JP2000127402A - サーマルインクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

サーマルインクジェットヘッド及びその製造方法

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JP2000127402A
JP2000127402A JP30010898A JP30010898A JP2000127402A JP 2000127402 A JP2000127402 A JP 2000127402A JP 30010898 A JP30010898 A JP 30010898A JP 30010898 A JP30010898 A JP 30010898A JP 2000127402 A JP2000127402 A JP 2000127402A
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ink supply
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supply groove
groove
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JP30010898A
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Katsuzo Uenishi
勝三 上西
Satoshi Kanemitsu
聡 金光
Minoru Kumagai
稔 熊谷
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Casio Computer Co Ltd
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Casio Computer Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】材料歩留がよく強度もある小型なサーマルイン
クジェットヘッド及びその製造方法を提供する。 【解決手段】単一基板20に複数の発熱素子24と、こ
れらを発熱駆動する配線電極21、23と、駆動回路2
5と、個々の発熱素子24上にインクを供給するインク
通路を形成する隔壁27と、インク通路に連通しインク
通路にインクを供給する共通インク供給溝29と、この
共通インク供給溝29に連通し発熱素子24の配置され
ている面とは反対側面まで貫通して形成され共通インク
供給溝29に外部からインクを送るインク給送孔28
と、発熱素子24に対応して配置されるオリフィスとを
有し、基板の厚さSh 、共通インク供給溝29の幅Mw
及び溝深さMh には、Mw <Mh 、0.4×Sh <Mh
<0.6×Sh の関係を持たせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、材料歩留まりが高
く時間的に効率良くモノリシックに製造できる小型なサ
ーマルインクジェットヘッド及びその製造方法を提供す
ることである。
【0002】
【従来の技術】近年、サーマルインクジェット方式のプ
リンタが広く用いられている。このサーマルインクジェ
ット方式は、印字のために吐出するインクの液滴形成の
過程において、発熱素子を熱してこの発熱素子上に核
気泡を発生させる。この核気泡が合体して膜気泡が生
まれる。この膜気泡が断熱膨脹して成長し周囲のイン
クを押し遣る。その成長した膜気泡が周囲のインクに
熱を取られて収縮する。ついには膜気泡が消滅し、次
のヒータ加熱を待つ、という一連の工程を瞬時に行うこ
とによって成り立っている。そして上記の〜の工程
には膜沸騰現象が利用されている。
【0003】膜沸騰現象は、例えば鉄の焼き入れのよう
に高温に加熱された物体を液体中に漬けた場合と、液体
と接する物体の表面温度を急激に上げた場合とに発現す
るが、サーマルインクジェットプリンタに用いられる膜
沸騰現象は後者の「液体と接する物体の表面温度を急激
に上げる」方法によっている。そして、上記のインク滴
の吐出方向には、発熱素子の発熱面に垂直な方向に吐出
する構成のものと、発熱素子の発熱面に平行な方向へ吐
出する構成のものとがある。
【0004】また、このようなサーマルインクジェット
ヘッドは、モノクロ印字のものばかりでなく、三原色の
インクをそれぞれ吐出してフルカラー印字を行うものも
実用化されつつある。このフルカラー用サーマルインク
ジェットヘッドの製法として、シリコンLSI形成処理
