JP3673384B2 - 楽音のチャンネル割り当て装置及び楽音のチャンネル割り当て方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、楽音のチャンネル割り当て装置、楽音のチャンネル割り当て方法、楽音のエンベロープ制御装置または楽音のエンベロープ制御方法に関し、特に同じ周波数の楽音の合成の制御に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、電子楽器のチャンネル割り当て装置では、同時に発音できる楽音数より多くない数の楽音生成チャンネルが時分割処理により構成され、新たな楽音の発生の指示があると、この楽音が上記複数のチャンネルの空きチャンネルに割り当てられ、これにより楽音が発生される。
【0003】
この各チャンネルに割り当てられる楽音は、キーボードの各キーの操作に応じており、音高(周波数)が異なっている。この楽音の波形は同じであったり異なっていたりする。この楽音の波形が異なれば音色も異なる。
【0004】
また、同時に発生される各楽音のエンベロープは、それぞれ個別かつ独立に生成される。このエンベロープは、アタック、ディケイ、サステーン、リリースなどの各フェーズに分かれている。各フェーズはエンベロープスピード及びエンベロープレベル、またはエンベロープスピード及びエンベロープタイム、またはエンベロープレベル及びエンベロープタイムで決定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、各チャンネルに割り当てられる複数の楽音の中には場合によって同じ音高(周波数)のものがあり、このような同じ周波数の楽音に別々のチャンネルを割り当てるのは無駄であった。また、それぞれ個別に生成されるエンベロープの楽音の中にも場合によって同じ音高(周波数)のものがあり、このような同じ周波数の楽音に別々のエンベロープを付加するのは無駄であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、同時に発生される複数の楽音のうち同じ周波数の楽音を判別し、この判別された楽音の発生量を合成して1つのチャンネルにまとめて割り当てるようにした。これにより、使用するチャンネルの数を減らしてチャンネルの有効利用を図ることができる。
【0007】
また、本発明では、同時に発生される複数の楽音のうち同じ周波数の楽音を判別し、この判別された各楽音のエンベロープ波形を合成して1つの楽音として出力するようにした。これにより、使用するチャンネルの数を減らしてチャンネルの有効利用を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
1.全体回路
図1は楽音制御装置または電子楽器の全体回路を示す。キーボード11の各キーは、楽音の発音及び消音を指示するもので、キースキャン回路12によってスキャンされ、キーオン、キーオフを示すデータが検出され、コントローラ2によってプログラム/データ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記憶部4に記憶されていた各キーのオン、オフの状態を示すデータと比較され、各キーのオンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2によって行われる。
【0009】
このキーボード11の各キーには段差タッチスイッチが設けられ、各段差スイッチごとに上記スキャンが行われ、各段差スイッチの先頭のオン/オフごとにオンイベント/オフイベントの検出が行われる。この段差スイッチによってタッチの速さと強さを示す上記タッチ情報つまりイニシャルタッチデータとアフタタッチデータとが発生される。
【0010】
このキーボード11は、ローアキーボード、アッパーキーボード、ペダルキーボード等から成っており、それぞれにつき異なる音色の楽音、つまりエンベロープ波形の異なる楽音が発音される。そして、アッパーキーボードについては、1つのキーオンで2音色の楽音を同時に鳴らすことも可能である。なお、キーボード11は、電子弦楽器、電子吹奏(管)楽器、電子打楽器(パッド等)、コンピュータのキーボード等で代用される。
【0011】
パネルスイッチ群13の各スイッチは、パネルスキャン回路14によって、スキャンされる。このスキャンにより、各スイッチのオン、オフを示すデータが検出され、コントローラ2によってプログラム/データ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記憶部4に記憶されていた各スイッチのオン、オフの状態を示すデータと比較され、各スイッチのオンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2によって行われる。
【0012】
ミディインターフェース15は、外部接続された電子楽器との間で楽音データの送受を行うためのインタフェースである。この楽音データはMIDI(ミュージカルインスツルメントデジタルインタフェース)規格のもので、この楽音データに基づいた発音も行われる。
【0013】
上記キーボード11またはミディインターフェース15には、自動演奏装置も含まれる。これらキーボード11、パネルスイッチ群13及びミディインターフェース15から発生された演奏情報(楽音発生情報)は、楽音を発生させるための情報である。
【0014】
上記演奏情報(楽音発生情報)は、音楽的ファクタ(因子)情報であり、音高(音域)情報(音高決定因子)、発音時間情報、演奏分野情報、発音数情報、共鳴度情報などである。発音時間情報は楽音の発音開始からの経過時間を示す。演奏分野情報は、演奏パート情報、楽音パート情報、楽器パート情報等を示し、例えばメロディ、伴奏、コード、ベース、リズム、MIDI等に対応したり、または上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤、ソロ鍵盤、MIDI等に対応している。
