JPH11323736A - 難燃性積層体 - Google Patents

難燃性積層体

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JPH11323736A
JPH11323736A JP12907298A JP12907298A JPH11323736A JP H11323736 A JPH11323736 A JP H11323736A JP 12907298 A JP12907298 A JP 12907298A JP 12907298 A JP12907298 A JP 12907298A JP H11323736 A JPH11323736 A JP H11323736A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屋外などの苛酷な使用条件下においても樹脂
層の剥離脱落がなく、難燃性が高く、経時的低下がな
く、廃棄焼却の容易な難燃性積層体の提供。 【解決手段】 繊維性基布上に、難燃性ウレタン系樹脂
層を設け、この樹脂層において、基布に隣接し、ウレタ
ン系樹脂100部(重量以下同じ)、ポリ燐酸アンモニ
ウム系化合物及び/又は(イソ)シアヌル酸誘導体5〜
100部、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合
物、オキサゾリン系化合物及び/又はカップリング剤架
橋剤0.1〜30部を含む高難燃性中間層と、最外側に
配置され、ウレタン系樹脂100部、無機水和物系難燃
助剤1〜60部、カップリング剤0.1〜30部を含む
準難燃性最外層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、戸外用軒出しテン
ト、屋形テント、日除け用テント、自動車用幌シート、
工業用メッシュシート等の用途に好適な繊維シート構造
物に関し、更に詳しく述べるならば、耐水性、耐候性、
難燃性などの耐久保持性に優れ、上記の用途に好適な難
燃性積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用幌シート、及び工業用メッシュ
シート等に用いられる繊維シート構造物については、種
々の製造方法が知られており、例えば、特開昭52−1
8995号には、ポリエステル繊維布帛に接着前処理を
施した後、前処理された表面をポリ塩化ビニル系樹脂に
より被覆する方法が開示されている。この製法で得られ
るポリ塩化ビニル系樹脂被覆構造物は、柔軟性、耐久性
及び難燃性において優れているが、しかしポリ塩化ビニ
ル系樹脂を用いているため、難燃時に有害な塩化水素ガ
スを発生するということが、大きな問題点となってい
る。
【0003】これらの問題を解消するため、ハロゲン元
素を含まない樹脂を用いることが検討されている。この
ハロゲン元素非含有系では、これに難燃性を付与するた
めに、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の無
機化合物を添加する方法、赤燐を添加する方法が知られ
ているが、前者では満足な難燃性を得るためには多量の
無機化合物の添加が必要となるため、それらを含む被覆
構造物は、柔軟性、及び耐久性に劣る物となり、また後
者では赤燐が濃い褐色に着色するため、色彩の多様性に
劣るという欠点があった。
【0004】また、特開平6−340815号には、熱
可塑性樹脂に、メラミンで被覆したポリ燐酸アンモニウ
ムと特定の含窒素有機化合物とを添加する方法が開示さ
れている。メラミン被覆によるポリ燐酸アンモニウムの
耐水性向上は有効な手段であるが、屋外などにおける過
酷な使用条件下では、経時的に難燃性が低下してしまう
という欠点を有していた。特にウレタン系樹脂は、化学
構造の相違により特性が大きく変化し、例えばポリエス
テル系ウレタン系樹脂では難燃性の向上は容易である
が、耐水性には劣り、ポリエーテル系ウレタン系樹脂で
は耐水性には優れるが耐候性に劣る傾向を有している。
このように、耐水性及び耐候性の両方を満足する難燃性
積層体は未だ得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、戸外用軒出
しテント、屋形テント、日除け用テント、自動車用幌シ
ート、工業用メッシュシート等の用途に好適な難燃性積
層体を提供するものである。また、本発明は、屋外など
過酷な使用条件下においても、樹脂層の剥離、脱落など
による損傷が少なく、難燃性の経時的低下のない、しか
も廃棄、焼却が容易な難燃性積層体を提供しようとする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる難燃性積
層体は、繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成さ
れた難燃性ウレタン系樹脂層からなり、前記難燃性ウレ
タン系樹脂層が、(1)前記繊維性基布に隣接して設け
られ、かつウレタン系樹脂100重量部と、ポリ燐酸ア
ンモニウム系化合物および(イソ)シアヌル酸誘導体化
合物から選ばれた少なくとも1種の難燃性付与剤5〜1
00重量部と、アジリジン系化合物、カルボジイミド系
化合物、オキサゾリン系化合物およびカップリング剤か
ら選ばれた少なくとも1種の架橋剤0.1〜30重量部
を含む高難燃性中間層と、(2)最外側に配置され、か