技術と薄膜技術を利用して、複数の発熱素子とこれらを
個々に駆動する駆動回路とインク供給路とインク吐出ノ
ズル(オリフィス)とを、一枚のシリコンチップ上にモ
ノリシック(monolithic)に形成する方法がある。
【0005】この方法によれば、例えば幅が10mmの
シリコンチップ上に解像度が360dpi(ドット/イ
ンチ)の印字ヘッドを作成しようとする場合は、128
個の発熱素子と駆動回路とオリフィス(一般には導波管
等の終端または壁面に形成されたエネルギー伝達用の孔
又は窓の意に用いられてきた用語)が形成されることに
なり、また、解像度が720dpiの場合であれば25
6個の発熱素子と駆動回路とオリフィスが形成されるこ
とになる。
【0006】図5(a) は、そのようなフルカラー用のサ
ーマルインクジェットヘッドの基板(チップ)をシリコ
ンウエハ上に多数形成した状態を示す図であり、同図
(b) は、1チップの模式的拡大図、同図(c) は、そのA
−A′断面矢視図である。同図(a) に示すシリコンウエ
ハ1は、6インチ径のものを示しており、このウエハ1
から15mm×10mmの寸法のチップ2が92個採取
できる。同図(b),(c) はそれらの92個のチップ2の中
の1つを拡大して示している。
【0007】同図(b),(c) に示すチップ2は、全工程の
およそ1/3を終了した状態の基板を示しており、そこ
には破線で示すように4つの駆動回路3が形成され、4
本の共通インク供給溝4が穿設され、駆動回路3と共通
インク供給溝4の間には、同図(c) に示すように128
個又は256個の発熱素子5が形成されている。そし
て、各共通インク供給溝4には、その共通インク供給溝
4からチップ2の反対側の面に貫通して形成されたイン
ク給送孔6が連通している。
【0008】通常、上記の共通インク供給溝4は、20
0〜300μm幅で深さは20〜50μmであり、シリ
コンの湿式エッチングにより形成される。また、また裏
面から形成されるインク給送孔もKOHなどの薬剤で異
方性エッチングにより形成する。
【0009】上記の発熱素子5には配線電極として共通
電極7と個別配線電極8とが接続され、その個別配線電
極8に駆動回路3が接続している。これらの上に隔壁9
が積層されて、個々の発熱素子5へインクを案内するイ
ンク通路11が形成され、更にオリフィス板12が積層
され、そのオリフィス板12の上記発熱素子5に対向す
る位置にオリフィス13が穿設されてサーマルインクジ
ェットヘッドが完成する。
【0010】このサーマルインクジェットヘッドの使用
に際しては、上記の発熱素子5に供給されるインクは、
全ての発熱素子5に均等に供給されるべきものであるか
ら、外部のインクタンクからインクを供給するインク給
送孔6と個々の発熱素子5へインクを案内するインク通
路11とに連通する4本の共通インク供給溝4は、いず
れも或る一定の大きさの流量を確保できるように形成さ
れていなければならない。つまり、溝の長手方向に直角
な断面積が、或る一定以上の大きさで形成されていなけ
ればならない。この大きさが小さいと、インクの流量に
制約を受け、インクの流通が不均一になって均等な印字
が出来なくなる。図5(c) で共通インク供給溝4の断面
が、いずれも溝が形成されている面に沿って、幅広に形
成されているのは上記の理由に拠っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、上
記のようなチップ2は、図5(a) に示すように、1枚の
ウエハ1から92個も採取するのであるから、1個のチ
ップ2の寸法が僅か変化しただけも合計の取り数に大き
な差が発生する。したがって、チップ2の寸法は、これ
を極力小さくして、1枚のウエハ1から取れるチップ2
の数を増やして歩留まりを向上させなくてはならない。
【0012】ところが、上記の共通インク供給溝4は、
チップ2上で占める面積の割り合いが比較的大きく、そ
れがチップ2の面に沿って幅広に形成されているから、
幅が広い分だけ一層チップ2が大きくなって歩留まりの
向上を阻害する。
【0013】このチップ2の寸法を小さくするために
は、共通インク供給溝4の幅を狭くすればよく、また、
幅が狭くなってもインク流量が減らないようにするに
は、共通インク供給溝4の溝深さを深くすればよい。し
かし、従来の湿式エッチングによる場合、エッチング作
業の時間が掛かるばかりでなく、強い薬品を用いるため
その取扱いに手数がかかるという問題を有している。
【0014】また、そればかりでなく、共通インク供給
溝4の溝の深さを大きくし過ぎると、チップ2の強度が