【0015】
上記音高情報はキーナンバデータKNとして取り込まれる。このキーナンバデータKNはオクターブデータ(音域データ)と音名データとからなる。演奏分野情報は、パートナンバデータPNとして取り込まれ、このパートナンバデータPNは各演奏エリアを識別するデータであって、発音操作された楽音がどの演奏エリアからのものかによって設定される。
【0016】
発音時間情報は、トーンタイムデータTMとして取り込まれ、後述のフローチャートによって求められたり、キーオンイベントからのタイムカウントデータに基づいたり、またはエンベロープフェーズで代用される。この発音時間情報は特願平6−219324号明細書及び図面に発音開始からの経過時間情報として詳しく示される。
【0017】
発音数情報は同時に発音している楽音の数を示し、例えばアサインメントメモリ40のオン/オフデータが「1」の楽音の数に基づき、この数は特願平6−242878号の図9及び図15、特願平6−2476855号の図8及び図18、特願平6−276857号の図9及び図20、特願平6−276858号の図9及び図21のフローチャートに基づいて求められる。
【0018】
共鳴度情報は、同時に発音している1つの楽音と他の楽音との共鳴度を示す。この1つの楽音の音高周波数と他の楽音の音高周波数とが1:2、2:3、3:4、4:5、5:6など小さい整数数倍比であれば共鳴度情報の値は大きく、9:8、15:8、15:16、45:32、64:45など大きい整数数倍比であれば共鳴度情報の値は小さくなる。この共鳴度情報は特願平1−314818号の第7図の共鳴相関テーブル53または共鳴比率テーブル54から読み出される。
【0019】
さらに、上記パネルスイッチ群13には各種スイッチが設けられ、この各種スイッチは音色タブレット、エフェクトスイッチ、リズムスイッチ、ペダル、ホイール、レバー、ダイヤル、ハンドル、タッチスイッチ等であって楽器用のものである。このペダルはダンパーペダル、サスティンペダル、ミュートペダル、ソフトペダル等である。
【0020】
この各種スイッチより、楽音制御情報が発生され、この楽音制御情報は発生された楽音を制御する情報であって音楽的ファクタ(因子)情報であり、音色情報(音色決定因子)、タッチ情報(発音指示操作の速さ/強さ)、発音数情報、共鳴度情報、エフェクト情報、リズム情報、音像(ステレオ)情報、クオンタイズ情報、変調情報、テンポ情報、音量情報、エンベロープ情報等である。これら音楽的ファクタ情報も上記演奏情報(楽音情報)に合体され、上記各種スイッチより入力されるほか、上記自動演奏情報に合体されたり、上記インターフェースで送受される演奏情報に合体される。
【0021】
上記音色情報は、鍵盤楽器(ピアノ等)、管楽器(フルート等)、弦楽器(バイオリン等)、打楽器(ドラム等)の楽器(発音媒体/発音手段)の種類等に対応しており、トーンナンバデータTNとして取り込まれる。上記エンベロープ情報は、エンベロープレベルEL、エンベロープタイムET、エンベロープフェーズEFなどである。
【0022】
このような音楽的ファクタ情報は、コントローラ2へ送られ、後述の各種信号、データ、パラメータの切り換えが行われ、楽音の内容が決定される。上記演奏情報(楽音発生情報)及び楽音制御情報はコントローラ2で処理され、各種データが楽音信号発生部5へ送られ、楽音波形信号MWが発生される。コントローラ2はCPU、ROM及びRAMなどからなっている。
【0023】
プログラム/データ記憶部4(内部記憶媒体/手段)はROMまたは書き込み可能なRAM、フラッシュメモリまたはEEPROM等の記憶装置からなり、光ディスクまたは磁気ディスク等の情報記憶部7(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプログラムが書き写され記憶される(インストール/転送される)。またプログラム/データ記憶部4には外部の電子楽器またはコンピュータから上記MIDI装置または送受信装置を介して送信されるプログラムも記憶される(インストール/転送される)。このプログラムの記憶媒体は通信媒体も含む。
【0024】
このインストール(転送/複写)は、情報記憶部7が本楽音生成装置にセットされたとき、または本楽音生成装置の電源が投入されたとき自動的に実行され、または操作者による操作によってインストールされる。上記プログラムは、コントローラ2が各種処理を行うための後述するフローチャートに応じたプログラムである。
【0025】
なお、本装置に予め別のオペレーティングシステム、システムプログラム(OS)、その他のプログラムが記憶され、上記プログラムはこれらのOS、その他のプログラムとともに実行されてもよい。このプログラムは本装置(コンピュータ本体)にインストールされ実行されたときに、別のプログラムとともにまたは単独で請求項(クレーム)に記載された処理・機能を実行させることができればよい。
【0026】
また、このプログラムの一部又は全部が本装置以外の1つ以上の別装置に記憶されて実行され、本装置と別装置との間には通信手段を介して、これから処理するデータ/既に処理されたデータ/プログラムが送受され、本装置及び別装置全体として、本発明が実行されてもよい。
【0027】
このプログラム/データ記憶部4には、上述した音楽的ファクタ情報、上述した各種データ及びその他の各種データも記憶される。この各種データには時分割処理に必要なデータや時分割チャンネルへの割当のためデータ等も含まれる。
【0028】
楽音信号発生部5では、所定長の楽音波形信号MWが繰り返し発生されサウンドシステム6から発音出力される。上記音高情報に応じて、この繰り返し発生される楽音波形信号MWの発生速度は変化される。また上記音高色情報などの音楽的ファクタ情報に応じて、この繰り返し発生される楽音波形信号MWの波形形状は切り換えられる。この楽音信号発生部5は時分割処理によって複数の楽音信号が同時に生成されポリフォニックに発音される。
