JPH11326054A - 混合色材のk/sパラメータ予測方法、色材の分光反射率測定方法、および、混合色材の色合わせ方法 - Google Patents

混合色材のk/sパラメータ予測方法、色材の分光反射率測定方法、および、混合色材の色合わせ方法

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JPH11326054A
JPH11326054A JP14021698A JP14021698A JPH11326054A JP H11326054 A JPH11326054 A JP H11326054A JP 14021698 A JP14021698 A JP 14021698A JP 14021698 A JP14021698 A JP 14021698A JP H11326054 A JPH11326054 A JP H11326054A
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Yuzuru Takahashi
譲 高橋
Naoki Kato
直樹 加藤
Takahisa Shinkawa
貴久 新川
Mitsuhiko Tsuji
満比古 辻
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Sumika Color Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 混合色材の色合わせの際に、最適配合を簡単
に得る。 【解決手段】 基本色材よりも十分に大きな散乱係数を
示す無彩色材を同じ量ずつ含み、基本色材を段階的に異
なる量で含む複数個の液体試料を調製し、各液体試料毎
に分光反射率を測定し、分光反射率からK/Sパラメー
タを算出し、得られた各基本色材のK/Sパラメータか
ら特別の式で混合色材のK/Sパラメータを算出する方
法、下地の色を考慮して特別の式で分光反射率を測定す
る方法と、これらの方法を利用する色合わせ方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、混合色材のK/S
パラメータ予測方法、色材の分光反射率測定方法、およ
び、混合色材の色合わせ方法に関し、塗料やインキの調
色等に利用される技術である。
【0002】
【従来の技術】塗料、インキなどの液体着色剤は、顔料
の粒子を液体中に分散させた分散液であり、樹脂成形
品、紙、合成皮革、木材、金属などの下地の上に塗布ま
たは転写されて乾燥され固化または硬化してこの下地表
面に被膜を形成することにより、着色を行う。液体着色
剤の製造者または使用者は、通常、液体着色剤により形
成される被膜が色見本と同じ色になるように色合わせ
(調色)を行っている。この色合わせでは、液体着色剤
に含まれる顔料の適切な配合(配合処方)を決めてい
る。
【0003】近年、コンピュータを利用した色合わせ
(コンピュータ・カラー・マッチング:CCMと略すこ
とがある)を行って色合わせ作業の合理化を図ってい
る。このコンピュータ・カラー・マッチングでは、色見
本の分光反射率の測定値に基づいて色見本の実測色値
(測色結果)を得る一方、色合わせに適した複数(たと
えば3〜5種、通常4種)の顔料を適宜の割合で配合し
て下地を着色したときの予測分光反射率を算出し、この
予測分光反射率に基づき下地を着色したときの予測色値
(混色結果)を得て、実測色値と予測色値との差(たと
えば色差)が所定値以下であるときの顔料の割合を色見
本の色と同じ色になる配合と判定する。実測色値と予測
色値との差が所定値以下でなければ、顔料の割合を変更
し新たに予測色値を得て実測色値と比較することを繰り
返す。
【0004】この予測分光反射率の算出には、基礎デー
タとして、各単一顔料の吸収係数と散乱係数を使用して
いる。これは、顔料の各粒子では照射された光の吸収と
散乱とが起きているため、吸収と散乱の影響を考慮しな
ければならないからである。顔料の吸収係数と散乱係数
は直接測定できない上、顔料の量に応じて変化する。そ
こで、単一顔料ごとに量の異なる複数の顔料試料を作っ
て分光反射率を測定し、この分光反射率に基づいて吸収
係数と散乱係数を算出している。そして、算出された両
係数と顔料量から、直線近似または曲線近似などの近似
により両係数と顔料量との関係を予め把握しておき、予
測分光反射率の計算の際に利用するようにしている。
【0005】顔料の基礎データとしての吸収係数と散乱
係数は、通常、次の方法により算出されている。各有彩
色顔料ごとに、溶剤100重量部に下記〜に示す量
で顔料を添加した顔料試料を調製する。このとき、有彩
色顔料と白色顔料の合計量が、一定量〔たとえば、溶剤
100重量部に対して顔料の合計量が1重量部〕となる
ように顔料の量が設定される。この顔料合計量は、一般
に、使用する液体着色剤中の顔料合計量と一致またはほ
ぼ一致するように設定され、形成される被膜の厚みと隠
蔽性に応じた基礎データが得られるようになっている。
【0006】 有彩色顔料1重量部 有彩色顔料0.6重量部+白色顔料0.4重量部 有彩色顔料0.3重量部+白色顔料0.7重量部 有彩色顔料0.1重量部+白色顔料0.9重量部 白色顔料1重量部 これらの顔料試料〜の分光反射率を実測する。この
分光反射率を基に、下記の式(1)〜(3)に従って、
各有彩色顔料の吸収係数Kp と散乱係数Sp を求める。
式(1)は、分光反射率Rと分光吸収係数Kと分光散乱
係数Sの関係を示すクベルカ−ムンク(Kubelka-Munk)
の式である。
【0007】
【数1】 p =Sp×(K/S)p …(3) 試料〜の分光反射率を式(1)に代入することによ
り、試料の(K/S)p と試料〜の各(K/S)
w+p と試料の(K/S)w (=Kw /Sw )が計算さ
れる。この計算結果と、試料〜の白色顔料量Cw
よび有彩色顔料量Cp との値を式(2)に代入して計算
することにより、試料〜の各顔料量に対応した散乱
係数Sp が互いに異なったものとして得られる。これら
のSp と(K/S)p を式(3)に代入すると、試料
〜の各顔料量に対応した吸収係数Kp が互いに異なっ
たものとして得られる。このようにして、各有彩色顔料
について、色合わせに必要な基礎データ(顔料量と、各
波長における吸収係数および散乱係数)が得られる。基
礎データはコンピューターのメモリに記憶させる。上記
基礎データから、各有彩色顔料について、各波長におけ
る吸収係数および散乱係数と量との関係を直線近似また
は曲線近似などにより近似することにより、所望の量に
対応する吸収係数および散乱係数を計算することができ
る。
【0008】このようにして得られた基礎データに基づ
いて、複数の有彩色顔料を適宜の割合で配合したときの
混色結果を予測する。この予測は、上記基礎データとダ
ンカン(Duncan)の式、 Km /Sm =Σi (Ki ×Ci )/Σi (Si ×Ci ) …(4) を使って行う。複数の有彩色顔料を適宜の割合で配合し
た顔料混合物は、顔料ごとに、各顔料量Ci に対応する
吸収係数Ki と散乱係数Si を使って式(4)で計算さ
れる着色状態Km /Sm を持つと予測されるからであ
る。
【0009】この予測値が色見本のK/Sにほぼ一致す
ることが必要であり、そのために上記予測値が色見本の
K/Sに近づくか一致するまで各顔料量Ci を種々に変
えて計算を繰り返す。色見本のK/Sは、色見本の分光
反射率Rから、式(1)により算出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】液体着色剤の形成する
被膜の色が下地の色の影響を受けない場合には、色合わ
せの際に、上記計算方法により最適配合を決定すること
ができるが、上述のように、その計算作業が煩雑であ
り、長時間を要する。被膜の色が下地の色の影響を受け
る場合、上記計算方法により求めた最適配合の液体着色
剤を実際に下地表面に転写して形成した被膜は下地の色
の影響を受けるため、色見本の色とは同じにならず、色
合わせの精度が低い。色合わせの精度を高めるために
は、下地の影響を考慮しなければならない。このため、
転写しようとする下地と同じ色の下地に転写してデータ
をとるようにしている。しかし、色合わせの際に液体着
色剤をいちいち下地に転写して被膜を形成し、この被膜
の分光反射率を測定して色見本の分光反射率と比較する
方法により最適配合を決定していたのでは、色合わせに
極めて長時間を要する。
【0011】他方、顔料の利用者、特に塗料やインキの