低下して、外部から加えられる僅かの力でチップ2が破
断してしまうという問題も有している。
【0015】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
適度の幅と深さの共通インク供給溝を有して歩留りの良
い且つ強度のある小型なサーマルインクジェットヘッド
及びその製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】先ず、請求項1記載の発
明のサーマルインクジェットヘッドは、単一基板上に、
アレー状に配列された複数の発熱素子からなる発熱素子
列と、該発熱素子列の複数の発熱素子を発熱駆動する配
線電極及び駆動回路と、上記発熱素子列の個々の発熱素
子上にインクを供給するインク通路を形成する隔壁と、
上記インク通路に連通し該インク通路にインクを供給す
る共通インク供給溝と、該共通インク供給溝に連通し上
記発熱素子の配置されている面とは反対側面まで貫通し
て形成され上記共通インク供給溝に外部からインクを送
るインク給送孔と、上記発熱素子に対応して配置された
オリフィスと、をモノリシックに形成されたインクジェ
ットヘッドであって、上記共通インク供給溝は、溝深さ
寸法が上記発熱素子の配置されている面における溝幅寸
法よりも大きく且つ上記単一基板の厚さ寸法の0.4乃
至0.6倍であるように構成される。
【0017】上記共通インク供給溝は、例えば請求項2
記載のように、該溝の長手方向に直角な断面が長方形を
成して形成されることが好ましい。次に、請求項3記載
のサーマルインクジェットヘッドの製造方法は、シリコ
ン基板上にアレー状に配列される複数の発熱素子からな
る発熱素子列と該発熱素子列の複数の発熱素子を発熱駆
動する駆動回路と配線電極とを形成する工程と、上記発
熱素子列の個々の発熱素子上にインクを供給するインク
通路を形成する隔壁を積層する工程と、上記インク通路
に連通し該インク通路にインクを供給する共通インク供
給溝をサンドブラスト法により溝深さ寸法が上記発熱素
子の配置されている面における溝幅寸法よりも大きく且
つ上記単一基板の厚さ寸法の0.4乃至0.6倍である
ように穿設する工程と、該共通インク供給溝に連通して
該共通インク供給溝に外部からインクを送るインク給送
孔を上記発熱素子の配置されている面側から加工する工
程と、オリフィス板を配置して該オリフィス板の上記発
熱素子に対応する位置にオリフィスを穿設する工程と、
を含んで成る。
【0018】そして、例えば請求項4記載のように、上
記サンドブラスト法により上記共通インク供給溝を形成
する工程は、膜厚が50乃至100μmの感光性ドライ
フィルムから成るマスクを用い粒径が20μm以下のS
iCを吹き付けて行われ、また、例えば請求項5記載の
ように、上記インク給送孔は、サンドプラスト法により
加工されることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a),(b) 及び図2(a),
(b),(c) は、一実施の形態におけるサーマルインクジェ
ットヘッドの製造方法を工程順に示す図である。図1
(a),(b) はそれぞれ概略の平面図を示している。そし
て、図2(a) は、上段に図1(a) の平面図を一部拡大し
て詳細に示し、中段に上段のA−A′断面矢視図を示
し、下段に上段のB−B′断面矢視図を示している。ま
た、図2(b) は、図1(a) と同図(b) の中間の工程を示
す図であり、その上段、中段及び下段は、図2(a) に示
す上段、中段及び下段と同一の部位を示している。更
に、図2(c) は、図1(b) に示す工程を拡大して示して
おり、その上段、中段及び下段は、図2(a) に示す上
段、中段及び下段と同一の部位を示している。
【0020】図3は、上記のサーマルインクジェットヘ
ッドの製造方法の工程順を示すフローチャートである。
以下、このフローチャートに沿って、上記の図1(a),
(b) 及び図2(a),(b),(c) を参照しながら、このサーマ
ルインクジェットヘッド及びその製造方法について説明
する。
【0021】先ず、工程K1として、直径4インチ以上
のシリコン基板、好ましくは直径6インチ以上のシリコ
ン基板に、LSI形成処理技術により駆動回路とその配
線電極端子を形成すると共に、厚さ1〜2μmの酸化膜
を形成する。次に、工程K2として、薄膜技術を用い
て、Ta−Si−Oなどからなる抵抗膜と、W−Al
(又はW−Ti、W−Si)などからなるバリヤメタル
膜と、Auとによる多層化された共通電極や個別配線電
極等の各電極膜を形成し、ホトリソ技術によって各電極