【0029】
タイミング発生部3からは、楽音生成装置の全回路の同期を取るためのタイミングコントロール信号が各回路に出力される。このタイミングコントロール信号は、各周期のクロック信号のほか、これらのクロック信号を論理積または論理和した信号、時分割処理のチャンネル分割時間の周期を持つ信号、チャンネルナンバデータCHNo、タイムカウントデータTIなどを含む。このタイムカウントデータTIは、絶対時間つまり時間の経過を示し、このタイムカウントデータTIのオーバフローリセットから次のオーバフローリセットまでの周期は、各楽音のうち最も長い発音時間より長く、場合によって数倍に設定される。
【0030】
2.成分音テーブル20
図2はプログラム/データ記憶部4内の成分音テーブル20を示す。この成分音テーブル20には、各音色(トーンナンバデータTN)の楽音を構成する各成分音のデータが記憶され、対応する成分音のデータがトーンナンバデータTNから変換され読み出される。この成分音のデータは、複数の周波数ナンバ比データFNRと複数のエンベロープデータからなっている。
【0031】
周波数ナンバ比データFNRは、音高に応じた基本周波数に対する各成分音の周波数の比を示す。指定された音高周波数に対して、この周波数ナンバ比データFNRが乗算され、各成分音の周波数が求められる。基本周波数の周波数ナンバ比データFNRは「1」であるから省略されてもよい。
【0032】
エンベロープデータは、上記各成分音ごとのエンベロープを示す。この各エンベロープデータは、各エンベロープフェーズごとのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETからなっている。エンベロープスピードデータESはエンベロープのデジタル演算1周期当たりの演算のステップ値を示す。エンベロープタイムデータETは各フェーズごとのエンベロープ演算時間(発生時間、発音時間)、つまり上記デジタル演算の各フェーズのごとの演算回数を示す。このエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETによって演算されるエンベロープ波形の振幅は、各成分音(各楽音)の発生量を示す。
【0033】
この成分音の数は1つの音色につき複数であるが、場合によって1つもある。この成分音は1つの楽音につき合成されて出力される。この合成割合は上記エンベロープデータに応じて変化する。もしこのエンベロープデータによるエンベロープ演算レベルが「0」であれば、当該成分音の割合は「0」となる。この各成分音のそれぞれに1つずつチャンネルが割り当てられ、個別にエンベロープ制御され、合成されて出力される。
【0034】
3.アサインメントメモリ40
図3は、楽音信号発生部5のアサインメントメモリ40を示す。アサインメントメモリ40には、複数(16、32または64等)のチャンネルメモリエリアが形成されており、上記楽音信号発生部5に形成された複数の楽音生成チャンネルに割り当てられた成分音に関するデータが記憶される。
【0035】
これら各チャンネルメモリエリアには、チャンネルが割当られた成分音の周波数ナンバデータFN、キーナンバデータKN及び上記エンベロープスピードデータES並びにエンベロープタイムデータETが記憶される。なお、場合によって、トーンナンバデータTN、タッチデータTC、トーンタイムデータTM、パートナンバデータPN、オン/オフデータ、エンベロープフェーズデータEF等も記憶される。
【0036】
オン/オフデータは割り当られ発音する楽音(成分音)がキーオン中または発音中(“1”)かキーオフ中または消音中(“0”)かを示す。周波数ナンバデータFNは割り当られ発音する成分音の周波数値を示し、上記キーナンバデータKNから変換され、さらに上記周波数ナンバ比データFNRが乗算される。上記プログラム/データ記憶部4には、この変換のためのテーブル(デコーダ)が設けられている。
【0037】
上記エンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETは上述したとおりである。このエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETは、同じ周波数の新たな成分音が当該チャンネルに割り当てられるたびに書き換えられ、この新たな成分音を合成したエンベロープのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETに置き換えられる。
【0038】
キーナンバデータKNは割り当られ発音する楽音の音高(周波数)を示し、上記音高情報に応じて決定される。このキーナンバデータKNは、1つの楽音を構成する各成分音すべてについて記憶され、オンイベントがあって当該成分音がチャンネル割り当てされ合成されるたびに、キーナンバデータKNがアサインメントメモリ40の該当チャンネルメモリエリアに付加記憶され、オフイベントのたびに対応するキーナンバデータKNは消去される。キーナンバデータKNの上位データは音域またはオクターブを示し、下位データは音名を示す。
【0039】
この各キーナンバデータKNに対応して当該成分音のエンベロープのリリースのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが記憶される。このリリースのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが1つの成分音で複数あれば、この複数全て記憶される。
【0040】
トーンナンバデータTNは、割り当てられ発音する楽音の音色を示し、上記音色情報に応じて決定される。このトーンナンバデータTNが異なれば音色も異なり、この楽音の楽音波形も異なる。タッチデータTCは、発音操作の速さまたは強さを示し、上記段差スイッチの操作に基づいて求められ、または上記タッチ情報に応じて決定される。パートナンバデータPNは、上述したように各演奏エリアを示し、発音操作された楽音がどの演奏エリアからのものかによって設定される。トーンタイムデータTMは、キーオンイベントからの経過時間を示す。
