JP2000117985A - サーマルインクジェットヘッドの製造方法及びその製造中間体 - Google Patents

サーマルインクジェットヘッドの製造方法及びその製造中間体

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JP2000117985A
JP2000117985A JP28896898A JP28896898A JP2000117985A JP 2000117985 A JP2000117985 A JP 2000117985A JP 28896898 A JP28896898 A JP 28896898A JP 28896898 A JP28896898 A JP 28896898A JP 2000117985 A JP2000117985 A JP 2000117985A
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heating resistor
orifice plate
orifice
electrically conductive
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Katsuzo Uenishi
勝三 上西
Hideki Kamata
英樹 鎌田
Ichiro Kono
一郎 河野
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Casio Computer Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】駆動回路一体型のサーマルインクジェットヘッ
ドの歩留りが良く且つ時間効率の良い製造方法及びその
製造中間体を提供する。 【解決手段】シリコンウエハ24上のシリコンチップ1
は、工程1においてLSI技術による拡散層からなる駆
動回路2が形成され、これと並行してスクライブライン
25に同様にイオン拡散法により電気導通化拡散部19
が形成される。駆動回路2の左側に工程2において薄膜
処理技術による発熱素子、電極、隔壁、インク通路等か
らなるオリフィス板積層前の印字ヘッド内部構成が形成
され、その際に、駆動回路2の電源供給線等の電極配線
がが接地配線23を介して電気導通化拡散部19に接続
される。この後オリフィス板が積層される上記の電気導
通化拡散部19はへリコン波エッチング装置内において
接地短絡接続され、オリフィス板にオリフィス孔等がエ
ッチングされる。オリフィス孔等が空いたときの加速イ
オン電流による静電気は接地配線23と電気導通化拡散
部19を介して接地側に流失しLSI部に損傷を与える
ことが無い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動回路とこの駆
動回路に駆動される複数の発熱素子とこれらにインクを
供給するための通路及び隔壁とインクを吐出するための
オリフィスとがシリコン等の半導体基板上に形成される
サーマルインクジェットヘッドの製造方法及びその製造
中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、シリコン技術が発達し、単にLS
Iだけでなく、圧カセンサ、加速センサ、デジタルマイ
クロミラ、サーマルインクジェットヘッドなどのよう
に、LSIのパシべーション工程後に別のラインでマイ
クロマシン技術を使って所望の装置を完成させることが
行われつつある。
【0003】上記のサーマルインクジェットヘッドは、
発熱素子を熱してこの発熱素子上に核気泡を発生させ
る。この核気泡が合体して膜気泡が生まれる。この
膜気泡が断熱膨脹して成長し周囲のインクを押し遣る。
押し遣られたインクがインク滴となってノズルから吐
出される。成長した膜気泡が周囲のインクに熱を取ら
れて収縮する。ついには膜気泡が消滅して次のヒータ
加熱を待つ、という一連の工程を瞬時に行うことによっ
て印字を行うものである。そして上記の〜の工程に
は膜沸騰現象が利用されている。
【0004】膜沸騰現象は、例えば鉄の焼き入れのよう
に高温に加熱された物体を液体中に漬けた場合と、液体
と接する物体の表面温度を急激に上げた場合とに発現す
るが、サーマルインクジェットプリンタに用いられる膜
沸騰現象は後者の「液体と接する物体の表面温度を急激
に上げる」方法によっている。
【0005】上記インク滴の吐出方向には、発熱素子の
発熱面に平行な方向へ吐出する構成のものと、発熱素子
の発熱面に垂直な方向に吐出する構成のもの(ルーフシ
