JPH11327202A - 正帯電性トナ―及びその製造方法 - Google Patents

正帯電性トナ―及びその製造方法

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JPH11327202A
JPH11327202A JP6644999A JP6644999A JPH11327202A JP H11327202 A JPH11327202 A JP H11327202A JP 6644999 A JP6644999 A JP 6644999A JP 6644999 A JP6644999 A JP 6644999A JP H11327202 A JPH11327202 A JP H11327202A
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resin
particles
toner
colorant
carbon black
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JP6644999A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Takayanagi
均 高柳
Minoru Nomura
実 野村
Kenichi Hirabayashi
憲一 平林
Yukiko Soma
由紀子 相馬
Takayuki Ito
孝之 伊東
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な正帯電性を有する球形トナーおよびその
製法を提供する。 【解決手段】結着樹脂と着色剤を必須成分とする樹脂粒
子(I)の水性分散液と、別途調整したカーボンブラッ
クを必須成分として含有する塩基性基含有樹脂微粒子
(II)の水性分散液を混合し、樹脂粒子(I)の表面に
微粒子(II)を析出させ、これを乾燥して、粒子表面に
カーボンブラックを必須成分として含有する塩基性基含
有樹脂が固着したトナーを得ることにより、良好な正帯
電性を有する球形トナーを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式の複
写機やプリンターなどに用いられる静電荷像現像用の正
帯電性トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】静電荷像現像用正帯電性トナーの製法と
しては、結着樹脂に着色剤、帯電制御剤、ワックス等を
加えて溶融混練し、粉砕、分級する、いわゆる粉砕法が
従来から行われている。一方、複写機やプリンターに対
する近年の画像品質の向上要求をトナーサイドから達成
するにはトナーの小粒径化が必要であるが、粉砕法では
生産性や性能など点から小粒径化に制約がある。即ち、
粉砕法で小粒径トナーを生産するにはエネルギーコスト
の増大や収率の低下が起こり、また小粒径化に伴って粉
体流動性が低下したり帯電性制御が難しくなる、という
物性上の問題が生じる。
【0003】そのようなことから、正帯電性トナーの湿
式製法が検討され、例えば、着色剤、帯電制御剤、ワッ
クス等を分散させた重合性単量体を液媒体中で重合させ
てトナー粒子を製造する、いわゆる重合法や、特開平5
−265247号公報に記載されているような、第3級
アミノ基含有樹脂を結着樹脂成分とし、該樹脂を中和す
ることで親水性をあげ、水性媒体中に転相乳化すること
でトナー粒子を製造する、いわゆる転相乳化法などが知
られている。このような湿式製法では、小粒径トナー粒
子を作ること自体には問題ないが、重合法では、添加し
た帯電制御剤の大部分はトナー粒子内部に内包されてし
まい、粒子表面に一部の帯電制御剤が不均一に露出する
などするために安定した帯電性を得ることが難しいとい
う問題があり、また前記転相乳化法では、トナーの正帯
電性は確保されるが、多量に含有されているアミノ基に
起因する臭気の発生が避けられないという問題がある。
【0004】特開平10−293427では、このよう
な問題点を改善すべく、少量の正帯電性帯電制御剤を含
有する塩基性基含有樹脂を、着色剤と結着樹脂を必須成
分とする樹脂粒子の表面に均一に固着した、正帯電性ト
ナー及びその製造方法が開示されている。しかしなが
ら、このようにして得られたトナーの帯電の立ち上がり
性(飽和帯電量に達する時間)が不十分で、また帯電量
が高く低帯電量化が難しい、という問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明の目
的とするところは、カーボンブラックを必須成分として
含有する塩基性基含有樹脂を、着色剤と結着樹脂を必須
成分とする樹脂粒子の表面に固着した、帯電特性に優れ
た正帯電性トナー及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】とりわけ、転相乳化法で得られる負帯電性
樹脂粒子表面に、カーボンブラックを必須成分(カーボ
ンブラック、あるいはカーボンブラックと正帯電性帯電
制御剤)を含有する塩基性基含有樹脂を固着した、帯電
特性に優れた、正帯電性トナー及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0007】さらに本発明では、解像性や階調性などの
画像品質に優れる小粒径の正帯電性トナーおよびその製
造法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述した如き発明が解決しようとする課題に照準を合わ
せて、鋭意検討を重ねた結果、トナー粒子構造として、
着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子の表面に、
カーボンブラックを必須成分として含有する塩基性基含
有樹脂が固着された、正帯電性トナーが、上記した課題
を解決することを見い出した。
【0009】そして、その様な粒子構造の正帯電性トナ
ーを得る方法の一例として、着色剤と結着樹脂を必須成
分とする樹脂粒子(I)の水性分散液に、中和により自
己水分散性/又は水溶性となる塩基性基含有樹脂とカー
ボンブラックの混合物を、転相乳化して得られる、粒径
が樹脂粒子(I)よりも小さい、微粒子(II)の水性分
散液を加えて、樹脂粒子(I)の表面にカーボンブラッ
クを必須成分として含有した塩基性基含有樹脂を固着さ
せる様にすることで、前記課題が解決されることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち本発明は、次の発明を提供するもので
ある。着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子
(I)の表面に、カーボンブラックを必須成分として含
有した塩基性基含有樹脂が固着された正帯電性トナー
(以下、第一発明という)。
【0011】着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂粒
子(I)の水性分散液と、中和により自己水分散性/又
は水溶性となる塩基性基含有樹脂とカーボンブラックを
必須とする混合物を、中和剤の存在下に水性媒体と混合
し転相乳化して得られる、樹脂粒子(I)よりも平均粒
子径が小さい、微粒子(II)の水性分散液を、均一に混
合して、前記中和剤と逆の極性の中和剤で樹脂粒子
(I)の表面に微粒子(II)を析出させ、次いで、これ
から液媒体を除去し乾燥させる、トナー粒子表面に、カ
ーボンブラックを必須成分として含有した塩基性基含有
樹脂が固着された、正帯電性トナーの製造方法(以下、
第2発明という)。
【0012】そして上記第2発明は、好適には、次の方
法で行われる。すなわち、中和により自己水分散性とな
る酸性基含有樹脂と着色剤を必須成分として含む混合物
を、塩基性中和剤の存在下に、水性媒体中に転相乳化し
て得られた、着色剤が内包された、球形の樹脂粒子
(I)を用いることを特徴とする、正帯電性トナーの製
造方法(以下、第3発明という)。
【0013】あるいは、着色剤の分散した重合性モノマ
ーを、液媒体中で重合させて得られる着色剤と結着樹脂
を必須成分とする球形の樹脂粒子(I)を用いることを
特徴とする、正帯電性トナーの製造方法(以下、第4発
明という)。
【0014】第1発明のトナーは、その粒子構造に、例
えば以下の特徴を有する。 1.カーボンブラック、あるいはカーボンブラックと正
帯電性帯電制御剤が、塩基性基含有樹脂中に均一に微分
散している。 2.カーボンブラック、あるいはカーボンブラックと正
帯電性帯電制御剤を含有する塩基性基含有樹脂が、サブ
ミクロンの粒子状で、樹脂粒子(I)表面に固着してい
る。 3.塩基性基含有樹脂の塩基性基が、好ましくは第三級
アミノ基である。 4.樹脂粒子(I)が、好ましくは酸性基を含有し、該
酸性基がカルボキシル基である。 5.樹脂粒子(I)の形状は限定されないが、好ましく
は、ワーデルの実用球形度(粒子の投影面積に等しい面
積を持つ円の直径と粒子の投影像に外接する最小円の直
径との比)が0.95〜1.00の球形である。
【0015】上記構造上の特徴を有することにより、以
下の効果が発現する。 1.カーボンブラックが塩基性基含有樹脂中に微分散し
ているために、トナー粒子表面に適度な導電性が付与さ
れ、帯電量レベルが低下するとともに、トナーの帯電立
ち上がり性と均一帯電性が向上する。 2.樹脂粒子(I)のワーデルの実用球形度が、0.9
5以上である球形粒子の場合には、均一に表面処理がさ
れるため、より一層、個々のトナー粒子の均一帯電性が
達成される。 3.樹脂粒子(I)が、酸性基、好ましくはカルボキシ
ル基を有する場合には、カーボンブラック含有の塩基性
基含有樹脂の微粒子(II)が、酸ー塩基相互作用によ