【0041】
これら各チャンネルメモリエリアの各データは、オンタイミング及び/又はオフタイミングに書き込まれ、各チャンネルタイミングごとに書き換えられたり、読み出されたりして、上記楽音信号発生部5で処理される。このアサインメントメモリ40は、楽音信号発生部5の中ではなく、プログラム/データ記憶部4またはコントローラ2の中に設けてもよい。
【0042】
上記時分割処理によって形成されるチャンネル、すなわち複数の楽音(成分音)を並行して発生するための複数の楽音発生システムへの各楽音の割り当て方法またはトランケート方法は、例えば特願平1−42298号、特願平1−305818号、特願平1−312175号、特願平2−2089178号、特願平2−409577号、特願平2−409578号に示された方法が使われる。
【0043】
4.楽音信号発生部5
図4は上記楽音信号発生部5を示す。上記アサインメントメモリ40の各チャンネルの周波数ナンバデータFN等は波形読み出し部41へ送られ、楽音波形データMWが周波数ナンバデータFNに応じた速度(音高)で読み出される。読み出された楽音波形データMWは乗算器43でエンベロープデータENが乗算合成され、累算器44で全チャンネルの楽音波形データが累算合成され、上記サウンドシステム6で発音される。
【0044】
この楽音波形データMWはサイン波1種類だけである。したがって、1つの楽音につき周波数の異なる複数のサイン波が高調波合成されて出力される。よって各サイン波の振幅や周波数が変化すれば、合成される楽音の波形も変化し音色も変化する。このサイン波はメモリに記憶されるのではなく、三角関数演算によって上記トーンタイムデータTMまたは上記タイムカウントデータTIから変換されてもよい。
【0045】
なお、この楽音波形データMWはサイン波以外の複雑な波形でもよいし、音色、パート、音高(音域)、タッチ、発音時間ごとに異なる波形が記憶され選択されてもよい。この場合、トーンナンバデータTN、パートナンバデータPN、タッチデータTC等は、波形読み出し部41へ送られ、波形メモリ42からトーンナンバデータTN、パートナンバデータPN、タッチデータTCに応じた楽音波形データMWが選択され、この選択された楽音波形データMWが周波数ナンバデータFNに応じた速度(音高)で読み出される。上記アサインメントメモリ40の各チャンネルのエンベロープスピードデータESは、加算器46、エンベロープ演算メモリ48で時分割に順次累算され、エンベロープ演算データENが演算され、上記乗算器43へ上記エンベロープデータENとして送られる。エンベロープ演算メモリ48は時分割チャンネル数に応じたエリアを有し、各チャンネルのエンベロープ演算データENが記憶され、各チャンネルごとにエンベロープが演算される。
【0046】
このエンベロープ演算メモリ48は、上記チャンネルナンバデータCHNoによってアドレス指定され、この指定されたアドレスのみが書き込み/読み出しされたりリセットされたりする。このエンベロープ演算メモリ48の各チャンネルエリアはオフイベント信号または/及びオンイベント信号によって個別にリセット(クリア)される。
【0047】
上記アサインメントメモリ40の各チャンネルのエンベロープタイムデータETは、セレクタ47、エンベロープタイムメモリ49及び加算器51で順次「−1」され、「0」になるとフェーズ終了信号がナンドゲート群52で検出され出力される。このフェーズ終了信号はエンベロープの各フェーズの終了を示す。
【0048】
このフェーズ終了信号はフェーズカウンタ50へ入力され、インクリメントすなわち+1される。このフェーズカウンタ50では、各チャンネルのエンベロープのフェーズがカウントされる。このフェーズカウンタ50は、上記時分割チャンネル数に応じたカウンタが設けられ、上記チャンネルナンバデータCHNoによって指定されるカウンタのみがイネーブルとされ、この指定されたカウンタのみがインクリメントされたりリセットされたりする。
【0049】
上記フェーズカウンタ50は、オンイベント及びオフイベント時にコントローラ2によって、上記チャンネルナンバデータCHNoによって指定されるカウンタのみがリセット(クリア)される。このとき上述したようにエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETの合成/書き換えが行われる。
【0050】
このフェーズカウンタ50のエンベロープフェーズデータEFは上記アサインメントメモリ40にアドレスデータとして送られ、各チャンネルの中の各フェーズごとのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが読み出されたり書き込まれたりする。アサインメントメモリ40は、上記チャンネルナンバデータCHNoによってアドレス指定され、この指定されたアドレスのみが書き込み/読み出しされたクリアされたりする。このアサインメントメモリ40の各チャンネルエリアはオフイベント信号または/及びオンイベント信号によって個別にリセット(クリア)される。
【0051】
上記フェーズ終了信号は上記セレクタ47に送られて、上記エンベロープタイムデータETが次のフェーズのエンベロープタイムデータETに切り換えられる。上記エンベロープタイムメモリ49は、上記チャンネルナンバデータCHNoによってアドレス指定され、この指定されたアドレスのみが書き込み/読み出しされたりリセットされたりする。このエンベロープタイムメモリ49の各チャンネルエリアはオフイベント信号(オンイベント信号)によって個別にリセット(クリア)される。
【0052】
5.処理全体
