JPH11305769A - 電子楽器の残響効果付加装置 - Google Patents

電子楽器の残響効果付加装置

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JPH11305769A
JPH11305769A JP10126627A JP12662798A JPH11305769A JP H11305769 A JPH11305769 A JP H11305769A JP 10126627 A JP10126627 A JP 10126627A JP 12662798 A JP12662798 A JP 12662798A JP H11305769 A JPH11305769 A JP H11305769A
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勉 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロコントローラやCPUなどの制御手
段に負担をかけず、且つ大きなダイナミックレンジを必
要とせず、簡便な構成でエコー効果や残響効果を奏する
ことができる電子楽器の残響効果付加御装置を提供せん
とするものである。 【解決手段】 制御手段1が、1つのキーオン情報に基
づき、アサインされた楽音発生チャンネル毎に実質異な
るタイミングにて発音が開始されるように、楽音信号生
成手段3に対する制御パラメータの転送を行うと共に、
アサインされた各楽音発生チャンネルで生成される楽音
波形に180°位相の異なるものを含み、且つそれらの
振幅を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子楽器の残響効
果付加御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平3−113499号には、マイク
ロコントローラによるタイミング制御を行って、チェイ
ス効果を得る構成が示されている。該構成によれば、チ
ェイス音の発生タイミングが各チェイス音毎に異なるよ
うになり、変化に富んだチェイス効果が得られることに
なる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構成では、楽音を
生成する音源LSIなどに負担がかからないが、タイマ
制御などによってマイクロコントローラが夫々のチャン
ネル毎に発音開始を指示する場合、その負荷が大きくな
って、楽音発生チャンネル数の減少につながることがあ
る。
【0004】また上記構成では、発音タイミングには自
由度があるが、常に同じ位相にて波形が出力を開始する
ため、発音タイミングの取り方次第では、かなりのダイ
ナミックレンジが必要となってしまい、システムの肥大
化につながることになる。
【0005】本発明は従来技術の以上のような問題に鑑
み創案されたもので、マイクロコントローラやCPUな
どの制御手段に負担をかけず、且つ大きなダイナミック
レンジを必要とせず、簡便な構成でエコー効果や残響効
果を奏することができる電子楽器の残響効果付加御装置
を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのため本発明に係る電
子楽器の残響効果付加御装置の構成は、1つのキーオン
情報に基づき、複数の楽音発生チャンネルに対して、波
形読出アドレスやエンベロープ係数を含む制御パラメー
タを転送し、発音開始を指示する制御手段と、任意の楽
音波形を記憶する波形記憶手段と、制御手段から転送さ
れ複数の楽音発生チャンネルに割り振られた制御パラメ
ータに基づき、上記波形記憶手段からの楽音波形データ
の読出を行ってフィルタ処理を行うと共に、この波形デ
ータにエンベロープの付与を行って楽音信号を生成する
楽音信号生成手段と、該楽音信号生成手段で楽音発生チ
ャンネル毎に生成された楽音信号に基づいて楽音を発生
する楽音発生手段とを少なくとも有しており、前記制御
手段は、前記1つのキーオン情報に基づき、アサインさ
れた楽音発生チャンネル毎に実質異なるタイミングにて
発音が開始されるように、楽音信号生成手段に対する制
御パラメータの転送を行うと共に、アサインされた各楽
音発生チャンネルで生成される楽音波形に位相の異なる
ものを含み、且つそれらの振幅を制御することを基本的
特徴としている。
【0007】上記構成では、キーオンディレイ処理と楽
音波形の位相をずらす処理により、エコー効果や残響効
果が得られるようにするものである。そのような制御を
制御手段により行う場合、キーオンディレイ処理を行う
構成として、1つのキーオン情報に基づき、アサインさ
れた楽音発生チャンネル毎に実質異なるタイミングにて
発音が開始されるように、各楽音発生チャンネルにおけ
る発音タイミングの制御を、タイマ制御または楽音信号
生成手段に対する発音タイミング指示を含む制御パラメ
ータの転送で行う。すなわち、その制御方法として、制
御手段自身がタイマ制御によって夫々のチャンネル毎に
発音開始を指示する場合と、楽音信号生成手段に転送す
る制御パラメータに、発音開始の時間的な指示を含む場
合とがある。そのうち特に後者の方法によれば、制御手
段により設定された発音タイミングにより楽音信号生成
手段から楽音信号を出力させる構成(制御手段によるタ
イマ制御の構成)とするのではなく、制御パラメータ
に、発音開始の時間的な指示が含まれているため、楽音
信号生成手段から出力される楽音信号が既に遅延されて
いることになり、制御手段の負荷を軽減することができ
るようになる。
【0008】また制御手段によって、アサインされた各
楽音発生チャンネルで生成される楽音波形に位相の異な
るものを含み、且つそれらの振幅を制御する処理を行っ
