JPH11322515A - コンタクトレンズ用液剤 - Google Patents

コンタクトレンズ用液剤

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JPH11322515A
JPH11322515A JP10124815A JP12481598A JPH11322515A JP H11322515 A JPH11322515 A JP H11322515A JP 10124815 A JP10124815 A JP 10124815A JP 12481598 A JP12481598 A JP 12481598A JP H11322515 A JPH11322515 A JP H11322515A
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JP
Japan
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contact lens
solution
contact lenses
derivative
acid
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JP10124815A
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English (en)
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Akira Tsuzuki
章 都築
Hiroshi Matano
浩 亦野
Shiyuuko Nakamura
周子 中村
Rieko Sakai
利江子 酒井
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Menicon Co Ltd
Original Assignee
Menicon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 殺菌剤をより低濃度で用いることにより、眼
に対する安全性を高めると同時に、優れた殺菌効力乃至
は防腐効力を発揮せしめることが出来るコンタクトレン
ズ用液剤を提供すること。 【解決手段】 水性媒体中に、少なくとも、ビグアニド
誘導体からなる高分子殺菌剤と共に、所定のアミノスル
ホン酸誘導体を含有せしめて、目的とするコンタクトレ
ンズ用液剤とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、コンタクトレンズ用液剤の改良
に係り、特に、優れた殺菌効果乃至は防腐効果を発揮す
ると共に、眼に対する安全性をも充分に高めたコンタク
トレンズ用液剤に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、コンタクトレンズは、非含水性
コンタクトレンズと含水性コンタクトレンズとに分類さ
れたり、また、ハードコンタクトレンズとソフトコンタ
クトレンズとに分類されたりしている。而して、それら
の何れのコンタクトレンズにおいても、その装用によっ
て、涙液に由来する、蛋白質や眼脂等の汚れがコンタク
トレンズに付着することがあり、そして、そのような汚
れが付いた場合には、装用感の悪化や視力の低下、更に
は結膜充血等の眼障害が惹起されたりするようになる。
【0003】従って、かかるコンタクトレンズを安全に
且つ快適に装用するためには、毎日の取扱いの中で、眼
からコンタクトレンズを取り外した際に、コンタクトレ
ンズに対して、洗浄処理を行なうことが必要となる。ま
た、そのような洗浄処理の他にも、保存中のコンタクト
レンズに対する、細菌等の微生物やカビ等による汚染を
防ぐために、眼から外したコンタクトレンズに対して消
毒処理を施し、更に、次に装用するまでの間、コンタク
トレンズを適当な溶液中に保存することが必要となる。
そして、そのようなコンタクトレンズに対する洗浄、消
毒、保存の処理は、コンタクトレンズを安全に装用する
うえにおいて、必要不可欠な処理となっているのであ
る。
【0004】しかしながら、これらのコンタクトレンズ
に対する洗浄、消毒、保存に係る手入れの作業は極めて
煩雑なものであり、しかも、その手入れの為には、洗浄
液、消毒液、保存液等、数種の液剤を揃えなければなら
ず、コンタクトレンズの使用や維持にかかる手間やコス
トは、コンタクトレンズの使用者にとって、大きな負担
となるものであった。
【0005】そこで、上記のような問題を解決するもの
として、今日、コンタクトレンズの維持に必要な処理
(洗浄、消毒、保存)を1種類の液剤にて行なうことの
出来る多目的なコンタクトレンズ用液剤が、海外や国内
にて市販されるに至っている。つまり、それらのコンタ
クトレンズ用液剤は、保存液中に、界面活性剤や殺菌剤
が添加されてなるものであり、そのような液剤1本で、
コンタクトレンズの洗浄処理、消毒処理、及び保存の全
てを行なうことが出来るようになっている。
【0006】そして、そのようなコンタクトレンズ用液
剤においては、それに添加される殺菌剤成分として、従
来より、各種の化合物が検討されてきているが、それら
化合物は、何れも、実用的に高い殺菌特性を得るには、
高濃度で用いる必要があったのである。例えば、近年、
殺菌剤成分として、高分子の有機窒素系殺菌剤の一種た
る、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)にて代
表されるビグアニド誘導体が、他の殺菌剤成分に比して
特に有用な殺菌特性を有するところから、注目を受けて
いるが、このビグアニド誘導体でも、それのみでは、充
分な殺菌効力や防腐効力が得られないことが分かってき
ている。このため、実用上の要求を満たすには、かかる
ビグアニド誘導体の使用量を増大せしめる必要がある