図5はコントローラ(CPU)2によって実行される処理全体のフローチャートを示す。この処理全体は本楽音生成装置の電源オンによって開始され、電源オフまで繰り返し実行される。
【0053】
まず、プログラム/データ記憶部4の初期化など種々のイニシャライズ処理が行われ(ステップ01)、上記キーボード11またはミディインターフェース15での手動演奏または自動演奏に基づき、発音処理が行われる(ステップ03)。
【0054】
この発音処理では、空きチャンネルがサーチされ、サーチされた空きチャンネルにオンイベントに係る楽音が割り当てられる。この楽音の内容は、上記キーボード11またはミディインターフェース15からの上記演奏情報(楽音発生情報)、楽音制御情報の音楽的ファクタ情報及びこのときプログラム/データ記憶部4に既に記憶されている音楽的ファクタ情報によって決定される。
【0055】
この場合、サーチされた空きチャンネルのアサインメントメモリ40のエリアに「1」のオン/オフデータ、周波数ナンバデータFN、エンベロープスピードデータES、エンベロープタイムデータEL、「0」のエンベロープフェーズデータEFなどが書き込まれる。場合によって、トーンナンバデータTN、タッチデータTC、パートナンバデータPN、「0」のトーンタイムデータTMも書き込まれる。
【0056】
次いで、上記キーボード11またはミディインターフェース15での手動演奏または自動演奏に基づき、消音(減衰)処理が行われる(ステップ05)。この消音(減衰)処理では、オフイベント(キーオフイベント、消音イベント)に係る楽音が割り当てられているチャンネルがサーチされ当該楽音が減衰され消音される。この場合、キーオフイベントに係る楽音のエンベロープフェーズがリリースとなり、エンベロープレベルが次第に「0」になる。
【0057】
さらに、上記ミディインターフェース15またはパネルスイッチ群13の各種スイッチの操作があれば、このスイッチに対応する音楽的ファクタ情報が取り込まれ、プログラム/データ記憶部4に記憶され、音楽的ファクタ情報が変更される(ステップ06)。この後、その他の処理が実行され(ステップ07)、上記ステップ02からこのステップ07までの処理が繰り返される。
【0058】
6.発音処理
図6は上記ステップ03の発音処理のフローチャートを示す。まずオンイベントがあると(ステップ11)、上記成分音テーブル20に基づいてこのオンイベントに係る楽音のトーンナンバデータTNに対応する周波数ナンバ比データFNR及びエンベロープスピードデータES並びにエンベロープタイムデータETが読み出される(ステップ12)。
【0059】
次いで、このオンイベントに係る楽音のキーナンバデータKNに対応した周波数ナンバデータFNに、この読み出された各周波数ナンバ比データFNRが乗算され、各成分音の周波数ナンバデータFNが求められる(ステップ13)。そして、アサインメントメモリ40内の既に割り当てられている各成分音の周波数ナンバデータFNと、この求められた各周波数ナンバデータFNとが一致していれば(ステップ14)、このチャンネルの各フェーズのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが合成エンベロープのものに書き換えられ、キーナンバデータKNが付加記憶される(ステップ15)。この合成エンベロープでは、既にこのチャンネルに割り当てられている単独成分音または合成成分音のエンベロープに、この新たな成分音のエンベロープが加算合成される。このステップ15のエンベロープ合成処理は後述する。
【0060】
また、既に割り当てられている各成分音の周波数ナンバデータFNと、求められた各周波数ナンバデータFNとが一致していなければ(ステップ14)、空きチャンネルがサーチされ(ステップ16)、サーチされた空きチャンネルのアサインメントメモリ40のエリアに上記成分音の周波数ナンバデータFN、キーナンバデータKN及びエンベロープスピードデータES並びにエンベロープタイムデータETが書き込まれる(ステップ17)。以上のエンベロープ合成処理またはチャンネル割り当て処理が他の成分音についても繰り返され(ステップ18)、その他の処理が行われる(ステップ19)。
【0061】
7.エンベロープ合成処理
図7は、上記ステップ15のエンベロープ合成処理のフローチャートを示す。まず、上記フェーズカウンタ50の当該チャンネルのフェーズカウント値とエンベロープタイムメモリ49の当該チャンネルの残存エンベロープタイムデータETがコントローラ2によって読み出され(ステップ21)、この残存エンベロープタイムデータETに残りのフェーズのエンベロープタイムデータETが順次累算され、現在時点から成分音aの各フェーズの末尾までの絶対時間が求められる(ステップ22)。
【0062】
図8の例では、成分音aが発音開始し(タイミングTa0)、成分音bが発音開始し(タイミングTb0)、続いて成分音aのアタックフェーズが終了し(タイミングTa1)、この後成分音aのディケイが終了し(タイミングTa2)、成分音bのアタックが終了し(タイミングTb1)、成分音aのサスティーンが終了し(タイミングTa3)、成分音bのディケイが終了し(タイミングTb2)、成分音aのリリースが終了し(タイミングTa4)、成分音bのサスティーンが終了し(タイミングTb3)、成分音bのリリースが終了する(タイミングTb4)。
【0063】
この場合、上記残存エンベロープタイムデータETは(Ta1−Tb0)となり、上記残りのフェーズのエンベロープタイムデータETの累算値は(Ta2−Tb0)、(Ta3−Tb0)、(Ta4−Tb0)となる。各フェーズの各エンベロープタイムデータETはこれら各タイミングTa0、Ta1、Ta2、Ta3、Ta4の間の時間を示している。したがって、この残りのフェーズのエンベロープタイムデータETが累算されれば、成分音bの発音開始から各タイミングTa1、Ta2、Ta3、Ta4までの時間が求められる。
【0064】
