方式と比較し
た場合、印字エネルギーが低くて済み、インクの混合に
よってカラー化が容易であり、印字ドットを小さくでき
るので高画質であり、印字に使用されるインクの量に無
駄が無くコストパフォーマンスに優れており、このため
特にパーソナル用プリンタとして広く用いられている印
字方式である。
【0004】そして、上記のサーマルインクジェット方
式には、インク滴の吐出方向により二通りの構成があ
る。すなわち、発熱素子の発熱面に平行な方向へ吐出す
る構成のものと、発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出
する構成のものとがある。
式には、インク滴の吐出方向により二通りの構成があ
る。すなわち、発熱素子の発熱面に平行な方向へ吐出す
る構成のものと、発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出
する構成のものとがある。
【0005】図6(a),(b),(c) は、発熱素子の発熱面に
平行な方向へ吐出する構成のものであり、同図(d),(e),
(f) は、発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出する構成
のものをそれぞれ模式的に示している。同図(a) 又は
(d) に示すように、シリコン基板1上には発熱素子2が
形成されており、同図(a) では発熱素子2の側方に、同
図(d) では発熱素子2に対向して、オリフィス4が形成
されている。上記の発熱素子2は不図示の電極に接続さ
れており、発熱素子2が設けられているインク流路には
インク5が常時供給されている。
平行な方向へ吐出する構成のものであり、同図(d),(e),
(f) は、発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出する構成
のものをそれぞれ模式的に示している。同図(a) 又は
(d) に示すように、シリコン基板1上には発熱素子2が
形成されており、同図(a) では発熱素子2の側方に、同
図(d) では発熱素子2に対向して、オリフィス4が形成
されている。上記の発熱素子2は不図示の電極に接続さ
れており、発熱素子2が設けられているインク流路には
インク5が常時供給されている。
【0006】このオリフィス4からインク滴を吐出させ
るには、先ず、同図(b) 又は(e) に示すように、画像情
報に応じた通電により、発熱素子(発熱抵抗体2)を
熱してこの発熱素子上に核気泡を発生させ、この核気
泡が合体して膜気泡6が発生し、この膜気泡6が断熱
膨脹して成長し周囲のインクを押し遣り、これによりイ
ンク吐出ノズル4からインク5′が押し出され、この押
し出されたインク5′は、同図(c) 又は(f) に示すよう
に、インク滴7となってオリフィス4から紙面に向けて
吐出される。この後、上記の成長した膜気泡が周囲の
インクに熱を取られて収縮し、ついには膜気泡が消滅
し、次の発熱素子の加熱を待機する。この一連の工程
〜は、瞬時に行われる。
るには、先ず、同図(b) 又は(e) に示すように、画像情
報に応じた通電により、発熱素子(発熱抵抗体2)を
熱してこの発熱素子上に核気泡を発生させ、この核気
泡が合体して膜気泡6が発生し、この膜気泡6が断熱
膨脹して成長し周囲のインクを押し遣り、これによりイ
ンク吐出ノズル4からインク5′が押し出され、この押
し出されたインク5′は、同図(c) 又は(f) に示すよう
に、インク滴7となってオリフィス4から紙面に向けて
吐出される。この後、上記の成長した膜気泡が周囲の
インクに熱を取られて収縮し、ついには膜気泡が消滅
し、次の発熱素子の加熱を待機する。この一連の工程
〜は、瞬時に行われる。
【0007】上記の発熱素子の発熱面に垂直な方向にイ
ンク滴を吐出する構成のものは、ルーフシュータ型サー
マルインクジェットヘッドと呼称されており、消費電力
が極めて小さくて済むことが知られている。また、この
形式におけるフルカラー用のサーマルインクジェットヘ
ッドの製法としては、シリコンLSI形成技術と薄膜形
成技術を利用して、複数の発熱素子と個々の駆動回路と
オリフィスを一括してモノリシックに形成する方法があ
る。
ンク滴を吐出する構成のものは、ルーフシュータ型サー
マルインクジェットヘッドと呼称されており、消費電力
が極めて小さくて済むことが知られている。また、この
形式におけるフルカラー用のサーマルインクジェットヘ
ッドの製法としては、シリコンLSI形成技術と薄膜形
成技術を利用して、複数の発熱素子と個々の駆動回路と
オリフィスを一括してモノリシックに形成する方法があ
る。
【0008】この方法によれば、例えば約10mmの幅
の基板に解像度が360dpi(ドット/インチ)の印
字ヘッドであれば128個の発熱素子と駆動回路とオリ
フィスを形成することができ、また、解像度が720d
piの場合であれば256個の発熱素子と駆動回路とオ
リフィスを形成することができる。
の基板に解像度が360dpi(ドット/インチ)の印
字ヘッドであれば128個の発熱素子と駆動回路とオリ
フィスを形成することができ、また、解像度が720d
piの場合であれば256個の発熱素子と駆動回路とオ
リフィスを形成することができる。
【0009】ところで、上記の工程〜には、膜沸騰
現象が利用されている。膜沸騰現象は、例えば鉄の焼き
入れのように高温に加熱された物体を液体中に漬けた場
合と、液体と接する物体の表面温度を急激に上げた場合
とに発現するが、サーマルインクジェットヘッドに用い
られる膜沸騰現象は後者の「液体と接する物体の表面温
度を急激に上げる」方法によっている。
現象が利用されている。膜沸騰現象は、例えば鉄の焼き
入れのように高温に加熱された物体を液体中に漬けた場
合と、液体と接する物体の表面温度を急激に上げた場合
とに発現するが、サーマルインクジェットヘッドに用い
られる膜沸騰現象は後者の「液体と接する物体の表面温
度を急激に上げる」方法によっている。
【0010】この膜沸騰現象において上記の気泡が消滅
するときに起きる現象はキャビテーションと呼ばれてい
る。図7(a),(b) は、上記のインク滴の吐出に係る気泡
の成長と消滅の過程を模式的に示す図である。同図(a)
は実験的に水深1mm(ミリメータ)のオープンプール
8に設定した発熱体9と、これによる気泡の成長と消滅
