JPH11315741A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置

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JPH11315741A
JPH11315741A JP10119619A JP11961998A JPH11315741A JP H11315741 A JPH11315741 A JP H11315741A JP 10119619 A JP10119619 A JP 10119619A JP 11961998 A JP11961998 A JP 11961998A JP H11315741 A JPH11315741 A JP H11315741A
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engine
air
fuel ratio
internal combustion
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Harufumi Muto
晴文 武藤
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排気中における一酸化炭素(CO)や炭化水
素(HC)等の発生を抑制しつつ、機関始動後の触媒暖
機効率も向上させることのできる内燃機関の点火時期制
御装置を提供する。 【解決手段】 電子制御装置(ECU)30は、エンジ
ン1の排気系4に設けられた酸素センサ11の検出信号
に基づく燃料噴射量の空燃比フィードバック制御ととも
に、燃焼室3内の燃焼に係る点火時期の制御を併せ行
う。また、ECU30は、エンジン1の始動後、点火時
期の遅角を行い排気系4に設けられた排気浄化用の三元
触媒20の早期活性化を図る一方で、エンジン始動後の
所定時間の暖機増量後、酸素センサ11の検出信号に基
づく空燃比フィードバック制御の態様が、燃料噴射量の
増量から減量に反転した後に点火時期の遅角抑制を解除
することにより、エンジン始動後の平均的な排気特性の
最適化を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排気の浄化用三元
触媒を有する内燃機関の点火時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車載用内燃機関(エンジン)の排気系に
設けられた浄化用三元触媒が、好適な浄化作用を発揮す
るためには、その触媒温度が所定温以上となることが必
要である。このため、エンジン始動直後の触媒温が十分
に上昇していない期間においては、触媒浄化率が通常運
転時と比べ極端に低い。そこで、エンジン始動直後は通
常より点火時期を遅角することにより、排気系の速やか
な温度上昇を促す制御が従来より行われている。ところ
が、エンジン始動直後は燃焼室や吸気ポートの温度も低
く、燃焼状態が不安定となりがちである。このような状
況にあって、更に点火時期の遅角を行えば、アイドル安
定性の低下やドライバビリティの悪化を生じさせること
となり、空燃比をリッチ側に調節せざるを得なくなる。
そうなると、結局、排気中の一酸化炭素(CO)量や炭
化水素(HC)量を増加させる結果となる。そしてこの
ような傾向は、エンジン始動時の冷却水温が低いときほ
ど顕著となっている。
【0003】そこで、例えば特開平8−232645号
公報に記載された「エンジンの排気ガス浄化装置及び排
気ガス浄化方法」では、エンジン始動後の所定時間は、
遅角による排気温度の上昇効率が高まるような特定範囲
の空燃比を目標としてフィードバック制御を行うことに
より、浄化用三元触媒の活性化までの時間を短縮化する
こととしている。
【0004】さらに、特開平9−105374号公報に
記載された「エンジンの制御装置」では、エンジン始動
直後より、燃料噴射量の増量補正量を変数として含む所
定の関数が、ある程度以上の値をとると、点火時期の遅
角量を抑制又は禁止するように制御することとしてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前者の装置
及び方法では、三元触媒の早期活性化は図られるもの
の、触媒活性化期間、すなわち機関始動直後の点火時期
遅角による排気特性の悪化の根本的な解決はなされてい
ない。
【0006】また、後者の装置で適用される関数では、
点火時期遅角により排気特性が悪化してしまうタイミン
グと、点火時期の遅角量の抑制又は禁止を行うタイミン
グが必ずしも正確に一致しない。
【0007】本発明は、こうした実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、排気中における
一酸化炭素(CO)や炭化水素等(HC)の発生を抑制
しつつ、機関始動後の触媒暖機効率も向上させることの
できる内燃機関の点火時期制御装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気系内に
設けられた排気浄化用触媒と、同じく排気系に設けら
れ、その排気から当該機関に供給される混合気の空燃比
を検出する空燃比検出手段と、該検出される空燃比に基
づき同空燃比が所定の範囲内に収束されるようにフィー
ドバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、前
記排気浄化用触媒の床温を上昇させるべく同機関の燃焼
に係る点火時期を遅角させる点火時期遅角手段と、当該
機関の始動後、前記空燃比検出手段により検出される空
燃比の切換わり時期まで、前記点火時期遅角手段による
点火時期の遅角を抑制する点火時期遅角抑制手段とを備
えることを要旨とする。
【0009】内燃機関の始動直後、点火時期を遅角すれ
ば、暖機性が向上して排気浄化用触媒が早く活性化する
反面、ドライバビリティが不安定になり易くなり、結局
この暖機期間の排気特性が悪化する。その点、上記構成
によれば、排気特性及びドライバビリティを緻密に反映
する空燃比の切換わり時期に基づいて点火時期の遅角或
いは遅角の抑制を行うことにより、内燃機関の暖機性向
上と、ドライバビリティの不安定化がもたらす排気特性
悪化の抑制とを最適な点で均衡させることができるよう
になる。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
内燃機関の点火時期制御装置において、前記空燃比フィ
ードバック制御手段は、前記検出される空燃比がリッチ
のときには燃料噴射量の減量補正係数となり、リーンの
ときには増量補正係数として逐次変更される空燃比補正
係数に基づき、同空燃比が所定の範囲内に収束されるよ
うにフィードバック制御するものであり、前記点火時期
遅角抑制手段は、前記機関の始動後、前記空燃比フィー
ドバック制御手段により設定される空燃比補正係数の補
正方向切換わり時期まで、前記点火時期遅角手段による
点火時期の遅角を抑制するものであることを要旨とす
る。
【0011】同構成によれば、同機関の空燃比と緻密な
対応関係を示す空燃比補正係数を用い、その補正方向切
換わり時期に基づいて点火時期の遅角或いは遅角の抑制
を行うことにより、機関始動後の空燃比の切換わり時期
に基づく点火時期の遅角或いは遅角の抑制に係る制御
を、より高い精度をもって行うことができるようにな
る。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2記載の
内燃機関の点火時期制御装置において、前記点火時期遅
角抑制手段は、当該機関の始動後、前記空燃比補正係数
が増量と減量との間で最初に反転する時期を基準とし
て、その後の点火時期の遅角抑制率を低下させることを
要旨とする。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項3記載の
内燃機関の点火時期制御装置において、前記点火時期遅
角抑制手段は、当該機関の始動後、前記空燃比補正係数
が増量と減量との間で2度目に反転する時期を基準とし
て、その後の点火時期の遅角抑制率を低下させることを
特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