ている。これは、キーオンディレイ処理で複数生成され
る楽音波形の位相が常に同じ位相で生成された場合、か
なり大きなダイナミックレンジが必要となってしまうの
で、位相をずらすことで、ダイナミックレンジを所定の
範囲内に抑えようとするものである。その場合、特にそ
の位相の変異を180°とすると良い。そのようにすれ
ば、楽音波形に2の補数を乗算するだけ、即ち+−を入
れ替えるだけの単純な構成となり、量子化ビット数を抑
えることが可能となるからである。また残響音として残
る反射音は、次第にその振幅が減衰していくので、アサ
インされた各楽音発生チャンネルで生成される各楽音波
形の振幅も併せて制御するようにしている。上記のよう
に制御すれば、大きなダイナミックレンジを必要とせ
ず、簡便な構成でエコー効果や残響効果を奏することが
できるようになる。
【0009】さらに前記制御手段がアサインされた楽音
発生チャンネルに各制御パラメータを転送する際に、該
パラメータに出力系列を指定するパラメータを含み、少
なくとも2つ以上の出力系列に夫々2つ以上の楽音発生
チャンネルを使用して発音開始を指示し、夫々の発音開
始タイミングを右側系列と左側系列で異なるように制御
するようにすると、音像の方向感を与えることが可能と
なって、より臨場感のある楽音を発生させることができ
るようになる。
【0010】加えて、CPUなどで構成される制御手段
の負荷を軽減するための構成として、楽音信号生成手段
に転送する制御パラメータに、発音開始の時間的な指示
を含むような構成とするとしたが、そのような構成とし
ては、前記制御手段が、複数の楽音発生チャンネルに、
制御パラメータを転送する際に、複数チャンネルに同時
に転送を行い、且つ制御パラメータとして、エンベロー
プ値を略0とすることが可能なフェイズを有するエンベ
ロープを形成できるエンベロープ係数と、当該エンベロ
ープフェイズと同等の時間に相当する分だけ本来の読出
波形のトップから遡ったアドレスをスタートアドレスと
する波形読出アドレスとを、楽音発生チャンネル毎に楽
音信号生成手段に転送する構成とするのがよい。
【0011】上記構成では、制御手段により、楽音発生
チャンネル毎に楽音信号生成手段にエンベロープ係数が
転送され、それによって生成されるエンベロープのフェ
イズを従来より1つ増やすことで、pre read p
haseを設ける。そのpre read phaseの
エンベロープ値を略0とするようにすれば、その間に読
み出された波形データは、上記エンベロープ値(略0)
と乗算された結果、略0として出力されることになる。
またpre read phaseの間は、ちょうどディ
レイタイムに相当するので、そのエンベロープ値が乗算
される楽音波形についても、当該エンベロープフェイズ
と同等の時間に相当する分だけ本来の読出波形のトップ
から遡ったアドレスをスタートアドレスとして波形を読
出すことで、pre read phaseの間に読み出
される楽音波形データはどんなものであっても上記乗算
によって略0として出力され、楽音波形にディレイタイ
ムが設定できるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を添付図
面に基づき説明する。図1は本発明の残響効果付加装置
の一実施形態の構成が適用された電子楽器のブロック図
であり、この電子楽器は選択した音色に応じて所定の波
形データを読み出して発音するようにした波形メモリ読
出方式の電子楽器である。
【0013】本構成は、制御手段1と、波形記憶手段2
と、楽音信号生成手段3と、楽音発生手段4とを有する
構成であり、これらの構成はバス100に接続され、上
記電子楽器の構成として組み込まれている。さらにこの
バス100には、上記電子楽器の構成として必要な構成
が接続されている。すなわち、鍵盤インターフェース1
01aを介して鍵盤101が、パネルインターフェース
102aを介してパネルスイッチ102が、さらにRA
M103とROM104が当該バス100に接続されて
いる。その他、該バス100には、MIDIインターフ
ェース105とディスクドライブ106とが接続されて
いる。
【0014】鍵盤インターフェース101aは、鍵盤1
01を走査することにより押鍵(キーオン)と離鍵(キ
ーオフ)の各イベントを検出し、イベントのあった鍵の
キーコードを出力する。
【0015】パネルスイッチ102は、複数種類の音色
から所望の音色を選択するための音色選択スイッチとそ
の他のスイッチを備えており、パネルインターフェース
102aはパネルスイッチ102の各スイッチ操作のイ
ベントを検出する。
【0016】RAM103は、プログラムを実行する時
に必要なデータを一時的に記憶し、ワーキングメモリと
しての役割を果たしている。
【0017】ROM104は、楽音信号生成手段3に音
色を指定するための音色データ、波形データの読出アド
レスを指定するアドレス情報、エンベロープ波形生成用
のエンベロープ係数、及び制御プログラムなどが記憶さ
れており、制御手段1は、バス100を介して各種情報
のやりとりを行い、RAM103内に設定されたレジス
タ等を用いながらROM103の制御プログラムに基づ
いて電子楽器全体の動作を制御する。
【0018】制御手段1は、全体の制御と演算処理を行
うCPUで構成されており、特に本構成では、残響効果
付加のONイベントが検出されると、キーオンディレイ
アサイナモードとなって、キーオンディレイ効果を付加
するよう機能し、1つのキーオン情報に基づき、64の
楽音発生チャンネルに対して、波形読出アドレスやエン
ベロープ係数を含む制御パラメータを、同時に転送する
機能を果たしている。
【0019】波形記憶手段2は、ROMで構成されてお
り、図2に示すように、楽音波形をサンプリングして得
た時系列な振幅情報からなる波形データが、複数種類の
