JPH11301368A - 頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フロントピラーガーニッシュの剛性を確保し
つつ、エアバッグ袋体展開時には容易に展開可能とす
る。 【解決手段】 フロントピラーガーニッシュ２６の内周
側下端のコーナー部には、展開部２６Ａと非展開部２６
Ｂとに架設されたフランジ２６Ｄが形成されている。フ
ランジ２６Ｄの中間部には、展開中心となるヒンジ部２
６Ｃに向かって延びるスリット５０が形成されており、
このスリット５０の中間部には、スリット５０により分
割されたフランジ２６Ｄの対向する部位を繋ぐリブ５２
が形成されている。また、リブ５２は、エアバッグ袋体
展開時に破断可能な強度に設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車体側部への所定
の高荷重作用時にインフレータからのガスによって膨張
する頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラー
ガーニッシュ構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】車体側部への所定の高荷重作用時におけ
る前席に着座した乗員の頭部の保護性能を向上させるべ
く、フロントピラー部からルーフサイドレール部に跨が
って折り畳み状態で格納された頭部保護エアバッグ袋体
を、サイドウインドガラスに沿ってカーテン状に膨張さ
せる車両用頭部保護エアバッグ装置が既に提案されてい
る。以下、この種の車両用頭部保護エアバッグ装置を開
示したＷＯ ９６／２６０８７号公報に示される構成に
ついて説明する。

【０００３】図１０に示される如く、この車両用頭部保
護エアバッグ装置１００は、フロントピラー部１０２か
らルーフサイドレール部１０４に跨がって配設された長
尺状のダクト１０６と、このダクト１０６内に折り畳み
状態で格納されると共に前端固定点１０８及び後端固定
点１１０にて車体側に固定されたエアバッグ袋体１１２
と、ホース１１４を介してダクト１０６の後端部と接続
されると共に車体側部への所定の高荷重作用時にガスを
噴出するインフレータ１１６と、一端部が車体側に固定
されると共に他端部がエアバッグ袋体１１２の後端部に
固定された帯状のストラップ１１８と、を主要構成要素
として構成されている。さらに、エアバッグ袋体１１２
は、各々略円筒状に形成されかつ略車両上下方向を長手
方向として配置された複数のセル１２０を連接させるこ
とにより構成されている。

【０００４】上記構成によれば、車体側部への所定の高
荷重作用時になると、インフレータ１１６からガスが噴
出される。このため、噴出されたガスは、ホース１１４
及びダクト１０６を介して折り畳み状態のエアバッグ袋
体１１２の各セル１２０内へ流入される。その結果、各
セル１２０が略車両上下方向を長手方向として略円筒状
に膨張し、これによりエアバッグ袋体１１２がウインド
ガラス１２２に沿ってカーテン状に膨張される。さら
に、エアバッグ袋体１１２の後端部はストラップ１１８
を介して車体側に連結されているため、エアバッグ袋体
１１２の後端側は確実にセンタピラー部１２４の上部内
側に配置されるようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
な車両用頭部保護エアバッグ装置においては、エアバッ
グ袋体１１２がフロントピラーガーニッシュ内に格納さ
れており、エアバッグ袋体１１２の展開圧（膨張圧）に
よって、フロントピラーガーニッシュの所定部位が開裂
展開するようになっている。このため、フロントピラー
ガーニッシュの開裂展開部位を薄肉としたり、軟質材で
形成することで、フロントピラーガーニッシュの所定部
位を容易に展開可能とすることが考えられる。一方、フ
ロントピラーガーニッシュの開裂展開部位を薄肉とした
り、軟質材で形成すると、フロントピラーガーニッシュ
が剛性不足となり、インストルメントパネルとの間に隙
間が発生したり、べこつき感等の不具合が発生する。

【０００６】本発明は上記事実を考慮し、フロントピラ
ーガーニッシュの剛性を確保しつつ、エアバッグ袋体展
開時には容易に展開可能な頭部保護エアバッグ袋体を格
納したフロントピラーガーニッシュ構造を得ることが目
的である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明
は、ピラー部からルーフサイドレール部に跨がって配設
され、所定の条件で膨張展開されるカーテン状頭部保護
エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ
構造において、フロントピラーガーニッシュの下方コー
ナー部に形成されたフランジと、該フランジに形成され
前記フロントピラーガーニッシュの展開中心に向かって
延びるスリットと、該スリットにより分割された部位を
繋ぐと共に、エアバッグ袋体展開時に破断可能な連結部
と、を備えたことを特徴とする。