の過程を0〜6μs(マイクロ秒)まで、1μs毎に示
している。また、同図(b) は発熱体9への通電タイミン
グを示している。
するときに起きる現象はキャビテーションと呼ばれてい
る。図7(a),(b) は、上記のインク滴の吐出に係る気泡
の成長と消滅の過程を模式的に示す図である。同図(a)
は実験的に水深1mm(ミリメータ)のオープンプール
8に設定した発熱体9と、これによる気泡の成長と消滅
の過程を0〜6μs(マイクロ秒)まで、1μs毎に示
している。また、同図(b) は発熱体9への通電タイミン
グを示している。
【0011】同図(a) に示すように、0〜1μsで発熱
体9が加熱され、1〜2μsで核気泡が成長し、2μs
から3μsに至る間にインク滴を吐出する気泡が発生
し、3μsでは既にその気泡の収縮が始まっている。そ
して6μsで気泡が消滅するまでの間、同図の矢印a−
1、a−2、a−3で示すにようにキャビテーション作
用が発生する。
体9が加熱され、1〜2μsで核気泡が成長し、2μs
から3μsに至る間にインク滴を吐出する気泡が発生
し、3μsでは既にその気泡の収縮が始まっている。そ
して6μsで気泡が消滅するまでの間、同図の矢印a−
1、a−2、a−3で示すにようにキャビテーション作
用が発生する。
【0012】そして、このキャビテーションによる破壊
力は発熱体9を設置面から引き剥がそうとする力が働
く。その衝撃力は、上記の水深1mmのオープンプール
の場合、1000ton/cm2 に達すると言われてい
る。
力は発熱体9を設置面から引き剥がそうとする力が働
く。その衝撃力は、上記の水深1mmのオープンプール
の場合、1000ton/cm2 に達すると言われてい
る。
【0013】サーマルインクジェットヘッドの発熱素子
の面積はおよそ40μm×40μmであるが、この面積
比で換算すると、その衝撃力はおよそ16Kg(キログ
ラム)という値になる。そして、このキャビテーション
損傷の発生を防止するためには、一般的な方法として、
発熱素子面にキャビテーション損傷防止層を設けること
が行われている。
の面積はおよそ40μm×40μmであるが、この面積
比で換算すると、その衝撃力はおよそ16Kg(キログ
ラム)という値になる。そして、このキャビテーション
損傷の発生を防止するためには、一般的な方法として、
発熱素子面にキャビテーション損傷防止層を設けること
が行われている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に上記
の発熱抵抗体は矩形を成しており、発熱エネルギーは発
熱抵抗体全体で均一に消費される。
の発熱抵抗体は矩形を成しており、発熱エネルギーは発
熱抵抗体全体で均一に消費される。
【0015】しかしながら、矩形の発熱抵抗体が均一に
加熱された場合でも、発熱抵抗体の中心部は、自己の発
熱に加えて周辺部からも熱を伝達されるので、中心部の
温度は周辺部よりも極めて高くなり、発熱抵抗体全体に
渡って均一な気泡を生成することができないという問題
を有している。
加熱された場合でも、発熱抵抗体の中心部は、自己の発
熱に加えて周辺部からも熱を伝達されるので、中心部の
温度は周辺部よりも極めて高くなり、発熱抵抗体全体に
渡って均一な気泡を生成することができないという問題
を有している。
【0016】また、他方では、上述したキャビテーショ
ン損傷防止層を設けた構成は、これにより発熱抵抗体の
損傷は防止できるものの、キャビテーション損傷防止層
を設けたことにより発熱抵抗体とインクが直接接するこ
とができなくなり、発熱抵抗体の熱エネルギーのうち気
泡の発生に寄与する熱エネルギーの効率が極端に低くな
る、すなわち実験によればほぼ10%にまで低下してし
まうという問題も有していた。
ン損傷防止層を設けた構成は、これにより発熱抵抗体の
損傷は防止できるものの、キャビテーション損傷防止層
を設けたことにより発熱抵抗体とインクが直接接するこ
とができなくなり、発熱抵抗体の熱エネルギーのうち気
泡の発生に寄与する熱エネルギーの効率が極端に低くな
る、すなわち実験によればほぼ10%にまで低下してし
まうという問題も有していた。
【0017】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
エネルギー効率が良く均一な気泡を発生し且つキャビテ
ーション損傷を受けない発熱素子を備えたサーマルイン
クジェットヘッドを提供することである。
エネルギー効率が良く均一な気泡を発生し且つキャビテ
ーション損傷を受けない発熱素子を備えたサーマルイン
クジェットヘッドを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のサーマルインク
ジェットヘッドは、基板上に四角形の抵抗体よりなる複
数の発熱素子を設け、該発熱素子上に供給されるインク
を上記発熱素子にて加熱し、上記インクと上記発熱素子
の界面に気泡を発生させることにより上記発熱素子に対
向して設けられたオリフィスよりインク滴を吐出するサ
ーマルインクジェットヘッドであって、上記発熱素子は
中央部に略円形の発熱体の削除部を形成されて成り、該
削除部の径をDとし、上記オリフィスの径をQとすると
き、5μm≦D≦Qであるように構成される。
ジェットヘッドは、基板上に四角形の抵抗体よりなる複
数の発熱素子を設け、該発熱素子上に供給されるインク
を上記発熱素子にて加熱し、上記インクと上記発熱素子
の界面に気泡を発生させることにより上記発熱素子に対
向して設けられたオリフィスよりインク滴を吐出するサ
ーマルインクジェットヘッドであって、上記発熱素子は
中央部に略円形の発熱体の削除部を形成されて成り、該
削除部の径をDとし、上記オリフィスの径をQとすると
き、5μm≦D≦Qであるように構成される。
【0019】これにより、エネルギー効率が良く均一な
気泡を発生し且つキャビテーション損傷を受けない発熱
素子を備えたサーマルインクジェットヘッドが実現す
る。
気泡を発生し且つキャビテーション損傷を受けない発熱
素子を備えたサーマルインクジェットヘッドが実現す
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a) は、一実施の形態に
おける、フルカラー・サーマルインクジェットヘッド
(以下、単にカラーヘッドという)を示す図であり、同