楽音について一続きに連続して記憶されている。図2
は、波形ROMの記憶内容と読出アドレスとの関係を示
しており、そこに例示されたものには、ストリングス、
オルガン、ピアノなどがあるが、これらの波形形状は、
ヘッド部分とループ部分とから成り立っている。そして
A、B、Cは読出スタートアドレスを、またLTはルー
プトップアドレス、LEはループエンドアドレスを各示
している。
【0020】楽音信号生成手段3は、時分割多重化処理
により64音同時発音可能な音源LSIで構成され、制
御手段1からバスを介して64チャンネル分のアサイン
メントメモリ30に転送され、64の楽音発生チャンネ
ルに割り振られた制御パラメータに基づき、上記波形記
憶手段2からの楽音波形データの読出を行ってサンプリ
ング補間及びフィルタ処理を行うと共に、この波形デー
タにエンベロープの付与を行ってデジタル楽音信号を生
成する。その詳細な構成については、後述する。
【0021】楽音発生手段4は、デジタル・アナログコ
ンバータ40とアンプ及びスピーカなどよりなるサウン
ド装置41で構成されており、楽音信号生成手段3から
出力されたデジタル楽音信号がデジタル・アナログコン
バータ40でD/A変換されて、サウンド装置41で楽
音が発生させられる。
【0022】本構成では、上記楽音信号生成手段3と楽
音発生手段4の間に、デジタルシグナルプロセッサDS
P5が設けられており、前記制御手段1により送られた
係数等を基に、デジタル楽音信号に対し、リバーブなど
の各種サウンドイフェクトがかけられるようになってい
る。
【0023】上記楽音信号生成手段3は、図3に示すよ
うに、64チャンネル分のアサイメントメモリ30と、
時分割処理を行う際に必要なクロックを供給するための
タイミングジェネレータ31と、波形データ読出しのた
めの波形読出アドレスを発生するFナンバ累算器32
と、波形記憶手段2から読み出された波形データの補間
処理及び高調波成分の調整のためのフィルタ処理を行う
サンプリング補間フィルタ33と、複数のフェーズから
なるエンベロープを発生するエンベロープ累算器34
と、補間処理及びフィルタ処理の行われた読出波形にエ
ンベロープを乗算する第1の乗算器35と、エンベロー
プの乗算された読出波形にさらに2の補数を乗算する第
2の乗算器36と、出力された64チャンネル分の楽音
信号をL/Rいずれかの系列に分類しながら累算する系
列累算器37とを有している。
【0024】上記構成で前記Fナンバ累算器32は、波
形記憶手段2に格納されている波形データを読み出すた
めに、スタートアドレスに対して、Fナンバ加算値
(N)の累算の結果得られるフリークゥエンシィアキュ
ムレート値(FACC)を加算して波形読出アドレスを
決定し、これらをさらに64チャンネル分時分割で発生
する。この波形読出アドレスのうち、その整数部を波形
記憶手段2に供給し、またその小数部をサンプリング補
間フィルタ33に出力する。サンプリング補間フィルタ
33は、波形記憶手段2から読み出された波形データに
基づいて、波形アドレスの小数部に対応した波形サンプ
リング値を補間演算により算出し、さらに高調波成分の
調整のためのフィルタ処理を行い、出力する。エンベロ
ープ累算器34は、スピードデータ(SPD)を累算
(加算・減算の場合を含む)して得られるエンベロープ
アキュムレート値(EACC)とフェーズ終了値データ
(PEP)及びエンベロープが上昇するのか減衰するの
かを決定する−/+フラグデータ(−/+)から64チ
ャンネル分の振幅エンベロープ信号を時分割で発生す
る。これらのSPDデータ、PEPデータ或いは−/+
フラグデータは、ROM104から制御手段1に読み出
されて与えられるエンベロープ波形生成用のエンベロー
プ係数等の制御パラメータである。第1の乗算器35
は、サンプリング補間フィルタ33の出力する波形サン
プル値と振幅エンベロープ信号とを乗算する。さらに第
2の累算器36は、アサイメントメモリ30から送出さ
れた2の補数をエンベロープの乗算された読出波形にさ
らに乗算し、間接音を生成する楽音発生チャンネルのい
くつかで、位相を180°ずらして波形出力を開始する
ことができるようにすることで、大きなダイナミックレ
ンジを必要とせずに、所定のラウドネスが得られるよう
にしている。系列累算器36は、時分割出力される64
チャンネル分の楽音信号をL/Rフラグに基づきいずれ
かの系列に分類しながら累算し、全チャンネルの出力を
L/Rの2系列に合成する。
【0025】上記エンベロープ累算器34は、フェーズ
分割方式のエンベロープ発生器であり、本構成では、こ
れによって生成されるエンベロープを、キーオン時にp
h0〜ph3の4フェーズ、キーオフ時にph4〜ph
7の同じく4フェーズに分割している。図4に示すよう
に、上述のアサイメントメモリ30は、各チャンネル毎
に、波形記憶手段2の波形データ読出用の領域と、エン
ベロープ制御用の領域と、ラウドネス用の領域と、FA
CCクリア、phクリア、EACCクリアなどの制御用
フラグ、L/Rフラグ及びフィルタ係数等の記憶領域に
区分けされる。
【0026】そのうち波形データ読出用の領域は、波形
データ読出のためのスタートアドレス(STa、ST
b、STc)、Fナンバ加算値(N)、ループトップア
ドレス(LT)、ループエンドアドレス(LE)が記憶
される。またエンベロープ制御用の領域には、キーオン
時のph0〜ph3と、キーオフ時のph4〜ph7の
それぞれのフェーズにおいて、前述のスピードデータ
(SPD)とフェーズ終了値データ(PEP)及び−/
+フラグデータ(−/+)が記憶される。ラウドネス用
の領域は、エンベロープのラウドネスレベルをどの程度
かけるのかを示す値が2の補数で記憶されている。本構