が、その高い濃度のものでは、毒性が強く、眼の粘膜等
に対して刺激を与え、炎症を惹起する恐れがあるところ
から、安全性の面で問題が生じることとなり、そのた
め、ビグアニド誘導体にあっても、コンタクトレンズ用
液剤への添加に際しては、より少ない含有量で、より高
い殺菌効力が得られるように、検討されている。
【0007】例えば、特開平6−321715号公報に
おいては、高い水準の抗菌活性を有しながら、眼に対し
ては低い毒性であるコンタクトレンズの消毒保存用溶液
として、ビグアニド誘導体を、ホウ酸緩衝剤と共に用い
ることが、提案されており、また特表平6−50404
4号公報においては、優れた消毒性を有しながら、実質
的に刺激性がないコンタクトレンズの消毒用組成物とし
て、ビグアニド誘導体をトリス緩衝剤と共に用いること
が、提案されている。しかしながら、これらのコンタク
トレンズ用液剤の殺菌効力は、何れも充分であるとは言
えなかったのである。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景として為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、殺菌剤としてビグアニド誘導体からなる高分子
殺菌剤を使用するに際し、かかる高分子殺菌剤の添加量
を増やさずに眼に対するより高い安全性を確保しつつ、
優れた殺菌効力乃至は防腐効力を発揮せしめることが出
来るコンタクトレンズ用液剤を提供することにある。
【0009】
【解決手段】そこで、本発明者等が、上記の課題を解決
すべく鋭意研究を重ねた結果、殺菌成分としてビグアニ
ド誘導体からなる高分子殺菌剤を使用し、これに、更
に、特定のアミノスルホン酸誘導体を組み合わせること
によって、かかる高分子殺菌剤の抗菌力が効果的に増強
され、それによって、殺菌剤の添加量を、従来よりも遙
かに低濃度に抑えたものであっても、充分な消毒作用が
発揮され得ることを見出して、本発明を完成するに至っ
たのである。
【0010】すなわち、本発明は、そのようなコンタク
トレンズ用液剤に係る発明として、水性媒体中に、少な
くとも、ビグアニド誘導体からなる高分子殺菌剤と共
に、下記化5、化6、化7の何れかで示される化合物の
中から選ばれた少なくとも1種のアミノスルホン酸誘導
体を含有せしめてなることを特徴とするコンタクトレン
ズ用液剤を、その要旨とするものである。
【0011】
【化5】
【化6】
【化7】 〔但し、上記化5〜化7において、Aは−(CH2 m
−[C(OH)H]n−(CH2 p −SO3 M(m、
n及びpは、それぞれ独立して、0〜5の整数を示し、
Mは、水素原子若しくは1価のカチオンを示す)であ
り、R1及びR3 は、それぞれ独立して、水素原子、フ
ェニル基、−(CH2 q −OH(qは1〜5の整数を
示す)、−CH2 −CONH2 、または−C(CH2
H)3 であり、R2 は、−(CH2 r −OH(rは1
〜5の整数を示す)である。〕
【0012】そして、このような本発明に従うコンタク
トレンズ用液剤にあっては、殺菌剤たるビグアニド誘導
体からなる高分子殺菌剤の抗菌力が、特定のアミノスル
ホン酸誘導体との併用にて、効果的に増強されることに
よって、従来のコンタクトレンズ用液剤と同程度の殺菌
効果乃至は防腐効果を発揮させるために必要とされる殺
菌剤の濃度を、より低く抑えることが出来るところか
ら、有利に殺菌剤の添加量を低減することが出来るので
あり、以て眼に対する安全性が、より一層、高められ得
ることとなるのである。
【0013】なお、かかる本発明に従うコンタクトレン
ズ用液剤の好ましい態様によれば、前記ビグアニド誘導
体からなる高分子殺菌剤は、前記水性媒体中に0.01
ppm〜10重量%の割合において含有せしめられ、ま
た前記特定のアミノスルホン酸誘導体は、前記水性媒体
中に0.001〜10w/v%の割合において含有せし
められる。
【0014】また、かかる本発明に従うコンタクトレン
ズ用液剤にあっては、有利には、界面活性剤及び/又は
水溶性のカチオン性ポリマーが、更に添加、含有せしめ
られることとなる。そのような界面活性剤の添加によっ
て、コンタクトレンズ用液剤には、有効な洗浄効果が付
与され、また、水溶性カチオン性ポリマーの添加によっ
て、相乗的な殺菌効果乃至は防腐効果が発揮せしめられ
るようになるからである。なお、そのような界面活性剤
としては、特に、ノニオン系界面活性剤が有利に用いら
れ、また水溶性カチオン性ポリマーとしては、カチオン
化セルロース誘導体が有利に用いられることとなるので
あり、更に、それら界面活性剤や水溶性カチオン性ポリ
マーの添加含有量としては、一般に、前記水性媒体中
に、前者が0.0001〜10w/v%程度の割合にお
いて、また、後者が0.01〜20w/v%程度の割合
において含有せしめられることとなる。
【0015】さらに、本発明においては、前記アミノス
ルホン酸誘導体として、一般に、アミノエタンスルホン
酸誘導体またはアミノプロパンスルホン酸誘導体から選
ばれるグッド緩衝剤が、有利に用いられ得るものであ
り、また、前記ビグアニド誘導体としても、下記化8で
示される繰り返し単位を含む、眼科的に許容されるビグ
アニド誘導体が、好適に用いられることとなる。
【0016】
【化8】 〔但し、Zは、ポリマー全体を通じて同一若しくは異な
る、2価の有機基を表し、fは、3以上の整数を表
す。〕
【0017】加えて、本発明の別の好ましい態様の一つ
によれば、本発明に従うコンタクトレンズ用液剤には、
キレート化剤及び等張化剤のうち、少なくとも1種が、
更に含有せしめられることとなるのであり、これらの成
分が添加、含有せしめられることにより、かかるコンタ
クトレンズ用液剤に対して所望の効果が付与されること
となる。因みに、キレート化剤を含有せしめれば、キレ
ート効果が与えられて、金属イオンによる悪影響からコ
ンタクトレンズを保護し得るのであり、また、等張化剤
