JP3694172B2 - 残響共鳴装置及び残響共鳴方法 - Google Patents

残響共鳴装置及び残響共鳴方法 Download PDF

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    • G10H2210/00Aspects or methods of musical processing having intrinsic musical character, i.e. involving musical theory or musical parameters or relying on musical knowledge, as applied in electrophonic musical tools or instruments
    • G10H2210/155Musical effects
    • G10H2210/265Acoustic effect simulation, i.e. volume, spatial, resonance or reverberation effects added to a musical sound, usually by appropriate filtering or delays
    • G10H2210/281Reverberation or echo

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、残響共鳴装置及び方法に関し、特に発生楽音に共鳴特性及び残響を付加する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来の残響を付加する装置では遅延回路が用いられ、発生された楽音(直接音)がこの遅延回路入力されて遅延されて出力され(初期反射音)、この遅延出力がさらに当該遅延回路に帰還されて、遅延が繰り返されて出力される(後期残響音)。
【0003】
これら残響装置は、例えば特願平8−29477号明細書、特願平8−46158号明細書、特願平8−46159号明細書、特願平8−57174号明細書などに示され、また共鳴音を付加する装置は特願平1−314818号(特開平3−174590号)明細書に示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような残響装置は単に残響を付加するだけであり、共鳴特性との関連性はなかった。しかしながら、このような残響特性を共鳴特性と関連付ければ、変化のある楽音を生成することができる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、このような残響特性と共鳴特性と関連付けた楽音を発生させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、共鳴特性の付加された楽音を繰り返し遅延させて残響を付加し、この遅延される楽音の遅延内容を上記共鳴特性に基づいて決定するようにした。これにより、残響特性と共鳴特性と関連付けた楽音を発生させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
1.全体回路
図1は残響共鳴装置、楽音生成制御装置または電子楽器の全体回路を示す。演奏情報発生部1からは演奏情報(楽音発生情報)が発生される。この演奏情報(楽音発生情報)は、楽音を発生させるための情報である。この演奏情報発生部1は、マニュアル操作によって演奏される発音指示装置、自動演奏装置、種々のスイッチまたはインターフェイスである。
【0008】
上記演奏情報(楽音発生情報)は、音楽的ファクタ(因子)情報であり、音高(音域)情報(音高決定因子)、発音時間情報、演奏分野情報、発音数情報、共鳴度情報などである。発音時間情報は楽音の発音開始からの経過時間を示す。演奏分野情報は、演奏パート情報、楽音パート情報、楽器パート情報等を示し、例えばメロディ、伴奏、コード、ベース、リズム等、または上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤等に対応している。
【0009】
上記音高情報はキーナンバデータKNとして取り込まれる。このキーナンバデータKNはオクターブデータ(音域データ)と音名データとからなる。演奏分野情報は、パートナンバデータPNとして取り込まれ、このパートナンバデータPNは各演奏エリアを識別するデータであって、発音操作された楽音がどの演奏エリアからのものかによって設定される。
【0010】
発音時間情報は、トーンタイムデータTMとして取り込まれ、キーオンイベントからのタイムカウントデータに基づいたり、またはエンベロープフェーズで代用される。この発音時間情報は特願平6−219324号明細書及び図面に発音開始からの経過時間情報として詳しく示される。
【0011】
発音数情報は同時に発音している楽音の数を示し、例えばアサインメントメモリ30のオン/オフデータが「1」の楽音の数に基づき、この数は特願平6−242878号の図9及び図15、特願平6−276855号の図8及び図18、特願平6−276857号の図9及び図20、特願平6−276858号の図9及び図21のフローチャートに基づいて求められる。
【0012】
共鳴度情報は、発音している1つの楽音と他の楽音との共鳴度を示す。この1つの楽音の音高周波数と他の楽音の音高周波数とが1:2、2:3、3:4、4:5、5:6など小さい整数倍比であれば共鳴度情報の値は大きく、9:8、15:8、15:16、45:32、64:45など大きい整数数倍比であれば共鳴度情報の値は小さくなる。この共鳴度情報は直接音の周波数ナンバデータFN及びエンベロープスピードデータESまたはエンベロープレベルデータELに基づいて求められる。
【0013】
発音指示装置は、キーボード楽器、弦楽器、吹奏楽器、打楽器、コンピュータのキーボード等である。自動演奏装置は、記憶された演奏情報を自動的に再生するものである。インターフェイスは、MIDI(ミュージカルインスツルメントデジタルインターフェイス)等、接続された装置からの演奏情報を受け取ったり、送り出したりする装置である。
【0014】
さらに、この演奏情報発生部1には各種スイッチが設けられ、この各種スイッチは音色タブレット、エフェクトスイッチ、リズムスイッチ、ペダル、ホイール、レバー、ダイヤル、ハンドル、タッチスイッチ等であって楽器用のものである。この各種スイッチより、楽音制御情報が発生され、この楽音制御情報は発生された楽音を制御する情報であって音楽的ファクタ(因子)情報であり、音色情報(音色決定因子)、タッチ情報(発音指示操作の速さ/強さ)、発音数情報、共鳴度情報、エフェクト情報、リズム情報、音像(ステレオ)情報、クオンタイズ情報、変調情報、テンポ情報、音量情報、エンベロープ情報等である。
【0015】
これら音楽的ファクタ情報も上記演奏情報(楽音情報)に合体され、上記各種スイッチより入力されるほか、上記自動演奏情報に合体されたり、上記インターフェイスで送受される演奏情報に合体される。なお、上記タッチスイッチは上記発音指示装置の1つ1つに対応して設けられており、タッチの速さと強さを示すイニシャルタッチデータとアフタタッチデータとが発生される。
【0016】
上記音色情報は、鍵盤楽器(ピアノ等)、管楽器(フルート等)、弦楽器(バイオリン等)、打楽器(ドラム等)の楽器(発音媒体/発音手段)の種類等に対応しており、トーンナンバデータとして取り込まれる。上記エンベロープ情報は、エンベロープタイム、エンベロープレベル、エンベロープスピード、エンベロープフェーズなどである。
【0017】
このような音楽的ファクタ情報は、コントローラ2へ送られ、後述の各種信号、データ、パラメータの切り換えが行われ、楽音の内容が決定される。上記演奏情報(楽音発生情報)及び楽音制御情報はコントローラ2で処理され、各種データが音響出力部5へ送られ、楽音信号が発生される。コントローラ2はCPU、ROM及びRAMなどからなっている。
【0018】
プログラム/データ記憶部3(内部記憶媒体/手段)はROMまたは書き込み可能なRAM、フラッシュメモリまたはEEPROM等の記憶装置からなり、光ディスクまたは磁気ディスク等の情報記憶部4(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプログラムが書き写され記憶される(インストール/転送される)。またプログラム/データ記憶部3には外部の電子楽器またはコンピュータから上記MIDI装置または送受信装置を介して送信されるプログラムも記憶される(インストール/転送される)。このプログラムの記憶媒体は通信媒体も含む。
【0019】