ュータ型)とがある。
【0006】上記の発熱素子の発熱面に平行な方向へイ
ンク滴を吐出する構成のものは、インク滴の吐出エネル
ギーが比較的大きく、1ドット当り概ね8〜10μJで
あるが、他方の発熱素子の発熱面に垂直な方向にインク
滴を吐出するルーフシュータ型のものは、0.5μJ以
下でよいことが実験の結果として得られている。
【0007】このルーフシュータ型のサーマルインクジ
ェットヘッドの製法として、シリコン等の半導体を用い
るLSI処理技術と薄膜処理技術を利用して、複数の発
熱素子と個々の駆動回路とインク吐出ノズル(オリフィ
ス)を同一半導体基板上に一括してモノリシック(mono
lithic)に形成する方法がある。
【0008】この方法によれば、例えば幅が10mmの
シリコンチップ上に解像度が360dpi(ドット/イ
ンチ)の印字ヘッドを作成しようとする場合は、128
個の発熱素子と駆動回路とオリフィス(一般には導波管
等の終端または壁面に形成されたエネルギー伝達用の孔
又は窓の意に用いられてきた用語)を形成し、また、解
像度が720dpiの場合であれば256個の発熱素子
と駆動回路とオリフィスを形成する。
【0009】ところで、上記のようにサーマルインクジ
ェットヘッドを製造する工程の後段に、ポリイミドから
なるオリフィス板に孔空けを行って多数のオリフィスを
形成する工程がある。これには上記のポリイミド板にA
l、Ni又はCuなどの金属膜を積層した後、これをパ
ターン化し、このパターン化した金属膜をマスクにして
ポリイミド板を選択的にエッチングする。
【0010】一般に、ポリイミドに対して毎分1μm以
上のエッチングを行うことが可能なプラズマ密度の高い
ヘリコン波エッチング装置によると、ポリイミドと金属
膜の選択比が1/50〜1/100であり実用可能な値
である。但しこのエッチングの速度や金属膜との選択比
はヘリコン波エッチングのガス条件やバイアス条件など
によって変化する。もっとも、このへリコン波エッチン
グは、プラズマ密度が大きいため超微細加工には不適と
されており、従来、LSI製造工程では使われていなか
ったものである。
【0011】しかし、上記のオリフィス板は他の構成部
分に比較して極めて厚く、その厚いオリフィス板にオリ
フィス孔を通常のフォトドライエッチングを用いて空け
るのでは作業に時間がかかり過ぎる。このため、エッチ
ング速度の速いへリコン波エッチング法によるエッチン
グが検討されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように微細加工によるLSIや微細な発熱抵抗体が形成
された後で行うドライエッチングによるポリイミドの孔
空け作業には細かな工夫が必要とされる。
【0013】それというのも、ヘリコン波エッチングや
ECRエッチング等のドライエッチングにおいては、イ
オン電流が50mA/cm2程度もあり、装置によって
は更にバイアスを印加する場合もあるから、エッチング
のプラズマ密度が極めて大きい。このため、そのままの
状態でエッチングを行うと、オリフィス板にオリフィス
孔が空いて、その直後に上記加速イオン電流により発熱
抵抗体だけでなくLSIも破壊されてしまうという問題
が発生するからである。
【0014】したがって、オリフィス板にオリフィス孔
が貫通し孔空けが完了する直前にイオン電流を下げたり
バイアスを下げてエッチングの性能を落とし、これによ
り、強力なイオン電流がオリフィス板を貫通して下地の
LSIや抵抗に損傷を与えることのないようにしなけれ
ばならない。
【0015】また、上記のエッチング装置には1枚のウ
エハを入れてエッチングを行うが、イオン電流による静
電気が広く発生する。したがって、この静電気によって
起こるLSIの損傷も防止しなければならない。そし
て、このような静電気からLSIを守るために、LSI
の入力端子に保護用ダイオードを設けることが行われて
いる。しかしながら、これは静電電流に有効であって
も、加速されたイオン電流に対しては効果を上げること
は難しく、したがって、詰まるところは加工条件の緩和
が唯一の解決方法であった。
【0016】特に、ルーフシュータ型のサーマルインク
ジェットヘッドの製造工程では、LSIの形成された基
板全面にポリイミドフィルムを張り付けて、その後でド
ライエッチングを行うようにしているため、オリフィス
の下に対向して配置される発熱抵抗体だけでなく、LS
Iの各接続端子つまりLSIの信号入力端子部分につい
ても特別な配慮が必要である。
【0017】例えば100μm□のLSIの端子である