【0014】上記請求項3又は4に記載した発明の構成
によれば、点火時期の遅角及び遅角の抑制を、機関始動
後の空燃比の変動に的確に対応させて行うことができる
ようになる。なお、空燃比補正係数の最初の反転であれ
2度目の反転であれ、空燃比がリッチ側に在する期間に
おいて点火時期遅角が強化される構成とすることが、ド
ライバビリティの安定化を図る上でより望ましい。
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項3又は4
記載の内燃機関の点火時期制御装置において、前記点火
時期遅角抑制手段は、前記空燃比補正係数が減量補正係
数である期間に選択的に前記遅角抑制率を低下させるこ
とを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
【0016】同構成によれば、機関始動後の空燃比に対
応させる点火時期の遅角及び遅角抑制に係る制御の緻密
性が一層増し、機関始動時に係るドラバビリティの安定
化が一層図られるようになる。
【0017】請求項6に記載の発明は、内燃機関の排気
系内に設けられた排気浄化用触媒と、該排気浄化用触媒
の床温を上昇させるべく当該機関の燃焼に係る点火時期
を遅角させる点火時期遅角手段と、当該機関の始動後、
同機関の燃焼室内の温度状態を推定する温度状態推定手
段と、該推定される温度状態の推移に基づいて、前記点
火時期遅角手段による点火時期の遅角を抑制する点火時
期遅角抑制手段とを要旨とする。
【0018】同構成によれば、機関始動後の排気特性及
びドライバビリティを緻密に反映する機関の燃焼室内の
温度状態の推移に基づいて点火時期の遅角量及び遅角抑
制量を決定することにより、ドライバビリティの安定性
維持に関しては、燃焼室内の温度状態に敏感な点火時期
遅角の許容範囲を的確に把握することができるようにな
る。ひいては、内燃機関の暖機性向上と、ドライバビリ
ティの不安定化がもたらす排気特性悪化の抑制とを最適
な点で均衡させることができるようになる。
【0019】請求項7に記載の発明は、請求項6記載の
内燃機関の点火時期制御装置において、前記温度状態推
定手段は、機関温度と機関始動後の積算吸気量とに基づ
いて前記機関の燃焼室内の燃焼状態を推定することを要
旨とする。
【0020】同構成によれば、機関始動時の燃焼室内の
温度状態と密接な関係にある機関温度と、機関始動後の
燃焼室内の温度状態の変動と密接な関係にある積算吸気
量とから、機関始動後の燃焼室内の温度状態の経時的推
移を的確に把握することができるようになる。
【0021】請求項8に記載の発明は、請求項6又は7
記載の内燃機関の点火時期制御装置において、当該機関
の排気系に設けられ、その排気から当該機関に供給され
る混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、該検出
される空燃比がリッチのときには燃料噴射量の減量補正
係数となり、リーンのときには増量補正係数として逐次
変更される空燃比補正係数に基づき、同空燃比が所定の
範囲内に収束されるようにフィードバック制御する空燃
比フィードバック制御手段と、該空燃比フィードバック
制御手段による空燃比フィードバック制御の実行の有無
に応じて前記点火時期遅角手段による点火時期の遅角量
を変更する遅角量変更手段とを更に備えることを要旨と
する。
【0022】同構成によれば、機関の燃焼状態が安定し
ているフィードバック制御実行時と、機関の燃焼状態が
安定していないフィードバック制御の非実行時とに対応
させて点火時期の遅角に係る調節の態様を変更すること
により、請求項5又は6に記載の発明による点火時期の
最適遅角量の算出に係る制御の緻密性が一層増すことと
なる。
【0023】請求項9に記載の発明は、内燃機関の排気
系内に設けられた排気浄化用触媒と、該排気浄化用触媒
の床温を上昇させるべく当該機関の燃焼に係る点火時期
を遅角させる点火時期遅角手段と、当該機関の始動後の
所定期間、前記点火時期遅角手段による点火時期の遅角
を抑制する点火時期遅角抑制手段と、当該機関のアイド
ル運転状態から非アイドル状態への移行に伴い、前記点
火時期遅角抑制手段による点火時期の遅角抑制率を切り
換える遅角抑制率切換手段とを備えることを要旨とす
る。
【0024】同構成によれば、点火時期の遅角が機関燃
焼状態の安定性に及ぼす影響が相対的に大きく異なるア
イドル運転状態と非アイドル運転状態とに対応させて、
点火時期の遅角に係る調節の態様を変更することによ
り、適宜最適な点火時期を維持することができるように
なる。
【0025】請求項10に記載の発明は、内燃機関の排
気系内に設けられた排気浄化用触媒と、該排気浄化用触
媒の床温を上昇させるべく当該機関の燃焼に係る点火時
期を遅角させる点火時期遅角手段と、当該機関の始動後
の所定期間、前記点火時期遅角手段による点火時期の遅
角を抑制する点火時期遅角抑制手段と、当該機関のアイ
ドル運転状態から非アイドル運転状態への移行に伴い、
前記点火時期遅角抑制手段による遅角禁止手段とを備え
ることを要旨とする。
【0026】同構成によるように、特に非アイドル状態
においては、ドライバビリティの安定性維持を優先する
ことで、排気浄化用触媒の暖機促進と、ドライバビリテ
ィの安定性維持とを両立する好適な運転状態を保証する
ことができるようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
に係る内燃機関の点火時期制御装置を具体化した第1の
実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】図1は、本実施の形態に係る点火時期制御
装置を備えた自動車のエンジンシステムを示す概略構成
図である。このシステムにあって、エンジン1は、吸気
系2と、燃焼室3と、排気系4とに大別される。
【0029】このうち吸気系2は、その上流より、エア
クリーナ(図示せず)、スロットルバルブ5、及びサー
ジタンク6を有して構成され、またその各部には、吸気
量センサ7、スロットルポジションセンサ8、及び吸気
温センサ9等がそれぞれ設けられている。
【0030】これらセンサのうち、吸気量センサ7は、
スロットルバルブ5の上流側に配されて吸入空気の流量
(吸気量)Gaを検出するセンサであり、スロットルポ
ジションセンサ8は、アクセルペダル5aの踏み込み操
作に基づき開閉されるスロットルバルブ5の開度情報を
出力する開度センサ8aと、スロットルバルブ5の全閉
時にオン状態となるアイドルスイッチ8bとを内蔵す
る。また、吸気温センサ9は、エンジン1に吸入される
空気の温度(吸気温)THAを検出するセンサである。
【0031】また、この吸気系2には、燃料噴射弁10
が設けられている。図示しない燃料タンクから圧送され
る燃料は、該燃料噴射弁10の操作に応じてエンジン1
内に噴射供給され、同吸気系2を通じて吸入される空気
と混合される。
【0032】他方、排気系4は、三元触煤20、及び酸
素センサ11を備えて構成される。三元触媒20は、燃
焼室3から排出される排気中に含まれる一酸化炭素(C
O)、炭化水素(HC)、及び酸化窒素(NOx)を浄
化するために設けられる。酸素センサ11はこの三元触
媒20の上流に設けられ、三元触媒通過前における排気
中の酸素濃度を検出する。
【0033】その他、同エンジン1には、点火装置であ
るイグナイタ12、分配器であるディストリビュータ1
3が設けられ、その分配された点火電圧が、各気筒の燃
焼室3に設けられた点火プラグ14に印加されるように
なっている。
【0034】また、上記ディストリビュータ13には回
転数センサ15及び気筒判別センサ16が設けられ、こ
れらセンサ15及び16を通じて、当該エンジン1のエ
ンジン回転数NEが検出され、また燃焼気筒が判別され
る。
【0035】また、同エンジン1は、そのシリンダブロ
ック1a内を循環する冷却水によって冷却されるように
なっており、その冷却水の水温が、同シリンダブロック
1aに設けられた水温センサ17によって検出されるよ
うになる。
【0036】こうしたエンジンシステムにおいて、上述
した各センサの出力は、エンジン1の制御系としての役