つウレタン系樹脂100重量部と、無機系難燃助剤1〜
60重量部と、カップリング剤0.1〜30重量部を含
む準難燃性最外層とを有することを特徴とするものであ
る。本発明の難燃性積層体において、前記高難燃性中間
層のウレタン系樹脂は、ポリエステル系ウレタン系樹脂
およびポリエーテル系ウレタン系樹脂から選ばれた少な
くとも1種からなることが好ましい。本発明の難燃性積
層体において、前記準難燃性最外層のウレタン系樹脂
は、ポリカーボネート系ウレタン系樹脂からなることが
好ましい。本発明の難燃性積層体において、前記難燃性
ウレタン系樹脂層中の前記高難燃性中間層と前記準難燃
性最外層との重量比率は、70〜95:5〜30である
ことが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の難燃性積層体に用いられ
る繊維性基布は、天然繊維、例えば木綿、麻など;無機
繊維、例えばガラス繊維など;再生繊維、例えばビスコ
ースレーヨン、キュプラなど;半合成繊維、例えば、ジ
−及びトリアセテート繊維など;及び合成繊維、例え
ば、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル(ポリエ
チレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊
維、アクリル繊維、及びポリオレフィン繊維などから選
ばれた少なくとも1種からなる布帛である。
【0008】前記基布中の繊維は、短繊維紡績糸、長繊
維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれ
の形状のものでもよい。また基布組織は織物、編物、不
織布またはこれらの複合体のいずれであってもよい。さ
らに前記基布の編織組織にも格別の制限はないが、例え
ば、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置
された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目布
状の編織物、及び非粗目布状編織物(糸条間に実質上間
隙が形成されていない編織物)を包含する。
【0009】前記粗目織物の目付は30〜700g/m
2 であることが好ましく、また粗目編織物の透孔面積率
は、粗目編織物の面積に対して10〜95%程度である
ことが好ましい。また繊維性基布が非粗目編織物である
場合、その組織、目付、厚さなどに制限はないが、使用
目的に応じて、平織、綾織、丸編、緯編、及び経編など
の編織物を選ぶことができ、またその目付は50〜10
00g/m2 程度とすることが好ましい。
【0010】上記の基布には、耐水性、及び吸水防止性
を付与する目的をもって、例えば、ワックスエマルジョ
ン、樹脂バインダーを含むワックスエマルジョン、及び
シリコーン系化合物のエマルジョン、及びこれらの溶液
などを噴霧し、又は浸漬する方法により撥水前処理を予
め施しておいてもよい。
【0011】本発明の難燃性積層体は、繊維性基布と、
繊維性基布に隣接して設けられた高難燃性中間層と、最
外側に配置された準難燃性最外層とを含む難燃性ウレタ
ン系樹脂層により形成される。高難燃性中間層には、積
層体に高い難燃性を発現させる目的をもって、難燃効果
の高い難燃性付与剤が添加され、準難燃性最外層は製品
の耐候性、難燃耐久性を向上させるために最外側に配置
される。
【0012】それぞれの層に用いられるウレタン系樹脂
としては、ポリオールとジイソシアネートとを反応させ
たものを用いることができる。この場合、ポリオールと
しては両末端に水酸基を有するポリエステル系ポリオー
ル、ポリエーテル系ポリオール、及びポリカーボネート
系ジオールなどを使用することができる。また、ジイソ
シアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレ
ンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート
などの芳香族ジイソシアネート、及び脂肪族ジイソシア
ネートを用いることができる。耐候性、耐久性の面で
は、ポリオール成分としてポリカーボネート系ジオール
を用い、ジイソシアネート成分としては脂肪族ジイソシ
アネートを用いたポリカーボネート系ウレタン系樹脂が
好適である。しかしポリカーボネート系ウレタン系樹脂
は硬度が高く、高付着量を必要とする製品においては、
その柔軟性が低いこと、また高価格であるという欠点を
有している。柔軟性、難燃性の付与が容易であることお
よび低価格性という観点から、中間層にはポリエステル
系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールと脂肪族ジイ
ソシアネートの反応により得られるポリエステル系、及
びポリエーテル系ウレタン系樹脂を用いることが好まし
く、また最外層にはポリカーボネート系ウレタン系樹脂
を用いることが耐候性の面で優れている。
【0013】本発明の難燃性積層体に難燃性を付与する
ことを目的として、高難燃性中間層には難燃性付与剤
が、準難燃性最外層には難燃助剤が添加される。高難燃
性中間層に添加される難燃性付与剤としては、ポリ燐酸
アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体
