JPH1132933A - おしぼりタオル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 濡れおしぼりの心地よさを損なうことなく、
完全に殺菌された無菌状態のままで長期間の保存が可能
な、おしぼりタオルを提供すること。 【解決手段】 耐熱性の容器２内に湿潤させたタオル１
を密封包装した後、加圧加熱殺菌処理を施して、おしぼ
りタオルとした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、完全殺菌され、無
菌状態のままで長期間の保存が可能な、おしぼりタオル
に関する。

【０００２】

【従来の技術】飲食店等においては、従来より顧客サー
ビスの一環として、パイル地の布製濡れタオルを温めた
り冷やしたりした、おしぼりタオルが提供されることが
多い。このおしぼりタオルは、衛生面を考慮して専門業
者による貸おしぼりの形態がとられているのが一般的で
あり、厚生省所定の衛生基準に基づき、通常、70℃で10
分間程度の高温洗浄を経て次亜塩素酸ソーダ等による殺
菌処理が施された後、薄い樹脂フィルムで個別に包装さ
れた状態で個々の飲食店等に配送・納入されている。近
年、布製タオルに代わって不織布製や紙製の使い捨てタ
オルも登場しているが、拭き心地の点からは布製タオル
に劣るため、依然として布製の貸しおしぼりが、おしぼ
りタオルの主流となっている。

【０００３】こうした布製の貸おしぼりは、前述のよう
に相当程度の滅菌処理が施されているものの、完全な無
菌状態にはない。また、包装も薄い樹脂フィルムで個別
包装しただけである。したがって、殺菌されないまま残
留していたり、新たに付着したりした雑菌の繁殖は避け
られず、常温で最大約２週間程度、冷蔵庫内においても
約１カ月間程度しか保存できなかった。しかも、長時間
放置すると、予め湿潤させておいたタオルが完全に乾燥
してしまい、濡れおしぼりとしての機能が完全に失われ
てしまっていた。そして、こうした欠点のために、貸お
しぼり業者の営業範囲も、短時間で配送・回収が可能な
地域のみに限定されてしまっていたのである。

【０００４】一方、濡れたおしぼりタオルの心地よさを
損なうことなく、湿潤したままの状態で長期間の保存を
可能とするべく、従来から様々な工夫が施されている。
例えば、実開昭60-95093号では、水等に浸したタオルを
缶や袋等の密封容器内に収容したものが提案されてお
り、おしぼりタオルを濡れた状態で長期間保存可能とし
ている。また、実用新案登録3005109号では、抗菌防臭
処理を施して湿潤させたタオルをガスバリヤー性の樹脂
フィルム内に入れた後に真空包装したものが提案されて
おり、おしぼりタオルに長期間適度な湿りを保持するこ
とを可能としている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
如きおしぼりタオルでは、いずれもタオルの殺菌方法に
ついては全く考慮されていなかった。密封容器を使用し
たり、真空包装を施したりしても、おしぼりタオルの包
装時において僅かでも雑菌が残留していれば、時間の経
過とともに雑菌が繁殖することは避けられないし、湿潤
した状態にあるタオルでは、なおさら雑菌の繁殖力が高
い。したがって、たとえおしぼりタオルを長期間濡れた
状態で保存することができても、使用時における安全性
に問題があれば商品として提供することはできない。と
くに近時において社会的な問題となっている細菌類には
耐熱性を有するものも多く、殺菌処理には格別な注意が
求められている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、完
全に殺菌された無菌状態のままで長期間の保存が可能
な、おしぼりタオルについて鋭意検討した結果、耐熱性
の容器内に湿潤させたタオルを密封包装した後、加圧加
熱殺菌処理を施してなる、本発明のおしぼりタオルを開
発したのである。