図(b) は、そのカラーヘッドの基板(シリコンチップ)
をシリコンウエハ上に多数形成した状態を示す図であ
る。同図(a) に示すカラーヘッド10は、やや大きな基
板11上に、4個の単一ヘッド12(12a、12b、
12c、12d)が並んで配置された形状で構成され
る。
を参照しながら説明する。図1(a) は、一実施の形態に
おける、フルカラー・サーマルインクジェットヘッド
(以下、単にカラーヘッドという)を示す図であり、同
図(b) は、そのカラーヘッドの基板(シリコンチップ)
をシリコンウエハ上に多数形成した状態を示す図であ
る。同図(a) に示すカラーヘッド10は、やや大きな基
板11上に、4個の単一ヘッド12(12a、12b、
12c、12d)が並んで配置された形状で構成され
る。
【0021】上記の各単一ヘッド12には、多数のノズ
ル(オリフィス)から成る1列のノズル列13がオリフ
ィス板14に形成されており、カラーヘッド10全体と
しては、4列のノズル列13が形成されている。これら
のノズル列13は、例えば右方から左方に順に、減法混
色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シ
アン(C)の3色のインク及び文字や画像の黒部分に専
用されるブラック(Bk)のインクを夫々吐出するよう
に構成される。
ル(オリフィス)から成る1列のノズル列13がオリフ
ィス板14に形成されており、カラーヘッド10全体と
しては、4列のノズル列13が形成されている。これら
のノズル列13は、例えば右方から左方に順に、減法混
色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シ
アン(C)の3色のインク及び文字や画像の黒部分に専
用されるブラック(Bk)のインクを夫々吐出するよう
に構成される。
【0022】このようなカラーヘッド10は、解像度が
360dpiの場合であれば、概略8.5mm×19.
0mmの大きさのチップに、128ノズル×4列=64
0ノズルを備えることが可能であり、また、解像度が7
20dpiの場合であれば、ほぼ8.5mm×19.0
mmの大きさのチップに256ノズル×4列=1280
ノズルを形成することが可能である。
360dpiの場合であれば、概略8.5mm×19.
0mmの大きさのチップに、128ノズル×4列=64
0ノズルを備えることが可能であり、また、解像度が7
20dpiの場合であれば、ほぼ8.5mm×19.0
mmの大きさのチップに256ノズル×4列=1280
ノズルを形成することが可能である。
【0023】そして、同図(b) に示すように、そのよう
なカラーヘッド基板が、1枚のシリコンウエハ15上
に、スクライブラインで区画されて、多数(例えば90
個以上)形成され、後述する製造工程を経て同図(a) に
示すように完成した後、シリコンウエハ15から個々に
切り出される。
なカラーヘッド基板が、1枚のシリコンウエハ15上
に、スクライブラインで区画されて、多数(例えば90
個以上)形成され、後述する製造工程を経て同図(a) に
示すように完成した後、シリコンウエハ15から個々に
切り出される。
【0024】図2(a) は、上記のカラーヘッド10の製
造工程の最初の工程を示す図であり、上段に平面図を示
し、中段に上段のA−A′断面矢視図を示し、下段に上
段のB−B′断面矢視図を示している。また、図2(b)
は、図2(a) に続く工程を示しており、その上段、中段
及び下段に示される部位は、図2(a) の上段、中段及び
下段に示す部位に対応している。そして、図2(c) は、
最後の工程を示す図であり、上段に図1(a) を拡大して
示している。この上段並びに中段及び下段に示される部
位は、図2(a) の上段、中段及び下段に対応する部位で
ある。尚、これらの図2(a),(b),(c) には、図示する上
での便宜上、128個又は256個の発熱素子及びオリ
フィスを、5個の発熱素子及びオリフィスで代表させて
示している。
造工程の最初の工程を示す図であり、上段に平面図を示
し、中段に上段のA−A′断面矢視図を示し、下段に上
段のB−B′断面矢視図を示している。また、図2(b)
は、図2(a) に続く工程を示しており、その上段、中段
及び下段に示される部位は、図2(a) の上段、中段及び
下段に示す部位に対応している。そして、図2(c) は、
最後の工程を示す図であり、上段に図1(a) を拡大して
示している。この上段並びに中段及び下段に示される部
位は、図2(a) の上段、中段及び下段に対応する部位で
ある。尚、これらの図2(a),(b),(c) には、図示する上
での便宜上、128個又は256個の発熱素子及びオリ
フィスを、5個の発熱素子及びオリフィスで代表させて
示している。
【0025】以下、図2(a),(b),(c) を参照しながら、
カラーヘッド10の製造方法を、基本的な製造方法から
先に説明する。先ず、工程1として、4インチ以上のシ
リコンウエハ上に区画された個々の基板に、LSI形成
処理により駆動回路とその端子を形成すると共に、厚さ
1〜2μmのパッシベーション膜を形成し、この後上記
端子へのコンタクト孔空けを行うと共に不用部分のパッ
シベーション膜を除去する。
カラーヘッド10の製造方法を、基本的な製造方法から
先に説明する。先ず、工程1として、4インチ以上のシ
リコンウエハ上に区画された個々の基板に、LSI形成
処理により駆動回路とその端子を形成すると共に、厚さ
1〜2μmのパッシベーション膜を形成し、この後上記
端子へのコンタクト孔空けを行うと共に不用部分のパッ
シベーション膜を除去する。
【0026】次に、工程2として、薄膜形成技術を用い
て、Ta−Si−Oなどからなる発熱素子を形成するた
めの発熱抵抗膜をスパッタ技術などにより4000Åの
厚みで成膜し、共通電極と個別配線電極を形成するため
の電極膜を形成する。この電極膜は、W−Al(又はW
−Ti、W−Si)などからなるバリアメタル膜に、A
uによる電極膜を積層した多層構造とすることが好まし
い。そして、ホトリソ技術によって電極膜に(バリアメ
タル膜が形成されている場合はそのバリアメタル膜も)
配線部分のパターンを形成し、発熱抵抗膜には例えばほ
ぼ正方形の露出部が形成され微細な発熱素子(発熱部)
のパターンを形成する。
て、Ta−Si−Oなどからなる発熱素子を形成するた
