JPH11315137A - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂の製造方法

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JPH11315137A
JPH11315137A JP13606498A JP13606498A JPH11315137A JP H11315137 A JPH11315137 A JP H11315137A JP 13606498 A JP13606498 A JP 13606498A JP 13606498 A JP13606498 A JP 13606498A JP H11315137 A JPH11315137 A JP H11315137A
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reaction
polyester resin
circulating gas
amount
concentration
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JP13606498A
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Kazumi Kawakami
和美 川上
Takeshi Doi
武之 土井
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝播性能に優れた近赤外線を重合工程におけ
る測定に利用することにより、的確な反応制御を可能に
したポリエステル樹脂の製造方法を提供する。 【解決手段】 ジカルボン酸またはその低級アルキルエ
ステル成分とグリコール成分とを重合させてポリエステ
ル樹脂を製造するにあたり、製造工程中の原料、反応中
間生成物または最終生成物のうち1種以上についての近
赤外分光特性を連続的に測定し、得られた分光スペクト
ルから測定物中の物性を解析し、解析したデータに基づ
いて製造工程中の反応条件を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
の製造方法に関するものであり、詳しくは、ポリエステ
ル樹脂の製造工程中の原料、反応中間生成物または最終
生成物の物性を動的に解析し、種々の反応条件を制御す
るポリエステル樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平5−222178号公報には、製
造装置に赤外分光光度計を組み込み、ポリエステル樹脂
のカルボキシル濃度を連続的に測定し、測定信号として
の赤外線を光ファイバーによって解析装置に伝送し、解
析結果に基づいて反応条件を制御する方法が提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法においては、赤外線の波長が長いため、光ファイバ
ーにおける伝播性能に劣り、特に、赤外分光光度計から
解析装置までの距離が長い場合などは、光信号が減衰し
易いと言う問題がある。本発明は、斯かる実情に鑑みな
されたものであり、その目的は、伝播性能に優れた近赤
外線を重合工程における測定に利用することにより、的
確な反応制御を可能にしたポリエステル樹脂の製造方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、ジカルボン酸またはその低級アルキルエステル成分
とグリコール成分とを重合させてポリエステル樹脂を製
造する方法において、製造工程中の原料、反応中間生成
物または最終生成物のうち1種以上についての近赤外分
光特性を連続的に測定し、得られた吸収または反射スペ
クトルから測定物中の物性を解析し、解析したデータに
基づいて製造工程中の反応条件を制御することを特徴と
するポリエステル樹脂の製造方法に存する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るポリエステル
樹脂の製造方法を詳細に説明する。本発明の製造方法
は、基本的なプロセスは従来と同様であり、ジカルボン
酸またはその低級アルキルエステル成分とグリコール成
分とを重合させてポリエステル樹脂を製造する方法であ
る。本発明において、ポリエステル樹脂とは、ジカルボ
ン酸またはその低級アルキルエステル成分とグリコール
成分との重縮合体から構成される樹脂を指す。
【0006】上記ジカルボン酸単位は、テレフタル酸、
フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカル
ボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、
4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’
−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒド
ロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環
式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸の一
種または二種以上から構成される。
【0007】また、グリコール単位は、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ジエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,
1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキ
サンジメチロール等の脂環式グリコール、4,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエ
トキシフェニル)スルホン酸などの芳香族グリコールの
一種または二種以上から構成される。その他、例えば、
p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ
安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボ
ン酸などの一種または二種以上から構成される。
【0008】本発明におけるポリエステル樹脂の代表例
としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂が挙げられ
る。この樹脂は、テレフタル酸またはそのアルキル(炭
素数1〜4程度)エステルを主成分とするジカルボン酸
単位とエチレングリコールを主成分とするグリコール単
位との重縮合体である。エチレンテレフタレート単位
は、全構成繰り返し単位の80モル%以上を占めること
が好ましい。
【0009】先ず、テレフタル酸またはそのアルキルエ
ステルを主成分とするジカルボン酸単位とエチレングリ
コールを主成分とするグリコール単位などを含む原料
は、エステル化反応またはエステル交換反応に供され
る。斯かる反応は、常法により、エステル化触媒、また
は、マンガン化合物などの金属化合物のエステル交換触
媒の存在下、240〜280℃程度の温度、1〜3kg
/cm2G程度の圧力で行うことが出来る。
【0010】次いで、上記の反応で得られたビス(β−
ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はそのオリ
ゴマーは、溶融重縮合に供させる。斯かる反応は、アン
チモン化合物、ゲルマニウム化合物などの金属化合物の
重縮合触媒およびリン酸などのリン化合物の安定剤の存
在下、250〜300℃程度の温度、500〜0.1m
mHg程度の圧力で行うことが出来る。
【0011】上記反応で得られたポリマーは、溶融重縮
合槽の底部に設けた抜き出し口からストランド状に抜き
出された後、カッターで切断されてペレット状とされ、
更に、通常120〜200℃程度の温度で1分間以上の
加熱により予備結晶化された後、固相重合に供される。
斯かる反応は、窒素などの不活性ガス流通下、190〜
230℃程度の温度、1kg/cm2G〜10mmHg
程度の圧力で1〜50時間の条件下に行うことが出来
る。
【0012】上記の様にして得られるポリエステル樹脂
の固有粘度(IV)の目標値は、通常0.5〜1.2d
l/g、ジエチレングリコール(DEG)の目標値は、
通常1〜4mol%、好ましくは1.2〜3.3mol
%、触媒(CT)の含有目標値は、通常0.6重量%以
下、好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.
4重量%以下、最も好ましくは0.35重量%以下とさ
れる。
【0013】本発明においては、上記の様な製造工程中
の原料、反応中間生成物または最終生成物のうち1種以
上についての近赤外分光特性を連続的に測定し、得られ
た近赤外線スペクトルから測定物中の物性を解析し、解
析したデータに基づいて製造工程中の反応条件を制御す
る。
【0014】製造工程の適宜の場所には、近赤外線の分
光スペクトルを検出する分光光度計の検出端子が設置さ