り、より強固に、樹脂粒子(I)表面に固着し、剥離に
よる現像特性の劣化が低減する。
【0016】上記した第1発明のトナーを得るには、各
種の製造方法が考えられるが、例えばその一例として、
上記第2発明の製造方法が挙げられる。
【0017】上記第2発明では、カーボンブラックを必
須成分として含む塩基性基含有樹脂の微粒子(II)を固
着させる樹脂粒子(I)の水性分散液は 、いかなる製
法によって得られたものでも使用できる。たとえば、粉
砕法で得られた樹脂粒子を分散安定剤を含有する水性媒
体中に分散した樹脂粒子の水性分散液、あるいは、転相
乳化法や重合法などの湿式法により得られるような樹脂
粒子の水性分散液を使用することができる。
【0018】上記第3発明では、中和により自己水分散
性となる酸性基含有樹脂と着色剤を必須成分とする混合
物を、中和剤の存在下に、水性媒体と混合し転相乳化し
て得られる樹脂粒子(I)の水性分散液を用いることを
特徴としている。本転相乳化法で得られる樹脂粒子
(I)は、ワーデルの実用球形度が0.95以上であ
り、分散安定剤を使用しないで粒子を形成することが可
能なため、該分散安定剤による帯電特性への影響が少な
く、本発明に最も好適な粒子である。
【0019】樹脂粒子(I)として、分散安定剤を使用
して転相乳化をする方法によって得られる球形着色樹脂
粒子を使うこともできるが、この場合には、該粒子を十
分に洗浄してから微粒子(II)を固着させることがトナ
ーの環境安定性などの点から好ましい。
【0020】上記第4発明では、着色剤、重合性モノマ
ーおよびその重合触媒を必須成分とする混合物を、液媒
体中で重合させて得られる球形の樹脂粒子(I)の水性
分散液を用いることを特徴としている。この方法による
樹脂粒子(I)の製造は、樹脂種に制約があるものの、
重合反応と球形化が同時に行われ生産性に優れるが、液
媒体中での重合反応には分散安定剤が使用されるので、
微粒子(II)の水性分散液を加える前に、樹脂粒子
(I)を十分に洗浄しておく必要がある。
【0021】また、上記第2発明は、着色剤と結着樹脂
を必須成分とする樹脂粒子(I)の水性分散液と、別途
調整した、中和により自己水分散性/又は水溶性となる
塩基性基含有樹脂とカーボンブラックを必須成分とする
混合物を、酸性中和剤の存在下に水性媒体と混合し転相
乳化して得られる、カーボンブラックあるいはカーボン
ブラックと正帯電性帯電制御剤が均一に微分散された、
樹脂粒子(I)よりも平均粒子径が小さい、微粒子(I
I)の水性分散液とを、均一に混合して、塩基性中和剤
で樹脂粒子(I)表面に析出させる製造方法であり、第
1発明の特徴を有する正帯電性トナーを容易に製造する
ことができる。
【0022】本発明の工程を説明する前に本発明で使用
する各成分の説明をする。本発明の樹脂粒子(I)に使
用しうる結着樹脂は、トナーバインダー樹脂として使用
しうる樹脂であればいずれでもよいが、トナーとしての
粉体流動性や定着性等のバランスが比較的容易に得られ
やすいスチレンアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂
が特に好適である。
【0023】また、本発明の微粒子(II)に使用しうる
中和により自己水分散性/又は水溶性となる塩基性基含
有樹脂としては、特に限定はされないが、塩基性基含有
のスチレンアクリル樹脂が好適である。
【0024】本発明において、中和により自己水分散性
となりうる樹脂とは、分子内に有する、中和により親水
性が増加しうる官能基の作用により、水性媒体の作用下
で、乳化剤や分散安定剤を実質的に用いることなく、安
定な水性分散体あるいは水溶液を形成する能力を有する
樹脂である。中和により自己水分散性となりうる樹脂
(中和により親水性が増加しうる酸性あるいは塩基性の
官能基を分子鎖中に有する樹脂)に、当該樹脂が酸性基
を有しているならば塩基を、塩基性基を有しているなら
ば酸を用いて中和することで、当該官能基を塩構造にし
て親水性を高めることができる。
【0025】この中和の度合い(中和率)により、親水
性の度合いが適宜調節できる。この際の親水性の程度
は、当該樹脂自体が水に分散できる程度でなければなら
ない。この様な自己水分散性樹脂は、水性媒体と混合す
ることで、転相乳化が起こり、粒子を形成する。
【0026】酸基あるいは塩基性基を含有する、中和に
より自己水分散性となりうる樹脂の親水性は、中和によ
り親水性が増加しうる官能基の量或いは中和量(中和
率)により制御できる。一定の中和率以上に中和すると
水溶性となりうる樹脂を用いて、中和率を減じることに
より、自己水分散性樹脂とすることもできる。
【0027】本発明の製法では、塩基性基含有樹脂は、
一定の中和率以上に中和すると水溶性となりうる樹脂を
用いることが好ましい。
【0028】さらにはかかる親水性により、転相乳化に
おいての、分散時の粒子の大きさが決定される。つまり
中和率のコントロールにより任意の粒径を容易に得るこ
とが可能である。
【0029】当該樹脂が樹脂中に有する中和により親水
性の増加しうる官能基としては、たとえば 、酸性基と
しては、カルボキシル基、燐酸基、スルホン基、硫酸基
などがあり、中でもカルボキシル基が好ましい。また、
塩基性基としては、1級、2級3級アミノ基、4級アン
モニュウム基などが挙げられるが、中でも3級アミノ基
が好ましい。樹脂が自己水分散性、あるいは水溶性を発
現するために適切な中和率は、モノマー組成や分子量な
どにより樹脂そのものの親水性が異なるので、各々の樹
脂により異なる。
【0030】中和により自己水分散性あるいは水溶性と
なりうる樹脂としては、トナーとしての粉体流動性や定
着性等のバランスが比較的容易に得られ易い、スチレン
アクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂が好適である。
【0031】当該中和により自己水分散性となりうる、
酸性基含有スチレンアクリル樹脂としては、酸基を含有
したラジカル重合性単量体類と、この酸基含有のラジカ
ル重合性単量体類以外のラジカル重合性単量体類を、重
合開始剤存在下で、ラジカル重合させて得られるものが
使用できる。
【0032】当該中和により自己水分散性/又は水溶性
となりうる、塩基性基含有樹脂としては、塩基性基を含
有した重合性単量体類と、この塩基性基を含有した重合
性単量体類以外の重合性単量体類を、ラジカル開始剤存
在下で、ラジカル重合させて得られるものが使用でき
る。これらを得るための重合反応は、溶液重合でも、懸
濁、乳化重合でも適宜利用できる。
【0033】こうした酸性基含有重合性単量体類として
は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブ
チル、マレイン酸モノブチルなどが挙げられる。また、
塩基性基含有重合性単量体類としては、ジメチルアミノ
エチル、ジエチルアミノエチル、ジブチルアミノエチ
ル、N−エチル−N−フェニルアミノエチルなどのアク
リレート誘導体、メタクリレート誘導体が挙げられる。
また、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、
N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−
ビニル化合物も挙げられる。
【0034】酸性基あるいは塩基性基含有重合性単量体
類以外の重合性単量体類としては、例えば、 (1)スチレン系モノマー:スチレン、ビニルトルエ
ン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレンもしくは
クロルスチレン (2)アクリル酸エステル類:アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n
−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミ
ル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチ
ル、アクリル酸デシルもしくはアクリル酸ドデシル、ア
クリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、アル
ファクロルアクリル酸メチル (3)メタクリル酸エステル:メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタク
リル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリ
ル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、
メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタ
クリル酸ドデシル、メタクリル酸2−クロルエチル、メ
タクリル酸フェニル、アルファクロルメタクリル酸メチ
ル (4)アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アク
リルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導
体、 (5)ビニルエーテル:ビニルメチルエーテル、ビニル
エチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、 (6)ビニルケトン:ビニルメチルケトン、ビニルヘキ
シルケトン、メチルイソプロペニルケトン (7)N−ビニル化合物:N−ビニルピロール、Nービ
ニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニル
ピロリドン等を挙げることができる。
【0035】また、前記樹脂を得る場合には、溶液重合