めの発熱抵抗膜をスパッタ技術などにより4000Åの
厚みで成膜し、共通電極と個別配線電極を形成するため
の電極膜を形成する。この電極膜は、W−Al(又はW
−Ti、W−Si)などからなるバリアメタル膜に、A
uによる電極膜を積層した多層構造とすることが好まし
い。そして、ホトリソ技術によって電極膜に(バリアメ
タル膜が形成されている場合はそのバリアメタル膜も)
配線部分のパターンを形成し、発熱抵抗膜には例えばほ
ぼ正方形の露出部が形成され微細な発熱素子(発熱部)
のパターンを形成する。
【0027】図2(a) は、上記の工程1及び工程2が終
了した直後の状態を示している。すなわち、基板11上
には駆動回路16とその端子17(図1(a) 参照)が形
成され、更に共通電極18(18a、18b)、共通電
極給電端子19(図1(a) 参照)、個別配線電極21、
多数の発熱素子22が形成されている。
了した直後の状態を示している。すなわち、基板11上
には駆動回路16とその端子17(図1(a) 参照)が形
成され、更に共通電極18(18a、18b)、共通電
極給電端子19(図1(a) 参照)、個別配線電極21、
多数の発熱素子22が形成されている。
【0028】続いて、工程3として、個々の発熱素子2
2に対応するインク路を形成すべく感光性ポリイミドな
どの有機材料からなる隔壁部材をコーティングにより高
さ20μm程度に形成し、これをパターン化した後に、
30分〜60分、場合によって2時間、300℃〜40
0℃の熱を加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、キ
ュア後の高さ10μmの上記感光性ポリイミドによる隔
壁を基板11上に形成して固着させる。
2に対応するインク路を形成すべく感光性ポリイミドな
どの有機材料からなる隔壁部材をコーティングにより高
さ20μm程度に形成し、これをパターン化した後に、
30分〜60分、場合によって2時間、300℃〜40
0℃の熱を加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、キ
ュア後の高さ10μmの上記感光性ポリイミドによる隔
壁を基板11上に形成して固着させる。
【0029】更に、工程4として、ウェットエッチング
またはサンドブラスト法などにより上記基板11の面に
溝状のインク供給路を形成し、更にこのインク供給路に
連通し下面に開口するインク給送孔を形成する。
またはサンドブラスト法などにより上記基板11の面に
溝状のインク供給路を形成し、更にこのインク供給路に
連通し下面に開口するインク給送孔を形成する。
【0030】図2(b) は、上述の工程3及び工程4が終
了した直後の状態を示している。すなわち、溝状のイン
ク供給路23及び筒状のインク給送孔24が形成され、
インク供給路23の左側に位置する共通電極18(18
a)部分と、右方の個別配線電極21が配設されている
部分、及び各発熱素子22間に、隔壁25(25、25
−1、25−2)が形成されている。この隔壁25は、
個別配線電極21上の部分25−1を櫛の胴とすれば、
各発熱素子22間に伸び出す部分25−2は櫛の歯に相
当する形状をなしている。
了した直後の状態を示している。すなわち、溝状のイン
ク供給路23及び筒状のインク給送孔24が形成され、
インク供給路23の左側に位置する共通電極18(18
a)部分と、右方の個別配線電極21が配設されている
部分、及び各発熱素子22間に、隔壁25(25、25
−1、25−2)が形成されている。この隔壁25は、
個別配線電極21上の部分25−1を櫛の胴とすれば、
各発熱素子22間に伸び出す部分25−2は櫛の歯に相
当する形状をなしている。
【0031】これにより、この櫛の歯を仕切り壁とし
て、その歯と歯の間の付け根部分に発熱素子22が位置
する微細な個別インク路が、発熱素子22の数だけ形成
される。この櫛の歯の長さを変えることによりインクの
流通するコンダクタンスが変わり、また隣接する個別イ
ンク路を流動するインク間の干渉にも影響する。
て、その歯と歯の間の付け根部分に発熱素子22が位置
する微細な個別インク路が、発熱素子22の数だけ形成
される。この櫛の歯の長さを変えることによりインクの
流通するコンダクタンスが変わり、また隣接する個別イ
ンク路を流動するインク間の干渉にも影響する。
【0032】この後、工程5として、ポリイミドからな
る厚さ10〜30μmのフィルムのオリフィス板を、そ
の片面に接着剤としての熱可塑性ポリイミドを極薄に例
えば厚さ2〜5μmにコーテングし、上記積層構造の最
上層に張り付けて、隔壁25によって形成されたインク
路に蓋をし、これにより、微細な個別インク路と共通イ
ンク路を形成する。そして、200〜300℃で加熱し
ながら加圧してオリフィス板を固着させる。続いて、オ
リフィス板表面にNi、Cu又はAlなどの厚さ0.5
〜1μm程度の金属膜を形成する。
る厚さ10〜30μmのフィルムのオリフィス板を、そ
の片面に接着剤としての熱可塑性ポリイミドを極薄に例
えば厚さ2〜5μmにコーテングし、上記積層構造の最
上層に張り付けて、隔壁25によって形成されたインク
路に蓋をし、これにより、微細な個別インク路と共通イ
ンク路を形成する。そして、200〜300℃で加熱し
ながら加圧してオリフィス板を固着させる。続いて、オ
リフィス板表面にNi、Cu又はAlなどの厚さ0.5
〜1μm程度の金属膜を形成する。
【0033】更に、工程6として、オリフィス板の上の
金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッチ
ングする為のマスクを形成し、続いて、オリフィス板を
へリコン波エッチング装置などにより上記の金属膜マス
クに従って、40μmφ〜20μmφの孔空けをして多
数のノズル孔(オリフィス)を一括形成する。
金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッチ
ングする為のマスクを形成し、続いて、オリフィス板を
へリコン波エッチング装置などにより上記の金属膜マス
クに従って、40μmφ〜20μmφの孔空けをして多
数のノズル孔(オリフィス)を一括形成する。
【0034】図2(c) は、上記の工程5及び工程6が終
了した直後の状態を示している。すなわち、基板11の