れる。分光光度計としては、反射型および/または透過
型の測定解析が可能であり、波長4000〜12500
cm-1の範囲が分析可能な装置、例えば、UV-vis-NIR
ダイオードアレイ分光計が使用される。斯かる近赤外分
光光度計は、測定項目に応じ、単独また2つ以上の組み
合わせて併用することが出来る。
【0015】分光光度計の検出端子の設置場所として
は、原料を仕込む工程におけるスラリー調製槽内、エス
テル化および溶融重合工程における反応槽内または移送
管内、ペレットの調湿工程における調湿槽内、固相重合
工程における結晶化機内、乾燥機内、昇温機、固相重合
槽内また降温機内などが挙げられる。そして、分光光度
計の検出端子の設置場所により、具体的な解析方法およ
び制御方法は異なる。
【0016】本発明において、分光光度計から得られた
上記の様な原料、反応中間生成物または最終生成物の分
光スペクトルのデータを解析する解析方法としては、ケ
モメトリックス演算法が好適である。ケモメトリックス
法とは、多因子解析などの統計的手法を定量的または定
性的な化学分析に適用し、反応などに関するモデルを構
築する解析手法である。ケモメトリックス法において
は、パラメータを決定する多数の既知の試料から成る学
習セット(数学モデル)を作成し、未知の因子に関する
校正モデル(標準化された誤差)を測定データから展開
し、展開した校正モデルを適用して予測モデルを得る。
【0017】上記ケモメトリックス法の利用技術は公知
であり、例えば、特開平6−66718号公報には「多
数の水処理性能インジケータの同時監視法」として、特
表平10−550215号公報には「パルプ及び紙中の
作用化学薬品の量的測定の方法と手段」として、また、
特表平10−550216号公報には「紙質の量的測定
の方法と手段」としてそれぞれ記載されている。
【0018】データ解析にケモメトリックス法を適用す
る場合は、通常、多数の要素について且つ多数の試料を
処理するためにコンピュータが使用される。また、動的
な予測モデルを作成をするため、瞬時にサンプリング可
能なデータが好ましく、斯かる観点からも、上記の様な
近赤外線スペクトルのデータが好ましい。多数のスペク
トルデータは、出来る限りノイズを減少し且つずれや拡
散を調整した後、上記ケモメトリックス法によって処理
される。ケモメトリックス法における解析手法として
は、導関数による演算、フーリエ変換、主成分分析、P
LS回帰分析、重回帰分析、判別分析などが挙げられ
る。
【0019】そして、例えば、溶融重合工程の場合は、
次の様に反応系を制御することが可能である。主原料の
テレフタール酸(TPA)とエチレングリコール(E
G)、共重合成分および助剤/触媒剤を混合したスラリ
ー原料調製工程においては、原料中の各々反応物濃度を
近分光光度計から得られるスペクトラムを連続的に直接
測定、解析することにより、原料の比率と量を即座に変
更して目標反応物濃度に制御できる。
【0020】また、エステル化工程においては、副生成
物である水分量を分光光度計を用いて連続的に直接測
定、解析することによりエステル化率が解析可能であ
り、その結果により、エステル化工程の反応圧力、反応
温度、反応時間を変更することが出来る。同様に、溶融
オリゴマー量および/またはDEG等の副生成物濃度、
CT量の変更も可能である。更に、共重合成分において
は、近赤外分光光度計を用いて連続的に直接測定、解析
することにより、反応圧力、反応温度、反応時間、エス
テル化率調整用としてエステル化反応槽へ添加するEG
量、共重合成分添加量などを即座に制御できる。
【0021】CT量、粘度などにおいては、分光光度計
を用いて連続的に直接測定、解析することにより、重縮
合工程の反応温度、反応圧力、反応時間、反応器攪拌機
の回転数、エステル化工程のエステル化率を即座に制御
できる。
【0022】通常、溶融重合工程を経たポリエステル樹
脂は、ペレット化され、調湿工程のバッファータンクに
移送され、ペレット含水率が調整される。更に、上記に
おける調湿工程においては、前記と同様に、ペレット中
の含水量を分光光度計で連続的に直接測定、解析するこ
とにより、調湿タンクに供給している循環ガス(空気ま
たは窒素)中の湿度を即座に制御できる。
【0023】更に、一連の固相重合反応工程において
は、結晶化工程、乾燥工程、昇温工程、固相重合工程、
降温工程などの任意の製造装置内に分光光度計の検出端
子を設置し、上記と同様にして諸条件を即座に変更し、
目標条件に制御できる。
【0024】上記の結晶化工程においては、ペレットの
密度、含水率などを分光光度計によって連続的に直接測