製造者は、色合わせした液体着色剤を余した場合、この
液体着色剤の残液を廃棄している。この残液は多量にな
る場合が多いため、残液を色合わせに使用できるように
すれば、産業廃棄物を減少させ、資源を無駄遣いせずに
すみ、コストの低減を図ることができる。本発明のひと
つの課題は、色合わせの際に最適配合を算出する作業時
間を大幅に削減することである。別の課題は、精度の高
い色合わせを実現することである。本発明のさらに別の
課題は液体着色剤残液の再利用を可能とさせることであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】〔第1の発明〕本発明の
うち、第1は、複数の基本色材を混合して得られる混合
色材のK/Sパラメータを予測する方法である。ここ
に、基本色材とは、原則的には有彩色材のみを指すが、
液体着色剤残液を再利用する等の場合には無彩色材が混
在した状態のものをも意味することになる。本発明にか
かる、混合色材のK/Sパラメータ予測方法は、各基本
色材についてそれぞれのK/Sパラメータを測定する第
1の工程と、各基本色材のK/Sパラメータから混合色
材のK/Sパラメータを算出する第2の工程とを含む。
【0013】第1の工程は、以下の工程を含む。液体試
料として、基本色材よりも十分に大きな散乱係数を示す
無彩色材を同じ量ずつ含み、基本色材を段階的に異なる
量で含む複数個の液体試料を調製する工程。各液体試料
毎に分光反射率を測定する工程。分光反射率から前記K
/Sパラメータを算出する工程。第2の工程は、各基本
色材のK/Sパラメータから、下記(I)式により、混
合色材のK/Sパラメータを算出する工程を含む。
【0014】 (K/S)m =Σi {(K/S)i ×Ci } …(I) ここで、(K/S)m :混合色材のK/Sパラメータ (K/S)i :各基本色材のK/Sパラメータ Ci :各基本色材の混合量 各構成要件について以下に具体的に説明する。なお、後
述する第2の発明にかかる色材の分光反射率測定方法は
上記のK/Sパラメータ予測方法の構成と共通する部分
が多く、また、後述する本発明の混合色材の色合わせ方
法は、上記のK/Sパラメータ予測方法や分光反射率測
定方法を利用するものであるので、以下の説明は、上述
のK/Sパラメータ予測方法のみならず、後述する分光
反射率測定方法や色合わせ方法にも共通するものであ
る。
【0015】K/Sパラメータとは、前記したクベルカ
−ムンク(Kubelka-Munk)の式における吸収係数Kと散
乱係数Sとの比で表される値に相当する。但し、本発明
では、吸収係数Kと散乱係数Sとを別個に取り扱うので
はなく、K/Sという比率の値で一つとして取り扱うの
で、吸収係数Kおよび散乱係数Sの個別の値を求める必
要がなくなる。
【0016】色材は、顔料等の着色を果たす材料であ
り、通常は粒子の形態をなすが、ペースト状等の形態で
もよい。顔料には、有機顔料および無機顔料がある。色
材は、任意の色を示すものが用いられる。混合色材の調
色には、数種あるいは数十種の異なる色からなる基本色
材が用いられる。基本色材としては、単色の色材(単一
色材)のみでなく、これらが複数種混合された色材を用
いることができる。このような混合色の基本色材を複数
種組み合わせたり、単色の色材と混合色の基本色材とを
組み合わせることもできる。
【0017】混合色の基本色材として、複数の色材を混
合して得られ、混合色材として調色に使用されたりした
色材の残液を用いることもできる。このような残液色材
を使用すれば、資源の有効利用が図れる。混合色の基本
色材あるいは残液色材には、有彩色材および無彩色材の
両方を含んでいても構わない。液体試料は、色材を溶媒
に分散あるいは溶解させた液体であり、通常の分光反射
率測定が適用できる試料である。溶媒としては、塗料や
インキにおける通常の溶媒の中から、色材の種類に合わ
せて適宜の溶媒を用いればよい。具体的には、透明な被
膜を形成しうる成分(たとえば、樹脂、単量体など)の
うちの液体のもの、あるいは、透明な被膜を形成しうる
成分(この場合、この成分は、固体、液体のいずれでも
良い。)と溶剤(たとえば、有機溶剤、水など)との混
合物などが挙げられる。透明な被膜を形成しうる成分と
しては、垂直に入射する光の透過率が、たとえば65%
以上、好ましくは90%以上の透明性を有する化合物ま
たは樹脂組成物が挙げられる。ここで透過率は、膜厚1
mmのときに(全透過光量/全入射光量)×100%とし
て求めた値である。
【0018】無彩色材は、彩度のない色すなわち白、黒
あるいは灰色の色材である。白に近い色材ほど散乱係数
が大きくなる。散乱係数は、色の種類だけでなく使用量
によっても変わる。基本色材よりも十分に大きな散乱係
数の無彩色材とは、その使用量と相まって、液体試料の
全体の散乱係数に無彩色材が支配的影響を及ぼし、基本
色材の量の違いによる散乱係数の差が実質的に無視でき
る程度に散乱係数が大きくなる種類および量の無彩色材
を意味する。無彩色材としては、可視光線の波長領域全
体に渡って散乱係数が1であるとされている白色材が好
ましい。
【0019】無彩色材として、着色顔料や体質顔料、充
填剤などが用いられる。体質顔料または充填剤として
は、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、
マイカ、ワラストナイト、シリカ、ガラス繊維、ガラス
フィラーなどが挙げられる。段階的に異なる量の基本色
材とは、必要な範囲で基本色材の量とK/Sパラメータ
との相関関係が求められる程度の幅と間隔で、段階的に
量を違えた色材である。段階数を増やすほど、色材量と
K/Sパラメータとの相関関係が正確に求められるが、
段階数を増やせば液体試料の数および測定の作業量が増
大する。したがって、実用上、必要な精度で前記相関関
係が求められる程度の段階数で十分である。具体的に
は、数段階あるいは十数段階の範囲で設定すればよい。
段階的に異なる量の基本色材の一つには、基本色材がゼ
ロの場合を含んでいてもよい。ここに、段階的とは、数
学的に厳密な比例関係を意味するのではなく、要する
に、そこそこの差のある量のものを複数用意することを
意味する。
【0020】液体試料の分光反射率は、既知の調色技術
等で採用されている通常の分光反射率測定方法で測定で
きる。具体的には、液体試料を分光器のセルに入れて測
定することができる。この場合は、色材を下地に塗布し
て着色被膜を形成してから分光反射率を測定する手間が
省ける。分光反射率は、複数の波長について測定され
る。
【0021】分光反射率からK/Sパラメータを算出す
るには、前記したクベルカ−ムンク(Kubelka-Munk)の
式が適用される。混合色材のK/Sパラメータは、混合
色材の配合に用いる複数の基本色材毎のK/Sパラメー
タから、前記(I)式で算出される。すなわち、各基本
色材毎に、K/Sパラメータ(K/S)i と混合量Ci
の積を求め、全ての基本色材について加算することで、
混合色材のK/Sパラメータ(K/S)m が求められ
る。
【0022】求められた混合色材のK/Sパラメータ
は、混合色材の色特性を表現しており、混合色材の各種
利用技術においてK/Sパラメータあるいは色特性が必
要とされる任意の用途に利用できる。具体的には、混合
色材の色合わせ方法において、混合色材と色見本との色
差を評価するのに用いられる。上記した混合色材のK/
Sパラメータ予測方法を利用する混合色材の色合わせ方
法として、以下の工程(a) 〜(d) を含む方法が採用でき
る。
【0023】(a) 色見本の色を測定する工程。 (b) 混合色材を構成する複数の基本色材の配合を仮決定
する工程。 (c) 前記方法を用いて混合色材のK/Sパラメータを予
測し、このK/Sパラメータから混合色材の色を予測す
る工程。 (d) 混合色材の予測色と色見本の色との色差を求め、色
差が許容範囲であれば、混合色材の配合を仮決定した配
合に決定し、色差が許容範囲を外れていれば、混合色材
を構成する複数の基本色材の配合を修正して前記(c) に
戻る工程。
【0024】色見本の色を測定するには、通常の分光反
射率測定等の測色手段が採用される。仮決定する混合色
材の配合は、経験あるいは過去のデータに基づくなどし
て、色見本の色に出来るだけ近い色になると推測される
配合を選択する。そうすれば、作業時間が一層短縮され
る。
【0025】混合色材の予測K/Sパラメータは、前記
した方法で得られる。その際、混合色材の配合に用いる