最上層に、片面に熱可塑性ポリイミド26をコーテング
されたオリフィス板14が、駆動回路端子17及び共通
電極給電端子19を除く全領域を覆って積層され、これ
により、上述したインク路が上を覆われて、隔壁25の
厚さ10μmに対応する高さの坑状の個別インク路28
が形成され、この個別インク路28と前述したインク供
給路23とを連通させる高さ10μmの共通インク路2
9が形成されている。
了した直後の状態を示している。すなわち、基板11の
最上層に、片面に熱可塑性ポリイミド26をコーテング
されたオリフィス板14が、駆動回路端子17及び共通
電極給電端子19を除く全領域を覆って積層され、これ
により、上述したインク路が上を覆われて、隔壁25の
厚さ10μmに対応する高さの坑状の個別インク路28
が形成され、この個別インク路28と前述したインク供
給路23とを連通させる高さ10μmの共通インク路2
9が形成されている。
【0035】そして、オリフィス板14には、その上面
に金属膜31が形成され、発熱素子22に対応する部分
にインク吐出用のノズル孔(オリフィス)32がドライ
エッチングによって形成されている。このように、1列
のノズル孔32を備えた単一ヘッド12が作成され、こ
れらが4個連設されて、図1(a) に示したフルカラー・
サーマルインクジェットヘッド(カラーヘッド)10が
シリコンウエハ15(図1(b) 参照)上に完成する。
に金属膜31が形成され、発熱素子22に対応する部分
にインク吐出用のノズル孔(オリフィス)32がドライ
エッチングによって形成されている。このように、1列
のノズル孔32を備えた単一ヘッド12が作成され、こ
れらが4個連設されて、図1(a) に示したフルカラー・
サーマルインクジェットヘッド(カラーヘッド)10が
シリコンウエハ15(図1(b) 参照)上に完成する。
【0036】尚、上記のマスク用の金属膜はNi、C
u、又はAlなどを使うことで樹脂と金属膜との選択比
が概略100程度得られる。したがって、20〜40μ
mのポリイミドフィルムのドライエッチングには1μm
以下の金属膜でマスクを形成することで十分である。
u、又はAlなどを使うことで樹脂と金属膜との選択比
が概略100程度得られる。したがって、20〜40μ
mのポリイミドフィルムのドライエッチングには1μm
以下の金属膜でマスクを形成することで十分である。
【0037】このように、4列の単一ヘッドからなるカ
ラーヘッド10をモノリシックに構成することは、上述
した製造方法によれば可能であり、各列の位置関係も今
日の半導体の製造技術により正確に配置することが可能
である。
ラーヘッド10をモノリシックに構成することは、上述
した製造方法によれば可能であり、各列の位置関係も今
日の半導体の製造技術により正確に配置することが可能
である。
【0038】ここまでが、ウエハの状態で処理される。
そして、最後に、工程7として、ダイシングソーなどを
用いてスクライブラインに沿ってカッテングし、単位毎
に個別に分割して、実装基板にダイスボンデングし、端
子接続して、実用単位のカラーヘッド10が完成する。
そして、最後に、工程7として、ダイシングソーなどを
用いてスクライブラインに沿ってカッテングし、単位毎
に個別に分割して、実装基板にダイスボンデングし、端
子接続して、実用単位のカラーヘッド10が完成する。
【0039】このカラーヘッド10は、印字に際しては
各発熱素子22が印字情報に応じて選択的に通電され、
瞬時に発熱して膜沸騰現象を発生させ、その発熱素子2
2に対応するノズル孔32からインク滴が吐出される。
このようなサーマルインクジェットヘッドではインク滴
はノズル孔の径に対応する大きさの略球形で吐出され、
紙面上に略その倍の径の大きさとなって印字される。
各発熱素子22が印字情報に応じて選択的に通電され、
瞬時に発熱して膜沸騰現象を発生させ、その発熱素子2
2に対応するノズル孔32からインク滴が吐出される。
このようなサーマルインクジェットヘッドではインク滴
はノズル孔の径に対応する大きさの略球形で吐出され、
紙面上に略その倍の径の大きさとなって印字される。
【0040】ところで、上述したカラーヘッド10の製
造工程においては基本的な製造方法を説明したが、本実
施の形態における特徴として、上述の基本的製造方法に
加えて、発熱素子22の形成には特別の工夫が凝らされ
ている。そして、この工夫によって、均一な気泡を発生
させると共に、キャビテーション損傷防止膜を持たずと
もキャビテーション損傷を受けない発熱素子を得るよう
にしている。以下に、これを説明する。
造工程においては基本的な製造方法を説明したが、本実
施の形態における特徴として、上述の基本的製造方法に
加えて、発熱素子22の形成には特別の工夫が凝らされ
ている。そして、この工夫によって、均一な気泡を発生
させると共に、キャビテーション損傷防止膜を持たずと
もキャビテーション損傷を受けない発熱素子を得るよう
にしている。以下に、これを説明する。
【0041】図3(a) は、本実施の形態におけるカラー
ヘッド10を製造する工程6において形成されるオリフ
ィス板14及びオリフィス32を示す拡大平面図であ
り、同図(b) は、上記オリフィス32に対向する位置に
工程2において形成されている発熱素子22の形状を分
かりやすくするためオリフィス板14を取り除いて電極
と共に示す平面図である。尚、同図(a),(b) には、図2
(a),(b),(c) を参照可能なように、図2(a),(b),(c) に
示した構成と同一の部分には、図2(a),(b),(c)と同一
の番号を付与して示している。
ヘッド10を製造する工程6において形成されるオリフ
ィス板14及びオリフィス32を示す拡大平面図であ
り、同図(b) は、上記オリフィス32に対向する位置に
工程2において形成されている発熱素子22の形状を分
かりやすくするためオリフィス板14を取り除いて電極
と共に示す平面図である。尚、同図(a),(b) には、図2
(a),(b),(c) を参照可能なように、図2(a),(b),(c) に
示した構成と同一の部分には、図2(a),(b),(c)と同一
の番号を付与して示している。
【0042】本実施の形態におけるサーマルインクジェ
ットヘッド(カラーヘッド)の製造において、先ず前述
した工程2では、薄膜技術によりTa−Si−Oなどか
らなる抵抗体膜が形成され、ホトリソ技術により外形が