定、解析することにより、ペレット温度、結晶化機にお
ける滞留時間、ペレット供給量、循環ガス(空気、、窒
素、または二酸化炭素およびこれらの混合ガス)の温
度、循環ガス量、循環ガス湿度、循環ガス中の副成生物
分圧等を即座に制御できる。
【0025】上記の乾燥工程においては、ペレット密
度、含水率、アセトアルデヒド等の副成生物濃度を分光
光度計を用いて連続的に直接測定、解析することによ
り、ペレット温度、乾燥機における滞留時間、ペレット
供給量、循環ガス(空気、、窒素、二酸化炭素)の温
度、循環ガス量、循環ガス湿度、循環ガス中の副成生物
分圧を即座に制御できる。
【0026】上記の昇温工程においては、ペレット密
度、アセトアルデヒド等副生成物濃度、粘度などを分光
光度計を用いて連続的に直接測定、解析することによ
り、ペレット温度、昇温機における滞留時間、ペレット
供給量、循環ガス(空気、、窒素、または二酸化炭素お
よびこれらの混合ガス)の温度、循環ガス量、循環ガス
中のEG分圧、循環ガス中の副成生物分圧を即座に制御
できる。
【0027】上記の固相重合工程や降温工程において
は、ペレット密度、アセトアルデヒド等の副生成物濃
度、CT量、粘度などを分光光度計によって連続的に直
接測定、解析することにより、ペレット温度、固相重合
反応器滞留時間、ペレット供給量、循環ガス(空気、、
窒素、または二酸化炭素およびこれらの混合ガス)の温
度、循環ガス量、循環ガス中EG分圧、循環ガス中の副
成生物分圧を即座に制御できる。
【0028】すなわち、本発明においては、製造工程中
の原料、反応中間生成物または最終生成物の物性に対し
て動的な解析を行い、その解析によって推定される値が
所定の値となる様に種々の反応条件を制御する。そし
て、本発明によれば、検出端子から分光計に至る光ファ
イバー中で減衰のない近赤外線を利用すると共に、測定
物の吸収または反射スペクトルを連続的に測定し、得ら
れた吸収または反射スペクトルのデータから上記の解析
を行うため、各工程における一層的確な反応制御が可能
であり、従って、製品としてのポリエステル樹脂におけ
る品質の安定化を図り得る。
【0029】次に、本発明のより詳細な実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の製造方法におけ
る合成工程および溶融重合工程に適用可能な製造装置を
示すフローシートである。図2は、本発明の製造方法に
おける結晶化工程、乾燥工程、昇温工程、固相重合反応
工程および降温工程に適用可能な製造装置を示すフロー
シートである。
【0030】図中、符号(11)は蒸留塔、符号(3)
は熱媒の流路、符号(51)〜(57)及び符号(7
1)〜(75)はフローセル又はプローブ等の近赤外分
光光度計の検出端子、符号(1)は近赤外分光光度計か
ら得られたスペクトルデータの解析処理用コンピュータ
を含む分散型のプロセス制御装置をそれぞれ示す。
【0031】合成工程においては、図1に示す様に、第
1エステル化反応槽(13)と第2エステル化反応槽
(14)が直列に接続されており、第2エステル化反応
槽(14)で生成された低重合体を次の重合工程に供給
する様に構成されている。重合工程は、重合反応槽(1
5)〜(17)の連続工程によって構成される。
【0032】例えば、EGとTPAのモル比は次の様に
制御される。すなわち、EGとTPAを連続または回分
式で混合する混合槽(12)又はその排出口には、近赤
外分光光度計の検出端子(51)が設けられており、検
出端子(51)は、混合物の分光吸収(または反射)ス
ペクトルを連続的に検出し、制御装置(1)は、得られ
たスペクトルデータをケモメトリックス処理し、EG溶
液中のカルボキシル基濃度を演算する。そして、処理結
果に基づき、TPA供給量調節器(50)及びEG量調
節器(31,33)にフィードバックし、目標モル比に
制御する。また、外乱によるモル比の変動に対して第1
エステル化反応槽(13)の温度調節器(41)又は圧
力調節器に制御量をフィードフォワードし、目標エステ
ル化率になる様に制御する。
【0033】また、エステル化槽内におけるエステル化
率、DEG濃度は次の様に制御される。すなわち、各エ
ステル化反応槽(13,14)又はこれらの排出口に
は、検出端子(52,53)が設けられており、検出端
子(52,53)は、生成物の分光吸収(または反射)
スペクトルを連続的に検出し、制御装置(1)は、得ら
れたスペクトルデータをケモメトリックス処理し、オリ
ゴマー中の末端カルボキシル基濃度、DEG濃度を演算
