JPH11323154A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形体

Info

Publication number
JPH11323154A
JPH11323154A JP5640199A JP5640199A JPH11323154A JP H11323154 A JPH11323154 A JP H11323154A JP 5640199 A JP5640199 A JP 5640199A JP 5640199 A JP5640199 A JP 5640199A JP H11323154 A JPH11323154 A JP H11323154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl monomer
polymer
thermoplastic resin
quaternary ammonium
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5640199A
Other languages
English (en)
Inventor
Jiro Mizuie
次朗 水家
Junji Shiiki
潤二 椎木
Jiro Tosa
治郎 土佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Arakawa Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Arakawa Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Arakawa Chemical Industries Ltd filed Critical Arakawa Chemical Industries Ltd
Priority to JP5640199A priority Critical patent/JPH11323154A/ja
Publication of JPH11323154A publication Critical patent/JPH11323154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い帯電防止性能を有し、機械的特性が損わ
れることなく、永久的で、成形直後から発現する帯電防
止性能が付与された安価な熱可塑性樹脂組成物およびそ
の成形体を提供すること。 【解決手段】 三級アミノ基を有するビニルモノマーを
含有してなるビニルモノマー成分(A)を原料として四
級アンモニウム塩基を有するポリマーを製造する際に、
溶媒として前記ビニルモノマー成分(A)を溶解し、得
られる四級アンモニウム塩基を有するポリマーを溶解さ
せず、かつ重合不活性な溶媒(B)を使用し、四級化剤
(C)により前記ビニルモノマー成分(A)中の三級ア
ミノ基を有するビニルモノマーにおける三級アミノ基を
四級化しながら、前記ビニルモノマー成分(A)を重合
させることにより得られる四級アンモニウム塩基を有す
るポリマー0.5〜15重量%および熱可塑性樹脂9
9.5〜85重量%を含有してなる熱可塑性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂組成物
およびその成形体に関する。さらに詳しくは、四級アン
モニウム塩基を有するポリマーを含有してなる、帯電防
止性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、スチレン系樹脂をはじめとする熱
可塑性樹脂は、包装材料をはじめ家電製品、OA機器の
ハウジング等の幅広い用途で使用されている。これらの
成形品は帯電防止のための処理を施さないと静電気を蓄
える絶縁体であり、表面にほこりなどを吸着し、製品の
外観を損う。また、精密電子部品、特に集積度の高いI
CやLSIでは、静電気による障害が問題になるため、
帯電防止性のさらなる改善が強く望まれている。
【0003】このような静電気による障害を防止するた
めに、熱可塑性樹脂に帯電防止剤を混練して帯電防止性
を改善する方法として、大きく分けて二つの方法、すな
わち、(1)低分子の帯電防止剤を内部添加する方法と
(2)高分子型の帯電防止剤を内部添加する方法が検討
されている。
【0004】(1)低分子の帯電防止剤を内部添加する
方法、たとえば、界面活性剤を樹脂内部に添加する方法
(特開昭48−80142号公報)は、射出成形直後か
ら帯電防止性能を発揮する点で優れている。しかし、か
かる性能の発揮は、帯電防止剤のブリードアウトによる
機能発現であるため、帯電防止性能が水洗や摩擦等によ
り容易に失われて、永久的に帯電防止性を保持させるこ
とが困難である。
【0005】一方、(2)高分子型の帯電防止剤では親
水性重合体を内部添加することにより、(1)低分子の
帯電防止剤に係わるような問題を伴わない帯電防止性の
永久化が試みられている。このような(2)高分子型の
帯電防止剤としては、例えば、ポリアミドエラストマー
を用いる方法(特開昭60−23435号公報、特開平
2−255850号公報、特公平4−72855号公
報)などや、ポリアルキレンオキサイドを用いる方法
(特公昭58−39860号公報、特開平4−2384
7号公報)などが知られている。しかしながら、これら
の(2)高分子型の永久帯電防止剤は(1)低分子型の
帯電防止剤よりも効果が低いため、配合量を多くする必
要があり、樹脂の各種特性を低下させてしまうととも
に、極めて高価なものになってしまう問題がある。加え
て、(2)高分子型の永久帯電防止剤は空気中の水分を
吸収して帯電防止効果を発現すると考えられるため、成
形直後からの帯電防止効果は期待できない。
【0006】そこで、成形直後から帯電防止効果を発現
させるため、熱可塑性樹脂に、(2)高分子型の永久帯
電防止剤として、四級アンモニウム塩基を有するビニル
モノマーおよびこれと共重合可能なビニルモノマーから
合成されるランダム共重合体を添加する方法(特開昭6
3−54466号公報)や四級アンモニウム塩構造単位
を含有するブロックから構成されるジブロック共重合体
を添加する方法(特開平8−239530号公報)、特
定の分子量範囲、分子量分布範囲にある四級アンモニウ
ム塩基を有するポリマーを添加する方法(特開平9−2
91192号公報)、さらに四級アンモニウム塩基含有
の重合体を添加する方法として特開平9−188821
号公報や特開平9−328597号公報などが知られて
いる。しかしながら、これらの方法においても、十分な
帯電防止効果を発現させるためには、配合量を多くしな
ければならなかったり、帯電防止剤としては安価とは言
えず、結果的にコスト高になってしまう問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、高い帯電防止性能を有し、機械的特性が損
われることなく、永久的で、成形直後から発現する帯電
防止性能が付与された安価な熱可塑性樹脂組成物および
