JP2001242428A - コンタクトレンズ用液剤およびソフトコンタクトレンズの洗浄、消毒、保存方法 - Google Patents

コンタクトレンズ用液剤およびソフトコンタクトレンズの洗浄、消毒、保存方法

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JP2001242428A
JP2001242428A JP2000364364A JP2000364364A JP2001242428A JP 2001242428 A JP2001242428 A JP 2001242428A JP 2000364364 A JP2000364364 A JP 2000364364A JP 2000364364 A JP2000364364 A JP 2000364364A JP 2001242428 A JP2001242428 A JP 2001242428A
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amino acid
contact lens
soft contact
polyquaterium
contact lenses
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Keiko Ibaraki
敬子 茨木
Hideto Mizuno
秀人 水野
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Tomey Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 消毒効力が充分に高く、眼に対する毒性が
低いコンタクトレンズ用液剤を提供すること。またソフ
トコンタクトレンズのサイズ変化を抑制し、すべての種
類のソフトコンタクトレンズに適用出来るソフトコンタ
クトレンズ用液剤を提供する。 【解決手段】 1種以上のビグアニド系殺菌剤成分0.000
001〜0.001w/v%及び1種以上のポリクワテリウム系殺菌
成分0.00001〜0.1w/v%を含有すると共に、非イオン性
等張化剤及び/又はアミノ酸を含有する液剤に0.05〜2w/
v%のアミノ酸塩を添加し、且つ前記非イオン性等張化
剤及び/又はアミノ酸および前記アミノ酸塩を、液剤の
浸透圧が200〜400mOsmになるように含有せしめるコンタ
クトレンズ用液剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンタクトレンズ用
液剤及び前記液剤を用いてコンタクトレンズを洗浄、消
毒、保存する方法に係り、特に消毒効果が高く、且つ前
記方法において、ソフトコンタクトレンズのサイズ安定
性が高く、そのため装用中の安全性、装用感に支障を来
すことがないような、ソフトコンタクトレンズ用液剤及
びそれを用いた洗浄、消毒、保存方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般にコンタクトレンズを装用している
と、涙液や眼脂に由来する蛋白質や脂肪等の汚れがコン
タクトレンズに付着するようになるところから、そのよ
うな汚れを取り除くための洗浄操作をコンタクトレンズ
に対して実施することが必要となる。また、コンタクト
レンズを継続して使用する場合には、コンタクトレンズ
を眼から外して保存している間に、表面に付着した細菌
等の微生物が増殖するおそれがあり、眼に対して感染症
等の悪影響がもたらされることがあるため、コンタクト
レンズの消毒が必要とされ、特にソフトコンタクトレン
ズの場合は、細菌等の感染の危険性が高いため、装用前
の消毒が重要である。
【0003】コンタクトレンズの消毒法としては熱消毒法と
化学消毒法が採用されているが、最近は後者の化学消毒
法が特に注目を受けている。化学消毒法においては、化
学消毒効果を有するコンタクトレンズ用液剤が用いら
れ、それにコンタクトレンズを浸漬することにより消毒
処理が行われるが、そのようなコンタクトレンズ用液剤
には高い殺菌効果を持つものが必要とされることは勿
論、眼に対する毒性の低いものであることも重要であ
る。
【0004】かかる化学消毒法に用いられる殺菌剤としては
従来ビグアニド系の殺菌剤が用いられ、特にクロルヘキ
シジンが多用されて来た。しかしクロルヘキシジンは従
来一般に用いられている濃度ではソフトコンタクトレン
ズに吸着され易く、過敏症の患者の場合、吸着したクロ
ルヘキシジンによりアレルギーをおこすおそれがある。
また最近はビグアニド系殺菌剤として高分子量のポリヘ
キサメチレンビグアニド(PHMB)が用いられている。こ
れは低分子のクロルヘキシジンに比して高分子量化によ
るレンズマトリックス内への取り込みを防止しうるもの
であるが、それでも高濃度で用いると眼の粘膜に対して
刺激を与え、炎症を惹起するおそれがある。そのため低
濃度で使用せざるを得ないので、殺菌効力が不十分とな
る。
【0005】そこでビグアニド系殺菌剤をコンタクトレンズ
用液剤に使用する際、より少ない含有量で、より高い殺
菌効力が得られることを目標にして種々の検討が行われ
て来た。例えば、特開平6-321715号公報においては、高
い水準の抗菌活性を有しながら、眼に対して毒性が低い
コンタクトレンズの消毒保存溶液として、PHMBをホウ酸
緩衝剤と共に用いることが提案されており、また特表平
6-504044号公報においては、PHMBをトリス緩衝剤と共に
用いることが提案されている。しかしながら、これらの
コンタクトレンズ用液剤の殺菌効力はなお十分とは言え
なかったのである。
