JP2016183116A - 抗菌剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カチオン性基含有ポリマーを含む抗菌剤組成物であって、該抗菌剤組成物は、更に疎水変性ポリアルキレングリコール化合物を含み、該カチオン性基含有ポリマーと疎水変性ポリアルキレングリコール化合物の総量に対するカチオン性基含有ポリマーの割合が15〜85質量%、及び、疎水変性ポリアルキレングリコール化合物の割合が15〜85質量%であることを特徴とする抗菌剤組成物。
【選択図】なし
Description
このようなポリマー型の抗菌剤として、カチオン性基を有するポリマーを含む組成物が開示されている(例えば特許文献1〜3参照)。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
このようなカチオン性基含有ポリマーと疎水変性ポリアルキレングリコール化合物を含む抗菌剤組成物を、微生物に作用させると、組成物中のカチオン性基含有ポリマーのカチオン性基がマイナスの電荷を有する微生物の表面に吸着し、細胞膜の流動性を増加させ、さらに疎水変性ポリアルキレングリコール化合物が細胞膜を構成する脂質等の間の相互作用を破壊することにより、微生物の細胞の破壊が進行することが推定される。したがって、本発明の抗菌剤組成物は、カチオン性基含有ポリマーと疎水変性ポリアルキレングリコール化合物との相乗効果により、抗菌性能が向上すると考えられる。
上記カチオン性基含有ポリマーの割合が30〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜60質量%である。
上記疎水変性ポリアルキレングリコール化合物の割合が30〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜60質量%である。
本発明の抗菌剤組成物におけるカチオン性基含有ポリマーと疎水変性ポリアルキレングリコール化合物との含有割合が上記好ましい範囲であれば、組成物の抗菌性能がより向上する傾向にある。
上記疎水性基として具体的には、例えば、炭素数1〜50の炭化水素基が挙げられる。上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基 、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられる。上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、更に好ましくはアルキル基である。
上記疎水性基は、直鎖型又は分岐型のいずれであってもよい。
また、上記炭化水素基の炭素数としては、1〜50が好ましく、より好ましくは1〜30であり、更に好ましくは1〜20、特に好ましくは8〜18である。
本発明の疎水性基が上記好ましい基であれば、疎水性PAGにおける親水性と疎水性のバランスがより良好なものとなり、細胞膜への浸透性がより向上し、抗菌性能が高くなる。
上記2価の連結基としては、特に制限されず、エーテル基、エステル基等が挙げられる。また、疎水変性PAGを後述する疎水変性PAGの製造方法により製造する場合には、ポリアルキレングリコール化合物の末端の基と疎水性基含有化合物の反応基との反応により2価の連結基が形成されることとなる。
本発明の疎水変性PAGが有するポリアルキレングリコール鎖は、炭素数2〜18のオキシアルキレン基から構成される高分子鎖(ポリアルキレンオキシド)であることが好ましい。オキシアルキレン基の炭素数は、より好ましくは、2〜8であり、更に好ましくは、2〜4である。
上記疎水変性PAGの市販品としては、上記式(1)においてR1がアルキル基、X1がエーテル基、X2が直接結合、R2が水素原子である化合物等が挙げられる。このような化合物として、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。上記ポリエチレングリコールアルキルエーテルにおいて、アルキル基の炭素数が12であり、エチレンオキシドの平均付加モル数が8である、エマルゲン108(花王株式会社製)及びアルキル基の炭素数が18であり、エチレンオキシドの平均付加モル数が12である、エマルゲン320P(花王株式会社製)は、本発明における好適な疎水変性PAGの1つである。
上記R3、R4のいずれかが炭化水素基である場合、炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルケニル基であることが好ましい。
上記R3、R4のいずれかが反応性の官能基である場合、反応性の官能基としてはアミノ基、エポキシ基、カルボン酸(塩)基、硫酸(塩)基、リン酸(塩)基等が挙げられる。好ましくはエポキシ基、である。
上記R3、R4のうち少なくとも一方は、水素原子であることが好ましい。
上記R3又はR4が、炭素数3〜4のアルケニル基である場合、X3又はX4は、エステル基又はエーテル基であることが好ましい。
上記疎水性基含有化合物は、ポリアルキレングリコール含有化合物のポリアルキレングリコール鎖末端の水素原子又は反応性官能基と反応することができる官能基を有していることが好ましい。
上記官能基としては、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸(塩)基、硫酸(塩)基、リン酸(塩)基等が挙げられる。好ましくはエポキシ基である。上記疎水性基含有化合物がエポキシ基を有する化合物である場合、これらの中でも、グリシジルエーテル基を有する化合物が好ましい。
上記疎水性基含有化合物がグリシジルエーテル基を有する化合物である場合、下記式(3);
上記疎水性基の具体例及び好ましい形態は、上述のとおりである。
また反応時間は、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、2〜24時間である。
上記反応系内の雰囲気は、空気雰囲気のままで行ってもよいが、不活性雰囲気とするのがよい。例えば、反応開始前に系内を窒素などの不活性ガスで置換し、窒素気流化において反応を行うことが好ましい。
上記反応工程では、触媒を用いることが好ましい。上記触媒としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、より好ましくは水酸化カリウムである。
上記R6及びR7のうち少なくともいずれか一方は、炭素数1〜5の炭化水素基であることが好ましく、R6及びR7の両方が炭素数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。すなわち、カチオン性基としては、第1〜3級アミノ基の中でも、第3級アミノ基が好ましい。
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、更に好ましくはアルキル基である。