の場合には、汎用の有機溶剤を使用できる。使用する有
機溶媒としては、たとえば、トルエン、キシレン、ベン
ゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンの
如き各種炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソ
ブタノール、sec−ブタノール、tーブタノールの如
きアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエー
テル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレ
ングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエー
テル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル等の
如きエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンの如き各種ケトン類;酢
酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルの如き各種エス
テル類;プロピレングリコールモノエチルエーテルアセ
テート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテ
ートの如き各種エーテルエステル類;テトラヒドロフラ
ンの如き各種環状エーテル類;塩化メチレンの如き各種
ハロゲン化炭化水素類;など、各種の有機溶媒が使用で
きる。
【0036】また、使用する重合開始剤としては、公知
慣用の各種の有機過酸化物系の開始剤、アゾ系の開始剤
が使用できる。具体的には、例えばベンゾイルパーオキ
サイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモ
ニウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物が挙げられ
る。
【0037】本発明の樹脂粒子(I)の結着樹脂に使用
する酸性基含有スチレンアクリル樹脂としては、酸価3
0〜150(mgKOH/g)、重量平均分子量600
0〜300000、ガラス転移温度45〜70℃のよう
な組成のものが好適である。
【0038】本発明の微粒子(II)に使用する塩基性基
含有スチレンアクリル樹脂としては、アミン価20〜1
00(mgHCl/g)、重量平均分子量2000〜4
00000、好ましくは6000〜300000、ガラ
ス転移温度30〜120℃のものが好ましい。
【0039】本発明の樹脂粒子(I)の結着樹脂に使用
する酸性基含有の別な樹脂としてはポリエステル樹脂が
挙げられ、トナー用としての公知慣用のポリエステル系
樹脂が使用できる。このようなポリエステル樹脂は多塩
基酸と多価アルコールとを触媒の存在下に脱水重縮合を
行って製造できる。多塩基酸の一部は、それのエステル
形成性誘導体のひとつである、そのメチルエステル化物
を使用して脱メタノール重縮合を行ってもよい。
【0040】多塩基酸としては、例えばテレフタル酸、
イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピ
ロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カ
ルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、
アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カル
ボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カ
ルボン酸類が挙げられる。これらの多塩基酸を1種又は
2種以上用いることができる。
【0041】多価アルコールとしては、例えばエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリ
ンなどの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、
シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAな
どの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサ
イド付加物などの芳香族系ジオール類が挙げられる。こ
れらの多価アルコールの1種又は2種以上用いることが
できる。
【0042】ポリエステル樹脂のガラス転移温度は50
〜75℃であるのが好ましく、より好ましくは55〜7
0℃である。ガラス転移温度が50℃未満であるとトナ
ーとしての耐熱凝集性が不良となり、75℃を越えると
定着性が不良となるので好ましくない。
【0043】ポリエステル樹脂の酸基の含有量は、上記
の多塩基酸と多価アルコールの配合比と反応率により、
ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することに
よって調整することができる。あるいは多塩基酸成分と
して無水トリメリット酸を使用することによってポリエ
ステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られ
る。ポリエステル樹脂の酸基の含有量は、酸価として1
〜30mg・KOH/gが好適である。
【0044】本発明で用いる中和剤は、以下のように使
い分けをする必要がある。酸性基含有樹脂を、自己水分
散性に変換するためには、塩基性中和剤が、また、塩基
性基含有樹脂を、自己水分散性/又は水溶性に変換する
ためには、酸性中和剤が使用される。また、中和により
塩構造となった、酸性基含有樹脂を、元の酸性基に戻す
ためには、酸性中和剤が使用される。また、中和により
塩構造となった、塩基性基含有樹脂を、元の塩基性基に
戻し、樹脂粒子表面に、析出させるためには、塩基性中
和剤が使用される。
【0045】塩基性中和剤としては、例えば水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機金属
類、アンモニア等の無機アルカリ、また、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等の第二級アミ
ン、トリエチルアミン等の第三級アミン、ヒドラジン等
の有機アミン類が挙げられ、酸性中和剤としては、例え
ば塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸、シュウ酸、蟻酸、酢
酸、琥珀酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げ
られる。
【0046】樹脂粒子(I)の結着樹脂である非水溶性
樹脂として、それ自体で水に分散しない、即ち自己水分
散性を有しない非水溶性樹脂を用いる場合には、樹脂溶
液及び/又はそれと混合する水性媒体(水性媒体とは、
水または水を主成分とした液媒体をいう)に、乳化剤及
び/又は分散安定剤を添加して用いることが必要であ
る。
【0047】その分散安定剤としては、水溶性高分子化
合物が好ましく、例えばポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースなどが挙げられる。また乳化剤と
しては、例えばポリオキエチレンアルキルフェノールエ
ーテル等のノニオン系、アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム等のアニオン系、或いはカチオン系の各種界面
活性剤が挙げられる。勿論、乳化剤の2種以上を併用し
てもよいし、分散安定剤の2種以上を併用してもよい
し、乳化剤と分散安定剤とを併用してもよいが、分散安
定剤を主体にして乳化剤を併用するのが一般的である。
【0048】この場合、乳化剤や分散安定剤を用いる場
合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜3重
量%程度となる様にするのが適当である。
【0049】更に、前述した中和することにより自己水
分散性となりうる樹脂を使用する場合であっても、必要
であれば、本発明の効果を損なわない限りにおいて、乳
化剤及び/叉は分散安定剤を使用してもよい。
【0050】なお、乳化させてトナー用等の球形着色粒
子を形成させるには、USP5,843,614に記載
されているような、有機溶媒を用いずに行う方法でも良
く、本発明の樹脂粒子(I)として使用できる。
【0051】次に、本発明に使用する樹脂粒子(I)
を、着色剤を分散させた重合性モノマーを、液媒体中で
重合させて形成する所謂重合法に関して述べる。
【0052】これは、例えば分散安定剤や乳化剤の存在
下に、着色剤と、結着剤樹脂を形成しうる重合性単量体
とを液媒体中に懸濁もしくは乳化分散させ、重合開始剤
の存在下、撹拌しながら、ラジカル重合によるポリマー
化反応を行って、球形の、結着用樹脂中に着色剤を内包
したトナー粒子の水性分散液を得るものである。
【0053】ラジカル重合性単量体としては、具体的に
は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチ
レン、ビニルスチレン等のスチレン類、エチレン、プロ
ピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン
類、酢酸ビニル、プロピオンビニル、酪酸ビニル、安息
香酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オク