の含有によって、かかる液剤の張度が涙液と略同等とな
るように調整されて、眼刺激が生じないようにされるの
である。
【0018】
【発明の実施の形態】要するに、本発明は、水を主体と
し、その中に、ビグアニド誘導体からなる高分子殺菌剤
と共に、前記化5〜化7にて示される特定のアミノスル
ホン酸誘導体をも含有せしめることにより、相乗的な殺
菌効果乃至は防腐効果を発揮せしめるようにしたもので
あり、また、そのような相乗的な殺菌効果乃至は防腐効
果を利用して、コンタクトレンズの消毒処理をより簡便
に行ない得る、有用なコンタクトレンズ用液剤を提供し
たものである。
【0019】ところで、かかる本発明に従うコンタクト
レンズ用液剤の基本構成成分の一つたる高分子殺菌剤
は、ビグアニド誘導体からなるものであるが、それは、
公知のものであって、各種の形態において市販も為され
ており、それ故に、本発明においては、そのような市販
品の中から、適宜に選択され、用いられることとなる。
そして、その使用濃度範囲は、通常、0.01ppm〜
10重量%程度であるが、中でも、好ましくは0.1p
pm〜1.0重量%、更に好ましくは0.1ppm〜
0.5重量%の範囲で用いられることにより、特に有効
な殺菌効果乃至は防腐効果を示すこととなる。けだし、
かかる高分子殺菌剤の濃度が0.01ppmよりも低い
場合には、目的とするコンタクトレンズに対して充分な
殺菌効果乃至は防腐効果が得られないからであり、また
10重量%よりも高い場合には、かかる成分を添加する
割には効果の向上が期待出来ないばかりでなく、コンタ
クトレンズ表面への吸着等によって人体に対して悪影響
を及ぼす等、安全性の面で問題が生じてくる恐れがある
からである。
【0020】なお、前記ビグアニド誘導体としては、眼
科的に許容され得るものであれば、殺菌剤として公知の
如何なるものをも使用することが出来、例えば、下記化
9にて示される、眼科的に許容されるビグアニド誘導体
を挙げることが出来る。
【0021】
【化9】 〔但し、Zは、ポリマー全体を通じて、同一若しくは異
なる、2価の有機基を表し、fは、3以上の整数を表わ
す〕
【0022】そして、このような化9にて示されるビグ
アニド誘導体のうちの具体的な一つとして、下記化10
で示されるビグアニド誘導体を挙げることが出来、ま
た、その中でも、下記化11で示されるビグアニド誘導
体が有利に用いられることとなるのである。
【0023】
【化10】 〔但し、X、Yは、それぞれ独立して、炭素数2〜18
のポリメチレン基又はポリオキシアルキレン基を表わ
し、gは、3以上の整数を表わす〕
【0024】
【化11】 〔但し、hは、2〜4の整数を表わし、kは、1〜50
0の整数を表わす〕
【0025】本発明においては、上記のビグアニド誘導
体として、ポリヘキサメチレンビグアニド(以下、PH
MBという)が特に好適に用いられるのであるが、その
ようなPHMBを殺菌成分として選択して使用する場合
には、その使用量は比較的少量でよく、一般に0.01
〜100ppm程度、好ましくは0.1〜10ppm程
度、より好ましくは0.5〜5ppm程度とされるので
ある。
【0026】また、本発明に従うコンタクトレンズ用液
剤の基本構成成分の他の一つである前記化5、化6、化
7の何れかで示される化合物にて構成されるアミノスル
ホン酸誘導体は、コンタクトレンズ用液剤を所定のpH
(通常は7付近)に安定させる緩衝作用等を発揮するも
のであると共に、上記のビグアニド誘導体からなる高分
子殺菌剤との併用により、コンタクトレンズ用液剤に、
相乗的に高められた殺菌効果乃至は防腐効果を付与する
ものであり、その使用量としては、水性媒体(コンタク
トレンズ用液剤)中において、一般に0.001〜10
w/v%程度、好ましくは0.01〜2w/v%程度と
される。けだし、そのようなアミノスルホン酸誘導体の
含有量が少なくなり過ぎると、それを使用する効果が充
分に発揮出来なくなるからであり、また、含有量を多く
し過ぎても、その添加効果には、有意な差が生じないこ
とに加えて、却って浸透圧を上昇せしめることによっ
て、レンズ形状に影響を与える恐れが生じるからであ
る。
【0027】具体的には、上記化5〜化7にて示される
アミノスルホン酸誘導体としては、眼科的に許容される
ものであれば、基本的に如何なるものでも使用可能であ
り、代表的には、アミノエタンスルホン酸誘導体やアミ
ノプロパンスルホン酸誘導体等のアミノアルカンスルホ
ン酸類(塩形態のものをも含む)があるが、本発明にあ
っては、前記アミノスルホン酸誘導体が、アミノエタン
スルホン酸誘導体またはアミノプロパンスルホン酸誘導
体から選ばれるグッド緩衝剤が有利に用いられることと
なる。そして、そのようなアミノエタンスルホン酸誘導
体としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−
2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス
(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホ
ン酸(TES)、2−(4−(2−ヒドロキシエチル)
−1−ピペラジニル)エタンスルホン酸、N−(2−ア
セトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、N−シク
ロヘキシル−3−アミノエタンスルホン酸、2−モルホ
リノエタンスルホン酸、ピペラジン−1,4−ビス(2
−エタンスルホン酸)や、これらのNa塩等の1価のカ
チオンの塩を挙げることが出来、また、アミノプロパン
スルホン酸誘導体としては、3−(N−モルホリノ)プ
ロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メ