このインストール(転送/複写)は、情報記憶部3が本楽音生成装置にセットされたとき、または本楽音生成装置の電源が投入されたとき自動的に実行され、または操作者による操作によってインストールされる。上記プログラムは、コントローラ2が各種処理を行うための後述するフローチャートに応じたプログラムである。
【0020】
なお、本装置に予め別のオペレーティングシステム、システムプログラム(OS)、その他のプログラムが記憶され、上記プログラムはこれらのOS、その他のプログラムとともに実行されてもよい。このプログラムは本装置(コンピュータ本体)にインストールされ実行されたときに、別のプログラムとともにまたは単独で請求項(クレーム)に記載された処理・機能を実行させることができればよい。
【0021】
また、このプログラムの一部又は全部が本装置以外の1つ以上の別装置に記憶されて実行され、本装置と別装置との間には通信手段を介して、これから処理するデータ/既に処理されたデータ/プログラムが送受され、本装置及び別装置全体として、本発明が実行されてもよい。
【0022】
このプログラム/データ記憶部3には、上述した音楽的ファクタ情報、上述した各種データ及びその他の各種データも記憶される。この各種データには時分割処理に必要なデータや時分割チャンネルへの割当のためデータ等も含まれる。
【0023】
音響出力部5では、上記アサインメントメモリ40に書き込まれた各データに応じた楽音信号が並行して発生され発音出力される。この音響出力部5は時分割処理によって複数の楽音信号が同時に生成されポリフォニックに発音される。この音響出力部5では、共鳴付加、残響付加及び音像形成(ステレオ制御)が行われる。
【0024】
タイミング発生部6からは、残響共鳴装置、楽音生成制御装置又は電子楽器の全回路の同期を取るためのタイミングコントロール信号が各回路に出力される。このタイミングコントロール信号は、各周期のクロック信号のほか、これらのクロック信号を論理積または論理和した信号、時分割処理のチャンネル分割時間の周期を持つ信号、チャンネルナンバデータCHNo、タイムカウントデータTIなどを含む。このタイムカウントデータTIは、絶対時間つまり時間の経過を示し、このタイムカウントデータTIのオーバフローリセットから次のオーバフローリセットまでの周期は、各楽音のうち最も長い発音時間より長く、場合によって数倍に設定される。
【0025】
2.成分音テーブル30
図2はプログラム/データ記憶部3内の成分音テーブル30を示す。この成分音テーブル30には、各音色(トーンナンバデータTN)の楽音を構成する各成分音のデータが記憶され、対応する成分音のデータがトーンナンバデータTNから変換され読み出される。この成分音のデータは、複数の周波数ナンバ比データFNR、複数のエンベロープデータ及びレベルデータLEからなっている。この成分音にはノイズ音も含まれる。このノイズ音は鍵盤楽器(ピアノ)の響板、管楽器の管、弦楽器の胴などの音である。
【0026】
周波数ナンバ比データFNRは、音高に応じた基本周波数に対する各成分音の周波数の比を示す。指定された音高周波数に対して、この周波数ナンバ比データFNRが乗算され、各成分音の周波数が求められる。基本周波数の周波数ナンバ比データFNRは「1」であるから省略されてもよい。
【0027】
この周波数ナンバ比データFNRは、2、3、4、5、…の整数、1/2、1/3、1/4、1/5、…の整数分の1、または1.1、1.2、1.3、…、2.1、2.2、2.3、…の非整数、1/1.1、1/1.2、1/1.3、…、1/2.1、1/2.2、1/2.3、…の非整数分の1である。
【0028】
エンベロープデータは、上記各成分音ごとのエンベロープを示す。この各エンベロープデータは、各エンベロープフェーズごとのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETからなっている。エンベロープスピードデータESはエンベロープのデジタル演算1周期当たりの演算のステップ値を示す。エンベロープタイムデータETは各フェーズごとのエンベロープ演算時間(発生時間、発音時間)、つまり上記デジタル演算の各フェーズのごとの演算回数を示す。このエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETによって演算されるエンベロープ波形の振幅は、各成分音(各楽音)の発生量を示す。
【0029】
この成分音の数は1つの音色につき複数であるが、場合によって1つもある。この成分音は1つの楽音につき合成されて出力される。この合成割合は上記エンベロープデータに応じて変化する。もしこのエンベロープデータによるエンベロープ演算レベルが「0」であれば、当該成分音の割合は「0」となる。この各成分音のそれぞれに1つずつチャンネルが割り当てられ、個別にエンベロープ制御され、合成されて出力される。
【0030】
レベルデータLEは、各成分音のエンベロープのサスティーンのレベルを示し、このレベルは上記エンベロープデータのサスティーン状態で達成される。したがって、このレベルデータLEは上記エンベロープスピードデータESとエンベロープタイムデータETとから演算されてもよく、省略されることも可能である。
【0031】
また、このレベルデータLEは、サスティーンレベルのほか、当該成分音の最大レベルまたはアタック到達レベルでもよい。この場合でも、当該レベルデータLEは上記エンベロープスピードデータESとエンベロープタイムデータETとから演算されてもよく、省略されることも可能である。さらに、このレベルデータLEは、当該成分音のエンベロープ波形の積分値に応じた値でもよい。これにより、レベルデータLEは当該成分音の音量エネルギーに応じたものとなる。
【0032】
3.共鳴相関値テーブル35
図6はプログラム/データ記憶部3内の共鳴相関値テーブル35を示す。この共鳴相関値テーブル35内の各共鳴相関値データは、あるキーナンバデータKNの楽音と他のキーナンバデータKNの楽音との共鳴関係の高さを示す。例えば、キーナンバC1に対して、キーナンバC2は2倍音の関係にあるので、共鳴相関値データは「0.8」と高く、キーナンバC1に対して、キーナンバD2は全音の音程関係なので共鳴相関値データは「0.1」と低くなっている。
【0033】
この共鳴相関値データは、1:n(n=1、2、3、4、5、6、…)の周波数比の関係にあるときが高く、次いで、2:3n(n=1、2、3、…)(完全5度など)、3:4n(n=1、2、3、…)(完全4度など)、3:5n(n=1、2、3、…)(長六度など)、4:5n(n=1、2、3、…)(長三度など)、5:6n(n=1、2、3、…)(短三度など)、…の周波数比の関係にあるときが順次高くなる。ただし、上記1:n(n=1、2、3、4、5、6、…)の周波数比の関係は、「n」の値が大きくなるほど、共鳴相関値データは小さくなる。
【0034】
同時に発音されているすべての楽音の相互の共鳴相関値データがこの共鳴相関値テーブル35から求められ、各共鳴相関値データが合算(加算合成)される。この算出された共鳴相関値データに基づいて、残響特性の遅延率または減衰率が変更される。
【0035】
上記同時に発音されている楽音のキーナンバデータKNは、次述するアサインメントメモリ40から読み出される。このキーナンバデータKNは、アサインメントメモリ40に書き込まれて発音されていてオン/オフデータが「1」の楽音のものである。むろん、オン/オフデータが「0」のリリース中のものも含まれてもよい。
【0036】
4.アサインメントメモリ40
図3は、音響出力部5のアサインメントメモリ40を示す。アサインメントメモリ40には、複数(16、32、64または128等)のチャンネルメモリエリアが形成されており、上記音響出力部5に形成された複数の楽音生成チャンネルに割り当てられた成分音に関するデータが記憶される。
【0037】
これら各チャンネルメモリエリアには、チャンネルが割当られた成分音の周波数ナンバデータFN、キーナンバデータKN、上記エンベロープスピードデータES並びにエンベロープタイムデータET、エンベロープフェーズデータEFが記憶される。なお、トーンナンバデータTN、タッチデータTC、トーンタイムデータTM、パートナンバデータPN、上記共鳴度情報、オン/オフデータ等も記憶される。
【0038】
これら各チャンネルメモリエリアには、上記成分音(直接音)のほか、同じくチャンネルが割り当てられた共鳴音及びノイズ音の周波数ナンバデータFN、キーナンバデータKN、上記エンベロープスピードデータES並びにエンベロープタイムデータET、エンベロープフェーズデータEFが記憶される。
【0039】
この共鳴音の周波数ナンバデータFNの値と直接音の周波数ナンバデータFNの値とは、単純な整数倍比の関係にある。例えば、1:n(n=1、2、3、4、5、6、…)、2:n(n=3、5、7、9、11、13、…)、3:n(n=4、5、7、8、10、11,…)、4:n(n=5、7、9、11、13、14、…)、5:n(n=6、7、8、9、11、12、…)などの周波数比の関係である。
