JPH11322925A - 可溶性ポリイミドおよびその製造法 - Google Patents

可溶性ポリイミドおよびその製造法

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JPH11322925A
JPH11322925A JP14139498A JP14139498A JPH11322925A JP H11322925 A JPH11322925 A JP H11322925A JP 14139498 A JP14139498 A JP 14139498A JP 14139498 A JP14139498 A JP 14139498A JP H11322925 A JPH11322925 A JP H11322925A
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JP
Japan
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bis
polyimide
aminophenoxy
dianhydride
formula
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JP14139498A
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English (en)
Inventor
Akinori Shiotani
陽則 塩谷
Masafumi Koda
政文 幸田
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性が高く有機溶媒に可溶である新規な可
溶性ポリイミドを提供する。 【解決手段】 2,3,3’,4’−ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物とα,ω−ビス(4−アミノフェノ
キシ)アルカン(ただし、アルカンの炭素数:3−1
2)とから得られるポリイミド、およびその製造法に関
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は新規なポリイミド
に関し、さらに詳しくは、この発明は有機溶媒に可溶で
成形加工性および耐熱性に優れたものであり、多層基板
用の層間絶縁膜や液晶配向膜、カラ−フィルタ−保護膜
などのコ−ティング用途などに使用されるポリイミドお
よびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは優れた耐熱性、耐溶剤性を
有するため、電気電子産業分野に広く使用されている。
しかし、優れた耐溶剤性を示すために、通常は前駆体で
あるポリアミド酸溶液を塗布し、高温加熱により脱水閉
環させることでポリイミドを得ている。そのため、加工
性の点において、決して優れているとはいえず、塗布に
より被覆する場合にも、高温での処理が必要となり、用
途が限定されている。
【0003】3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物を酸成分として用い、α,ω−ビス
(4−アミノフェノキシ)アルカンをジアミン成分に用
いたポリイミドがPolymer、36、1893(1
995)に報告されている。しかしながら、これらのポ
リイミドは結晶性、もしくは液晶性を示すため、高い融
点を持ち、加工性に優れているとはいえず、有機溶媒へ
の可溶性も、必ずしも満足できない。
【0004】3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸二無水物を酸成分として用い、α,ω−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)アルカンをジアミン成分に
用いたポリイミドがJ.M.S.PURE APPL.
CHEM.,A33(4),477(1996)、ある
いはHigh Perform. Polym.,
23(1995)に報告されている。しかしながら、
これらのポリイミドは結晶性であり、有機溶媒に対して
溶解性を示さない。
【0005】さらに、2,3,5−トリカルボキシシク
ロペンチル酢酸二無水物、もしくはピロメリット酸二無
水物を酸成分に用い、1,12−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ドデカンと、p−フェニレンジアミンもしくは
4,4’−ジアミノジフェニルメタンをジアミン成分に
用いたポリイミドが特開平8−114808号公報に開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明の課題は、耐
熱性を有し、かつ有機溶媒に可溶で加工性に優れたポリ
イミド、およびその製造法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