チル−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン
酸、3−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミ
ノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス
(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスル
ホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスル
ホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−ア
ミノプロパンスルホン酸、3−(4−(2−ヒドロキシ
エチル)−1−ピペラジニル)プロパンスルホン酸、2
−ヒドロキシ−3−(4−(2−ヒドロキシエチル)−
1−ピペラジニル)プロパンスルホン酸モノハイドレー
ト、2−モルホリノプロパンスルホン酸、2−ヒドロキ
シ−3−モルホリノプロパンスルホン酸、2−ヒドロキ
シ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミ
ノプロパンスルホン酸や、それらのNa塩等の1価のカ
チオンの塩等を挙げることが出来る。そして、これらの
中でも、特に、前記BESやTESが、好適に用いられ
ることとなる。
【0028】このように、本発明に従うコンタクトレン
ズ用液剤においては、上記のビグアニド誘導体からなる
高分子殺菌剤と共に、特定のアミノスルホン酸誘導体が
含有せしめられ、それによって、所期の殺菌効果乃至は
防腐効果が発揮せしめられるようにされるのであるが、
そのようなコンタクトレンズ用液剤には、更に、それの
洗浄効果を高めるべく、所定の界面活性剤が必要に応じ
て添加せしめられることとなる。そして、その際の添加
量としては、一般に、0.0001〜10w/v%程度
とされる。なお、そのような界面活性剤としては、後述
するカチオン系界面活性剤や両性界面活性剤の他に、ノ
ニオン系界面活性剤が、眼に対する安全性や液の安定性
等の点よりして、好適に用いられることとなる。
【0029】そして、かかるノニオン系界面活性剤とし
ては、生体への安全性が高く、またコンタクトレンズ素
材への影響がないものであれば、従来から公知の如何な
るものも採用可能である。その具体例としては、ポリグ
リセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン
ブロックコポリマー、ポリオキシエチレン・ポリオキシ
プロピレンエチレンジアミン、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエ
チレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン
ステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンア
ルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリソルベ
ート等を挙げることが出来る。
【0030】また、それらのうち、好ましい具体例とし
ては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、プルロニックタイプや
テトロニックタイプのポリオキシエチレン・ポリオキシ
プロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、チロキサポール等のポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド
縮合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンステアレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリソルベート等を挙げることが出来る。
【0031】なお、このノニオン系界面活性剤の添加量
は、一般に0.001〜5w/v%程度とされ、好まし
くは0.005〜2w/v%程度とされるのであり、更
に好ましくは0.01〜1w/v%程度とされる。けだ
し、その添加量が0.001w/v%よりも少ない場合
には、得られる洗浄効果が不充分となるからであり、ま
た5w/v%よりも多くても、その洗浄効果は変わら
ず、むしろ眼刺激の原因となりかねないからである。
【0032】また、本発明において、界面活性剤とし
て、カチオン系界面活性剤や両性界面活性剤の如き、有
機窒素系のものを用いるようにすれば、また、コンタク
トレンズ用液剤の殺菌効果乃至は防腐効果を、より一層
高めることが可能となる。そのようなカチオン系界面活
性剤の代表的なものとしては、アルキルアンモニウム塩
として、テトラアルキルアンモニウム塩を使用すること
が出来、例えば、オクタデシルトリメチルアンモニウム
クロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライ
ド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデ
シルジメチルアンモニウムクロライド、アシルアルキル
トリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリ
メチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチ
ルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアン
モニウムクロライド類;オクタデシルトリメチルアンモ
ニウムブロマイド;ジオレイルジメチルアンモニウムブ
ロマイド;ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイ
ド;ジデシルジメチルアンモニウムブロマイド;アシル
アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド;テトラデ
シルトリメチルアンモニウムブロマイド;ヘキサデシル
トリメチルアンモニウムブロマイド等を挙げることが出
来る。また、トリアルキルベンジルアンモニウム塩も同
様に使用することが出来、例えば、オクタデシルジメチ
ルベンジルアンモニウムクロライド;オクタデシルジメ
チルベンジルアンモニウムブロマイド等を挙げることが
出来る。更に、ヒドロキシエチルアルキルイミダゾリン
クロライドに代表されるアルキルヒドロキシアルキルイ
ミダゾリン4級塩類や、アルキルイソキノリニウムブロ
マイドに代表されるアルキルイソキノリニウム塩類、ア
ルキルピリジニウム塩類、アミドアミン類等、その他、
眼科的に許容出来るものであれば、如何なるものをも使
用することが出来る。そして、その使用量は、0.00
01〜10w/v%程度、好ましくは0.001〜1w
/v%程度、より好ましくは0.01〜0.1w/v%
程度とされる。
【0033】さらに、前記両性界面活性剤の代表的なも
のとしては、例えば、アルキルグリシン型のものがあ
り、具体的には、ドデシル(アミノエチル)グリシン塩
酸塩等のアルキルアミノエチルグリシン塩酸塩類;テト
ラドデシルジ(アミノエチル)グリシン塩酸塩、ラウリ
ルジ(アミノエチル)グリシン塩酸塩等のアルキルジ
(アミノエチル)グリシン塩酸塩類;オクチルポリ(ア
ミノエチル)グリシン塩酸塩等のアルキルポリ(アミノ
エチル)グリシン塩酸塩類;ドデシルグアニジン塩酸
塩;ジ(オクチルアミノエチル)グリシン塩酸塩等が挙
げられる。また、ジメチルアルキルベタイン等のアルキ
ルベタイン型、アルキルイミダゾリン型の如きイミダゾ
リン型や、その他、アミドベタイン型、アシル加水分解
コラーゲンペプチド塩、酢酸ベタイン型等、眼科的に許
容出来るものであれば、如何なるものも使用することが
出来る。そして、その使用量は、0.0001〜10w
/v%程度であり、好ましくは0.001〜1w/v%
程度、より好ましくは0.01〜0.5w/v%程度と
される。
【0034】また、本発明に従うコンタクトレンズ用液
剤には、水溶性のカチオン性ポリマーも有利に添加、含
有せしめられることとなる。そのような水溶性のカチオ
ン性ポリマーは、コンタクトレンズ用液剤を使用し易い
粘度に調整する効果を与えると共に、上記の如き所定の
高分子殺菌剤及びアミノスルホン酸誘導体と組み合わせ
て用いられることにより、コンタクトレンズ用液剤の防
腐効果や殺菌、消毒効果を更に高め得るものである。
【0035】そして、そのような水溶性のカチオン性ポ
リマーとしては、従来より公知の各種のもので、眼科的
に許容出来るものであれば、如何なるものであっても、
使用することが出来るのであり、更に具体的には、カチ
オン化セルロース誘導体、カチオン化デキストラン誘導
体、カチオン化でんぷん、カチオン化グアーガム等のカ
チオン化多糖類;キチン、キトサン等のカチオン性多糖
類;プロモイスミルク−Q(商品名:成和化成株式会社
製)等のカチオン化加水分解カゼイン類;プロモイスパ
ールQ(商品名:成和化成株式会社製)等のN−(3−
トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピル)加
水分解コンキオリン類を挙げることが出来る。
【0036】また、N,N−ジメチルアミノエチルアク
リレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモ
ニウムクロリド、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジ
ン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリ
ジン、2−ビニルピリジニウムクロリド、4−ビニルピ
リジニウムクロリド、2−メチル−5−ビニルピリジニ
ウムクロリド、2−メチルピリジニウムメチルサルフェ
ート、4−メチルピリジニウムメチルサルフェート、2
−メチル−5−ビニルピリジニウムメチルサルフェー
ト、N−(3−メタクリルアミドプロピル)−N,N,
N−トリメチルアンモニウムクロリド、1−ビニルイミ
ダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、1−
ビニルイミダゾリウムクロリド、2−メチル−1−ビニ
ルイミダゾリウムクロリド、1−ビニルイミダゾリウム
メチルサルフェート、2−メチル−1−ビニルイミダゾ
リウムメチルサルフェート、N−(3−アクリルアミド
−3−メチルブチル)−N,N−ジメチルアミン、N−
(3−アクリルアミド−3−メチルブチル)−N,N,
N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−(3−メタ
クリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,
N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジ
メチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモ
ニウムメチルサルフェート、ビニルベンジルトリメチル
アンモニウムクロリド等の単独重合体及び/又は共重合
体や、加水分解ポリアクリルアミド等も、前記した水溶
性カチオン性ポリマーとして用いることが出来る。
【0037】そして、本発明にあっては、これら水溶性
カチオン性ポリマーの中でも、カチオン化多糖類が有利
に使用されるのであり、特にカチオン化セルロース誘導
体が、最も好ましく使用される。また、本発明におい
て、かかるカチオン性ポリマーの使用量は、一般に0.