【0040】
この中では1:2(オクターブ)、2:3(完全5度)、3:4(完全4度)、4:5(長三度)、5:6(短三度)などが特に重点的に選択される。したがって、共鳴音の周波数ナンバデータFNの値は、直接音の周波数ナンバデータFNの値がこの整数倍比に応じて比例換算される。例えば、2倍、3/2倍、4/3倍、5/4倍、…、3倍、4倍、5倍、…などである。
【0041】
この比例換算された共鳴音の周波数ナンバデータFNは、最寄りの音高のキーナンバデータKNで代用できる。しかし、最寄りの音高のキーナンバデータKNに応じた周波数ナンバデータFNの値と比例換算された共鳴音の周波数ナンバデータFNの値とは「S字調律」によって若干のずれがある。したがって、完全な整数倍比を実現するならば、比例換算された周波数ナンバデータFNが用いられ、そうでなければ、比例換算値に近い音高のキーナンバデータKNが用いられる。
【0042】
また、この共鳴音のエンベロープスピードデータESまたはエンベロープレベルデータELも、上記直接音のエンベロープスピードデータESまたはエンベロープレベルデータELに対して、周波数ナンバデータFNの整数倍比に応じた比例換算が行われ、1/2倍、2/3倍、3/4倍、4/5倍、…、1/3倍、1/4倍、1/5倍、…の大きさにされる。この作成される共鳴音のデータの数は1つの直接音に対して2個、3個、4個、5個、…と固定されている。なお、上記比例換算結果が所定値未満の共鳴音のデータ作成は禁止されてもよい。
【0043】
このように共鳴音は直接音に対して同じトーンデータTN及び同じ楽音波形であり、エンベロープ振幅が上記比例換算に応じて小さくなる。なお、生成楽音につきサイン波が高調波合成される場合には、直接音の合成サイン波の数は、共鳴音の合成サイン波の数より少なくなり、より周波数の高い合成音がカットされる。むろん、直接音の合成サイン波の数は、共鳴音の合成サイン波の数と同じであってもよい。
【0044】
この場合、直接音の成分音と共鳴音の成分音とが同じ周波数になるときは、これらは1つに合成されて1つのチャンネルにまとめて割り当てられ、アサインメントメモリ40の1つのチャンネルエリアに書き込まれる。この合成では、各エンベロープ波形が1つのエンベロープ波形に合成され、この合成エンベロープ波形を生成するためのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが演算される。
【0045】
ここで、直接音の成分音のエンベロープ波形と共鳴音の成分音のエンベロープ波形とは同じ形であれば、各エンベロープタイムデータETは同じとなるから、直接音の成分音または共鳴音の成分音のエンベロープタイムデータETいずれかがが選択され、直接音の成分音のエンベロープスピードデータESと共鳴音の成分音のエンベロープスピードデータESとが加算合成される。
【0046】
上記ノイズ音の周波数ナンバデータFNの値は、上記直接音の周波数ナンバデータFNの値と同じまたは直接音の音高いかんにかかわらず固定かつ一定である。ただし、ノイズ音は直接音に対して異なるトーンデータTN及び異なる楽音波形であり、エンベロープ振幅も直接音より小さくなるが、同じであってもよい。このノイズ音は直接音の「共振音」としての性格を有し同じ周波数であるが、上記ノイズ音の周波数ナンバデータFNの値が直接音の周波数ナンバデータFNの値から演算されて求められてもよい。
【0047】
オン/オフデータは割り当られ発音する楽音(成分音)がキーオン中または発音中(「1」)かキーオフ中または消音中(「0」)かを示す。周波数ナンバデータFNは割り当られ発音する成分音の周波数値を示し、上記キーナンバデータKNから変換され、さらに上記周波数ナンバ比データFNRが乗算される。上記プログラム/データ記憶部3には、この変換のためのテーブル(デコーダ)が設けられている。
【0048】
上記エンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETは上述したとおりである。このエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETは、同じ周波数の新たな成分音が当該チャンネルに割り当てられるたびに書き換えられ、この新たな成分音を合成したエンベロープのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETに置き換えられる。
【0049】
エンベロープフェーズデータEFは図5(1)(2)(3)の合成前のエンベロープまたは合成後のエンベロープの各部を示す。フェーズカウンタ501からのカウント値が取り込まれ、当該エンベロープフェーズデータEFとしてアサインメントメモリ40に記憶される。
【0050】
キーナンバデータKNは割り当られ発音する楽音の音高(周波数)を示し、上記音高情報に応じて決定される。このキーナンバデータKNは、1つの楽音を構成する各成分音すべてについて記憶され、オンイベントがあって当該成分音がチャンネル割り当てされ合成されるたびに、キーナンバデータKNがアサインメントメモリ40の該当チャンネルメモリエリアに付加記憶され、オフイベントのたびに対応するキーナンバデータKNは消去される。キーナンバデータKNの上位データは音域またはオクターブを示し、下位データは音名を示す。
【0051】
この各キーナンバデータKNに対応して当該成分音のエンベロープのリリースのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが記憶される。このリリースのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが1つの成分音で複数あれば、この複数全て記憶される。
【0052】
トーンナンバデータTNは、割り当てられ発音する楽音の音色を示し、上記音色情報に応じて決定される。このトーンナンバデータTNが異なれば音色も異なり、この楽音の楽音波形も異なる。タッチデータTCは、発音操作の速さまたは強さを示し、上記段差スイッチの操作に基づいて求められ、または上記タッチ情報に応じて決定される。パートナンバデータPNは、上述したように各演奏エリアを示し、発音操作された楽音がどの演奏エリアからのものかによって設定される。トーンタイムデータTMは、キーオンイベントからの経過時間を示す。
【0053】
これら各チャンネルメモリエリアの各データは、オンタイミング及び/又はオフタイミングに書き込まれ、各チャンネルタイミングごとに書き換えられたり、読み出されたりして、上記音響出力部5で処理される。このアサインメントメモリ40は、音響出力部5の中ではなく、プログラム/データ記憶部3またはコントローラ2の中に設けてもよい。
【0054】
上記時分割処理によって形成されるチャンネル、すなわち複数の楽音(成分音)を並行して発生するための複数の楽音発生システムへの各楽音の割り当て方法またはトランケート方法は、例えば特願平1−42298号、特願平1−305818号、特願平1−312175号、特願平2−20891号、特願平2−409577号、特願平2−409578号に示された方法が使われる。
【0055】
5.音響出力部5
図4は上記音響出力部5を示す。上記アサインメントメモリ40の各チャンネルの周波数ナンバデータFN等は波形読み出し部41へ送られ、楽音波形データMWが周波数ナンバデータFNに応じた速度(音高)で読み出される。読み出された楽音波形データMWは乗算器43でエンベロープデータENが乗算合成され、累算器44で全チャンネルの楽音波形データが累算合成され、サウンドシステム53で発音される。
【0056】
この楽音波形データMWはサイン波1種類だけである。したがって、1つの楽音につき周波数の異なる複数のサイン波が高調波合成されて出力される。よって各サイン波の振幅や周波数が変化すれば、合成される楽音の波形も変化し音色も変化する。このサイン波はメモリに記憶されるのではなく、三角関数演算によって上記トーンタイムデータTMまたは上記タイムカウントデータTIから変換されてもよい。
【0057】
なお、この楽音波形データMWはサイン波以外の複雑な波形の場合もあり、上記共鳴音の楽音波形データMW及びノイズ音の楽音波形データMWもあり、音色、パート、音高(音域)、タッチ、発音時間ごとに異なる波形が記憶され選択される。この場合、トーンナンバデータTN、パートナンバデータPN、タッチデータTC等は、波形読み出し部41へ送られ、波形メモリ42からトーンナンバデータTN、パートナンバデータPN、タッチデータTCに応じた楽音波形データMWが選択され、この選択された楽音波形データMWが周波数ナンバデータFNに応じた速度(音高)で読み出される。