また、上記炭化水素基の炭素数としては、1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1〜2である。
上記R8〜R10のうち少なくともいずれか1つは、炭素数1〜5の炭化水素基であることが好ましく、R8〜R10のすべてが炭素数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。
上記式(6)におけるR8及びR10は、同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜5のアルキル基であることが更に好ましい。
上記式(6)におけるR9は、炭素数2〜5のアルケニル基であることが更に好ましい。
上記R12、R13は、水素原子であることが好ましい。
上記式(7−1)における2価の連結基としては、特に制限されないが、例えば、下記式(8);
上記式(7−2)におけるR8及びR10は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
上記式(7−2)におけるR9は、炭素数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。
上記カチオン性基含有単量体として、好ましくは、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−2−ジエチルアミノエチル、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドであり、より好ましくはメタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルである。
重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
連鎖移動剤としては、通常用いられる連鎖移動剤が使用できる。具体的には、例えば、チオール系連鎖移動剤;ハロゲン化物;第2級アルコール;亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩等;亜硫酸塩、重亜硫酸塩等の、低級酸化物等が挙げられ、これらの具体例としては、WO2011/158945号公報に記載のものと同様のものが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもよいし、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記連鎖移動剤の中でも、次亜リン酸(塩)及び/又は重亜硫酸塩を使用することが好ましい。より好ましくは次亜リン酸(塩)であり、更に好ましくは次亜リン酸ナトリウム(ホスフィン酸ナトリウム)である。
上記連鎖移動剤を用いる場合、添加量は、特に制限されないが、全単量体成分1モルに対して、1〜20gであることが好ましい。より好ましくは2〜15gである。
上記その他の成分としては、組成物の抗菌性能を阻害するものでない限り特に制限されないが、例えば、アルカリ調整剤、アニオン界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性基含有ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定条件、装置などは以下の通りである。
装置:東ソー製 EcoSEC HLC−8320GPC
検出器:示差屈折率計(RI)検出器
カラム:東ソー製 TSKgel α−M、α−2500
カラム温度:40℃
流速:0.4mL/min
注入量:20μL(試料濃度0.4wt%の溶離液調製溶液)
検量線:ジーエルサイエンス社製 ポリエチレングリコール
GPCソフト:東ソー製 EcoSEC−WS
溶離液:0.1Mホウ酸バッファー(pH9.2)/アセトニトリル=4/1(重量比)
グリシジルエーテルの転化率は、反応液中に残存するグリシジルエーテルの量を検出器にFIDを備えるガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製;GC−2010)を用いて、内部標準法で定量することにより算出した。
抗菌剤組成物を含む水溶液をミューラーヒントン培地中で2倍ずつ順次希釈していき、抗菌剤含有培地の希釈系列を調製した。その後、各濃度の抗菌剤を含有する培地をポリスチレン製96穴プレートに50μLずつ添加した。次に、18時間ミューラーヒントン寒天培地上で生育させた大腸菌(Escherichia coli、NBRC−3972)又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、NBRC−12732)のコロニーをバターフィールド緩衝液に懸濁し、10×108個/mL程度の菌液を調製した。調製した菌液をミューラーヒントン培地中で10×106個/mL程度まで希釈し、上記で調製した希釈系列に対して50μLずつ添加した。35℃にて20時間静置後、菌が生育していない培地中の最小の抗菌剤濃度(ppm)を最小発育阻止濃度(MIC)として決定した。菌の生育の有無は、目視にて濁度が上昇しているかによって判断した。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水59.0gを仕込み、攪拌下、90℃に昇温した。
次いで攪拌下、90℃一定状態の重合反応系中にメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(和光純薬工業(株)製、以下、DAMともいう)62.9g、10%2,2’−アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(和光純薬工業(株)製、以下、V−50ともいう)水溶液64.1g、酢酸(和光純薬工業(株)製)22.8g、をそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、DAMを120分間、V‐50水溶液を150分間、酢酸を120分間とした。また、滴下開始時間に関して、各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結させた。得られた重合体1の重量平均分子量は5600であった。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水53.0gを仕込み、攪拌下、90℃に昇温した。