成では、この2の補数を用いることにより、逆位相の波
形を含めることができるようにし、それによりダイナミ
ックレンジを大きくしなくてもラウドネスをかせげるよ
うにしている。また2の補数という、+−を入れ替える
だけの単純な構成で位相を変えることができるため、量
子化ビット数を抑えることも可能となる。さらにFAC
Cクリア、phクリア、EACCクリアは、制御手段1
により、その値を1とすることで、楽音信号生成手段3
がそれを認識すると、それまでFACC、フェーズ、E
ACCを記憶していたレジスタはクリアされ、FACC
やEACCは0に、またフェーズはph0となる。加え
てL/Rフラグは、出力系列をL側にするかR側にする
かを指示するもので、たとえば0であればL側、1であ
ればR側に出力される。
【0027】ここでは、上記エンベロープ制御用の領域
に記憶された各フェーズにおける、スピードデータ(S
PD)とフェーズ終了値データ(PEP)及びエンベロ
ープが上昇する(+で示される)のか減衰する(−で示
される)のかを決定する−/+フラグデータ(−/
+)、さらにSPDの累算値であるエンベロープアキュ
ムレート値(EACC)との関係からどのようにエンベ
ロープ波形が生成されるかについて以下に説明する。
【0028】図5(a)は、これらの関係を示す説明図
であり、エンベロープ累算器34内の演算は浮動小数点
に則って行われており、エンベロープのフェーズデータ
は、指数部4ビット、仮数部12ビットからなる。SP
Dデータは仮数部8ビットからなり、上記−/+信号に
従い加減算される。EACCデータは、指数部4ビッ
ト、仮数部12ビットからなり、−/+信号が0の時、
すなわち”+”の時、各チャンネル毎に時分割されたタ
イムスロットで、このEACCデータにSPDデータが
加算されていく。PEPデータは、上記のEACCデー
タの上位から7ビットに対応し、指数部4ビット、仮数
部3ビットよりなり、EACCデータの上位7ビット
(指数部4ビット、仮数部3ビット)と比較される。比
較した結果、EACCデータ≧PEPデータとなってい
れば、現在のフェーズから次のフェーズに移行する。以
上は、−/+信号が”0”すなわち”+”の場合である
が、−/+信号が”1”すなわち”−”の時は、EAC
CデータからSPDデータが減算されると共に、EAC
CデータとPEPデータが比較され、比較した結果、E
ACCデータ≦PEPデータとなっていれば、現在のフ
ェーズから次のフェーズに移行する。そしてこのフェー
ズの移行によりエンベロープ波形が形成される。また−
/+信号が”1”の時リニア軸上で指数関数的形状にな
るように、−/+信号が”0”の時直線的形状になるよ
うに、SPDデータを左シフトする。これにより、図5
(b)のような形状となる。
【0029】これらのエンベロープパラメータは、キー
オン時のph0〜3の4つのフェーズと、キーオフ時の
ph4〜7の4つのフェーズからなり、エンベロープ累
算器34では各チャンネルのアサイメントメモリ30中
のphクリアが1になると、上述したように、それまで
のフェーズレジスタはクリアされ、ph=0となり、p
h0又はph4のパラメータが採用される。各チャンネ
ルのフェーズレジスタは、制御手段1によりphクリア
=1に設定することにより、キーオン時によってもクリ
アされるが、キーオフ時にもph0〜3の内容をキーオ
フフェーズであるph4〜7の値に書き換えた後にクリ
アされて、ph0に対応するエリアに記憶されたph4
のパラメータが採用されることになる。
【0030】本構成では、エンベロープのフェイズを従
来より1つ増やすことで、ph0のpre read p
haseを設け、さらにそのpre read phas
eによって、実質的にディレイタイムを創出させるた
め、そのエンベロープ値を略0とするようにする。その
場合、エンベロープのフェーズデータは、Power
(指数)は2P-16で、またMantissa(仮数)は
1+M/212で表わされるため、このpre read
phaseのエンベロープ値を略0とするためには、p
re read phaseのPEPのPowerは、同
時に発音を開始させるべき複数のチャンネルのいずれで
も、P≦8にしておけばよい。Mantissaの値を
一応0として、P=8の時のエンベロープ値は、下式数
1に示されるようになる。
【0031】
【数1】 Env=2P-16*(1+M/212) =2-8*(1+0) =2-8 =48db
【0032】この値はかなり小さな値であり、エンベロ
ープの立ち上がり時には気にならないレベルである。但
しもし発音する音色がフルート音のように高調波をほと
んど含まず、立ち上がりもあまり早くない場合は、pr
e read phaseのPEPのPowerは、P≦
6とすれば、どんな場合にもまったく問題はない。
【0033】前述のように、pre read phas
eの間は、ちょうどディレイタイムに相当するので、そ
のエンベロープ値が乗算される楽音波形についても、当
該エンベロープフェイズと同等の時間に相当する分だけ
本来の読出波形のトップから遡ったアドレスをスタート
アドレスとして波形を読出すようにする(以下その間に
読み出された波形をpre read 波形という)。そ
れによって、preread phaseの間に読み出
される楽音波形データはどんなものであっても、pre
read phaseの間のほぼ0のエンベロープ値の
乗算によって、略0として出力されようになり、楽音波
形にディレイタイムが設定できるようになる。
【0034】すなわちディレイタイムは、上記pre
read phaseのSPDデータとPEPデータに
よって決定される(SPDデータが累算されたEACC
データがPEPデータ以上又は以下になった時点でフェ
ーズが変わるため)が、同時に、図2に示すように、押