【0058】
上記アサインメントメモリ40の各チャンネルのエンベロープスピードデータESは、加算器46、エンベロープ演算メモリ48で時分割に順次累算され、エンベロープ演算データENが演算され、上記乗算器43へ上記エンベロープデータENとして送られる。エンベロープ演算メモリ48は時分割チャンネル数に応じたエリアを有し、各チャンネルのエンベロープ演算データENが記憶され、各チャンネルごとにエンベロープが演算される。
【0059】
このエンベロープ演算メモリ48は、上記チャンネルナンバデータCHNoによってアドレス指定され、この指定されたアドレスのみが書き込み/読み出しされたりリセットされたりする。このエンベロープ演算メモリ48の各チャンネルエリアはオフイベント信号または/及びオンイベント信号によって個別にリセット(クリア)される。
【0060】
上記アサインメントメモリ40の各チャンネルのエンベロープタイムデータETは、セレクタ47、エンベロープタイムメモリ49及び加算器51で順次「−1」され、「0」になるとフェーズ終了信号がナンドゲート群52で検出され出力される。このフェーズ終了信号はエンベロープの各フェーズの終了を示す。
【0061】
このフェーズ終了信号はフェーズカウンタ50へ入力され、インクリメントすなわち+1される。このフェーズカウンタ50では、各チャンネルのエンベロープのフェーズがカウントされる。このフェーズカウンタ50は、上記時分割チャンネル数に応じたカウンタが設けられ、上記チャンネルナンバデータCHNoによって指定されるカウンタのみがイネーブルとされ、この指定されたカウンタのみがインクリメントされたりリセットされたりする。
【0062】
上記フェーズカウンタ50は、オンイベント及びオフイベント時にコントローラ2によって、上記チャンネルナンバデータCHNoによって指定されるカウンタのみがリセット(クリア)される。このとき上述したようにエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETの合成/書き換えが行われる。
【0063】
このフェーズカウンタ50のエンベロープフェーズデータEFは上記アサインメントメモリ40にアドレスデータとして送られ、各チャンネルの中の各フェーズごとのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが読み出されたり書き込まれたりする。アサインメントメモリ40は、上記チャンネルナンバデータCHNoによってアドレス指定され、この指定されたアドレスのみが書き込み/読み出しされたクリアされたりする。このアサインメントメモリ40の各チャンネルエリアはオフイベント信号または/及びオンイベント信号によって個別にリセット(クリア)される。
【0064】
上記フェーズ終了信号は上記セレクタ47に送られて、上記エンベロープタイムデータETが次のフェーズのエンベロープタイムデータETに切り換えられる。上記エンベロープタイムメモリ49は上記チャンネルナンバデータCHNoによってアドレス指定され、この指定されたアドレスのみが書き込み/読み出しされたりリセットされたりする。このエンベロープタイムメモリ49の各チャンネルエリアはオフイベント信号(オンイベント信号)によって個別にリセット(クリア)される。
【0065】
上記エンベロープ演算メモリ48からの各チャンネルのエンベロープ演算データENは乗算器131でチャンネル割り当てのための重み付けが行われ、修正エンベロープメモリ132に書き込まれる。修正エンベロープメモリ132は時分割チャンネル数に応じたエリアを有し、各チャンネルの修正エンベロープデータMENが記憶される。
【0066】
また、この重み付けされ修正された各修正エンベロープデータMENは、第1最小レベル検出回路141、第2最小レベル検出回路142及び第3最小レベル検出回路143で対比され、各チャンネルのうち1番目、2番目及び3番目に楽音のレベルが小さいチャンネルナンバが検出される。検出された第1最小チャンネルナンバ1MCH、第2最小チャンネルナンバ2MCH及び第3最小チャンネルナンバ3MCHは最小チャンネルメモリ134にストアされる。この各最小チャンネルナンバ1MCH、2MCH及び3MCHは、チャンネル明け渡し(トランケート)の優先順位を示す。
【0067】
この第1最小レベル検出回路141、第2最小レベル検出回路142及び第3最小レベル検出回路143では、上記修正エンベロープデータMENが「0」のチャンネルも検出され、この検出データが空きチャンネルフラグECFとして、上記各チャンネルナンバ1MCH、2MCH及び3MCHとともに、上記最小チャンネルメモリ134にストアされる。この第1最小レベル検出回路141、第2最小レベル検出回路142及び第3最小レベル検出回路143は特願平10−16617号の図13に示される。
【0068】
この第1最小レベル検出回路141、第2最小レベル検出回路142及び第3最小レベル検出回路143では、上記検出された各チャンネルの各修正エンベロープデータMEN検出され、この検出された3つの最小修正エンベロープデータ1MEN、2MEN及び3MENも上記最小チャンネルメモリ134にストアされる。この最小チャンネルメモリ134及び修正エンベロープメモリ132は、1つの時分割チャンネル時間の前半で書き込みされ、後半で読み出しされる。
【0069】
上記アサインメントメモリ40から読み出される各チャンネルの周波数ナンバデータFNは重み付けメモリ133へ送られて、重み付けデータWTが読み出され上記乗算器131へ送られ、チャンネル明け渡し(トランケート)の優先順位が重み付けされる。この重み付けメモリ133は、図14(2)に示すように各周波数ナンバデータFNに対して各重み付けデータWTが記憶されている。
【0070】
この特性(2)は楽音周波数が1000Hzから4000Hz当たりの中音付近の重み付けが大きくなり、低音と高音で重み付けが小さくなっている。この特性(2)は人間の等ラウドネス曲線または最低可聴曲線に沿ったものであり、人間の聴覚(ラウドネス特性、マスキング特性)に合致したチャンネル割り当ての優先特性を実現できる。これは同じ周波数の各成分音を合成してチャンネル割り当てを行っている本実施例でしかできない。
【0071】
上記最低可聴曲線は人間が聴くことのできる最低の音の強さ(デシベル、レベル)(最低可聴値)の周波数(音高)に応じた特性を表し、上記等ラウドネス曲線は人間が同じ強さに聴こえる音の強さ(デシベル、レベル)の周波数(音高)に応じた特性を表す。なお、図14(2)の特性では上記等ラウドネス曲線または最低可聴曲線が逆特性にされたので、中音域の数値が大きく高音域と低音域の数値が小さくなっている。
【0072】
また、この重み付けデータWTは図14(1)に示すように楽音周波数が低いほどこの重み付けデータWTは大きくなっており、低音の方がチャンネル割り当ての優先度が高くなっていてもよい。さらに、この重み付けデータWTは逆に低音の方がチャンネル明け渡し(トランケート)の頻度(可能性)が高くなってもよい。また、この重み付けメモリ133及び乗算器131は省略され、チャンネル割り当ての優先度が音楽的性質によって重み付けされなくてもよい。これにより、各チャンネルの合成成分音のレベルが小さいほどチャンネルトランケートの可能性(頻度)が高くなる。
【0073】
また、この重み付けメモリ133には、他の音楽的ファクタ情報が代わりに入力されてもよい。例えば上述のキーナンバデータKN、トーンナンバデータTN、パートナンバデータPN、タッチデータTC、トーンタイムデータTM、共鳴相関値データなどである。これにより、音域(音高)、音色、演奏分野、タッチ、発音時間、共鳴度などの音楽的性質にも応じてチャンネル割り当ての優先度が変化修正(決定制御)される。
【0074】
これにより、例えばトーン(音色)ナンバ、タッチデータ、共鳴度が大きいほど、音高(音域)、パートナンバ(MIDIチャンネルナンバ)または発音時間が小さいほど、チャンネル割り当ての優先度が高くなり、トランケートの可能性(頻度)が低くなる。なお、こられの各データが複数加算されて上記重み付けメモリ133へ送られてもよい。
【0075】
この音響出力部5は音像を形成するステレオチャンネル(オーディオチャンネル)数に応じた数だけ設けられる。各ステレオ(オーデイオ)チャンネルの各アサインメントメモリ40の各チャンネルエリアには音像データが記憶され、この音像データが乗算器43で各チャンネルの楽音波形データ又はエンベロープデータENに乗算合成され音像が形成される。このようなステレオ(オーデイオ)チャンネルシステムのチャンネル割り当てシステムは、特願平3−204404号または特願平2−408859号の明細書及び図面に示される。