【0006】また国際公開公報WO9924543号公報では、PHMB
に4級アミン繰り返し単位10〜45モル%のポリクワテリ
ウムを加えることにより、殺菌効力を高める方法を提案
しているが、この方法は高濃度のポリクワテリウムの併
用を提案するものであり、やはり、安全性が十分保証さ
れているかについてはなお疑問がある。
【0007】さらに本出願人からは特開平10-108899号公報
としてPHMB含有コンタクトレンズ用液剤において、非イ
オン性の等張化剤を用いることにより、低濃度のPHMBで
高い殺菌効力を示す方法を提案している。また特開平11
-249087号公報としてポリクワテリウム系殺菌成分と共
に非イオン性等張化剤及び/又はアミノ酸を含有せしめ
る方法を提案している。一方国際公開公報WO9603158号
においては低分子アミノ酸の添加が抗菌作用を高めると
している。しかしながら、非イオン性等張化剤又はアミ
ノ酸を等張化剤として用いた液剤に含水性ソフトコンタ
クトレンズを浸漬すると、場合によりレンズが膨潤し、
その結果レンズのサイズが変化することがわかった。医
薬審第645号に記載されているグループ4に属するレンズ
はイオン性で、含水率50%以上のソフトコンタクトレン
ズである。このグループ4に属するレンズは非イオン性
等張化剤あるいはアミノ酸の影響を最も受け易いことが
判明した。このため、レンズの装用に支障を来す場合の
あることがわかった。
【0008】一方ソフトコンタクトレンズの化学消毒の効果
についてはISO消毒試験基準が定められている。従来市
販されているコンタクトレンズ用化学消毒剤は多くがIS
O消毒試験の第2基準に適合するもので、第1基準には適
合しない。ISO消毒試験の第1基準に適合せず、第2基準
に適合する場合は、実際のコンタクトレンズの消毒処理
操作の際、消毒効果を十分に出すためには、こすり洗い
およびこすり濯ぎが必須とされ、洗浄、消毒の操作は煩
雑なものとなる。これに対し、ISO消毒試験の第1基準に
適合する場合は、こすり洗いおよびこすり濯ぎなしで十
分な消毒効果が得られるため洗浄、消毒操作が簡単とな
る。このためコンタクトレンズ用化学消毒液としてはIS
O消毒試験の第1基準に適合するような高い消毒効果を有
するものが望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ここにおいて本発明
は、かかる事情を背景としてなされたものであって、そ
の解決課題とするところは、第1には、十分な消毒効力
を有しながらも、眼に対する毒性が低く、安全に使用出
来るコンタクトレンズ用液剤を提供することにある。ま
た第2の解決課題とするところは、ポリクワテリウム系
殺菌成分と併用された、非イオン性等張化剤及び/又は
アミノ酸を含むコンタクトレンズ用液剤を用いてソフト
コンタクトレンズを処理した時、その殺菌力および安全
性を損なうことなく、最もサイズ変化の影響を受けやす
いグループ4のソフトコンタクトレンズを含むすべての
ソフトコンタクトレンズのレンズのサイズ変化を、実質
的に装用に支障がない範囲に抑制し得るようなソフトコ
ンタクトレンズ用液剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記の如き課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、
低分子アミノ酸の存在の下にビグアニド系殺菌剤とポリ
クワテリウム系殺菌剤が共存すると、殺菌効力に相乗作
用を生ずるという意外な効果を発見しこれをもとに、低
濃度の殺菌成分で殺菌効果が高く、眼に対して安全なコ
ンタクトレンズ用液剤を見出した。更に本発明者らは低
分子アミノ酸及び/又は非イオン性等張化剤と、ビグア
ニド系殺菌剤及びポリクワテリウム系殺菌剤が共存する
コンタクトレンズ用液剤において、更に特定量のアミノ
酸塩を添加することにより、高い消毒効果を保ったまま
コンタクトレンズのサイズ変化を抑制し得ることを発見
し、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】すなわち本発明は0.000001〜0.001w/v%のビグ
アニド系殺菌剤成分の1種以上及び0.00001〜0.1w/v%の
ポリクワテリウム系殺菌剤の1種以上を含有すると共
に、等張化剤としてアミノ酸及び/又はアミノ酸塩を含
有せしめたことを特徴とするコンタクトレンズ用液剤を
その要旨とする。
【0012】また本発明の他の態様としては0.000001〜0.00
1w/v%のビグアニド系殺菌成分の1種以上及び0.00001〜
0.1w/v%のポリクワテリウム系殺菌成分の1種以上と共
に、非イオン性等張化剤及び/又はアミノ酸と、0.05〜2
w/v%のアミノ酸塩を含有し、前記殺菌成分、前記非イ
オン性等張化剤及び/又はアミノ酸および前記アミノ酸
塩の濃度が、前記液剤の浸透圧が200〜400mOsmになるよ
うに定められることを特徴とするソフトコンタクトレン
ズ用液剤をその要旨とする。
【0013】また緩衝剤としてホウ酸塩緩衝剤を含有する場
合は、等張化剤として0.05〜2w/v%のアミノ酸塩を含有
せしめることを特徴とするコンタクトレンズ用液剤を含
むものである。
【0014】さらに本発明は前記ソフトコンタクトレンズ用
液剤に、室温雰囲気下でソフトコンタクトレンズを浸漬
して後取り出し、そのまま眼に装用することを特徴とす
るソフトコンタクトレンズの洗浄、消毒、保存方法をそ
の要旨とする。
【0015】このように本発明にあっては、ビグアニド系殺
菌成分及びポリクワテリウム系殺菌成分と非イオン性等