膜には配線部分のパターンを形成し、抵抗膜には微細な
発熱部(発熱素子)のパターンを形成する。この工程で
発熱部の位置が決められる。
【0022】図1(a) 及び図2(a) は、上記の工程K1
及び工程K2が終了した後の状態を示している。すなわ
ち、シリコン基板20上には共通電極21(21a、2
1b)が溝代部22を挟んで両側に形成され、共通電極
給電端子21c(図1(a) 参照)、個別配線電極23、
多数の発熱部(発熱素子)24、駆動回路25及び駆動
回路端子26(図1(a) 参照)が形成されている。
【0023】続いて、工程K3として、個々の発熱素子
24に対応するインク通路を形成すべく感光性ポリイミ
ドなどの有機材料からなる隔壁部材をコーティングによ
り高さ20μm程度に形成し、これをパターン化した後
に、300℃〜400℃の熱を30分〜60分加えるキ
ュア(乾燥硬化、焼成)を行い、高さ10μmの上記感
光性ポリイミドによる隔壁をシリコン基板上に形成・固
着させる。
【0024】これにより、図2(b) に示すように、溝代
部22の左側に位置する共通電極21a部分と、右方の
個別配線電極23が配設されている部分、及び各発熱部
24間に、隔壁27(27a、27b)が形成される。
隔壁27の上記個別配線電極23側に形成される部分2
7bは、個別配線電極23上の部分27b−1を櫛の胴
とすれば、各発熱部24間に伸び出す部分27b−2は
櫛の歯に相当する形状をなしている。これにより、この
櫛の歯を仕切り壁として、その歯と歯の間の付け根部分
に発熱部24が位置する微細なインク通路が、発熱部2
4の数だけ形成される。この櫛の歯の長さを変えること
によりインクの流通するコンダクタンスが変わり、また
隣接するインク溝を流動するインク間の干渉にも影響す
る。
【0025】次に、工程K4として、上記シリコン基板
の下面(裏面、図2(b) の中段及び下段の下面参照)に
膜厚が50乃至100μmの感光性ドライフィルムから
成るマスクを形成し、このマスクに従って、サンドブラ
スト法によりシリコン基板の下面から上に向かってイン
ク給送孔28を形成する。これにより、図2(b) に示す
ように、溝代部22に略対応する位置の略下半分の高さ
で、下面(裏面)に開口するインク給送孔28が形成さ
れる。
【0026】そして、工程K5として、今度はシリコン
基板20の上面(表面)に、上記各部が形成されている
上から、同じく膜厚が50乃至100μmの感光性ドラ
イフィルムから成るマスクを形成し、このマスクに従っ
て、サンドブラスト法により上記シリコン基板20の上
面(表面)から下方に向けて、図2(b) に示すように、
200μm以下の細い幅で、この幅よりも深い孔、即ち
共通インク供給溝29を形成して、上記のインク給送孔
28に連通させる。
【0027】このとき、サンドブラスト処理に用いるサ
ンドとして、粒径が20μm以下のSiCを用いて、こ
れを吹き付ける。このようなサンドブラスト法は、シリ
コンを20〜40μm/min程度で高速に加工でき、
したがって、サーマルインクジェットヘッドの量産性が
向上する。また、強酸などの薬品を使わないので取り扱
いや後処理が比較的容易であり、この点からも作業能率
が向上するという利点がある。
【0028】また、このサンドプラスト法による処理後
における残留サンドや削りかすの塵の問題は、現在のと
ころ洗浄方法によるのが最も好適である。このサンドブ
ラスト法による加工精度については、共通インク供給溝
に求められる±5μmの精度に充分に対応することがで
きる。
【0029】更に、サンドブラスト工程の順番は、上述
のように隔壁形成の後が良い。隔壁形成の前にインク給
送孔28や共通インク供給溝29を空けておくと、その
後の隔壁形成の際に予め行うレジスト被覆や隔壁形成後
のレジスト剥離の工程で、溝や孔の部分の除去が困難に
なる。また、インク給送孔28と共通インク供給溝29
の孔空け処理では、先に、シリコン基板裏側のインク給
送孔28を空けるようにした方が、LSI部を損傷する
虞がなく、このLSI損傷防止の面から推奨される処理
順序である。
【0030】図2(b) は、上記の工程K3、K4及びK
5が終了した直後の状態を示している。ここで、上記の
ように形成される共通インク供給溝29の形状について
説明する。
【0031】図4(a) は、上記のサンドブラスト法によ
って形成される共通インク供給溝29の形状の一例を示
す図であり、同図(b) は、他の例を示す図である。同図
(a)に示す共通インク供給溝29の溝幅Mw はおよそ1
50μmであり、その溝深さMh はおよそ250μmで