割を司どる電子制御装置(以下、ECUという)30に
対し入力される。
【0037】図2は、このECU30のハードウエア構
成についてその概要を示したものであり、次に、この図
2を併せ参照して、同ECU30の内部構成を説明す
る。同図2に示すように、ECU30は、CPU31
a、ROM31b、RAM31c、及びバックアップR
AM31d等を内蔵したマイクロコンピュータ31を中
心に構成される。
【0038】このマイクロコンピュータ31の入力ポー
トには、アイドルスイッチ8b、回転数センサ15、気
筒判別センサ16、をはじめ、A/D変換回路34を介
して、吸気量センサ7、吸気温センサ9、水温センサ1
7、開度センサ8a、及び酸素センサ11等のアナログ
信号を出力するセンサが接続されている。また、同マイ
クロコンピュータ31の出力ポートには、イグナイタ1
2や燃料噴射弁10を駆動する駆動回路35等が接続さ
れている。ECU30は、こうしてマイクロコンピュー
タ31に取り込まれる各センサの出力に基づいて、エン
ジン1の燃料噴射量(時間)や点火時期にかかる各種制
御を実行する。
【0039】次に、上記ECU30が実行する各種制御
のうち、エンジン1の始動時から暖機運転終了時にかけ
て実行される点火時期遅角制御の詳細について、公知の
空燃比フィードバック制御と併せて説明する。
【0040】先ず周知のように、空燃比フィードバック
制御(以下、F/B制御という)を行うエンジンシステ
ムにおいては、制御系(例えばECU)がエンジンに供
給する燃料噴射量を決定する際には、先ず吸気量やエン
ジン回転数等に基づき基本燃料噴射量(時間)TAUb
sを算出し、例えば以下に示す演算式(1)に従って最
終的な目標燃料噴射量(時間)TAUfを算出する。 TAUf = TAUbs×FAF×K1×K2×…×Kn (1) 但し、 FAF :空燃比フィードバック補正係数 K1〜Kn:各種補正係数 ここで、空燃比フィードバック補正係数FAFは、燃焼
に係る空燃比(燃焼空燃比)A/Fが理論空燃比(通常
14.7)に収束するように、排気系に設けられた酸素
センサからの検出信号に応じて、基本燃料噴射量TAU
bsを増減するための補正係数であり、所定周期で増減
を繰り返すものである。一方、各種補正係数K1〜Kn
は、暖機増量や加減速時等、各種の運転状態に応じて適
宜基本燃料噴射量(時間)TAUbsに加味されるもの
である。
【0041】次に、本実施形態に係るエンジン1を含
め、F/B制御を行うエンジンにおいて、始動直後にみ
られる空燃比フィードバック補正係数FAF及び燃焼に
係る燃焼空燃比A/Fの変化態様について説明する。
【0042】図3は、エンジン1の始動後、空燃比A/
Fが理論空燃比近傍で安定するまでの期間、いわゆる暖
機運転期間における空燃比フィードバック補正係数FA
F(図3(a))及び燃焼空燃比A/F(図3(b))
の推移例を同一時間軸(横軸)上に示すタイムチャート
である。
【0043】先ず、エンジン始動時(t0)直後におい
ては、燃焼空燃比A/Fをリッチ(燃料過多)として安
定した燃焼状態の維持を優先的に図るとともに、エンジ
ン1の暖機を促すため、燃料噴射量の強制的な増量補正
を行い、F/B制御は行わない。
【0044】このため、図3(a)に示すように、エン
ジン始動時から時刻Aまでの所定時間は、空燃比フィー
ドバック補正係数FAFは基準値「1.0」(補正な
し)を維持することとなる。時刻ta以後F/B制御が
開始されると、これまでリッチ側(A/F<14.7)
にあった燃焼空燃比A/Fが理論空燃比に向かうよう空
燃比フィードバック補正係数FAFの減量を開始する。
すなわち、空燃比フィードバック補正係数FAFは、先
ず所定の比例定数RSL分減量(スキップ制御)された
後、酸素センサ11からの検出信号に基づく燃焼空燃比
が理論空燃比に回復するまで所定の変化率をもって更に
徐変減量(積分制御)される。そして、同燃焼空燃比が
理論空燃比に達した後(時刻tb以後)は、周知の空燃
比フィードバック制御の態様に移行する。すなわち、所
定の比例定数RSR分の増量(スキップ制御)、徐変に
よる増量(積分制御)、所定の比例定数RSL分の減
量、徐変による減量(積分制御)を順次繰り返す態様で
空燃比フィードバック補正係数FAFを増減させつつ燃
焼空燃比A/Fを理論空燃比に収束させるよう燃料噴射
量(時間)の補正を行う。
【0045】一方、ECU30は、エンジン1の運転状
態に応じて混合気の燃焼に係る点火時期の制御を行う。
この点火時期の決定に際しては、先ず、吸気量Ga及び
エンジン回転数NE等に基づき、周知の基本点火時期マ
ップを参照して基本点火時期Absを算出する。そして
この基本点火時期Absに対し、暖機促進、アイドル運
転時の運転安定性向上、及びノック抑制等の制御に係る
各種補正係数を加味することにより、目標となる点火時
期AOPを決定する。
【0046】ここで、本実施形態に係る点火時期制御装
置では、前記空燃比フィードバック制御の開始前後に係
るエンジン始動直後、エンジンの速やかな暖機と三元触
媒による好適な排気浄化作用の維持とを両立させるべ
く、基本点火時期Absの補正量である点火時期遅角量
ACATの算出を行う。
【0047】以下、本実施形態においてECU30によ
り実行される「冷間始動時の点火時期遅角制御ルーチ
ン」の処理内容について、フローチャートを参照して説
明する。
【0048】図4は、エンジン1の冷間始動時におい
て、基本点火時期Absの補正量である目標点火時期遅
角量ACATを算出するための「冷間始動時の点火時期
遅角制御ルーチン」を示すフローチャートである。本ル
ーチンは、ECU30により所定時間毎に周期的に実行
される。
【0049】処理がこのルーチンに移行すると、ECU
30は先ずステップ101において、エンジン1の運転
状態が冷間始動時にあるか否か、すなわち、冷却水温T
HWが所定温(例えば70℃)未満であり、且つエンジ
ン1の始動後所定時間経過前であるか否かを判断する。
そしてその判断が肯定であれば、冷間始動時に係る点火
時期遅角制御の実行条件下にあるとみなして処理をステ
ップ102に移行し、一方、その判断が否定であれば本
ルーチンを抜ける。
【0050】ステップ102においては、基本遅角量A
CATmapを算出する。この基本遅角量ACATma
pは、冷却水温THW、吸気量Ga、及びエンジン回転
数NE等に基づき、図示しない周知の基本遅角量マップ
を参照して算出する。
【0051】ちなみに、このマップ上で求まる基本遅角
量ACATmapは、冷却水温THWが高いときほど大
きく、吸気量Gaが大きいときほど小さく、またエンジ
ン回転数NEが高いときほど小さく設定される傾向にあ
る。ただし、同基本遅角量ACATmapと各種パラメ
ータTHW,Ga,NE等との関係は、ノッキング回避
等、実験的な設定要素への依存も大きいため、必ずしも
単調なものではない。
【0052】続くステップ103においては、遅角量抑
制率α(0≦α≦1)の算出を行う。遅角量抑制率α
は、エンジン始動時からの時間経過に伴う三元触媒20
の暖機状態の変化を反映する経過時間より一義的に求ま
るよう設定される関数であり、エンジン始動時から所定
時間は一定値(「1」)を保持し、当該時間経過後、基
本遅角量ACATmapを所定の割合で減衰させていく
ように設定される周知の補正係数である。すなわち、エ
ンジン始動時から時間が経過するほど三元触媒20の床
温が徐々に上昇すると推定されるので、暖機作用の必要
性が減少するにつれ、点火時期の遅角量も減衰させてい
くのである。
【0053】更に続くステップ104においては、エン
ジン始動後、フィードバック補正係数FAFに減量から
増量への反転履歴があるか否かを認識する。前述したよ
うに、エンジン始動時から所定時間が経過するまでF/
B制御は開始されず、空燃比フィードバック補正係数F
AFは基準値「1」(補正なし)を維持することとなる
(図3(a)参照)。そして、F/B制御が開始される
と、これまでリッチ傾向にあった燃焼空燃比A/Fを理
論空燃比に収束させる。このとき、当該F/B制御の態
様として、空燃比フィードバック補正係数FAFは、先
ず所定の比例定数RSL分減量(リーンスキップ制御)