張化剤及び/又はアミノ酸を含有せしめた処理液でソフ
トコンタクトレンズを処理した時生ずるレンズの膨潤に
起因するレンズサイズの増大を、0.05〜2w/v%のアミノ
酸塩を添加することにより抑制し、且つ高い殺菌効果も
得ることが出来るのである。
【0016】本発明においてはそのコンタクトレンズ用液剤
が高い殺菌力と眼に対する安全性を有するため、装用後
のコンタクトレンズを、こすり洗いすることなく、前記
コンタクトレンズ用液剤に浸漬し、そのまま眼に装用す
ることが可能である。また当該液剤中でのレンズサイズ
の変化を極めて低く抑えているので、装用時におけるレ
ンズのズレなどが防止される。
【0017】なお本発明に従うコンタクトレンズ用液剤にお
いては、有利には前記ビグアニド系殺菌成分としてポリ
ヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、クロルヘキシジン
の可溶性塩が用いられる。
【0018】また本発明の好ましい態様として、上記ポリク
ワテリウム系殺菌成分として、4級アミン繰り返し単位5
0〜100モル%を有するポリクワテリウムが用いられ、特
に好ましくはポリクワテリウム-6が用いられる。
【0019】本発明に用いられるアミノ酸塩は好ましくはL-
グルタミン酸塩及び/又はL−アスパラギン酸塩が用い
られる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明におけるコンタクトレンズ
処理液のビグアニド系殺菌成分としてはPHMB、クロルヘ
キシジンの可溶性塩等が用いられる。クロルヘキシジン
の可溶性塩殺菌成分としてはグルコン酸クロルヘキシジ
ン(CHG)が好ましい。CHGは濃度が高いと眼刺激をおこす
おそれがあるが、本発明にしたがってポリクワテリウム
系殺菌剤およびアミノ酸及び/又はアミノ酸塩と併用す
ることにより、低濃度で高い殺菌効力を示すため、眼に
安全な濃度で使用することが出来る。ビグアニド系殺菌
成分としてPHMBは特に好ましいもので、ポリクワテリウ
ム系殺菌成分とアミノ酸及び/又はアミノ酸塩の併用に
より、眼に安全な濃度で広い抗菌スペクトルと高い抗菌
性を示す。PHMBの市販品としてはZeneca社の商標Cosmoc
ilTMCQがある。また他のビグアニド系殺菌成分として、
1-(N-methyl-N-dodecylaminopropyl)-5-(1,4-dimethyl
pentyl)-biguanideのようなビグアニドを用いることも
可能である。このようなビグアニド系殺菌剤は本発明に
あってはアミノ酸及び/又はアミノ酸塩の存在下でポリ
クワテリウムと共存することにより殺菌効果が増進され
るため、低濃度で使用することが出来る。使用濃度とし
ては0.000001〜0.001w/v%である。0.000001w/v%以下
では殺菌効果が不十分となり、0.001w/v%以上では眼に
対する安全性が問題となる。特に好ましくは0.00005w/v
%〜0.0005w/v%である。
【0021】上記ビグアニド系殺菌成分と組み合わせて使用
されるポリクワテリウム系殺菌剤としては比較的正電荷
の多いものが優れた殺菌作用を示す。このため4級アミ
ン繰り返し単位が50〜100モル%のポリクワテリウム系
殺菌剤が好ましい。例えば市販品ではBASF社のLuviquat
FC905(90モル%4級アミン)、Calgon Corp.のMarqu
at100(100モル%4級アミン)などがある。Luviquat F
C905はメチルビニルイミダゾリウムクロライドとビニル
ピロリドンの共重合体で、Marquat100はジメチルジアリ
ルアンモニウムクロライドのホモポリマーで、CTFA名は
ポリクワテリウム-6である。この中で時に好ましいのは
ポリクワテリウム-6である。このようなポリクワテリウ
ム系殺菌成分はアミノ酸の存在下でビグアニド系殺菌成
分の殺菌効果を相乗的に高める特殊な効果を示す。これ
は本発明の第1の特筆すべき点であるが、その機構につ
いては未だ明らかでない。アミノ酸の存在下でビグアニ
ド系殺菌成分とポリクワテリウム系殺菌成分を併用する
ことにより殺菌効果が増進するため、ポリクワテリウム
系殺菌成分は低濃度でも十分な効果を出すことが出来
る。本発明で使用するポリクワテリウム系殺菌成分の濃
度は、0.00001〜0.1w/v%、好ましくは0.0001〜0.05w/v
%である。0.00001w/v%以下では効果が不十分であり、
0.1w/v%以下では眼の安全性の点で好ましくない。
【0022】上記ビグアニド系殺菌成分及びポリクワテリウ
ム系殺菌成分に組み合わされるアミノ酸としては、分子
内にカルボキシル基とアミノ基を有する公知の化合物の
中から適宜に選択され、単独或いは混合使用されるが、
好ましくは分子量が75〜250の低分子アミノ酸が有利に
用いられ、例えばアラニン、α-アミノアジピン酸、α-
アミノ酪酸、アルギニン、アスパラギン、イソロイシ
ン、クレアチン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、
シスチン、チロシン、トリプトファン、バリン、メチオ
ニン、リシン、ロイシン、オルニチン、フェニルアラニ
ン、プロリン、ホスホセリン、サルコシン、スレオニ
ン、システイン、セリン等を挙げることが出来、中でも
好ましくはグリシン、DL-アラニン、DL-セリン、L-ヒ
スチジン、L-グルタミンが用いられ、特に好ましくは
グリシンが用いられる。
【0023】また等張化剤として、アミノ酸の他非イオン性
等張化剤を用いることが出来る。非イオン性等張化剤と