複数の基本色材については、予めそれぞれのK/Sパラ
メータを測定しておく。混合色材の予測色と色見本の色
との色差を評価するには、通常の測色技術と同様の色評
価方法を採用すればよい。具体的には、混合色材の予測
K/Sパラメータから予測分光反射率を算出し、色見本
の分散反射率と比較することで、色差を数値的に評価す
ることができる。
【0026】色差の許容範囲は、混合色材の利用目的や
要求基準によって異なる。色差が許容範囲内であれば、
仮決定した混合色材の配合で色見本と同じ色が得られる
とみなせるから、仮決定された混合色材の配合を、目的
とする混合色材の配合であると決定する。色差が許容範
囲を外れていれば、仮決定した混合色材の配合では色見
本と同じ色が得られないとみなせるから、混合色材の配
合を修正する必要がある。
【0027】混合色材の配合の修正は、前記した色差の
データをもとに、増加あるいは減少すべき基本色材の種
類と量を決めればよい。各基本色材の量を微小量変化さ
せたときのK/Sパラメータの変化分から、基本色材の
修正量を求めることができる。このような修正を行った
後、前記(c) 工程から再び順次実行すれば、前記修正の
可否が評価できる。このような作業を繰り返すことで、
色見本の色により近い色の混合色材の配合を得ることが
できる。
【0028】〔第2の発明〕本発明のうち、第2であ
る、色材の分光反射率測定方法は、下地の影響を考慮し
た配合を得るために使用する分光反射率を測定する方法
であり、以下の(a) 〜(d) 工程を含む。 (a) 色材を含む液体試料を調製する工程。
【0029】(b) 液体試料を白色下地に塗布した白色下
地塗布試料、液体試料を塗布しない白色下地試料、液体
試料を黒色下地に塗布した黒色下地塗布試料、液体試料
を塗布しない黒色下地試料をそれぞれ作製する工程。 (c) 各試料について分光反射率を測定する工程。 (d) 分光反射率の測定値から下式(II)で色材の分光反射
率R∞を算出する工程。
【0030】 R∞={(N2 −4M2 1/2 −N}/2M …(II) ここで、M=RFw×Rb −RFb×Rw N=(Rw −Rb )×(1+RFw×RFb)−(RFw×R
Fb)×(1+Rw ×Rb ) Rw :白色下地試料の分光反射率 RFw:白色下地塗布試料の分光反射率 Rb :黒色下地試料の分光反射率 RFb:黒色下地塗布試料の分光反射率 液体試料は、前記同様に、色材と色材を分散または溶解
する溶媒とを含む。色材は、前記した単色の色材あるい
は混合色材さらには残液色材の何れの場合であってもよ
い。
【0031】下地は、液体試料を塗布して分光反射率を
測定することが可能な形状あるは材質の板材やシート材
であり、既知の分光反射率測定に使用されているものが
用いられる。具体的には、フィルムなどの樹脂成形品、
紙、合成皮革、木材、金属、ガラス、セラミックなどが
挙げられる。白色下地および黒色下地は、白色あるいは
黒色の下地材料、あるいは、任意の色からなる下地材料
の表面を十分な隠蔽力が発揮できる程度の厚みで白色あ
るいは黒色に着色したものが用いられる。
【0032】上記のような液体試料を下地の上に塗布
(または転写)して、乾燥し、固化または硬化させるこ
とにより、分光反射率の測定に用いる試料が作製され
る。分光反射率の測定は、通常の方法が適用される。本
発明では、上記4種類の試料について測定を行う。通
常、異なる波長毎に分光反射率を測定する。各試料の分
光反射率RFw、RFb、Rb 、Rw は、1>Rw >RFw
Fb>Rb >0の関係になる。
【0033】色材の分光反射率R∞は、各試料の分光反
射率RFw、RFb、Rb 、Rw を、前記(II)式に代入する
ことで算出される。得られた分光反射率R∞は、色材の
色に関する特性を表しており、既知の分光反射率を用い
た各種演算や評価に利用することができる。例えば、分
光反射率から前記クベルカ−ムンク(Kubelka-Munk)の
関係式を用いて、K/SパラメータおよびK値、S値が
算出できる。
【0034】分光反射率R∞を用いて、混合色材の色合
わせを行う方法として、以下の工程(a) 〜(e) を含む方
法が採用できる。 (a) 色見本の色を測定する工程。 (b) 混合色材を構成する複数の基本色材について、前記
方法で分光反射率を測定する工程。
【0035】(c) 混合色材を構成する複数の基本色材の
配合を仮決定する工程。 (d) 複数の基本色材の分光反射率と配合から混合色材の
色を予測する工程。 (e) 混合色材の予測色と色見本の色との色差を評価し、
色差が許容範囲であれば、混合色材の配合を仮決定した
配合に決定し、色差が許容範囲を外れていれば、混合色
材を構成する複数の基本色材の配合を修正して前記(d)
の工程に戻る工程。
【0036】本発明の色合わせ方法は、(b) 工程および
(d) 工程で分光反射率を用いる以外は、前記した第1の
発明と基本的に共通している。複数の色材の分光反射率
と配合から混合色材の色を予測するには、既知の算出式
が適用される。
【0037】
【作用】〔第1の発明〕本発明では、混合色材を構成す
る各基本色材のK/Sパラメータを測定する際に、基本
色材よりも十分に大きな散乱係数を示す無彩色材を同じ
量ずつ含み、基本色材を段階的に異なる量で含む複数個
の液体試料を用いる。このような液体試料の分光反射率
は、散乱の影響が同量ずつ含まれる無彩色材に支配さ
れ、基本色材の量が違ってもそれによる散乱への影響が
無視できることになる。言い換えると、色の違いに影響
を与える変数として、吸収係数だけを考えればよいこと
になる。
【0038】その結果、混合色材のK/Sパラメータを
予測する際に、従来の方法のように、各基本色材の分光
反射率からK値およびS値を別々に算出し、そのK値お
よびS値を別々の変数として取り扱う必要がなくなる。
具体的には、各基本色材のK/Sパラメータ(K/S)
i とその混合量Ci のみから、前記(I)式という簡単
な算出式で、混合色材のK/Sパラメータ(K/S)m
が得られることになる。変数が少なくなり算出式が簡単
になれば、混合色材のK/Sパラメータを算出するのに
必要な作業量が削減され、迅速な予測が可能になる。
【0039】このような方法で得られた混合色材の予測
K/Sパラメータを用いて、混合色材の色合わせを行え
ば、混合色材の色合わせに要する時間および手間が削減
される。各基本色材のK/Sパラメータを前記した方法
で測定するので、基本色材として、複数の色材が混合さ
れた色材や、既存の色材の残液等を用いることができ
る。すなわち、残液色材や混合済の色材であっても、そ
の色材に対して前記した無彩色材を組み合わせること
で、基本色材の散乱の影響を無視して、基本色材のK/
Sパラメータが測定でき、混合色材のK/Sパラメータ
が簡単に算出予測できるのである。残液色材や混合済の
色材が、どのような色材で構成されているかを分析する
必要がない。その結果、塗料、インキ業界などにおいて
問題になっている残液の有効利用が簡単に行えるように
なる。
【0040】〔第2の発明〕本発明では、分光反射率を
測定するための試料として、白色下地塗布試料、白色下
地試料、黒色下地塗布試料および黒色下地試料を用い、
各試料について測定された分光反射率RFw、RFb
b 、Rw から、前記(II)式で色材の分光反射率R∞を
算出することによって、色材の分光反射率が簡単かつ正
確に得られる。
【0041】分光反射率R∞には、白色下地から黒色下
地に至る任意の色を有する下地による散乱および吸収の
影響が考慮されているので、色材として下地の色に影響
を受け易い傾向のある色材を用いた場合でも、正確な分
光反射率が得られる。このようにして得られた色材の分
光反射率R∞のデータを用いて、混合色材の色合わせを
行えば、下地の色の違いに関わらす、色見本の色との色
差が少ない混合色材の配合が容易に得られる。
【0042】その結果、混合色材を下地に塗布して、そ
の結果をもとに混合色材の配合を修正する面倒な作業が
省ける。
【0043】
【発明の実施の形態】〔第1の実施形態〕前記したK/
Sパラメータの予測方法とそれを利用する色合わせ方法
について説明する。この方法は、色合わせの際に下地の
色の影響を考慮しなくてよい場合に好適である。
【0044】色合わせを行う際に下地の色の影響を考慮
するか否かは、たとえば、次のようにして判定すること
ができる。色材合計量を2倍(または1/2倍)にした
着色被膜を作り、元の色材合計量の着色被膜との間で色
差をみる。1NBS(より精度を要求される場合は0.