下記一般式(1)
【0008】
【化5】 (式中、Rは炭素数3〜12のアルカン基である。)で
示される繰り返し単位を有する可溶性ポリイミドに関す
る。また、この発明は、下記式(2)
【0009】
【化6】 で示される2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物またはその誘導体と下記式(3)
【0010】
【化7】 (式中、Rは前記と同じである。)で示されるα,ω−
ビス(4−アミノフェノキシ)アルカンとを重合、イミ
ド化させることを特徴とする下記一般式(1)
【0011】
【化8】 (式中、Rは前記と同じである。)で示される繰り返し
単位を有する可溶性ポリイミドの製造法に関する。
【0012】この発明においては、芳香族テトラカルボ
ン酸成分として、2,3,3’,4’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物またはその誘導体(酸、酸エステ
ル)を使用する。この発明のポリイミドの有機溶媒への
可溶性、加工性を損なわない範囲で他のテトラカルボン
酸二無水物を混合して用いることができる。使用される
テトラカルボン酸二無水物としては、エチレンテトラカ
ルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、
シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキ
サンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水
物、1, 1 -ビス ( 2, 3 -ジカルボキシフェニル )エタ
ン二無水物、ビス ( 2, 3 - ジカルボキシフェニル)メ
タン二無水物、ビス ( 3, 4 - ジカルボキシフェニル )
メタン二無水物、3,3', 4 , 4 '-ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、2, 2 -ビス(3, 4 -ジカルボキシフェ
ニル)プロパン二無水物、2, 2 -ビス(2, 3 -ジカルボ
キシフェニル)プロパン二無水物、2, 2 -ビス(3, 4 -
ジカルボキシフェニル)- 1, 1, 1, 3, 3, 3 -ヘキサフ
ルオロプロパン二無水物、2, 2 -ビス(2, 3 -ジカルボ
キシフェニル)- 1, 1, 1, 3, 3, 3 -ヘキサフルオロプ
ロパン二無水物、ビス(3, 4 -ジカルボキシフェニル)
スルホン二無水物、ビス(3, 4 -ジカルボキシフェニ
ル)エーテル二無水物、ビス(2, 3 -ジカルボキシフェ
ニル)エーテル二無水物、3, 3', 4, 4' -ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸二無水物、2, 2', 3, 3' -ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物、4, 4 - ( p -フェニ
レンジオキシ )ジフタル酸二無水物、4, 4 - ( m -フェ
ニレンジオキシ )ジフタル酸二無水物、1, 2, 5, 6 -ナ
フタレンジカルボン酸二無水物、1, 4, 5, 8 -ナフタレ
ンジカルボン酸二無水物、2, 3, 6, 7 -ナフタレンジカ
ルボン酸二無水物、1, 2, 3, 4 -ベンゼンテトラカルボ
ン酸二無水物、2, 2', 3, 3' -ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、3, 4, 9, 10 - ペリレンテトラカルボン
酸二無水物、2, 3, 6, 7 -アントラセンテトラカルボン
酸二無水物、1, 2, 7, 8 -フェナントレンテトラカルボ
ン酸二無水物などが挙げられる。これらのテトラカルボ
ン酸二無水物は単独あるいは二種以上混合して用いるこ
とができる。これら他のテトラカルボン酸二無水物の使
用割合は、全テトラカルボン酸成分中20モル%以内で
あることが好ましい。
【0013】また、この発明のポリイミドを構成するジ
アミン成分は、式(3)の一般式で示されるアルカンの
炭素数が3−12個のα,ω−ビス(4−アミノフェノ
キシ)アルカンである。これらのジアミンは、例えばp
−ニトロフェノ−ルとα,ω−ジブロモアルカンとを水
酸化カリウム存在下で縮合させて、α,ω−ビス(4−
ニトロフェノキシ)アルカンを合成し、次いでこれを、
例えばPd/C触媒存在下で水素還元することによって
得られる。例えば、1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタ
ン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、