ある。即ち「溝幅Mw 」<「溝深さMh 」である。また
同様に、同図(b) に示す長方形断面の共通インク供給溝
29′の溝幅Mw ′もその溝深さMh ′よりも狭く形成
されている。つまり、「溝幅Mw ′」<「溝深さMh
′」である。
【0032】これらのように、共通インク供給溝29、
29′を溝幅<溝深さとなるように形成することによ
り、より小さい溝幅でより大きい流路断面を得ることが
でき、延いては、より小さい溝幅の共通インク供給溝に
より十分なインク流量を確保することができる。この効
果の点から言えば、図4(b) に示す長方形断面の共通イ
ンク供給溝29′の方が好ましい。
【0033】そして、このことと同時に、共通インク供
給溝29の溝深さMh 及び共通インク供給溝29′の溝
深さMh ′はそれぞれシリコン基板20の厚さSh の
0.4乃至0.6倍である。もし、これよりも、即ちシ
リコン基板20の厚さSh の0.6倍よりも溝深さMh
又は溝深さMh ′の方が大きいと、シリコン基板20が
極めて折損し易くなることが実験の結果判明している。
【0034】上記の工程K5に続いて、工程K6とし
て、ポリイミドからなる厚さ10〜30μmのフィルム
のオリフィス板31を、その両面または片面に接着剤と
しての熱可塑性ポリイミドを極薄に例えば厚さ2〜5μ
mにコーテングし、上記積層構造の最上層に張り付け
て、隔壁27によって基板表面上に形成されている空間
に蓋をする。そして、200〜300℃で加熱しながら
加圧してオリフィス板31を固着させる。これにより、
図1(b) 及び図2(c) に示すように、オリフィス板31
によって給電端子21c及び26の部分を除く全領域が
覆われ、上記のインク通路も上を覆われて隔壁27の厚
さ10μmに対応する高さの、個々の発熱素子24に個
別に対応する微細な坑状のインク通路32を形成してい
る。
【0035】続いて、工程K7として、オリフィス板3
1の表面にNi、Cu又はAlなどの厚さ0.5〜1μ
m程度の金属膜を形成する。そして、オリフィス板の上
の金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッ
チングするマスクを形成し、続いて、オリフィス板をE
CRなどのドライエッチング、酸素ガスプラズマによる
へリコン波エッチング、或はエキシマレーザなどによ
り、上記の金属膜マスクに従って40μmφ〜20μm
φの孔空けをして、図2(c) に示すように、発熱部24
に対応する部分に多数のオリフィス(ノズル孔)33を
一括形成する。
【0036】このようにオリフィス板31を張り付け
て、その後で、下地のパターンつまり発熱部24の位置
に合わせてオリフィス33を加工することは、予めオリ
フィスを加工したオリフィス板を張り合わせるよりも、
遥かに生産性の高い実用性のある方法である。また、ド
ライエッチングによる場合は、マスクはNi、Cu、又
はAlなどの金属膜を使うことで樹脂と金属膜との選択
比が概略100程度得られる。したがって、20〜40
μmのポリイミドフィルムのエッチングには1μm以下
の金属膜でマスクを形成することで十分である。
【0037】これにより、図1(b) に示すように、オリ
フィス板31に4列のオリフィス列34(34a、34
b、34c、34d)を備えたフルカラーのサーマルイ
ンクジェットヘッド35が、シリコンウエハ1上に完成
する。
【0038】上記の4列のオリフィス列34は、減法混
色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シ
アン(C)の3色に、文字や画像の黒部分に専用される
ブラック(Bk)を加えて合計4色のインクを任意に吐
出するためのオリフィス列である。そして、上述した製
造方法によれば、このように4列のオリフィス列34を
有するサーマルインクジェットヘッドをモノリシックに
構成することは可能であり、各オリフィス列の位置関係
も今日の半導体の製造技術により正確に配置することが
可能である。
【0039】ここまでが、ウエハの状態で処理され、そ
して、最後に、工程K8として、ダイシングソーなどを
用いてカッテングして、単位毎に個別に分割し、実装基
板にダイスボンデングし、端子接続して最終的に完成す
る。
【0040】このサーマルインクジェットヘッド35
は、印字に際しては発熱部24(図2(a),(b) 参照)が
印字情報に応じて選択的に通電され、瞬時に発熱して膜
沸騰現象を発生させ、その発熱部24に対応するオリフ
ィス33からインク滴が吐出される。このようなサーマ