化合物から選ばれた1種以上が使用される。ポリ燐酸ア
ンモニウム系化合物としては、オルソ燐酸アンモニウム
と尿素の縮合生成物が用いられる。ポリ燐酸アンモニウ
ムはこのまま用いてもいいし、メラミンにより表面を被
覆したもの、マイクロカプセル化したものを用いても良
い。
【0014】また、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物と
しては、メラミン、硫酸メラミン、燐酸メラミン、ポリ
燐酸メラミン、メチロールメラミン、シアヌル酸トリメ
チルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、アンメ
リン、アンメリド、及び2,4,6−トリオキシシアニ
ジンなどのシアヌル酸誘導体を用いることができる。ま
た、イソアンメリン、イソメラミン、イソアンメリド、
トリメチルカルボジイミド、トリエチルカルボジイミ
ド、及びトリカルボイミドなどのイソシアヌル酸誘導体
を用いることができる。特には、メラミンのイソシアヌ
ル酸との反応により得られるメラミンイソシアヌレート
が好適に用いることが出来る。
【0015】また、更に難燃性を高める目的から、必要
に応じ、燐酸アンモニウム系以外の燐系化合物、例えば
トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ト
リブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ト
リフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、
及びオクチルジフェニルホスフェートなどの燐酸エステ
ル、高分子量化したポリホスフェートなどの縮合燐酸エ
ステルなど、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物以外の含
窒素化合物、例えばジシアンジアミド、ジシアンジアミ
ジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、燐酸
グアニジン、及びジグアニドなどのシアナミド誘導体、
尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、トリメチル
尿素、N−ベンゾイル尿素、及び燐酸グアニル尿素など
の尿素誘導体を併用しても良い。
【0016】高難燃性中間層において、難燃性付与剤の
添加量は、ウレタン系樹脂の固形分100重量部に対し
て5〜100重量部であることが好ましい。その添加量
が5重量部未満では、得られる中間層において十分な難
燃性を得ることができず、それが100重量部を超える
と、得られる中間層において十分な耐久性を得ることが
できず、またコスト高となる。
【0017】準難燃性最外層に添加される難燃助剤とし
ては、結晶水を有する無機化合物、及び燃焼時に炭化を
促進する無機化合物が好適である。難燃助剤を添加しな
い場合、高難燃性中間層と準難燃性最外層の重量比率を
どのように設定しても、有効な難燃性を得ることが出来
ない。これら無機系化合物としては、水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、四硼酸ナトリウム、燐酸マグ
ネシウム、二燐酸ナトリウム及び燐酸亜鉛などの結晶水
を有する無機水和物、メタ錫酸、錫酸亜鉛及びヒドロキ
シ錫酸亜鉛などの錫系化合物、並びに、硼酸、硼酸亜鉛
及び硼酸アルミニウムなどの硼酸化合物などの1種以上
を用いることが出来る。難燃助剤の添加量は、ウレタン
系樹脂の固形分100重量部に対して1〜60重量部で
あることが好ましい。その添加量がそれぞれ1重量部未
満では、得られる最外層において、十分な難燃補助効果
を得ることができず、またそれが60重量部を超える
と、得られる最外層において、樹脂強度の大幅な低下を
招いてしまう。
【0018】更に、ウレタン系樹脂層には、ウレタン系
樹脂の耐水性、耐候性、樹脂強度の低下を抑えると共
に、難燃性付与剤の耐久性、耐ブリード性を向上させる
目的のために、架橋剤が必須成分として添加される。特
に、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シア
ヌル酸誘導体化合物の多くは耐水性に劣る傾向が大きい
ため、高難燃性中間層では、難燃剤の加水分解防止及び
ブリード防止を目的として、また、準難燃性最外層で
は、ブリード防止と共に耐候性向上を目的として架橋剤
が添加される。高難燃性中間層にはアジリジン系化合
物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物及
びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種の架橋剤
を用い、準難燃性最外層にはカップリング剤を添加する
ことが好ましい。
【0019】アジリジン系化合物としては、分子内にア
ジリジニル基を含有したものであればよく、分子内に2
個のアジリジニル基を含有した化合物、例えば、ジフェ
ニルメタン−ビス−4−4′−N−N′−ジエチレンウ
レアなど、分子内に3個のアジリジニル基を含有した化
合物、例えば、2,2−ビスハイドロキシメチルブタノ
ール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネー
ト〕などが用いられる。
【0020】カルボジイミド系化合物としては、有機ジ
イソシアネートをホスホレン化合物、金属カルボニル錯
体化合物及び燐酸エステルなどのカルボジイミド化を促
進する触媒の存在下に反応させることにより得られたも
のを好適に用いることができる。具体的には、ジプロピ
ルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシク
ロヘキシルカルボジイミド、ジ−P−トルオイルカルボ
ジイミド、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミ
ドなどが用いられる。特には、トリイソプロピルベンゼ
ンポリカルボジイミドなど多官能カルボジイミドが耐久
性の向上の面で好ましい。
【0021】オキサゾリン系化合物としては、オキサゾ
ール−4−カルボン酸の脱炭酸反応によるオキサゾール
から誘導、生成される化合物を好適に用いることができ
る。例えば、2−オキサゾリン、4−メチル−2−オキ
サゾリン、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)など、
スチレン、アクリルなどのポリマーにオキサゾリル基を
グラフトした多官能オキサゾリンポリマーが用いられ
る。特には、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)など
多官能オキサゾリンが耐久性の面で好ましい。
【0022】カップリング剤としては、シラン系カップ
リング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カ
ップリング剤、アルミニウム系カップリング剤及びジル
コアルミニウム系カップリング剤から選ばれた少なくと
も1種からなるものが好ましい。シラン系カップリング
剤としては、アミノシラン類、例えば、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシランなど、エポキシシラン類、例
えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランな
ど、ビニルシラン類、例えば、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランな
ど、メルカプトシラン類、例えば、γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシランなど、が挙げられる。
【0023】チタン系カップリング剤としては、アルコ
キシ類、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ
−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソ
キシ)チタンなど;アシレート類、例えば、トリ−n−
ブトキシチタンステアレート及びイソプロポキシチタン
トリステアレートなどが挙げられる。
【0024】ジルコニウム系カップリング剤としては、
例えば、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタ
ノールアミン)ジルコネート、およびテトライソプロピ
ルジルコネートなどが挙げられる。アルミニウム系カッ
プリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミ
ニウムジイソプロピレートが挙げられる。また、ジルコ
アルミニウム系カップリング剤としては、テトラプロピ
ルジルコアルミネートが挙げられる。これらの中で、耐
水性、耐候性の観点から、特にはγ−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、およびγ−グリシドキシ
プロピルトリエトキシシランなどのエポキシシランを用
いることが好ましい。
【0025】これら架橋剤は単独で用いてもよいし、ま
た2種以上を併用しても良い。架橋剤の添加量は、高難
燃性中間層と準難燃性最外層のいずれも、ウレタン系樹
脂の固形分100重量部に対して0.1〜30重量部で
あることが好ましく、更に好ましくは1〜15重量部で
ある。添加量が0.1重量部未満では、得られるウレタ
ン系樹脂層の耐水性、難燃性の耐久性が不十分であり、
またそれが30重量部を超えると製品の柔軟性が損なわ
れてしまう。
【0026】本発明の難燃性積層体において、ウレタン
系樹脂層はウレタン系樹脂と難燃性付与剤を含有したエ
マルジョン、溶液、及び固形配合組成物により、繊維性
基布をコーティング、又はディッピングすることによ
り、或いはカレンダー成形したフィルムをラミネートす
ることにより形成される。ウレタン系樹脂層配合組成物
中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、無機充填
剤、顔料、増粘剤、及び消泡剤などを適宜添加してもよ
い。繊維性基布に対するウレタン系樹脂層の付着総重量
は30〜800g/m2 であることが好ましく、更に好
ましくは50〜500g/m2 である。ウレタン系樹脂
層の付着重量が30g/m2 未満では、本発明の積層体
の難燃性が不十分になることがあり、またウレタン系樹
脂付着量が800g/m2 を超えると、得られた積層体
の柔軟性不十分になることがある。また、高難燃性中間