【0076】
6.初期反射音及び後期残響音
上記音響出力部5から発生された左右の音源の波形データを直接音データTとする。この直接音データTは、自然音における直接音に相当する楽音を表す楽音波形データである。そして、本実施例では図7に示すように、直接音データTから複数の初期反射音データS1、S2、S3、S4、S5、…が生成される。次にこれらの前の初期反射音データS1、S2、S3、S4、S5、…それぞれから後期残響音群データK1、K2、K3、K4、K5、…が生成される。
【0077】
上記直接音データTは、図7では1本の線で示されているが、実際には楽音波形にエンベロープ波形が合成されており、アタック→ディケイ→サスティーン→リリースの時間幅を持っている。従って、上記初期反射音データS1、S2、S3、S4、S5、…及び上記後期残響音群データK1、K2、K3、K4、K5、…の中の1音1音も同様の時間幅を持っている。
【0078】
7.残響テーブル31
図8はプログラム/データ記憶部3の残響テーブル31を示す。この残響テーブル31には、ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、DT4、…、DT51、DT52、DT53、DT54、…と減衰率データg1、g2、g3、g4、…、g51、g52、g53、g54、…が記憶されている。これらのデータは、上記共鳴相関値データの全体データまたは上位データごと、上記音楽的ファクタごと、つまり音高、音色、タッチ、発音時間、エンベロープレベル、エンベロープスピード、エンベロープタイムまたはエンベロープフェーズ毎に多層的に記憶されている。
【0079】
上記同時発音されている楽音が変化して、同時発音の楽音の各音高の相互関係が変化すると、共鳴相関値データが変更される。そうすると、上記読み出されるディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、DT4、…、DT51、DT52、DT53、DT54、…及び減衰率データg1、g2、g3、g4、…、g51、g52、g53、g54、…が変更され、残響特性の遅延率または減衰率が変更される。
【0080】
また、上記音像情報(ステレオ的ファクタ)は、音像ポジションを決めるデータであって、例えば各チャンネルの楽音のレベルを設定するレベル設定データ、各チャンネルの楽音の位相を設定する位相設定データであって、これらのデータによって音像の位置(方向)、大きさ等が設定される。
【0081】
ディレイタイムデータDT1は上記前の初期反射音SA、SB、SCのディレイタイムを決定し、ディレイタイムデータDT2は上記後の初期反射音群Sa、Sb、Scのディレイタイムを決定し、ディレイタイムデータDT3及びDT4は上記後期残響音列SSA、SSBのディレイタイムを決定する。減衰率データg1は前の初期反射音SA、SB、SCの減衰率を表し、減衰率データg2は後の初期反射音Sa、Sb、Scの減衰率を表し、減衰率データg3は後期残響音列SSA、SSBの減衰率を表す。
【0082】
減衰率データg1は前の初期反射音SAの減衰率を表し、減衰率データg2は前の初期反射音SBの減衰率を表し、減衰率データg3は前の初期反射音SCの減衰率を表す。減衰率データg4は後の初期反射音Saの減衰率を表し、減衰率データg5は後の初期反射音Sbの減衰率を表し、減衰率データg6は後の初期反射音Scの減衰率を表す。また、0<g1、g2、g3、g4、g5、g6、…<1である。なお、減衰率は入力レベルに対する出力レベルの変化率でも良い。これら各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…、g1、g2、g3、…の各値は何れかが同じであっても良いし、全て異なっていても良い。
【0083】
.サウンドシステム53
図9は上記サウンドシステム53内の初期反射音作成部60を示す。上記各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…はレジスタ61にストアされて各クロックジェネレータ62、62、62、…に供給される。このクロックジェネレータ62、…はプログラマブルであり、供給された各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…に応じた周波数のクロック信号φ1、φ2、φ3、…が発生され、各タップディレイ回路63、64、65、66、67、68に供給される。
【0084】
この各タップディレイ回路63、64、65、66、67、68は、CCD(charge coupled device)などからなり、印加されたクロック信号φ1、φ2、φ3、…の周波数に応じた速度で入力された楽音データが順次送られ、入力楽音データが遅延されて各タップから出力される。したがって、上記各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…は、残響音(初期反射音)または残響特性の遅延タイミング、遅延時間または遅延率を決定している。この初期反射音作成部60の2つの入力端子からは左右のステレオ音響が入力される。
【0085】
また上記各減衰率データg1、g2、g3、…はレジスタ61にストアされて各乗算器72、72、72、…に供給される。この乗算器72、…では入力された楽音データに上記各減衰率データg1、g2、g3、…が乗算されて小さく減衰される。したがって、上記各減衰率データg1、g2、g3、…は、残響音(初期反射音)または残響特性の減衰の大きさ、減衰量または減衰率を決定している。
【0086】
各タップディレイ回路63、64、65、66、67、68及び乗算器72、72、…の各出力は、加算器73、…で加算合成されたり、タップディレイ回路63、64、65、66、67、68にフィードバックされたりする。したがって、生成される初期反射音(残響音)は複雑かつ多様で非常に広がった音となる。
【0087】
図10は後期残響音作成部80を示す。この後期残響音作成部80には上記初期反射音作成部60の出力楽音データが入力される。上記各ディレイタイムデータDT51、DT52、DT53、…はレジスタ81にストアされて各クロックジェネレータ82、82、82、…に供給される。このクロックジェネレータ82、…はプログラマブルであり、供給された各ディレイタイムデータDT51、DT52、DT53、…に応じた周波数のクロック信号φ51、φ52、φ53、…が発生され、各タップディレイ回路83、83、…に供給される。
【0088】
この各タップディレイ回路83、…は、CCD(charge coupled device)などからなり、印加されたクロック信号φ51、φ52、φ53、…の周波数に応じた速度で入力された楽音データが順次送られ、入力楽音データが遅延されて各タップから出力される。したがって、上記各ディレイタイムデータDT51、DT52、DT53、…は、残響音(初期反射音)または残響特性の遅延タイミング、遅延時間または遅延率を決定している。
【0089】
また上記各減衰率データg51、g52、g53、…はレジスタ85にストアされて各乗算器86、86、…に供給される。この乗算器86、…では入力された楽音データに上記各減衰率データg51、g52、g53、…が乗算されて小さく減衰される。したがって、上記各減衰率データg51、g52、g53、…は、残響音(後期残響音)または残響特性の減衰の大きさ、減衰量または減衰率を決定している。
【0090】
各タップディレイ回路83、83、…及び乗算器86、86、…の各出力は、加算器87、…で加算合成されたり、タップディレイ回路83、83、…にフィードバックされたりする。したがって、生成される後期残響音は複雑かつ多様で非常に広がった音となる。
【0091】
上記各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…の値が大きくなれば、この残響の継続時間は短くなり、各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…の値が小さくなれば、この残響の継続時間は長くなる。
【0092】
また各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、…の値が大きくなればクロック信号φ1、φ2、φ3、…の周波数が高くなって、この残響の継続時間は短くなり、各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、…の値が小さくなればクロック信号φ1、φ2、φ3、…、φ51、φ52、φ53、…の周波数が低くなって、この残響の継続時間は長くなる。
【0093】