【０００８】従って、エアバッグ袋体展開時には、連結
部が引張力によって破断し、フランジに形成したスリッ
トが開くため、フロントピラーガーニッシュが展開中心
に沿って容易に展開する。一方、通常状態では、フロン
トピラーガーニッシュの下方コーナー部に形成されたフ
ランジのスリットにより分割された部位が、連結部によ
って互いに繋がれているため、フロントピラーガーニッ
シュに外方から荷重が作用した際に連結部には圧縮力が
するが、連結部は圧縮力に対しては破断し難く、フロン
トピラーガーニッシュの変形を抑えるため、フロントピ
ラーガーニッシュの剛性を確保できる。

【０００９】請求項２記載の本発明は、請求項１記載の
頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガー
ニッシュ構造において、前記スリットと連結部を型抜き
方向に沿った形状に設定したことを特徴とする。

【００１０】従って、請求項１記載の内容に加えて、ピ
ラーガーニッシュを射出成形する際に、フランジのスリ
ットと連結部を同時成形できるので、大幅なコストアッ
プを招くこともない。

【００１１】請求項３記載の本発明は、ピラー部からル
ーフサイドレール部に跨がって配設され、所定の条件で
膨張展開されるカーテン状頭部保護エアバッグ袋体を格
納したフロントピラーガーニッシュ構造において、フロ
ントピラーガーニッシュの下方コーナー部に形成された
フランジと、該フランジに形成され前記フロントピラー
ガーニッシュの展開中心に向かって延びる極小幅のスリ
ットと、を備えたことを特徴とする。

【００１２】従って、エアバッグ袋体展開時には、フラ
ンジのスリットが開き、フロントピラーガーニッシュが
展開中心に沿って容易に展開する。一方、通常状態で
は、フロントピラーガーニッシュの下方コーナー部に形
成されたフランジのスリットが極小幅のため、フロント
ピラーガーニッシュに外方から荷重が作用した際に、ス
リットにより分割された部位が互いに当接し、フロント
ピラーガーニッシュの変形を抑えるため、フロントピラ
ーガーニッシュの剛性を確保できる。

【００１３】請求項４記載の本発明は、ピラー部からル
ーフサイドレール部に跨がって配設され、所定の条件で
膨張展開されるカーテン状頭部保護エアバッグ袋体を格
納したフロントピラーガーニッシュ構造において、フロ
ントピラーガーニッシュの展開部の下部にボデー側部材
と当接可能な当て止め部を設けたことを特徴とする。

【００１４】従って、エアバッグ袋体展開時には、フロ
ントピラーガーニッシュが展開中心に沿って容易に展開
する。一方、通常状態では、フロントピラーガーニッシ
ュの展開部の下部に当て止め部を設けたため、フロント
ピラーガーニッシュに外方から荷重が作用した際に、当
て止め部がボデー側部材と当接し、フロントピラーガー
ニッシュの変形を抑えるため、フロントピラーガーニッ
シュの剛性を確保できる。

【００１５】請求項５記載の本発明は、ピラー部からル
ーフサイドレール部に跨がって配設され、所定の条件で
膨張展開されるカーテン状頭部保護エアバッグ袋体を格
納したフロントピラーガーニッシュ構造において、フロ
ントピラーガーニッシュの非展開部の下部に、フロント
ピラーガーニッシュの展開部と当接可能な当て止め部材
を設けたことを特徴とする。

【００１６】従って、エアバッグ袋体展開時には、フロ
ントピラーガーニッシュが展開中心に沿って容易に展開
する。一方、通常状態では、フロントピラーガーニッシ
ュの非展開部の下部に当て止め部材を設けたため、フロ
ントピラーガーニッシュに外方から荷重が作用した際
に、フロントピラーガーニッシュの展開部が当て止め部
材と当接し、フロントピラーガーニッシュの変形を抑え
るため、フロントピラーガーニッシュの剛性を確保でき
る。

【００１７】請求項６記載の本発明は、請求項１〜５の
何れかに記載の頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロ
ントピラーガーニッシュ構造において、前記フロントピ
ラーガーニッシュの下部がインフレータとエアバッグ袋
体との連結位置より下方にあることを特徴とする。