チル、アクリル酸ドデシルアクリル酸フェニル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチルメタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノ
カルボン酸エステル類、エチレングリコールモノアクリ
レート、プロピレングリコールモノアクリート、テトラ
メチレンエーテルグリコールモノアクリレート等のグリ
コールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテ
ル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニル
ヘキシルケトン、ビニルプロペニルケトン等のビニルケ
トン類等のアクリルモノマーが挙げられ、これらは、そ
れぞれ単独で、もしくは二種類以上を組み合わせて使用
することができる。
【0054】前記した結着樹脂を構成する単量体組成
は、重合体のガラス転移温度が50〜80℃となる様に
調製される。
【0055】必要に応じて、少量の、2つ以上のエチレ
ン性不飽和二重結合を有する反応性モノマーをそれに併
用しても良い。2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を
有する反応性モノマーとしては、例えばブタジエン、イ
ソプレン等の共役ジエン、ジビニルベンゼン、ビスフェ
ノールAアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート等が挙げられる。
【0056】尚、こうしたポリマー樹脂を得るのに使用
される重合開始剤としては、勿論、通常の油溶性又は水
溶性のものが使用できるが、例えば過酸化ベンゾイル、
ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシ
ド、t−ブチルペルオキシドもしくは2−エチルヘキサ
ノエートの如き、各種の過酸化物;またはアゾビスイソ
ブチロニトリルもしくはアゾビスイソバレロニトリルの
如き、各種のアゾ化合物などが挙げることができる。
【0057】懸濁重合に際しては、重合に用いる液媒体
に不溶かつ単量体可溶の重合開始剤を必須として選択し
て用い、乳化重合に際しては、水溶性重合開始剤を必須
として選択して使用される。重合開始剤の使用量は、特
に制限されないが、全重合性単量体100重量部当た
り、0.01〜5重量部である。
【0058】重合によって形成される結着樹脂は、重合
条件等により任意に調製することができるが、重量平均
分子量として、10,000〜500,000となる様
にするのが好ましい。
【0059】懸濁重合時に使用できる、前記分散安定剤
としては、一般的には、水溶性高分子化合物が用いら
れ、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、セルロースガム、ラムザンガム等が挙げられ
る。
【0060】さらには水不溶性で粒径が0.01〜5μ
mの無機微粉末も、懸濁分散安定剤として使用でき、例
えばリン酸三カルシウム、タルク、ベントナイト、カオ
リン、酸化チタン、アルミナ、亜鉛華、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、塩基性ケイ酸マグネシウ
ム、水酸化チタン、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、シリ
カ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられ
る。
【0061】これらは分散安定剤は、単独使用でもよい
し、2種以上の併用でもよい。その使用量は、全反応性
モノマー100重量部当たり、通常0.1〜10重量部
である。
【0062】乳化重合に使用できる前記乳化剤として
は、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラ
ウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキサイド
ジスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポ
リオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレ
ンニニルフェノールエーテル等の非イオン性界面活性剤
等を挙げることができる。これらは単独使用でもよい
し、2種以上の併用でもよい。その使用量は、全反応性
モノマー100重量部当たり、通常0.01〜5重量部
である。
【0063】懸濁重合に当たって、分散安定剤に乳化剤
を一部併用してもよいし、乳化重合に当たって、乳化剤
に分散安定剤を一部併用してもよい。また、上記分散安
定剤や乳化剤に代えて、自己乳化性エポキシ樹脂や自己
乳化性ポリウレタン樹脂を用いることもできる。
【0064】重合性単量体、着色剤、分散安定剤及び前
記単量体不溶の液媒体、前記液媒体に不溶かつ前記単量
体に可溶の重合開始剤を同時に加えて、撹拌して単量体
液滴を重合してもよいが、重合性単量体及び着色剤を、
例えばボールミルやコロイドミル等で、予め充分に混合
して、次いでそれを重合開始剤、分散安定剤を含む前記
液媒体に加えて、例えばホモジナイザー、ローターステ
ーター式ミキサー、スタティックミキサー等により撹拌
を行い、重合性単量体を必須とする単量体液滴を液媒体
中に懸濁させ、撹拌を続けながら、所定の粒子径のトナ
ー粒子が形成されるまで重合を行うことが好ましい。
【0065】このような重合を行うに当たって使用でき
る液媒体としては、蒸留水、イオン交換水等の水の他、
例えばトルエン、キシレンもしくはベンゼンの如き、各
種の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパ
ノールもしくはブタノールの如き、各種のアルコール
類;セロソルブもしくはカルビトールの如き、各種のエ
ーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンも
しくはメチルイソブチルケトンの如き、各種のケトン
類;酢酸エチルもしくは酢酸ブチルの如き、各種のエス
テル類;またはブチルセロソルブアセテートの如き、各
種のエーテルエステル類などが挙げられる。
【0066】尚、いずれの重合方法においても、コア−
シェル重合処方、パワーフィード重合処方、グラフト重
合処方を採用することにより、粒子の化学構造・層構造
等に変化をつけることもできる。上記各発明の各懸濁重
合法及び乳化重合法における、反応条件は、特に制限さ
れるものではなく、いずれの方法においても、通常室温
〜80℃で、15分〜24時間である。
【0067】本発明における着色剤としてはカーボンブ
ラックが最も好適に用いられるが、トナー用として公知
慣用の他の着色剤も使用できる。例えば磁性粉、アニリ
ンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルト
ラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエ
ロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブル
ー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラッ
ク、ローズベンガラ、C.I.ピグメントレッド12
2、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメ
ントブルー15、四三酸化鉄、三二酸化鉄、鉄粉、酸化
亜鉛、セレン等を挙げることができ、1種又は2種以上
の組み合わせで使用することができる。
【0068】着色剤の使用量は、通常樹脂固形分100
重量部当たり、3〜15重量部の範囲から選択される。
【0069】塩基性基含有樹脂に分散され、樹脂粒子
(I)の表面に固着するのに使用されるカーボンブラッ
クとしては、特に限定はなく、市販の黒色顔料用カーボ
ンブラックあるいは導電性カーボンブラックなどが好適
である。本発明では、カーボンブラックは塩基性基含有
樹脂溶液にできるだけ微分散させることが好ましい。
【0070】カーボンブラックを含有する塩基性基含有
樹脂の樹脂粒子(I)表面への添加量は、樹脂粒子固形
分に対して、カーボンブラックが0.05〜5重量%、
好ましくは0.1〜2重量%、塩基性基含有樹脂が0.
1〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%なる範囲
が好適である。カーボンブラックと正帯電性制御剤を含
有する塩基性基含有樹脂の場合には、樹脂粒子(I)に
対し、正帯電性制御剤が0.01〜5重量%、好ましく
は0.01〜2重量%、カーボンブラックが0.1〜5
重量%、好ましくは0.1〜2重量%、塩基性基含有樹
脂が0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%
なる範囲が好適である。帯電制御剤と塩基性基含有樹脂
の添加量がこれらの範囲を越えて多すぎる場合には、帯
電量が高くなり過ぎるとともに帯電の経時安定性が低下
するので好ましくない。また、カーボンブラックの添加
量が上記範囲を超え多すぎると、帯電量が低くなり過ぎ
好ましくない。これら各成分の適正な添加量は、樹脂粒
子(I)の樹脂特性、外添剤の特性、キャリヤの特性な
どによって変わるため、場合場合に応じて適宜決められ
る。
【0071】本発明において樹脂粒子(I)あるいは微
粒子(II)を転相乳化で作る場合に用いる有機溶剤は、
使用する樹脂を溶解するものであれば、いずれの有機溶
剤でもよい。また、樹脂合成で用いた有機溶剤を、その
まま使用してもよい。前述した様な、例えばトルエン、
キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、四塩化炭
素、トリクロロメタン、ジクロロメタン等のハロゲン系
溶剤が使用される。この場合、例えばアセトン、ブタノ
ール、イソプロピルアルコール等の水溶性、若しくは部
分水溶性の有機溶剤を併用することにより、転相乳化に
おける粒子の生成が容易になる。
【0072】好ましくは、容易に脱溶剤され得るアセト
ン、メチルエチルケトンまたは酢酸エチル、テトラヒド
ロフランなどの、いわゆる低沸点溶剤の使用が適切であ
る。
【0073】樹脂粒子(I)の、他の構成成分(添加剤
成分)としては、離型剤等各種の助剤類が挙げられ、そ
の使用目的および使用条件に応じて、適宜、選択して使
用することが出来る。例えばポリエチレンワックス、ポ
リプロピレンワックス、パラフィンワックス等のワック
ス類、金属石鹸、ステアリン酸亜鉛の如き滑剤等があげ
られるが、中でも、フィッシャートロプシュ法により合
成された合成ワックスの水分散体、もしくはエマルジョ
タイプのものを、転相乳化前の樹脂溶液中に添加し、転
相乳化後、粒子内に内包させることができる。
【0074】次に本発明の製造方法の工程について説明
する。本発明は大まかに4つの工程に分けることができ
る。すなわち、着色剤と結着樹脂を必須の成分とする樹
脂粒子(I)の水性分散液(A)を得る工程(1)と、
カーボンブラックを必須成分として含有した塩基性基含
有樹脂の微粒子(II)の水性分散液(B)を、別途調製
する工程(2)と、(A)と(B)とを均一に混合し、
樹脂粒子(I)の表面に、カーボンブラックを必須成分
として含有する塩基性基含有樹脂の微粒子(II)を析出
させる工程(3)と、その後、液媒体を除去、乾燥させ
てトナー粉末を得る工程(4)である。もちろん工程
(1)、工程(2)はどちらが先に行われても、同時に
行われてもよい。説明は各工程ごとに述べていく。
【0075】工程(1)は、 結着樹脂と着色剤を必須
の成分とする樹脂粒子(I)の水性分散液(A)を得る
工程である。
【0076】この樹脂粒子(I)は前述のとおりいかな
る製法によって得られたものでもよい。場合によっては
粒子を水媒体中に分散するために分散安定剤等を使用す
ることもできる。特に重合法や転相乳化法などの湿式法
による、粒子が水性分散液として得られるものを使用す
る場合は、粒子の水媒体への分散の工程が省略できる点
で好ましい。
【0077】とりわけ、分散安定剤や乳化剤等を使用し
ない、中和により自己水分散性となる酸性基含有樹脂
と、着色剤を必須成分として含む混合物を、中和剤の存
在下に、水性媒体と混合し転相乳化して得られる、着色
剤が内包された球形樹脂粒子(I)を含む水性分散液を
用いる方法が、本発明では最も好適である。次いで、分
散安定剤や乳化剤等を併用して行う、重合法や転相乳化
法で得られる、着色剤が内包された球形樹脂粒子(I)
を含む水性分散液を用いる方法が、本発明では好適であ
る。
【0078】分散安定剤や乳化剤等を併用しない転相乳
化法による樹脂粒子(I)を用いる場合は、中和により
自己水分散性となりうる酸性基含有樹脂を、中和剤で中
和して得られる塩構造を有する酸性基含有樹脂と、着色
剤とを必須の成分とした、必要に応じて樹脂を溶解する
有機溶剤を含む混合物を、水性媒体と混合して転相乳化
することにより得られる、着色剤が内包された、一部塩
構造を有する、酸性基含有樹脂からなる樹脂粒子(I)
の分散液(A)を得る。
【0079】この場合では、はじめに、例えば、中和剤
により、酸性基の一部が塩構造となった酸性基含有樹脂
と、着色剤とを、必要に応じて有機溶剤とを、公知慣用
の手段で混合分散して混合物を調製する。例えばボール
ミル、サンドミル、モーターミル等の公知慣用の手段が
採用できる。
【0080】また前記混合物を調製する際に用いる有機
溶媒としては、上記したものがいずれも使用できる。樹
脂を溶液重合した場合には、その時に用いた有機溶媒と
同一のものを使用することが出来る。上記した通り、当
該溶液重合時に用いた有機溶媒と混合物調製に用いる有
機溶媒の各々の種類を変えて用いる様にしてもよい。
【0081】混合物の調製に当たっては、そこに例えば
アセトン、ブタノール、イソプロピルアルコール等の水
溶性、若しくは部分水溶性の有機溶剤を含ませることに
より、本工程における樹脂粒子の生成が容易になる。本
混合物中の不揮発分は、通常20〜80重量%の範囲内
に調整される。
【0082】中和剤により、酸性基の一部が塩構造とな
った酸性基含有樹脂 を得るに当たっては、中和により
自己水分散性となりうる酸性基含有樹脂と中和剤とを混
合し中和すればよい。
【0083】尚、中和により自己水分散性となりうる酸
性基含有樹脂と、着色剤とを必須成分として、必要に応
じて有機溶剤を含む混合物を調製することも出来る。
【0084】この場合には、転相乳化に用いる水性媒体
としては、酸性基含有樹脂を自己水分散性とするのに必
要な量の中和剤を含む水性媒体を用いるか、又は転相直
前までの任意の段階で、中和を行う。好ましくは、水性
媒体を添加する直前までに、中和剤を添加しておく。
【0085】いずれにせよ、前記混合物を前記対応する
水性媒体と混合し転相乳化することにより、着色剤が内
包された樹脂粒子(I)の分散液を得る。その場合、前
記混合物に前記対応する水性媒体を加える様にして転相
乳化しても、前記混合物を前記対応する水性媒体に加え
る様にして転相乳化してもよい。
【0086】工程(1)では、通常平均粒子径が3〜1
2μmの樹脂粒子(I)を含む水性分散液を得る。
【0087】上記した樹脂粒子(I)は、転相乳化後の
水性分散液から有機溶剤を除去したものでもよい。ま
た、本発明の製法では、樹脂粒子(I)は、転相乳化後
の水性分散液から有機溶剤を除去し、水性媒体を濾別、
ウエットケーキを洗浄した後、水性媒体中に再分散し、
塩酸水溶液により、酸性基含有樹脂中に含まれる塩部分
を、元の酸性基に戻す事が好ましい。
【0088】これにより、樹脂粒子表面に酸性基が露出
し、第3工程で粒子表面に析出されるカーボンブラック
を必須成分として含んだ塩基性基含有樹脂の微粒子(I
I)と、酸ー塩基相互作用により、強固に固着する。
【0089】工程(2)は、中和により自己水分散性と
なる塩基性基含有樹脂とカーボンブラックを必須成分と
する混合物を、中和剤の存在下、水性媒体と混合して転
相乳化して得られる、カーボンブラック等が1μm以下
に分散され内包又は吸着された、樹脂粒子(I)よりも
平均粒子径が小さい、微粒子(II)の水性分散液(B)
を得る工程である。ここで重要なポイントの一つは、カ
ーボンブラック等を十分に微分散することである。
【0090】ここで用いられる、中和剤により塩構造と
なった塩基性基含有樹脂及び該樹脂を溶解する有機溶剤
としては、上述したようなアルコール系溶剤、ケトン系
溶剤、あるいはエーテル系溶剤の中から選ばれるもので
あればいずれの有機溶剤でもよいが、中でも、本発明の
目的にはテトラヒドロフランを用いることが好ましい。
この場合、単独使用でも、あるいは混合溶剤として使用
してもよい。
【0091】水性分散液(B)中の微粒子(II)は、工
程(1)の樹脂粒子(I)と同様の操作で得られる。微
粒子(II)の平均粒子径としては、樹脂粒子(I)より
も小さい必要があり、0.1〜2μm、特に好ましくは
0.1〜1μmである。
【0092】水性分散液(B)は、転相乳化後の分散液
から有機溶剤を除去する事が好ましい。
【0093】工程(3)は、工程(1)および工程
(2)で得られた水性分散液(A)と(B)を均一に混
合して、塩基性基の一部、あるいは全部を塩構造に変換
され、親水性を高められた塩基性基含有樹脂に、塩基性
の中和剤を加えて、元の中和されていない状態(未中和
状態)の塩基性基に戻す工程であり、その様に処理する
ことにより、カーボンブラックを含有した樹脂の親水性
が低下して、微粒子(II)が樹脂粒子(I)の表面に析
出される。この時、微粒子(II)は樹脂粒子(I)の表
面に強固に固着される。
【0094】この場合、微粒子(II)の析出速度が速す
ぎると、微粒子同士が凝集して、樹脂粒子(I)の表面
に均一に析出しないばかりか、樹脂粒子(I)同士をも
凝集させることになり好ましくない。
【0095】本発明の製法では、塩基性基として第三級
アミノ基を有する樹脂を使用し、該樹脂を強酸で中和し
た後、弱塩基である、アンモニアで処理することによっ
て、析出速度が遅く、微粒子同士の凝集がしにくく、均
一に樹脂粒子表面に固着することができる。
【0096】微粒子(II)の樹脂粒子(I)への添加量
は、樹脂粒子(I)の固形分に対し、0.05〜10重
量%、好ましくは0.1〜6重量%とすることが好まし
い。
【0097】析出工程は、撹拌下で行うのが一般的であ
る。攪拌翼としては、特に制限はないが、ファウドラー
翼のごとき空気の巻き込みの少ないものが好ましい。
【0098】析出させる際に使用する塩基性中和剤は、
分散液(A)と分散液(B)の混合物の固形分含有量が
20重量%、水温20℃で、PH9〜10となるまで添
加すればよい。所定のPHにあわせた後、30分間ほど
攪拌を行い、微粒子(II)を樹脂粒子(I)の表面に完
全に固着させる。
【0099】工程(4)は、工程(3)で得られた、カ
ーボンブラックを必須成分として含む塩基性基含有樹脂
が表面に固着されたトナー粒子を、液媒体から分離、乾
燥し、粉体トナーを得る工程である。
【0100】液媒体から分離されたトナー粒子は、乾燥
してトナー粉末を得る。この乾燥は、公知慣用の手法が
いずれも採用でき、例えばトナー粒子が熱融着や凝集し
ない温度で加熱乾燥してもよいし、凍結乾燥するという
方法が挙げられる。また、連続瞬間気流式乾燥機やスプ
レードライヤー等を用いて、水性媒体からのトナー粒子
の分離と乾燥とを同時に行うという方法もある。