ルインクジェットヘッド35ではインク滴はオリフィス
33の径に対応する大きさの略球形で吐出され、紙面上
に略その倍の径の大きさとなって印字される。
【0041】通常、1個のオリフィス33から吐出され
る1ドットのインク量はおよそ50pl(ピコリット
ル)であり、フルカラーの場合は印字率が50%を超え
ることも珍しくなく、1枚の用紙に対して比較的大量の
インクが使用される。
【0042】本実施の形態では、共通インク供給溝29
の形状が、図5(c) に示した従来例の幅300μm×深
さ40μmに対して、図4(a) (図2(b),(c) と同じ)
に示す例では、断面が台形で幅150μm×深さ250
μmであり、従来に比較して幅が半減したにも拘らず断
面積はむしろ略50%増大しており、これにより、イン
クの流量が増加して、極めて円滑なインクの供給が可能
となっている。
【0043】また、上記4列のオリフィス列34で構成
されるフルカラーのサーマルインクジェットヘッド35
においては、0.15(共通インク供給溝の幅短縮分)
×4(オリフィス列の数)、すなわち0.6mmも1個
のチップ20の幅が短縮される。これにより、1個のシ
リコンウエハから採取可能なチップ数が増加する。
【0044】これを概算してみると、従来の幅300μ
m×深さ40μmの場合には、1チップの大きさを15
mm×10mmとして、直径6インチのシリコンウエハ
から92個のサーマルインクジェットヘッドが採取でき
たが、本実施の形態においては、従来の取り数「x/
(15×10)=92」個から「x=92×(15×1
0)=13800」を求めることができ、これから、本
実施の形態におけるサーマルインクジェットヘッドの寸
法の場合は、「x/(15×(10−0.6))=13
800/141=97.87≒98」個という結果が得
られる。
【0045】すなわち、概算で5.5%の歩留り向上を
実現することができる。これは、企業を運営して行く上
において重要な要因となる在庫金利、運転資金等に係る
銀行からの金融金利、或は国全体の経済を左右する公定
歩合などの利率を勘案したとき、経済的に如何に大きく
貢献する発明であるか容易に判明する。
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、共通インク供給溝の幅を従来の共通インク供給溝
の幅よりも狭くし、その幅よりも深く但しシリコンチッ
プの厚さの60%を超えない範囲で深く形成するので、
シリコンチップ表面上の幅が狭いにも拘らず共通インク
供給溝の長手方向に直角な断面積を従来の断面積と同等
以上に形成することができ、これにより、充分なインク
流量を確保しながらサーマルインクジェットヘッドの寸
法を小型にすることができ、したがって、ウエハの材料
歩留りが向上する。
【0047】また、同様に、共通インク供給溝の深さを
シリコンチップの厚さの60%を超えない範囲に抑える
ので、より小型に形成したサーマルインクジェットヘッ
ドでありながら、外部からの衝撃その他の力で容易に折
損するような虞がなく、したがって、この面からも小型
で材料歩留りの良いサーマルインクジェットヘッド及び
その製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b) は一実施の形態におけるサーマルイン
クジェットヘッドの製造方法を工程順に示す図である。
【図2】(a),(b),(c) の上段は図1(a),(b) の平面図を
一部拡大して詳細に示す図、中段は上段のA−A′断面
矢視図、下段は上段のB−B′断面矢視図である。
【図3】一実施の形態におけるサーマルインクジェット
ヘッドの製造方法の工程順を示すフローチャートであ
る。
【図4】(a) は一実施の形態におけるサーマルインクジ
ェットヘッドの製造方法によって形成される共通インク
供給溝の形状の一例を示す図、(b) は他の例を示す図で
ある。
【図5】(a) は従来のフルカラー用サーマルインクジェ
ットヘッドの基板(チップ)をシリコンウエハ上に多数
形成した状態を示す図、(b) は1チップの模式的拡大
図、(c) はそのA−A′断面矢視図である。
【符号の説明】
1 シリコンウエハ 2 チップ 3 駆動回路 4 共通インク供給溝 5 発熱素子 6 インク給送孔 7 共通電極 8 個別配線電極 9 隔壁 11 インク通路 12 オリフィス板 13 オリフィス 20 シリコン基板 21(21a、21b) 共通電極 21c 共通電極給電端子 22 溝代部 23 個別配線電極 24 発熱部(熱素素子) 25 駆動回路 26 駆動回路端子 27(27a、27b、27b−1、27b−2) 隔