この求められた各絶対時間(Ta2−Tb0)、(Ta3−Tb0)、(Ta4−Tb0)には、この各タイミング直前のフェーズの成分音aのエンベロープスピードデータESと成分音aを示すフラグa(「1」)も対応づけて記憶される(ステップ23)。
【0065】
次いで、成分音bについても同様にして、残存エンベロープタイムデータETに残りのフェーズのエンベロープタイムデータETが順次累算され、現在時点から成分音bの各フェーズの末尾までの絶対時間が求められる(ステップ24)。この絶対時間は同様に(Tb1−Tb0)、(Tb2−Tb0)、(Tb3−Tb0)、(Tb4−Tb0)となる。この求められた各絶対時間(Tb1−Tb0)、(Tb2−Tb0)、(Tb3−Tb0)、(Tb4−Tb0)には、この各タイミング直前のフェーズの成分音bのエンベロープスピードデータESと成分音bを示すフラグb(「0」)も対応づけて記憶される(ステップ25)。
【0066】
なお、上記タイミングTa3、Tb3は、いずれもオフ操作のタイミングであり、上記タイミングTa4、Tb4はいずれもオフ操作のタイミングによってシフトされる。したがって、上記絶対時間(Ta3−Tb0)、(Ta4−Tb0)、(Tb3−Tb0)、(Tb4−Tb0)はここでは求められない。しかし、エンベロープの形状がオフ操作によって変化しない場合には求められる。上記絶対時間(Ta3−Tb0)、(Ta4−Tb0)、(Tb3−Tb0)、(Tb4−Tb0)は、後述するように消音処理のときに求められる。このため、各成分音のサスティーンの末尾については、絶対時間は取り得る最大値とされ、エンベロープスピードデータESは「0」とされる。
【0067】
ただし、上記成分音aがリリースに入っていて、成分音bが発音開始する場合には、上記絶対時間(Ta4−Tb0)は求められる。成分音aはすでにオフ操作され、リリース終了のタイミングがはっきりしているからである。
【0068】
そして、上記ステップ22乃至25で求められた絶対時間(Ta2−Tb0)、(Ta3−Tb0)、(Ta4−Tb0)、(Tb1−Tb0)、(Tb2−Tb0)、(Tb3−Tb0)、(Tb4−Tb0)は大きい順に並べられ、対応づけられたエンベロープスピードデータESも同様に並べ変えられる(ステップ26)。これにより、図8(3)に示すような各タイミングが順番にソートされる。
【0069】
図9(1)はこのようにしてソートされた絶対時間とエンベロープスピードデータESと成分音フラグを示す。このデータ内容は、上記図8(3)の合成エンベロープ波形に対応したものとなっている。
【0070】
次いで、各絶対時間(Ta2−Tb0)、(Ta3−Tb0)、(Ta4−Tb0)、(Tb1−Tb0)、(Tb2−Tb0)、(Tb3−Tb0)、(Tb4−Tb0)から、それぞれ1つ前の絶対時間が減算される(ステップ27)。これにより、図8(3)の合成エンベロープ波形の各タイミングの間の新たなフェーズの合成エンベロープタイムデータETsが図9(2)左欄に示すように求められる。なお、先頭の合成エンベロープタイムデータETsは、上記絶対時間の先頭の(Ta2−Tb0)がそのままコピーされる。
【0071】
さらに、各絶対時間に対応したエンベロープスピードデータESには、より先の絶対時間のエンベロープスピードデータESであって、自己の成分音フラグa、bと異なるフラグを有するデータESが加算合成される(ステップ28)。これにより、成分音aのエンベロープスピードESと成分音bのエンベロープスピードESとが図8(3)の各フェーズごとに加算合成され、図8(3)の合成エンベロープ波形の各タイミングの間の新たなフェーズの合成エンベロープスピードデータESsが図9(2)右欄に示すように求められる。
【0072】
このようにして求められた合成エンベロープ波形の各フェーズの合成エンベロープタイムデータETs及び合成エンベロープスピードデータESsは、上記アサインメントメモリ40の対応するチャンネルエリアに書き込まれ、フェーズカウンタ50の対応チャンネルのカウンタがクリアされる(ステップ29)。これにより合成エンベロープの生成が開始される。この場合、合成エンベロープのオンイベント(または後述するオフイベント)の時点以降の部分が、アサインメントメモリ40に記憶され生成される。
【0073】
こうして、成分音aのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETは、同じ周波数の新たな成分音bが当該チャンネルに割り当てられるたびに書き換えられ、この新たな成分音bを合成したエンベロープの合成エンベロープスピードデータESs及び合成エンベロープタイムデータETsに置き換えられる。
【0074】
よって、同じ周波数の各楽音の発生量が合成され、1つのチャンネルにまとめて割り当てられることになる。また、同じ周波数の各楽音のエンベロープ波形が合成され、1つの楽音として出力されることになる。
【0075】
そして、成分音aのリリース以降のエンベロープスピードデータESとエンベロープタイムデータETとが成分音aのキーナンバデータKNに対応してアサインメントメモリ40に記憶され、成分音bのリリース以降のエンベロープスピードデータESとエンベロープタイムデータETも成分音bのキーナンバデータKNに対応してアサインメントメモリ40に記憶される(ステップ30)。このリリース以降のエンベロープスピードデータESとエンベロープタイムデータETは、オフイベント以降にエンベロープ合成処理が行われる。
【0076】
8.消音処理
図10は上記ステップ05の消音処理のフローチャートを示す。まずオフイベントがあると(ステップ31)、このオフイベントに係るキーナンバデータKNと同じキーナンバデータKNが記憶されているアサインメントメモリ40のチャンネルがサーチされる(ステップ32)。
【0077】