【００１８】従って、請求項１〜５の何れかに記載の内
容に加えて、フロントピラーガーニッシュの下部に配設
する、フランジ、当て止め部、当て止め部材が、展開す
るエアバッグ袋体と干渉することがなく、エアバッグ袋
体展開性能が阻害されない。

【００１９】

【発明の実施の形態】本発明の頭部保護エアバッグ袋体
を格納したフロントピラーガーニッシュ構造の第１実施
形態を図１〜図６に従って説明する。

【００２０】なお、図中矢印ＦＲは車両前方方向を、矢
印ＵＰは車両上方方向を、矢印ＩＮは車幅内側方向を示
す。

【００２１】図５に示される如く、本実施形態の頭部保
護エアバッグ装置１０は、側突状態を検出するためのセ
ンサ１２と、作動することによりガスを噴出する円柱状
のインフレータ１４と、エアバッグ袋体１６と、を主要
構成要素として構成されている。センサ１２は、センタ
ピラー（Ｂピラー）１８の下端部付近に配設されてお
り、所定値以上の側突荷重が車体側部に作用した場合に
側突状態を検出するようになっている。

【００２２】インフレータ１４はフロントピラー（Ａピ
ラー）２０とインストルメントパネル２２との接続部付
近に配設されており、前述したセンサ１２と接続されて
いる。従って、センサ１２が側突状態を検出すると、イ
ンフレータ１４が作動するようになっている。

【００２３】エアバッグ袋体１６の側面視で上下方向中
間部には、エアバッグ袋体１６の前端固定点と後端固定
点とを結ぶテンションラインＴを横切りエアバッグ袋体
上下方向を長手方向とする複数の非膨張部２４が所定の
間隔で形成されており、これらの非膨張部２４によっ
て、エアバッグ袋体展開時にテンションラインＴを横切
る複数の略平行な円筒状膨張部が形成されるようになっ
ている。

【００２４】また、エアバッグ袋体１６の前端部１６Ａ
は、インフレータ１４から噴出されたガスが流入される
ようにインフレータ配設位置に配置されており、中間部
１６Ｂの上端縁部はフロントピラー２０及びルーフサイ
ドレール２８に沿って配置され、後端部１６Ｃの上端縁
部はクォータピラー（Ｃピラー）３０付近に配置されて
いる。

【００２５】図６に示される如く、エアバッグ袋体１６
は、略上下方向へ蛇腹状に折り畳まれて長尺状にされた
上でフロントピラーガーニッシュ２６とルーフサイドレ
ールガーニッシュ２７又はルーフヘッドライニングとに
跨がって収容されている。

【００２６】図４に示される如く、フロントピラー２０
は、車室外側に配置された断面ハット状のピラーアウタ
パネル３２と、車室内側に配置された略平板状のピラー
インナパネル３４と、ピラーアウタパネル３２とピラー
インナパネル３４との間に挟持状態で配置された断面略
ハット状のピラーリインフォース３３と、によって閉断
面構造とされている。なお、フロントピラー２０の後端
フランジ部には、オープニングウエザストリップ３８が
弾性的に嵌着されている。上述したフロントピラー２０
におけるピラーインナパネル３４の車室内側には、樹脂
製のピラーガーニッシュ２６が配設されている。

【００２７】ピラーガーニッシュ２６は展開部２６Ａと
非展開部２６Ｂとから成り、展開部２６Ａと非展開部２
６Ｂとの境には展開中心となる薄肉のヒンジ部２６Ｃが
ピラーガーニッシュ２６の長手方向に沿って形成されて
いる。ヒンジ部２６Ｃは、ピラーガーニッシュ２６の内
側面にピラーガーニッシュ２６の長手方向に沿って形成
されており、エアバッグ袋体展開時には、展開部２６Ａ
が、非展開部２６Ｂとの境となるヒンジ部２６Ｃを中心
として弾性変形し開く構成となっている。なお、展開部
２６Ａ側の端末部は、前述したオープニングウエザスト
リップ３８に弾性的に係止されている。

【００２８】なお、エアバッグ袋体１６の取付部３５
は、位置決めプレート４０、４２によって挟持されてお
り、これらのプレート４０、４２を介してピラーインナ
パネル３４にウエルドナット３７とボルト３９によって
締結固定されている。