層と準難燃性最外層の重量比率は70〜95:5〜30
であることが好ましい。ウレタン系樹脂層の付着総重量
に対する最外層の重量比率が5%未満では、得られるウ
レタン系樹脂の耐水性、耐久性が不十分となり、またそ
れが30%を超えると製品の柔軟性が不十分になる。
【0027】
【実施例】本発明を下記実施例により更に具体的に説明
する。製品の性能評価に用いられた測定方法は下記の通
りである。
【0028】耐屈曲性 JIS L−1096のスコット法に従って、つかみ間
隔2cm、押圧荷重1kgf の条件下に試験片に回数1,0
00回の屈曲試験を施し、結果を目視で評価した。
【0029】耐燃焼性 耐温水性試験(70℃温水中に3日間浸漬)前後の試験
片を、下記2種類の方法で燃焼試験に供し、評価した。 (1)45度法防炎試験:JIS L−1091のA−
1法もしくはA−2法に従って、炭化面積、炭化距離、
残炎時間、残ジン時間を測定。基準を満足した場合、防
炎区分3合格とする。 (2)酸素指数法:JIS K−7201に従って、燃
焼限界酸素量を測定した。
【0030】実施例1 繊維性基布として、 を使用し、またウレタン系樹脂の水性エマルジョンとし
ては固形分濃度40%のものを用いた。高難燃性中間層
形成用ウレタン系樹脂エマルジョン及び準難燃性最外層
形成用ウレタン系樹脂エマルジョンの組成を下記に示
す。
【0031】 (高難燃性中間層) ポリエステル系ウレタン系樹脂(固形分:40重量%) 100重量部 メラミンイソシアヌレート 10重量部 ジフェニルメタン−ビス−4−4′−N−N′−ジエチレ ンウレア 4重量部 顔料(大日本インキ(株)製、リュウダイ−W69) 3重量部 紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製、チヌビン765) 0.5重量部
【0032】 (準難燃性最外層) ポリカーボネート系ウレタン系樹脂(固形分:40重量%) 100重量部 水酸化アルミニウム 10重量部 γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 6重量部 顔料(大日本インキ(株)製、リュウダイ−W69) 3重量部 紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製、チヌビン765) 0.5重量部
【0033】前記高難燃性中間層用ウレタン系樹脂エマ
ルジョンに、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞っ
た後100℃で乾燥し、得られた高難燃性中間層被覆基
材を、前記準難燃性最外層用ウレタン系樹脂エマルジョ
ンに浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更
に140℃で熱処理した。このとき、高難燃性中間層ウ
レタン系樹脂固形分に対するメラミンイソシアヌレー
ト、及びアジリジン系架橋剤の添加量は、それぞれ25
重量%及び10重量%であり、また準難燃性最外層用ウ
レタン系樹脂に対する水酸化アルミニウム及びシランカ
ップリング剤の添加量は、それぞれ25重量%及び15
重量%であった。得られたメッシュ状シートにおいて、
高難燃性中間層の付着重量が90g/m2 、準難燃性最
外層は30g/m2 、総付着量が120g/m2 であ
り、また、高難燃性中間層と準難燃性最外層との重量比
率は75:25であり、さらにこのシートは、糸条間に
間隙空間が残存しており、従って通気性を有するシート
であった。この難燃性積層体の組成及び試験結果を表1
〜3に示す。
【0034】実施例2 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層のアジリジン系架橋剤に代
えて、カップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリ
エトキシシラン)4重量部を添加した。このときの架橋
剤の添加量は、高難燃性中間層ウレタン系樹脂固形分重
量に対して10重量%であった。得られた難燃性積層体
の組成及び試験結果を表1〜3に示す。
【0035】実施例3 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層のアジリジン系架橋剤に代
えて、カルボジイミド系架橋剤(トリイソプロピルベン
ゼンカルボジイミド)8重量部を添加した。このときの
架橋剤の添加量は、高難燃性中間層ウレタン系樹脂固形
分重量に対して20重量%であった。得られた難燃性積
層体の組成及び試験結果を表1〜3に示す。
【0036】実施例4 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層のアジリジン系架橋剤に代
えて、オキサゾリン系架橋剤(2,2′−ビス(2−オ
キサゾリン))8重量部を添加した。このときの架橋剤
の添加量は、高難燃性中間層ウレタン系樹脂固形分重量
に対して20重量%であった。得られた難燃性積層体の
組成及び試験結果を表1〜3に示す。
【0037】実施例5 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、メラミンイソシアヌレートに代えて、オル
ソ燐酸アンモニウムと尿素を縮合して得られるポリ燐酸
アンモニウム(平均分子量10,000)10重量部を