そして、該当するチャンネルが発見されると(ステップ33)、上述したステップ15のエンベロープ合成処理と同様の処理が実行され(ステップ34)、このキーナンバデータKNと対応するエンベロープスピードデータESとエンベロープタイムデータETが当該チャンネルエリアから消去される(ステップ35)。以上のオフイベントによるエンベロープ合成処理が他の成分音についても繰り返され(ステップ36)、その他の処理が行われる(ステップ37)。
【0078】
このステップ34のエンベロープ合成処理では、上記キーナンバデータKNに対応して記憶されたリリース以降のエンベロープスピードデータESとエンベロープタイムデータETとが読み出され、同様のエンベロープ合成処理が実行される。ただし、この場合このリリースのエンベロープスピードデータESはマイナス値であるから実質的に減算される。これはディケイも同様である。なお、このステップ34のエンベロープ合成処理では、上記ステップ30のリリースのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETのセット処理は行われない。
【0079】
こうして、オフイベントのときにも、合成成分音a+bの合成エンベロープスピードデータESs及び合成エンベロープタイムデータETsは書き換えられ、この新たなリリースを考慮したエンベロープの合成エンベロープスピードデータESs及び合成エンベロープタイムデータETsに置き換えられる。
【0080】
よって、オフイベントのときにも、同じ周波数の各楽音の発生量が合成され、1つのチャンネルにまとめて割り当てられることになる。また、同じ周波数の各楽音のエンベロープ波形が合成され、1つの楽音として出力されることになる。
【0081】
9.トーンタイムデータTM及び同時発音数の処理
図11はコントローラ2によって一定周期ごとに実行されるインタラプト処理のフローチャートを示す。この処理で上記トーンタイムデータTMのインクリメント及び同時発音数のカウントが行われる。
【0082】
この処理では、上記アサインメントメモリ40の各チャンネルエリアにつき(ステップ41、46、47)、オン/オフデータが「1」で楽音が発音中のものについて(ステップ43)、そのトーンタイムデータTMが「+1」される(ステップ44)。
【0083】
また、同じくアサインメントメモリ40の各チャンネルエリアにつき(ステップ41、46、47)、いったん同時発音数データがクリアされた後(ステップ42)、オン/オフデータが「1」で楽音が発音中のものがカウント(ステップ43)、同時発音数が順次「+1」される(ステップ45)。このカウントされた同時発音数はプログラム/データ記憶部4に記憶される。
【0084】
そして、その他の周期的な処理が行われる(ステップ48)。こうして、各チャンネルの楽音の発音経過時間がカウントされ記憶され上記発音時間情報として利用され、またそのときどきの全チャンネルの発音中の楽音の数がカウントされ記憶され上記同時発音数情報として利用される。
【0085】
本発明は上記実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、波形メモリ42に記憶される楽音波形データMWはサイン波以外の複雑な波形でもよいし、音色、音高(音域)、タッチ、パート、発音時間ごとに異なる波形が記憶され切り替え選択されてもよい。このような複雑な形状の波形は上記各成分音の楽音波形として読み出され出力される。
【0086】
また、各チャンネルに割り当てられる楽音は成分音以外の1つの独立した楽音であってもよい。この場合、同じチャンネルに割り当てられる楽音の波形は同じ波形形状であり、同じ音高(周波数)である。このような場合でも同様にエンベロープの合成または発生量の合成を行うことができる。
【0087】
さらに、合成されるのはエンベロープ以外の楽音波形データMWの振幅でもよい。この場合上記ステップ15、34で合成されるのは、振幅決定因子例えばタッチデータTCなどである。そして、アサインメントメモリ40の各チャンネルのタッチデータTCは、上記オンイベント及びオフイベントごとに相加され、この相加されたタッチデータTCはアサインメントメモリ40から上記乗算器43へ送られ、楽音波形データMWに乗算される。なお、この相加されたタッチデータTCは、当該チャンネルの各エンベロープスピードデータESに乗算されてもよい。この乗算されたエンベロープスピードデータESを使って上記ステップ15、34のエンベロープ合成が行われる。
【0088】
また、上記チャンネルは時分割処理によって形成されたが、このチャンネルと同じ数の楽音信号発生部5が設けられ、各楽音信号発生部5〜の楽音波形データMWが加算器で加算合成されてもよい。
【0089】
さらに、上記エンベロープデータは、エンベロープスピードデータESとエンベロープレベルデータEL、またはエンベロープレベルデータELとエンベロープタイムデータETとで代用されてもよい。この場合、隣り合う2つのエンベロープレベルデータELの差がエンベロープスピードデータESで除算されて上記エンベロープタイムデータETが求められる。また、隣り合う2つのエンベロープレベルデータELの差がエンベロープタイムデータETで除算されて上記エンベロープスピードデータESが求められる。
【0090】
また、本発明は電子楽器またはコンピュータなどにおいて実施され得る。上記各図の回路の機能はソフトウエア(フローチャート)によって実施されても良いし、上記各図のフローチャートの機能はハードウエア(回路)によって実施されてもよい。各請求項記載の発明は、当該発明をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶した媒体、コンピュータプログラムの通信装置(方法)、楽音発生装置(方法)、楽音制御装置(方法)としても実現可能である。
出願当初の特許請求の範囲は以下のとおりであった。