しては、従来より公知の各種のものを使用することが出
来る。例えばグリセリン、プロピレングリコール、マン
ニトール、ポリエチレングリコール(平均分子量:100
〜400)、グルコース、ジエチレングリコール、ソルビ
トール、キシリトール、シクロデキストリン等を挙げる
ことが出来、その他でも安全性の高いものなら使用出来
る。それらの中から、単独で、或いは適宜組み合わせて
用いられるが、その中でも特に、グリセリン、プロピレ
ングリコールおよびマンニトールが好適に用いられる。
【0024】上記アミノ酸及び/又は非イオン性等張化剤を
上記殺菌成分と併用することにより、上記ビグアニド系
とポリクワテリウム系を組み合わせた殺菌成分の殺菌効
力が相乗的に高められる。しかし、上記アミノ酸及び/
又は非イオン性等張化剤を含む液にソフトコンタクトレ
ンズを浸漬したとき、ソフトコンタクトレンズが膨潤
し、このためレンズのサイズが変化する傾向があり、特
に医薬審第645号に記載されているグループ4に属するレ
ンズは、最も非イオン性等張化剤あるいはアミノ酸の影
響を受け易い。このため場合によってはかかる液剤でレ
ンズを処理した後装用すると、装用感が悪くなり、レン
ズのズレなどを生じ、眼に対する安全性をも損なうおそ
れがある。
【0025】本発明のソフトコンタクトレンズ用液剤におい
ては、0.05w/v%〜2w/v%のアミノ酸塩を更に添加する
ことにより、上記ソフトコンタクトレンズの寸法変化を
抑制し、且つ高い殺菌効果を維持することが可能とな
る。本発明で用いるアミノ酸塩としてはL-アスパラギ
ン酸塩、L-グルタミン酸塩、L-アルギニン酸塩等が用
いられ、好ましいのはL-アスパラギン酸塩およびL-グ
ルタミン酸塩であり、特に好ましくはL-グルタミン酸
塩である。アミノ酸塩としてはナトリウム塩が最も一般
的に用いられるが、カリウム塩、マグネシウム塩、カル
シウム塩等を用いることも出来る。
【0026】上記アミノ酸塩は上記非イオン性等張化剤及び
/又はアミノ酸によるソフトコンタクトレンズの膨潤
と、それに起因するサイズ変化を抑制する効果を有す
る。アミノ酸塩の添加量の下限は0.05w/v%であり、好
ましくは0.1w/v%以上である。0.05w/v%より少ないと
ソフトコンタクトレンズの寸法変化を抑制する効果が不
十分となる。一方アミノ酸塩の添加量が多すぎると液の
殺菌効果が低下し、液剤の殺菌効果をISO消毒試験の第1
基準に適合せしめることが困難となる。本発明のソフト
コンタクトレンズ用液剤におけるアミノ酸塩の上限は2w
/v%である。なお、好ましい上限値は使用する緩衝剤の
種類により異なる。ホウ酸塩緩衝剤を用いた場合、アミ
ノ酸塩の好ましい上限は2.0w/v%である。またトリス緩
衝剤を用いた場合の好ましい上限は0.6w/v%であり、特
に好ましくは0.5w/v%である。トリス緩衝剤、リン酸塩
緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤の場合、アミノ酸塩濃度が0.
6w/v%以上になると殺菌効力をISO消毒試験の第1基準に
適合せしめることが困難となる。一方ホウ酸塩緩衝剤の
場合は2w/v%迄は高い殺菌効力を保持することが可能で
ある。
【0027】特開平11-249087号公報にはポリクワテリウム
と非イオン性等張化剤及び/又はアミノ酸の併用による
ポリクワテリウムの殺菌効果の向上について記載されて
いる。しかし、アミノ酸の存在下でビグアニド系殺菌成
分とポリクワテリウム系殺菌成分が相乗作用を示すこと
は記載されていない。 更に、同号公報段落20にはアミ
ノ酸の具体例が示されているが、ここには用いられるア
ミノ酸の中にアミノ酸およびその塩が含まれている。ま
た具体例としてL-グルタミン酸ナトリウムが記載され
ている。しかし同号公報には、非イオン性等張化剤及び
/又はアミノ酸がソフトコンタクトレンズを膨潤させ、
それによってそのサイズを変化させること、アミノ酸塩
が非イオン性等張化剤及び/又はアミノ酸によるソフト
コンタクトレンズのサイズ変化をを抑制することについ
ては記載がない。また過量のアミノ酸塩が処理液の殺菌
効力を低下させ、2w/v%以上の添加量においては、殺菌
効果がISO消毒試験の第1基準に適合することが困難とな
ることについては記載がない。
【0028】ソフトコンタクトレンズの洗浄、消毒、保存な
どの処理の際レンズが膨潤してサイズが変化する時通常
直径に10%以上の変化があると装用に支障を来すと考え
られる。本発明によれば、最も非イオン性等張化剤ある
いはアミノ酸の影響を受け易い、グループ4に属するレ
ンズにおいてもレンズの直径変化を10%以下とすること
が可能となる。更に好ましくは、非イオン性等張化剤及
び/又はアミノ酸とアミノ酸塩濃度を、レンズの直径変
化が8%以下に抑制されるように定めることが望まし
い。グループ4以外のソフトコンタクトレンズについて
は、処理によるレンズの直径変化はグループ4の場合よ
り小さいので、使用出来る組成の範囲は広くなる。
【0029】なお、上記非イオン性等張化剤及び/又はアミ
ノ酸は本発明のコンタクトレンズ用液剤の浸透圧を調整
するものであり、その濃度は、レンズの寸法変化抑制の
為に添加するアミノ酸塩、緩衝剤等を含めて、処理液の
浸透圧が実質的に生理浸透圧に等しい範囲の200〜400mO
smになるように定められる。浸透圧の調整は、非イオン
性等張化剤及び/又はアミノ酸とアミノ酸塩により行う
のが好ましく、塩化ナトリウムのようなイオン性等張化
剤を添加することは好ましくない。このようなイオン性