された後、酸素センサ11からの検出信号に基づく空燃
比が理論空燃比に回復するまで所定の変化率をもって更
に徐変減量(積分制御)されることとなる。ここで、図
3(b)において示すように、時刻tbに燃焼空燃比が
初めてリッチ(A/F<14.7)からリーン(A/F
≧14.7)に移行し、これに対応してECU30は、
空燃比フィードバック補正係数FAFを所定の比例定数
RSR分増量(リッチスキップ制御)する(図3(a)
参照)。すなわち、同ステップ104では、エンジン始
動後、このリッチスキップ制御の履歴があるか否かを認
識することにより、燃焼空燃比A/Fが理論空燃比(1
4.7)近傍にあるか否かを判断することとしている。
そしてECU30は、その判断が肯定であれば処理をス
テップ105に移行し、その判断が否定であれば処理を
ステップ106に移行する。
【0054】ステップ105においては、前述した遅角
抑制率αに加え、空燃比A/Fに応じて基本遅角量AC
ATmapに更なる抑制項として加味される遅角量抑制
率βを「1.0」(抑制なし)に設定し、一方、ステッ
プ106においては同遅角量抑制率βを「0.2」に設
定する。そして、いずれのステップにおける処理を経た
後においても、その後の処理をステップ107に移行す
る。
【0055】ステップ107においては、要求遅角量A
CATyの算出を行う。要求遅角量ACATyは、先に
求めた基本遅角量ACATmap及び上記遅角量抑制率
α,βに基づき以下の演算式(2)に従って算出する。 ACATy = ACATmap×α×β (2) 次に、ステップ108においては、過剰な点火時期遅角
によって起こる失火をガード(防止)するための処理を
行う。すなわち、別途ルーチンにおいて算出される基本
点火時期Absの最新値に前記ステップ107で算出さ
れた要求遅角量ACATyを加味することによって要求
点火時期AOPyを求める。そして、この要求点火時期
AOPyが燃料噴射量(時間)TAUfやエンジン回転
数NE等、現在の運転状態に照らして、失火領域内にあ
るか否かを図示しない周知の失火領域マップより判断す
る。要求点火時期AOPyが失火領域内にはないと判断
すれば、前記要求遅角量ACATyを今回の目標点火時
期遅角量ACATmとして記憶する。一方、要求点火時
期AOPyが失火領域内にあると判断すれば、前記失火
領域マップに基づいて、前記現在の運転状態において失
火領域外にある最も遅角側の点火時期を読み込むととも
に、この最も遅角側の点火時期に対応する点火時期遅角
量を逆算し、これを今回の目標点火時期遅角量ACAT
mとして記憶する。
【0056】続くステップ109においては、遅角量A
CATの急激な変動を抑制するために、目標遅角量AO
Pmの徐変処理を行う。すなわち、前回採用した点火時
期遅角量ACATと今回算出した目標点火時期遅角量A
OPmとの加重平均(なまし)処理を行い、今回の点火
時期遅角量ACATを算出する。
【0057】そしてECU30は、その後の処理を一旦
終了する。ECU30は、以上説明した「冷間始動時の
点火時期遅角制御ルーチン」に基づき、エンジン始動直
後、エンジン1の速やかな暖機と三元触媒20による好
適な排気浄化作用の維持とを両立させるべく、基本点火
時期Absの補正量である点火時期遅角量ACATの算
出を行う。
【0058】図5は、本実施形態の点火時期制御装置に
よりエンジン始動後の点火時期遅角制御を行う場合、空
燃比フィードバック補正係数FAF(図5(a))、空
燃比A/F(図5(b))、及び点火遅角量ACAT
(図5(c))がどのように変化するか、その推移例を
同一時間軸(横軸)上に示すタイムチャートである。
【0059】図5(a)及び図5(b)に示すように、
エンジン始動(時刻t0)後所定時間が経過し、F/B
制御が開始されると(時刻ta)、空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFの動作(図5(a))に応じて燃焼空
燃比A/Fもリッチから理論空燃比に向って収束をはじ
め、続いて理論空燃比を中心とした周期的な変動を繰り
返す(図5(b))ことは、先の図3において説明した
通りである。
【0060】ここで図5(c)に示すように、本実施形
態に係る点火時期遅角量ACATは、エンジン始動時
(時刻t0)直後には、「0.2」の遅角量抑制率βを
もって算出されることとなる(図4ステップ106及び
演算式(2)参照)。そして、空燃比フィードバック補
正係数FAFの最初の反転時(時刻tb)以降、点火遅
角量ACATは「1」の遅角量抑制率βをもって算出さ
れることとなる(図4ステップ105及び演算式(2)
参照)。この時、基本遅角量ACATmap及び遅角量
抑制率αの変動を無視すれば、点火時期遅角量ACAT
は時刻tb以降所定量に達するまで徐変増量(遅角量減
衰処理)されることとなり、以後、点火時期遅角量AC
ATに対する遅角量抑制率βの影響はなくなる。このた
め、点火時期遅角による排気特性の悪化の抑制と排気温
度の上昇による三元触媒20床温の速やかな温度上昇と
を最適な態様で均衡させることができるようになる。
【0061】以上説明したように、上記態様でエンジン
始動後の点火時期の遅角制御を行う本実施形態によれ
ば、以下のような効果が奏せられるようになる。すなわ
ち、エンジン1の冷間始動時において、空燃比フィード
バック制御開始後、燃焼空燃比A/Fが理論空燃比近傍
に達するタイミングを的確に捕らえ、点火時期の遅角抑
制を解除するようにしたことで、点火時期遅角による排
気特性の悪化の抑制と排気温度の上昇による三元触媒2
0床温の速やかな温度上昇とを最適な態様で均衡させる
ことができるようになり、もってエンジン始動後の平均
的な排気特性を最適化することができるようになる。
【0062】なお、本実施形態においては、エンジン1
の始動後、空燃比フィードバック補正係数FAFの最初
の反転時以降、遅角量抑制の低減を開始することとし
た。これに代え、空燃比フィードバック補正係数FAF
の2回目の反転時(図5(c)に時刻tcとして示す)
以降、すなわち燃焼空燃比A/Fが理論空燃比を越えて
リッチからリーンへ確実に移行し、更にリッチへ移行し
た後に遅角量抑制の低減を開始してもよい。点火時期の
遅角は、燃焼空燃比A/Fが理論空燃比近傍にあり、且
つリーン側よりもリッチ側において行う方が、ドライバ
ビリティの安定性には望ましい。そこで、このような構
成にすれば、遅角抑制の低減が理論空燃比A/F近傍の
リッチ側において開始されることとなり、ドライバビリ
ティに係る安定性保持の信頼性が更に増すこととなる。 (第2実施形態)次に、本発明に係る点火時期制御装置
を具体化した第2の実施の形態について、上記第1の実
施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0063】該第2の実施の形態の装置は、同じく自動
車のエンジンシステムに適用され、エンジン始動直後、
エンジンの速やかな暖機と三元触媒による好適な排気浄
化作用の維持とを両立させるべく、基本点火時期Abs
の補正量である点火時期遅角量ACATの算出を行うも
のである。
【0064】また、第2の実施の形態の装置にあって
も、適用対象とする自動車のエンジンシステムの構成
(図1)、ECU(電子制御装置)30の回路構成(図
2)は先の第1の実施形態の装置と同様であり、それら
構成に関するここでの重複する説明は割愛する。
【0065】先ず、本実施形態に係る装置が実行する冷
間始動時の点火時期遅角制御について、その概略を説明
する。F/B制御が行われる際、空燃比フィードバック
補正係数FAFは、比例定数分のスキップ(スキップ制
御)と徐変(積分制御)とによる増減を繰り返すこと
は、先の第1実施形態において説明した通りである。こ
こで、一般的に、アイドル運転時にF/B制御を行う際
には、通常運転時にF/B制御を行う際と比べて、スキ
ップ制御のための比例定数を小さく設定することが多
く、本実施形態のエンジンシステムにあっても同様の設
定がなされている。アイドル運転時においては、吸気量
Gaやエンジン回転数NE等の急変に対応するF/B制
御の高応答性よりは、むしろ空燃比フィードバック補正
係数FAFの変動幅を縮小させることの方が重視される