01〜20w/v%程度、好ましくは0.01〜5w/
v%程度、より好ましくは0.05〜2w/v%程度、
更に好ましくは0.1〜1w/v%程度とされる。な
お、その使用量が、上記より少ないと、かかる成分を使
用する効果、即ちビグアニド誘導体と組み合わせる相乗
効果(殺菌効果)が充分得られなくなるので、好ましく
ないのである。また、その使用量が、上記より多いと、
かかる成分を添加する割には効果の向上が余り期待出来
ないので、経済的でないばかりでなく、液剤の粘度が高
くなり、ソリューションとしての使用感が悪くなるの
で、好ましくないのである。
【0038】ところで、かかる本発明に従うコンタクト
レンズ用液剤にあっては、そのpH値が7.0付近に調
整されていることが好ましい。けだし、そのpH値が
7.0から大きく外れると、眼に対して刺激を与えた
り、障害を惹起する恐れがあるからである。そして、本
発明にあっては、そのようなpHの調整のために用いら
れるpH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムを好適に利用することが出来る。
【0039】また、このようなコンタクトレンズ用液剤
のpHを有効に且つ眼に対して安全な範囲に保つべく、
一般に、少なくとも1種の緩衝剤が更に必要に応じて添
加されることとなるが、その緩衝剤としては、従来から
公知の各種のものの中から、適宜に選択されて、用いら
れることとなる。具体的には、クエン酸、リンゴ酸、乳
酸、アスコルビン酸、マレイン酸、グルコン酸、リン
酸、ホウ酸、グリシン及びグルタミン酸等のアミノ酸、
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)
等の酸や、その塩(例えば、ナトリウム塩等)等を、特
に、眼に対して安全であり且つコンタクトレンズへの影
響を少なくすることが出来るという理由から、挙げるこ
とが出来る。中でも、好ましくは、クエン酸及びその
塩、TRISが使用されることとなる。なお、かかる緩
衝剤の添加量は、一般に、0.01〜2w/v%程度と
される。けだし、緩衝剤の濃度が低すぎる場合には、目
的とする緩衝能力を充分に発揮し得ないからであり、ま
た、高すぎても、pHの安定性がより向上せしめられる
というわけではなく、逆に、浸透圧を上げてしまう等、
眼への刺激等の安全性の面で、悪影響を与える恐れが生
じるからである。
【0040】また、その他の添加成分として、キレート
化剤、等張化剤等を挙げることが出来るが、それらは、
生体に対して安全であり、且つコンタクトレンズの素材
に対して悪影響を与えないものであれば、従来より公知
の如何なるものも用いることが出来、それらを、必要に
応じてコンタクトレンズ用液剤中に含有せしめることが
可能である。
【0041】特に、本発明に係るコンタクトレンズ用液
剤においては、涙液中のカルシウム等の金属イオンがコ
ンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズに吸着す
るのを防ぐために、金属キレート化剤を含有せしめるこ
とが好ましいのであるが、そのような金属キレート化剤
としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びそ
の塩、例えばエチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム
(EDTA・2Na)、エチレンジアミン四酢酸・3ナ
トリウム(EDTA・3Na)等;クエン酸、グルコン
酸、酒石酸、及びそれらの塩(例えば、ナトリウム塩)
が用いられることとなり、中でも、好ましくは、EDT
A、EDTA・2Na、EDTA・3Naが用いられ
る。なお、そのような金属キレート化剤の添加量は、一
般に0.01〜2w/v%程度の割合において添加せし
められる。その添加量が少ないと、充分な効果が期待出
来ないのであり、また添加量が多くても、キレート化剤
の効果が更に高められることがないのである。
【0042】さらに、上述の如き各々の添加成分は、得
られるコンタクトレンズ用液剤の最終的な張度が涙液の
張度と略同等となるように、調整されることとなる。即
ち、最終的に所望の張度に調整されることによって、本
液剤の使用の際に、眼に対する刺激が惹起されないよう
になされるのである。そのような張度調整に用いられる
等張化剤としては、眼科的に許容される無機塩であれば
如何なるものも使用することが出来るのであるが、具体
的には、塩化ナトリウムや塩化カリウム等を挙げること
が出来る。また、その使用量は、0.2〜0.9w/v
%程度であり、好ましくは、かかる液剤の張度が、涙液
の張度と略等しくなるように、適宜使用されるものであ
る。
【0043】そして、以上のようにして得られた、本発
明に従うコンタクトレンズ用液剤を用いて、コンタクト
レンズの手入れを行なうに際しては、具体的には、次の
ような手法に従って行なわれることとなる。即ち、先
ず、眼から外したコンタクトレンズに、本発明に従うコ
ンタクトレンズ用液剤を数滴、滴下し、その後、かかる
コンタクトレンズを手指により数十秒間擦り、すすぎを
行なう。次いで、かかるコンタクトレンズ用液剤で満た
した適当な容器中に、該コンタクトレンズを、30分以
上、好ましくは2時間以上、浸漬することにより、保存
消毒を行なうのである。そして、コンタクトレンズを再
び装用する際には、該コンタクトレンズを液剤中より取
り出して装用することとなるのであるが、本液剤は、眼
に対して安全であるので、装用に際して、コンタクトレ
ンズを生理食塩水等ですすいでもよいが、またすすぐ必
要がないものでもあるので、後者の場合、本液剤に浸漬
されたコンタクトレンズを取り出して、そのまま直接、
眼に装用することが可能となるのである。即ち、本発明
に従うコンタクトレンズ用液剤を用いれば、コンタクト
レンズの洗浄、保存、消毒の全てを本液剤1本で行なう
ことが出来、更に、装用時のすすぎも必要でないことか
ら、コンタクトレンズの手入れを極めて簡便に行なうこ
とが出来るのである。
【0044】ところで、かかる本発明に従うコンタクト
レンズ用液剤の対象としているコンタクトレンズとして
は、その種類が何等限定されるものではなく、例えば、