さらに各ディレイタイミングデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、…の値が大きくなればクロック信号φ1、φ2、φ3、…、φ51、φ52、φ53、…の周波数が高くなって、単位時間当たりの残響音の数が多くなって残響密度は高くなり、各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、…の値が小さくなればクロック信号φ1、φ2、φ3、…、φ51、φ52、φ53、…の周波数が低くなって、単位時間当たりの残響音の数が少なくなって残響密度は低くなる。
【0094】
.サウンドシステム53
図11はサウンドシステム53の別の例を示す。反射残響回路90としては、上記初期反射音作成部60、上記後期残響音作成部80、上記初期反射音作成部60に上記後期残響音作成部80が接続されたものまたはこれらの回路60、80のステレオシステムの片方のチャンネル用の回路が使用される。
【0095】
上記反射残響回路90、90の出力は乗算器91、91、…及び加算器92、92を介して互いに加算合成されたり、乗算器91、91を介してフィードバックされたりする。これにより、2つの出力が互いに影響を及ぼし合って、広がりのある楽音が生成される。
【0096】
図12はサウンドシステム53のさらに別の例を示す。各反射残響回路90、90には同じ楽音データが入力され、各出力は加算器92で加算合成されて出力される。また片方の反射残響回路90の出力は乗算器91及び加算器92を介して他方の反射残響回路90に入力される。これにより、1つの出力が他方の出力に従属して、広がりのある楽音が生成される。
【0097】
図13はサウンドシステム53のさらに別の例を示す。この例では、上記図11の回路が2つ用意されて、各出力が加算器92、92で加算合成されて出力される。また、この2つの図11の回路には同じ楽音データが入力される。これにより、4つの出力が互いに影響を及ぼし合って、さらに多重的に広がりのある楽音が生成される。
【0098】
発音中の楽音の互いの共鳴度が高く、上記合計共鳴相関値データが大きくなれば、各ディレイタイミングデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、…の値が大きくなって、残響密度は高くなり、また各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…の値が小さくなって、この残響の継続時間は長くなる。むろん、場合によってこれと逆の特性であってもよい。
【0099】
発音中の楽音の互いの共鳴度が低く、上記合計共鳴相関値データが小さくなれば、各ディレイタイミングデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、…の値が小さくなって、残響密度は低くなり、また各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…の値が大きくなって、この残響の継続時間は短くなる。むろん、場合によってこれと逆の特性であってもよい。
【0100】
これら各ディレイタイミングデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、…の値及び各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…の値は、初期反射音と後期残響音とで異なっている。一方の値が他方の値より大きかったり小さかったりする。むろん同じ値でもよい。
【0101】
10.処理全体
図15はコントローラ(CPU)2によって実行される処理全体のフローチャートを示す。この処理全体は本楽音生成装置の電源オンによって開始され、電源オフまで繰り返し実行される。まず、プログラム/データ記憶部3の初期化など種々のイニシャライズ処理が行われ(ステップ01)、上記演奏情報発生部1での手動演奏または自動演奏に基づき、発音処理が行われる(ステップ03)。
【0102】
この発音処理では、空きチャンネルがサーチされ、サーチされた空きチャンネルにオンイベントに係る楽音が割り当てられる。この楽音の内容は、上記演奏情報発生部1からの上記演奏情報(楽音発生情報)、楽音制御情報の音楽的ファクタ情報及びこのときプログラム/データ記憶部3に既に記憶されている音楽的ファクタ情報によって決定される。
【0103】
この場合、サーチされた空きチャンネルのアサインメントメモリ40のエリアに「1」のオン/オフデータ、周波数ナンバデータFN、エンベロープスピードデータES、エンベロープタイムデータEL、「0」のエンベロープフェーズデータEFなどが書き込まれる。さらに、トーンナンバデータTN、タッチデータTC、パートナンバデータPN、「0」のトーンタイムデータTMも書き込まれる。
【0104】
次いで、上記演奏情報発生部1での手動演奏または自動演奏に基づき、消音(減衰)処理が行われる(ステップ05)。この消音(減衰)処理では、オフイベント(キーオフイベント、消音イベント)に係る楽音が割り当てられているチャンネルがサーチされ当該楽音が減衰され消音される。この場合、キーオフイベントに係る楽音のエンベロープフェーズがリリースとなり、エンベロープレベルが次第に「0」になる。
【0105】
さらに、上記演奏情報発生部1の各種スイッチの操作があれば、このスイッチに対応する音楽的ファクタ情報が取り込まれ、プログラム/データ記憶部3に記憶され、音楽的ファクタ情報が変更される(ステップ06)。この後、その他の処理が実行され(ステップ07)、上記ステップ02からこのステップ07までの処理が繰り返される。
【0106】
11.発音処理(ステップ03)
図16は上記ステップ03の発音処理のフローチャートを示す。まず、オンイベントがあると(ステップ11)、上記成分音テーブル30に基づいてこのオンイベントに係る楽音のトーンナンバデータTNに対応する周波数ナンバ比データFNR及びエンベロープスピードデータES並びにエンベロープタイムデータETが読み出される(ステップ12)。
【0107】
次いで、このオンイベントに係る直接音の楽音のキーナンバデータKNに対応した周波数ナンバデータFNに、この読み出された各周波数ナンバ比データFNRが乗算され、各成分音の周波数ナンバデータFNが求められる(ステップ13)。この場合オンイベントが複数あれば、複数の直接音の楽音の各成分音について周波数ナンバデータFNが求められる。
【0108】
そして、この直接音に対する共鳴音の周波数ナンバデータFN、エンベロープスピードデータES並びにエンベロープタイムデータETが求められる(ステップ14)。この場合、共鳴音の周波数ナンバデータFNの値は、直接音の周波数ナンバデータFNの値が2倍、3/2倍、4/3倍、5/4倍、…、3倍、4倍、5倍、…される。
【0109】
これにより、各共鳴音の共鳴特性(共鳴度)は、同時発音されている直接音の楽音の音高の相互関係に基づいて変化することになる。
【0110】
また、この共鳴音のエンベロープスピードデータESまたはエンベロープレベルデータELは、上記直接音のエンベロープスピードデータESまたはエンベロープレベルデータELの値が1/2倍、2/3倍、3/4倍、4/5倍、…、1/3倍、1/4倍、1/5倍、…される(ステップ14)。このように共鳴音は直接音に対して同じトーンデータTN及び同じ楽音波形であり、エンベロープ振幅が上記比例換算に応じて小さくなる。
【0111】
この共鳴音の数は予め決められた数に限定される。また、この演算結果が所定値未満の共鳴音のデータ作成は禁止される。さらに、このように演算された共鳴音のアタックのエンベロープスピードデータESまたはエンベロープレベルデータELの合計値が所定値を越えたとき、上記共鳴音の作成処理は終了される。
【0112】
これにより、この共鳴音の共鳴特性は上記直接音に対する共鳴する周波数範囲を意味する。また、この共鳴音の共鳴特性は上記直接音に対する各共鳴音の合計レベルを意味する。さらに、この共鳴音の共鳴特性は上記直接音に対する共鳴音の数を意味する。
【0113】
そして、アサインメントメモリ40内の既に割り当てられている各成分音の周波数ナンバデータFNと、上記ステップ13で求められた各周波数ナンバデータFNとが一致していれば(ステップ15)、このチャンネルの各フェーズのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが合成エンベロープのものに書き換えられ、キーナンバデータKNが付加記憶される(ステップ16)。
【0114】
この合成エンベロープでは、既にこのチャンネルに割り当てられている単独成分音または合成成分音のエンベロープに、この新たな成分音のエンベロープが加算合成される。このステップ15のエンベロープ合成処理は特願平10−12764号、特願平10−12781号及び特願平10−16617号の図7及び対応明細書部分に示される。