からである。
【0066】例えば、図6は、アイドル時のF/B制御
に係る空燃比フィードバック補正係数FAFの波形及び
これに対応する燃焼空燃比A/Fを同一時間軸上に示し
たタイムチャートである。
【0067】同図に示すように、アイドル運転時にF/
B制御を行う場合、通常運転時の場合に比してスキップ
制御にかかる比例定数RSR及びRSLが小さく設定さ
れている。このため、例えば空燃比フィードバックFA
Fは時刻tdにおいて所定の比例定数RSLをもって減
量(スキップ制御)されているが、燃焼空燃比A/Fは
同時刻tdにおいてリッチ(A/F<14.7)からリ
ーン(A/F≧14.7)には移行しておらず、空燃比
フィードバック補正係数FAFの積分制御がしばらく継
続した後、時刻teにおいてリーンに移行している。
【0068】ところで、エンジン始動後のアイドル運転
時のように、エンジン1の運転制御にとって運転状態の
安定性維持が優先する場合、点火時期の遅角を実行する
運転状態としては、燃焼空燃比A/Fが理論空燃比、或
いはリッチ側の理論空燃比近傍にあることが好ましい。
【0069】そこで、本実施形態では、エンジン始動
後、空燃比フィードバック制御が開始された後、燃焼空
燃比A/Fが理論空燃比近傍で、且つリッチ側にあるタ
イミングを選択して点火時期の遅角抑制を解除するよう
制御を行うこととしている。
【0070】さて、この第2の実施形態の装置による冷
間始動時の点火時期遅角制御では、先の図4において示
した「冷間始動時の点火時期遅角制御ルーチン」のステ
ップ104における処理に替え、図7に示す一連の異な
る処理、ステップ204a〜ステップ204cを行うこ
ととしている。
【0071】すなわち同図7に示すように、本実施形態
においては、ステップ103での遅角量抑制率αの算出
処理を経た後、処理をステップ204aに移行する。ス
テップ204aにおいては、エンジン始動後、空燃比フ
ィードバック補正係数FAFに係る増量から減量、若し
くは減量から増量への反転回数が2回以上であるか否か
を判断する。そして、その判断が肯定であれば処理をス
テップ204bに移行し、その判断が否定であれば本ル
ーチンを一旦抜ける。
【0072】ステップ204bにおいては、先に説明し
たF/B制御で、現在空燃比フィードバック補正係数F
AFの徐変減量に係る積分制御が実行されているか否か
を判断する。そして、その判断が肯定であれば処理をス
テップ204cに移行し、その判断が否定であれば本ル
ーチンを一旦抜ける。
【0073】ステップ204cにおいては、以下の不等
式(3)が成立するか否かの判断を行う。 ti < (tlskp − trskp)/2 (3) ただし、ti、tlskp、及びtrskpは、本ルーチンとは
別途に設けられたタイマカウンタにより所定周期でイン
クリメントされるカウント値を意味し、F/B制御に係
るFAFの変化態様に基づいて以下の時刻におけるカウ
ント値をそれぞれ記憶したものである。 ti :現在の時刻 tlskp:前回FAFが増量から減量に反転した時刻 trskp:前回FAFが減量から増量に反転した時刻 そこで、同ステップ204cにおいて上記不等式(3)
が成立していると判断すれば処理をステップ105に移
行し、同不等式(3)は成立していないと判断すれば処
理をステップ106に移行する。
【0074】そして、ステップ105又はステップ10
6以降の処理については先の第1実施形態において説明
したものと同一の処理を行うこととする。本実施形態の
点火時期制御装置は、以上説明した態様で先の第1実施
形態同様、エンジン始動直後、エンジンの速やかな暖機
と三元触媒による好適な排気浄化作用の維持とを両立さ
せるべく、基本点火時期Absの補正量である点火時期
遅角量ACATの算出を行う。
【0075】図8は、本実施形態の点火時期制御装置に
よりエンジン始動後の点火時期遅角制御を行う場合、空
燃比フィードバック補正係数FAF(図8(a))、空
燃比A/F(図8(b))、及び点火遅角量ACAT
(図8(c))がどのように変化するか、その一態様例
を同一時間軸(横軸)上に示すタイムチャートである。
【0076】図8(a)及び図8(b)に示すように、
エンジン始動後(時刻t0以後)所定時間が経過し、F
/B制御が開始されると、空燃比フィードバック補正係
数FAFの推移(図8(a))に応じて燃焼空燃比A/
Fもリッチから理論空燃比に向って収束をはじめ、続い
て理論空燃比を中心とした周期的な変動を繰り返す(図
8(b))ことは、先の第1実施形態と同様である。
【0077】ここで図8(c)に示すように、本実施形
態に係る点火時期遅角量ACATは、エンジン始動時
(時刻t0)直後には、「0.2」の遅角量抑制率βを
もって算出されることとなる(図7ステップ106及び
演算式(2)参照)。そして、空燃比フィードバック補
正係数FAFの最初の反転時(時刻t1)以降、点火遅
角量ACATは「1」の遅角量抑制率βをもって算出さ
れることも先の第1実施形態同様である。
【0078】ただし、本実施形態の点火時期制御装置で
は、先の図6で説明したように、燃焼空燃比A/Fが理
論空燃比近傍であり、且つ確実にリッチ側に在る期間
(td−te)(図6(b))を空燃比フィードバック補
正係数FAFの変化態様(図6(a))に基づいて選択
することにより、同期間(図8(c)においては期間T
1,T2,及びT3)に点火時期ACATに係る遅角抑制
を段階的に低減していくこととしている。このため、点
火時期遅角による三元触媒20床温の温度上昇を促すこ
とができるようになる。
【0079】以上説明したように、上記態様でエンジン
始動後の点火時期の遅角制御を行う本実施形態によれ
ば、以下のような効果が奏せられるようになる。すなわ
ち、エンジンの冷間始動時において、空燃比フィードバ
ック制御開始後、燃焼空燃比が理論空燃比近傍であっ
て、しかも点火時期遅角によるアイドル安定性の乱れを
生じないリッチ側に滞留している期間を緻密に捕らえ、
点火時期の遅角抑制を解除するようにしたことで、点火
時期遅角によるドライバビリティの低下に起因する排気
特性の悪化を一層好適に抑制しつつ、排気温度の上昇に
よる三元触媒20床温の速やかな温度上昇を促すことが
できるようになり、もってエンジン始動後の平均的な排
気特性を最適化することができるようになる。
【0080】なお、本実施形態においては、上記不等式
(3)に基づく判断に従い点火時期の遅角抑制を徐々に
低減していくこととした。ただし、同不等式(3)に基
づく判断は、空燃比フィードバック制御が開始された
後、燃焼空燃比A/Fが理論空燃比近傍にあって、リッ
チ側に在するという条件を確実に満たすと推定すること
ができる判定基準にすぎない。そこで、このような点火
時期の遅角抑制の低減期間を決定する判断は上記式
(3)に限られるものではなく、上記燃焼空燃比A/F
に係る条件を判断できる如何なる不等式や演算式等を採
用してもよい。 (第3実施形態)次に、本発明に係る点火時期制御装置
を具体化した第3の実施の形態について、上記第1の実
施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0081】該第3の実施の形態の装置も、同じく自動
車のエンジンシステムに適用され、エンジン始動着後、
エンジンの速やかな暖機と三元触媒による好適な排気浄
化作用の維持とを両立させるべく、基本点火時期Abs
の補正量である点火時期遅角量ACATの算出を行うも
のである。
【0082】また、第3の実施の形態の装置にあって
も、適用対象とする自動車のエンジンシステムの構成
(図1)、ECU(電子制御装置)30の回路構成(図
2)は先の第1実施形態の装置と同様であり、それら構
成に関するここでの重複する説明は割愛する。
【0083】先ず、本実施形態に係る装置が実行する冷
間始動時の点火時期遅角制御について、その概略を説明
する。エンジン始動後、点火時期を遅角させて排気温を
高めれば、三元触媒の床温が速やかに上昇して排気の浄
化効率を迅速に高めることができるようになるが、暖機
が十分に完了していない状態で点火時期を遅角するとエ
ンジンの燃焼状態を悪化させ、かえって排気特性を悪化
させてしまうことは上述した通りである。このエンジン