添加した。このときのポリ燐酸アンモニウムの添加量
は、高難燃性中間層ウレタン系樹脂固形分重量に対して
25重量%であった。得られた難燃性積層体の組成及び
試験結果を表1〜3に示す。
【0038】実施例6 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、メラミンイソシアヌレートの単独使用に代
えて、メラミンイソシアヌレートとポリ燐酸アンモニウ
ム(平均分子量10,000)とをそれぞれ5重量部添
加した。このときの難燃性付与剤の総添加量は、高難燃
性中間層ウレタン系樹脂固形分重量に対して25重量%
であった。得られた難燃性積層体の組成及び試験結果を
表1〜3に示す。
【0039】実施例7 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層のアジリジン系架橋剤に代
えて、オキサゾリン系架橋剤(2,2′−ビス(2−オ
キサゾリン))、カップリング剤(γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン)をそれぞれ4重量部添加し
た。このときの架橋剤の添加量は、高難燃性中間層ウレ
タン系樹脂固形分重量に対してそれぞれ10重量%であ
り、総添加量は20重量%であった。得られた難燃性積
層体の組成及び試験結果を表1〜3に示す。
【0040】実施例8 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、準難燃性最外層の水酸化アルミニウムに代
えて燐酸マグネシウム12重量部を添加した。得られた
難燃性積層体の組成及び試験結果を表1〜3に示す。
【0041】実施例9 実施例1と同じ処理操作及び試験を行った。但し、メラ
ミンイソシアヌレートに替えて、メラミンで表面処理し
たポリ燐酸アンモニウムを10重量部添加した。このと
きのメラミン処理ポリ燐酸アンモニウムの添加量は、高
難燃性中間層ウレタン系樹脂固形分重量に対して25重
量%であった。得られた難燃性積層体の組成及び試験結
果を表1〜3に示す。
【0042】実施例10 繊維性基布として、 を使用し、高難燃性中間層と準難燃性最外層をそれぞれ
以下の組成で形成した。 (高難燃性中間層) ポリエステル系ウレタン系樹脂 (大日精化(株)製、レザミンP−1045) 100重量部 メラミンイソシアヌレート 10重量部 2,2′−ビス(2−オキサゾリン) 4重量部 顔料(日弘ビックス(株)製、HSM−9050#W) 3重量部 紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製、チヌビンP) 0.5重量部 (準難燃性最外層) ポリカーボネート系ウレタン系樹脂 (大日精化(株)製、レザミンP−880) 100重量部 水酸化アルミニウム 10重量部 γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 6重量部 顔料(日弘ビックス(株)製、HSM−9050#W) 3重量部 紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製、チヌビンP) 0.5重量部 この高難燃性中間層組成物、準難燃性最外層組成物をカ
レンダー成形機により、それぞれ300μm、50μm
のフィルムに成形した。先ず、高難燃性中間層ウレタン
フィルムを前記ポリエステルフィラメント高密度織物の
両面に熱圧着ラミネートし、更にこの両面に準難燃性最
外層ウレタンフィルムを積層し、熱圧着ラミネートして
本発明の難燃性積層体を得た。このときの高難燃性中間
層と準難燃性最外層との重量比率は86:14であっ
た。この難燃性積層体の組成及び試験結果を表1〜3に
示す。
【0043】比較例1 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層の付着重量を90g/
2 、準難燃性最外層の付着重量を60g/m2 、総付
着量を150g/m2 とした。このとき、高難燃性中間
層と準難燃性最外層との重量比率は60:40であっ
た。この難燃性積層体の組成及び試験結果を表1〜3に
示す。
【0044】比較例2 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層の付着重量を120g/m
2 とし、準難燃性最外層を形成しなかった。この難燃性
積層体の組成及び試験結果を表1〜3に示す。
【0045】比較例3 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層のアジリジン系架橋剤を添
加しなかった。得られた難燃性積層体の組成及び試験結
果を表1〜3に示す。
【0046】比較例4 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層のアジリジン系架橋剤の添
加量を36重量部とした。このときの架橋剤の添加量
は、高難燃性中間層ウレタン系樹脂固形分重量に対して
90重量%であった。得られた難燃性積層体の組成及び
試験結果を表1〜3に示す。
【0047】比較例5 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層のメラミンイソシアヌレー
トの添加量を120重量部とした。メラミンイソシアヌ
レートの添加量は、高難燃性中間層ウレタン系樹脂固形