5NBS)を越える色差がある場合、下地の色の影響を
考慮すると判定することができる。
【0045】−全体の作業の流れ− 色合わせ作業の流れとしては、たとえば、色見本の分光
反射率の測定と、使用する照明(照射する光の波長)の
選択と、使用する色材の選択とが挙げられ、これらの3
つの作業の順番は特に限定されない。計算の流れの1例
を図1に流れ図(フローチャート)にして示す。
【0046】図1にみるように、色見本の分光反射率の
測定を行う〔段階〕。この際には、使用する照明(照
射する光の波長)が選択されている。この測定は、たと
えば、分光光度計(分光器)により行うことができる。
この分光反射率から三刺激値(X,Y,Z)を計算する
〔段階〕。この計算は、後に示す式(9)〜(11)で
行う。このとき、各種照明のデータが使用される。この
三刺激値に基づいて近似色計算を行い、組み合わせる複
数の基本色材の種類と量Ci (iは1〜n、nは基本色
材の総数)を得る〔段階〕。
【0047】近似色計算は次式、 C=(TEDΦ)-1TED(fs −ft ) …(5) ここで、C :各基本色材の量Ci のマトリックス Φ :各基本色材の吸収係数のマトリックス(たとえ
ば、λ=400〜700nmにおいて20nmごとの吸
収係数) T :CIE等色関数 E :標準の光の分光分布 D :色見本の反射率水準におけるdR/d(K/S) fs :色見本のK/Sパラメータ(吸収係数/散乱係数
比) ft :下地のK/Sパラメータ から概略的に求められる。
【0048】この近似色計算により求められた各基本色
材の量Ci から、混合色材の予測K/Sパラメータおよ
び予測分光反射率を計算する〔段階〕。このとき使用
する各色材の基礎データは、従来のごとき吸収係数と散
乱係数の両係数ではなく、吸収係数/散乱係数比すなわ
ちK/Sパラメータである。前記予測分光反射率から予
測三刺激値(Xm ,Ym ,Zm )を計算する〔段階
〕。この計算は、たとえば、後に示す式(9)〜(1
1)により行うことができる。色見本の三刺激値と予測
分光反射率からの予測三刺激値から色差を計算し、所定
値以下であるかを判定する〔段階〕。所定値以下なら
ば計算終了〔段階〕であり、このときの基本色材の量
の組み合わせが、色見本の色と同じ色になる混合色材の
配合である。所定値よりも大きいと基本色材の量を再計
算して〔段階〕、新たに予測分光反射率を計算し〔段
階〕、予測三刺激値を計算し〔段階〕、色差が所定
値以下であるかを判定する〔段階〕という作業を、色
差が所定値以下になるまで繰り返す。必要に応じて、得
られた基本色材の配合データを出力する。
【0049】−基本色材のK/Sパラメータ− 混合色材の予測分光反射率を計算するのに必要な各基本
色材(通常、20種類程度)について、K/Sパラメー
タのデータを作成する。データ作成にあたり、各基本色
材ごとに、基本色材と無彩色材とを含む複数個の液体試
料を調製する。この複数個の液体試料では、基本色材の
量は互いに異なっており、無彩色材の量は互いに同じで
ある。
【0050】基本色材の量は、たとえば、作ろうとする
混合色材における基本色材の量範囲を想定し、この量範
囲と同じかまたはこの量範囲の上下少なくとも一方を外
れた量範囲内で段階的に基本色材の量を変えて、4〜5
点設定される。無彩色材は、白色顔料などが用いられ
る。無彩色材の量は、基本色材の散乱係数と、無彩色顔
料の散乱係数との比がゼロに近似できる程度に設定す
る。この際、最終的に得られる着色塗膜の隠蔽性を考慮
するとともに着色被膜の色調との相関を取りながら、で
きるだけ無彩色材の量を多くし、色合わせ計算時の各基
本色材の散乱係数の影響を軽減するようにし、好ましく
は無視できるようにする。基本色材を分散するための液
体成分中にすでに無彩色材(たとえば、無彩色の、着色
顔料または体質顔料など)が配合されている場合には、
すでに含まれている無彩色材の隠蔽力に応じて、後から
添加する無彩色材の量を加減したり、あるいは、無彩色
材を後から添加しなかったりすることができる。無彩色
材の量の設定は、たとえば、基本色材の量が異なる液体
試料同士の間で適当な色差が得られるように行われる。
基本色材を比較的少ない量で使用する場合には、色差を
強調するために無彩色材の量も比較的少ない量に設定す
ることになる。
【0051】複数個の液体試料は、たとえば、溶剤10
0重量部に下記〜に示す量で顔料を添加した試料を
各基本色材すなわち有彩色顔料ごとに作製する。ここで
無彩色材すなわち白色顔料としては、たとえば酸化チタ
ンが使用される。 有彩色顔料20重量部+白色顔料5重量部 有彩色顔料10重量部+白色顔料5重量部 有彩色顔料 5重量部+白色顔料5重量部 有彩色顔料 1重量部+白色顔料5重量部 これらの試料〜の分光反射率を測定する。この分光
反射率測定にあたっては、たとえば、分光器のセルに顔
料分散液を入れて、可視波長範囲(400〜700n
m)において20nm間隔で16点または10nm間隔
で31点の各波長における分光反射率を測定する。
【0052】分光反射率からK/Sパラメータの算出に
は下式を用いる。 (K/S)w+p =(1−Rw+p 2 /2Rw+p …(6) ここで、(K/S)w+p :試料のK/Sパラメータ Rw+p :試料の分光反射率 この(K/S)w+p は、前記ダンカンの式(4)から導
いた次式、 (K/S)w+p =(Kp ×Cp +Kw ×Cw )/(Sp ×Cp +Sw ×Cw ) ≒(Kp /Sw )×(Cp /Cw )+(K/S)w …(7) ここで、Cp :基本色材の量 Cw :無彩色材の量 Kw :無彩色材の吸収係数 Sw :無彩色材の散乱係数 (K/S)w :無彩色材のK/Sパラメータ に示されるとおり、各基本色材の吸収係数Kp の関数で
あるが、各基本色材の散乱係数Sp の関数ではなくなっ
ている。なお、Sw 、(K/S)w およびCw は、すべ
ての試料について同じ値になる。
【0053】このようにして、各基本色材について、色
合わせに必要な基礎データ(顔料量と、各波長における
K/Sパラメータ)が得られる。この基礎データから、
各基本色材について、各波長におけるK/Sパラメータ
と量との関係を直線近似または曲線近似などにより近似
することにより、所望の量に対応するK/Sパラメータ
値を計算することができる。この試料のK/Sパラメー
タを基本色材の色合わせ用基礎データとして保存してお
き、色合わせに用いる。色合わせに用いる無彩色材のK
/Sパラメータは、基本色材の基礎データの作成に用い
た液体試料と同じ量の無彩色材量(ここでは、無彩色顔
料5重量部)で基本色材を含まない液体試料の分光反射
率から計算して、基礎データとして保存しておく。CC
Mを行う場合には、基礎データは、たとえばコンピュー
ターのメモリに記憶させる。
【0054】−予測分光反射率の計算− 予め選出された基本色材グループから1以上、たとえば
数種類の基本色材を適宜に選んで組み合わせを決める。
基本色材の一つに無彩色材を選ぶこともできる。組み合
わせる各基本色材の基礎データすなわちK/Sパラメー
タと量とから混合色材の予測K/Sパラメータを計算す
る。
【0055】予測K/Sパラメータの計算には、従来の
方法で用いられていた前記ダンカンの式(4)ではな
く、前記(I)式を用いる。つぎに、予測分光反射率R