[1]同時に発生される複数の楽音がそれぞれ割り当てられる複数のチャンネルにつき、 この同時に発生される複数の楽音のうち、同じ周波数の楽音を判別し、 この判別された同じ周波数の楽音の発生量を合成して、1つのチャンネルにまとめて割り当てることを特徴とする楽音のチャンネル割り当て装置。
[2]同時に発生される複数の楽音がそれぞれ割り当てられる複数のチャンネルにつき、 この同時に発生される複数の楽音のうち、同じ周波数の楽音を判別させ、 この判別された同じ周波数の楽音の発生量を合成して、1つのチャンネルにまとめて割り当てさせることを特徴とする楽音のチャンネル割り当て方法。
[3]同時に発生される複数の楽音のうち、同じ周波数の楽音を判別し、 この判別された同じ周波数の各楽音のエンベロープ波形を合成して1つの楽音として出力することを特徴とする楽音のエンベロープ制御装置。
[4]同時に発生される複数の楽音のうち、同じ周波数の楽音を判別させ、 この判別された同じ周波数の各楽音のエンベロープ波形を合成して1つの楽音として出力させることを特徴とする楽音のエンベロープ制御方法。
[5]上記同時に発生される複数の楽音は、1つの楽音を構成する成分音であり、 この同時に発生される複数の楽音は、同じ波形または異なる波形の楽音であり、 新たな楽音が発生されるときまたは発生されている楽音が消滅されるとき、この楽音またはこの楽音の成分音の同じ周波数の各エンベロープ発生量につき、合成したエンベロープ発生量の各エンベロープレベル、エンベロープタイム及びエンベロープスピードのいずれか2つを演算して、この演算したエンベロープレベル、エンベロープタイム及びエンベロープスピードのいずれか2つに基づいて、上記周波数の楽音またはこの楽音の成分音の合成エンベロープを1つのチャンネルで生成することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の楽音のチャンネル割り当て装置、楽音のチャンネル割り当て方法、楽音のエンベロープ制御装置または楽音のエンベロープ制御方法。
【0091】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明では、同時に発生される複数の楽音のうち同じ周波数の楽音を判別し、この判別された楽音の発生量を合成して1つのチャンネルにまとめて割り当てるようにした。したがって、使用するチャンネルの数を減らしてチャンネルの有効利用を図ることができる等の効果を奏する。
【0092】
また、本発明では、同時に発生される複数の楽音のうち同じ周波数の楽音を判別し、この判別された各楽音のエンベロープ波形を合成して1つの楽音として出力するようにした。したがって、使用するチャンネルの数を減らしてチャンネルの有効利用を図ることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】楽音制御装置の全体回路を示す。
【図2】成分音テーブル20を示す。
【図3】アサインメントメモリ40を示す。
【図4】楽音信号発生部5を示す。
【図5】処理全体のフローチャートを示す。
【図6】発音処理のフローチャートを示す。
【図7】エンベロープ合成処理のフローチャートを示す。
【図8】同じ周波数の成分音aと成分音bとのエンベロープ合成の波形の例を示す。
【図9】同じ周波数の成分音aと成分音bとのエンベロープ合成のデータの例を示す。
【図10】消音処理のフローチャートを示す。
【図11】インタラプト処理のフローチャートを示す。
【符号の説明】
2…コントローラ(CPU)、3…タイミング発生部、4…プログラム/データ記憶部、5…楽音信号発生部、6…サウンドシステム、7…情報記憶部、11…キーボード、13…パネルスイッチ群、15…ミディインターフェース、20…成分音テーブル、40…アサインメントメモリ、41…波形読み出し部、42…波形メモリ、47…セレクタ、48…エンベロープ演算メモリ、49…エンベロープタイムメモリ、50…フェーズカウンタ、46,51…加算器、52…ナンドゲート群。
Claims (3)
- CPUが、
1つの楽音が複数の周波数成分からなる複数の楽音であって、発音開始タイミングが異なり、しかも同時に発生される複数の楽音のうち、同じ周波数の成分音を判別手段に対して判別させ、
上記異なる発音開始タイミングうち、後のタイミングにおいて、この判別された同じ周波数の各成分音ごとの各エンベロープ波形につき、合成したエンベロープ波形を演算させ、これを1つのエンベロープ波形として出力手段に対して出力させ、
このエンベロープ波形が1つに合成された成分音を、割り当て手段に対して1つのチャンネルにまとめて割り当てさせることであって、このチャンネルは時分割処理により複数形成されるものであることを特徴とする楽音のチャンネル割り当て方法。 - 1つの楽音が複数の周波数成分からなる複数の楽音であって、発音開始タイミングが異なり、しかも同時に発生される複数の楽音のうち、同じ周波数の成分音を判別する手段と、
上記異なる発音開始タイミングうち、後のタイミングにおいて、この判別された同じ周波数の各成分音ごとの各エンベロープ波形につき、合成したエンベロープ波形を演算し、これを1つのエンベロープ波形として出力する手段と、
このエンベロープ波形が1つに合成された成分音を、1つのチャンネルにまとめて割り当てる手段とを備え、このチャンネルは時分割処理により複数形成されるものであることを特徴とする楽音のチャンネル割り当て装置。 - 新たな楽音が発生されるときまたは発生されている楽音が消滅されるとき、この楽音またはこの楽音の成分音の同じ周波数の各エンベロープ発生量につき、合成したエンベロープ発生量の各エンベロープタイム及びエンベロープスピードを演算して、この演算したエンベロープタイム及びエンベロープスピードに基づいて、上記周波数の楽音またはこの楽音の成分音の合成エンベロープを1つのチャンネルで生成することを特徴とする請求項2記載の楽音のチャンネル割り当て装置。
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