ボンデングパットには5μA程度の電流が流れ込む。こ
のため、オリフィス貫通時の加工条件については、LS
Iの損傷を極力少なくするように、加工条件を調整する
必要があった。この調整のために加工に要する時間をそ
の分だけ余計に設定する必要がある。また、加工状態の
バラツキもあるため、例えばバラツキの最大値に合わせ
て調整すると一層時間を要することになる。このバラツ
キを無視して調整を行うと、シリコンウエハの歩留まり
低下をもたらすという問題が発生する。
【0018】したがって、このポリイミドのオリフィス
板を加工する際の調整では、貫通直前に作業を中断し、
LSIを損傷させることの少ない条件にドライエッチン
グの条件を設定し直して加工を再開し、丁度オリフィス
が加工された(貫通した)状況でエッチングを止めるよ
うに時間を設定する。そして、エツチングのバラツキな
どにより孔空けが不十分で貫通していない場合は、再び
真空装置にシリコンウエハをセットしてエッチングする
という非効率な作業を行っていた。
【0019】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
駆動回路一体型のサーマルインクジェットヘッドを歩留
り良く且つ時間的にも効率良く製造するサーマルインク
ジェットヘッドの製造方法及びその製造中間体を提供す
ることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】先ず、請求項1記載の発
明のサーマルインクジェットヘッドの製造方法は、シリ
コンウエハ等の半導体ウエハ上にスクライブラインで区
画された所定面積の基板区画を複数個設定する工程と、
該複数の基板区画それぞれに発熱抵抗体駆動回路及び該
発熱抵抗体駆動回路に対応する複数の発熱抵抗体を形成
し上記複数の発熱抵抗体と上記発熱抵抗体駆動回路とを
接続する配線を形成することに並行して上記スクライブ
ラインを電気導通化する工程と、少なくとも上記各駆動
回路と電気導通化された上記スクライブラインとを接地
短絡接続する工程と、上記発熱抵抗体に対応するインク
流路を形成すべく隔壁を積層した後オリフィス板を積層
する工程と、該オリフィス板にドライエッチングにより
オリフィスを穿設する工程と、上記スクライブラインに
沿って上記シリコンウエハを切断する工程とを含んで編
成される。
【0021】上記スクライブラインの電気導通化は、例
えば請求項2記載のように、上記スクライブラインにイ
オン拡散法によりN+拡散層又はP+拡散層を形成する
ことによって行い、また、例えば請求項3記載のよう
に、上記スクライブラインに電導性金属材を積層するこ
とによって行うように編成される。。
【0022】また、上記オリフィス板に穿設されるオリ
フィスは、例えば請求項4記載のように、上記発熱抵抗
体にそれぞれ対向してルーフシュータ型に配置されて形
成される。また、上記ドライエッチングは、例えば請求
項5記載のように、ヘリコン波プラズマエッチングであ
る。
【0023】次に、請求項6記載の発明であるサーマル
インクジェットヘッドの製造中間体は、1枚の半導体基
板を電気導通化されたスクライブラインで区画した所定
面積の複数の基板区画と、該複数の基板区画それぞれに
形成された発熱抵抗体駆動回路と、該発熱抵抗体駆動回
路と上記スクライブラインの電気導通化部分とを接続す
る配線とを備えている。
【0024】上記スクライブラインの電気導通化部分
は、例えば請求項7記載のように、イオン拡散法による
N+拡散層又はP+拡散層が形成されて成り、また、例
えば請求項8記載のように、導電性金属材の積層により
形成されて成る。
【0025】そして、請求項6のサーマルインクジェッ
トヘッド製造中間体は、例えば請求項9記載のように、
上記発熱抵抗体駆動回路に対応する発熱抵抗体を更に形
成されて成り、また、例えば請求項10記載のように、
上記発熱抵抗体に対応するインク流路を形成する隔壁を
更に積層されて成り、また、例えば請求項11記載のよ
うに、上層部にオリフィス板を更に積層されて成り、ま
た、例えば請求項12記載のように、上記オリフィス板
にドライエッチングによるオリフィスを更に穿設されて
成る。また、上記オリフィスは、例えば請求項13記載
のように、発熱抵抗体に対向して形成されるルーフシュ
ータ型から成る。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a),(b),(c),(d) は、一
実施の形態におけるサーマルインクジェットヘッドの製
造方法を工程順に説明する図であり、それぞれ一連の工