【００２９】図２に示される如く、ピラーガーニッシュ
２６の上端部は、ルーフサイドレール２８の前端部に連
結されており、ピラーガーニッシュ２６の下部はインス
トルメントパネル２２の車幅方向両端前部に形成された
凹部２２Ａに挿入されている。

【００３０】図１に示される如く、フロントピラーガー
ニッシュ２６の内周側下端のコーナー部には、展開部２
６Ａと非展開部２６Ｂとに架設されたフランジ２６Ｄが
形成されている。フランジ２６Ｄの中間部には、展開中
心となるヒンジ部２６Ｃに向かって延びるスリット５０
が形成されており、このスリット５０の中間部には、ス
リット５０により分割されたフランジ２６Ｄの対向する
部位を繋ぐ連結部としてのリブ５２が形成されている。
また、リブ５２は、エアバッグ袋体展開時に作用する引
張力によって破断可能な強度に設定されている。

【００３１】なお、図２に示される如く、フランジ２６
Ｄが形成されるフロントピラーガーニッシュ２６の下方
部位は、インフレータ１４とエアバッグ袋体１６との連
結位置５８（エアバッグ袋体１６の展開エリア）より下
方に設定されている。

【００３２】図３に示される如く、リブ５２の断面形状
は、フロントピラーガーニッシュ２６を射出成形する際
に型を抜く方向（図３の矢印Ａ方向）に沿った辺５２Ａ
を持った平行四辺形となっており、フロントピラーガー
ニッシュ２６を射出成形する際に、フランジ２６Ｄのス
リット５０とリブ５２を同時成形できるようになってい
る。

【００３３】次に、本実施形態の作用を説明する。

【００３４】本実施形態では、エアバッグ袋体展開時
に、フロントピラーガーニッシュ２６のフランジ２６Ｄ
に形成されたリブ５２が引張力によって破断するため、
フランジ２６Ｄに形成されたスリット５０が容易に開く
と共に、フロントピラーガーニッシュ２６がヒンジ部２
６Ｃに沿って容易に展開する。

【００３５】一方、通常状態では、フロントピラーガー
ニッシュ２６の下方コーナー部に形成されたフランジ２
６Ｄのスリット５０により分割されたフランジ２６Ｄの
対向する部位が、リブ５２によって互いに繋がれている
ため、フロントピラーガーニッシュ２６の展開部２６Ａ
の下部に、例えば、車両後方から荷重（図１の矢印Ｆ）
が作用した際に、リブ５２には圧縮力がするが、リブ５
２は圧縮力に対しては破断し難く、フロントピラーガー
ニッシュ２６の変形を抑えるため、フロントピラーガー
ニッシュ２６の剛性を確保できる。この結果、フロント
ピラーガーニッシュ２６とインストルメントパネル２２
の凹部２２Ａとの間に隙間が発生するこが無い。

【００３６】また、本実施形態では、フランジ２６Ｄが
形成されるフロントピラーガーニッシュ２６の下方部位
が、インフレータ１４とエアバッグ袋体１６との連結位
置５８より下方に設定されているため、フランジ２６Ｄ
が、展開するエアバッグ袋体１６と干渉することがな
く、エアバッグ袋体展開性能が阻害されない。

【００３７】また、本実施形態では、リブ５２の断面形
状を、フロントピラーガーニッシュ２６を射出成形する
際に型を抜く方向（図３の矢印Ａ方向）に沿った辺５２
Ａを持った平行四辺形としたため、射出成形する際に、
フランジ２６Ｄのスリット５０とリブ５２を同時成形で
きるので、大幅なコストアップを招くこともない。

【００３８】次に、本発明の頭部保護エアバッグ袋体を
格納したフロントピラーガーニッシュ構造の第２実施形
態を図７に従って説明する。

【００３９】なお、第１実施形態と同一部材に付いて
は、同一符号を付してその説明を省略する。

【００４０】図７に示される如く、本実施形態では、フ
ロントピラーガーニッシュ２６の下方コーナー部に形成
されたフランジ２６Ｄの中間部に、展開中心となるヒン
ジ部２６Ｃに向かって延びる極小幅のスリット６０が形
成されている。

【００４１】従って、本実施形態では、エアバッグ袋体
展開時に、フロントピラーガーニッシュ２６のフランジ
２６Ｄに形成されたスリット６０が開き、フロントピラ
ーガーニッシュ２６が展開中心となるヒンジ部２６Ｃに
沿って容易に展開する。