鍵に基づく波形の読み出しスピード、すなわちFナンバ
加算値(N)とpre read 波形の長さ、すなわち
スタートアドレス(STa、STb、STc)〜ループ
トップアドレス(LT)によっても決まることになり、
本構成では、これらは等しくなければならない。
【0035】例えばディレイタイムが10msであり、
エンベロープ累算器34のシステムクロック周波数が4
0KHz、すなわち1チャンネル当たりの演算周期が2
5μsとすると、10msかけてph0のEACCデー
タがそのPEPデータに到達するためには、下式数2か
ら、400回の演算を必要とするように設定する必要が
ある。
【0036】
【数2】10×103μs÷25μs=400(回)
【0037】前記図5を参照して、PEPデータのPo
wer=6、Mantissa=0、−/+=0(+)
とするならば、EACC=6×212でフェーズ転換点と
なるため、SPDデータとしては、下式数3のように、
その値を上記演算回数400で割った値となる。
【0038】
【数3】SPD=6×212÷400
【0039】このような値にしておけば、ph0の演算
はほぼ10msで終了し、その後ph1に移行し、正規
のアタックフェーズを開始するので、エンベロープ値も
急速に立ち上がり、補間の行われた読出波形にエンベロ
ープを乗算する第1の乗算器35による乗算結果の波形
レベルも大きくなる。
【0040】他方、上述のように、波形データの読み出
しに関しては、Fナンバ加算値(N)とpre rea
d 波形の長さを考慮して、ディレイタイム分、本来の
読出波形のトップから遡ったアドレスをスタートアドレ
スとして波形を読出さねばならない。その場合、波形R
OMの記憶内容と読出アドレスとの関係を示す前記図2
を参照して、図6に示されるピアノの音色で、エコー効
果乃至残響効果を得る場合のキーオンディレイ処理の一
例につき、説明する。
【0041】図6は、1つのキーオン情報に基づき、制
御手段1が、3つの楽音発生チャンネルに対して、波形
読出アドレスやエンベロープ係数を含む制御パラメータ
を同時に転送し、楽音信号生成手段3が、各楽音発生チ
ャンネルに割り振られた制御パラメータに基づき、波形
記憶手段2からの楽音波形データの読出を行った状態
と、この波形データに乗算するエンベロープ波形の生成
を行った状態と、これらの乗算により生成された楽音波
形の状態を時系列的に示す波形データの推移説明図であ
る。図面の一番上の(a)には、演奏者の鍵盤操作によ
るキーオン及びキーオフのタイミングが示されている。
次の(b)は、楽音発生チャンネルTGch1におけ
る、(c)は、楽音発生チャンネルTGch2におけ
る、さらに(d)は、楽音発生チャンネルTGch3に
おける、夫々ピアノの読出波形、エンベロープ波形、第
1の乗算器35による波形出力の推移が示されている。
(a)のキーオン・オフタイミングは、どのチャンネル
も共通であり、制御手段1の負荷を軽くしている。
【0042】TGch1では、Delay0のディレイ
タイムはほぼ0であり、従って、ピアノの波形データの
読み出しは図2のアドレスAから行われる。またそのエ
ンベロープ波形を構成するph0のpre read p
hase(エンベロープ値ほぼ0)の占有時間もほぼ0
であり、従ってキーオンとほぼ同時にph1のアタック
フェーズに移行する。またキーオフでph4のリリース
フェーズに移行する。上記読み出し波形とエンベロープ
波形の乗算出力は、図面に示すようになり、キーオンと
同時に楽音が生成される。本構成では、エコー効果或い
は残響効果を得る場合の直接音の生成に、このように楽
音発生チャンネルでディレイタイムをほぼ0とするやり
方を用いている。
【0043】TGch2では、Delay1のディレイ
タイムがあり、従って、ピアノの波形データの読み出し
は図2のアドレスBから行われる。またそのエンベロー
プ波形を構成するph0のpre read phase
(エンベロープ値ほぼ0)の占有時間もDelay1の
ディレイタイムと同一となり、従ってキーオンからこの
ディレイタイムだけ経過してph1のアタックフェーズ
に移行する。またキーオフと同時にph4のリリースフ
ェーズに移行する。上記読み出し波形とエンベロープ波
形の乗算出力は、図面に示すようになり、キーオンから
上記ディレイタイム分遅れて楽音が生成される。
【0044】TGch3では、Delay2のディレイ
タイムがあり、従って、ピアノの波形データの読み出し
は図2のアドレスCから行われる。またそのエンベロー
プ波形を構成するph0のpre read phase
(エンベロープ値ほぼ0)の占有時間もDelay2の
ディレイタイムと同一となり、従ってキーオンからこの
ディレイタイムだけ経過してph1のアタックフェーズ
に移行する。またキーオフと同時にph4のリリースフ
ェーズに移行する。上記読み出し波形とエンベロープ波
形の乗算出力は、図面に示すようになり、キーオンから
上記ディレイタイム分遅れて楽音が生成される。
【0045】本構成では、後述するように、エコー効果
や残響効果を得るためのキーオンディレイ処理で残響音
である反射音の生成する処理に、このように楽音発生チ
ャンネルでDelay1やDelay2のディレイタイ
ムを設定するやり方を用いている。
【0046】以上のような波形データの推移とするため
には、ph0のpre read phaseのSPDデ
ータがTGch1〜TGch3の楽音発生チャンネルの
間で異なっていなければならない。またph0のpre
read phaseの目標値であるPEPにつき、当
該フェイズのエンベロープ値を略0とすることができる
値にしておく必要がある。本構成では、PEPのPOW
ERの値を前述のように、8以下に設定している。