その成形体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、特定の溶媒の存在下
に、三級アミノ基を有するビニルモノマーを含有してな
るビニルモノマー成分の四級化反応と共重合を同時に行
うことによって得られる四級アンモニウム塩基を有する
ポリマーを熱可塑性樹脂用混練型の帯電防止剤として用
いることにより、前記の求められる各種性能を達成しう
ることを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、一般式(1):
【0010】
【化2】
【0011】(式中、Xは−(CH−(但し、n
は2〜4の整数を示す)を示し、RとRはそれぞれ
独立して炭素数1〜9のアルキル基またはヒドロキシア
ルキル基を示す)で表される三級アミノ基を有するビニ
ルモノマーを含有してなるビニルモノマー成分(A)を
原料として四級アンモニウム塩基を有するポリマーを製
造する際に、溶媒として前記ビニルモノマー成分(A)
を溶解し、得られる四級アンモニウム塩基を有するポリ
マーを溶解させず、かつ重合不活性な溶媒(B)を使用
し、四級化剤(C)により前記ビニルモノマー成分
(A)中の三級アミノ基を有するビニルモノマーにおけ
る三級アミノ基を四級化しながら、前記ビニルモノマー
成分(A)を重合させることにより得られる四級アンモ
ニウム塩基を有するポリマー0.5〜10重量%および
熱可塑性系樹脂99.5〜90重量%を含有してなる熱
可塑性樹脂組成物、さらには当該熱可塑性樹脂組成物を
成形してなる成形体に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物中に
含有させうる前記四級アンモニウム塩基を有するポリマ
ーの原料である、ビニルモノマー成分(A)における三
級アミノ基を有するビニルモノマーは、前記一般式
(1)で表される三級アミノ基を有するビニルモノマー
であれば特に制限されない。
【0013】かかる三級アミノ基を有するビニルモノマ
ーの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート{なお、(メタ)アクリとは、アクリまたは
メタクリを意味する。以下、同様の意味である。}、ジ
エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)
アクリルアミド等を挙げることができる。これらの中で
も特に好ましくはジメチルアミノエチルメタクリレート
である。
【0014】また、前記三級アミノ基は、後述の四級化
剤(C)により四級化してなることにより、一般式
(2):
【0015】
【化3】
【0016】(式中、X,R,Rは前記と同じ、R
は水素原子または炭素数1〜9のアルキル基もしくは
炭素数1〜9のアルキル基を有しても良いベンジル基を
示し、Yはハロゲン原子、RSO,ROSO
(但し、Rは炭素数1〜20のアルキル基または炭
素数1〜20のアルキル基を有しても良いフェニル基を
示す)で表される四級アンモニウム塩基となる。
【0017】また、前記ビニルモノマー成分(A)に
は、前記三級アミノ基を有するビニルモノマーやその四
級化物に共重合しうるこれ以外のビニルモノマー(以
下、共重合用ビニルモノマーという)を含有させること
ができる。ここで、前記三級アミノ基を有するビニルモ
ノマーの四級化物とは、三級アミノ基を有するビニルモ
ノマーが四級化剤(C)により四級化されてなる四級ア
ンモニウム塩基を有するビニルモノマーをいう。なお、
三級アミノ基を有するビニルモノマーやその四級化物と
共重合しうるとしたのは、本発明においては四級化反応
と重合反応が同一工程で進行するため、重合反応途中に
おいては共重合用ビニルモノマーが、三級アミノ基を有
するビニルモノマーまたはその四級化物のいずれの状態
と共重合したかを明確に区別できないためである。当該
共重合用ビニルモノマーは、得られる四級アンモニウム
塩基を有するポリマーが十分な帯電防止効果を付与でき
るように、熱可塑性樹脂に対して適度な相溶性を持ち、
樹脂中において良好な分散状態を採ることができ、か
つ、機械的特性を低下させないようなものを適宜選択し
て使用することができ、四級アンモニウム塩基を有する
モノマーもしくは対応する三級アミノ基を有するモノマ
ーと共重合するものであれば制限を受けない。当該共重
合用ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−
メチルスチレン、フルオロスチレンなどの芳香族ビニル
化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの
シアン化ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ
ート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、クロロエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステ
ルモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メ
タ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド等の
(メタ)アクリルアミドとそのN−アルキル誘導体;お
よび酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエス
テルを挙げることができる。これら共重合用ビニルモノ
マーは1種類を単独でまたは2種類以上を併用して使用
することができる。特に、スチレン、メチルスチレン、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メ
タ)アクリレート、アクリロニトリルなどを使用するこ
とが望ましい。
【0018】また、本発明の四級アンモニウム塩基を有
するポリマーの分子量、分子量分布や溶融時の粘度を調
整して、樹脂中において適当な分散状態、分散形態をと
らせ、熱可塑性樹脂に対して十分な帯電防止効果を付与
できるようにするために、前記共重合用ビニルモノマー
として多官能性のビニルモノマーを含有させることがで
きる。なお、多官能性ビニルモノマーは、本発明以外の
溶液重合などの他の製造方法においては、ゲル化、増
粘、不安定化の原因になるため、極僅かしか併用するこ
とはできないものである。多官能性ビニルモノマーとし
ては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アリル(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート等があげられる。こ
れらは1種を単独でまたは2種以上を併用して使用する
ことができる。
【0019】本発明の四級アンモニウム塩基を有するポ
リマーにおいては、前記四級アンモニウム塩基を有する
ビニルモノマー成分が共重合体組成中5〜70モル%と