始動直後の点火時期遅角によるエンジンの燃焼状態の悪
化は、エンジン始動直後は吸排気ポート等燃焼室周辺の
温度が十分に高まっていないことに起因する。すなわ
ち、エンジン始動直後における点火時期の許容遅角量
は、直接的には燃焼室周辺の温度に応じて定まるといえ
る。
【0084】ここで、本実施形態の点火時期制御装置に
あっては、燃焼室周辺の温度を複合的に代表するパラメ
ータとして、エンジン始動時の冷却水温及びエンジン始
動後の積算吸気量を用い、点火時期に係る遅角量の許容
範囲を算出することとしている。
【0085】以下、本実施形態においてECU30によ
り実行される「冷間始動時の点火時期遅角制御ルーチ
ン」の処理内容について、フローチャートを参照して説
明する。
【0086】図9は、エンジン1の冷間始動時におい
て、基本点火時期Absの補正量である目標点火時期遅
角量ACATを算出するための「冷間始動時の点火時期
遅角制御ルーチン」を示すフローチャートである。本ル
ーチンは、ECU30により所定時間毎に周期的に実行
される。
【0087】先ず、本ルーチンのステップ301〜ステ
ップ303における一連の処理では、エンジン1の運転
状態が冷間始動時である否かの判断(ステップ30
1)、基本遅角量ACATmapの算出(ステップ30
2)、及び遅角量抑制率αの算出(ステップ303)を
行う。これらは、先の第1実施形態で説明した「冷間始
動時の点火時期遅角制御ルーチン」(図4)のステップ
101〜ステップ103における一連の処理に対応して
おり、その処理内容も同一である。
【0088】次に、前記ステップ303に続くステップ
304においては、基本遅角実行率γを算出する。この
基本遅角実行率γは、エンジン1の運転状態がF/B制
御の実行条件を満たしているか否かの判断と、同じくエ
ンジン1がアイドル運転中であるか否かの判断とに基づ
き、例えば図10(a)に示す二次元マップを参照して
算出する。ちなみに、F/B制御の実行条件は、例えば
以下に示す条件(a1)〜(a3)を全て満たしている
か否かにより判断する。 (a1)冷却水温THWが所定温度以上であること。 (a2)酸素センサ11が活性化状態であること。 (a3)エンジンが高負荷又は高回転転状態でないこ
と。 そして、同マップから明らかなように、エンジン1の運
転状態が上記F/B制御実行条件を満たしている場合に
は、ECU30は基本遅角実行率γを「1.0」に設定
する。すなわち、基本遅角量ACATmapは基本遅角
実行率γによる補正の影響を受けない。また、エンジン
1の運転状態がF/B制御実行条件を満たしている場合
であって、且つアイドル運転状態であれば、基本遅角量
実行率は所定値「0.2」に設定され、同値をもって基
本遅角量ACATmapを乗算補正(減量)することと
なる。一方、エンジン1の運転状態がF/B制御条件を
満たしている場合であって、且つ通常運転状態にあれ
ば、基本遅角実行率γを「0」に設定する。すなわち、
基本遅角量ACATmapに「0」が乗算されることと
なり、点火時期の遅角は行われない。
【0089】続くステップ305においては、遅角抑制
量δを算出する。この遅角量抑制率δは、エンジン1の
始動時水温THW0と、エンジン1の始動時から現在ま
での積算吸気量に基づき、例えば図10(b)及び図1
0(c)に示す二次元マップを参照して算出する。
【0090】続くステップ306においては、要求遅角
量ACATyの算出を行う。要求遅角量ACATyは、
先に求めた基本遅角量ACATmap及び上記遅角量抑
制率α,γ,δに基づき以下の演算式(4)に従って算
出する。 ACATy = ACATmap×α×γ×δ (4) 続くステップ307及びステップ308における失火ガ
ード及び遅角量徐変処理は、第1実施形態の「冷間始動
時の点火時期遅角制御ルーチン」で説明したステップ1
08及びステップ109におけるそれぞれの処理と同一
である。そして、両ステップ307及びステップ307
における一連の処理を終えた後、ECU30はその後の
処理を一旦終了する。
【0091】ECU30は、以上説明した「冷間始動時
の点火時期遅角制御ルーチン」に基づき、エンジン始動
直後、エンジンの速やかな暖機と三元触媒による好適な
排気浄化作用の維持とを両立させるべく、基本点火時期
Absの補正量である点火時期遅角量ACATの算出を
行う。
【0092】図11は、本実施形態の点火時期制御装置
によりエンジン始動後の点火時期遅角制御を行う場合、
空燃比フィードバック補正係数FAF(図11(a))
及び点火時期遅角量ACAT(図11(b))がどのよ
うに変化するか、その一態様例を同一時間軸上に示すタ
イムチャートである。
【0093】同図11(a)及び(b)に示すように、
エンジン1が時刻t0に始動した後、所定時間が経過し
て前記F/B制御実行条件が満たされるようになると、
ECU30はF/B制御を開始し(時刻tf)、それま
でリッチ側にあった燃焼空燃比A/Fを理論空燃比に向
かって収束させるべく空燃比フィードバック補正係数F
AFを減量させ始める。運転者がアクセル操作を行わな
ければこの時までアイドル運転状態が持続することとな
るため、図10(a)のマップ上で示したように遅角量
抑制率γは一定値(0.2)を保持し、点火時期遅角量
ACATは同遅角量抑制率γの変動による影響を受けな
い。時刻tf以後は、同マップ上に示したように遅角量
抑制率による点火遅角抑制を解除(γ=1)するため、
点火時期遅角量ACATが増加する。ただし、前記「冷
間始動時の点火時期遅角量制御ルーチン」(図9)にお
いて説明したように、点火時期の変化に対しては徐変処
理がなされるために、点火時期遅角量ACATは急激に
増大することはなく、図11(b)の時刻tf−tg間に
示すように所定の変化率をもって徐変されることとな
る。
【0094】次に、図12(a)〜(e)には、本実施
形態の点火時期遅角制御装置によりエンジン始動後の点
火遅角制御が行われる場合であって、特に暖機終了前に
運転者がアクセル操作を開始する場合における各種運転
状態の時間的変化を明確に示すものである。各図12
(a)〜(e)における縦軸上の変化量は、それぞれエ
ンジン回転数NE(図12(a))、積算吸気量ΣGa
(図12(b))、点火時期遅角量ACAT(図12
(c))、点火時期AOP(図12(d))並びに遅角
量抑制率δ(図12(e))を示す。また横軸は、全て
同一の時間軸を示すものとする。
【0095】例えば、時刻t0にエンジン1の運転が開
始され、アイドル状態で暖機運転がおこなわれていたと
ころ、暖機運転完了以前の時刻thに運転者がアクセル
操作を開始したとする。
【0096】このような状況では、先ず図12(a)に
示すように、時刻t0にエンジン1が始動することによ
ってエンジン回転数NEが所定アイドル回転数NEiま
で高まり、しばらくは同アイドル回転数NEiを維持す
る。ここで、時刻thにおいて運転者がアクセル操作を
開始した場合、ECU30は抑制遅角率δの算出に際し
て参照するマップをアイドル運転時に対応するもの(図
10(b)参照)から通常運転時に対応するもの(図1
0(c)参照)に切換える。そこで図12(c)に示す
ように、点火時期遅角量ACATは、アイドル運転時か
否かに係る運転状態と燃焼室3内の状態とに基づく最適
な遅角量抑制率δを選択する。ここで、図10(b)及
び図10(c)の両マップを比較しても明らかなよう
に、遅角量抑制率δを「0」とする点火時期遅角の禁止
領域は、アイドル運転状態に比べ、通常運転状態におい
て広く設定されている。また、両マップ上における点火
時期遅角の禁止領域外の数値を比較した場合には、通常
運転状態における遅角量抑制率δがアイドル運転状態に
おける遅角量抑制率に比して小さく設定される傾向にあ
る。図12(e)は、運転状態の切換わりに起因する遅
角量抑制率δのこうした傾向を模式的に示している。す
なわち、エンジン1がアイドル運転状態から通常運転状
態に切り換わると、点火時期の遅角量をより強く抑制す
るように制御がなされる。その結果として、図12
(c)及び図12(d)に示すように、エンジン1の暖
機運転状態に係るアイドル運転時にアクセル操作を開始