程において、1個の基板(シリコンチップ)上に形成さ
れていくサーマルインクジェットヘッドの概略の平面図
を模式的に示している。尚、同図(d) には21個の大き
なインク吐出ノズル(オリフィス)を示しているが、実
際には、128個又は256個のオリフィスが、およそ
10×15mmの大きさの基板上に形成されているもの
である。そして、このような基板が1枚のシリコンウエ
ハ上に、スクライブラインで区画されて、多数(例えば
90個以上)形成されているものである。
【0027】図2(a) は、上段に上記の図1(b) を模式
的に拡大して示し、中段に上段のA−A′断面矢視図を
示し、下段に上段のB−B′断面矢視図を示している。
また、図2(b) は、図2(a) に続く工程を示しており、
その上段、中段及び下段に示される部位は、図2(a) の
上段、中段及び下段に示す部位に対応している。そし
て、図2(c) は、上段に図1(d) を模式的に拡大して示
している。この上段並びに中段及び下段に示される部位
は、図2(a) の上段、中段及び下段に対応する部位であ
る。尚、これらの図2(a),(b),(c) には、図示する上で
の便宜上、128個又は256個のオリフィスを、5個
のオリフィスで代表させて示している。
【0028】以下、上記の図1(a) 〜(d) 及び図2(a),
(b),(c) を用いて、サーマルインクジェットヘッドの製
造方法を説明する。先ず、最初に、基本的な製造方法に
ついて説明する。
【0029】工程1として、4インチ以上のシリコン基
板に、LSI形成処理により電極配線21(図3(c) 参
照)を備える駆動回路とその端子を形成すると共に、厚
さ1〜2μmのパッシベーション膜22(図3(c) 参
照)を形成する。この後、コンタクト孔空けを行うと共
に不用部分のパッシベーション膜22を除去する。図1
(a) は、上記の工程1が終了した直後の状態を示してい
る。すなわち、シリコン基板1上には、駆動回路2及び
駆動回路端子3が形成されており、同図(a) では定かに
は見えないが酸化膜4が形成されている。
【0030】次に、工程2として、薄膜形成技術を用い
て、Ta−Si−Oなどからなる発熱素子形成用の発熱
抵抗膜をスパッタ技術などにより4000Åの厚みで成
膜し、共通電極と個別配線電極を形成するための電極膜
を形成する。この電極膜は、W−Al(又はW−Ti、
W−Si)などからなるバリアメタル膜に、Auによる
電極膜を積層した多層構造とすることが好ましい。
【0031】そして、ホトリソ技術によって電極膜に
(バリアメタル膜が形成されている場合はそのバリアメ
タル膜も)配線部分のパターンを形成し、発熱抵抗膜に
は例えばほぼ正方形の露出部が形成され微細な発熱部
(ヒータ)のパターンを形成する。それぞれの発熱抵抗
体の抵抗を後からの調整を配慮して最終的な厚さよりも
厚く、即ち抵抗値としては最終的な抵抗値よりも低い抵
抗値、例えば230Ωに設定する。この工程で発熱部の
位置が決められる。
【0032】図1(b) は、上記工程2における電極膜の
成膜後の状態を示し、図2(a) は、上記の工程2が終了
した直後の状態を示している。すなわち、シリコン基板
1上には共通電極5(5a、5b)、共通電極給電端子
6(図1(b) 参照)、個別配線電極7、多数の発熱部8
が形成されている。
【0033】続いて、工程3として、個々の発熱部8に
対応するインク溝を形成すべく感光性ポリイミドなどの
有機材料からなる隔壁部材をコーティングにより高さ2
0μm程度に形成し、これをパターン化した後に、30
分〜60分、場合によって2時間、300℃〜400℃
の熱を加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、キュア
後の高さ10μmの上記感光性ポリイミドによる隔壁を
シリコン基板上に形成・固着させる。
【0034】更に、工程4として、ウェットエッチング
またはサンドブラスト法などにより上記シリコン基板の
面に溝状のインク供給路を形成し、更にこのインク供給
路に連通し下面に開口するインク給送孔を形成する。
【0035】図2(b) は、上述の工程3及び工程4が終
了した直後の状態を示している。すなわち、溝状のイン
ク供給路9及びインク給送孔10が形成され、インク供
給路9の左側に位置する共通電極5(5b)部分と、右
方の個別配線電極7が配設されている部分、及び各発熱
部8間に、隔壁11(11、11−1、11−2)が形
成されている。この隔壁11は、個別配線電極7上の部
分11−1を櫛の胴とすれば、各発熱部8間に伸び出す