なるようにするのが好ましい。該四級アンモニウム塩基
を有するモノマー単位の割合が5モル%未満では、安定
な分散液を製造することが困難になるとともに、充分な
帯電防止効果が発現されないため好ましくない、70モ
ル%を超えてしまうと熱安定性の低下が見られ、溶融時
の流動性が悪くなるとともに、熱可塑性樹脂との相溶性
が悪くなり、適当な分散状態、分散形態をとれなくな
り、充分な帯電防止効果が発現されないため、成形直後
はもちろん経時的にも好ましくない。
【0020】なお、本発明の熱可塑性樹脂としてスチレ
ン系樹脂を使用する場合、前記共重合用ビニルモノマー
として、スチレン、メチルスチレン、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレー
ト、アクリロニトリルなどの疎水性ビニルモノマー成分
が共重合体組成中30〜95モル%となるようにするの
が好ましい。なお、前記多官能性ビニルモノマーを使用
する場合、その使用量は共重合体組成の5モル%以下と
なるようにするのが好ましい。5モル%を超えると、重
合中に分散液が不安定になり、全体がゲル化してしまう
場合がある。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用される
前記四級アンモニウム塩基を有するポリマーの合成にお
いては、溶媒として前記ビニルモノマー成分(A)を溶
解し、得られるポリマーを溶解させず、かつ重合不活性
な性質を有する溶媒(B)を使用する。具体的には、脂
肪族炭化水素、脂環式炭化水素系の飽和炭化水素系溶
媒、芳香族炭化水素系溶剤、疎水性のケトン系溶媒、エ
ステル系溶媒、ニトリル系溶媒などが使用でき、例え
ば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、nー
ノナン、n−デカン、n−ドデカン、イソオクタン、
2,2,3−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の飽和炭
化水素系溶媒;エチルベンゼン、テトラリン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケト
ン、2−ヘキサノン、2−ペンタノン、シクロヘキサノ
ン、メチルシクロヘキサノン等の疎水性のケトン系溶
媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢
酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペ
ンチル、2−エチルブチルアセテート、酢酸シクロヘキ
シル、プロピオン酸ブチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロ
ピル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、バレロニト
リル等のニトリル系溶媒が挙げられる。これらの溶媒
は、1種類を単独で使用することも、2種以上使用し
て、混合溶媒として使用する事もできる。これら溶媒
(B)の中でも飽和炭化水素系溶媒や芳香族炭化水素系
溶媒を含有してなるものが好ましい。
【0022】前記四級アンモニウム塩基を有するポリマ
ーの製造における四級化剤(C)としては各種公知の四
級化剤が使用できる。具体例としては、ジメチル硫酸、
ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸、p−
トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル
等のスルホン酸エステル、及びアルキルクロライド、ア
ルキルブロマイド、ベンジルクロライド等が挙げられ
る。これらの四級化剤の中でも、特にアルキル硫酸また
はアルキル硫酸エステルを使用した場合が、帯電防止性
の点から好ましい。これらの四級化剤(C)は、それら
四級化剤(C)が液状であれば直接添加して反応系を形
成させてもよく、あるいは四級化剤(C)を溶媒に溶解
させて添加して反応系を形成させてもよい。溶媒に溶解
させる場合に使用される溶媒は、不活性であり四級化剤
を溶解させるもの全てを使用することができるが、前記
溶媒(B)と均一に混合できるものが好ましい。なお、
本発明において、反応系とは、前記ビニルモノマー
(A)、前記溶媒(B),および四級化剤(C)を含有
してなる系をいう。
【0023】本発明の組成物中に配合される前記四級ア
ンモニウム塩基を有するポリマーは、前記ビニルモノマ
ー成分(A)中の三級アミノ基を有するビニルモノマー
における三級アミノ基を前記四級化剤(C)により四級
化しながら前記ビニルモノマー成分(A)を重合させる
ことにより得られる。ここで、四級化しながら重合させ
るとは、前記反応系において四級化反応および重合反応
を同一工程で進行させることをいい、通常、四級化反応
を行う時期において重合反応が未完了であればよい。こ
のような四級化しながら重合させる方法としては、
(1)前記ビニルモノマー成分(A)および前記四級化
剤(C)を全量添加して形成した反応系において四級化
反応および重合反応を同一工程で進行させる方法、
(2)反応系を形成させる際において、前記ビニルモノ
マー成分(A)および/または前記四級化剤(C)を段
階的または連続的に添加することにより、前記反応系を
形成させながら四級化反応および重合反応を進行させる
方法等が挙げられる。これらの中では(2)の方法が、
得られる四級アンモニウム塩基を有するポリマー粒子間
での凝集が起こりにくく、重合中の分散安定性および粒
子径を制御しやすい点で好ましい。
【0024】前記(2)の方法を採用した場合、原則と
して、前記ビニルモノマー成分(A)における三級アミ
ノ基を有するビニルモノマーを予め添加した場合は、前
記四級化剤(C)は段階的または連続的に当該成分に添
加して反応系を形成させるのが好ましく、前記四級化剤
(C)を予め添加した場合は、前記ビニルモノマー成分
(A)における三級アミノ基を有するモノマーを段階的
または連続的に当該成分に添加して反応系を形成させる
のが好ましい。具体的には、前記ビニルモノマー成分
(A)および前記溶媒(B)を予め含有してなる反応系
に対し、前記四級化剤(C)を段階的または連続的に添
加することにより反応系を形成させる方法、前記溶媒
(B)および前記四級化剤(C)を予め含有してなる反
応系に対し、前記ビニルモノマー成分(A)を段階的ま
たは連続的に添加することにより反応系を形成させる方
法、前記溶媒(B)を予め含有してなる反応系に対
し、前記ビニルモノマー成分(A)と四級化剤(C)を
段階的または連続的に添加することにより反応系を形成
させる方法などが例示できる。なお、前記及びの場
合において反応系を形成させる際に、前記共重合用ビニ
ルモノマーの一部または全部を予め含有させてもよい。
また、前記ビニルモノマー成分(A)および/また前記
四級化剤(C)を段階的または連続的に添加する具体的