壁 28 インク給送孔 29 共通インク供給溝 31 オリフィス板 32 インク通路 33 オリフィス(ノズル孔) 34(34a、34b、34c、34d) オリフィス
列 35 フルカラー・サーマルインクジェットヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊谷 稔 東京都青梅市今井3丁目10番6号 カシオ 計算機株式会社青梅事業所内 Fターム(参考) 2C057 AF91 AF93 AF99 AG12 AG72 AG83 AP02 AP13 AP14 AP22 AP23 AP25 AP32 AP51 AP57 AQ02 BA03 BA13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一基板上に、アレー状に配列された複
    数の発熱素子からなる発熱素子列と、該発熱素子列の複
    数の発熱素子を発熱駆動する配線電極及び駆動回路と、
    前記発熱素子列の個々の発熱素子上にインクを供給する
    インク通路を形成する隔壁と、前記インク通路に連通し
    該インク通路にインクを供給する共通インク供給溝と、
    該共通インク供給溝に連通し前記発熱素子の配置されて
    いる面とは反対側面まで貫通して形成され前記共通イン
    ク供給溝に外部からインクを送るインク給送孔と、前記
    発熱素子に対応して配置されたオリフィスと、をモノリ
    シックに形成されたインクジェットヘッドであって、 前記共通インク供給溝は、溝深さ寸法が前記発熱素子の
    配置されている面における溝幅寸法よりも大きく且つ前
    記単一基板の厚さ寸法の0.4乃至0.6倍であること
    を特徴とするサーマルインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記共通インク供給溝は、該溝の長手方
    向に直角な断面が長方形を成すことを特徴とする請求項
    1記載のサーマルインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 シリコン基板上にアレー状に配列される
    複数の発熱素子からなる発熱素子列と該発熱素子列の複
    数の発熱素子を発熱駆動する駆動回路と配線電極とを形
    成する工程と、 前記発熱素子列の個々の発熱素子上にインクを供給する
    インク通路を形成する隔壁を積層する工程と、 前記インク通路に連通し該インク通路にインクを供給す
    る共通インク供給溝をサンドブラスト法により溝深さ寸
    法が前記発熱素子の配置されている面における溝幅寸法
    よりも大きく且つ前記単一基板の厚さ寸法の0.4乃至
    0.6倍であるように穿設する工程と、 該共通インク供給溝に連通して該共通インク供給溝に外
    部からインクを送るインク給送孔を前記発熱素子の配置
    されている面側から加工する工程と、 オリフィス板を配置して該オリフィス板の前記発熱素子
    に対応する位置にオリフィスを穿設する工程と、 を含むことを特徴とするサーマルインクジェットヘッド
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記サンドブラスト法により前記共通イ
    ンク供給溝を形成する工程は、膜厚が50乃至100μ
    mの感光性ドライフィルムから成るマスクを用い粒径が
    20μm以下のSiCを吹き付けることを特徴とする請
    求項3記載のサーマルインクジェットヘッド製造方法。
  5. 【請求項5】 前記インク給送孔は、サンドプラスト法
    により加工されることを特徴とする請求項3記載のサー
    マルインクジェットヘッド製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003170603A (ja) * 2001-09-26 2003-06-17 Fuji Photo Film Co Ltd 液滴吐出ヘッドの製造方法および装置
US7108584B2 (en) 2001-09-26 2006-09-19 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method and apparatus for manufacturing liquid drop ejecting head

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