【００４２】一方、通常状態では、フロントピラーガー
ニッシュ２６のフランジ２６Ｄに形成されたスリット６
０が極小幅のため、フロントピラーガーニッシュ２６の
展開部２６Ａの下部に、例えば、車両後方から荷重（図
７の矢印Ｆ）が作用した場合には、フランジ２６Ｄのス
リット６０により分割された部位が互いに当接し、フロ
ントピラーガーニッシュ２６の変形を抑えるため、フロ
ントピラーガーニッシュ２６の剛性を確保できる。この
結果、フロントピラーガーニッシュ２６とインストルメ
ントパネル２２の凹部２２Ａ（図２参照）との間に隙間
が発生するこが無い。

【００４３】また、本実施形態では、フランジ２６Ｄが
形成されるフロントピラーガーニッシュ２６の下方部位
が、インフレータ１４とエアバッグ袋体１６との連結位
置５８より下方に設定されているため、フランジ２６Ｄ
が、展開するエアバッグ袋体１６と干渉することがな
く、エアバッグ袋体展開性能が阻害されない。

【００４４】次に、本発明の頭部保護エアバッグ袋体を
格納したフロントピラーガーニッシュ構造の第３実施形
態を図８に従って説明する。

【００４５】なお、第１実施形態と同一部材に付いて
は、同一符号を付してその説明を省略する。

【００４６】図８に示される如く、本実施形態では、フ
ロントピラーガーニッシュ２６の展開部２６Ａの下部に
当て止め部６２が形成されている。この当て止め部６２
は、フロントピラーガーニッシュ２６の内周部に車両前
方へ向けて形成されており、当て止め部６２の前端部６
２Ａは、ボデー側部材となるフロントピラーインナパネ
ル６４に形成された壁部６４Ａに当接、または接近して
いる。

【００４７】また、本実施形態では、当て止め部６２が
形成されるフロントピラーガーニッシュ２６の下方部位
が、インフレータ１４とエアバッグ袋体１６との連結位
置５８より下方に設定されている。

【００４８】従って、本実施形態では、エアバッグ袋体
展開時に、フロントピラーガーニッシュ２６が展開中心
となるヒンジ部２６Ｃに沿って容易に展開する。一方、
通常状態では、フロントピラーガーニッシュ２６の展開
部２６Ａの下部に、例えば、車両後方から荷重（図７の
矢印Ｆ）が作用した場合には、フロントピラーインナパ
ネル６４に形成された壁部６４Ａにより当て止め部６２
の前方への移動が阻止されるため、フロントピラーガー
ニッシュ２６の変形が抑えられ、フロントピラーガーニ
ッシュ２６の剛性を確保できる。この結果、フロントピ
ラーガーニッシュ２６とインストルメントパネル２２の
凹部２２Ａ（図２参照）との間に隙間が発生するこが無
い。

【００４９】また、本実施形態では、当て止め部６２が
形成されるフロントピラーガーニッシュ２６の下方部位
が、インフレータ１４とエアバッグ袋体１６との連結位
置５８より下方に設定されているため、当て止め部６２
が、展開するエアバッグ袋体１６と干渉することがな
く、エアバッグ袋体展開性能が阻害されない。

【００５０】次に、本発明の頭部保護エアバッグ袋体を
格納したフロントピラーガーニッシュ構造の第４実施形
態を図９に従って説明する。

【００５１】なお、第１実施形態と同一部材に付いて
は、同一符号を付してその説明を省略する。

【００５２】図９に示される如く、本実施形態では、フ
ロントピラーガーニッシュ２６の非展開部２６Ｂの内周
下部に、フロントピラーガーニッシュ２６の展開部２６
Ａの内周下部と当接可能な当て止め部材６６が配設され
ている。この当て止め部材６６の一端６６Ａは、フロン
トピラーガーニッシュ２６の非展開部２６Ｂの内周下部
に形成された台座２６Ｅに固定されており、当て止め部
材６６の他端６６Ｂは、フロントピラーガーニッシュ２
６の展開部２６Ａの内周下部に当接、または接近してい
る。

【００５３】また、本実施形態では、当て止め部材６６
が配設されるフロントピラーガーニッシュ２６の下方部
位が、インフレータ１４とエアバッグ袋体１６との連結
位置５８より下方に設定されている。