部分11−2は櫛の歯に相当する形状をなしている。こ
れにより、この櫛の歯を仕切り壁として、その歯と歯の
間の付け根部分に発熱部8が位置する微細なインク溝
が、発熱部体8の数だけ形成される。この櫛の歯の長さ
を変えることによりインクの流通するコンダクタンスが
変わり、また隣接するインク溝を流動するインク間の干
渉にも影響する。
【0036】この後、工程5として、ポリイミドからな
る厚さ10〜30μmのフィルムのオリフィス板を、そ
の片面に接着剤としての熱可塑性ポリイミドを極薄に例
えば厚さ2〜5μmにコーテングし、上記積層構造の最
上層に張り付けて、隔壁11−2によって形成されたイ
ンク溝に蓋をし、これにより、個別の微細通路(インク
溝坑)を形成する。そして、200〜300℃で加熱し
ながら加圧してオリフィス板を固着させる。続いて、オ
リフィス板表面にNi、Cu又はAlなどの厚さ0.5
〜1μm程度の金属膜を形成する。
【0037】図1(c) は、上記の工程5が終了した直後
の状態を示している。すなわち、基板1の再上層に、片
面(図1(c) では向う側の面)に熱可塑性ポリイミド1
2をコーテングされたオリフィス板13が、全領域を覆
って積層され、その上面(図1(c) では手前の面)に金
属膜14が形成されている。
【0038】更に、工程6として、オリフィス板の上の
金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッチ
ングする為のマスクを形成し、続いて、オリフィス板を
へリコン波エッチング装置などにより上記の金属膜マス
クに従って、40μmφ〜20μmφの孔空けをして多
数のノズル孔(オリフィス)を一括形成すると共に、駆
動回路端子や共通電極給電端子6等の印字ヘッド側端子
に対応するコンタクト孔も一括形成する。
【0039】図1(d) 及び図2(c) は、上述の工程6が
終了した直後の状態を示している。すなわち、上述した
ように駆動回路端子3及び共通電極給電端子6を除く全
領域を覆ったオリフィス板13により、上述したインク
溝が上を覆われて、隔壁11の厚さ10μmに対応する
高さの坑状のインク溝(インク供給路)15が形成さ
れ、このインク溝15とインク供給路9とを連通させる
インク通路16が形成されている。
【0040】そして、オリフィス板13には、発熱部8
に対応する部分にインク吐出用のノズル孔(オリフィ
ス)17がエッチングによって形成されており、これに
より、1列のノズル孔17を備えたサーマルインクジェ
ットヘッドがシリコンウエハ24上に完成する(図4
(b) 参照)。
【0041】このようにオリフィス板13を張り付け
て、その後で、下地のパターンつまり発熱部8の位置に
合わせてノズル孔(オリフィス)を加工することは、予
めオリフィスを加工したオリフィス板を張り合わせるよ
りも、遥かに生産性の高い実用性のある方法である。ま
た、ドライエッチングによる場合は、マスクはNi、C
u、又はAlなどの金属膜を使うことで樹脂と金属膜と
の選択比が概略100程度得られる。したがって、20
〜40μmのポリイミドフィルムのエッチングには1μ
m以下の金属膜でマスクを形成することで十分である。
【0042】ここまでが、ウエハの状態で処理される。
そして、最後に、工程7として、ダイシングソーなどを
用いてカッテングして、単位毎に個別に分割し、実装基
板にダイスボンデングし、端子接続して、サーマルイン
クジェットヘッド18が完成する。
【0043】上記の1列のノズル孔17を備えたサーマ
ルインクジェットヘッド18は、モノクロ用インクジェ
ットヘッドの構成であるが、通常フルカラー印字におい
ては、減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼン
タ(M)、シアン(C)の3色に、文字や画像の黒部分
に専用されるブラック(Bk)を加えて合計4色のイン
クを必要とする。したがって、最低でも4列のノズル列
が必要である。そして、上述した製造方法によれば4列
の発熱ヘッドをモノリシックに構成することが可能であ
り、各列の位置関係も今日の半導体の製造技術により正
確に配置することが可能である。
【0044】このサーマルインクジェットヘッド18
は、印字に際しては各発熱部8が印字情報に応じて選択
的に通電され、瞬時に発熱して膜沸騰現象を発生させ、
その発熱部8に対応するノズル孔17からインク滴が吐
出される。このようなサーマルインクジェットヘッドで
はインク滴はノズル孔17の径に対応する大きさの略球
形で吐出され、紙面上に略その倍の径の大きさとなって