等張化剤は、併用する場合でも0.1w/v%以下とすること
が望ましい。
【0030】本発明のソフトコンタクトレンズ用液剤のpH
は、通常、pH6〜9、好ましくはpH6〜8の実質的に中性の
範囲内に調整される。pHが5より低くなっても、また9よ
り高くなっても眼に対して刺激を与えたり、障害を惹起
するなどの問題を生ずる。
【0031】そしてこのようなpHを保つために少なくとも1
種の緩衝剤が添加される。 ホウ酸塩緩衝剤は本発明の
コンタクトレンズ用液剤の殺菌効果を高める効果がある
一方、レンズの膨潤を促進する作用を有することが見出
された。このため、ソフトコンタクトレンズ用液剤にあ
っては、ホウ酸塩緩衝剤を使用する場合はレンズの膨潤
を抑制するため、アミノ酸塩の添加量を高める必要があ
る。このためホウ酸塩緩衝剤を用いる場合、アミノ酸塩
の濃度は0.5〜2.0w/v%の比較的高濃度を用いるのが望
ましい。またホウ酸塩緩衝剤濃度が高いとソフトコンタ
クトレンズの膨潤が大きくなる傾向があるので、ホウ酸
塩緩衝剤の濃度は0.1w/v%以上、1w/v%以下とすること
が望ましく、好ましくは0.8w/v%以下とすることが望ま
しい。
【0032】ホウ酸塩緩衝剤を用いる場合は、上述の如く
ホウ酸塩緩衝剤によるソフトコンタクトレンズの膨潤を
抑制するため、アミノ酸塩濃度を高める必要があり、ま
たアミノ酸塩濃度を2%w/v以下の範囲で高めても殺菌効
力を維持することが出来る。このためホウ酸塩緩衝剤を
用いる場合には、アミノ酸及び/又は非イオン性等張化
剤を用いることなく、アミノ酸塩のみで浸透圧を調整す
ることも可能である。
【0033】トリス緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩
衝剤を使用する場合はソフトコンタクトレンズに対する
膨潤作用は示さないが、殺菌効力はホウ酸塩緩衝剤の場
合より低い。このため、アミノ酸塩の添加量は0.6w/v%
以下、好ましくは0.5w/v%以下とすることが望ましい。
レンズの寸法変化および殺菌効果の両者を満足させるた
めにはトリス緩衝剤が好ましい。緩衝剤の濃度は緩衝効
果と安全性の点から、0.05〜1.2w/v%、好ましくは0.1
〜0.8w/v%とする。
【0034】また本発明のコンタクトレンズ用液剤において
は、コンタクトレンズに付着した眼脂等の汚れの除去効
果、洗浄効果を向上させるため、界面活性剤を更に添加
することも可能である。界面活性剤としては生体への安
全性が高く、またコンタクトレンズ素材への影響のない
ものであれば、本発明の方法の効果を損なわない種類、
濃度においてカチオン、アニオン、両性、ノニオン何れ
のタイプの界面活性剤を用いることも出来る。望ましい
のは例えばポリエチレン・ポリプロピレンブロック共重
合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などである。
【0035】更に本発明のソフトコンタクトレンズ用液剤に
はカルシウム等の無機汚れを除去するため、キレート剤
を添加することが望ましい。キレート剤としてはエチレ
ンジアミンテトラ酢酸塩等が好ましい。
【0036】本発明のソフトコンタクトレンズ用液剤にはこ
の他増粘剤、蛋白除去剤等も添加することが出来る。そ
れらは生体に対して安全であり、且つコンタクトレンズ
の素材に対して悪影響を与えないものであれば、従来よ
り公知の如何なるものも用いることが出来、それらを必
要に応じて、本発明の液剤の作用・効果を阻害しない範
囲において含有せしめることも可能である。増粘剤とし
ては例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチル
セルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が0.1〜10w/v
%の範囲で用いられる。
【0037】本発明の液剤を用いてコンタクトレンズの手入
れを行うに際しては、具体的には下記のような手法に従
って行われる。本発明の好ましい形態においては、用い
るコンタクトレンズ用液はISO消毒試験の第1基準に適合
するので、こすり洗い、こすり濯ぎなしで本発明のコン
タクトレンズ用液剤にレンズを浸漬するだけで十分な消
毒効果が得られる。したがって装用後、眼から外したレ
ンズをそのままコンタクトレンズ用液で満たした保存ケ
ースの中に1〜8時間浸漬することにより、レンズの洗
浄、消毒、保存を行うことが可能である。また眼から外
したレンズを本発明で用いるコンタクトレンズ用液剤を
用いてこすり洗い、こすり濯ぎを行った場合は、レンズ
に付着した微生物は大幅に減少するため、短時間、例え
ば10分〜60分で消毒を完了することが出来る。すなわち
従来市販のソフトコンタクトレンズ用多目的用液と比べ
て簡単な操作、或いは短縮された時間で処理を行うこと
が出来る。
【0038】本発明のソフトコンタクトレンズ用液剤は殺菌
効果が高く、しかも眼に対する安全性が高い。このた
め、こすり洗い、こすりすすぎなしでも十分な消毒効果
が得られる。またこすり洗い、こすりすすぎを行った場
合は短時間で消毒することが出来る。しかも眼に対する
安全性が高いため他の生理食塩水等の液ですすがなくと
も、そのまま眼に装用することが出来る。従って一液で
洗浄、濯ぎ、消毒、保存に使用することが出来る。ま
た、液剤にソフトコンタクトレンズを浸漬したとき、レ
ンズのサイズ変化が抑制されるため、レンズの処理後、
装用感を損ねたり、眼に対する安全性を損ねたりするこ
とがない。
【0039】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に説明するため