1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,
8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−
ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス
(4−アミノフェノキシ)デカン、1,11−ビス(4
−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−ビス(4
−アミノフェノキシ)ドデカンなどが挙げられる。これ
らのα,ω−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン
は、単独あるいは二種以上混合して用いることができ
る。
【0014】さらに、この発明のポリイミドの有機溶媒
の可溶性、加工性を損なわない範囲で、他のジアミンを
混合して用いることができる。使用される他のジアミン
としては、例えば、ジアミノメタン、ジアミノエタン、
ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタ
ン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオ
クタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノウ
ンデカン、ジアミノドデカン、ジアミノシクロプロパ
ン、ビス(アミノメチル)シクロプロパン、ジアミノシ
クロブタン、ジアミノシクロペンタン、ジアミノシクロ
ヘキサン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビシ
クロヘキシルジアミン、2,2−ビス(3−アミノシク
ロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシク
ロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノ
シクロヘキシル)メタン、キシリレンジアミン、ジクロ
ロベンジジン、ジメチルベンジジン、ジメトキシベンジ
ジン、ジアミノジフェニルエ−テル、ジアミノジフェニ
ルスルフィド、ジアミノジフェニルスルホキシド、ジア
ミノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジ
アミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビ
ス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4
−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−
アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−
アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、
ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホ
ン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エ
−テル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕エ−テルなどが挙げられる。これらのジアミンは、
単独あるいは二種以上混合して用いることができる。ま
た、これらのジアミンの使用量は全ジアミンの20モル
%以下であることが好ましい。
【0015】上記テトラカルボン酸二無水物成分とジア
ミン成分の使用量は、テトラカルボン酸二無水物成分に
対してジアミン成分を、モル比で0.9〜1.1の範囲
内で使用することが好ましい。この範囲外でポリイミド
を製造した場合には、得られたポリイミドの機械的強度
が著しく低下する。特に0.95〜1.05の範囲内で
ポリイミドを製造することが望ましい。このとき、得ら
れるポリイミドの対数粘度(ηinh )は0.3〜2.0
の範囲内にあるものが望ましい。より好ましくは0.4
〜1.5の範囲内である。0.3未満であると、得られ
るポリイミドの機械的強度が著しく低下する。また、
2.0より大きいと、フィルム化が困難である。
【0016】また、ポリイミドを製造する際にジカルボ
ン酸無水物を混合して用いることができる。使用される
ジカルボン酸無水物としては、サクシン酸無水物、1, 2
-シクロペンタンジカルボン酸無水物、1, 2 -シクロヘ
キサンジカルボン酸無水物、無水フタル酸、2, 3 -ベン
ゾフェノンジカルボン酸無水物、3, 4 -ベンゾフェノン
ジカルボン酸無水物、2, 3 -ジカルボキシフェニルフェ
ニルエーテル無水物、3, 4 -ジカルボキシフェニルフェ