【0047】図7(a)(b)は、1つのキーオン情報を受
け、それに伴って生成される楽音に残響効果を付加した
場合のL系列(左側出力ch0〜ch10の偶数チャン
ネル)とR系列(右側出力ch1〜ch11の奇数チャ
ンネル)の楽音発生チャンネルにおけるキーオンディレ
イの実質タイミングとラウドネスレベルとの関係を示す
タイムチャートである。X軸方向は経過時間tを示して
おり、キーオンディレイにより、L系列ではch0から
始まってch2,ch4,…ch10と発音が開始さ
れ、このうちch0は直接音の発音タイミングを、その
他は間接音の発音タイミングを各示している。同様にR
系列でも、ch1から始まってch3,ch5,…ch
11と発音が開始され、このうちch1は直接音の発音
タイミングを、その他は間接音の発音タイミングを各示
している。このL系列とR系列の楽音発生タイミングに
は、夫々わずかな違いを持たせ、ステレオ感(臨場感)
を出せるようにしている。またY軸方向はラウドネスレ
ベルを示しており、その上下方向では逆位相であって、
時間の経過と共に残響成分である後段の各チャンネルの
ラウドネスレベルは次第に低くなっていることが解る。
なお図中のラウドネスレベルの緩やかな減衰を示す点線
の軌跡により、DSP5によるリバーブ成分波形の生成
の状態が示されている。
【0048】尚、本構成では、アサインされた各楽音発
生チャンネルに、少なくとも2つ以上の異なるフィルタ
係数を設定することで、遅く発音されるチャンネルの楽
音は、早く発音されるチャンネルの楽音に比べて、高調
波成分が少なくなるように制御することとした。図8
(a)〜(f)は、楽音信号にかけられるチャンネル別のフ
ィルタ特性を示す説明図である。ch0やch1から発
音される楽音には高調波が多く含まれ、また逆に残響音
として残る反射音を発生する後段側のchほど、そこか
ら発音される楽音に含まれる高調波は少なくなる。従っ
て、遅く発音されるチャンネルの楽音ほど、楽音信号生
成手段3におけるフィルタ処理で高い周波数成分をカッ
トすることになる。これは、残響音として残る反射音ほ
ど、高調波成分が少なくなって、丸い音になるからであ
り、夫々のチャンネルでフィルタ係数を変更し、これら
のフィルタ特性を制御して、そのような調整を行ってい
る。
【0049】図9及び図10は、本構成による処理が行
われる場合の制御手段1による処理フローを示すフロー
チャートである。電源スイッチがONされると、バス1
00に接続されている制御手段1、楽音信号生成手段
3、楽音発生手段4、鍵盤インターフェース101a、
パネルインターフェース102a、RAM103の初期
化が行われる(ステップS101)。この時、初期設定
としてアサイナモードをノーマルアサイナモード(AS
N=normal)に設定すると共に、全アサイメント
メモリ30をクリアし、またDSP5にプログラム及び
必要な係数の転送も行われる。
【0050】次にパネルスイッチのONイベントが検出
され(ステップS102)、その中で残響効果付加のO
Nイベントがあるか否かの検出がなされる(ステップS
103)。この残響効果付加のONイベントが検出され
た場合(ステップS103;Yes)、アサイメントメ
モリ30の対応チャンネルエリアをクリアし(ステップ
S104)、本発明のキーオンディレイ効果を付加させ
るための構成を機能させて、キーオンディレイアサイナ
モードを起動させる(ステップS105)。また前記残
響効果付加のONイベントが検出されなかった場合(ス
テップS103;No)、残響効果付加のOFFイベン
トがあるか否かの検出がなされる(ステップS10
6)。残響効果付加のOFFイベントが検出された場合
(ステップS106;Yes)、アサイメントメモリ3
0の対応チャンネルエリアをクリアし(ステップS10
7)、ノーマルアサイナモードを起動させる(ステップ
S108)。残響効果付加のOFFイベントが検出され
なかった場合(ステップS106;No)、その他パネ
ルスイッチに対応した処理が行われる(ステップS10
9)。
【0051】上記ステップS105、108又は109
の後、キーボードデータとMIDIデータがキー入力バ
ッファに格納される(ステップS110)。そして鍵盤
101のキーオンイベントを検出し(ステップS11
1)、このキーオンイベントが検出された場合(ステッ
プS111;Yes)、L系列及びR系列の夫々1つず
つの楽音発生チャンネルを決定し(TGch0、TGc
h1)、それらのチャンネル対応のアサイメントメモリ
30に、図4に示されたスタートアドレスSTa及びS
Tb、Fナンバ加算値(N)、ループトップアドレス
(LT)、ループエンドアドレス(LE)、ph0〜p
h3までのスピードデータ(SPD)、フェーズ終了値
データ(PEP)及び−/+フラグデータ(−/+)、
さらにFACCクリア=1、phクリア=1、EACC
クリア=1などの制御用フラグ、L/Rフラグ及びフィ
ルタ係数等を書き込む(ステップS112)。この図面
には詳細に記載されていないが、エンベロープph0の
SPDデータとスタートアドレスSTa及びSTb(こ
れらは直接音の発音タイミングに関係)以外にも、さら
にラウドネスレベルやフィルタ係数(これは高調波成分
の調整に関係)の各値は、直接音のためのものであり、
それに対応した値が書き込まれる。
【0052】さらにアサイナモードがキーオンディレイ
か否かがチェックされ(ステップS113)、キーオン
ディレイであれば(ステップS113;Yes)、上記
チャンネル(TGch0、TGch1)以外の10の楽
音発生チャンネルを決定し(TGch2〜TGch1
1)、それらのチャンネルの対応するアサイメントメモ
リ30に、スタートアドレスSTa及びSTb、エンベ
ロープph0のSPDデータ、ラウドネスレベル、L/