【0101】本発明で用いるトナー粒子からなるトナー
粉体の粒子サイズとしては、トナーとしての実用的レベ
ル内で任意の大きさを選定できる。現状のマシンとのマ
ッチング性からは、その体積平均粒子径が3〜15μm
の範囲のものが好適である。特に体積平均粒径が3〜8
μm程度の小粒径トナーが解像度や階調性などの画像品
質に優れ好ましい。
【0102】本発明のトナーには、静電荷像現像剤とし
て適切な流動性や帯電性を確保するために、無機微粒子
を外添することが好ましい。このような無機微粒子とし
ては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、チタン酸バリウ
ム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタ
ン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、三酸化
アンチモン、酸化ジルコニウム、炭化珪素、窒化珪素な
どが挙げられる。無機微粒子の一次粒子径は5〜200
ナノメーター程度、特に好ましくは5〜50ナノメータ
ー程度であり、外添量は0.1〜5重量%程度、特に好
ましくは0.1〜3重量%程度である。これらの中で、
特にシリカ微粒子が実用上好ましい。
【0103】本発明の製造方法で得られるトナーは、非
磁性一成分トナーあるいは磁性一成分トナーとして、
又、キャリアと組み合わせることにより二成分現像剤と
して使用することができ、良好な帯電特性発現により高
品質の画像を得ることができる。
【0104】キャリアとしては、公知慣用のものがいず
れも使用できる。例えば、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コ
バルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれら
の合金又は酸化物、表面処理されたガラス、シリカ等の
粉末が使用でき、それらのアクリル樹脂被覆キャリア、
フッ素樹脂被覆キャリア、フッ素/アクリル樹脂被覆キ
ャリア、シリコーン樹脂被覆キャリア等の樹脂被覆キャ
リアが、本発明の正帯電性トナーに用いるのにより好適
である。キャリアの平均粒径としては、特に限定はない
が、20〜200ミクロン程度のものが好適に使用され
る。
【0105】
【発明の実施形態】1。 着色剤と結着樹脂を必須成分
とする樹脂粒子(I)の表面に、カーボンブラックを含
有する塩基性基含有樹脂が固着された正帯電性の静電荷
像現像用トナー。 2。 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子
(I)の表面に、正帯電性帯電制御剤とカーボンブラッ
クを含有する塩基性基含有樹脂が固着された正帯電性の
静電荷像現像用トナー。 3。 樹脂粒子(I)が、酸性基を含有した結着樹脂か
らなることを特徴とする上記1あるいは2記載のトナ
ー。 4。 塩基性基が3級アミノ基である、上記1あるいは
2記載のトナー。 5。 酸性基がカルボキシル基である、上記3記載のト
ナー。 6。 トナー粒子が、ワーデル実用球形度0.95以上
の球形である、上記1あるいは2記載のトナー。 7。 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子
(I)の水性分散液と、中和により自己水分散性及び/
又は水溶性となる塩基性基含有樹脂とカーボンブラック
を必須とする混合物を、酸性中和剤の存在下に水性媒体
と混合し転相乳化して得られる、樹脂粒子(I)よりも
平均粒子径が小さい、微粒子(II)の水性分散液を、均
一に混合して、塩基性中和剤で樹脂粒子(I)の表面に
微粒子(II)を析出させ、次いで、これから液媒体を除
去し乾燥させる、トナー粒子表面にカーボンブラックを
必須成分として含有する塩基性基含有樹脂が固着された
上記1あるいは2記載のトナーの製造方法。 8。 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子
(I)が、中和により自己水分散性となる酸性基含有樹
脂と着色剤を必須成分として含む混合物を、塩基性中和
剤の存在下に水性媒体と混合し転相乳化して得られる、
着色剤が内包された球形粒子である、上記7記載の製造
方法。 9。 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子
(I)の水性分散液が、転相乳化後、酸処理により元の
酸性基に戻したものを水性媒体中に再分散したものであ
る、上記8記載の製造方法。 10。着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子
(I)が、着色剤の分散した重合性モノマーを、液媒体
中で重合させてえられる球形粒子である上記7記載のト
ナーの製造方法。
【0106】本発明の好適な実施形態は、樹脂粒子
(I)に湿式法で製造される球形粒子を使用し、その結
着樹脂としては酸基を含有する樹脂を使用するものであ
る。特に、その結着樹脂として塩基により中和して得ら
れる自己水分散性樹脂を用い、カーボンブラックを含有
する塩基性基含有樹脂の微粒子(II)を樹脂粒子(I)
の表面に固着させたものが本発明に最も好適である。
【0107】
【実施例】次に、本発明を比較例及び実施例により具体
的に説明する。以下において部および%はすべて重量基
準である。尚、水は全て脱イオン水の意である。
【0108】(参考例1) カルボキシル基を有するス
チレンアクリル樹脂の合成例 滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流
冷却器を備えた3リットルのフラスコに、メチルエチル
ケトン/イソプロピルアルコール/水の114/12/24
部を仕込んでから、80℃に昇温し、組成1の単量体類
及び重合開始剤からなる混合物を一括して仕込み反応を
開始した。
【0109】 組成1 スチレン 330部 アクリル酸ブチル 216部 アクリル酸 54部 「パーブチルO」〔日本油脂(株)製〕 0.6部
【0110】ついで、3時間後から1時間おきに、反応
樹脂溶液の約10部をサンプリングし、同量のメチルエ
チルケトンで希釈し、ガードナー粘度計で粘度を測定し
た。粘度がP−Qとなる時点で、メチルエチルケトン/
イソプロピルアルコールの567/63部を添加し、温
度が80℃になってから、組成2に示されるような割合
の混合物を1時間にわたって滴下した。なお、この時の
モノマー残存率をガスクロマトグラフィーで定量するこ
とで1段目の重合率を計算すると60%であった。
【0111】 組成2 スチレン 413部 アクリル酸ブチル 133部 アクリル酸 54部 「パーブチルO」 18部
【0112】滴下終了後、3時間毎に3回「パーブチル
O」の2部を添加し、さらに4時間反応を継続してから
終了した。最後に、メチルエチルケトンで不揮発分が5
0%になるように調整して樹脂溶液を得た。この樹脂
は、酸価(樹脂固形分1gを中和するのに要するKOH
のmg数)70,重量平均分子量124000、Tg6
1℃であった。
【0113】(参考例2) 3級アミノ基を有するスチ
レンアクリル樹脂の合成例 滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流
冷却器を備えた3リットルのフラスコに、メチルエチル
ケトンの670部を仕込んでから、80℃に昇温し、下
記の単量体類及び重合開始剤からなる混合物を、2時間
かけて滴下した。
【0114】 スチレン 732部 アクリル酸ブチル 100部 メタクリル酸ジメチルアミノエチル 168部 「パーブチルO」 8部
【0115】ついで、滴下を終了してから、3時間後か
ら3時間おきに4回、各々重合触媒のパーブチルOの2
部を添加した。次に、パーブチルOを添加してからさら
に、4時間反応を継続してから終了した。最後に、不揮
発分が50%になるようにメチルエチルケトンで調整し
て樹脂溶液を得た。この樹脂は、アミン価(樹脂固形分
1gを中和するのに要するHClのmg数)39,重量
平均分子量142000、Tg68℃であった。
【0116】(参考例3)転相乳化法による樹脂粒子
(I)の作製例 参考例1で調製した樹脂溶液900部と、ELFTEX
8(キャボット社製カーボンブラック)の50部とを、
アイガーモーターミルM−250(アイガージャパン社
製ビーズミル)を使用して混練した。このミルベースの
樹脂固形分/顔料の割合は90/10になる。
【0117】得られたカーボンブラック分散樹脂溶液
に、H808(中京油脂社製エマルジョン型ワックス、
フィッシャートロプシュワックス、粒子径0.5μm、
固形分含有量30%)45部を添加し、アイガー・モー
ターミル M−250によって混合・分散してから、メ
チルエチルケトンで不揮発分濃度を51%に調整しミル
ベースを作製した。
【0118】次いで、この混合物300部に対して、1
規定水酸化ナトリウム水溶液20.7部、イソプロピル
アルコール34部、メチルエチルケトン30部、水90
部を加え、良く混合した後、内温を30℃に保持し、撹
拌しながら、水(30℃)を加えて転相乳化させ樹脂粒
子(I)を形成し、30分後に水300部を加えて希釈
した。
【0119】次に、減圧蒸留によって有機溶剤を除去
し、液媒体より樹脂粒子(I)を濾別し、該粒子を水中
に再分散させた。続いてこの分散液に、1N塩酸水溶液
を加えてPH2.5に調整し、30分間撹拌し、樹脂粒
子中の樹脂を、元のカルボキシル基含有樹脂に変換し
た。
【0120】得られた樹脂粒子を濾別した後、さらに水
中に再分散し、固形分含有量を20%となるよう調整
し、着色剤が内包された樹脂粒子(I)の水分散体溶液
を調整した。この樹脂粒子の水分散体溶液のPHは4.