分重量に対して300重量%であった。得られた難燃性
積層体の組成及び試験結果を表1〜3に示す。
【0048】比較例6 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、高難燃性中間層のメラミンイソシアヌレー
トの添加量を1重量部とした。メラミンイソシアヌレー
トの添加量は、高難燃性中間層ウレタン系樹脂固形分重
量に対して2.5重量%であった。得られた難燃性積層
体の組成及び試験結果を表1〜3に示す。
【0049】比較例7 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、準難燃性最外層のカップリング剤を添加し
なかった。得られた難燃性積層体の組成及び試験結果を
表1〜3に示す。
【0050】比較例8 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、準難燃性最外層のカップリング剤(γ−グ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン)の添加量を3
6重量部とした。カップリング剤の添加量は、準難燃性
最外層ウレタン系樹脂固形分重量に対して90重量%で
あった。得られた難燃性積層体の組成及び試験結果を表
1〜3に示す。
【0051】比較例9 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、準難燃性最外層の水酸化アルミニウムを添
加しなかった。得られた難燃性積層体の組成及び試験結
果を表1〜3に示す。
【0052】比較例10 実施例1と同様にして難燃性積層体を作製し、試験を行
った。但し、準難燃性最外層の水酸化アルミニウムの添
加量を72重量部とした。水酸化アルミニウムの添加量
は、準難燃性最外層ウレタン系樹脂固形分重量に対して
180重量%であった。得られた難燃性積層体の組成及
び試験結果を表1〜3に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】表1、表2及び表3から明らかなように、
アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサ
ゾリン系化合物及びカップリング剤から選ばれた少なく
とも1種の架橋剤を必須成分として高難燃性中間層に添
加し、更にカップリング剤を含む準難燃性最外層を高難
燃性中間層上に形成することにより、ポリ燐酸アンモニ
ウムおよび(イソ)シアヌル酸誘導体を添加した配合系
の難燃性ポリウレタン系樹脂層の難燃耐久性が大きく向
上した。
【0057】
【発明の効果】本発明により得られる難燃性積層体は、
耐久性、柔軟性、難燃性に優れており、特に屋外で使用
される日除け、屋形テント、自動車幌、建築養生用メッ
シュなどに好適なものである。また、この難燃性積層体
は焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響もないとい
う利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/3477 C08K 5/3477 C08L 75/04 C08L 75/04 D06M 11/71 D06M 13/364 13/364 11/08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維性基布と、その少なくとも1面上に
    形成された難燃性ウレタン系樹脂層からなり、 前記難燃性ウレタン系樹脂層が、 (1)前記繊維性基布に隣接して設けられ、かつウレタ
    ン系樹脂100重量部と、ポリ燐酸アンモニウム系化合
    物および(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた
    少なくとも1種を含む難燃性付与剤5〜100重量部
    と、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オ
    キサゾリン系化合物およびカップリング剤から選ばれた
    少なくとも1種の架橋剤0.1〜30重量部とを含む高
    難燃性中間層と、 (2)最外側に配置され、かつウレタン系樹脂100重
    量部と、無機系難燃助剤1〜60重量部と、カップリン
    グ剤0.1〜30重量部とを含む準難燃性最外層、 を有することを特徴とする難燃性積層体。
  2. 【請求項2】 前記高難燃性中間層のウレタン系樹脂
    が、ポリエステル系ウレタン系樹脂およびポリエーテル
    系ウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種からな
    る、請求項1に記載の難燃性積層体。
  3. 【請求項3】 前記準難燃性最外層のウレタン系樹脂
    が、ポリカーボネート系ウレタン系樹脂からなる、請求
    項1に記載の難燃性積層体。
  4. 【請求項4】 前記難燃性ウレタン系樹脂層に含まれる
    高難燃性中間層と準難燃性最外層との重量比率が、70
    〜95:5〜30である、請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の難燃性積層体。
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