Rフラグ及びフィルタ係数以外の上記パラメータをコピ
ーすると共に、TGch2にはスタートアドレスST
c、エンベロープph0のSPDデータ、ラウドネスレ
ベル、L/Rフラグ、フィルタ係数を、またTGch3
にはスタートアドレスSTd、エンベロープph0のS
PDデータ、ラウドネスレベル、L/Rフラグ、フィル
タ係数を、……、TGch11にはスタートアドレスS
Tl、エンベロープph0のSPDデータ、ラウドネス
レベル、L/Rフラグ、フィルタ係数を、夫々演算によ
って求め、書き込む(ステップS114)。前記ステッ
プS113で、キーオンディレイでなければ(ステップ
S113;No)、後述するFDインターフェース制御
に移行する(ステップS119)。
【0053】他方前述のキーオンイベントが検出されな
かった場合(ステップS111;No)、鍵盤101の
キーオフイベントを検出する(ステップS115)。こ
のキーオフイベントが検出された場合(ステップS11
5;Yes)、対応する楽音発生チャンネルのアサイメ
ントメモリ30に、図4に示されたキーオフフェーズp
h4〜ph7までのスピードデータ(SPD)、フェー
ズ終了値データ(PEP)及び−/+フラグデータ(−
/+)、さらにphクリア=1を書き込む(ステップS
116)。
【0054】さらにアサイナモードがキーオンディレイ
か否かがチェックされ(ステップS117)、キーオン
ディレイであれば(ステップS117;Yes)、上記
チャンネル(TGch0、TGch1)以外の10の楽
音発生チャンネルを検出して(TGch2〜TGch1
1)、それらのチャンネルの対応するアサイメントメモ
リ30に、キーオフフェーズph4〜ph7までのスピ
ードデータ(SPD)、フェーズ終了値データ(PE
P)及び−/+フラグデータ(−/+)、さらにphク
リア=1を書き込む(ステップS118)。前記ステッ
プS117で、キーオンディレイでなければ(ステップ
S117;No)、後述するFDインターフェース制御
に移行する(ステップS119)。
【0055】加えてS115のキーオフイベントの検出
で、キーオフイベントが検出されなかった場合(ステッ
プS115;No)、S113でキーオンディレイでな
い場合(ステップS113;No)、前記ステップS1
17で、キーオンディレイでない場合(ステップS11
7;No)、さらにステップS114やステップS11
8の書き込みの後、FDインターフェース制御に移行し
(ステップS119)、最後に上記ステップS102に
復帰する。
【0056】以上の本実施形態構成では、キーオンディ
レイ処理と楽音波形の位相をずらす処理により、エコー
効果や残響効果が得られるようになる。即ち、1つのキ
ーオン情報に基づき、アサインされた楽音発生チャンネ
ル毎に実質異なるタイミングにて発音が開始されるよう
に、制御手段1が楽音信号生成手段3に転送する制御パ
ラメータに、発音開始の時間的な指示を含む構成とする
ことで、各楽音発生チャンネルにおける発音タイミング
の制御を行い、そのような構成でキーオンディレイ処理
が行われる。該構成では、制御手段1により設定された
発音タイミングにより、制御パラメータに、発音開始の
時間的な指示が含まれる簡便な構成であるため、楽音信
号生成手段3から出力される楽音信号が既に遅延されて
いることになり、制御手段1の負荷を軽減することがで
きるようになる。そして上記キーオンディレイ処理で、
直接音を発生させるチャンネルでは早く発音が開始され
(ディレイは短い)、また反射音である間接音を発生さ
せるチャンネルでは、遅く発音が開始される(その分デ
ィレイが長くなる)ように制御される。
【0057】また制御手段1による楽音波形の位相を1
80°ずらす処理によって、キーオンディレイ処理で複
数生成される楽音波形のダイナミックレンジを所定の範
囲内に抑えることができるようになる。またその場合、
楽音波形に2の補数を乗算するだけ、即ち+−を入れ替
えるだけの単純な構成なので、量子化ビット数を抑える
ことが可能となる。さらに残響音として残る反射音は、
次第にその振幅が減衰していくので、本構成では、アサ
インされた各楽音発生チャンネルで生成される各楽音波
形の振幅もそれに合わせて制御するようにしている。
【0058】さらに前記制御手段1がアサインされた楽
音発生チャンネルに各制御パラメータを転送する際に、
該パラメータにL/Rの2つの出力系列のどちらを指定
するかのパラメータを含み、L/Rの出力系列に夫々2
つ以上の楽音発生チャンネルを使用して発音開始を指示
し、夫々の発音開始タイミングを右側系列と左側系列で
異なるように制御しているので、音像の方向感を与える
ことが可能となって、より臨場感のある楽音を発生させ
ることができるようになる。
【0059】
【発明の効果】以上の本発明に係る電子楽器のの構成に
よれば、1つのキーオン情報に基づき、アサインされた
楽音発生チャンネル毎に実質異なるタイミングにて発音
が開始されるように、制御手段が、各楽音発生チャンネ
ルにおける発音タイミングの制御を行っており、そのよ
うな構成でキーオンディレイ処理で、直接音を発生させ
るチャンネルでは早く発音が開始され、また反射音であ
る間接音を発生させるチャンネルでは、遅く発音が開始
されるように制御され、エコー効果残響効果を奏するこ
とができるようになる。また制御手段による楽音波形の
位相をずらす処理によって、キーオンディレイ処理で複
数生成される楽音波形のダイナミックレンジを所定の範
囲内に抑えることができるようになる。また請求項3の
構成では、制御手段がアサインされた楽音発生チャンネ
ルに各制御パラメータを転送する際に、該パラメータに
いずれの出力系列から出力するのかを指定するパラメー
タを含み、これらの出力系列に夫々2つ以上の楽音発生