ニルエーテル無水物、2, 3 -ビフェニルジカルボン酸無
水物、3, 4 -ビフェニルジカルボン酸無水物、2, 3 -ジ
カルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3, 4 -ジ
カルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2, 3 -ジ
カルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3, 4 -
ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1, 2
-ナフタレンジカルボン酸無水物、2, 3 -ナフタレンジ
カルボン酸無水物、1, 8 -ナフタレンジカルボン酸無水
物、1, 2 -アントラセンジカルボン酸無水物、2, 3 -ア
ントラセンジカルボン酸無水物、1, 9 -アントラセンジ
カルボン酸無水物などが挙げられる。これらのジカルボ
ン酸無水物は、単独あるいは二種以上混合して用いるこ
とができる。また、これらのジカルボン酸無水物は、使
用するテトラカルボン酸二無水物に対して0.1〜5モ
ル%であることが好ましい。5モル%より多く使用した
場合には、生成するポリイミドの機械的強度が著しく低
下する。より好ましくは0.1〜1モル%の範囲内であ
る。
【0017】また、ポリイミドを製造する際にモノアミ
ンを混合して用いることができる。使用されるモノアミ
ンとしては、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシ
ルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミ
ン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シ
クロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、シクロノ
ニルアミン、シクロデシルアミン、シクロウンデシルア
ミン、シクロドデシルアミン、アミノビシクロヘキサ
ン、アニリン、トルイジン、キシリジン、クロロアニリ
ン、ブロモアニリン、ニトロアニリン、アニシジン、フ
ェネチジン、アミノベンツアルデヒド、アミノベンゾト
リフルオリド、アミノベンゾニトリル、アミノビフェニ
ル、アミノフェニルフェニルエーテル、アミノベンゾフ
ェノン、アミノフェニルフェニルスルフィド、アミノフ
ェニルフェニルスルホン、ナフチルアミン、アミノアン
トラセンなどが挙げられる。これらのモノアミンは、単
独あるいは二種以上混合して用いることができる。ま
た、これらのモノアミンは、使用するジアミン成分に対
して0.1〜5モル%であることが好ましい。5モル%
以上使用した場合には、生成するポリイミドの機械的強
度が著しく低下する。より好ましくは0.1〜1モル%
の範囲内である。
【0018】これらのテトラカルボン酸二無水物とジア
ミンを用いてポリイミドを製造する手段に特に制限はな
い。例えば、(a1)テトラカルボン酸二無水物とジアミ
ンを有機溶媒中で重合、加熱脱水、イミド化する方法、
(a2)テトラカルボン酸二無水物とジアミンを縮合触媒
存在下の有機溶媒中で化学閉環、イミド化する方法など
の公知の手法を用いることができる。この際に用いられ
る溶媒としては、N, N -ジメチルホルムアミド、 N, N
- ジメチルアセトアミド、 N, N - ジメチルメトキシア
セトアミド、N - メチル - 2-ピロリドン、1, 3 -ジメ
チル - 2 -イミダゾリジノン、カプロラクタム、N -メ
チルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、ジメチル
スルホン、スルホラン、テトラメチル尿素、ヘキサメチ
ルホスホルアミド、フェノール、クレゾール、キシレノ
ール、クロロフェノール、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、グライム、
ジグライム、トリグライムなどが挙げられる。これらの
溶媒は単独あるいは二種以上混合して用いることができ
る。溶媒の使用量に特に制限はないが、生成するポリイ
ミドの含量が5〜20重量%以下とするのが望ましい。
【0019】加熱によるイミド化は、通常80〜300
℃程度の温度で行う。化学閉環によるイミド化は室温〜
200℃で行い、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物な
どおよびピリジン、ピコリン、イミダゾール、キノリ
ン、トリエチルアミンなどのイミド化触媒を添加して反
応させる。イミド化触媒を単独で使用してもよい。イミ
ド化は通常常圧で行うが、加圧下もしくは減圧下で行う
こともできる。反応時間は1〜200時間である。この
ようにして得られたポリイミド溶液をそのまま使用して