9であった。
【0121】ここで得られた樹脂粒子の平均粒子径は、
コールター・マルチサイザーを用いた測定で7.8μm
であった。また、ワーデルの実用球形度は0.96以上
の球形であった。乾燥して得られた樹脂粒子を、樹脂包
埋しミクロトームで切断した断面をルテニウム酸化物で
染色後、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察したとこ
ろ、着色剤及びワックス微粒子がトナー粒子内に内包さ
れているのが確認された。
【0122】(参考例4)転相乳化法による樹脂粒子
(I)の作製例 酸価が4mg・KOH/g、重量平均分子量が1200
0,ガラス転移点が61℃、100℃における溶融粘度
が40000ポイズであるポリエステル樹脂1200部
に、メチルエチルケトンの800部を加え、よく溶解し
た樹脂溶液に、カーボンブラック(ELFTEX8)8
0部を加えて攪拌混合して十分に分散した。分散終了
後、メチルエチルケトンにより、固形分含有量を50%
に調整しミルベースとした。
【0123】このミルベース200部に、メチルエチル
ケトン86部、1規定アンモニア水4部を加え、攪拌し
ながら水225部を加えて転相乳化させ、樹脂粒子を形
成した。希釈水として水150部と、分散安定性を増す
ために1規定アンモニア水4部を添加した。
【0124】次いで、減圧蒸留により有機溶剤を除去
し、水性分散液を得た。これに1規定塩酸水溶液を加え
てPHを2.5とし、水スラリーを遠心分離機で処理し
て微粉を除去し、ついで水スラリーをフイルター(チッ
ソフイルター(株)製)に通過させて粗大粒子を除去し
た。濾過・水洗して得られたウエットケーキを水で20
%スラリーとし、樹脂粒子(I)の水分散液を得た。こ
の水分散液のPHは5.3であった。
【0125】この樹脂粒子は、体積平均粒子径が7.6
μmで、ワーデルの実用球形度が0.96以上の球形で
あった。この粒子を樹脂包埋しミクロトームで切削した
断面をTEMで観察したところ、顔料は粒子に内包され
て均一に分散していた。
【0126】 (参考例5)重合法による樹脂粒子(I)の作製例 スチレン 240部 アクリル酸ブチル 60部 エチレングリコールジメタアクリレート 3部 アゾビスイソブチロニトリル 6部 ドデシルメルカプタン 3部 カーボンブラック 21部 ビスコール550P 3 g [三洋化成工業(株)製ポリプロピレンワックス]
【0127】上記混合物をT.K.ロボミクス(特殊機
化工業(株)社製ホモミクサー)で分散させた後、ポリ
アクリル酸ソーダの18部を溶解したイオン交換水15
00gを加え、分散懸濁させた。この混合液をファウド
ラー翼の付いた3Lのフラスコに入れ、窒素気流下、8
0℃で10時間懸濁重合を行い、着色剤が内包された樹
脂粒子の水分散液を調製した。得られた樹脂粒子の平均
粒径は7.7μmであった。また、ワーデルの実用球形
度は0.96以上の球形であった。
【0128】この樹脂粒子水性分散液を濾過し、再度水
に分散するという洗浄作業を数回繰り返し、最後に、固
形分含有量を20%となるよう調整し、着色剤の内包さ
れた、樹脂粒子(I)の水分散体溶液を調整した。な
お、樹脂粒子の水分散体溶液のPHは5.3であった。
【0129】(参考例6)カーボンブラック含有の微粒
子(II)の調製例 1L広口ポリ瓶に、参考例2で調製した樹脂液100
部、テトラヒドロフラン150部及び1N塩酸水溶液5
0部を秤り採り均一に混合し、次いでカーボンブラック
(Elftex8)33.5部を加えてからペイントコ
ンデショナー(直径1mmのガラスビーズの400部を
使用)により30分間分散を行う。
【0130】この樹脂溶液を2Lのセパラブルフラスコ
に移し、攪拌しながら水1500部を添加し転相乳化を
行った。ここで得られる微粒子(II)の分散液から、減
圧蒸留によって有機溶剤を除去し、カーボンブラックを
含有する塩基性基含有樹脂の微粒子(II)の水性分散液
を得た。得られた水溶液の固形分含有量は7.5%であ
り、樹脂/カーボンブラックの重量比は60/40であ
る。
【0131】(参考例7)帯電制御剤およびカーボンブ
ラック含有の微粒子(II)の調製例 1L広口ポリ瓶に、参考例2で調製した樹脂液100
部、テトラヒドロフラン150部及び1N塩酸水溶液5
0部を秤り採り均一に混合する。これに、正帯電性帯電
制御剤「ボントロンN−07」(オリエント化学工業
(株)製)16.5部と、カーボンブラック(Elft
exー8)33.5部を加えてからペイントコンデショ
ナー(直径1mmのガラスビーズの400部を使用)に
より30分間分散を行う。
【0132】この樹脂溶液を2Lセパラブルフラスコに
移し、攪拌しながら水1500部を添加し転相乳化を行
った。ここで得られる微粒子(II)の分散液から、減圧
蒸留によって有機溶剤を除去し、帯電制御剤とカーボン
ブラックを含有する塩基性基含有樹脂の微粒子(II)の
水性分散液を得た。得られた水溶液の固形分含有量は
7.5%であり、樹脂/帯電制御剤/カーボンブラック
の重量比は50/16.5/33.5である。
【0133】(参考例8)帯電制御剤含有の樹脂水溶液
の調製 1L広口ポリ瓶に、参考例2で調製した樹脂の100部
及びテトラヒドロフランの200部及び1NHCl水溶
液の50部を添加し、均一に混合する。これに正帯電性
帯電制御剤「ボントロンN−07」の21.5部と、直
径1mmのガラスビーズの400gを加え、ペイントコ
ンデショナーにより30分間分散を行った。分散終了
後、400倍の光学顕微鏡により観察したところ、樹脂
溶液中に、帯電制御剤が均一に溶解していることが確認
された。この樹脂溶液を、2Lのセパラブルフラスコに
移し、350rpmで攪拌下、脱イオン水を50ml/
minで10分間滴下し、転相乳化を行った。滴下終了
後、ここで得られた水性媒体分散液から、減圧蒸留によ
って、有機溶剤を除去し、帯電制御剤の水性分散液を得
た。該分散液を、400倍の光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、均一に溶解していることが確認された。得られた水
溶液の固形分含有量は、10.4%であり、樹脂と帯電
制御剤の重量比は70/30であった。
【0134】(実施例1)10Lフラスコに、参考例3
で作製した樹脂粒子(I)の水分散体溶液の3000部
(固形分600部)を仕込み、攪拌しながら、参考例6
で調製したカーボンブラックを含有する微粒子(II)の
水性分散液の144部(固形分10.8部)を添加して
から、0.1Nアンモニア水を、PHが9〜9.5とな
るまで加え、微粒子(II)を、樹脂粒子(I)の表面に
析出させた。
【0135】次に濾過・水洗し、ウェットケーキを分離
し、乾燥することで、カーボンブラックを含有する塩基
性基含有樹脂微粒子が表面に固着したトナー粒子を得
た。樹脂粒子(I)に対するカーボンブラックと塩基性
基含有樹脂の添加量は、それぞれ0.72重量%、1.