チャンネルを使用して発音開始を指示し、夫々の発音開
始タイミングを各出力系列で異なるように制御している
ので、音像の方向感を与えることが可能となって、より
臨場感のある楽音を発生させることができるようにな
る。さらに制御手段が楽音信号生成手段に転送する制御
パラメータに、発音開始の時間的な指示を含む請求項4
のような構成とすることで、該制御手段で、ディレイタ
イムを設定する必要がなくなり、その分だけ制御手段の
負荷が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の残響効果付加装置の一実施形態の構成
が適用された電子楽器のブロック図である。
【図2】波形ROMの記憶内容と読出アドレスとの関係
を示す説明図である。
【図3】楽音信号生成手段を主に示す本残響効果付加装
置の構成が適用された電子楽器のブロック図である。
【図4】アサイメントメモリの記憶内容の一例を示す説
明図である。
【図5】エンベロープ係数とそれによってどのようなエ
ンベロープ波形が生成されるかの関係を示す説明図であ
る。
【図6】波形記憶手段からの楽音波形データの読出状態
と、エンベロープ波形の生成状態と、これらの乗算によ
り生成された楽音波形の状態を時系列的に示す波形デー
タの推移説明図である。
【図7】1つのキーオン情報に伴って生成される楽音に
残響効果を付加した場合のL系列とR系列の楽音発生チ
ャンネルにおけるキーオンディレイの実質タイミングと
ラウドネスレベルとの関係を示すタイムチャートであ
る。
【図8】楽音信号にかけられるチャンネル別のフィルタ
特性を示す説明図である。
【図9】本構成による処理が行われる場合の制御手段に
よる処理フローを示すフローチャートである。
【図10】制御手段による上記処理フローの続きを示す
フローチャートである。
【符号の説明】
1 制御手段 2 波形記憶手段 3 楽音信号生成手段 4 楽音発生手段 5 DSP 30 アサイメントメモリ 31 タイミングジェネレータ 32 Fナンバ累算器 33 サンプリング補間フィルタ 34 エンベロープ累算器 35 第1の乗算器 36 第2の乗算器 37 系列累算器 40 デジタル・アナログコンバータ 41 サウンド装置 100 バス 101 鍵盤 101a 鍵盤インターフェース 102 パネルスイッチ 102a パネルインターフェース 103 RAM 104 ROM 105 MIDIインターフェース 106 ディスクドライブ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つのキーオン情報に基づき、複数の楽
    音発生チャンネルに対して、波形読出アドレスやエンベ
    ロープ係数を含む制御パラメータを転送し、発音開始を
    指示する制御手段と、 任意の楽音波形を記憶する波形記憶手段と、 制御手段から転送され複数の楽音発生チャンネルに割り
    振られた制御パラメータに基づき、上記波形記憶手段か
    らの楽音波形データの読出を行ってフィルタ処理を行う
    と共に、この波形データにエンベロープの付与を行って
    楽音信号を生成する楽音信号生成手段と、 該楽音信号生成手段で楽音発生チャンネル毎に生成され
    た楽音信号に基づいて楽音を発生する楽音発生手段とを
    少なくとも有しており、 前記制御手段は、前記1つのキーオン情報に基づき、ア
    サインされた楽音発生チャンネル毎に実質異なるタイミ
    ングにて発音が開始されるように、楽音信号生成手段に
    対する制御パラメータの転送を行うと共に、アサインさ
    れた各楽音発生チャンネルで生成される楽音波形に位相
    の異なるものを含み、且つそれらの振幅を制御すること
    を特徴とする電子楽器の残響効果付加装置。
  2. 【請求項2】 アサインされた各楽音発生チャンネルに
    180°位相の異なる楽音波形を含むことを特徴とする
    請求項1記載の電子楽器の残響効果付加装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段がアサインされた楽音発生
    チャンネルに各制御パラメータを転送する際に、該パラ
    メータに出力系列を指定するパラメータを含み、少なく
    とも2つ以上の出力系列に夫々2つ以上の楽音発生チャ
    ンネルを使用して発音開始を指示し、夫々の発音開始タ
    イミングを右側系列と左側系列で異なるように制御する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の電子楽器の残
    響効果付加装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段が、複数の楽音発生チャン
    ネルに、制御パラメータを転送する際に、複数チャンネ
    ルに同時に転送を行い、且つ制御パラメータとして、エ
    ンベロープ値を略0とすることが可能なフェイズを有す
    るエンベロープを形成できるエンベロープ係数と、当該
    エンベロープフェイズと同等の時間に相当する分だけ本
    来の読出波形のトップから遡ったアドレスをスタートア
    ドレスとする波形読出アドレスとを、楽音発生チャンネ
    ル毎に楽音信号生成手段に転送することを特徴とする請
    求項1、2または3記載の電子楽器の残響効果付加装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109830244A (zh) * 2019-01-21 2019-05-31 北京小唱科技有限公司 用于音频的动态混响处理方法及装置

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