【００５４】従って、本実施形態では、エアバッグ袋体
展開時に、フロントピラーガーニッシュ２６が展開中心
となるヒンジ部２６Ｃに沿って容易に展開する。一方、
通常状態では、フロントピラーガーニッシュ２６の展開
部２６Ａの下部に、例えば、車両後方から荷重（図７の
矢印Ｆ）が作用した場合には、当て止め部材６６により
展開部２６Ａの前方への移動が阻止されるため、フロン
トピラーガーニッシュ２６の変形が抑えられ、フロント
ピラーガーニッシュ２６の剛性を確保できる。この結
果、フロントピラーガーニッシュ２６とインストルメン
トパネル２２の凹部２２Ａ（図２参照）との間に隙間が
発生するこが無い。

【００５５】また、本実施形態では、当て止め部材６６
が配設されるフロントピラーガーニッシュ２６の下方部
位が、インフレータ１４とエアバッグ袋体１６との連結
位置５８より下方に設定されているため、当て止め部材
６６が、展開するエアバッグ袋体１６と干渉することが
なく、エアバッグ袋体展開性能が阻害されない。

【００５６】以上に於いては、本発明を特定の実施形態
について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に
限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々
の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかで
ある。

【００５７】

【発明の効果】請求項１記載の本発明は、ピラー部から
ルーフサイドレール部に跨がって配設され、所定の条件
で膨張展開されるカーテン状頭部保護エアバッグ袋体を
格納したフロントピラーガーニッシュ構造において、フ
ロントピラーガーニッシュの下方コーナー部に形成され
たフランジと、フランジに形成されフロントピラーガー
ニッシュの展開中心に向かって延びるスリットと、スリ
ットにより分割された部位を繋ぐと共に、エアバッグ袋
体展開時に破断可能な連結部と、を備えたため、フロン
トピラーガーニッシュの剛性を確保しつつ、エアバッグ
袋体展開時にはガーニッシュ本体が容易に展開できると
いう優れた効果を有する。

【００５８】請求項２記載の本発明は、請求項１記載の
頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガー
ニッシュ構造において、スリットと連結部を型抜き方向
に沿った形状に設定したため、請求項１記載の効果に加
えて、射出成形する際に、フランジのスリットと連結部
を同時成形できるという優れた効果を有する。

【００５９】請求項３記載の本発明は、ピラー部からル
ーフサイドレール部に跨がって配設され、所定の条件で
膨張展開されるカーテン状頭部保護エアバッグ袋体を格
納したフロントピラーガーニッシュ構造において、フロ
ントピラーガーニッシュの下方コーナー部に形成された
フランジと、フランジに形成されフロントピラーガーニ
ッシュの展開中心に向かって延びる極小幅のスリット
と、を備えたため、フロントピラーガーニッシュの剛性
を確保しつつ、エアバッグ袋体展開時にはガーニッシュ
本体が容易に展開できるという優れた効果を有する。

【００６０】請求項４記載の本発明は、ピラー部からル
ーフサイドレール部に跨がって配設され、所定の条件で
膨張展開されるカーテン状頭部保護エアバッグ袋体を格
納したフロントピラーガーニッシュ構造において、フロ
ントピラーガーニッシュの展開部の下部にボデー側部材
と当接可能な当て止め部を設けたため、フロントピラー
ガーニッシュの剛性を確保しつつ、エアバッグ袋体展開
時にはガーニッシュ本体が容易に展開できるという優れ
た効果を有する。

【００６１】請求項５記載の本発明は、ピラー部からル
ーフサイドレール部に跨がって配設され、所定の条件で
膨張展開されるカーテン状頭部保護エアバッグ袋体を格
納したフロントピラーガーニッシュ構造において、フロ
ントピラーガーニッシュの非展開部の下部に、フロント
ピラーガーニッシュの展開部と当接可能な当て止め部材
を設けたため、フロントピラーガーニッシュの剛性を確
保しつつ、エアバッグ袋体展開時にはガーニッシュ本体
が容易に展開できるという優れた効果を有する。

【００６２】請求項６記載の本発明は、請求項１〜５の
何れかに記載の頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロ
ントピラーガーニッシュ構造において、フロントピラー
ガーニッシュの下部がインフレータとエアバッグ袋体と
の連結位置より下方にあるため、請求項１〜５の何れか
に記載の効果に加えて、エアバッグ袋体展開性能が阻害
されないという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係る頭部保護エアバッ
グ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ構造を示
す車両前方外側から見た斜視図である。