1 を算出する。混合色材の予測K/Sパラメータ(K/
S)m の値から次式(8)で計算される。 R1 =1+(K/S)m −{(K/S)m 2 +2×(K/S)m 0.5 …(8) −混合色材の配合の決定− 色見本の分光反射率と予測分光反射率R1 とに基づいて
色差を計算する。
【0056】色見本の分光反射率は、たとえば、分光光
度計を用いて、可視波長範囲(400〜700nm)に
おいて基礎データの全測定波長と同じ各波長の光を色見
本表面に対して垂直に入射させて測定する。色差として
は、たとえばL* * * 表色系による色差ΔE* ab
(JIS−Z8729に規定)が挙げられる。この色差
ΔE* abは、色見本の分光反射率から計算された色見
本の三刺激値(X,Y,Z)と、予測分光反射率R1
ら計算された混合色材の三刺激値(Xm ,Ym ,Zm
との差(ΔX,ΔY,ΔZ)から求められる。分光反射
率から三刺激値を算出するには、下式(9)〜(11)が
用いられる。
【0057】 X=κ×∫R(λ)x(λ)P(λ)dλ …(9) Y=κ×∫R(λ)y(λ)P(λ)dλ …(10) Z=κ×∫R(λ)z(λ)P(λ)dλ …(11) ここで、κ :定数 ∫dλ :λ=380〜780nmについて積分 P(λ):光源データ x(λ)、y(λ)、z(λ):等色関数 R(λ):分光反射率 演算の結果、色差が所定値以下であれば、そのときの各
基本色材の量Ci の組み合わせを、色見本の色と同じ色
になる混合色材の配合であると判定する。色差が所定値
以下でなければ、各基本色材の量Ci の値を変えて新た
に予測分光反射率R1 を計算し、色見本と混合色材の色
差を評価するという操作を、色差が所定値以下になるま
で繰り返す。ここで所定値とは、色見本との色差の許容
範囲を示すものであり、特に限定されないが、たとえば
1.5NBS以下、好ましくは1.0NBS以下、より
好ましくは0.1NBS以下とされる。
【0058】混合色材の配合を修正する際の各基本色材
の新たな量Ci は、たとえば、下記の連立方程式(12)
を解くことで求められる。 ΔX=Σi {(∂X/∂Ci )ΔCi } ΔY=Σi {(∂Y/∂Ci )ΔCi } …(12) ΔZ=Σi {(∂Z/∂Ci )ΔCi } ここで、∂X/∂Ci 、∂Y/∂Ci 、∂Z/∂C
i は、Ci を微小量(0.01程度)変化させたときの
X、Y、Zの変化量を表す。
【0059】色差が所定値以下になったときの各基本色
材の量が求める配合処方である。−残液色材を用いた場
合の色合わせ−前項の方法で、基本色材の一つとして残
液色材を用いる場合である。残液色材についても、前記
同様の方法でK/Sパラメータを測定すれば、残液色材
に含まれる色材の種類や量が判っているか否かに係わら
ず目的のデータを得ることができる。
【0060】具体的には、残液色材に無彩色材を混合し
て残液色材の液体試料を得る。無彩色材の添加量は、残
液色材の散乱係数/無彩色材の散乱係数の比がゼロに近
似できるような量である。無彩色材が添加された残液試
料の分光反射率を測定する方法は、前項と同様である。
複数個の単色の基本色材と残液色材とが混合された混合
色材のK/Sパラメータ(K/S)m は、前記(I)式
の特別な場合である次式(13)で計算する。
【0061】 (K/S)m =f1 〔Σi {(K/S)i ×Ci }〕 +f2 (K/S)R …(13) ここで、Σi {(K/S)i ×Ci }は、予めデータが
判っている基本色材のみを組み合わせたときのK/Sパ
ラメータであり、(K/S)R は残液色材のK/Sパラ
メータであり、その比率をf1 +f2 =1で表す。
【0062】この後の色合わせ作業は、前項の場合と同
じである。なお、色見本の分光反射率、基本色材あるい
は残液色材から得られる液体試料の分光反射率として
は、すべて、測定値そのものを使用したり、あるいは、
測定値をサンダーソン(Saunderson)の式などにより補
正した補正値を使用したりすることができる。
【0063】〔第2の実施形態〕この実施形態は、下地
の色を考慮する場合に有用な色合わせ方法である。 −基本色材の分光反射率の測定− 混合色材の予測分光反射率を計算するのに必要な基本色
材(通常、20種類程度)について、分光反射率のデー
タを作成しておく。下地の影響を考慮する場合には、被
膜に含まれている白色顔料などの無彩色材の隠蔽力が重
要なファクターとなるため、各基本色材について吸収係
数および散乱係数を別個に計算する。
【0064】一つの基本色材について、基本色材と無彩
色材とを含む複数個の液体試料を作製する。複数個の液
体試料は、基本色材の量は段階的に異なっているが、基
本色材と無彩色材との合計量は同じになるようにしてお
く。基本色材と無彩色材との合計量は、たとえば、製造
しようとする塗料等に必要な顔料合計量に合わせて設定
する。
【0065】液体試料は、たとえば、溶剤100重量部
に下記〜に示す量で色材を添加した試料を各基本色
材ごとに作製する。ここで白色顔料としては、たとえば
酸化チタンが使用される。 有彩色顔料20重量部+白色顔料 0重量部 有彩色顔料12重量部+白色顔料 8重量部 有彩色顔料 6重量部+白色顔料14重量部 有彩色顔料 2重量部+白色顔料18重量部 有彩色顔料 0重量部+白色顔料20重量部 これらの試料〜を、白色下地と黒色下地(たとえ
ば、白、黒の隠蔽力試験紙)の上にできるだけ実際の塗
布(または転写)と同じ条件で塗布して着色被膜を形成
する。すなわち、白色下地塗布試料と黒色下地塗布試料
である。また、液体試料を塗布しない白色下地および黒
色下地も用意しておく。
【0066】これらの試料について、分光反射率を測定
する。この測定により、各基本色材について、白色下地
塗布試料の分光反射率RFw、、黒色下地塗布試料の分光
反射率RFb、白色下地試料の分光反射率Rw 、黒色下地
試料の分光反射率Rb が得られる。各分光反射率RFw
Fb、Rw 、Rb から前記(II)式で、分光反射率R∞
を算出する。この分光反射率はR∞は、裏透けがなくな
る程度に着色被膜を厚くしたときの分光反射率を表す。
【0067】算出した分光反射率R∞を前記クベルカ−
ムンクの式(1)のRに代入し、前記式(1)〜(3)
に従って、各波長における各基本色材の吸収係数Kp
散乱係数Sp を求める。このようにして、各基本色材に
ついて、下地の色の影響を考慮した色合わせに必要な基
礎データ(顔料量と各波長における吸収係数および散乱
係数の値)が得られる。この基礎データから、各基本色
材について、各波長における吸収係数および散乱係数と
量との関係を直線近似または曲線近似などにより近似す
ることにより、所望の量に対応する吸収係数と散乱係数
とを計算することができる。
【0068】上記データを用いて、下地の色を考慮した
色合わせを行う。CCMを行う場合には、基礎データ
は、たとえばコンピューターのメモリに記憶させる。 −予測分光反射率の計算− 前記と同様の近似色計算を行う。色合わせに用いる基本
色材の基礎データ(基本色材の吸収係数Ki と散乱係数
i および量Ci と、下地の分光反射率と、下地の表面
に形成しようとする着色被膜の予測厚みとから着色被膜
の予測分光反射率を計算する。
【0069】具体的には、前記ダンカンの式(4)から