な手段としては、特に限定されないが、滴下等により連
続して添加する手段、段階に分けて分割して添加する手
段等が例示できる。
【0025】なお、前記(2)の方法において、前記ビ
ニルモノマー成分(A)および/または前記四級化剤
(C)を添加して反応系を形成させる時期としては、通
常、重合条件下、すなわち重合開始剤の存在下、後述す
る重合温度に達してから滴下するのが好ましい。当該重
合条件下に前記ビニルモノマー成分(A)および/また
は四級化剤(C)を添加することにより、添加とともに
前記四級化反応及び重合反応を同一工程で進行させるこ
とができる。なお、重合開始剤としては特に限定されず
各種公知のものを使用できる。また、前記重合開始剤
は、通常、予め添加されるが、前記四級化剤(C)や前
記ビニルモノマー成分(A)と混合して段階的または連
続的に添加することもできる。また、前記(1)の方法
においては、通常、反応系を形成した後これを重合条件
下で反応させることにより、前記四級化反応および重合
反応を同一工程で進行させることができる。当該(1)
の場合においても重合開始剤の添加時期は特に限定され
ず、予め添加しておいてもよく、反応系と混合して添加
してもよく、反応系を形成した後に添加してもよい。
【0026】また、前記各重合方法により、若干各ビニ
ルモノマー成分の重合速度が異なるため、得られる共重
合体中の組成分布において差異が生じる。ここで共重合
体中の組成分布とは、重合中において、四級アンモニウ
ム塩基を有するビニルモノマーと共重合用ビニルモノマ
ー成分の濃度が変動するため、形成される共重合体の組
成が形成された時点によって少しずつ異なり、最終的に
は一定の分布幅を持って、組成の異なる共重合体が存在
していることを表している。本発明においては、対象と
なる熱可塑性樹脂や成形条件等に合わせて、最も効果が
発現されるように、前記重合方法から適宜選択される。
【0027】前記各合成方法における重合温度は重合開
始剤の種類によって異なり、特に限定されるものではな
いが、通常は30〜150℃の範囲である。重合時間は
通常、3〜15時間程度である。重合の進行とともに生
成してくる四級アンモニウム塩基を有するポリマーが、
溶媒に不溶となって粒子状態で析出してくる。なお、重
合の際の前記ビニルモノマー成分(A)の濃度は、通
常、1〜70重量%程度、好ましくは20〜60重量%
程度である。重合濃度が70重量%を超えると、分散状
態が悪くなり析出したポリマーが過度に凝集する場合が
あり、1重量%未満では工業的製造において意味を成さ
ない。
【0028】また、前記合成方法においては、必要に応
じて分散安定剤(D)を使用することができる。分散安
定剤(D)は重合の進行に伴って不溶化してくる四級ア
ンモニウム塩基を有するポリマーの反応系中における分
散性を向上させるものである。分散安定剤は、重合時に
使用する溶媒および得られる熱可塑性樹脂組成物の帯電
防止性能や機械的物性への影響等を考慮して適宜選択さ
れるが、特に重合中に形成される前記四級アンモニウム
塩基を有するポリマー粒子同士の凝集が起こりにくくす
る目的で、前記四級アンモニウム塩基を有するポリマー
粒子への親和性および吸着性が高く、使用する溶媒への
溶解性の高いものが好ましい。分散安定剤の添加時期と
しては特に限定されるものではないが、通常は、前記溶
媒(B)とともに予め添加する。
【0029】前記分散安定剤(D)としては、特に限定
されるものではなく、上記条件に適合するものであれば
問題なく使用できる。具体例としては、スチレン、α−
メチルスチレン、フルオロスチレン等の芳香族ビニル化
合物、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化
合物、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート等の(メタ)アクリル酸アミノアクリルエステル、
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒド
ロキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アク
リルアミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビ
ニルエステル類などの各種ビニルモノマーの1種単独か
らなる重合体または2種以上からなる共重合体;四級ア
ンモニウム塩基等のカチオン性を有するモノマーの単独
重合体または他のモノマーとの共重合体;ヒドロキシメ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセ
ルロース類;上記各種重合体または共重合体の末端に重
合性基を有するマクロモノマー類等が挙げられる。尚、
上記各種共重合体の組成としては、ランダム共重合体、
ブロック共重合体、グラフト共重合体いずれも適用でき
る。これらの分散安定剤(D)の中でも、ポリスチレン
系ポリマー(スチレンの単独重合体またはスチレンと前
記各種モノマーとの共重合体、スチレン系マクロモノマ
ー等)が好ましい。特に、スチレン系のマクロモノマー
を使用すると分散安定性が向上する点で好ましい。な
お、スチレン系マクロモノマーとは、スチレンの単独重
合体またはスチレンと前記各種ビニルモノマーとの共重
合体の重合末端に重合性基を有するものをいい、具体的
には、スチレンの単独重合体の末端に重合性基を有する
もの(市販品としては、東亜合成(株)製の商品名AS
−6が例示できる)や、スチレンおよびアクリロニトリ
ルの共重合体の末端に重合性基を有するもの(市販品と
しては、東亜合成(株)製の商品名AN−6が例示でき
る)等が挙げられる。また、これら分散安定剤(D)は
1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよ
い。また、これら分散安定剤(D)の使用量としては、
前記ビニルモノマー成分(A)に対して15重量%以下と
するのが望ましく、好ましくは10重量%以下である。
【0030】通常、本発明における四級アンモニウム塩
基を有するポリマーの重量平均分子量は、10000〜
1000000であり、好ましくは50000〜500
000である。重量平均分子量が10000より小さい
場合には、後述の熱可塑性樹脂中において適当な分散状
態、分散形態をとることができず、結果的に充分な帯電
防止効果を発揮することができない。一方、10000
00を超えると溶融時の粘度が高くなり過ぎ、同様に十
分な帯電防止効果が得られないため好ましくない。な
お、通常の分析条件ではカラム充填剤への吸着が起きて
しまうため、前記四級アンモニウム塩基を有するポリマ
ーの分子量をGPCで測定することはできない。しか
し、例えば酢酸緩衝液/アセトニトリル混合液を溶離液
として使用することにより吸着を抑えることで、平均分
子量をGPCにより測定することが可能となる。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される