に、本発明の幾つかの実施例を示すこととするが、本発
明が、そのような実施例の記載によって、何らの制約を
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。なお、下記実施例中の百分率は、何れも、w/v%と
して示されるものである。
【0040】――殺菌効果試験―― 供試菌として、セラチア・マルセッセンス(S.m.:Serrat
ia marcescens ATCC13880)またはカンジダ・アルビカ
ンス(C.a.:Candida albicans ATCC 10231)を用
い、先ず、セラチア・マルセッセンスについては、ソイ
ビーンカゼイン培地にて33℃×24時間培養したものを生
理食塩水に懸濁し、108cfu/mlの供試菌液として調製す
る一方、カンジダ・アルビカンスについては、ブドウ糖
ペプトン培地にて33℃×24時間培養したものを、生理食
塩水に懸濁し、108cfu/mlの供試菌液とした。
【0041】次いで、殺菌効果の評価されるべきコンタクト
レンズ用液剤について、それを滅菌済みの試験管に10ml
入れ、更にそれに、上記で調製された供試菌液の所定の
ものの0.05mlを加えた後、23℃の恒温水槽中に保管し、
そして所定の指定時間後に、その一定量を取り出し、滅
菌生理食塩水を用いて希釈した後、混釈平板法により、
サンプル1ml中の生菌数を測定した。なお、この混釈平
板法における培養条件は、セラチア・マルセッセンスに
ついては、ソイビーンカゼイン培地を用いて、33℃×3
日間を採用し、カンジダ・アルビカンスについては、ブ
ドウ糖ペプトン培地を用いて、33℃×5日間を採用し
た。そしてかかる測定にて得られた生菌数から、前記供
試菌液の添加されたコンタクトレンズ用液剤の指定時間
後の生菌数を算出した後、下記の計算式に従って、対数
に換算した菌減少量を求めた。菌減少量〔対数換算〕=
LOG(調製直後の菌懸濁液1ml中の生菌数)−LOG(処理
後の菌懸濁液1ml中の生菌数)
【0042】――レンズのサイズ変化の測定―― 試験レンズ1枚をISO生理食塩水(ISO10344(Optics an
d optical instruments-Contact lenses-Saline so
lution for contact lens testing)2mlの入ったレ
ンズケースに浸漬して、20℃±1℃の恒温水槽にて24時
間以上放置した。レンズを取り出し、初期サイズとし
て、ISO生理食塩水中のサイズ(直径)を測定した。レ
ンズの直径の測定は万能投影機(日本光学工業社)を用
いてレンズを10倍に拡大し、20℃±1℃のISO生理食塩水
25ml中のレンズの直径を測定した。レンズ1枚当たり4回
測定し、その平均値をとった。次に同様の試験レンズを
試験液2mlの入ったレンズケースに浸漬して、20℃±1℃
の恒温水槽にて1〜24時間放置した。次いでレンズを取
り出し、上と同様にして、各試験液中でのサイズ(直
径)を測定し、試験液浸漬後のサイズとした。レンズサ
イズ変化率は下記の計算式に従って求めた。 レンズサイズ変化率(%)=(試験液浸漬後のサイズ−
初期サイズ)/初期サイズ×100 試験レンズとしては、ジョンソン・エンド・ジョンソン
社製、商品名 シュアビュー(規格:ベースカーブ8.8m
m、頂点屈折率−3.00D、直径14.0mm)を用いた。
【0043】実施例1, 比較例1,2 本発明に従うコンタクトレンズ用液剤の殺菌効力を調べ
るために、以下の実験を行った。下記表1の成分組成と
なるように、それぞれの添加成分を指定された濃度とな
るように、精製水中に溶解せしめ、その後0.2μmのフィ
ルターでろ過滅菌することにより、各種のコンタクトレ
ンズ用液剤を調製した。ここで、PHMBはZeneca社製Cosm
ocilTMCQを用いた。Marquat100(米国:Calgon Corpora
tion製)はジメチルジアリルアンモニウムクロライドの
ホモポリマーからなるポリクワテリウム-6(4級アミン
繰り返し単位100モル%)である。Lutrol F-127はBASF
社製のポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレ
ン(67)グリコール共重合体である。比較例1はポリク
ワテリウムの不存在下でPHMBを用いた場合である。比較
例2はPHMBの不存在下でポリクワテリウム-6を用いた場
合で、実施例1はポリクワテリウム-6とPHMBを併用した
場合である。ポリクワテリウム-6,PHMB以外の成分は比
較例1,2,実施例1何れも同様である。
【0044】
【表1】
【0045】表1の各コンタクトレンズ用液剤について、セ
ラチア・マルセッセンス、カンジダ・アルビカンスに対
するそれぞれの殺菌効力を、4時間後の菌減少量におい
て、前記殺菌効果試験に従って調べた結果を表2に示し
た。
【0046】
【表2】
【0047】次にPHMBとポリクワテリウム-6が共存した場合
の相乗作用の効果の有無を調べた。すなわちPHMBとポリ
クワテリウム-6がそれぞれ単独で存在した場合の殺菌効
力から計算した、両者が共存する場合の殺菌効力(理論
値)と、実際にPHMBとポリクワテリウム-6が共存した場
合の殺菌効力(実測値)を比較し表3に示した。理論値
の計算は次式に従って行った。 生菌減少理論対数値=LOG(ポリクワテリウム生菌減少
数+PHMB生菌減少数)
【0048】
【表3】
【0049】表3の結果から、何れの場合も実測値が理論値
より高い値を示した。これは、アミノ酸の存在下で、PH