導かれる次式(15)により行うことができる。 Km /Sm =Σi (Ki ×Ci )/Σi (Si ×Ci ) …(15) 予測分光反射率は、Km /Sm の値から次式(16)で計
算される。 R2 =〔1−Rg ×{a−b×ctgh(b×Sm ×T×k)}〕 /〔a−Rg +b×ctgh(b×Sm ×T×k)〕 …(16) ここで、a=(Sm +Km )/Sm b=(a2 −1)1/22 :予測分光反射率 k :定数 Rg :下地の分光反射率 T :着色被膜の予測厚み(単位mm) ctgh:ハイパブリックコタンジェントを意味する。
【0070】色見本の分光反射率も、前記同様にして測
定される。 −混合色材の配合の決定− 色見本の分光反射率と混合色材の予測分光反射率R2
に基づいて色差を計算する。色差は前記同様、ΔE*
bで表し、その評価方法は前記同様である。
【0071】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例を示す。 (実施例1)実施例1は、前記第1の実施形態に対応す
る具体的技術である。この実施例はまた、残液色材を利
用する具体的技術でもある。
【0072】−基礎データの測定− 〔基本色材の材料〕 無彩色顔料:酸化チタン(C.I.No. 77891) カーボンブラック(C.I.No. 77266) 有彩色顔料:ジスアゾエロー(C.I.No. 21127) 酸化鉄(C.I.No. 77491) フタロシアニングリーン(C.I.No. 74269) モノアゾレッド(C.I.No. 12390) 群青(C.I.No. 77007) ピグメント・ホワイト6(C.I.No. 77819) ピグメント・ブラック7(C.I.No. 77266) ピグメント・レッド144(C.I.No. 20735) ピグメント・レッド170(C.I.No. 12475) ピグメント・イエロー93(C.I.No. 20710) 各顔料について基礎データを測定する。溶剤に、何れか
の有彩色顔料と白色顔料(酸化チタン)とを以下に示す
量で添加した液体試料を作製した。
【0073】 単一の有彩色顔料ごとにそれぞれ調製された液体試料1
〜4を分光光度計のセルに入れて可視波長範囲(400
〜700nm)において20nm間隔で16点の各波長
における分光反射率を測定した。
【0074】この測定値から前記式(6)でK/Sパラ
メータを算出した。白色顔料についても、K/Sパラメ
ータを算出し、得られたデータをコンピューターのメモ
リに記憶させた。なお、いずれの有彩色顔料について
も、液体試料1〜4中における有彩色顔料の散乱係数/
白色顔料の散乱係数の比は1/100以下であった。過
去に色合わせに用いた着色剤残液Iの基礎データを次の
ようにして作成した。着色剤残液Iの一部を抜き出し、
無彩色顔料として酸化チタンを5重量部(対着色剤残液
100重量部)加えて混合して残液試料を調製した。こ
の残液試料の、残液Iの散乱係数/無彩色顔料の散乱係
数の比は1/100以下であった。
【0075】この残液試料について、液体試料1〜4と
同様に、各波長における分光反射率を測定した。つい
で、K/Sパラメータを算出し、着色剤残液Iの基礎デ
ータとしてコンピューターのメモリに記憶させた。着色
剤残液Iに含まれている顔料の種類と量は既知である必
要はないが、参考として示せば、ジスアゾエロー(0.
0880重量部)、酸化鉄(0.0400重量部)、カ
ーボンブラック(0.0400重量部)であった。
【0076】−色見本の分光反射率の測定−色見本1の
分光反射率を分光光度計で測定した。この測定では、基
礎データの作成に用いた各波長の光をそれぞれ色見本1
の着色被膜の表面に対して垂直に入射させた。得られた
分光反射率から前記式(9)〜(11)で計算した三刺激
値および色特性は次のとおりであった。
【0077】色見本1の色データ: X=42.65、Y=43.90、Z=40.35 L* =72.19、a* =1.65、b* =7.78 色見本1に使用した顔料の種類と量は既知である必要は
ないが、参考に示せば、ジスアゾエロー(0.1000
重量部)、酸化鉄(0.0500重量部)、カーボンブ
ラック(0.0500重量部)であった。
【0078】−予測分光反射率の計算− 色見本1の三刺激値を参考にして、上記基礎データを作
成した有彩色顔料と無彩色顔料と着色剤残液Iとを適宜
に選んで組合せを次のとおり決め、基礎データと量とを
前記式(13)に入れて(K/S)m を計算し、この(K
/S)m を前記式(8)に入れて予測分光反射率R1
計算した。
【0079】 ジスアゾエロー C1 =0.0849重量部 酸化鉄 C2 =0.0253重量部 カーボンブラック C3 =0.0312重量部 以上3つの単一顔料の合計使用率 f1 =0.30 着色剤残液Iの使用率 f2 =0.70 −配合の決定− 色見本1の分光反射率と混合色材の予測分光反射率R1
とから前記式(9)〜(11)等で色差ΔE* abを計算し
た。結果は次のとおりであった。
【0080】 色見本1と予測配合との色差: ΔE* ab=0.06 この色差は、0.1NBSよりも小さいので、上記C1
〜C3 、f1 、f2 の値を色見本1の色と同じ色になる
混合色材の配合として決定した。混合色材の配合に基づ
いて実際に調製した液体着色剤を下地に塗布して、得ら
れた被膜の分光反射率を測定したところ、色見本1に良
く近似していることが確認できた。
【0081】以上の結果、着色剤残液を用いても簡単か
つ迅速に色合わせできることが実証された。なお、色見
本1の分光反射率と前記着色剤残液Iの分光反射率との
色差ΔE* a b=1.43であった。 (実施例2)実施例1において、色見本1の代わりに下
記の色見本2を用いたこと、着色剤残液Iの代わりに着
色剤残液IIを用いたこと、単一顔料としてジスアゾエロ
ー、モノアゾレッド、群青を用いたこと以外は実施例1
と同様にして色合わせを行った。
【0082】色見本2の色データ: X=35.18、Y=36.40、Z=32.38 L* =66.85、a* =2.05、b* =8.77 色見本2の構成顔料: ジスアゾエロー … 0.8000重量部 酸化鉄 … 0.4000重量部 カーボンブラック … 0.2000重量部 着色剤残液II: 酸化チタン5重量部添加(着色剤残液IIを100重量部
に対し) 着色剤残液IIの散乱係数/無彩色顔料の散乱係数=1/
100以下 着色剤残液IIの構成顔料: ジスアゾエロー … 0.3500重量部 フタロシアニングリーン … 0.8800重量部 カーボンブラック … 0.5000重量部 混合色材の予測配合: ジスアゾエロー C1 =0.4062重量部 モノアゾレッド C2 =0.1295重量部 群青 C3 =0.0369重量部 以上3つの単一顔料の合計使用率 f1 =0.80 着色剤残液IIの使用率 f2 =0.20 色見本2と予測配合との色差: ΔE* ab=0.51 この予測配合からなる着色剤で作製された着色被膜は、
色見本2と良く近似した色であった。
【0083】なお、色見本2の分光反射率と前記着色剤
残液IIの分光反射率との色差ΔE* a b=1.43であっ
た。 (実施例3)実施例1において、着色剤残液を用いなか
ったこと以外は実施例1と同様にして色合わせを行っ
た。