【図２】本発明の第１実施形態に係る頭部保護エアバッ
グ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ構造を示
す車両後方内側から見た斜視図である。

【図３】図１の３−３線に沿った拡大断面図である。

【図４】図６の４−４線に沿った拡大断面図である。

【図５】本発明の第１実施形態に係る頭部保護エアバッ
グ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ構造が適
用された車両におけるエアバッグ袋体の膨張展開状態を
示す概略側面図である。

【図６】本発明の第１実施形態に係る頭部保護エアバッ
グ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ構造が適
用された車両におけるエアバッグ袋体の格納状態を示す
概略側面図である。

【図７】本発明の第２実施形態に係る頭部保護エアバッ
グ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ構造を示
す車両前方外側から見た斜視図である。

【図８】本発明の第３実施形態に係る頭部保護エアバッ
グ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ構造を示
す車両前方外側から見た斜視図である。

【図９】本発明の第４実施形態に係る頭部保護エアバッ
グ袋体を格納したフロントピラーガーニッシュ構造を示
す車両前方外側から見た斜視図である。

【図１０】従来の実施形態に係る車両用頭部保護エアバ
ッグ装置におけるエアバッグ袋体の展開完了状態を示す
概略側面図である。

【符号の説明】

１０ 車両用頭部保護エアバッグ装置 １４ インフレータ １６ エアバッグ袋体 ２０ フロントピラー ２６ フロントピラーガーニッシュ ２６Ａ ピラーガーニッシュの展開部 ２６Ｂ ピラーガーニッシュの非展開部 ２６Ｃ ピラーガーニッシュのヒンジ部 ２６Ｄ ピラーガーニッシュのフランジ ５０ スリット ５２ リブ（連結部） ５８ インフレータとエアバッグ袋体との連結位置 ６０ 極小幅のスリット ６２ 当て止め部 ６４ フロントピラーインナパネル（ボデー側部材） ６４Ａ フロントピラーインナパネルの壁部 ６６ 止め部材

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピラー部からルーフサイドレール部に跨
   がって配設され、所定の条件で膨張展開されるカーテン
   状頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガ
   ーニッシュ構造において、 フロントピラーガーニッシュの下方コーナー部に形成さ
   れたフランジと、 該フランジに形成され前記フロントピラーガーニッシュ
   の展開中心に向かって延びるスリットと、 該スリットにより分割された部位を繋ぐと共に、エアバ
   ッグ袋体展開時に破断可能な連結部と、 を備えたことを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体を格
   納したフロントピラーガーニッシュ構造。
2. 【請求項２】 前記スリットと連結部を型抜き方向に沿
   った形状に設定したことを特徴とする請求項１記載の頭
   部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガーニ
   ッシュ構造。
3. 【請求項３】 ピラー部からルーフサイドレール部に跨
   がって配設され、所定の条件で膨張展開されるカーテン
   状頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガ
   ーニッシュ構造において、 フロントピラーガーニッシュの下方コーナー部に形成さ
   れたフランジと、 該フランジに形成され前記フロントピラーガーニッシュ
   の展開中心に向かって延びる極小幅のスリットと、 を備えたことを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体を格
   納したフロントピラーガーニッシュ構造。
4. 【請求項４】 ピラー部からルーフサイドレール部に跨
   がって配設され、所定の条件で膨張展開されるカーテン
   状頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガ
   ーニッシュ構造において、 フロントピラーガーニッシュの展開部の下部にボデー側
   部材と当接可能な当て止め部を設けたことを特徴とする
   頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガー
   ニッシュ構造。
5. 【請求項５】 ピラー部からルーフサイドレール部に跨
   がって配設され、所定の条件で膨張展開されるカーテン
   状頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガ
   ーニッシュ構造において、 フロントピラーガーニッシュの非展開部の下部に、フロ
   ントピラーガーニッシュの展開部と当接可能な当て止め
   部材を設けたことを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体
   を格納したフロントピラーガーニッシュ構造。
6. 【請求項６】 前記フロントピラーガーニッシュの下部
   がインフレータとエアバッグ袋体との連結位置より下方
   にあることを特徴とする請求項１〜５の何れかに記載の
   頭部保護エアバッグ袋体を格納したフロントピラーガー
   ニッシュ構造。