前記四級アンモニウム塩基を有すポリマーは、単独粒子
もしくは粒子同士がある程度二次的に凝集した粒子の状
態で得られる。前記ポリマー粒子の粒子径は通常0.5
〜100μm、好ましくは50μm以下である。また、
共重合用ビニルモノマーとして多官能性のビニルモノマ
ーを併用した場合、同一条件の多官能性のビニルモノマ
ーを併用しない場合に比較してポリマー粒子径が小型化
する傾向にあり、通常10μm以下である。この四級ア
ンモニウム塩基を有するポリマー粒子は、分散液から溶
媒(B)を分離し、さらに乾燥を行うことにより粉体と
して得ることができる。なお、この四級アンモニウム塩
基を有するポリマー粒子を溶媒(B)から分離する方法
としては、遠心沈降させて上澄み液を取り除く方法や、
濾別法等の各種公知の方法を使用することができる。溶
媒から分離した前記四級アンモニウム塩基を有するポリ
マー粒子は、前記溶媒(B)等によって洗浄した後、粒
子の融着が誘発されず、変色、変質しない温度で乾燥さ
せることができる。本発明の四級アンモニウム塩基を有
するポリマーの溶融時の粘度は、モノマー組成や分子量
によっても大きく左右されるので粘度差の範囲を一概に
決定することはできないが、溶液均一重合法で製造した
同組成・同分子量の四級アンモニウム塩基を有するポリ
マーと比較すると、大幅に高くなる。さらに、両者の溶
媒に対する溶解性にも差異が見られることから、当該四
級アンモニウム塩基を有するポリマーは、粒子を形成す
る過程において部分的に分岐またはグラフト的構造が導
入されているものと考えられる。さらに、多官能性ビニ
ルモノマーを併用した場合は、ゲル架橋が起きていない
ものでも、得られるポリマー粒子が小型化するととも
に、溶融時の粘度も大幅に上昇することが認められてい
る。これらのことから、多官能性ビニルモノマーを併用
した場合は、多官能性ビニルモノマーに基く部分的架橋
・高分子量化を起こしているだけではなく、前記多官能
性ビニルモノマーを併用しない態様におけるものと同様
の分岐(またはグラフト化)もさらに起きているものと
思われる。このような構造的な効果により、本発明の四
級アンモニウム塩基を有するポリマーは、溶液均一重合
法等の通常の重合方法で製造した同組成・同分子量の四
級アンモニウム塩基を有するポリマーよりも有効に働
き、少量の添加により熱可塑性樹脂に帯電防止効果を付
与することが可能になるものと考えられる。
【0032】なお、前記四級アンモニウム塩基を有する
ポリマーの合成方法によると、四級化反応と重合反応を
同一工程で進行させることにより、(i)親水性または
疎水性にかかわらず幅広い組成の各種ビニルモノマーを
高い導入率で共重合してなる四級アンモニウム塩基を有
するポリマーを高収率で得ることが可能になった。特
に、従来困難であった疎水性ビニルモノマーが共重合さ
れてなる四級アンモニウム塩基を有する高分子量のポリ
マーであっても、高導入率で得ることが可能となった。
(ii)当該ポリマーの析出粒子の取り出し工程において
も、従来の溶液重合法のような加熱、溶媒除去工程が不
要となり、耐熱性が低い四級アンモニウム塩基を有する
ポリマーであっても、変色、変質、分解を起こさず、容
易に粒子状態で析出させ、これを溶媒と分離して粉体と
して取り出すことが可能となった。すなわち、四級アン
モニウム塩基を有するポリマーは、ポリマー側鎖の四級
アンモニウム塩基同士の会合がポリマー分子間で生じる
ため、アミノ基が四級化されていない同組成のポリマー
に比較して溶融時の粘度が著しく高くなり、ポリマーの
組成によっては、重合溶媒の除去および反応容器からの
ポリマーの取り出し操作を高温で長時間行う必要が生じ
る。しかも四級アンモニウム塩基は熱安定性に乏しいた
め、高温下での操作により、変色、分解、変質が起こり
やすいが、前記の重合方法の場合、そのような操作も必
要としない。(iii)さらに本発明では、四級化反応と
重合反応を同一工程で進行させるため、従来の合成方法
では別々に行っていた四級化工程と重合工程という合成
工程の簡略化が実現できる。例えば、逆相懸濁重合法で
は、通常、水系溶媒中で四級化反応を行うことが困難
で、四級化反応を特定の溶媒中で行った後、重合前にあ
らためてモノマー水溶液の調整が必要となるが、本発明
の四級アンモニウム塩基を有するポリマーの製造方法で
は四級化反応と重合反応において溶媒を変更する必要も
なくなり、合成時間の大幅な短縮を可能にした。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記の合
成方法により得られる四級アンモニウム塩基を有するポ
リマー0.5〜15重量%と熱可塑性樹脂99.5〜8
5重量%とで構成されるものである。前記四級アンモニ
ウム塩基を有するポリマーが0.5重量%未満では、充
分な帯電防止効果が発現されず、また、15重量%を超
えると熱可塑性樹脂の機械的物性を損い、コスト面から
も好ましくない。
【0034】前記熱可塑性樹脂としては、一般に成形用
として使用されているもの、例えばスチレン系樹脂、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリア
クリロニトリル、ポリアミド、ポリエステルエーテル、
ポリ塩化ビニル、ポリカーボナートなどを挙げることが
できる。中でもスチレン系樹脂が好ましい。これらの樹
脂は1種類のみならず、2種類以上を組み合わせて使用
してもよい。
【0035】前記スチレン系樹脂とは、スチレンの単一
重合体、ハイインパクトポリスチレン、メタクリル酸メ
チル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジ
エン/スチレン共重合体、アクリル酸ブチル/スチレン
共重合体、α−メチルスチレンまたはマレイミドを共重
合してなる耐熱性スチレン樹脂、さらには、アクリロニ
トリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジ
エン/スチレン共重合体、アクリロニトリル/アクリル
ゴム/スチレン共重合体、アクリロニトリル/スチレン
/塩素化エチレン共重合体、アクリロニトリル/スチレ
ン/エチレン−プロピレンゴム共重合体、アクリロニト
リル/スチレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体、α−
メチルスチレンまたはアレイミドを共重合してなる耐熱
性ABS樹脂等を含むスチレン/アクリロニトリル系共
重合体、スチレン/アクリロニトリル系共重合樹脂のス
チレン部分がα−メチルスチレンに置き換わったα−メ
チルスチレン/アクリロニトリル系共重合樹脂を挙げる
ことができる。
【0036】前記スチレン系樹脂は、重量平均分子量が
10000〜1000000、好ましくは50000〜
800000の範囲にあるものが、成形性に優れるので
好ましい。また、これらのスチレン系樹脂は単独でも、
2種以上を組み合わせてポリマーアロイとして用いても
良い。