すると(時刻th)、点火時期の遅角量ACATは無条
件に抑制又は禁止されるようになる(図12(c))。
言い換えれば、点火時期AOPの進角を許容してドライ
バビリティの維持が優先的に図られる(図12
(d))。
【0097】さらに、前記運転状態の切換える際に暖機
が進んでいればいるほど、言い換えれば燃焼室3内の温
度が高ければ高いほど遅角量抑制率δは小さくなるよう
に前記通常運転時用のマップ(図10(c))を設定す
る。このため、例えば図13に示すように、暖機終了前
に運転者がアクセル操作を開始するような状況が生じる
場合であっても、そのアクセル操作の開始時期がtjか
らtk、tlへと後になるほど、アイドル運転状態の期間
が長くなり、同アクセル操作を開始した時点で暖機のた
めに必要とされる残り時間(熱量)が小さくなる。よっ
て、遅角量抑制率δの変化を小さくするようにマップ上
の値が選択されることとなる。
【0098】ここで、従来の点火時期制御装置にあって
は、同図12(c)において破線で示すように、暖機運
転状態に係るアイドル運転時にアクセル操作が開始され
ると、点火時期の遅角が強化されていた。このため、エ
ンジン負荷の増大に応じた点火時期AOPの進角が的確
に行われず(図12(d)破線参照)、ひいては図12
(a)に破線にて示すように、エンジン回転数NE(若
しくはトルク)がなめらかに上昇しない、いわゆるもた
つきを生じていた。このようなもたつきは、かえってエ
ンジンの燃焼状態を悪化させ、排気特性を低下させるこ
ととなる。
【0099】この点、本実施形態によれば、先に説明し
た空燃比フィードバック制御の実行の有無、及びアイド
ル運転時か否かの判断に応じて冷間始動時に係る点火時
期の遅角抑制を適切に行うことと併せて、急発進等、暖
機終了前のアクセル操作に対しては、点火時期の遅角抑
制を強化することによりドライバビリティの安定を図る
こととしている。このため、排気特性とドライバビリテ
ィとの両立が好適に図られ、エンジンの冷間始動期間の
平均的な排気特性を向上させるという観点からも、点火
時期の遅角抑制及び強化に係る最適な均衡点が適宜選択
されるようになる。
【0100】以上説明したように、上記態様でエンジン
始動後の点火時期の遅角制御を行う本実施形態によれ
ば、以下のような効果を奏することができるようにな
る。すなわち、エンジン1の冷間始動時にあって、点火
時期の遅角によるドライバビリティの安定性悪化とほぼ
一義的な関係にある燃焼室3内の温度を点火時期抑制に
係る基準として適用するようにしたことで、暖機効率と
排気特性の悪化抑制との最適な均衡点において点火時期
の遅角制御を行うことができるようになる。
【0101】さらに、上記燃焼室3内の温度状態の推定
にあたっては、その温度初期値として始動時冷却水温T
HW0、またその温度の変動を示すパラメータとして積
算吸気量ΣGaを適用するようにしたことで、より正確
な推定を行うことができるようになり、制御の緻密性が
増すことともなる。
【0102】なお、本実施形態では、燃焼室3内の温度
の変動を示すパラメータとして積算吸気量ΣGaを採用
することとしたが、積算エンジン回転数、冷却水温、排
気系内温度、三元触媒20の床温等、エンジン1の総負
荷量を代表する他のパラメータ、或いはそれらを複数の
変数として用いた関数により燃焼室3内の温度を推定し
てもよい。また、その初期値としても、吸気温や所定時
間経過後の冷却水温等他のパラメータを適用することも
できる。
【0103】また、上記第1及び第2の実施形態におい
ては、点火時期の遅角抑制を低減するタイミングや期間
として、空燃比フィードバック補正係数FAFの変化態
様を判断基準として用いた。これに対し、例えば酸素セ
ンサ11からの検出信号を判断の基準として用いること
もできる。要は、空燃比フィードバック制御による燃焼
空燃比A/Fの変化態様を緻密に反映する如何なるパラ
メータを用いても、同第1及び第2の実施形態と同様の
効果を奏することはできる。
【0104】また、上記第3の実施形態において採用し
た遅角抑制率δ及び上記第1又は第2の実施形態におい
て採用した遅角量抑制率βは、互いに他の実施形態の点
火時期の遅角制御で併せて採用することもできる。この
場合、例えば第1及び第2の実施形態に係る「冷間始動
時の点火時期遅角制御ルーチン」において、遅角量抑制
率δの算出を行う一ステップを設け、毎回のルーチンで
算出する両遅角量抑制率β及びδのうち、何れか小さい
方のみを要求遅角量AOPyの算出に用いることとす
る。このような構成により、制御の緻密性が一層増すこ
ととなる。
【0105】
【発明の効果】請求項1に記載した発明によれば、排気
特性及びドライバビリティを緻密に反映する空燃比の切
換わり時期に基づいて点火時期の遅角或いは遅角の抑制
を行うことにより、内燃機関の暖機性向上と、ドライバ
ビリティの不安定化がもたらす排気特性悪化の抑制とを
最適な点で均衡させることができるようになる。
【0106】請求項2に記載した発明によれば、同機関
の空燃比と緻密な対応関係を示す空燃比補正係数を用
い、その補正方向切換わり時期に基づいて点火時期の遅
角或いは遅角の抑制を行うことにより、機関始動後の空
燃比の切換わり時期に基づく点火時期の遅角或いは遅角
の抑制に係る制御を、より高い精度をもって行うことが
できるようになる。
【0107】上記請求項3又は4に記載した発明によれ
ば、点火時期の遅角及び遅角の抑制を、機関始動後の空
燃比の変動に的確に対応させて行うことができるように
なる。なお、空燃比補正係数の最初の反転であれ2度目
の反転であれ、空燃比がリッチ側に在する期間において
点火時期遅角が強化される構成とすることが、ドライバ
ビリティの安定化を図る上でより望ましい。
【0108】請求項5に記載した発明によれば、機関始
動後の空燃比に対応させる点火時期の遅角及び遅角抑制
に係る制御の緻密性が一層増し、機関始動時に係るドラ
バビリティの安定化が一層図られるようになる。
【0109】請求項6に記載した発明によれば、機関始
動後の排気特性及びドライバビリティを緻密に反映する
機関の燃焼室内の温度状態の推移に基づいて点火時期の
遅角量及び遅角抑制量を決定することにより、ドライバ
ビリティの安定性維持に関しては、燃焼室内の温度状態
に敏感な点火時期遅角の許容範囲を的確に把握すること
ができるようになる。ひいては、内燃機関の暖機性向上
と、ドライバビリティの不安定化がもたらす排気特性悪
化の抑制とを最適な点で均衡させることができるように
なる。
【0110】請求項7に記載した発明によれば、機関始
動時の燃焼室内の温度状態と密接な関係にある機関温度
と、機関始動後の燃焼室内の温度状態の変動と密接な関
係にある積算吸気量とから、機関始動後の燃焼室内の温
度状態の経時的推移を的確に把握することができるよう
になる。
【0111】請求項8に記載した発明によれば、機関の
燃焼状態が安定しているフィードバック制御実行時と、
機関の燃焼状態が安定していないフィードバック制御の
非実行時とに対応させて点火時期の遅角に係る調節の態
様を変更することにより、請求項5又は6に記載の発明
による点火時期の最適遅角量の算出に係る制御の緻密性
が一層増すこととなる。
【0112】請求項9に記載した発明によれば、点火時
期の遅角が機関燃焼状態の安定性に及ぼす影響が相対的
に大きく異なるアイドル運転状態と非アイドル運転状態
とに対応させて、点火時期の遅角に係る調節の態様を変
更することにより、適宜最適な点火時期を維持すること
ができるようになる。
【0113】請求項10に記載した発明によれば、特に
非アイドル状態におけるドライバビリティの安定性維持
を優先することで、排気浄化用触媒の暖機促進と、ドラ
イバビリティの安定性維持とを両立する好適な運転状態
を保証することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る点火時期制御装置の第1の実施形
態を示す概略構成図。
【図2】同実施形態に採用されるECUの電気的構成を
示すブロック図。
【図3】空燃比フィードバック補正係数及び燃焼空燃比
の変化態様を示すタイムチャート。
【図4】同実施形態に係る冷間始動時の点火時期遅角制
御手順を示すフローチャート。