もよく、あるいは貧溶媒中に投じてポリイミドを析出さ
せる。このとき用いられる貧溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、ジオ
キサン、テトラヒドロフランなどの溶媒が挙げられる。
これら貧溶媒の使用量に特に制限はないが、イミド化に
使用した溶媒量の5〜100倍程度が好ましい。さらに
好ましくは,20〜50倍程度である。イミド化に使用
した溶媒量の5倍未満の貧溶媒のもとでポリイミドを析
出させると、析出したポリイミド粉末から溶媒が完全に
は除去されない。溶媒の除去のためには,さらに多量の
貧溶媒を使用してもさしつかえない。析出したポリイミ
ド粉末は、ロ過、洗浄、乾燥を行う。
【0020】ポリイミド溶液あるいはポリイミド粉末か
ら、ポリイミド成形体を製造する製造方法に特に制限は
ない。例えば、(b1)ポリイミド溶液の流延塗布による
フィルムの製造、(b2)プレス成形によるフィルムおよ
びシートの製造、(b3)押出し成形によるフィルムおよ
びシートの製造、(b4)射出成形による成形体の製造、
など公知の製造法が適用できる。
【0021】また、流延塗布によりポリイミドフィルム
を作製するとき、(c1)ポリイミド粉末を再び溶媒に溶
解させ、ガラス板等の平滑な表面に塗布し、溶媒を蒸発
させてフィルムを得る方法、(c2)ポリイミド前駆体で
あるポリアミド酸溶液をガラス板等の平滑な表面に塗布
し、溶媒を蒸発させてイミド化させてフィルムを得る方
法、(c3)ポリイミド製造の際のポリイミド溶液を粉末
として析出させることなく、そのままガラス板等の平滑
な表面に塗布し、溶媒を蒸発させてフィルムを得る方
法、などの公知の方法を用いることができる。このとき
用いられる溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、
N, N - ジメチルアセトアミド、 N, N - ジメチルメト
キシアセトアミド、N - メチル - 2 -ピロリドン、1, 3
-ジメチル -2 -イミダゾリジノン、カプロラクタム、N
- メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルスルホン、スルホラン、テトラメチル尿素、ヘキ
サメチルホスホルアミド、フェノール、クレゾール、キ
シレノール、クロロフェノール、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グラ
イム、ジグライム、トリグライムなどが挙げられる。こ
れらの溶媒は単独あるいは二種以上混合して用いること
ができる。溶媒の使用量に特に制限はないが、作業上の
見地から生成するポリイミドが15〜25重量%である
ド−プとするのが望ましい。
【0022】これらのド−プを平滑な表面に流延塗布し
て薄膜として、室温から徐々に加熱することにより、ポ
リイミドフィルムを得ることができる。この時の加熱温
度に特に制限はないが、300℃までで十分である。ま
た、このポリイミドの製造は、通常,常圧で行われる
が、減圧下で行ってもかまわない。このようにして得ら
れるポリイミドは有機溶媒に可溶で成形加工性に優れ、
さらに耐熱性に優れたものであり、多層基板の接着剤、
液晶配向膜、カラーフィルター保護膜などのコーティン
グ用途などの使用される。得られるポリイミドフィルム
(あるいは膜、肉厚成形体)は引張強度が700〜90
0kg/cm2 と十分高く、実用に供しうる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により、本発明のポリイミドの
製造およびそのフィルムの製造法について詳細説明す
る。なお、モノマ−の融点はセイコ−インスツルメンツ
株式会社製SSC5200RDSC220Cを用いて、
窒素中10℃/分の昇温速度でDSCを測定し、吸熱ピ
−クの頂点から決定した。実施例中の、対数粘度(ηi
nh)、ガラス転移温度(Tg)、5%重量減少温度
(Td5%)および機械的強度についての評価は、次のよ
うに行った。得られたポリイミドの対数粘度(ηin
h)は30℃の0.5g/dLのm−クレゾ−ル溶液に
おいて、ポリアミック酸の対数粘度(ηinh)は30
℃の0.5g/dLの N, N - ジメチルアセトアミド
(DMAc)溶液において、下記式により求めた。 ηinh=〔ln(T1 /T0 )〕/C T1 : 溶液の落下時間 (sec) T0:溶媒の落下時間 (sec) C: 溶液のポリマー濃度 (g/dL) 得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg)
は、セイコ−インスツルメンツ株式会社製SSC520
0 RDSC220Cより、窒素中10℃/分の昇温速
度で測定した。得られたポリイミドフィルムの5%重量
減少温度(Td5%)は、セイコ−インスツルメンツ株式