次いで攪拌下、90℃一定状態の重合反応系中にDAM50.3g、10%V−50水溶液51.3g、酢酸18.3g、をそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、DAMを120分間、V‐50水溶液を150分間、酢酸を120分間とした。また、滴下開始時間に関して、各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結させた。得られた重合体2の重量平均分子量は8500であった。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水75.0gを仕込み、攪拌下、90℃に昇温した。
次いで攪拌下、90℃一定状態の重合反応系中にDAM50.3g、10%V−50水溶液19.2g、酢酸18.3g、5%ホスフィン酸ナトリウム一水和物(和光純薬工業(株)製、以下SHPともいう)の水溶液12.8gをそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、DAMを120分間、V‐50水溶液を150分間、酢酸を120分間、SHP水溶液を165分間とした。また、滴下開始時間に関して、各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結させた。得られた重合体3の重量平均分子量は11000であった。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水89.5gを仕込み、攪拌下、90℃に昇温した。
次いで攪拌下、90℃一定状態の重合反応系中にDAM50.3g、V−50水溶液19.2g、酢酸18.3gをそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、DAMを120分間、V‐50水溶液を150分間、酢酸を120分間とした。また、滴下開始時間に関して、各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結させた。得られた重合体4の重量平均分子量は14000であった。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水70.5gを仕込み、攪拌下、90℃に昇温した。
次いで攪拌下、90℃一定状態の重合反応系中にDAM50.3g、3%V−50水溶液32.0g、酢酸18.3g、をそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、DAMを120分間、V−50水溶液を150分間、酢酸を120分間とした。また、滴下開始時間に関して、各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結させた。得られた重合体5の重量平均分子量は22000であった。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水89.5gを仕込み、攪拌下、90℃に昇温した。
次いで攪拌下、90℃一定状態の重合反応系中にDAM50.3g、3%V−50水溶液10.7g、酢酸18.3g、をそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、DAMを120分間、V−50水溶液を150分間、酢酸を120分間とした。また、滴下開始時間に関して、各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結させた。得られた重合体6の重量平均分子量は75000であった。
温度計、冷却器を備えた300mlの4つ口フラスコに、粉状の水酸化カリウムを2.85g、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数10モル、以下、IPN−10ともいう)を105.2g仕込み、窒素気流下120℃に昇温し、冷却器から生成する水を除去した。1時間反応後、90℃まで降温し、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製 デナコールEX−121)37.3gを滴下ロートで2時間かけて滴下した。その後2時間熟成し、IPN−10の2−エチルヘキシルグリシジルエーテル付加物(疎水変性PAG1)を得た。GCで2−エチルヘキシルグリシジルエーテルの転化率を分析したところ、99%であった。
温度計、冷却器を備えた300mlの4つ口フラスコに、粉状の水酸化カリウムを3.10g、IPN−10を105.2g仕込み、窒素気流下120℃に昇温し、冷却器から生成する水を除去した。1時間反応後、100℃まで降温し、ラウリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製 デナコールEX−192)50.0gを滴下ロートで2時間かけて滴下した。その後20時間熟成し、IPN−10のラウリルグリシジルエーテル付加物(疎水変性PAG2)を得た。GCでラウリルグリシジルエーテルの転化率を分析したところ、99%であった。
得られた重合体1〜6と、疎水変性PAG1〜2又はエマルゲン108(花王株式会社製)、エマルゲン320P(花王株式会社製)とをそれぞれ80/20、50/50、15/85質量%の割合で混合し、最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。また比較例として、重合体1〜6若しくはアルコキシ基の炭素数が12、エチレンオキシドの平均付加モル数が10のアルコキシポリエチレングリコールメタクリレートである、アントックスLMA−10(日本乳化剤社製)のみのもの、又は、重合体4とエチレンオキシドの平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムである、エマール270J(花王株式会社製)とを6/94質量%の割合で混合したものについてもMICを測定した。結果を表1に示した。
Claims (4)
- カチオン性基含有ポリマーを含む抗菌剤組成物であって、
該抗菌剤組成物は、更に疎水変性ポリアルキレングリコール化合物を含み、
該カチオン性基含有ポリマーと疎水変性ポリアルキレングリコール化合物の総量に対する
該カチオン性基含有ポリマーの割合が15〜85質量%、及び、
該疎水変性ポリアルキレングリコール化合物の割合が15〜85質量%であることを特徴とする抗菌剤組成物。 - 前記カチオン性基含有ポリマーは、第3級アミノ基を有することを特徴とする請求項1に記載の抗菌剤組成物。
- 前記疎水変性ポリアルキレングリコール化合物は、非イオン性の化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌剤組成物。
- 前記疎水変性ポリアルキレングリコール化合物は、疎水性基として炭素数1〜50の炭化水素基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌剤組成物。
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