【0115】
これにより、直接音の成分音と共鳴音の成分音とが同じ周波数になるときは、これらは1つに合成されて1つのチャンネルにまとめて割り当てられ、アサインメントメモリ40の1つのチャンネルエリアに書き込まれる。上記合成では、各エンベロープ波形が1つのエンベロープ波形に合成され、この合成エンベロープ波形を生成するためのエンベロープスピードデータES及びエンベロープタイムデータETが演算される。
【0116】
またこれにより、各直接音と共鳴音との共鳴特性(共鳴度)は、同時発音されている直接音だけでなく共鳴音の楽音の音高の相互関係に基づいて変化することになる。
【0117】
次いで、アサインメントメモリ40に書き込まれている全キーナンバデータKNに基づき、共鳴相関値テーブル35から各共鳴相関値データが求められ、この合計値が求められる(ステップ20)。この共鳴相関値データの合計値に基づき、残響テーブル31から対応するディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、DT4、…、DT51、DT52、DT53、DT54、…と減衰率データg1、g2、g3、g4、…、g51、g52、g53、g54、…が読み出され(ステップ21)、サウンドシステム53内の反射残響回路90(初期反射音作成部60、後期残響音作成部80)に送られる(ステップ22)。
【0118】
これにより、同時発音されている楽音の共鳴特性(共鳴度)または同時発音されている楽音の音高の相互関係に基づいて、残響内容、遅延内容、遅延率または減衰率が変更制御される。
【0119】
また、既に割り当てられている各成分音の周波数ナンバデータFNと、求められた各周波数ナンバデータFNとが一致していなければ(ステップ15)、空きチャンネルがサーチされる(ステップ23)。この空きチャンネルのナンバは、上記最小チャンネルメモリ134に記憶されている第1最小チャンネルナンバ1MCHである。
【0120】
ついで、上記ステップ82で乗算修正された各修正レベルデータMLEのうちもっとも値の大きいデータMLEまたはもっとも低音のデータMLEと最小チャンネルメモ134に記憶されている第1最小修正エンベロープデータ1MENとが比較され(ステップ24)、第1最小修正エンベロープデータ1MENの方が小さければ(ステップ25)、この第1最小チャンネルナンバ1MCHのアサインメントメモリ40のエリアに上記成分音の周波数ナンバデータFN、キーナンバデータKN及びエンベロープスピードデータES並びにエンベロープタイムデータETが書き込まれ、フェーズカウンタ50の対応チャンネルのカウンタがクリアされる(ステップ27)。
【0121】
こうして、既に成分音が割り当てられ、この成分音のレベルが小さくなっているチャンネルを、他の最大のレベルの成分音に明け渡すことができる。
【0122】
そして、この割り当てたチャンネルの第1最小チャンネルナンバ1MCH及び第1最小修正エンベロープデータ1MENが上記最小チャンネルメモリ134から消去され(ステップ28)、プログラム/データ記憶部3(RAM)の上記修正レベルデータMLEも消去され(ステップ29)、以上のエンベロープ合成処理またはチャンネル割り当て処理が他の成分音についても繰り返され(ステップ30)、その他の処理が行われる(ステップ31)。
【0123】
こうして、チャンネルに割り当てられているレベルの小さい成分音が順次消去され、レベルの大きい成分音が順次チャンネルに割り当てられ、小さい成分音と大きい成分音とが順次入れ替えられていく。
【0124】
12.トーンタイムデータTM及び同時発音数の処理
図17はコントローラ2によって一定周期ごとに実行されるインタラプト処理のフローチャートを示す。この処理で上記トーンタイムデータTMのインクリメント及び同時発音数のカウントが行われる。
【0125】
この処理では、上記アサインメントメモリ40の各チャンネルエリアにつき(ステップ41、46、47)、オン/オフデータが「1」で楽音が発音中のものについて(ステップ43)、そのトーンタイムデータTMが「+1」される(ステップ44)。
【0126】
また、同じくアサインメントメモリ40の各チャンネルエリアにつき(ステップ41、46、47)、いったん同時発音数データがクリアされた後(ステップ42)、オン/オフデータが「1」で楽音が発音中のものがカウントされ(ステップ43)、同時発音数が順次「+1」される(ステップ45)。このカウントされた同時発音数はプログラム/データ記憶部3に記憶される。
【0127】
そして、その他の周期的な処理が行われる(ステップ48)。こうして、各チャンネルの楽音の発音経過時間がカウントされ記憶され上記発音時間情報として利用され、またそのときどきの全チャンネルの発音中の楽音の数がカウントされ記憶され上記同時発音数情報として利用される。
【0128】
本発明は上記実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、…の値及び/または各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…の値は、合計共鳴相関値データに基づいて変更されたが、共鳴する周波数範囲、共鳴音の数、直接音又は/及び共鳴音の全合計レベルに基づいて変更されてもよい。
【0129】
この場合、上記ステップ14で算出された共鳴音のアタックのエンベロープスピードESの値が所定値未満になったとき、この共鳴音は直接音から周波数上いちばん離れているので、この共鳴音の周波数ナンバデータFNの直接音の周波数ナンバデータFNに対する「差」が上記「共鳴する周波数範囲」を示す。上記残響テーブル31の各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…は、この「差」に基づいて記憶され選択され変更される。この場合の直接音は、複数の直接音のうち、任意、最先または最新に発音開始(キーイベント)された音である。
【0130】
また、上記ステップ14で算出された共鳴音のエンベロープスピードESの値が所定値未満になったとき、これまで算出された共鳴音の数がカウントされ、このカウント値は上記「共鳴音の数」を示す。上記残響テーブル31の各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…は、この「共鳴音の数」に基づいて記憶され選択され変更される。
【0131】
さらに、上記ステップ45で各直接音及び/または各共鳴音のアタックのエンベロープスピードデータESが合計される。この合計値は上記「直接音又は/及び共鳴音の全合計レベル」を示す。上記残響テーブル31の各ディレイタイムデータDT1、DT2、DT3、…、DT51、DT52、DT53、各減衰率データg1、g2、g3、…、g51、g52、g53、…は、この「直接音又は/及び共鳴音の全合計レベル」に基づいて記憶され選択され変更される。
【0132】
また、波形メモリ42に記憶される楽音波形データMWはサイン波以外の複雑な波形でもよいし、音色、音高(音域)、タッチ、パート、発音時間ごとに異なる波形が記憶され切り替え選択されてもよい。このような複雑な形状の波形は上記各成分音の楽音波形として読み出され出力される。
【0133】
また、各チャンネルに割り当てられる楽音は成分音以外の1つの独立した楽音であってもよい。この場合、同じチャンネルに割り当てられる楽音の波形は同じ波形形状であり、同じ音高(周波数)である。このような場合でも同様にエンベロープの合成または発生量の合成を行うことができる。
【0134】
さらに、合成されるのはエンベロープ以外の楽音波形データMWの振幅でもよい。この場合上記ステップ16で合成されるのは、振幅決定因子例えばタッチデータTCなどである。そして、アサインメントメモリ40の各チャンネルのタッチデータTCは、上記オンイベント及びオフイベントごとに相加され、この相加されたタッチデータTCはアサインメントメモリ40から上記乗算器43へ送られ、楽音波形データMWに乗算される。なお、この相加されたタッチデータTCは、当該チャンネルの各エンベロープスピードデータESに乗算されてもよい。この乗算されたエンベロープスピードデータESを使って上記ステップ16のエンベロープ合成が行われる。
本件出願当初の特許請求の範囲は以下の通りであった。
[1]楽音を発生する手段と、 この発生された楽音に共鳴特性を付加する手段と、 この共鳴特性の付加された楽音を繰り返し遅延させて残響を付加する手段と、 この遅延される楽音の遅延内容を上記共鳴特性に基づいて決定する手段とを備えたことを特徴とする残響共鳴装置。