印字される。
【0045】ところで、上述したサーマルインクジェッ
トヘッド18の製造工程においては基本的な製造方法を
説明したが、本実施の形態における特徴として、上述の
基本的製造方法に加えて、オリフィスの形成に先立つ前
段の工程に特別の工夫が凝らされている。
【0046】その工夫によって、エッチング装置として
プラズマ密度の高いヘリコン波エッチング装置を用いて
高速にオリフィスを形成し且つヘリコン波エッチングで
発生し易いLSI部の損傷を防止してシリコンウエハの
高い歩留りが得られるようにしている。以下に、これを
説明する。
【0047】図3(a) は、図1(a) を再掲したものであ
り、図3(b) は、図1(d) 及び図2(c) に示した工程6
が終了した直後のオリフィス17近傍の更なる拡大断面
図である。そして、図3(c) は、工程2が終了した直後
のC矢視一部断面拡大図であり、同図(d) は、その接地
配線23のみを取り出しして示す平面図である。
【0048】本実施の形態におけるサーマルインクジェ
ットヘッドの製造において、先ず前述した工程1では、
LSI処理技術により、図3(a) に示すように、ラッチ
回路やシフトレジスタ回路等の拡散部と、発熱部8に各
個対応するスイッチングトランジスタ列の拡散部とから
なる駆動回路2が形成され、駆動回路端子3が形成さ
れ、厚さ1〜2μmの酸化膜4(図3(c) 参照)が形成
される。
【0049】そして、このとき上記の拡散部の形成と並
行して、図3(a),(c) に示すように、スクライブライン
部分に拡散部19を形成して、スクライブライン部分を
電気導通化する処理を行う。尚、この処理では、イオン
拡散法によるN+拡散又はP+拡散のいずれの方法でも
よい。
【0050】この後、次の工程2において、既述のよう
に薄膜技術によりTa−Si−Oなどからなる発熱抵抗
膜及びバリアメタル膜とAu電極膜からなる多層導電膜
が形成され、図2(a) に示すように、ホトリソ技術によ
り発熱部(発熱素子)8が形成され、共通電極5、個別
配線電極7が形成される。そして、この個別配線電極7
や共通電極5を形成する工程2において、図3(c) に示
すように、駆動回路の端子3(図3(a) 参照)と前述の
電気導通化したスクライブライン19を接地する接地配
線23も、同時に同様の多層構造に形成する。この接地
配線23は、電極部23aと延出部23bと除去部23
cとからなる。この接地配線23の除去部23cの先端
部は、上記のスクライブライン部分に形成されている拡
散部19に接続される。
【0051】尚、図3(c),(d) に示す長さEは、同図
(a) に示す各シリコンチップ1とシリコンチップ1との
間に設定されているスクライブラインの幅の1/2の長
さを示している。
【0052】図4(a) は、上記の工程2が終了した状態
のシリコンチップ1を示し、同図(b) は、そのシリコン
チップ1がシリコンウエハ24上に多数形成されている
状態を示す図である。同図(a) に示すように、各シリコ
ンチップ1を区画するスクライブライン25には、上述
したように、電気導通化拡散部19が形成され、その電
気導通化拡散部19に、各シリコンチップ1の接地配線
23(除去部23c)が接続されている。上記の電気導
通化拡散部19を介した接地配線は、工程6に入る前
に、へリコン波エッチング装置内において接地短絡接続
される。
【0053】この状態において、図1(c) に示したよう
に、オリフィス板13が最上層に加熱圧着される。そし
て、金属膜のパターン化されたマスク14にしたがっ
て、ヘリコン波エッチング装置によりドライエッチング
が行われ、多数のオリフィスと各種接続端子のコンタク
ト孔が一括形成される。このとき、加工条件に対する手
数の掛かる厳密な調整は必要なく、オリフィス板13に
オリフィス17等が空くまでの時間設定でよい。
【0054】たとえオリフィス17が空いたとき加速イ
オン電流やこれによる静電気が発熱部や接続端子を直撃
するようなことがあっても、これによって発生する電流
は、LSI電源供給線等のLSI電極配線21、接地配
線23、スクライブライン25の電気導通化拡散部1
9、及びヘリコン波エッチング装置の接地短絡接続部を
介して接地側に消失し、LSI部を損傷させることはな
い。
【0055】このようにヘリコン波エッチング装置を用
いLSI部を損傷させることなくオリフィス等の多数の
孔を高速に一括形成した後、工程7において、ダイシン
グソーなどによるカッテングが行われ、図3(c),(d) に
示した幅2Eの接地使命の終了したスクライブライン2