する。そして、処理結果に基づき、エステル化反応槽
(13,14)の温度調節器(41,42)、EG量調
節器(32,34)又は圧力調節器に制御量をフィード
バックする。また、重合工程の重合反応槽(15,1
6,17)の温度調節器(43)、圧力調節器(61,
62,63)に制御量をフィードフォワードする。
【0034】更に、DEG濃度は、スラリー調整槽、エ
ステル化反応槽(13,14)に添加しているDEG量
の調整によって制御されることもある。その場合、リサ
イクルされるEG中のDEG量を検出端子(56)によ
って測定し、制御装置(1)によって演算された添加量
が添加量調整器にフィードバックされる。
【0035】また、溶融重合槽内におけるエステル化
率、DEGおよびIVは次の様に制御される。すなわ
ち、各重合槽(15,16,17)又はこれらの排出口
には、近赤外分光光度計の検出端子(54,55,5
7)が設けられており、検出端子(54,55,57)
は、オリゴマーの分光吸収(又は反射)スペクトルを連
続的に検出し、制御装置(1)は、得られたスペクトル
データをケモメトリックス処理し、オリゴマー中のカル
ボキシル基濃度、DEG濃度及びIVを演算する。そし
て、処理結果に基づき、目標のエステル化反応率、DE
Gとなる様に、重合槽(15,16,17)の温度調節
器、圧力調節器(61,62,63)に制御量をフィー
ドバックする。
【0036】固相重合工程においては、図2に示す様
に、結晶化機(CR)、乾燥機(HD)、昇温機(P
H)、反応器(RE)、降温機(CD)が直列に接続さ
れており、連続的にペレットが供給される様に構成され
ている。また、各機器には、ガス(空気、窒素、二酸化
炭素またはこれらの混合ガス)を循環するための独立ま
たは共有の付帯設備ならびに熱媒による温度制御設備が
設けられている。
【0037】固相重合工程における密度、水分量、I
V、DEG、アセトアルデヒド(AA)は次の様に制御
される。すなわち、上記の各機器(結晶化機、乾燥機、
昇温機、反応器、降温機)又はこれらの排出口には、近
赤外分光光度計の検出端子(71,72…75)が設け
られており、検出端子(71,72…75)は、各ペレ
ット中の分光吸収(または反射)スペクトルを連続的に
検出し、制御装置(1)は、得られたスペクトルデータ
をケモメトリックス処理し、各機器におけるペレット中
の密度、水分量、IV、DEG、AAを演算する。そし
て、処理結果に基づき、各ペレットの温度、機器内での
滞留時間、供給量、ならびに、循環ガスの温度、循環
量、循環ガス湿度、循環ガス中の副成生物分圧をDCS
を介してフィードバック又はフィードフォワード制御す
る。
【0038】
【実施例】実施例1:テレフタル酸およびエチレングリ
コールをテレフタル酸13.0部とエチレングリコール
5.82部となる様にスラリー調製槽に連続的に供給し
た。その調製されたスラリーを反応槽へ連続的に供給
し、略常圧下260℃で連続的に第1エステル化反応を
行い、エステル反応率84%のビス(2−ヒドロキシエ
チル)テレフタレート及びその低重合体を調製した。続
いて、略常圧下255℃で連続して第2エステル化反応
を行い、エステル反応率95%のビス(2−ヒドロキシ
エチル)テレフタレートおよびその低重合体を調製し
た。
【0039】更に、正リン酸および二酸化ゲルマニウム
を正リン酸0.012部と二酸化ゲルマニウム0.01
2部となる様に連続的に上記の調製物に加え、第1段の
重合反応器において10〜20トールの減圧下280℃
で連続的に縮重合を行い、次いで、第2、第3段の重合
反応器において0.5〜2トールの減圧下280℃で連
続的に縮重合を行った。生成したポリマーを重縮合槽の
底部に設けた抜き出し口より連続的にストランド状に抜
き出し、水冷した後にペレット状にカットした。
【0040】上記の重縮合槽の底部に設けた抜き出し口
には、BRAN LUEBBE社製の分光光度計(In
fraAlyzer 500)の検出端子を設置し、常
時、抜き出し口を通過するポリマーの末端カルボキシル
基濃度(以下AV値)及びDEG量を連続して測定する
と供に、第2エステル化槽の出口(図1中の検出端子
(53)に相当)の目標エステル化率設定を変更してA
V値を制御した。更に、目標エステル化率になる様に温
度調節器(図1中の検出端子(42)に相当)へフィー
ドバックし、第2エステル化槽の温度を制御した。DE
G量は、第2エステル化槽(図1中(14)に相当)に
添加するDEG量の調整により制御した。
【0041】連続的にカットされたペレットを固相重合
装置に連続的に移送し、攪拌結晶化機により上記ポリマ