【0037】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必
要により、熱可塑性樹脂に一般に添加される相溶化剤、
熱安定化剤、酸化防止剤、光安定化剤、滑剤、着色剤、
発泡剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、補強剤、充填剤等
を含有することができる。特に、帯電防止効果を効率よ
く発現させ、帯電防止剤の添加量を最小限に抑えるため
には、前記四級アンモニウム塩基を有するポリマーの組
成、分子量およびマトリックスとなる熱可塑性樹脂の種
類、成形条件等により適宜の相溶化剤を選択することが
重要となる。
【0038】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に
は、前記四級アンモニウム塩基を有するポリマー以外の
帯電防止剤を併用して、帯電防止効果を更に高めること
も可能である。併用することができる帯電防止剤として
は、界面活性剤タイプの一般に使用されているものを用
いることができ、例えば、アニオン系帯電防止剤、カチ
オン系帯電防止剤、両性帯電防止剤、ノニオン性帯電防
止剤を挙げることができる。特に、アルキルサルフェー
ト、アルキルアリルサルフェート、アルキルホスフェー
ト等のアニオン性界面活性剤タイプの帯電防止剤が好ま
しい。
【0039】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法と
しては、設備、添加時期、方法等に特に制限はなく、公
知の方法で前記熱可塑性樹脂に、前記の四級アンモニウ
ム塩基を有するポリマーを配合すればよい。例えば、単
軸押出機、二軸押出機、ニーダー等を用いて混練溶融す
ることにより得ることができる。
【0040】このようにして得られた本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、一般に熱可塑性樹脂組成物の成形のため
に用いられる公知の方法、例えば、射出成形、押出成
形、ブロー成形などの方法によって成形体に成形され
る。
【0041】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定の
溶媒の存在下で四級化反応と重合反応を同一工程で進行
させて得られる四級アンモニウム塩基を有するポリマー
を配合しているため、帯電防止性能が水洗や摩擦等によ
り容易に失われることがなく、永久的に帯電防止性を保
持することができる。さらに、少量添加でも高い帯電防
止効果が得られるため、機械的特性にも優れている。そ
のため本発明の熱可塑性樹脂組成物は、家庭用品から電
子・電気機器に至る広範囲な用途において、シート、フ
ィルム、成形物などとして好適に使用することができ
る。このように、本発明の四級アンモニウム塩基を有す
るポリマーが、溶液重合法等の通常の重合方法により得
られる重合体よりも優れた帯電防止効果を発揮できるの
かは明確ではないが、重合中に形成されるグラフト構造
の寄与とともに、前記共重合組成分布が効果的に作用し
ているものと考えられる。
【0042】
【実施例】以下に、実施例によって本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】合成例1 攪拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mlの反応容器に、スチレン5
0.0g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト50.3g、トルエン228.2g、ポリスチレン
(大日本インキ化学工業(株)製 商品名ディックエラス
チレン#200、重量平均分子量8万)7.6g、アゾ
ビスイソブチロニトリル0.66gを入れ、窒素雰囲気
下で30分以上攪拌、溶解させた。攪拌しながら30分
かけて75℃まで加温、この温度を保ちながらジエチル
硫酸51.8gを3時間かけて滴下し、滴下終了後、そ
の温度を保ちながら引き続き4時間重合を行い、分散液
を得た。得られた分散液を遠心分離処理、洗浄、減圧乾
燥することにより重量平均分子量が35.5万であり、
スチレン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
トジエチル硫酸四級化物=59.5/40.5(モル比)
の共重合比である共重合体を得た。
【0044】合成例2 攪拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mlの反応容器に、スチレン2
5.0g、ジエチル硫酸58.3g、トルエン225.
0g、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カル
ボニトリル)0.99g、窒素雰囲気下で30分以上攪
拌、溶解させた。攪拌しながら40分かけて100℃ま
で加温、この温度を保ちながらN,N−ジエチルアミノ
エチルメタクリレート66.7gを3時間かけて滴下
し、滴下終了後、その温度を保ちながら引き続き3時間
重合を行い、分散液を得た。得られた分散液を遠心分離
処理、洗浄、減圧乾燥することにより重量平均分子量が
16.5万であり、スチレン/N,N−ジエチルアミノ
エチルメタクリレートジエチル硫酸四級化物=41.1
/58.9(モル比)の共重合比からなる共重合体を粉
体として得た。
【0045】合成例3 攪拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mlの反応容器に、スチレン2
5.0g、n−ブチルアクリレート30.8g、ジエチ
ル硫酸51.8g、トルエン236.8g、1,1’−
アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.
66g、窒素雰囲気下で30分以上攪拌、溶解させた。
攪拌しながら40分かけて100℃まで加温、この温度
を保ちながらN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート50.3gを3時間かけて滴下し、滴下終了後、そ
の温度を保ちながら引き続き3時間重合を行い、分散液
を得た。得られた分散液を遠心分離処理、洗浄、減圧乾
燥することにより重量平均分子量が18.1万であり、
スチレン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
トジエチル硫酸四級化物/n−ブチルアクリレート=3
1.1/41.9/27.0(モル比)の共重合比から
なる共重合体を粉体として得た。
【0046】合成例4 攪拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mlの反応容器に、スチレン2
5.0g、n−ブチルアクリレート30.8g、ジメチ
ル硫酸42.4g、トルエン222.7g、1,1’−
アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.