会社製SSC5200 TG/DTA 320により、
窒素中10℃/分の昇温速度で測定した。得られたポリ
イミドフィルムの機械的強度は、幅4mmのサンプルを
用い、オリエンテック社製テンシロン AR6000シ
リーズ、万能引張試験機UTM−II−20、フラット
タイプ自動平衡式記録計R−840を用い、チャック間
30mm、引張速度2mm/分の条件で測定した。
【0024】合成例1 窒素置換した四つ口フラスコに、撹拌機、窒素導入管、
水分離器付きの還流冷却器、共栓を取り付け、p−ニト
ロフェノ−ル(p−NP)33.32g(239.5m
mol)、水酸化カリウム(KOH)13.41g(2
39.0mmol)、ジメチルスルホキシド(DMS
O)60ml、トルエン60mlを入れた。100℃に
加温し、均一溶液とした後、1時間かけて180℃に昇
温し、180℃で15分間保持し、トルエンと共沸する
水を留去した後、トルエンも留去し、室温まで冷却し
た。留去した水の量は4.3mlであった。四つ口フラ
スコから水分離器および共栓をはずし、共栓部には滴下
ロ−トを取り付けた。滴下ロ−トに1,5−ジブロモペ
ンタン(DBrPe)26.90g(117.0mmo
l)を入れ、室温で1時間かけてDBrPeを滴下し
た。滴下終了後、反応溶液を60℃まで昇温し、2時間
反応した後、150℃まで1時間かけて昇温し、150
℃で1時間保持した。反応終了後、反応溶液を室温まで
冷却し、水1000ml中に投入した。析出物を濾過
し、水で十分洗浄した後、メタノ−ル200mlで再び
洗浄し、DMSO40mlから再結晶した。この再結晶
物を還流下のトルエン中において活性炭処理した後、再
びDMSO34mlから再結晶した。濾過し120℃で
3時間真空乾燥して、21.45g(52.94%)の
黄色い針状結晶を得た。この1,5−ビス(4−ニトロ
フェノキシ)ペンタン(BPNPe)の元素分析結果を
次に示す。この結晶の融点は98.5℃であった。 計算値 C:59.0 H:5.2 N:8.1 実測値 C:59.1 H:5.4 N:8.1
【0025】合成例2−5 1,5−ジブロモペンタン(DBrPe)に代えて、
1,3−ジブロモプロパン(DBrP)、1,9−ジブ
ロモノナン(DBrN)、1,10−ジブロモデカン
(DBrD)、あるいは1,12−ジブロモドデカン
(DBrDo)を用いて、合成例1に準拠して、それぞ
れ、α,ω−ビス(4−ニトロフェノキシ)アルカン
(BPNR)を合成した。その結果を表1に示す。
【0026】合成例6 300mlオ−トクレ−ブのガラス製内筒管に、合成例
1において合成した1,5−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ペンタン(BPNPe)20.02g(57.81
mmol)、触媒の5%Pd/C2.46g、テトラヒ
ドロフラン(THF)50mlを入れた後、水素置換し
た。水素69kg/cm2 に加圧した。オ−トクレ−ブ
を100℃に加温し、4時間反応した。反応終了後、P
d/Cを濾別した後、エバポレ−タ−により濾液からT
HFを留去した。残った固形分をエタノ−ル40mlか
ら再結晶した。再結晶物を濾過し、60℃で6時間真空
乾燥して15.56g(94.00%)の黄色い針状結
晶を得た。この1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)
ペンタン(BPAPe)の元素分析結果を次に示す。こ
の結晶の融点は74.5℃であった。 計算値 C:71.3 H:7.7 N:9.8 実測値 C:71.3 H:7.8 N:9.8
【0027】合成例7−10 1,5−ビス(4−ニトロフェノキシ)ペンタン(BP
NPe)に代えて、1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)プロパン(BPNP)、1,9−ビス(4−ニトロ
フェノキシ)ノナン(BPNN)、1,10−ビス(4
−ニトロフェノキシ)デカン(BPND)または1,1
2−ビス(4−アミノフェノキシ)ドデカン(BPND
o)を用いて、合成例6に準拠して対応のα,ω−ビス
(4−アミノフェノキシ)アルカン(BPAR)を合成
した。その結果を表2に示す。
【0028】実施例1 窒素置換した三つ口フラスコに、攪拌機、窒素導入管、
還流管を取り付け、合成例6で得た1,5−ビス(4−
アミノフェノキシ)ペンタン(BPAPe)0.526
g(1.84mmol)とm−クレゾ−ル5mlを入
れ、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物(a−BPDA)0.540g(1.84mm
ol)を加え、200℃で6時間反応し、粘稠なポリイ
ミド溶液を得た。反応終了後、得られたポリイミド溶液
を、激しく攪拌している500mlのメタノ−ル中に投
入し、黄色の粉末を析出させた。この黄色粉末を濾別