5部分が切除される。
【0056】尚、上記の実施の形態では、スクライブラ
イン25に対する電気導通化の処理をイオン拡散法によ
っているが、スクライブライン25の電気導通化はこれ
に限ることなく、図5に示すように、工程2において発
熱抵抗膜や共通電極及び個別配線電極等を形成する際
に、これらの電極形成と同一処理により、接地配線23
を形成すると共に、スクライブライン25上に発熱抵抗
膜と電極膜の多層膜からなる電気導通路26を接地配線
23と同様に形成するようにしてもよい。
【0057】また、接地配線23及び図5の実施形態に
おける電気導通路26を形成する膜の一つとしてAu電
極を用いているが、Auはダイシングソーの目詰まりを
誘発する虞があるから、上記電気導通路26は発熱抵抗
膜だけで形成してもよい。
【0058】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、最終工程で切除されるスクライブラインを利用し
てこのスクライブラインに電気導通部を形成して接地さ
せ、この電気導通部にLSI電極配線を接続するので、
高速なドライエッチングを行うことのできるヘリコン波
エッチング装置でオリフィス等の孔空け処理を行う際、
加速イオン電流やこれにより発生した静電気をスクライ
ブラインの電気導通部を介して接地により流失させるこ
とができ、これにより、ドライエッチングのイオン電流
よるLSI部の損傷を防止でき、したがって、処理の高
速なヘリコン波エッチング装置を用いて高速に且つ歩留
りよくサーマルインクジェットヘッドを製造することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c),(d) は一実施の形態におけるサー
マルインクジェットヘッドをその製造方法を工程順に示
す平面図である。
【図2】(a),(b),(c) はそれぞれ上段に工程順のサーマ
ルインクジェットヘッドの平面図を模式的に拡大して示
し、中段に上段のA−A′矢視断面、下段に上段のB−
B′矢視断面を示す図である。
【図3】(a) は工程1終了後のシリコンチップを示す
図、(b) は工程6が終了したときのオリフィス近傍の更
なる拡大断面図、(c) は(a) に対して工程2が終了した
ときのC矢視一部断面拡大図、(d) はその接地配線のみ
を取り出して示す平面図である。
【図4】(a) は工程2が終了した状態のシリコンチップ
を示す平面図、(b) はそのシリコンチップがシリコンウ
エハ上に多数形成されている状態を示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 駆動回路 3 駆動回路端子 4 酸化膜 5(5a、5b) 共通電極 6 共通電極給電端子 7 個別配線電極 8 発熱部(発熱素子) 9 インク供給路 10 インク給送孔 11(11、11−1、11−2) 隔壁 12 熱可塑性ポリイミド 13 オリフィス板 14 金属膜マスク 15 インク溝 16 インク通路 17 ノズル(オリフィス) 18 サーマルインクジェットヘッド 19 電気導通化拡散部 21 LSI電極配線 22 パッシベーション膜 23 接地配線 23a 接地配線の電極部 23b 接地配線の延出部 23c 接地配線の除去部 24 シリコンウエハ 25 スクライブライン 26 電気導通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 一郎 東京都青梅市今井3丁目10番6号 カシオ 計算機株式会社青梅事業所内 Fターム(参考) 2C057 AF72 AF93 AG12 AG46 AG88 AP02 AP13 AP14 AP22 AP32 AQ02 BA03 BA13

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウエハ上にスクライブラインで区
    画された所定面積の基板区画を複数個設定する工程と、 該複数の基板区画それぞれに発熱抵抗体駆動回路及び該
    発熱抵抗体駆動回路に対応する複数の発熱抵抗体を形成
    し前記複数の発熱抵抗体と前記発熱抵抗体駆動回路とを
    接続する配線を形成することに並行して前記スクライブ
    ラインを電気導通化する工程と、 少なくとも前記各駆動回路と電気導通化された前記スク
    ライブラインとを接地短絡接続する工程と、 前記発熱抵抗体に対応するインク流路を形成すべく隔壁
    を積層した後オリフィス板を積層する工程と、 該オリフィス板にドライエッチングによりオリフィスを