ーペレット表面を150℃で結晶化させた後、窒素流通
下、170℃で4時間の乾燥条件にて乾燥し、次いで、
攪拌式昇温機で210℃まで昇温した後、固相重合反応
塔に移し、窒素流通下210℃で固相重合時間を20時
間に設定してペレットを固相重合した。そして、降温機
で固相重合後のペレットを連続的に冷却し、最終製品と
しての固相重合ペレットを得た。
【0042】上記の様にして得られた固相重合ペレット
を1時間毎に2週間続けて168回サンプリングし、次
の様な方法でペレットのIV、DEG、CTを分析し
た。固相重合ペレットのIV、DEG、CTに関する分
析値の各平均値および各偏差は表1の通りであった。 (1)IV:フェノール/テトラクロロエタン(重量比
1/1)の混合溶媒中30℃で測定した。 (2)DEG:PET試料5.0gに4N−KOHメタ
ノール溶液50mlを加え、攪拌しながら加熱還流して
加水分解した。斯かる操作により生成したジオール成分
体をガスクロマトグラフにより分析定量した。 (3)CT:ポリエステル樹脂試料200mgをクロロ
ホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(容量比3/
2)混液2mlに溶解し、更にクロロホルム20mlを
加えて希釈した。これにメタノール10mlを加えて試
料を再析出させた後、濾過して濾液を得た。得られた濾
液を乾固後、残留物をジメチルホルムアルデヒド25m
lに溶解した液について液体クロマトグラフで分析定量
した。
【0043】比較例1:分光光度計の検出端子を重縮合
槽の底部に設け、抜き出し口には設置しなかった点を除
き、実施例1と同様の方法で固相重合ペレットを製造し
た。そして、実施例1と同様の方法で固相重合ペレット
を分析した。このときの固相重合ペレットの諸物性の平
均値と偏差は表1に示す通りであった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂の製造方法に
よれば、製造工程中で近赤外分光光度計を用い、製造工
程中の生成物の近赤外スペクトルから物性を解析し、解
析したデータに基づいて反応条件を制御することによ
り、様々な状況変化に即座に対応でき、一層安定した品
質の樹脂を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法における合成工程および溶融
重合工程に適用可能な製造装置を示すフローシート
【図2】本発明の製造方法における結晶化工程、乾燥工
程、昇温工程、固相重合反応工程および降温工程に適用
可能な製造装置を示すフローシート
【符号の説明】
1:プロセス制御装置 51〜57:近赤外分光光度計の検出端子 71〜75:近赤外分光光度計の検出端子 13,14:エステル化反応槽 15〜17:重合反応槽

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸またはその低級アルキルエ
    ステル成分とグリコール成分とを重合させてポリエステ
    ル樹脂を製造する方法において、製造工程中の原料、反
    応中間生成物または最終生成物のうち1種以上について
    の近赤外分光特性を連続的に測定し、得られた分光スペ
    クトルから測定物中の物性を解析し、解析したデータに
    基づいて製造工程中の反応条件を制御することを特徴と
    するポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 近赤外分光によって測定される物性が、
    カルボキシ濃度、ジエチレングリコール濃度、環状3量
    体の量、アセトアルデヒド濃度、固有粘度、水分量また
    は密度から選ばれた少なくとも1種の物性である請求項
    1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 制御する反応条件が、原料の比率、原料
    の量、製造工程中の圧力、反応時間、反応温度、回転
    数、循環ガス量、循環ガス濃度、循環ガスの含水量また
    は循環ガスの滞流時間から選ばれた少なくとも1種の条
    件である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ケモメトリックス法により物性を解析す
    る請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
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