08重量%である。得られたトナー粒子の体積平均粒子
径は7.8μであり、SEM(走査型電子顕微鏡)によ
り粒子表面を観察したところ、微粒子(II)が、樹脂粒
子(I)の表面に固着しているのが確認された。また、
ワーデルの実用球形度は、0.96以上であった。
【0136】このトナー粒子に対し、ヘンシェルミキサ
ーを用いて、HDK H3050(ワッカー社製正帯電
性シリカ)0.3重量%を外添し正帯電性トナーを得
た。
【0137】(実施例2)10Lフラスコに、参考例4
で作成した樹脂粒子(I)の水分散体溶液の3000部
(固形分600部)を仕込み、攪拌しながら、参考例6
で調製したカーボンブラック含有の微粒子(II)の水性
分散液の160部(固形分12部)を加え、 以下実施
例1と同様の操作にて、カーボンブラックを含有した塩
基性基含有樹脂が表面に固着されたトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒子径は7.6μmであり、
SEMにより粒子表面を観察したところ、微粒子(II)
が樹脂粒子(I)の表面に固着しているのが確認され
た。また、ワーデルの実用球形度は、0.96以上であ
った。
【0138】このトナー粒子に対し、実施例1と同様な
外添を行い正帯電性トナーを得た。
【0139】(実施例3)10Lフラスコに、参考例5
で作成した樹脂粒子(I)の水分散体溶液の3000部
(固形分600部)を仕込み、攪拌しながら、参考例6
で調製したカーボンブラック含有の微粒子(II)の水性
分散液の144部(固形分10.8部)を加え、以下実
施例1と同様の操作にて、カーボンブラックを含有した
塩基性基含有樹脂で表面処理されたトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒子径は7.7μmであり、
SEMで粒子表面を観察したところ、微粒子(II)が樹
脂粒子(I)の表面に固着しているのが確認された。ま
た、ワーデルの実用球形度は、0.96以上であった。
【0140】このトナー粒子に対し、実施例1と同様な
外添を行い正帯電性トナーを得た。
【0141】(実施例4)10Lフラスコに、参考例3
で作製した樹脂粒子(I)の水分散体溶液の3000部
(固形分600部)を仕込み、攪拌しながら、参考例7
で調製した、帯電制御剤とカーボンブラックを含有する
微粒子(II)の水性分散液の144部(固形分10.8
部)を添加してから、0.1Nアンモニア水を、PHが
9〜9.5となるまで加え、微粒子(II)を、樹脂粒子
(I)の表面に析出させた。
【0142】次に濾過・水洗し、ウェットケーキを分離
し、乾燥することで、正帯電性帯電制御剤とカーボンブ
ラックを含有する塩基性基含有樹脂微粒子が表面に固着
したトナー粒子を得た。樹脂粒子(I)に対する正帯電
性帯電制御剤、カーボンブラック、塩基性基含有樹脂の
添加量は、それぞれ0.3重量%、0.6重量%、0.
9重量%である。このトナー粒子の体積平均粒子径は
7.8μであり、SEMにより粒子表面を観察したとこ
ろ、微粒子(II)が、樹脂粒子(I)の表面に固着して
いるのが確認された。また、ワーデルの実用球形度は、
0.96以上であった。
【0143】このトナー粒子に対し、実施例1と同様な
外添を行い正帯電性トナーを得た。
【0144】(実施例5)10Lフラスコに、参考例4
で作成した樹脂粒子(I)の水分散体溶液の3000部
(固形分600部)を仕込み、攪拌しながら、参考例7
で調製した帯電制御剤とカーボンブラック含有の微粒子
(II)の水性分散液の160部(固形分12部)を加
え、 以下実施例4と同様の操作にて、正帯電性帯電制
御剤とカーボンブラックを含有した塩基性基含有樹脂の
表面処理されたトナー粒子を得た。このトナー粒子の体
積平均粒子径は7.6μmであり、SEMにより粒子表
面を観察したところ、微粒子(II)が樹脂粒子(I)の
表面に固着しているのが確認された。また、ワーデルの
実用球形度は、0.96以上であった。
【0145】このトナー粒子に対し、実施例1と同様な
外添を行い正帯電性トナーを得た。
【0146】(実施例6)10Lフラスコに、参考例5
で作成した樹脂粒子(I)の水分散体溶液の3000部
(固形分600部)を仕込み、攪拌しながら、参考例7
で調製した帯電制御剤とカーボンブラック含有の微粒子
(II)の水性分散液の144部(固形分10.8部)を
加え、以下実施例4と同様の操作にて、正帯電性帯電制
御剤とカーボンブラックを含有した塩基性基含有樹脂で
表面処理されたトナー粒子を得た。このトナー粒子の体
積平均粒子径は7.7μmであり、SEMで粒子表面を
観察したところ、微粒子(II)が樹脂粒子(I)の表面
に固着しているのが確認された。また、ワーデルの実用
球形度は、0.96以上であった。
【0147】このトナー粒子に対し、実施例1と同様な
外添を行い正帯電性トナーを得た。
【0148】(比較例1,2,3)参考例3,4,5で
作製した樹脂粒子(I)の水分散体溶液に、参考例8で
調製した帯電制御剤含有の樹脂水溶液をそれぞれ60
部、95部、60部加える以外は、実施例4,5,6と
同様な操作により、表面に正帯電性帯電制御剤と塩基性
基含有樹脂が固着された正帯電性トナーを得た。
【0149】(トナーの評価試験)実施例および比較例
で作製したトナー各4部と、フッ素・アクリル樹脂コー
トマグネタイトキャリアー(平均粒径80μm)96部
をボールミルを用いて3分、10分、30分間混合した
時の帯電性を測定したところ、表ー1のようであった。
帯電量(μC/g)および逆帯電比率(個数%)は、E
−SPARTアナライザー(ホソカワミクロン社製)を
用いて測定した。
【0150】
【表1】
【0151】負帯電性の樹脂粒子(I)が、本発明の表
面処理により、いずれのトナーも良好な正帯電性を発現
している。特に、正帯電性制御剤を使用しない実施例
1,2,3で、良好な帯電性が発現された。また、表面
処理にカーボンブラックを使用しない比較例のトナーに
比べると、帯電量が下がり、帯電の立ち上がり性が改善
されるという効果が発現された。
【0152】また、実施例で作製した6種のトナーを、
市販の複写機(シャープ社製Z−52)に使用して画出
し試験を行ったところ、いずれも良好な画像が得られ
た。
【0153】
【発明の効果】結着樹脂と着色剤を必須成分とする樹脂
粒子(I)の水性分散液と、別途調整したカーボンブラ
ックを必須成分として含有した塩基性基含有樹脂微粒子
(II)の水性分散液を混合し、樹脂粒子(I)の表面に
微粒子(II)を析出させ、これを乾燥して、粒子表面に
カーボンブラックを必須成分として含有する塩基性基含
有樹脂が固着したトナー粒子を得ることにより、良好な
正帯電性を有する球形トナーを得ることができる。また
本製造方法では、樹脂粒子(I)の極性にかかわらず、
また帯電性制御剤を使用しなくても、良好な正帯電性を
有するトナーを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 9/08 384 (72)発明者 伊東 孝之 東京都大田区東糀谷3−3−6−102

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂
    粒子(I)の表面に、カーボンブラックを含有する塩基
    性基含有樹脂が固着された正帯電性の静電荷像現像用ト
    ナー。
  2. 【請求項2】 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂
    粒子(I)の表面に、正帯電性帯電制御剤とカーボンブ
    ラックを含有する塩基性基含有樹脂が固着された正帯電
    性の静電荷像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 樹脂粒子(I)が、酸性基を含有した結
    着樹脂からなることを特徴とする請求項1あるいは2記
    載のトナー。
  4. 【請求項4】 塩基性基が3級アミノ基である、請求項
    1あるいは2記載のトナー。
  5. 【請求項5】 酸性基がカルボキシル基である、請求項
    3記載のトナー。
  6. 【請求項6】 トナー粒子が、ワーデル実用球形度0.
    95以上の球形である、請求項1あるいは2記載のトナ
    ー。
  7. 【請求項7】 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂
    粒子(I)の水性分散液と、中和により自己水分散性及
    び/又は水溶性となる塩基性基含有樹脂とカーボンブラ
    ックを必須とする混合物を、酸性中和剤の存在下に水性
    媒体と混合し転相乳化して得られる、樹脂粒子(I)よ
    りも平均粒子径が小さい、微粒子(II)の水性分散液
    を、均一に混合して、塩基性中和剤で樹脂粒子(I)の
    表面に微粒子(II)を析出させ、次いで、これから液媒
    体を除去し乾燥させる、トナー粒子表面にカーボンブラ
    ックを必須成分として含有する塩基性基含有樹脂が固着
    された請求項1あるいは2記載のトナーの製造方法。
  8. 【請求項8】 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂
    粒子(I)が、中和により自己水分散性となる酸性基含
    有樹脂と着色剤を必須成分として含む混合物を、塩基性
    中和剤の存在下に水性媒体と混合し転相乳化して得られ
    る、着色剤が内包された球形粒子である、請求項7記載
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂
    粒子(I)の水性分散液が、転相乳化後、酸処理により
    元の酸性基に戻したものを水性媒体中に再分散したもの
    である、請求項8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】着色剤と結着樹脂を必須成分とする樹脂
    粒子(I)が、着色剤の分散した重合性モノマーを、液
    媒体中で重合させてえられる球形粒子である請求項7記
    載のトナーの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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