四角形(正方形又は矩形)の上述した発熱素子(発熱抵
抗膜の発熱部)22が形成される。
ットヘッド(カラーヘッド)の製造において、先ず前述
した工程2では、薄膜技術によりTa−Si−Oなどか
らなる抵抗体膜が形成され、ホトリソ技術により外形が
四角形(正方形又は矩形)の上述した発熱素子(発熱抵
抗膜の発熱部)22が形成される。
【0043】ここで、発熱素子22の発熱により発生さ
せる気泡の大きさは、オリフィス32の径と同等の径で
且つ高さが均一のものであることが最も好ましい。も
し、発熱抵素子22の中心部の温度が高い場合は、発熱
素子22の大きさとほぼ同じ大きさで中心部の高さが高
い気泡が生成され、形の不均一なインク滴が吐出されて
しまう。
せる気泡の大きさは、オリフィス32の径と同等の径で
且つ高さが均一のものであることが最も好ましい。も
し、発熱抵素子22の中心部の温度が高い場合は、発熱
素子22の大きさとほぼ同じ大きさで中心部の高さが高
い気泡が生成され、形の不均一なインク滴が吐出されて
しまう。
【0044】本例では、図3(a),(b) に示すように、上
記発熱素子22の形成と同時に、発熱素子22の中央部
に円形の削除部33を形成する。この削除部33は、オ
リフィス32の孔径よりも小さい径の円形に形成され
る。このように発熱素子22の中央部を削除するので発
熱の温度が中央に集中することがなく均等な熱エネルギ
ーを発生して、オリフィス32の径と同等の径で且つ高
さが均一な気泡を発生させることができる。
記発熱素子22の形成と同時に、発熱素子22の中央部
に円形の削除部33を形成する。この削除部33は、オ
リフィス32の孔径よりも小さい径の円形に形成され
る。このように発熱素子22の中央部を削除するので発
熱の温度が中央に集中することがなく均等な熱エネルギ
ーを発生して、オリフィス32の径と同等の径で且つ高
さが均一な気泡を発生させることができる。
【0045】もっとも、削除部33の径が大きすぎる
と、発熱素子22の中心部の温度が低くなり、この場合
でも発熱素子22の大きさとほぼ同じ大きさの気泡はで
きるが、中心部の高さが低くなってしまい、形の不均一
な且つ液量の不充分なインク滴が吐出される。また、中
心部の温度が更に低すぎる場合は、リング状の気泡とな
ってしまい、インクに与える吐出エネルギーは極端に低
くなってしまう。
と、発熱素子22の中心部の温度が低くなり、この場合
でも発熱素子22の大きさとほぼ同じ大きさの気泡はで
きるが、中心部の高さが低くなってしまい、形の不均一
な且つ液量の不充分なインク滴が吐出される。また、中
心部の温度が更に低すぎる場合は、リング状の気泡とな
ってしまい、インクに与える吐出エネルギーは極端に低
くなってしまう。
【0046】したがって、発熱素子22の中央部に設け
る削除部33の大きさは極めて重要な設計因子である。
本例の場合、実験により、下記のことが判明している。
すなわち、発熱素子22の中心部を周辺の温度と同じに
するために中心部に設ける削除部33の円形の直径は、
5μmよりも小さいと、周辺からの電熱を中央部が受け
過ぎて中央の温度が高く成りすぎ、高さが均一な気泡を
生成することができない。
る削除部33の大きさは極めて重要な設計因子である。
本例の場合、実験により、下記のことが判明している。
すなわち、発熱素子22の中心部を周辺の温度と同じに
するために中心部に設ける削除部33の円形の直径は、
5μmよりも小さいと、周辺からの電熱を中央部が受け
過ぎて中央の温度が高く成りすぎ、高さが均一な気泡を
生成することができない。
【0047】また、削除部33をオリフィス32の径よ
りも大きくすると、上記とは逆に中央部の温度が上昇せ
ず、リング状の気泡が生成されてしまう。したがって、
削除部33の大きさは、その直径をDとして、「5μm
≦D≦オリフィス径」とすれば良いことが判明した。
りも大きくすると、上記とは逆に中央部の温度が上昇せ
ず、リング状の気泡が生成されてしまう。したがって、
削除部33の大きさは、その直径をDとして、「5μm
≦D≦オリフィス径」とすれば良いことが判明した。
【0048】図4(a) は、上記の削除部付き発熱素子を
再掲する図、同図(b) 〜(d) は、同図(a) のCーC′断
面矢視図であり、均一な気泡が生成される過程を示す
図、同図(e) は、気泡消滅時のキャビテーション作用を
示す図である。
再掲する図、同図(b) 〜(d) は、同図(a) のCーC′断
面矢視図であり、均一な気泡が生成される過程を示す
図、同図(e) は、気泡消滅時のキャビテーション作用を
示す図である。
【0049】同図(a) に示す個別電極21から発熱素子
22への駆動パルスの通電により、発熱素子22が発熱
して、同図(b) に示すように、削除部33の周囲の発熱
部に核気泡34が発生し、これらと周囲からの伝導熱で
削除部33上にも発生する核気泡とが集合して、同図
(c) に示すように膜気泡35に成長し、更に、同図(d)
に示すように均一な気泡36に成長して、オリフィス3
2(図3(a) 参照)からインク滴を押し出す。この後、
同図(e) に示すように、収縮気泡37となって消滅す
る。このとき同図(e) の矢印に示すようにキャビテーシ
ョン作用が発生する。このキャビテーション作用は、削
除部33に最も強く働く、つまり露出しているシリコン
基板11の表面の絶縁層に働くが、周囲の発熱素子22
には、強力には作用しない。これにより発熱素子22
が、シリコン面から引き剥がされるキャビテーション損
傷は発生しない。
22への駆動パルスの通電により、発熱素子22が発熱
して、同図(b) に示すように、削除部33の周囲の発熱
部に核気泡34が発生し、これらと周囲からの伝導熱で
削除部33上にも発生する核気泡とが集合して、同図
(c) に示すように膜気泡35に成長し、更に、同図(d)
に示すように均一な気泡36に成長して、オリフィス3
2(図3(a) 参照)からインク滴を押し出す。この後、
同図(e) に示すように、収縮気泡37となって消滅す
る。このとき同図(e) の矢印に示すようにキャビテーシ
ョン作用が発生する。このキャビテーション作用は、削
除部33に最も強く働く、つまり露出しているシリコン
基板11の表面の絶縁層に働くが、周囲の発熱素子22
には、強力には作用しない。これにより発熱素子22
が、シリコン面から引き剥がされるキャビテーション損