低含水、高含水等の全てに分類されるソフトコンタクト
レンズ、及びハードコンタクトレンズがその対象となり
得るのであって、コンタクトレンズの材質等が、本発明
に従うコンタクトレンズ用液剤の適用に際して問われる
ことはない。
【0045】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に明らかにする
ために、本発明の幾つかの実施例を示すこととするが、
本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制
約をも受けるものでないことは、言うまでもないところ
である。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更
には上記の発明の実施の形態における記述以外にも、本
発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に
基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るもので
あることが、理解されるべきである。なお、下記実施例
中の百分率は、何れもw/v%として示されるものであ
る。
【0046】実施例 1 N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエ
タンスルホン酸(BES)を0.1%の割合で含み、更
に、等張化剤として塩化ナトリウムを含有する、pHが
7前後に調整された水溶液を準備し、これを濾過滅菌し
た後、複数の試験管にそれぞれ5mLずつ分注した。一
方、市販のポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)
20%溶液(英国:ゼネカ社製)を濾過した後、その2
5μLを滅菌精製水の5mLに加え、更にそれを10倍
希釈して、前記(BES+塩化ナトリウム)水溶液の分
注された各試験管に、50μLずつ加えて、PHMBと
BESとNaClを含有する均一な試験溶液を調製し
た。
【0047】一方、比較のために、上記のBESに代え
て、リン酸(1.0%)を用いる以外は、上記と同様に
して、PHMBとリン酸とNaClを含有する均一な試
験溶液を調製した。
【0048】このようにして得られた2種の試験溶液に
ついて、それぞれ、次のような防腐効力試験を行なっ
た。即ち、供試菌として大腸菌を用い、各試験溶液に、
菌液:50μLを添加した後、培養器中において、22
℃±2℃の温度に保存し、1週間後及び2週間後の生菌
数を調べた。そして、その結果を下記表1に示すが、本
発明例の如く、BESを添加した場合においては、2週
間後において顕著な有意差が認められた。
【0049】
【表1】
【0050】実施例 2 牛血清アルブミンの2.5gを50mLの蒸留水に溶解
して、濾過することにより、蛋白質含有溶液(50mg
/mL)を調製し、更にその溶液を滅菌蒸留水で10倍
希釈することにより、5mg/mLの蛋白質含有溶液を
準備した。次いで、この5mg/mLの蛋白質含有溶液
の50μLを、前記実施例1と同様にして調製された試
験溶液に加え、蛋白質が0.05mg/mLの割合で含
有せしめられた試験溶液を調製した後、その防腐効力試
験を行なった。なお、このように蛋白質が添加された試
験溶液の調製の目的は、涙液中には、もともと蛋白質が
存在するところから、蛋白質存在下での本発明の効果を
検討するためである。
【0051】なお、かかる防腐効力試験は、蛋白質を
0.05mg/mLの割合で含有する試験溶液及びその
ような蛋白質の存在しない試験溶液、更には実施例1に
おけるBESの代わりにリン酸を含有する試験溶液の蛋
白質を含むものと、含まないものとについて行ない、そ
れぞれの試験溶液に、供試菌としてカンジダ・アルビカ
ンス(C.a.:Candida albicans)を含む菌液の50μL
を、それぞれ添加し、そして培養器中で22℃±2℃の
温度において保存して、その1週間後の生菌数を調べ、
その結果を、下記表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】かかる表2の結果から明らかなように、P
HMB単独系よりも、PHMBとBESを併用した本発
明例の場合にあっては、顕著な防腐効果が現れているこ
とが認められるのである。
【0054】実施例 3 本発明に従うコンタクトレンズ用液剤の殺菌効力を調べ
るために、以下の実験を行なった。先ず、下記表3の成
分組成となるように、2種のコンタクトレンズ用液剤
を、それぞれ調製した。なお、高分子殺菌剤としては、
ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を用い、ア
ミノスルホン酸誘導体としては、N,N−ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BE
S)またはN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2
−アミノエタンスルホン酸(TES)を用いた。また、
カチオン性ポリマーとして、カチオン化セルロース誘導
体(ジェルナーQH300;ダイセル化学工業株式会社
製)を用い、更に、ノニオン系界面活性剤として、チロ
キサポールまたはモノステアリン酸ポリエチレングリコ
ール(40)を用い、更にまた、キレート化剤としてE
DTA・2Naを、等張化剤として塩化ナトリウムを、
それぞれ用いた。そして、pH調整剤として、水酸化ナ
トリウムの適量を用いて、No.1のコンタクトレンズ用
液剤についてはpH7.2〜7.3となるように、ま
た、No.2のコンタクトレンズ用液剤については、pH
7.3となるように、調整した。
【0055】そして、かかる調製された2種のコンタク
トレンズ用液剤(No.1及びNo.2)を用いて、「米国
局方(USP)23」に従って、防腐効力試験を行なう
ことにより、それぞれのコンタクトレンズ用液剤に対す
る評価を行なった。なお、以下の防腐効力試験において
は、カンジダ・アルビカンス(C.a.:Candida albicans
IFO1594)、緑膿菌(P.a.:Pseudomonas aeruginosa I
FO13275 )、黄色ブドウ状球菌(S.a.:Staphylococcus