【０００７】すなわち、本発明者は、カレー等に代表さ
れる加工食品の分野ではその保存性に実績のあるレトル
ト食品に着目し、こうしたレトルト殺菌技術をおしぼり
タオルに応用することにより、無菌状態のままで長期保
存が可能なおしぼりタオルを得たのである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明に係
るおしぼりタオルを説明する。図１は巻いて１本入りと
したおしぼりタオルの一例を示した斜視図である。本発
明において、湿潤させたタオル１を包装する耐熱性の容
器２としては、レトルト食品に一般的に使用されてい
る、パウチと称される小袋状の容器やプラスチック主体
の成型容器をそのまま転用することができる。例えば、
内層にポリプロピレン又は塩化ビニリデンを使用し、外
層にポリエステル又はナイロンを使用した多層プラスチ
ックフィルム製パウチは、軽量で取り扱いやすく簡単に
開封できるため、本発明においても好適に用いられる。
また、さらに中層にアルミ箔を加えたパウチは、透明で
はなくなるものの、内部に酸素を透過しないので、より
長期間の保存を必要とする場合に適している。

【０００９】図１では、包装するタオル１を円筒状に巻
いているが、場合によって折り畳むこととしてもよい。
このように、巻いたり、折り畳んだりした状態で耐熱性
の容器２内に収納できる範囲内であれば、タオル１の大
きさは任意に選択しうる。このタオルには、従来より貸
おしぼりとして提供されているパイル地等布製のタオル
を使用するのが最も望ましいのであるが、布製に代えて
不織布や紙製のタオルを用いることもできる。いずれに
しても、タオルは予め水に浸して軽く絞り、湿潤させた
状態で用いる。ただ、必要に応じてさらに香料等を含ま
せることは自由である。また、１つの容器２内に１枚の
タオル１を包装することとしてもよいし、１つの容器２
内に２枚以上のタオル１をセットで包装してもよい。巻
いて２本入りとしたおしぼりタオルの一例を図２に示
す。このように、湿潤させたタオル１を耐熱性の容器２
内に収容した後、容器２の開口部を熱溶着等によりシー
ルして容器を完全に密封する。

【００１０】本発明における加圧加熱殺菌処理には、従
来よりレトルト食品の製造に用いられている、レトルト
と称される加圧加熱殺菌釜を使用する。加熱温度や加熱
時間もレトルト食品の場合と同様に設定しうるが、ボツ
リヌス菌や枯草菌等のように100℃以下の温度では死滅
しない芽胞を形成する耐熱性菌をも完全に死滅させるた
めには、２気圧下120℃程度で30分間程度加熱する必要
がある。こうして加圧加熱殺菌処理を施した後、釜内よ
り容器２を取り出すことにより、完全に殺菌された無菌
状態のおしぼりタオルが得られる。

【００１１】

【発明の効果】本発明に係るおしぼりタオルは、完全に
殺菌された無菌状態のままで、半年ないし１年以上の、
きわめて長期間に亘る保存が可能である。したがって、
無菌タオルとしての付加価値より、病院や老人医療施設
等の高度な衛生資材が求められる施設において好適に用
いられるほか、長期保存可能な付加価値より、航空機や
船舶等の随時供給が困難な場所での使用や自動販売機に
よる提供等にも対応しうる。さらに、長期保存が可能な
ために、飲食店等に対して将来の需要を見越した大量供
給を一度に行って配送・回収車の周回回数を減らすこと
も可能であるので、貸おしぼり業者の営業範囲を拡大す
ることもできる。

【００１２】また、本発明に係るおしぼりタオルは、軽
量で取り扱いやすく、簡単に開封できる。また、使用時
には、レトルト食品と同じ要領で耐熱性容器のまま電子
レンジや温湯を用いて温めたり、冷蔵庫中で冷やしたり
することが簡単にでき、心地よい濡れおしぼりとして、
四季を通じての快適な使用が可能である。したがって、
本発明に係るおしぼりタオルによれば、濡れおしぼりの
衛生状態を心配することなく、コンビニエンスストア等
の店頭で提供したり、キャンプ等戸外に携帯したりする
ことができるなど、心地よい濡れおしぼりの使用範囲が
格段に広がるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】巻いて１本入りとしたおしぼりタオルの一例を
示した斜視図である。

【図２】巻いて２本入りとしたおしぼりタオルの一例を
示した斜視図である。

【符号の説明】

１ タオル ２ 容器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 耐熱性の容器内に湿潤させたタオルを密
   封包装した後、加圧加熱殺菌処理を施してなるおしぼり
   タオル。