[2]楽音を発生させ、 この発生された楽音に共鳴特性を付加させ、 この共鳴特性の付加された楽音を繰り返し遅延させて残響を付加させ、 この遅延される楽音の遅延内容を上記共鳴特性に基づいて決定させることを特徴とする残響共鳴方法。
[3]上記遅延内容は遅延処理における直接音に対する遅延率または減衰率であり、 上記共鳴特性は上記直接音に対する共鳴する周波数範囲、上記直接音に対する各共鳴音の合計レベル、上記直接音に対する共鳴音の数であり、 上記遅延内容は初期反射音と後期残響音とで異なり、 上記共鳴特性は同時に発生される楽音の各音高の相互関係に基づき、
上記遅延内容は同時に発生される楽音の各音高の相互関係に基づき、 上記同時に発生される複数の楽音は、1つの楽音を構成する複数の成分音であり、 上記共鳴音の周波数は上記発生される直接音の楽音の周波数と単純な整数倍比の関係にあり、 上記直接音の成分音の周波数と共鳴音の周波数とが同じであればこれらの成分音は1つに合成されることを特徴とする請求項1記載の残響共鳴装置。
【0135】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明では、共鳴特性の付加された楽音を繰り返し遅延させて残響を付加し、この遅延される楽音の遅延内容を上記共鳴特性に基づいて決定するようにした。したがって、残響特性と共鳴特性と関連付けた楽音を発生させることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】残響共鳴装置の全体回路を示す。
【図2】プログラム/データ記憶部3内の成分音テーブル30を示す。
【図3】音響出力部5内のアサインメントメモリ40を示す。
【図4】音響出力部5を示す。
【図5】同じ周波数の成分音aと成分音bとのエンベロープ合成の波形の例を示す。
【図6】プログラム/データ記憶部3内の共鳴相関値テーブル35を示す。
【図7】直接音、初期反射音及び後期残響音の例を示す。
【図8】残響テーブル31を示す。
【図9】サウンドシステム53内の初期反射音作成部60を示す。
【図10】サウンドシステム53内の後期残響音作成部80を示す。
【図11】サウンドシステム53の別の例を示す。
【図12】サウンドシステム53の別の例を示す。
【図13】サウンドシステム53の別の例を示す。
【図14】重み付けメモリ133に記憶され重み付けデータWTの内容を示す。
【図15】処理全体のフローチャートを示す。
【図16】ステップ03の発音処理のフローチャートを示す。
【図17】一定周期ごとに実行されるインタラプト処理のフローチャートを示す。
【符号の説明】
1…演奏情報発生部、2…コントローラ(CPU)、3…プログラム/データ記憶部、4…情報記憶部、5…音響出力部、6…タイミング発生部、30…成分音テーブル、31…残響テーブル、35…共鳴相関値テーブル、40…アサインメントメモリ、41…波形読み出し部、42…波形メモリ、47…セレクタ、48…エンベロープ演算メモリ、49…エンベロープタイムメモリ、50…フェーズカウンタ、46,51…加算器、52…ナンドゲート群、53…サウンドシステム、60…初期反射音作成部、80…後期残響音作成部、90…反射残響回路、131…乗算器、132…修正エンベロープメモリ、133…重み付けメモリ、134…最小チャンネルメモリ、141…第1最小レベル検出回路、142…第2最小レベル検出回路、143…第3最小レベル検出回路。

Claims (11)

  1. 複数の楽音を並行して発生する手段と、
    この並行して発生された複数の楽音の相互の周波数値比に基づく共鳴相関値を決定する手段と、
    上記発生された複数の楽音を繰り返し遅延させて残響を付加する手段と、
    この繰り返し遅延の遅延時間または減衰量を、上記共鳴相関値に基づいて決定する手段とを備えたことを特徴とする残響共鳴装置。
  2. コントローラが残響共鳴装置に対して、
    並行して発生された複数の楽音の相互の周波数値比に基づく共鳴相関値を決定させ、
    上記発生された複数の楽音を繰り返し遅延させて残響を付加させ、
    この繰り返し遅延の遅延時間または減衰量を、上記共鳴相関値に基づいて決定させることを特徴とする残響共鳴方法。
  3. 楽音の直接音を発生する手段と、
    この発生された直接音の周波数に対して、周波数の異なる共鳴音を複数発生させる手段と、
    これら発生された直接音及び共鳴音を繰り返し遅延させて残響を付加する手段と、
    この繰り返し遅延の遅延時間または減衰量を、上記直接音の周波数からいちばん離れた共鳴音の周波数と直接音の周波数との差に基づいて決定する手段とを備えたことを特徴とする残響共鳴装置。
  4. コントローラが残響共鳴装置に対して、
    発生された楽音の直接音の周波数に対して、周波数の異なる共鳴音を複数発生させ、
    これら発生された直接音及び共鳴音を繰り返し遅延させて残響を付加させ、
    この繰り返し遅延の遅延時間または減衰量を、上記直接音の周波数からいちばん離れた共鳴音の周波数と直接音の周波数との差に基づいて決定させることを特徴とする残響共鳴方法。
  5. 楽音の直接音を発生する手段と、
    この発生された直接音の周波数及びレベルに対して、異なる周波数及び異なるレベルの共鳴音を複数発生させる手段と、
    これら発生された直接音及び共鳴音を繰り返し遅延させて残響を付加する手段と、
    この繰り返し遅延の遅延時間または減衰量を、上記複数の共鳴音の合計レベルに基づいて決定する手段とを備えたことを特徴とする残響共鳴装置。
  6. コントローラが残響共鳴装置に対して、
    発生された楽音の直接音の周波数及びレベルに対して、異なる周波数及び異なるレベルの共鳴音を複数発生させ、
    これら発生された直接音及び共鳴音を繰り返し遅延させて残響を付加させ、
    この繰り返し遅延の遅延時間または減衰量を、上記複数の共鳴音の合計レベルに基づいて決定させることを特徴とする残響共鳴方法。
  7. 楽音の直接音を発生する手段と、
    この発生された直接音の周波数に対して、異なる周波数の共鳴音を複数発生させる手段と、
    これら発生された直接音及び共鳴音を繰り返し遅延させて残響を付加する手段と、
    この繰り返し遅延の遅延時間または減衰量を、上記共鳴音の発生数に基づいて決定する手段とを備えたことを特徴とする残響共鳴装置。
  8. コントローラが残響共鳴装置に対して、
    発生された楽音の直接音の周波数に対して、異なる周波数の共鳴音を複数発生させ、
    これら発生された直接音及び共鳴音を繰り返し遅延させて残響を付加させ、
    この繰り返し遅延の遅延時間または減衰量を、上記共鳴音の発生数に基づいて決定させることを特徴とする残響共鳴方法。
  9. 上記遅延時間または減衰量は初期反射音と後期残響音とで異なり、
    上記共鳴音の周波数は同時に発生される複数の上記直接音の各音高の相互関係に基づき、
    上記遅延時間または減衰量は同時に発生される複数の上記直接音の各音高の相互関係に基づき、
    上記直接音は、複数の成分音からなっており、
    上記共鳴音の周波数は上記発生される直接音の楽音の周波数と単純な整数倍比の関係にあり、
    上記直接音の成分音の周波数と共鳴音の周波数とが同じであればこれらの成分音及び共鳴音は1つに合成されることを特徴とする請求項記載の残響共鳴装置。
  10. 上記遅延時間または減衰量は初期反射音と後期残響音とで異なり、
    上記共鳴音のレベルは同時に発生される複数の上記直接音の各音高の相互関係に基づき、
    上記遅延時間または減衰量は同時に発生される複数の上記直接音の各音高の相互関係に基づき、
    上記直接音は、複数の成分音からなっており、
    上記共鳴音の周波数は上記発生される直接音の楽音の周波数と単純な整数倍比の関係にあり、
    上記直接音の成分音の周波数と共鳴音の周波数とが同じであればこれらの成分音及び共鳴音は1つに合成されることを特徴とする請求項記載の残響共鳴装置。
  11. 上記遅延時間または減衰量は初期反射音と後期残響音とで異なり、
    上記共鳴音の発生数は同時に発生される複数の上記直接音の各音高の相互関係に基づき、
    上記遅延時間または減衰量は同時に発生される複数の上記直接音の各音高の相互関係に基づき、
    上記直接音は、複数の成分音からなっており、
    上記共鳴音の周波数は上記発生される直接音の楽音の周波数と単純な整数倍比の関係にあり、
    上記直接音の成分音の周波数と共鳴音の周波数とが同じであればこれらの成分音及び共鳴音は1つに合成されることを特徴とする請求項記載の残響共鳴装置。
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