【0084】混合色材の予測配合: ジスアゾエロー C1 =0.1123重量部 酸化鉄 C2 =0.0578重量部 カーボンブラック C3 =0.0432重量部 色見本1と予測配合との色差: ΔE* ab=1.77 この色差は、1.5NBSよりも大きいので、上記C1
〜C3 の値を下記のごとく修正した。
【0085】混合色材の修正配合: ジスアゾエロー C1 =0.1033重量部 酸化鉄 C2 =0.0512重量部 カーボンブラック C3 =0.0502重量部 色見本1と修正配合との色差: ΔE* ab=0.32 この色差は、0.5NBSよりも小さいので、この修正
配合に決定した。
【0086】修正配合にもとづいて作製された被膜は、
色見本1と良く近似した色であった。 (実施例4)実施例1において、色見本1の代わりに色
見本3を用いたこと、着色剤残液を用いなかったこと以
外は実施例1と同様にして色合わせを行った。
【0087】色見本3の色データ: X=25.76、Y=26.56、Z=23.06 L* =58.59、a* =2.25、b* =8.86 色見本3の構成顔料: ジスアゾエロー … 0.5000重量部 酸化鉄 … 0.6000重量部 カーボンブラック … 0.3000重量部 混合色材の予測配合: ジスアゾエロー C1 =0.4116重量部 酸化鉄 C2 =0.4983重量部 カーボンブラック C3 =0.2619重量部 色見本3と予測配合との色差: ΔE* ab=2.11 この色差は、1.5NBSよりも大きいので、上記C1
〜C3 の値を下記のごとく修正した。
【0088】混合色材の修正配合: ジスアゾエロー C1 =0.4899重量部 酸化鉄 C2 =0.5572重量部 カーボンブラック C3 =0.3050重量部 色見本3と修正配合との色差: ΔE* ab=0.71 この色差は、1.0NBSよりも小さいのであるが、よ
り色差を小さくするために、C1 〜C3 の値を再修正し
た。
【0089】混合色材の再修正配合: ジスアゾエロー C1 =0.5011重量部 酸化鉄 C2 =0.5923重量部 カーボンブラック C3 =0.3033重量部 色見本3と再修正配合との色差: ΔE* ab=0.13 この色差は、0.5NBSよりも小さいので、この再修
正配合に決定した。再修正配合の着色被膜は、色見本1
と良く近似した色であった。
【0090】(実施例5)実施例5は、下地の色の影響
を考慮する場合の実施例である。 −基礎データの作成− 有彩色顔料および無彩色顔料として実施例1に示したも
のを用いた。各顔料の配合を以下のとおりに設定した。
【0091】 〔試料の配合(重量部)〕 試料番号 溶剤 白色顔料 有彩色顔料 1 100 0 20 2 100 8 12 3 100 14 6 4 100 18 2 単一の有彩色顔料ごとに調製した、顔料分散液試料1〜
4を、白と黒の各隠蔽力試験紙に塗布して着色被膜を形
成した。各着色被膜と、非着色の白の隠蔽力試験紙と、
非着色の黒の隠蔽力試験紙とについて、分光反射率を測
定し、分光反射率R∞を算出し、各有彩色顔料の吸収係
数Kp と散乱係数Sp とを算出し、基礎データとしてコ
ンピューターのメモリに記憶させた。
【0092】−色見本4の分光反射率の測定− 色見本4の分光反射率を前記同様に測定した。 色見本4の色データ: X=60.28、Y=51.84、Z=54.77 L* =77.22、a* =28.01、b* =0.96 色見本4の構成顔料: ピグメント・ホワイト6 … 78.40重量部 ピグメント・レッド144 … 17.30重量部 ピグメント・レッド170 … 6.30重量部 −液体着色剤を塗布しようとする下地の分光反射率の測
定− 下地として、コンパクト・ディスク(CD)の保護層を
用いた。この保護層の分光反射率Rg を測定した。分光
反射率Rg から下地の色データを得た。
【0093】下地の色データ: X=70.75、Y=75.73、Z=70.16 L* =89.77、a* =−2.52、b* =8.86 −予測分光反射率の計算− 色見本4の三刺激値を参考にして、上記基礎データを作
成した有彩色顔料と無彩色顔料とを適宜に選んで組合せ
を次のとおり決め、Km /Sm を計算した。
【0094】Km /Sm 、前記分光反射率Rg 、着色被
膜の予測厚みT(mm)から予測分光反射率R2 を計算
し、混合色材の予測配合を得た。 混合色剤の予測配合: ピグメント・ホワイト6 C1 =79.01重量部 ピグメント・ブラック7 C2 = 0.00重量部 ピグメント・レッド144 C3 =17.27重量部 ピグメント・レッド170 C4 = 4.73重量部 −配合の決定− 色見本4と予測配合との色差: ΔE* ab=0.34 この色差は、0.5NBSよりも小さいので、この配合
に決定した。この配合で作製された液体着色剤を前記C
Dの保護層表面に塗布したところ、着色被膜の色は色見
本4に良く近似していた。
【0095】(実施例6)実施例5において、着色被膜
の予測厚みTの値をT/3(mm)としたこと以外は実施
例5と同様にして色合わせを行った。 混合色材の予測配合: ピグメント・ホワイト6 C1 =78.98重量部 ピグメント・ブラック7 C2 = 0.29重量部 ピグメント・レッド144 C3 =19.21重量部 ピグメント・レッド170 C4 = 3.52重量部 色見本4と予測配合との色差: ΔE* ab=0.45 この色差は、0.5NBSよりも小さいので、この配合
に決定した。色見本4に良く近似した色の着色被膜が得
られた。
【0096】(実施例7)実施例5において、下地をC
Dから白紙に変更したこと以外は実施例5と同様にして
色合わせを行った。 下地の色データ: X=83.87、Y=88.71、Z=92.48 L* =95.50、a* =−0.77、b* =2.00 混合色材の予測配合: ピグメント・ホワイト6 C1 =78.38重量部 ピグメント・ブラック7 C2 = 0.00重量部 ピグメント・レッド144 C3 =18.55重量部 ピグメント・レッド170 C4 = 5.06重量部 色見本4と予測配合との色差: ΔE* ab=0.33 この色差は、0.5NBSよりも小さいので、この配合
に決定した。この配合で作製された液体着色剤を前記下
地に塗布したところ、色見本4に良く近似した色が得ら
れた。
【0097】(実施例8)実施例5において、色見本4
を色見本5に変更したこと以外は実施例5と同様にして
色合わせを行った。 色見本5の色データ: X=29.82、Y=26.19、Z=17.24 L* =58.24、a* =19.92、b* =19.3
2 色見本5の構成顔料: ピグメント・ホワイト6 … 25.50重量部 ピグメント・ブラック7 … 6.20重量部 ピグメント・イエロー93 … 61.10重量部 ピグメント・レッド144 … 9.20重量部 混合色材の予測配合: ピグメント・ホワイト6 C1 =22.47重量部 ピグメント・ブラック7 C2 = 3.32重量部 ピグメント・イエロー93 C3 =66.92重量部 ピグメント・レッド144 C4 = 9.42重量部 色見本5と予測配合との色差: ΔE* ab=0.21 この色差は、0.5NBSよりも小さいので、この配合
に決定した。この配合で作製された液体着色剤を前記下