傷は発生しない。
【0050】このように、オリフィスと発熱素子の削除
部との関係を適宜に設定すれば、均一な気泡を生成して
均一なインク滴を吐出することができると共に、オリフ
ィス直下の発熱素子の中央部が削除されていて発熱素子
が無いので、気泡の消滅時にオリフィス32の直下に集
中して発生するキャビテーション破壊力はシリコン基板
11に対して働くが、シリコン基板11の耐力はキャビ
テーション破壊力に対して充分に大きいので破壊される
ことはない。すなわち、発熱素子22にキャビテーショ
ン損傷は発生しない。
部との関係を適宜に設定すれば、均一な気泡を生成して
均一なインク滴を吐出することができると共に、オリフ
ィス直下の発熱素子の中央部が削除されていて発熱素子
が無いので、気泡の消滅時にオリフィス32の直下に集
中して発生するキャビテーション破壊力はシリコン基板
11に対して働くが、シリコン基板11の耐力はキャビ
テーション破壊力に対して充分に大きいので破壊される
ことはない。すなわち、発熱素子22にキャビテーショ
ン損傷は発生しない。
【0051】したがって、発熱素子22にキャビテーシ
ョン損傷防止膜等を設ける必要がなく、これにより、発
熱素子22の電力効率を大幅に向上させることができる
と共に、発熱素子位22の寿命が長くなって経済的であ
る。
ョン損傷防止膜等を設ける必要がなく、これにより、発
熱素子22の電力効率を大幅に向上させることができる
と共に、発熱素子位22の寿命が長くなって経済的であ
る。
【0052】図5は、400dpiまたは600dpi
のカラーヘッドにおいて実験した場合の、上記発熱素子
22の大きさ(外形)と、削除部33の大きさと、その
ときの抵抗値を、削除部を設けない矩形の場合の発熱素
子の抵抗値に対する倍率で示す図表である。
のカラーヘッドにおいて実験した場合の、上記発熱素子
22の大きさ(外形)と、削除部33の大きさと、その
ときの抵抗値を、削除部を設けない矩形の場合の発熱素
子の抵抗値に対する倍率で示す図表である。
【0053】同図は、発熱素子の大きさとして、40、
35、30、25μm□の4種類の大きさを設定し、そ
れぞれに3通りの大きさの径の削除部を形成して、その
場合の概略の抵抗値(計算値)を示している。例えば、
同図の1行目に示すように、発熱素子の外形を40μm
□として、削除部の大きさを10μmφに設計した場
合、抵抗値は標準的な四角形の場合の1.1倍となる。
また同図の2行目に示す同じ40μm□の大きさの発熱
素子に対して削除部の大きさが20μmφでは1.4倍
となる。すなわち発熱素子の抵抗が通常の四角形の場合
に250Ωであるとすれば、20μmφの削除部を設け
ると350Ωになることを示している。
35、30、25μm□の4種類の大きさを設定し、そ
れぞれに3通りの大きさの径の削除部を形成して、その
場合の概略の抵抗値(計算値)を示している。例えば、
同図の1行目に示すように、発熱素子の外形を40μm
□として、削除部の大きさを10μmφに設計した場
合、抵抗値は標準的な四角形の場合の1.1倍となる。
また同図の2行目に示す同じ40μm□の大きさの発熱
素子に対して削除部の大きさが20μmφでは1.4倍
となる。すなわち発熱素子の抵抗が通常の四角形の場合
に250Ωであるとすれば、20μmφの削除部を設け
ると350Ωになることを示している。
【0054】したがって、駆動回路との関係で250Ω
の出き上がりの抵抗値を得たい場合は、抵抗体膜厚を略
1.4倍に形成しておけば、40μm□の発熱素子に2
0μmφの削除部を設けて所望の250Ωの抵抗が得ら
れることになる。
の出き上がりの抵抗値を得たい場合は、抵抗体膜厚を略
1.4倍に形成しておけば、40μm□の発熱素子に2
0μmφの削除部を設けて所望の250Ωの抵抗が得ら
れることになる。
【0055】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、発熱素子の中央に削除部を設けて中央部は周辺部
からの伝熱により気泡を生成する温度を得るようにした
ので、発熱素子全体を均一温度に昇温することが可能と
なり、したがって、発熱素子全体から均一な形状の気泡
を生成することができ、これにより、むらの無いインク
滴を吐出して品質のよい印字を行うことが可能となる。
れば、発熱素子の中央に削除部を設けて中央部は周辺部
からの伝熱により気泡を生成する温度を得るようにした
ので、発熱素子全体を均一温度に昇温することが可能と
なり、したがって、発熱素子全体から均一な形状の気泡
を生成することができ、これにより、むらの無いインク
滴を吐出して品質のよい印字を行うことが可能となる。
【0056】また、気泡が消滅するときのキャビテーシ
ョン作用が集中するオリフィス直下に発熱素子が無いの
で、発熱素子がキヤビテーション損傷を受けることがな
く、したがって、キャビテーション損傷防止膜等を設け
る必要がなくなり、これにより、発熱素子の電力効率を
大幅に向上させることができると共に、発熱素子の寿命
が長くなって経済的である。
ョン作用が集中するオリフィス直下に発熱素子が無いの
で、発熱素子がキヤビテーション損傷を受けることがな
く、したがって、キャビテーション損傷防止膜等を設け
る必要がなくなり、これにより、発熱素子の電力効率を
大幅に向上させることができると共に、発熱素子の寿命
が長くなって経済的である。
【図1】(a) は一実施の形態におけるフルカラーのサー
マルインクジェットヘッドを示す図、(b) はその基板
(チップ)をシリコンウエハ上に多数形成した状態を示
す図である。
マルインクジェットヘッドを示す図、(b) はその基板
(チップ)をシリコンウエハ上に多数形成した状態を示
す図である。
【図2】(a) はサーマルインクジェットヘッド製造の最
初の工程を示す平面図と断面図、(b) は次の工程を示す
平面図と断面図、(c) は最後の工程を示す平面図と断面
図である。
初の工程を示す平面図と断面図、(b) は次の工程を示す
平面図と断面図、(c) は最後の工程を示す平面図と断面
図である。
【図3】(a) は本実施の形態におけるサーマルインクジ
ェットヘッドのオリフィス板及びオリフィスを示す拡大
平面図、(b) は発熱素子の形状を分かりやすくするため
オリフィス板を取り除いて電極と共に示す平面図であ
る。
ェットヘッドのオリフィス板及びオリフィスを示す拡大