    穿設する工程と、 前記スクライブラインに沿って前記半導体ウエハを切断
    する工程と、 を含むことを特徴とするサーマルインクジェットヘッド
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記スクライブラインの電気導通化は、
    前記スクライブラインにイオン拡散法によりN+拡散層
    又はP+拡散層を形成することによって行うことを特徴
    とする請求項1記載のサーマルインクジェットヘッドの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記スクライブラインの電気導通化は、
    前記スクライブラインに電導性金属材を積層することに
    よって行うことを特徴とする請求項1記載のサーマルイ
    ンクジェットヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記オリフィス板に穿設されるオリフィ
    スは、前記発熱抵抗体にそれぞれ対向してルーフシュー
    タ型に配置されて形成されることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載のサーマルインクジェットヘッドの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記ドライエッチングは、ヘリコン波プ
    ラズマエッチングであることを特徴とする請求項1、
    2、3又は4記載のサーマルインクジェットヘッドの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 サーマルインクジェットヘッドを製造す
    るときの中間体であって、 1枚の半導体基板を電気導通化されたスクライブライン
    で区画された所定面積の複数の基板区画と、 該複数の基板区画それぞれに形成された発熱抵抗体駆動
    回路と、 該発熱抵抗体駆動回路と前記スクライブラインの電気導
    通化部分とを接続する配線と、 を少なくとも備えたことを特徴とするサーマルインクジ
    ェットヘッドの製造中間体。
  7. 【請求項7】 前記スクライブラインの電気導通化部分
    は、イオン拡散法によるN+拡散層又はP+拡散層が形
    成されて成ることを特徴とする請求項6記載の製造中間
    体。
  8. 【請求項8】 前記スクライブラインの電気導通化部分
    は、導電性金属材の積層により形成されて成ることを特
    徴とする請求項6記載の製造中間体。
  9. 【請求項9】 前記発熱抵抗体駆動回路に対応する発熱
    抵抗体を更に形成されて成ることを特徴とする請求項
    6、7又は8記載の製造中間体。
  10. 【請求項10】 前記発熱抵抗体に対応するインク流路
    を形成する隔壁を更に積層されて成ることを特徴とする
    請求項9記載の製造中間体。
  11. 【請求項11】 上層部にオリフィス板を更に積層され
    て成ることを特徴とする請求項10記載の製造中間
    体。、
  12. 【請求項12】 前記オリフィス板にドライエッチング
    によるオリフィスを更に穿設されてなることを特徴とす
    る請求項11記載の製造中間体。
  13. 【請求項13】 前記オリフィスは、発熱抵抗体に対向
    して形成されるルーフシュータ型から成ることを特徴と
    する請求項12記載の製造中間体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102259492A (zh) * 2010-05-28 2011-11-30 佳能株式会社 半导体器件、液体排出头、液体排出盒和液体排出装置

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CN102259492A (zh) * 2010-05-28 2011-11-30 佳能株式会社 半导体器件、液体排出头、液体排出盒和液体排出装置
US8562111B2 (en) 2010-05-28 2013-10-22 Canon Kabushiki Kaisha Semiconductor device, liquid discharge head, liquid discharge cartridge, and liquid discharge apparatus
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