MBとポリクワテリウム-6が共存すると、それぞれが単独
で存在する時の殺菌効力の和よりも、両者が共存する時
の殺菌効力の方が高くなることを意味し、PHMBとポリク
ワテリウムの相乗作用の存在を示すものである。
【0050】実施例2,比較例3,4 実施例1がホウ酸緩衝剤を用いたのに対し、トリス緩衝
剤を用いた実験例である。表4に用いたコンタクトレン
ズ用液剤の組成を示す。殺菌効力はセラチア・マルセッ
センスについて調べた。実験結果を表5に示す。また実
施例1と同様にして行ったPHMBとポリクワテリウム-6共
存の場合の理論値と実測値の比較を表5に併記した。
表5から理論値より実測値が高い値を示し、PHMBとポリ
クワテリウムに相乗作用が存在することがわかった。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】実施例3,比較例5,6 ビグアニドとして低濃度のグルコン酸クロルヘキシジン
(丸石製薬(株)製)を用いた場合の実験例である。表
6に、用いたコンタクトレンズ用液剤の組成を示す。殺
菌効力試験はセラチア・マルセッセンス、黄色ブドウ球
菌について行った。実験結果および実施例1と同様にし
て行ったPHMBとグルコン酸クロルヘキシジン共存の場合
の理論値と実測値の比較を表7に示した。
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】表7から、グルコン酸クロルヘキシジンは0.000
5w/v%のような低濃度ではアミノ酸の存在下において
も、その殺菌効力は極めて低いが、ポリクワテリウム-6
の共存により高い殺菌効力を示した。また理論値より実
測値が高くなり、両者の相乗作用の存在が確認された。
【0057】実施例4,比較例7,8 PHMBとポリクワテリウム-6の濃度が極端に低い場合の殺
菌効果についての実験例である。表8に、用いたコンタ
クトレンズ用液剤の組成を示す。殺菌効力試験はセラチ
ア・マルセッセンスについて行った。実験結果および実
施例1と同様にして行った理論値と実測値の比較を表9に
示した。
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】表9の結果から、ポリクワテリウム単独ではほ
とんど殺菌効力がないことがわかった。またPHMB単独で
も殺菌効力は不満足なものであった。一方両者が共存す
ると高い殺菌効力を示し、実測値は理論値より高い値を
示しポリクワテリウムとPHMBの相乗作用が確認された。
【0061】実施例5,比較例9 等張化剤としてアミノ酸を用いた場合と塩化ナトリウム
を用いた場合を比較した実験例である。表10に、用いた
コンタクトレンズ用液剤の組成を示す。殺菌効力はカン
ジダ・アルビカンスについて調べた。実験結果を表11に
示した。
【0062】
【表10】
【0063】
【表11】
【0064】表11の結果からアミノ酸を等張化剤として用
い、PHMBとポリクワテリウム-6が共存する場合高い殺菌
効力を示すが、アミノ酸が存在せず、塩化ナトリウムを
等張化剤として用いた場合は、PHMBとポリクワテリウム
-6が共存しても、殺菌効力は不十分であることがわかっ
た。
【0065】実施例6〜21,比較例10〜12 本発明において、アミノ酸塩がレンズのサイズ変化を抑
制する効果を調べるため、以下の実験を行った。先ず下
表12〜15の成分組成となるように、それぞれの成分を添
加し、精製水中に溶解せしめた後、0.2μmのフィルター
でろ過滅菌ことにより、各種のコンタクトレンズ用液剤
を調製した。なお、ここで殺菌成分として用いられたPH
MB、Marquat100は実施例1と同様の市販品であり、Marqu
at550は米国:CALGON CORPORATION社製のポリクワテリ
ウム-7の中の4級アミン繰り返し単位55モル%の製品で
あり、LuviquatFC905は独国:BASF社製のポリクワテリ
ウム-16の中の4級アミン繰り返し単位90モル%の製品で
ある。またニッコールHCO-60は日光ケミカル社製の非イ
オン系界面活性剤で、ポリオキシエチレン(60モル)
硬化ヒマシ油である。
【0066】
【表12】
【0067】
【表13】
【0068】
【表14】
【0069】
【表15】
【0070】このようにして得られた各種コンタクトレンズ
用液剤に所定時間浸漬した時のグループ4ソフトコンタ
クトレンズの直径変化及び殺菌効力の試験結果を表16〜
19に示した。ここで実施例6から21は本発明に従うコン
タクトレンズ用液剤であり、比較例10〜12はアミノ酸塩
未添加の実験例を示す。
【0071】
【表16】
【0072】
【表17】
【0073】
【表18】
【0074】
【表19】
【0075】表16〜18の結果から明らかなように、本発明に
従う実施例6〜21においては、アミノ酸塩の添加によっ
て、レンズのサイズ変化は8%以下に抑制されている。
これに対し、アミノ酸塩未添加の比較例10〜12において
は、レンズのサイズ変化は10%を超過し、装用上問題が
生ずるおそれのある変化となっている。
【0076】一方セラチア・マルセッセンス及びカンジダ・
アルビカンスに対する殺菌効果については、実施例6〜1
9においては殺菌効果が高く、ISO消毒試験第1基準に適
合した。しかしアミノ酸塩のみで浸透圧を調整した実施
例20、21においては殺菌効果がやや低く、ISO消毒試験
第1基準に適合しなかった。この結果から、高い殺菌効
果を得るためには、アミノ酸及び又は非イオン性等張化
剤を併用するのが好ましいことがわかる。またアミノ酸
塩のみで浸透圧を調整する場合でも、実施例1に示すよ