地に塗布したところ、色見本5に良く近似した色が得ら
れた。
【0098】(実施例9)実施例8において、着色被膜
の予測厚みTの値をT/2mmとしたこと以外は実施例8
と同様にして色合わせを行った。 混合色材の予測配合: ピグメント・ホワイト6 C1 =22.87重量部 ピグメント・ブラック7 C2 = 6.65重量部 ピグメント・イエロー93 C3 =63.13重量部 ピグメント・レッド144 C4 = 9.36重量部 色見本5と予測配合との色差: ΔE* ab=0.44 この色差は、0.5NBSよりも小さいので、配合を決
定した。この配合で作製された液体着色剤を前記下地に
塗布したところ、色見本5に良く近似した色が得られ
た。
【0099】(実施例10)実施例8において、下地を
CDから実施例7の白紙に変更したこと以外は実施例8
と同様にして色合わせを行った。 混合色材の予測配合: ピグメント・ホワイト6 C1 =24.32重量部 ピグメント・ブラック7 C2 = 6.75重量部 ピグメント・イエロー93 C3 =62.20重量部 ピグメント・レッド144 C4 = 8.74重量部 色見本5と予測配合との色差: ΔE* ab=0.39 この色差は、0.5NBSよりも小さいので、配合を決
定した。この配合で作製された液体着色剤を前記下地に
塗布したところ、色見本5に良く近似した色が得られ
た。
【0100】
【発明の効果】本発明のうち、前記第1の発明によれ
ば、混合色材の色合わせに必要なデータであるK/Sパ
ラメータを簡単かつ迅速に測定できる。得られたデータ
を用いて色合わせを行えば、最適配合を算出する作業の
手間と時間を大幅に削減することができる。従来は色材
として使用するのが困難であった着色剤の残液を用いた
場合でも、簡単かつ迅速な測定あるいは色合わせが可能
になる。
【0101】前記第2の発明によれば、色材として下地
の色に影響を受け易い傾向のある色材を用いる場合で
も、正確な分光反射率が容易に得られる。この分光反射
率のデータを用いて、混合色材の色合わせを行えば、下
地の色の違いに関わらず、色見本の色との色差が少ない
混合色材の配合が、混合色材を下地に塗布して確認する
ことなく、容易に得られる。
【0102】本発明によれば、基本色材として残液中の
色材を使用して残液を再度利用を図ることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色合わせ方法の1実施例を表す流れ
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻 満比古 兵庫県伊丹市森本1丁目35番地 住化カラ ー株式会社大阪工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の基本色材を混合して得られる混合色
    材のK/Sパラメータを予測する方法であって、 前記各基本色材についてそれぞれのK/Sパラメータを
    測定する第1の工程と、各基本色材のK/Sパラメータ
    から混合色材のK/Sパラメータを算出する第2の工程
    とを含み、 前記第1の工程が、 液体試料として、前記基本色材よりも十分に大きな散乱
    係数を示す無彩色材を同じ量ずつ含み、前記基本色材を
    段階的に異なる量で含む複数個の液体試料を調製する工
    程と、 前記各液体試料毎に分光反射率を測定する工程と、 前記分光反射率から前記K/Sパラメータを算出する工
    程とを含み、 前記第2の工程が、 前記各基本色材のK/Sパラメータから、下記(I)式
    により、前記混合色材のK/Sパラメータを算出する工
    程を含む、混合色材のK/Sパラメータ予測方法。 (K/S)m =Σi {(K/S)i ×Ci } …(I) ここで、(K/S)m :混合色材のK/Sパラメータ (K/S)i :各基本色材のK/Sパラメータ Ci :各基本色材の混合量
  2. 【請求項2】前記無彩色材として、白色材を用いる請求
    項1に記載の混合色材のK/Sパラメータ予測方法。
  3. 【請求項3】前記複数の基本色材の少なくとも一つとし
    て、単一色材および/または混合色材が複数種混合され
    た基本色材を用いる請求項1または2に記載の混合色材
    のK/Sパラメータ予測方法。
  4. 【請求項4】複数の基本色材を混合して得られる混合色
    材の色を色見本の色に合わせる方法であって、以下の工
    程(a) 〜(d) を含む混合色材の色合わせ方法。 (a) 前記色見本の色を測定する工程 (b) 前記混合色材を構成する複数の基本色材の配合を仮
    決定する工程 (c) 前記請求項1〜3の何れかに記載の方法を用いて前
    記混合色材のK/Sパラメータを予測し、このK/Sパ
    ラメータから混合色材の色を予測する工程 (d) 前記混合色材の予測色と前記色見本の色との色差を
    求め、色差が許容範囲であれば、前記混合色材の配合を
    前記仮決定した配合に決定し、色差が許容範囲を外れて
    いれば、混合色材を構成する前記複数の基本色材の配合
    を修正して前記(c) の工程に戻る工程
  5. 【請求項5】前記複数の基本色材の少なくとも一つとし
    て、着色剤残液に含まれる色材を用いる請求項4に記載
    の混合色材の色合わせ方法。
  6. 【請求項6】下記の工程(a) 〜(d) を含む色材の分光反
    射率測定方法。 (a) 前記色材を含む液体試料を調製する工程 (b) 白色下地試料、前記液体試料を前記白色下地に塗布
    してなる白色下地塗布試料、黒色下地試料、前記液体試
    料を前記黒色下地に塗布してなる黒色下地塗布試料をそ
    れぞれ作製する工程 (c) 前記各試料について分光反射率を測定する工程 (d) 前記分光反射率の測定値から下式(II)で前記色材の
    分光反射率R∞を算出する工程 R∞={(N2 −4M2 1/2 −N}/2M …(II) ここで、M=RFw×Rb −RFb×Rw N=(Rw −Rb )×(1+RFw×RFb)−(RFw×R
    Fb)×(1+Rw ×Rb ) Rw :白色下地試料の分光反射率 RFw:白色下地塗布試料の分光反射率 Rb :黒色下地試料の分光反射率 RFb:黒色下地塗布試料の分光反射率
  7. 【請求項7】複数の基本色材を混合して得られる混合色
    材の色を色見本の色に合わせる方法であって、以下の工
    程(a) 〜(e) を含む混合色材の色合わせ方法。 (a) 前記色見本の色を測定する工程 (b) 前記混合色材を構成する複数の基本色材について、
    前記請求項6の方法で分光反射率を測定する工程 (c) 前記混合色材を構成する複数の基本色材の配合を仮
    決定する工程 (d) 前記複数の基本色材の分光反射率と配合から混合色
    材の色を予測する工程 (e) 前記混合色材の予測色と前記色見本の色との色差を
    求め、色差が許容範囲であれば、前記混合色材の配合を
    前記仮決定した配合に決定し、色差が許容範囲を外れて
    いれば、混合色材を構成する前記複数の基本色材の配合
    を修正して前記(d) の工程に戻る工程
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