66g、スチレン系マクロモノマー(東亜合成(株) 商
品名AS−6、重量平均分子量6000)7.4gを製
窒素雰囲気下で30分以上攪拌、溶解させた。攪拌しな
がら40分かけて100℃まで加温、この温度を保ちな
がらN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート5
0.3gを3時間かけて滴下し、滴下終了後、その温度
を保ちながら引き続き5時間重合を行い、分散液を得
た。得られた分散液を遠心分離処理、洗浄、減圧乾燥す
ることにより重量平均分子量が16.6万であり、スチ
レン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートジ
メチル硫酸四級化物/n−ブチルアクリレート=33.
1/41.8/25.1(モル比)の共重合比からなる
共重合体を粉体として得た。
【0047】合成例5 攪拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mlの反応容器に、スチレン2
5.0g、ジエチル硫酸38.9g、トルエン240.
9g、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カル
ボニトリル)0.66gを窒素雰囲気下で30分以上攪
拌、溶解させた。攪拌しながら40分かけて100℃ま
で加温、この温度を保ちながらN,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレート37.7gと2−エチルヘキシル
アクリレート59.0gとの混合液を4時間かけて滴下
し、滴下終了後、その温度を保ちながら引き続き3時間
重合を行い、分散液を得た。得られた分散液を遠心分離
処理、洗浄、減圧乾燥することにより重量平均分子量が
10.6万であり、スチレン/N,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレートジエチル硫酸四級化物/2−エチ
ルヘキシルアクリレート=30.9/31.3/37.
8(モル比)の共重合比からなる共重合体を粉体として
得た。
【0048】比較合成例1 攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mL反応容器に、スチレン40.
0g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート4
0.3g、キシレン82.5g、アゾビスイソブチロニ
トリル0.21gを入れ、攪拌、溶解させた後、窒素ガ
スを通じながら1時間かけて85℃まで加温し、この温
度を保ちながら2時間重合を行った。さらに、スチレン
40.0g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート40.3g、N,N−ジメチルホルムアミド64.
8g、アゾビスイソブチロニトリル0.21gの混合液
を2時間かけて滴下し、引き続き3時間重合を行い、3
級アミノ基を有するポリマーを合成した。次いで、ジエ
チル硫酸82.9gを3時間かけて滴下し、四級化を行
った。当該共重合体は直接重合溶媒を減圧除去すること
ができないので、重合液の一部を10%までN,N−ジ
メチルホルムアミドを加えて希釈し、次いで希釈した重
合液に対して10倍重量のテトラヒドロフラン中に攪拌
しながらゆっくり投入することによりポリマーを分離
し、ろ過、乾燥することにより重量平均分子量が13.
8万であり、スチレン/N,N−ジメチルアミノエチル
メタクリレートジエチル硫酸四級化物=59.9/4
0.1(モル比)の共重合比からなる共重合体を得た。
【0049】比較合成例2 攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mL反応容器に、スチレン15.
0g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート3
0.2g、n−ブチルアクリレート18.5g、キシレ
ン64.2g、N,N−ジメチルホルムアミド50.5
g、アゾビスイソブチロニトリル0.47gを入れ、攪
拌、溶解させた後、窒素ガスを通じながら1時間かけて
85℃まで加温し、この温度を保ちながら2時間重合を
行った。さらに、スチレン15.0g、N,N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート30.2g、n−ブチル
アクリレート18.5gの混合液を2時間かけて滴下
し、引き続き3時間重合を行い、3級アミノ基を有する
ポリマーを合成した。次いで、ジエチル硫酸62.2g
を3時間かけて滴下し、四級化を行った。当該共重合体
は直接重合溶媒を減圧除去することができないので、重
合液の一部を10%までN,N−ジメチルホルムアミド
を加えて希釈し、次いで希釈した重合液に対して10倍
重量のテトラヒドロフラン中に攪拌しながらゆっくり投
入することによりポリマーを分離し、ろ過、乾燥するこ
とにより重量平均分子量が13.5万であり、スチレン
/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートジエチ
ル硫酸四級化物/n−ブチルアクリレート=31.5/
40.5/28.0(モル比)の共重合比からなる共重
合体を得た。
【0050】比較合成例3 攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mlの反応容器に、スチレン45
g、シクロヘキサン197.3g、ポリスチレン(新日
鐵化学(株)製 商品名エスチレンGP−G32、重量
平均分子量20万)6.9g、アゾビスイソブチロニト
リル1.2gを仕込み、窒素雰囲気下で30分以上攪拌
させた。次いで攪拌しながら30分かけて80℃まで加
温、この温度を保ちながらN,N−ジメチルアミノエチ
ルメタクリレートのジエチル硫酸4級塩89.7gとイ
ソプロピルアルコール89.7gの混合液を90分かけ
て滴下し、滴下終了後、その温度を保ちながら5時間重
合を行った。得られるポリマー粒子はかなり凝集し、反
応容器への付着が起こったため、その後の濾別はかなり
困難であった。濾別後、シクロヘキサンで洗浄、次いで
減圧乾燥して、白色のポリマー粉体94.2g(収率7
0重量%)を得た。得られたポリマーの組成分析を行っ
たところ、スチレンユニットが全体の13モル%しか導
入されておらず、共重合がほとんど進行していなかった
ことが確認された。
【0051】合成例および比較合成例の合成条件等およ
び得られた四級アンモニウム塩基を有するポリマーの物
性を表1〜表4に示す。
【0052】熱可塑性樹脂と上記の合成例および比較合
成例で得られた四級アンモニウム塩基を有するポリマー
とを表5記載の割合で配合し、二軸押出機(ベルストル
フZE40A)を用いて溶融混練りを行い(シリンダー
設定温度210℃)、押出し、コールドカットすること
により、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
【0053】得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットを射
出成形機(クロックーF85)にて試験用板を作成し
た。成形機のシリンダー設定温度は210℃とし、金型
温度は60℃とした。
【0054】これらの試験用板を、70℃で24時間減
圧乾燥後、23℃、60%湿度の条件下で放置し、1日
後、1週間後の表面抵抗値を測定した。さらに水中に2
4時間浸漬後、ガーゼで表面を拭き、乾燥した表面の抵
抗値をメガオームメーター(アドバンテスト製 商品名
TR8601)を用いて、印加電圧500Vでの測定を
行った。測定結果を表6に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1中、St:スチレン、DM:N,N−
ジメチルアミノエチルメタクリレート、DE:N,N−
ジエチルアミノエチルメタクリレート、BA:ブチルア
クリレート、EHA:2−エチルヘキシリアクリレー
ト、DES:ジエチル硫酸、DMSジメチル硫酸、C
H:シクロヘキサン、PSt:ポリスチレン、AS−
6:スチレン系マクロモノマー(東亜合成(株)製,商
品名)、を示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2中、St:スチレン、DM:N,N−
ジメチルアミノエチルメタクリレート、DM・DES:
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのジエチ
ル硫酸4級塩、Xyl:キシレン、DMF:N,N−ジ
メチルホルムアミド、CH:シクロヘキサン、IPA:
イソプロピルアルアルコールを示す。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】表3、表4中、Mw:重量平均分子量、M
n:数平均分子量である。なお、表中〜は表1、表
2のビニルモノマーの〜の各モノマーに対応する。
(ただし、はそれぞれ四級化物である。)
【0062】
【表5】
【0063】表5中、HISP:ハイインパクトポリス
チレン(旭化成工業(株)製,商品名スタイロンEXZ
13)、ABS:アクリロニトリル/ブタジエン/スチ
レン共重合体(旭化成工業(株)製,商品名スタイラッ
ク)、DBSNa:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、を示す。
【0064】
【表6】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、Xは−(CH−(但し、nは2〜4の整
    数を示す)を示し、RとRはそれぞれ独立して炭素
    数1〜9のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示
    す)で表される三級アミノ基を有するビニルモノマーを
    含有してなるビニルモノマー成分(A)を原料として四
    級アンモニウム塩基を有するポリマーを製造する際に、
    溶媒として前記ビニルモノマー成分(A)を溶解し、得
    られる四級アンモニウム塩基を有するポリマーを溶解さ
    せず、かつ重合不活性な溶媒(B)を使用し、四級化剤
    (C)により前記ビニルモノマー成分(A)中の三級ア
    ミノ基を有するビニルモノマーにおける三級アミノ基を
    四級化しながら、前記ビニルモノマー成分(A)を重合
    させることにより得られる四級アンモニウム塩基を有す
    るポリマー0.5〜15重量%および熱可塑性樹脂9
    9.5〜85重量%を含有してなる熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記ビニルモノマー成分(A)が、前記
    三級アミノ基を有するビニルモノマーおよび/またはそ
    の四級化物に共重合しうるこれ以外のビニルモノマーを
    含有することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記三級アミノ基を有するビニルモノマ
    ーおよび/またはその四級化物に共重合しうるこれ以外
    のビニルモノマーが、多官能性ビニルモノマーを含有す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記四級アンモニウム塩基を有するポリ
    マーにおいて、四級アンモニウム塩基を有するビニルモ
    ノマー単位が共重合体組成中5〜70モル%であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記四級アンモニウム塩基を有するポリ
    マーの重量平均分子量が10000〜1000000で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物を成形してなる成形体。
JP5640199A 1998-03-17 1999-03-04 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 Pending JPH11323154A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5640199A JPH11323154A (ja) 1998-03-17 1999-03-04 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-89299 1998-03-17
JP8929998 1998-03-17
JP5640199A JPH11323154A (ja) 1998-03-17 1999-03-04 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11323154A true JPH11323154A (ja) 1999-11-26

Family

ID=26397352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5640199A Pending JPH11323154A (ja) 1998-03-17 1999-03-04 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11323154A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010126707A (ja) * 2008-12-01 2010-06-10 Soken Chem & Eng Co Ltd 光学部材用プロテクトフィルム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010126707A (ja) * 2008-12-01 2010-06-10 Soken Chem & Eng Co Ltd 光学部材用プロテクトフィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1847560A1 (en) Process for producing spherical polymer powder and spherical powder comprising (meth)acrylic block copolymer
US20130144013A1 (en) Process for Preparing High Impact Monovinylaromatic Polymers in the Presence of a Borane Complex
JP4508410B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物を成形してなるフィルムまたはシート
JP2004099898A (ja) つやのない表面を付与する熱可塑性組成物
JP2007246616A (ja) 粉末成形用樹脂組成物及び成形体
JPH11323154A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体
US7449521B2 (en) Acrylic elastomer composition
JP2000169659A (ja) エラストマー組成物およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物
US6034183A (en) Polymer having quaternary ammonium groups and process for the production thereof
JP4787452B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2004315608A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2524367B2 (ja) 残存ブタジエン含量を低滅させたabs成形用組成物
JP4477385B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4833529B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
CN107973878B (zh) 一种共聚物及其制备方法和应用以及共混材料
JP3543885B2 (ja) ポリスチレン樹脂組成物
JP2004315803A (ja) アクリル系重合体組成物
US6696525B2 (en) Process for producing polymer composition
KR20230096632A (ko) 폴리에테르아미드 블록 공중합체 및 이를 포함하는 열가소성 수지 조성물
JPH0347858A (ja) 低光沢成形品用熱可塑性樹脂組成物
JPH11349785A (ja) 制振材用樹脂組成物
JP2502840B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2004256743A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
JPH11315274A (ja) 塗布型帯電防止用組成物および表面帯電防止加工成形体
JPS6354425A (ja) ポリフエニレンエ−テル樹脂の変性方法