うに、ホウ酸塩緩衝剤を用いると高い殺菌効力を得るこ
とが出来る。アミノ酸塩未添加の比較例10〜12において
は殺菌効果は高いが、上記の如くレンズのサイズ変化が
大きいため、ソフトコンタクトレンズには不適当であ
る。。
【0077】実施例22〜25 下記表20の成分組成となるように、それぞれの成分を添
加し、滅菌精製水中に溶解せしめることにより、各種の
コンタクトレンズ用液剤を調製した。
【0078】
【表20】
【0079】次いで、このようにして得られた各種のコンタ
クトレンズ用液剤について、セラチア・マルセッセンス
及びカンジダ・アルビカンスに対するそれぞれの殺菌効
力(4時間後の菌減少量)を先の殺菌効果試験に従って
調べ、結果を表21に示した。またレンズを上記液剤に浸
漬した後のサイズ変化を先のレンズ変化率測定試験に従
って調べ、表21に併記した。
【0080】
【表21】
【0081】表21の結果から明らかなように、本発明に従う
実施例22〜25においては、セラチア・マルセッセンス及
びカンジダ・アルビカンス何れに対しても高い殺菌効力
を示し、ISO消毒試験第1基準に適合するのみでなく、グ
ループ4レンズのサイズ変化が8%以下であり、実質的に
問題ない範囲に入っている。
【0082】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のコンタクトレンズ用液剤においては、アミノ酸及び/
又はアミノ酸塩の存在下でビグアニド系殺菌成分とポリ
クワテリウム系殺菌成分を併用することにより、両殺菌
成分の相乗作用が生ずるため、殺菌成分をより低濃度で
用いることが出来、眼に対する安全性を高めると同時に
優れた殺菌効力を発揮せしめることが出来る。また本発
明のソフトコンタクトレンズ用液剤はアミノ酸及び/又
は非イオン性等張化剤により発生するソフトコンタクト
レンズのサイズ変化を、特定量のアミノ酸塩の添加によ
り抑制することが出来るため、レンズのサイズ変化によ
り装用感を損なったり、安全上問題を生じたりすること
なく、高い殺菌効果を達成することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 47/44 A01N 47/44 61/00 61/00 D C11D 3/48 C11D 3/48 7/10 7/10 7/22 7/22 7/26 7/26 7/32 7/32 17/08 17/08 Fターム(参考) 2H006 DA08 4H003 BA12 DA16 EA18 EB12 EB13 EB16 EB28 FA01 FA21 FA34 4H011 AA02 BA01 BA06 BB11 BB19 BC03 BC04 BC06 BC18 DA13 DD07 DH02 DH08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1種以上のビグアニド系殺菌剤成分0.00
    0001〜0.001w/v%及び1種以上のポリクワテリウム系殺
    菌成分0.00001〜0.1w/v%を含有すると共に、等張化剤
    としてアミノ酸及び/又はアミノ酸塩を含有せしめたこ
    とを特徴とするコンタクトレンズ用液剤。
  2. 【請求項2】 さらに緩衝剤としてホウ酸塩緩衝剤を
    含有する場合は、等張化剤として0.05〜2w/v%のアミノ
    酸塩を含む請求項1記載のコンタクトレンズ用液剤。
  3. 【請求項3】 1種以上のビグアニド系殺菌剤成分0.00
    0001〜0.001w/v%及び1種以上のポリクワテリウム系殺
    菌成分0.00001〜0.1w/v%を含有すると共に、非イオン
    性等張化剤及び/又はアミノ酸と0.05〜2w/v%のアミノ
    酸塩を含有する液剤であって、且つ前記非イオン性等張
    化剤及び/又はアミノ酸および前記アミノ酸塩が、前記
    液剤の浸透圧が200〜400mOsmの浸透圧を与える割合にお
    いて含有せしめることを特徴とするソフトコンタクトレ
    ンズ用液剤。
  4. 【請求項4】 前記アミノ酸塩濃度が0.05〜0.6w/v%
    である請求項1乃至3記載のソフトコンタクトレンズ用液
    剤。
  5. 【請求項5】 緩衝剤としてトリス緩衝剤を用いる請
    求項1,3,4記載のソフトコンタクトレンズ用液剤。
  6. 【請求項6】 前記ポリクワテリウム系殺菌成分が4級
    アミン繰り返し単位50〜100モル%を含有するものであ
    る請求項1乃至5記載のコンタクトレンズ用液剤。
  7. 【請求項7】 前記ポリクワテリウム系殺菌成分がポ
    リクワテリウム-6である請求項1乃至6記載のコンタクト
    レンズ用液剤。
  8. 【請求項8】 前記ビグアニド系殺菌剤がポリヘキサ
    メチレンビグアニドまたはクロルヘキシジンの可溶性塩
    である請求項1乃至7記載のコンタクトレンズ用液剤。
  9. 【請求項9】 前記アミノ酸塩がL-グルタミン酸塩及び
    /又はL-アスパラギン酸塩である請求項1乃至8記載のソ
    フトコンタクトレンズ用液剤。
  10. 【請求項10】 前記請求項1〜9の何れかに記載のソフト
    コンタクトレンズ用液剤に,室温雰囲気下でソフトコン
    タクトレンズを浸漬した後取り出し、そのまま眼に装用
    することを特徴とするソフトコンタクトレンズの洗浄、
    消毒、保存方法。
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