aureus IFO13276)を、供試菌として使用した。そし
て、その結果を、下記表4及び表5に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】かかる表4及び表5の結果からも明らかな
ように、PHMBと共に、アミノスルホン酸誘導体とし
て、BESまたはTESが含有せしめられたコンタクト
レンズ用液剤(No.1、2)を用いることにより、何れ
の菌に対しても、優れた殺菌効果が実現されているので
ある。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明
は、殺菌剤としてビグアニド誘導体からなる高分子殺菌
剤を単独で用いるものではなく、そのような高分子殺菌
剤に、特定のアミノスルホン酸誘導体を組み合わせて、
目的とするコンタクトレンズ用液剤と為すことにより、
かかる殺菌剤の抗菌力をその単独使用の場合よりも更に
一層増強せしめ、以てより少ない殺菌剤の添加量によっ
て、充分な殺菌効果乃至は防腐効果を発揮せしめて、眼
に対する安全性を高めたコンタクトレンズ用液剤を実現
することが出来るのである。
【0061】そして、そのような優れた殺菌効果乃至は
防腐効果によって、コンタクトレンズの洗浄、保存、消
毒、すすぎ等、あらゆるコンタクトレンズの処理の目的
のために、本発明に従うコンタクトレンズ用液剤が有利
に用いられ得ることとなったのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C11D 3/48 C11D 3/48 G02C 13/00 G02C 13/00 (72)発明者 酒井 利江子 愛知県春日井市高森台五丁目1番地10 株 式会社メニコン総合研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中に、少なくとも、ビグアニド
    誘導体からなる高分子殺菌剤と共に、下記化1、化2、
    化3の何れかで示される化合物の中から選ばれた少なく
    とも1種のアミノスルホン酸誘導体を含有せしめてなる
    ことを特徴とするコンタクトレンズ用液剤。 【化1】 【化2】 【化3】 〔但し、上記化1〜化3において、Aは−(CH2 m
    −[C(OH)H]n−(CH2 p −SO3 M(m、
    n及びpは、それぞれ独立して、0〜5の整数を示し、
    Mは、水素原子若しくは1価のカチオンを示す)であ
    り、R1及びR3 は、それぞれ独立して、水素原子、フ
    ェニル基、−(CH2 q −OH(qは1〜5の整数を
    示す)、−CH2 −CONH2 、または−C(CH2
    H)3 であり、R2 は、−(CH2 r −OH(rは1
    〜5の整数を示す)である。〕
  2. 【請求項2】 更に、界面活性剤を含有している請求項
    1記載のコンタクトレンズ用液剤。
  3. 【請求項3】 更に、水溶性のカチオン性ポリマーを含
    有している請求項1または請求項2に記載のコンタクト
    レンズ用液剤。
  4. 【請求項4】 前記アミノスルホン酸誘導体が、前記水
    性媒体中に、0.001〜10w/v%の割合で含有せ
    しめられている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の
    コンタクトレンズ用液剤。
  5. 【請求項5】 前記ビグアニド誘導体が、前記水性媒体
    中に、0.01ppm〜10重量%の割合で含有せしめ
    られている請求項1乃至請求項4の何れかに記載のコン
    タクトレンズ用液剤。
  6. 【請求項6】 前記界面活性剤が、前記水性媒体中に、
    0.0001〜10w/v%の割合において含有せしめ
    られている請求項2記載のコンタクトレンズ用液剤。
  7. 【請求項7】 前記水溶性カチオン性ポリマーが、前記
    水性媒体中に、0.01〜20w/v%の割合で含有せ
    しめられている請求項3に記載のコンタクトレンズ用液
    剤。
  8. 【請求項8】 前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性
    剤である請求項2または請求項6に記載のコンタクトレ
    ンズ用液剤。
  9. 【請求項9】 前記水溶性カチオン性ポリマーが、カチ
    オン化セルロース誘導体である請求項3または請求項7
    に記載のコンタクトレンズ用液剤。
  10. 【請求項10】 前記アミノスルホン酸誘導体が、アミ
    ノエタンスルホン酸誘導体またはアミノプロパンスルホ
    ン酸誘導体から選ばれるグッド緩衝剤である請求項1乃
    至請求項9の何れかに記載のコンタクトレンズ用液剤。
  11. 【請求項11】 前記ビグアニド誘導体が、下記化4で
    示される繰り返し単位を含む眼科的に許容されるビグア
    ニド誘導体である請求項1乃至請求項10の何れかに記
    載のコンタクトレンズ用液剤。 【化4】 〔但し、Zは、ポリマー全体を通じて同一若しくは異な
    る、2価の有機基を表し、fは、3以上の整数を表
    す。〕
  12. 【請求項12】 キレート化剤及び等張化剤のうち、少
    なくとも1種を、更に含有している請求項1乃至請求項
    11の何れかに記載のコンタクトレンズ用液剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011032306A (ja) * 2009-07-30 2011-02-17 Arch Chemicals Japan Kk 水系組成物
JP2016183116A (ja) * 2015-03-25 2016-10-20 株式会社日本触媒 抗菌剤組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011032306A (ja) * 2009-07-30 2011-02-17 Arch Chemicals Japan Kk 水系組成物
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