後、120℃で3時間真空乾燥して、0.92g(収率
92.0%)のポリイミド粉末を得た。このポリイミド
粉末の対数粘度(ηinh)は0.828dL/gであ
った。
【0029】実施例2 窒素置換した三つ口フラスコに、攪拌機、窒素導入管、
還流管を取り付け、合成例6で得た1,5−ビス(4−
アミノフェノキシ)ペンタン(BPAPe)1.052
g(3.67mmol)とN,N−ジメチルアセトアミ
ド(DMAc)13mlを入れ、均一溶液とした後、前
記の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物(a−BPDA)1.081g(3.67mm
ol)を加え、室温で2時間反応し、粘稠なポリアミッ
ク酸溶液を得た。反応終了後、得られたポリアミック酸
溶液から1.225gを分取し、DMAcで25mlに
希釈し、粘度を測定した。合成したポリアミック酸の対
数粘度(ηinh)は1.142であった。得られたポ
リアミック酸溶液を濾過し、洗浄したガラス板に225
μmの厚さに塗布した。このガラス板を40℃で20分
間予熱した後、200℃まで45分かけて昇温し、20
0℃で30分間乾燥、イミド化した。このガラス板を水
中に浸漬することによりポリイミドフィルムを剥離し、
厚さ24μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポ
リイミドフィルムは、Tgが208.4℃、Td5%が4
54℃、降伏強度が770kg/cm2 、破断強度が7
00kg/cm2 、伸びが71%、初期弾性率が167
00kg/cm2 であった。
【0030】実施例3−6 1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン(BP
APe)に代えて、1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)プロパン(BPAP)、1,9−ビス(4−アミノ
フェノキシ)ノナン(BPAN)、1,10−ビス(4
−アミノフェノキシ)デカン(BPAD)あるいは1,
12−ビス(4−アミノフェノキシ)ドデカン(BPA
Do)を用いて、実施例2と同様にして、ポリアミック
酸溶液、およびポリイミドフィルムを得た。また、得ら
れたポリアミック酸溶液の粘度、ポリイミドフィルムの
物性について評価した。これらの測定結果、評価結果を
まとめて表3及び4に示す。なお、上記の各実施例で合
成したポリイミドはすべてm−クレゾ−ルに溶解した
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】この発明によれば、耐熱性を有し、溶媒
可溶性のポリイミドを提供することができる。
【0036】また、この発明の方法によれば、簡単な操
作で、前記のポリイミドを製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、Rは炭素数3〜12のアルカン基である。)で
    示される繰り返し単位を有する可溶性ポリイミド。
  2. 【請求項2】 下記式(2) 【化2】 で示される2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカル
    ボン酸二無水物またはその誘導体と下記式(3) 【化3】 (式中、Rは前記と同じである。)で示されるα,ω−
    ビス(4−アミノフェノキシ)アルカンとを重合、イミ
    ド化させることを特徴とする下記一般式(1) 【化4】 (式中、Rは前記と同じである。)で示される繰り返し
    単位を有する可溶性ポリイミドの製造法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008101068A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Toyobo Co Ltd ポリイミド系樹脂およびそれを用いたフレキシブル配線板
JP5246983B2 (ja) * 2000-03-13 2013-07-24 三井化学株式会社 ポリイミドの製造方法
JP2014040503A (ja) * 2012-08-21 2014-03-06 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd ポリイミド樹脂の製造方法、ポリイミド膜の製造方法、ポリアミック酸溶液の製造方法、ポリイミド膜、及びポリアミック酸溶液
JP2017119889A (ja) * 2017-04-10 2017-07-06 東京応化工業株式会社 ポリイミド樹脂の製造方法、ポリイミド膜の製造方法、ポリアミック酸溶液の製造方法、ポリイミド膜、及びポリアミック酸溶液

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