【図5】同実施形態による点火時期制御態様を示すタイ
ムチャート。
【図6】アイドル運転時における空燃比フィードバック
補正係数及び燃焼空燃比の変化態様を示すタイムチャー
ト。
【図7】第2の実施形態に係る冷間始動時の点火時期遅
角制御手順の一部を示すフローチャート。
【図8】第2の実施形態による点火時期制御態様を示す
タイムチャート。
【図9】第3の実施形態に係る冷間時の点火時期遅角制
御手順を示すフローチャート。
【図10】基本遅角実行率γ及び遅角量抑制率δの算出
に適用される二次元マップ例を示す略図。
【図11】第3の実施形態による点火時期制御態様を示
すタイムチャート。
【図12】第3の実施形態による点火時期制御態様を示
すタイムチャート。
【図13】第3の実施形態による点火時期制御態様を示
すタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン、2…吸気系、3…燃焼室、4…排気系、
5…スロットルバルブ、5a…アクセルペダル、6…サ
ージタンク、7…吸気量センサ、8…スロットルポジシ
ョンセンサ、8a…開度センサ、8b…アイドルスイッ
チ、9…吸気温センサ、10…燃料噴射弁、11…酸素
センサ、12…イグナイタ、13…ディストリビュー
タ、14…点火プラグ、15…回転数センサ、16…気
筒判別センサ、17…水温センサ、20…三元触媒、3
0…ECU(電子制御装置)、31…マイクロコンピュ
ータ、31a…CPU、31b…ROM、31c…RA
M、31d…バックアップRAM、34…A/D変換回
路、35…駆動回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 45/00 312 F02D 45/00 312B F02P 5/15 F02P 5/15 E

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排気系内に設けられた排気浄化
    用触媒と、 同じく排気系に設けられ、その排気から当該機関に供給
    される混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、 該検出される空燃比に基づき同空燃比が所定の範囲内に
    収束されるようにフィードバック制御する空燃比フィー
    ドバック制御手段と、 前記排気浄化用触媒の床温を上昇させるべく同機関の燃
    焼に係る点火時期を遅角させる点火時期遅角手段と、 当該機関の始動後、前記空燃比検出手段により検出され
    る空燃比の切換わり時期まで、前記点火時期遅角手段に
    よる点火時期の遅角を抑制する点火時期遅角抑制手段
    と、 を備えることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装
    置。
  2. 【請求項2】前記空燃比フィードバック制御手段は、前
    記検出される空燃比がリッチのときには燃料噴射量の減
    量補正係数となり、リーンのときには増量補正係数とし
    て逐次変更される空燃比補正係数に基づき、同空燃比が
    所定の範囲内に収束されるようにフィードバック制御す
    るものであり、 前記点火時期遅角抑制手段は、前記機関の始動後、前記
    空燃比フィードバック制御手段により設定される空燃比
    補正係数の補正方向切換わり時期まで、前記点火時期遅
    角手段による点火時期の遅角を抑制するものである請求
    項1記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の内燃機関の点火時期制御装
    置において、 前記点火時期遅角抑制手段は、当該機関の始動後、前記
    空燃比補正係数が増量と減量との間で最初に反転する時
    期を基準として、その後の点火時期の遅角抑制率を低下
    させることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  4. 【請求項4】請求項2記載の内燃機関の点火時期制御装
    置において、 前記点火時期遅角抑制手段は、当該機関の始動後、前記
    空燃比補正係数が増量と減量との間で2度目に反転する
    時期を基準として、その後の点火時期の遅角抑制率を低
    下させることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装
    置。
  5. 【請求項5】請求項3又は4記載の内燃機関の点火時期
    制御装置において、 前記点火時期遅角抑制手段は、前記空燃比補正係数が減
    量補正係数である期間に選択的に前記遅角抑制率を低下
    させることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  6. 【請求項6】内燃機関の排気系内に設けられた排気浄化
    用触媒と、 該排気浄化用触媒の床温を上昇させるべく当該機関の燃
    焼に係る点火時期を遅角させる点火時期遅角手段と、 当該機関の始動後、同機関の燃焼室内の温度状態を推定
    する温度状態推定手段と、 該推定される温度状態の推移に基づいて、前記点火時期
    遅角手段による点火時期の遅角を抑制する点火時期遅角
    抑制手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装
    置。
  7. 【請求項7】請求項6記載の内燃機関の点火時期制御装
    置において、 前記温度状態推定手段は、機関温度と機関始動後の積算
    吸気量とに基づいて前記機関の燃焼室内の燃焼状態を推
    定することを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  8. 【請求項8】請求項6又は7記載の内燃機関の点火時期
    制御装置において、 当該機関の排気系に設けられ、その排気から当該機関に
    供給される混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段
    と、 該検出される空燃比がリッチのときには燃料噴射量の減
    量補正係数となり、リーンのときには増量補正係数とし
    て逐次変更される空燃比補正係数に基づき、同空燃比が
    所定の範囲内に収束されるようにフィードバック制御す
    る空燃比フィードバック制御手段と、 該空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィード
    バック制御の実行の有無に応じて前記点火時期遅角手段
    による点火時期の遅角量を変更する遅角量変更手段と、 を更に備えてなる内燃機関の点火時期制御装置。
  9. 【請求項9】内燃機関の排気系内に設けられた排気浄化
    用触媒と、 該排気浄化用触媒の床温を上昇させるべく当該機関の燃
    焼に係る点火時期を遅角させる点火時期遅角手段と、 当該機関の始動後の所定期間、前記点火時期遅角手段に
    よる点火時期の遅角を抑制する点火時期遅角抑制手段
    と、 当該機関のアイドル運転状態から非アイドル状態への移
    行に伴い、前記点火時期遅角抑制手段による点火時期の
    遅角抑制率を切り換える遅角抑制率切換手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装
    置。
  10. 【請求項10】内燃機関の排気系内に設けられた排気浄
    化用触媒と、 該排気浄化用触媒の床温を上昇させるべく当該機関の燃
    焼に係る点火時期を遅角させる点火時期遅角手段と、 当該機関の始動後の所定期間、前記点火時期遅角手段に
    よる点火時期の遅角を抑制する点火時期遅角抑制手段
    と、 当該機関のアイドル運転状態から非アイドル運転状態へ
    の移行に伴い、前記点火時期遅角抑制手段による遅角禁
    止手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装
    置。
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