平面図、(b) は発熱素子の形状を分かりやすくするため
オリフィス板を取り除いて電極と共に示す平面図であ
る。
【図4】(a) は削除部付き発熱素子を再掲する図、(b)
〜(d) は(a) のCーC′断面矢視図であり均一な気泡が
生成される過程を示す図、(e) は気泡消滅時のキャビテ
ーション作用を示す図である。
〜(d) は(a) のCーC′断面矢視図であり均一な気泡が
生成される過程を示す図、(e) は気泡消滅時のキャビテ
ーション作用を示す図である。
【図5】実験により発熱素子の大きさと削除部の大きさ
とそのときの抵抗値を矩形の発熱抵素子の抵抗値に対す
る倍率で示す図表である。
とそのときの抵抗値を矩形の発熱抵素子の抵抗値に対す
る倍率で示す図表である。
【図6】(a),(b),(c) はインクジェットヘッドの発熱素
子の発熱面に平行な方向へ吐出する構成を示す図、(d),
(e),(f) は発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出する構
成のものを示す図である。
子の発熱面に平行な方向へ吐出する構成を示す図、(d),
(e),(f) は発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出する構
成のものを示す図である。
【図7】(a),(b) はインク滴の吐出に係る気泡の成長と
消滅の過程を模式的に示す図である。
消滅の過程を模式的に示す図である。
1 シリコン基板 2 発熱素子 3 オリフィス板 4 オリフィス 5 インク 5′ 押し出されたインク 6 膜気泡 7 インク滴 8 オープンプール 9 発熱体 10 一実施の形態におけるサーマルインクジェットヘ
ッド 11 基板(チップ) 12(12a、12b、12c、12d) モノカラー
ヘッド 13 ノズル列 14 オリフィス板 15 シリコンウエハ 16 駆動回路 17 端子 18(18a、18b) 共通電極 19 共通電極給電端子 21 個別配線電極 22 発熱素子 23 インク供給路 24 インク給送孔 25(25、25−1、25−2) 隔壁 26 熱可塑性ポリイミド 27 オリフィス板 28 個別インク路 29 共通インク路 31 金属膜 32 ノズル孔(オリフィス) 33 削除部 34 核気泡 35 膜気泡 36 均一気泡 37 収縮気泡
ッド 11 基板(チップ) 12(12a、12b、12c、12d) モノカラー
ヘッド 13 ノズル列 14 オリフィス板 15 シリコンウエハ 16 駆動回路 17 端子 18(18a、18b) 共通電極 19 共通電極給電端子 21 個別配線電極 22 発熱素子 23 インク供給路 24 インク給送孔 25(25、25−1、25−2) 隔壁 26 熱可塑性ポリイミド 27 オリフィス板 28 個別インク路 29 共通インク路 31 金属膜 32 ノズル孔(オリフィス) 33 削除部 34 核気泡 35 膜気泡 36 均一気泡 37 収縮気泡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 一郎 東京都青梅市今井3丁目10番6号 カシオ 計算機株式会社青梅事業所内 Fターム(参考) 2C057 AF52 AF65 AG01 AG14 AG46 BA04 BA13
Claims (1)
- 【請求項1】 基板上に四角形の抵抗体よりなる複数の
発熱素子を設け、該発熱素子上に供給されるインクを前
記発熱素子にて加熱し、前記インクと前記発熱素子の界
面に気泡を発生させることにより前記発熱素子に対向し
て設けられたオリフィスよりインク滴を吐出するサーマ
ルインクジェットヘッドにおいて、 前記発熱素子は中央部に略円形の発熱体の削除部を形成
されて成り、該削除部の径をDとし、前記オリフィスの
径をQとするとき、5μm≦D≦Qであることを特徴と
するサーマルインクジェットヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30678998A JP2000127396A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | サーマルインクジェットヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30678998A JP2000127396A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | サーマルインクジェットヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000127396A true JP2000127396A (ja) | 2000-05-09 |
Family
ID=17961275
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30678998A Withdrawn JP2000127396A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | サーマルインクジェットヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000127396A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100695120B1 (ko) * | 2001-08-02 | 2007-03-14 | 삼성전자주식회사 | 버블 젯 방식의 잉크 젯 프린트 헤드 및 그 히터 |
-
1998
- 1998-10-28 JP JP30678998A patent/JP2000127396A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100695120B1 (ko) * | 2001-08-02 | 2007-03-14 | 삼성전자주식회사 | 버블 젯 방식의 잉크 젯 프린트 헤드 및 그 히터 |
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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